第7期東京都福祉のまちづくり推進協議会(前期)第4回専門部会 議事録
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議事録
1 日時
平成20年10月3日(金曜日)午前10時00分から正午
2 場所
東京都庁第一本庁舎33階 特別会議室N6
3 次第
開会
議事等
審議事項
東京都福祉のまちづくり条例の改正及び推進計画策定の基本的考え方(案)について
整備基準改正(案)について
閉会
4 出席委員
野村会長 坂巻副会長 今井委員 川内委員 高橋(正)委員 海江田委員 茂木委員 市橋委員 越智委員 時任委員 田中委員 横矢委員 増田委員 岩田委員 仲島委員 松本委員
5 配布資料
資料1-1 東京都福祉のまちづくり条例の改正及び推進計画策定の基本的考え方(案)
資料1-2 条例の名称に関する意見のまとめ
資料2-1 東京都福祉のまちづくり条例整備基準(案)について
参考資料1 スケジュール
○ 第6期東京都福祉のまちづくり推進協議会
「福祉のまちづくりの新たなステージに向けて」
○ 福祉のまちづくりを進めるためのユニバーサルデザインガイドライン
○ 東京都福祉のまちづくり推進計画「ハートフル東京推進プラン」
○ 東京都福祉のまちづくり条例「施設整備マニュアル」
○ 第7期東京都福祉のまちづくり推進協議会(前期)専門部会委員名簿
6 議事録
開会 午前10時00分
○ 花本福祉保健局生活福祉部副参事(地域福祉担当)
それでは、定刻となりましたので、第7期福祉のまちづくり推進協議会第4回専門部会を開催させていただきます。
それでは、本日の委員の出欠状況について、報告させていただきます。本日は、高橋儀平委員、秋山委員、窪田委員、小林委員、平林委員、並木委員、桜井委員から、ご欠席との連絡をいただいております。
続きまして、お手元の会議資料を確認させていただきます。まず、資料1-1、東京都福祉のまちづくり条例改正及び推進計画策定の基本的考え方(案)ということで、A4の冊子があります。それから、資料1-2、条例の名称に関する意見のまとめということで、A4の3枚つづりの紙がございます。それから、資料2-1、東京都福祉のまちづくり条例整備基準(案)について、こちらもA4になっております。最後、参考資料1としまして、今後のスケジュールについてまとめたものが1枚ございます。
それと、番号は振っておりませんが、第6期東京都福祉のまちづくり推進協議会「福祉のまちづくりの新たなステージに向けて」、前回の6期の推進協のまとめの冊子です。それから、「福祉のまちづくりをすすめるためのユニバーサルデザインガイドライン」、東京都福祉のまちづくり推進計画「ハートフル東京推進プラン」のコピーです。それと、東京都福祉のまちづくり条例『施設整備マニュアル』、第7期東京都福祉のまちづくり推進協議会(前期)専門部会委員名簿を置かせていただいております。そろってないものがありましたら、事務局のほうまでお申しつけください。
では、議事の進行につきまして、野村部会長、よろしくお願いします。
○ 野村部会長
おはようございます。ただいまから第4回の専門部会を開催したいと思います。本日は、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。
早速ですが、お手元にございます参考資料1を見ていただきますと、本日の主な議題は、ここにございますように、意見具申(案)の検討、そして整備基準(案)の検討、この2点になりますが、実は、11月に第2回の推進協議会を開催する予定でございます。これに向けて、皆さん方で議論をする最後の機会かと思います。整備基準(案)につきましては、その会議の前に、意見聴取を事業者、障害者団体、区市町村で行うということで、まだ議論の余地がありますが、意見具申(案)の検討については、一応本日をもって締めたいというふうに考えております。きょうはそういう大事な会議だということをご認識した上で、会議を進めていきたいと思います。
それでは、初めに事務局のほうから、資料1でしょうか、これを中心にまずご説明をいただきたいと思います。
○ 花本副参事(地域福祉担当)
それでは、資料1-1ですけれども、今回の案につきましては、これまで3回開催されました専門部会と、それから、前回の専門部会以降、委員の皆様にご意見をいただいておりました、その内容を踏まえてまとめたものとなっております。野村部会長からもお話がありましたが、今回の案につきましては、11月初めに開催を予定しています第2回の推進協議会で意見具申するものとなっていますので、どうぞよろしく審議をお願いいたします。
それでは、お手元の資料1-1、東京都福祉のまちづくり条例の改正及び推進計画策定の基本的考え方(案)について、ご説明します。
1枚めくっていただきますと、目次がございます。内容は2章立てになっておりまして、まず第1章のほうに条例改正に向けた基本的考え方、第2章のほうに推進計画策定に向けた基本的考え方ということでまとめております。最初にお話しいたしますけれども、今日お示しした意見具申案の中には、条例の名称についての記載は載せておりません。条例の名称につきましては、今回の部会で改めて皆様方のご意見をいただくため、そのいただいた意見を踏まえて反映させたいと考えておりますので、名称についてはあえて記載しておりませんので、その旨、ご了承いただきたいと思います。
それでは、めくっていただきまして、2ページのほうをごらんください。2ページから、まず第1章ということで、条例改正に向けた基本的な考え方をまとめております。2ページから5ページにかけては、第6期の推進協までの審議内容についてまとめております。5ページの上のほう、第6期での審議結果をもとに、第7期、今回の推進協で1から4に掲げたものを検討課題として審議していただいております。
その結果が5ページの2、ユニバーサルデザインの考え方を基本とした条例へ以降をまとめてございます。(1)としまして福祉のまちづくり条例の新たな基本理念ということで、6ページのほうをちょっとごらんいただきたいんですが、改正のポイントということで四角く囲った中に書いてありますけれども、これは専門部会での審議を踏まえて条例改正のポイントとしてまとめたものを載せております。基本的な理念といたしましては、初めからバリアを生み出さないように快適な環境をつくっていこうとするユニバーサルデザインの考え方を基本に、すべての人が安全、安心、快適に暮らし、訪れることができる社会を実現しようということと、それに対しては、都や区市町村、事業者及び都民の参加と協力及び自主的な取組を基本として、まちづくりを推進していくということを基本理念として挙げております。
それから、(2)としまして、福祉のまちづくり条例の新たな定義として7ページに改正のポイントとしてまとめておりますけれども、ユニバーサルデザインですとか、ユニバーサルデザインの考え方に立った福祉のまちづくりというのはどういうものか、すべての人とはどういうものか、という定義づけを明確にしております。
それから、(3)福祉のまちづくりの推進主体と総合的推進ということで、8ページのところに図2でイメージ図が載せてありますように、福祉のまちづくりの推進に向けては、都や区市町村、事業者、都民だけではなく、地域における活動主体であるNPO、自治会等も含めた、こういった主体が連携して行うことが重要だと位置づけております。
それから、9ページのところに3として、新たな福祉のまちづくり条例に基づく施策の推進ということで、(1)住宅の供給につきましては、初めからすべての人が自立可能な住宅を供給することが必要であるとしております。
それから、(2)の建築物、道路、公園、公共交通施設、路外駐車場の整備につきましては、次のページをちょっとごらんいただきたいんですが、○で文章が書いてありますけれども、その5個目です。こういったものにつきましては、施設整備における整備基準や整備項目などについて、バリアフリー新法ですとか建築物バリアフリー条例との整合性を図るということと同時に、届出義務を課している一定規模以上の特定施設については、現行の条例では努力義務となっておりますが、それを遵守義務として実効性をより一層高める必要があるということが、改正のポイントとなっております。
続きまして、12ページのほうをごらんいただきたいんですが、12ページの(3)、情報の共有として記載しておりますけれども、情報の共有につきましては、都はすべての人が円滑に利用できるように情報の共有・伝達の充実に必要な施策を推進するということと、それから事業者については、利用者のニーズ、施設及び設備の用途、サービス等に応じて必要となる情報をわかりやすく提供し、円滑に利用されるように努めると、この2つを改正のポイントとして挙げております。
それから、(4)教育及び学習の振興、それから、次のページ、13ページになりますけれども、(5)広報活動等の普及啓発、これらについても、必要性について述べております。
それから、中段の4番目、推進基盤の整備に向けてということで、現行の条例でも推進基盤として福祉のまちづくりの推進協議会ですとか、推進計画の策定について規定しておりますけれども、今後、ユニバーサルデザインの考え方に立った福祉のまちづくりを推進していくためにこういった推進基盤は重要であるということで、今後も引き続き進めていくことが必要であると明記しております。
推進計画の策定につきましては、次の14ページのところの改正のポイントの四角のところで囲っておりますけれども、計画の策定において、事業者及び都民の意見を聞き、施策の実施に当たって評価を行い、当該評価の結果を施策に反映するスパイラルアップの仕組みが重要であるということを位置づけております。
以上が、第1章の条例改正に向けた基本的考え方でございます。
15ページ以降に、第2章ということで、推進計画の策定に向けた基本的な考え方についてまとめております。(2)ところ、東京都における他の計画との関係ということで、今後策定する福祉のまちづくりの推進計画につきましては、福祉のまちづくりに関係する各施策の推進に向けて策定するそのほかの計画と相互に連携していく必要があるということを明記しております。それから、先ほども述べましたように、推進計画の策定時や計画期間中、それから計画終了後につきましては、スパイラルアップの仕組みを取り入れて、都民の意見を聞き、評価を行い、それを次の計画や施策の実施に反映させるというような仕組みづくりについても必要であるということで、考え方としてまとめております。
次の16ページ以降に、施策の体系として、特に17ページに図4ということで体系をまとめておりますけれども、こちらは、第6期の推進協議会でのまとめをもとに、福祉のまちづくりの取組というのはすごく範囲が広いんですけれども、こういった取組を体系づけて行っていくということでまとめてございます。
以上が、条例改正、それから推進計画の策定についての基本的な考え方ということで、意見具申案としてこれまでの専門部会での審議をもとにまとめたものでございます。
それから、資料1-2をごらんいただきたいのですが、かねてから専門部会でも議論するということになっておりました福祉のまちづくり条例の名称に関する意見ということでまとめております。2ページ、3ページのところに川内委員と窪田委員から頂いた審議項目に関する要望書を載せていますが、この内容については、1枚目の1番のところ、名称に対する意見のところにまとめております。
それでは、意見について説明します。川内委員、窪田委員からの名称に対する意見でございますが、これまでの福祉のまちづくりは、本来すべての人を対象にすべきまちづくりの中で、福祉的配慮が必要な人たちを特に対象としたものとして進められてきている。しかし、ユニバーサルデザインの考え方にさらなる発展を目指そうとするとき、福祉のまちづくりがそうした人を対象としているもののみの取組であると都民に受けとめられている。こういったアンケート結果もありますし、そういった現状があるため、本質的な部分での都民の理解、支援が進まないことが見えてくる。ということで、新しい条例については、例えば、「みんなのためのまちづくり条例」「私たちのまちづくり推進条例」、ユニバーサルデザインを用いた名称などに変更すべきだというようなご意見をいただいております。
それから、2番目、松本委員からのご意見でございます。今回の改正で、条例の内容が、ユニバーサルデザインを意識し、特別な人のための条例ではなく、「みんな」「誰でも」という考え方に基づいているので、今のままではやはり福祉という言葉が特定の人を示すと考える人が多いのかもしれない。都民にこの条例についてもっと知ってもらうよう、ハード整備だけでなく、ソフト面の部分が一人一人の意識の中に浸透していってもらえばいいということで、松本委員からは、「やさしいまちづくり条例」「快適なまちづくり条例」という名称ではどうかというご提案をいただいております。
それから、3番目、横矢委員からのご意見でございます。福祉のまちづくりという言葉は一般の方に通じにくく、説明しにくいという印象がある。小さい子のいる保護者や妊娠している人などが視野に入っていないように思われがちで、現状では関心を持ちにくいということで、「誰でも暮らしやすいユニバーサルデザインまちづくり条例」「とうきょうユニバーサルデザイン推進条例」という名称についてご提案をいただいております。
4番、仲島委員からは、福祉という言葉は、高齢者、身体障害者を対象とした、行政から一方的に与えるものといったイメージがある。条例の対象を広げることや、行政、事業者のみならず都民も積極的に参加する観点から、福祉から離れた名称にすべきであるということで、「やさしいまちづくり条例」についてご提案をいただいております。
最後に坂巻委員からですけれども、福祉の概念が狭義から広義(住宅や環境まで含めたQOLの向上)の福祉へ広がっている。一方、現実的にはいまだ多くのバリアがあるのも事実であり、その最大のバリアは「福祉のまちづくり条例が福祉的配慮を必要としている人たちのもの」という意識である。そして、その原因は、これまでの福祉のまちづくりが不十分であるからである。名称を変えるより、まずそういった不十分な点を変えていくことが役割なのではないかということで、名前については現状のままでよいという意見をいただいております。
以上が、条例の名称に関する意見についてでございます。
○ 野村部会長
ありがとうございました。
資料1-1、資料1-2、両方ご説明いただきましたが、初めに資料1-1についてご意見をいただきたいと思います。これにつきましては、皆さん方にお送りして手を入れていただいて、新たに整理し直したものということでとらえていただきたいと思います。
何か、全体を通して、どこでも結構ですが、ご意見があれば、おっしゃっていただきたいと思います。
大きな骨格は前から大体一定しておりますので、それはそれほど変わったことではないというふうに思いますが、それでは、一つ、高橋さんの意見は10ページでしたっけ?
○ 渡邉福祉保健局生活福祉部地域福祉推進課福祉のまちづくり係長
本日欠席しております高橋委員からのご意見ということで、総合的な施設整備の推進というようなものを掲げられないかということを踏まえまして、高橋委員からの意見をちょっと踏まえた文章としましては、5ページの(1)の福祉のまちづくり条例の新たな基本理念のところです。○が3つありまして、一番最後の文章だけ一番下にあるんですけれども、○の3つ目です。「高齢者や障害者を含めたすべての人の生活行為は連続的に行われるために、建築物、道路、公園、公共交通施設等の整備が総合的計画のもとに一体的に整備されていく必要がある。そのためには、地域に住む人、訪れる人など多様な主体が参加のもと、これらの施設の整備を推進していくことが必要である」ということを基本理念として掲げていくということと、あと11ページのところの○の2個目です。こちらの施設整備のことを言っておりまして、さらに、そういった個々の施設が整備基準に沿った整備をするだけではなく、多様な事業主体がいらっしゃいますので、そういった事業主体が連携して一体的に整備をしていく必要性について明確に位置づけていく必要があるということにつきまして、高橋委員からの意見を踏まえたものとなっております。
○ 野村部会長
私なりに考えますと、道路であるとか、交通機関は社会全体を広く見て整備をしていくわけですが、建築物の場合には1つ1つの整備ということが今までの条例の基本になっているんですね。ところが、1つ1つの建築物が整備されるだけではなくて、そのエリア全体の整備をしていくようなことがこれからもっと重要なのではないだろうかというお考えだろうというふうに思います。
例えば、東京のビッグサイトのあのエリアであるとか、横浜のみなとみらいのエリアとか、エリア全体を開発するときに、道路、交通施設、それから建築物、全体をうまくつなげて利用できるようにしようと、そういう考え方がこういう条例の中に入ってきたほうがいいのではないか。そういう趣旨だということでご理解いただきたいと思います。
ただ、11ページのところに、今お読みいただいた、「さらに、個々の施設について整備基準に沿った整備をするだけではなく、多様な事業主体が連携し合い」というのがありますけれども、面的な整備は、例えば横浜であったら、横浜市の企業局というところが全体のイニシアチブをとっていたわけですね。東京都も、事務局があって、その全体を仕切っている場合もあるんです。ですから、個々が独立している場合の面的整備と、ある一つの事業体が全部を面的に整備する場合と、両方ありますので、そうすると、この「多様な事業主体が連携し合い」という書き方は、一個人であっても面的である可能性があるわけですから、そのことも踏まえてちょっと変えていただけたらもっといいのになあというふうに思いました。そういう面的なことを入れるということについては、皆さんよろしいでしょうか。それはご賛同いただけますか。今までそういう議論が公にされておりませんでしたので、ここで改めて確認をしておきたいと思います。
ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
○ 坂巻委員
ちょっと質問なんですが、10ページのところに、「一定規模の特定施設について、現行の努力義務から遵守義務とし、実効性をより一層高める必要がある」、こういうくだりがあるんですが、遵守義務になったときには、ペナルティーというものが当然考えられるのかどうか、努力義務とどう違うのかということを、事務局にちょっと伺いたいと思うんですが。
○ 花本副参事(地域福祉担当)
努力義務から遵守義務になりましても、罰則等はございません。区市町村において届出を受ける際に指導を強化できるということです。指導、助言、それから勧告ということで、届出を行わずに工事に着手したときですとか、整備基準に照らして著しく不十分なときには勧告ができ、勧告に従わなかったときにはそれを公表することができます。今までの努力義務でも同じような仕組みにしていましたが、遵守義務になることによって、それをより強くできるという形にしております。
○ 坂巻委員
より強くということは、要するに、届出があったときに許可しないとか、これを直さなきゃ許可できませんと、こういうことですか。
○ 花本副参事(地域福祉担当)
罰則等の強力な措置はできませんが、整備基準を守るように指導・助言等がより強くできると考えております。
○ 坂巻委員
ペナルティーは、法的には科せられないんですね。
○ 渡邉福祉のまちづくり係長
今の努力義務におきましても、バリアフリー法とかの罰則とは違いまして、あくまで行政指導の範囲で指導・助言ですとか、あと勧告・公表という形になっております。今まで努力義務だったがゆえに、勧告ですとか、公表ですとか、そういったところがなかなか足りなかった。過去としても、勧告という実績が今まで1件だけございます。今回遵守義務にしていくことによって、あと運用面の中でこういったところを、どういった場合に勧告をしていくのか等、区市町村がそういった事務を行っていきますので、今回この改正にあわせて、遵守義務にすることによって実効性を確保していくための運用面の改定につきましても、現在、条例改正検討委員会の中の建築物作業部会の中で引き続き検討しているところです。ですので、基本としましては、従来どおりの行政指導の範囲でやっていくということで考えております。
○ 坂巻委員
なるほどね。ありがとうございました。
○ 野村部会長
お気持ちはよくわかりますが、あんまり厳しい罰則というのは、基本的には建築基準法によって、建てられるか、建てられないか、まず決まるわけですから、それと違った形で建築物を規制するのは法律全体的な解釈からいうと、とても難しいと思います。行政でも何とか法という法律があるんですね、行政同士でバッティングするような場合の考え方というのが。
ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
○ 今井委員
株式会社ユーディットの今井です。罰則という方向の考え方もあるんですけれども、むしろ、優良の企業、あるいは施設を褒めるという方向性で情報を公開するという方法は考えられませんでしょうか。ここはとてもよくできている施設ですとか、そういった広報で褒めるという方法はいかがでしょうか。それも正確にやろうとすると法律的に難しいと思うんですけれども、みんなのまちですので、市民の力とか、そういった力で何かバックアップしていくような力を起こせないかと思いました。
○ 花本副参事(地域福祉担当)
適合証の発行などによって、そういった取組を広く周知していきたいと考えております。
○ 野村部会長
よろしいでしょうか。
それでは、資料1-1についてはお認めいただいたと……。ごめんなさい。どうぞ。失礼しました。
○ 仲島委員
確かに、罰則規定というのは難しいと思います。ただ、建築基準法との連動といいますか、協議が済んでないと建築基準法上の確認が出ないとかという方法は、区の指導要綱とか、それは既にとっていると思うんですけど、そういう形はとれないんでしょうか。適合という形をもらってないと、建築確認は受理できないとかですね。
○ 野村部会長
行政の方でどなたかご存じの方おられませんか。専門のお立場でお答えいただいたほうが。
○ 上野都市整備局市街地建築部市街地企画課長
都市整備局の市街地企画課長の上野でございます。今ご指摘のあった点は、福祉のまちづくり条例とは別に、法律でバリアフリー新法というのがございます。この法律に基づく建築物バリアフリー条例というのがございます。こちらのバリアフリー新法と建築物バリアフリー条例は建築確認事務と連動しておりまして、このバリアフリー条例のほうで建築確認で縛りをかける形になっております。このバリアフリー新法という法律がある限り、これと重複するような規定を福祉のまちづくり条例では決められないこととなっておりますので、あくまでも福祉のまちづくり条例は行政指導の範囲内でしか対応できないと、そういう制約がございます。
○ 野村部会長
ということですが…。バリアフリー新法の対象になっている建築物はそうなんですが、対象になっていない建築物もあるわけで、そのときに、建築基準法に則って建築確認申請を出したときに、別の法律がだめだから、それはだめよということは言えないんですね、法律の解釈としては。違う法律を出して、その法律で認めないということは、多分、行政上はできないはずです。
どうぞ、市橋さん。
○ 市橋委員
1つは、今言われた適合のマークというのは、前々から僕らの努力で、2期目ぐらいのころから僕らが言って前回つくられたけれども、今言われて気づいたのは、わりあいに広まってないのです。というのは、この間、大阪でああいう事件があったから、消防法では、適合をつけるか、適合をつけないか、ホテルでぱっと見るような癖はついているんだけど、バリアフリーで見るかというか、僕らでも見ないようなところでやっていると、やっぱりそれをちょっと広めていく、条例で書くのが合うかどうかはわからないけど、そこを僕らの委員会でもっと広める必要があるみたいなことは、どこかで書いていただけないかなと思うんです。
それからもう1つは、前に意見を言っておけばよかったんですけど、きのう見たら、13ページから14ページで、いわゆる適合に合っているからいいけれども、スパイラルアップの問題です。僕らにとって、スパイラルアップというと、要するに大き過ぎちゃうような、要するに合っているか、合ってないか見ちゃうということなどですから、もっと現実的な見方をしなければならないと思うのです。例えばスーパーマーケットで車いすトイレができると、手すりが50センチオーバーして使えないとか、実際に話がよくあるのです。14ページの上のほうでは、「利用者の参加のもとで」と書いてあるんだけれど、みんながわかりいいように、利用者参加というところを改正のポイントにちょっと強く書いてもらえないかなと思うんですけれども。
○ 野村部会長
スパイラルアップというのは、15ページの一番下のところに「推進計画におけるスパイラルアップの仕組みづくり」というのが書いてあります。ここでとても重要なことは、計画期間終了後に都民の意見を聞き、評価を行うと。今後、評価は具体的にどうするのというのはまだ具体的に決めてないので、この推進協議会の次の段階でどうやって評価をするかということを集中的にやってみようではないかということを、個人的には思っています。今のことを踏まえて、反映できるような書き方をしていただけたらというふうに思います。実際にあちこちで評価、評価というけれども、だれがどうやって評価をするかということは、決められてないんですね。高齢者、障害がある人たち、みんなが評価できるような技術を持たなくちゃいけないし、見方を勉強しなきゃいけないんですけど、そういうことも含めて評価の仕方を考えていきたいなと…。
○ 市橋委員
評価はどうでもいいが、利用できりゃいいってみんなに言われて、なるほどなと思ったわけです。
○ 野村部会長
利用できないということも実は評価の一つですから。
越智さん、どうぞ。
○ 越智委員
越智です。今の話に絡んでのことですが、今井さんがおっしゃるように、何といいますか、やはりご褒美も必要じゃないかと思います。例えば、賞をつくって、それを出すという方法もあるかと思います。先ほどの適合マークの問題では、もう少し整備する必要があるかと思います。何年か前に適合マークがあるところの視察に行ったことがあるんですが、例えば、エスカレーターはあるけれども、入る場所が急過ぎて車いすが使えなかったり、また、トイレのマークが探しても見つからなかったりとか、そういった問題があります。ですから、条件に合っていればオーケーではなくて、実用性のある条件といいますか、そのように整備をする必要があるのではないかと思います。
また、その話とは別に、この内容はよくまとまっていて、特に修正の意見はございませんが、幾つか今後の課題に関して意見を申し上げたいと思います。
1つは、12ページの情報の共有のところです。今回は、情報の件に関してさまざま載っていまして、大変いいと思います。以前、会議で意見を申し上げました緊急の場合の情報の問題に関しては、これはまた別の場での検討かと思いますので今回は特に意見は申し上げませんが、緊急の場合のための整備というのは、そのためにだけ備えておくだけではなくて、常時使っているものを緊急の場合も応用できるという考え方も必要じゃないかと思います。情報保障のための文字掲示板に関しても、緊急の場合のためだけではなく、日ごろは施設の受付などで使っていて、緊急の場合にもすぐそれを使えるようにするとか、そういったいつも使っているものを緊急の場合にも対応するという、そういうふうな考え方を持つべきではないかと思いまして、今後の課題として考えていただければと思います。
もう1つは、次の教育の問題ですが、やはり、社会といいますか、人々の意識の改革が必要じゃないかと思っています。実は、今、羽田空港のユニバーサルデザインの検討委員会を行っておりまして、先日、実際に羽田空港に行って状況の調査をいたしました。そこでびっくりしたのは、駐車場に、障害者用の駐車場といいますか、その場所がたくさんありまして、それはいいんですが、そこに障害者に関係ない車がいっぱいとまっているんですね。職員に聞いてみましたら、そういうことがたくさんあって困っているというふうなお話でした。それで、仕方なく予約制にしたというふうな話がありました。そういった規則を守らない状況はやっぱり変えていかなければいけないと思いますので、ですから、教育といいますか、都民の理解というのはこれからまた考えていかなきゃいけないのではないかと思います。
また、職員の対応もまちまちですよね。例えば駅員の対応も、理解ある人もいれば、理解のない人もいます。人によってまちまちです。ですから、対応できるようになっていただいて、そのためには、研修とか、きちっとすべての職員が理解を持てるような取組が必要ではないかと思います。それもまた今後の課題として考えていただければと思います。以上です。
○ 野村部会長
ありがとうございました。今幾つかのご意見が出ましたけれども、1つは褒めるというお話ですね。実は、東京都でも福祉のまちづくりに関するいろんな活動を表彰しようということをおやりになっておられます。そういうところでぜひ建築物も何か出せるような、そういうような仕組みづくりをちょっとお考えになれば、建築物単体で出てくるかもしれません。
甚だ手前みそですが、実は内閣府のほうにバリアフリー化推進功労者表彰会議がありまして、そこには3つの部門があるんです。1つは建築物、2つ目は製品開発、3つ目は活動。全国各地からよい事例をどんどん出してもらっています。そういうように区分があると、自分は活動で出そう、自分は建築物で出そうということがもっとやりやすくなるのではないかなということをお話を聞いて気がつきました。
いずれにしろ、褒めていくということはとても大事なことだと思います。
それから、越智さんの情報の問題、12ページに書いてあること、これは前からもいろいろと整理に苦労されました。これは一つの例示ということですが、具体的なことは推進計画に移して検討をしていく。ですから、越智さんが今おっしゃられたようなことは、推進計画の中で、日ごろの生活の中で使えるようなものをできるだけ使えるような形で設置をするなり、あるいは利用できるような方策を考えていく。これも推進計画の中で考えられることが幾らもあるように、私は思いました。
それから、教育の問題も今度の推進計画で入れられるかもしれないというふうに、私は思いました。
○ 花本副参事(地域福祉担当)
今のご意見に対してですが、福祉のまちづくりの功労賞というものがございまして、施設整備ですとか、製品開発、それから普及啓発に関して、表彰する制度があります。今いただいたご意見をふまえ、建築物にまで広げられるか等、今後考えていきたいと思います。
それから、先ほどお話がありました、施設整備はきちんとされていても、そこに行くまでの、例えば入り口がどこにあるかわからなかったりとかというようなことに関しましては、9ページの新たな福祉のまちづくり条例に基づく施策の推進の○の2番目にも書いておりますけれども、整備基準を満たしていても、例えば、だれでもトイレの場所がわからないとか、そういった利用しづらい施設があるということで、利用者のアクセスも踏まえた整備が必要、面的な整備が必要だということにつきましては十分認識しております。その点については、新しく条例を改正することによって、さらに進めていきたいと考えております。以上です。
○ 野村部会長
川内さん。
○ 川内委員
東洋大学の川内です。14ページ、15ページの評価とかスパイラルアップについてですけれども、ここに書いてあるのは、推進計画についての評価とかスパイラルアップのことが書いてあるんですね。これから申し上げることは、この推進計画の中に入れるべきなのかどうか、あるいはほかのところで何とかするのか、よくわからないんですが、個別事業のスパイラルアップというのが必要なのではないかと思っています。それは、例えば東京都が主体となってやる事業とか、そういうふうなものについては、きちんと個別の事業に対してどうだったかというのを評価する。そういう経験を積み上げて初めて、推進計画とか何とかのところで今までのがよかったとかどうとかっていうのが見えてくるように思うんですね。ですから、そのあたり、例えば個別の事業に対するスパイラルアップを行うことができるとか、何かそういうふうな記述になるかもしれませんが、個別計画についての言及が少し欲しいなという気はしています。以上です。
○ 野村部会長
実は、私はそういうつもりで言ったつもりで、ちょっと見る場所を間違えて恐縮です。
○ 花本副参事(地域福祉担当)
今の意見ですけれども、それにつきましては、推進計画策定の検討委員会が庁内にございまして、その中で個別の事業についての、どういうものを載せるかというものも含めて、その検証の仕方についても今後検討していく予定になっております。文章としても、それを踏まえて、入れるものは入れていきたいと考えています。
○ 野村部会長
今井さん、どうぞ。
○ 今井委員
評価の計画が個別、あるいは全体的にあるということで、そうした評価結果を公開するようにすれば、適合性マークに匹敵するような効果というのが見込めるんじゃないかと思います。積極的にそれを飲食店の情報を流している業者さんですとか、観光の情報を流している、アクセス数の大きなサイトで利用していただけると、それを参考にしてお店のお客さんがふえるといった効果が期待されますので、そうした褒め方というのも考えられると思います。
○ 野村部会長
どうぞ。
○ 渡邉福祉のまちづくり係長
建物の整備基準に適合している建物を褒めていくということで、現在でも福祉のまちづくりのホームページのほうで、適合証を交付した施設については、その事業主さんのほうにご了解をいただいて公開はしております。ただ、福祉のまちづくりという範囲の中で公開しておりますので、今後、その普及の仕方ということも、もっと広められるようなことは、検討していきたいと思います。
○ 野村部会長
それでは、ちょっと時間の経過もありますので、資料1-1は、おおむねこれをご了解いただいたということにさせていただきたいと思います。
続いて、資料1-2について、お諮りしたいと思います。条例の名称に関する意見ということで、先ほど事務局からご説明をいただきましたが、きょうご出席になられている方、ちょっと補足意見があれば、していただけたらと思います。川内さんから。
○ 川内委員
東洋大学の川内です。資料1-2の一番最初に私どもの意見に対する要約が書いてありまして、それから、後ろの2ページに要望書の原文をつけていただきました。ちょっと要約のほうで気になるのは、1行目から「本来すべての人を対象にすべきまちづくりの中で、福祉的配慮が必要な人たちを特に対象とした」というふうに書いてありますが、私たちの要望書には「福祉的配慮」という言葉は入れてないんですね。福祉的配慮という言葉にはものすごく抵抗がありまして、建物の中に入れない方々を入れるようにするということを福祉的配慮とか、あるいはやさしいというふうに呼ぶということ自体が、何か物事を感情的なほうに誘導してしまう。ただ単に物理的に整備するだけの、それだけをさくっと言えるような形のほうがいいのではないかという気持ちがしています。こういう配慮を福祉的と呼ばなければならなかったというところに基本的な問題があるんだろうというふうに感じています。あとは、私どもの意見をお読みいただければ結構だろうというふうに思います。以上です。
○ 野村部会長
ありがとうございました。
横矢さん、いかがでしょうか。
○ 横矢委員
子どもの危険回避研究所の横矢でございます。ここに書いていただいたの、直していただいたのかもしれませんが、もともとは、「誰でも暮らしやすい」じゃなくて「誰もが暮らしやすい」と書いてお送りしたんですが、先ほどの資料1-1の17ページにありました6期のまとめの部分で左側に縦長に入っている「すべての人が、安全、安心、快適に暮らし、訪れることができるまちづくり」、これを言いたいんですけれども、何とか短く言えないかなというふうに工夫したのが「誰もが暮らしやすいまちづくり条例」。
ユニバーサルデザインという言葉も、まだ一般の方は「聞いたことあるけど、何だっけ?」というふうにおっしゃるので、ここでばんと入れてしまって、UDと書いちゃっても、文字だったらいいのかなと思って、逆に、「UDって何?」というところでユニバーサルデザインってこういうものだよって一緒に広めていけるといいなという、何かそんな気持ちを入れて考えました。
あと、ほかの地域でやっていらっしゃるので、ユニバーサルデザインって何とか長く入れることができるとすれば、「とうきょう」が平仮名で「とうきょうトイレ」とかと合わせたイメージにして、「とうきょうユニバーサルデザイン推進条例」と言ったほうが、やっていることがわかりやすいかなというふうに思った結果です。以上です。
○ 野村部会長
ありがとうございました。
それでは、坂巻さん、どうぞ。
○ 坂巻委員
名称を変えたほうがいいという意見もよくわかるんですけれども、私は、まだ早い、時期尚早といいましょうか。要するに現実に、みんなのまちづくりと言っちゃうと、みんなの多くは、今、ほとんどバリアを感じないままに過ごしている方が大部分だろうと思うんですね。そうすると、現実にまださまざまなバリアがある以上は、やはり障害を持った方とかお年寄りという方たちをまず当事者として前面に出して、そのバリアを壊していくという段階ではないだろうか。やはりちょっと早過ぎるような気がするというのが第1点です。
それからもう1つは、福祉のまちづくりというのは、長い歴史があります。名称をここで変えると、過去の積み上げというものを無にしてしまう。よく銀行が不祥事を起こすと、合併して名前を変えて知らん顔をする。そんな感じもあるので、名称を変えるときには、やはりそれなりに納得できるようなものとか、過去の積み重ねをきちっと踏まえての議論ということで、私は福祉のまちづくりを残していいんじゃないだろうかと。福祉の概念というのは、川内さんも書いておられるように、広く一般の人たちのQOLの向上とか、今、非常に幅が広くなってきている。必ずしも福祉というものが障害者やお年寄りのためのものだという意識は都民の多くは持ってないんじゃないかなという気もしますので、私は現状の福祉のまちづくりでいいのではないかなという気がいたします。以上です。
○ 野村部会長
お三方のご意見を聞きましたが、きょうこの場で改めてご意見をおっしゃりたい方。どうぞ、仲島さん。
○ 仲島委員
仲島でございます。4番に書いてありますが……。
○ 野村部会長
失礼しました。
○ 仲島委員
いいえ。この中で私が書いたものが抜けてしまったんですが、私が一番言いたかったのは、私も最近まで建築設計事務所をやっておりまして、こういう法律とか条例が変わったりすると、なかなか中身をひもといて読まないんですね。初めてその情報にぶつかって、ああこうかと思うぐあいが多いものですから。今回、この法の精神みたいなのが大きく変わっていますので、みんなに改めて理解してもらうという意味では、名前はどうするかはともかくにして、大きくこの法の精神が変わったということを理解してもらう意味では、名前を変える必要があるんじゃないか。先ほどの坂巻委員とは逆の意見なんですが、中身が変わったというアピールをするためにも必要なんじゃないかと、僕は思っております。
○ 野村部会長
ありがとうございました。どうも失礼しました。
ほかに、本日ご発言をされたい方はおられますか。どうぞ、岩田さん。
○ 岩田委員
岩田です。私は、坂巻先生の意見に賛成します。というのは、2つ理由があります。1つは、坂巻先生がおっしゃったように、福祉のまちづくり条例というのは東京都だけではなくて、今回、福祉のまちづくりの感謝状の推薦状況の活動内容などを送っていただいたので、それに目を通した際にも、やはり皆さんが福祉のまちづくり条例というのをあちこちに使っていらっしゃる。ということは、市区町村に福祉のまちづくり条例というのが、私は、浸透し切ったとは思えていなくて、しつつあるというふうに思っていますので、今ここで名称を変えてしまうと混乱が生じるのではないか。また、それぞれ皆さんお住まいの市区町村で福祉のまちづくり推進委員会とか、そういうのがあると思うんですけど、そういうのにも影響を与えていくのを考えると、まだ早いんじゃないかなというのが、1つ意見です。
それから、2つ目の理由としては、福祉という言葉に大変アレルギー反応があるように思うんですが、こういう考え方はどうかなというふうに思ったんですね。福祉というと、直接にイメージするのは障害者ですね。障害者というと、知的障害、精神障害、身体障害、いろいろありますけれども、障害者の人たちに標準を合わせるということは、一番弱い部分に標準を合わせているんだと思うんですね。うちも子どもが障害児ですから、もう20年の障害児の母なんですけれども、障害者というのは長い期間、長いスパンで障害を持っているわけで、いろんなことで困っているわけです。ですから、いろんなことに詳しいと思うんですね。ここをこうしてくれ、ここをああしてくれ。だから、その障害者というか、その福祉という部分に、例えば、妊婦さんですとか、スキーで骨折して今車いすに乗っているという方も、その中に一時的に含まれてくると思うんですね。ですから、福祉という言葉を包括的に考えていけば、福祉のまちづくりというのは、別に障害者だけではなくて、一時的に障害者になる人のためにも、この言葉というのは残していいと思います。この2つの理由です。
○ 野村部会長
ありがとうございました。ほかに、ご意見ありませんでしょうか。
特にないようでしたら、このペーパーを見て私の感じたことを申し上げたいと思います。
今、具体的に名称が幾つか並んでおりますけれども、個別で恐縮ですが、「みんなの」とか、「私たちの」だとか、「やさしい」とか、「快適な」とか、「誰でも暮らしやすい」とか、こういう名前は、焦点があまり見えなくて、ほかにもたくさん条例があるわけですが、ほかの条例と並べてみたときに、この名前がほんとうにその中身がわかるような内容になるんだろうかということは、一つ心配をいたします。そういう意味から言うと、使えるならば、ユニバーサルデザインという言葉を思い切って使うか、あるいは福祉という名前を残しておくか、どちらかだろうなあという感じがいたしました。私個人の意見ですよ。
それで、もしユニバーサルデザインという言葉を使うと、これは現在の時流には大変ぴったり合っていると思います。合っているけれども、その考え方がまた変わるかもしれない。昔は、バリアフリーと言ったら、バリアフリーで全部言っていましたよね。それがユニバーサルになったら、ユニバーサルという言葉はまた変わるかもしれない。わからないですね。それから、ユニバーサルデザインというのは主にアメリカから発信されてきた言葉でありまして、ヨーロッパではまた違う言葉、これは川内さんもお書きになっていますけれども、Design for All、Design for Allがみんなのためのまちづくりというふうに訳されているわけですけれども、Design for Allと言うとデザインという言葉で何となく意味がわかるんですが、みんなのためのまちづくりと言うと、またそこから焦点がちょっとぼけてしまうのではないか。こういうふうに思いました。
それから、ユニバーサルデザインというのは、さっきの話に続けますと、外国では、Desaign for Allであるとか、あるいは、accessibilityだとか、accessible designであるとか、inclusion、integrationだとか、いろいろな言葉が使われています。だから、国によってその言葉の持つ意味が少しずつ変わってくる。そういうときにユニバーサルデザインという言葉を日本でほんとうに使っていいかどうか、これは条例名称にするときにきちんと考えなくちゃいけない。
それから、我々はこういう議論をしていますからユニバーサルデザインはぴったり合うんですが、ユニバーサルデザインという言葉は、建築だけの言葉ではありません。あらゆる商品のことに対して、これは使われている。そういうときに、ここで使っていいかどうか。そういうことも判断しながら使ってほしいと思います。そういう意味で、時代に合っているけれども、使うときは、それはそれなりに相当慎重にしなければいけない。
それからもう一つ、名称を変えるからには、この条例の中身が変わっていなければいけない。もちろん変わっているけれども、厳しい言い方だけど、この程度の変わりで名称を変えるだけのインパクトがあるかどうか。だから、名称を変えるって、とても大事ですよね。そういう意味で、福祉という言葉は、実は今大事なことは、非常に狭い意味でとられてしまう。だからだめなんだという議論、これも当然あるわけで、一つは、公共の福祉という概念が入っているということをもっと広く世間に知らしめていく努力を、使う以上はしなければいけない。それをしない形で福祉のまちづくりと言うと、それは福祉局がやっているからでしょうと、今は名称変わりましたけれども、そういう見方を世の中はする。だから、高齢者、障害者でしょうという見方をされてしまうので、そこにやっぱりこの問題があるんだろうと思います。
それからもう一つ、福祉という名称は永遠の課題なんですよ。昔からあるし、これからも絶対になくならない言葉で、すべての市民の幸せという公共の福祉はずっとつながっていくわけですから、そういうようなことを総合的に考えて判断をしていくべきではないかというふうに思いました。
と私が言った上で、皆さんのご意見を聞きたい。
○ 川内委員
東洋大学の川内です。基本的に、今、野村先生がおっしゃったことは、そうだろうと思います。私たちの提案文でも、ここの要約では、一番最後、「ユニバーサルデザインを条例の名称に用いることも考えられる」というふうに要約されているんですが、これも実は私どもは書いていませんで、ユニバーサルデザインという名前を使うということについて、実は少し抵抗があるんですね。それは、先ほど野村先生がおっしゃったように用語が変わっていくので、条例というのは随分長く続くものですから、今、ユニバーサルデザインという言葉をここに入れていいものかどうかということについては、多少のちゅうちょがあります。ですから、そこはあんまり強く書いてないわけです。
ただ、私はずっと昔から福祉のまちづくりというものについて疑問を呈していて、そのあたりを野村先生なんかはよくご存じなんですが、ほかの皆様にお伝えしたいのは、例えば、障害のある方々がまちに出ていきたいというのは、それはこの世の中でほかの人と同じように生きていく権利だというふうに思って、まちの中に出ていきたいと思っているんですね。ところが、それを福祉というふうに言われてしまうと、そこで旧来の福祉にある恩恵的なものになっていくわけです。ですから、例えば建物に入れるかどうかというのは、いまだに日本の法律では、ハードは、スロープをつくろうということは書いてあるけれど、その建物の中に障害のある人が入れるということは保障されてないんですね。典型的なのが鉄道なんかで、今、ある種の車いすを使う方は東海道新幹線に乗れないという状況で、あからさまに拒否されている。障害のある方を拒否してはならないというふうなことは、法律の中にはどこにも書いてないんですね。バリアフリー新法なんかという法律があっても、そういうことは書いてない。ただ単に、車いす用スペースをつくりましょうとか、スロープをつくりましょうで、それを使わせてあげましょうということは書いてないわけです。そういうふうに、福祉という言葉があったために権利ということがなかなか確立されてきていないというふうに、私は思っています。もちろん福祉というものも権利なんですけれども、それがここにあるやさしさとか何とかというふうなことにすぐつながっていく。つまり、心やさしさ、思いやりが福祉だということが世の中に浸透している。ですから、障害のある方の社会参加を語るときに、必ず、心やさしさ、思いやりが出てくるんですね。そこからちょっと切り離したい。福祉という呪縛から逃れないと、本来社会参加ができなかった人たちが社会参加するというのを平等の観点で考えなくちゃいけないというところが出てこないだろうというふうに長年思っていまして、それで今回思い切って提案させていただいたわけです。
ですから、名称についてはこれから議論をすればいいけれど、今の福祉のまちづくり条例に対する名称についてはとにかく疑問だと。何かこれから新しい方向を考えるべきではないかというところまで、今回ここですぐに名称がきちんと決まるとは思っていませんし、これからの議論につなげるところがあるといいんじゃないかなとは思っています。以上です。
○ 野村部会長
ありがとうございます。
ほかに何か。どうぞ。
○ 増田委員
私は、野村先生の先ほどのお話に、ほんとうに賛同いたしました。福祉のまちづくりって特別じゃなく、私たちは高齢者でございますけれども、素直な気持ちで福祉ということをとっております。ですから、高齢者だから特別こうで、障害者だからこうだという気持ちは、全然ありません。それが証拠に、先ほど鉄道の話が出ましたけど、我々高齢者になりますと、どこにエレベーターがある、どこにエスカレーターがあると、皆さんよく調べていらして感心するんですけど、ぴしっとそういうふうにしておりますし、それと、やはり横文字に高齢者は弱いですから、ユニバーサルと言うと、「えっ、何?」ということになると思うんです。ですから、そういう意味からいっても、やはり時期がまだ早いんじゃないかな。福祉のまちづくりって、我々の区のほうでもそれで今検討しておりますので、そのままのほうが何か素直に聞けるんじゃないかなという感じがいたしました。
○ 野村部会長
ありがとうございました。いかがでしょうか。どうぞ。
○ 田中委員
難しい問題だと思いますけれども、特に知的障害者の場合、親の会運動で50年続けてきていますが、やはり心のバリアをどう取り除いたらいいかというところが一番悩みでございます。多分、福祉のまちづくり条例はこれまで、どちらかというとハードの部分での改善といいますか、そこには十分手がつけられているんだろうと思いますけれども、ソフトの部分でなかなか、まちに出ても理解されない部分、特に、病院に行ったり、いろんなところでその看護師さんにもわかりにくかったりする部分があって、この心のバリアをどう取り除いたらいいかというのが、一番の課題であるというふうに思っております。
そこで、この名称を変えるということで、いきなりそういう形で変えて、ほんとうにわかるんだろうかというようなこともあります。ただ、方向性としては、すべての人がいろんな障害特性を含めて社会に参加できる権利をも含めた仕組みができるような取組が必要だろうと思いますが、差し当たって、やさしいとかいう部分、あるいはユニバーサルとかいう言葉で網羅できるのかどうかというところは、まだ判断がつかない状況なのかなというふうにも思っております。
○ 野村部会長
ありがとうございます。いかがでしょうか。
それでは、一つ私からの提案です。実は、「はじめに」というところに権利の問題を書いてくださいと私はお願いをして、書き込んであります。一番最初の「はじめに」の「しかし」の段落ですか。「しかし」の2行目、バリアフリー新法の施行、また、「障害者の権利に関する条約」の批准に向けた――この条約はどこから出ているかというのをちゃんと書いてないので、国連ということを一応書いてほしいんですけれども、こういう批准に向けてやっているということで一応権利が書いてあるんですが、これではまだちょっと弱いですね。ここをもう少し膨らませる。例えば、障害者基本法の第3条の第3項に障害を理由にして差別してはいけないというのが出ましたね、平成16年の改正で。そういうことも含めて、これからはそういう差別をしてはいけないんだと。それからもう1つは、その権利という考え方がこれからますます強くなるということをもっと表に出す。それが第1点。第2点目は、福祉というのは、狭い意味の福祉ではなくて、公共の福祉という言葉をここでは使っているということをもっとわかりやすくどこかに書き込んでいくということをまずしていただいて、その上で、具体的に条例をどうするかということは、東京都の中でほかの条例のネーミングも比較しながらひとつお考えいただくということでいかがでしょうか。
どうぞ。
○ 市橋委員
もう1つ言えば、岩田委員や坂巻委員が意見を言ったんですけど、僕なんか特に使うのは、駅にエレベーターができたとき、最近、日曜日に駅に行くと、ベビーカーの家族連れがほんとうに気軽に乗るわけですよね、僕が子育てしていた20年前というのは、ほんとうにこんな体でも子どもを両手に抱えて階段を上ったという、そういう経験からすると、すごく世の中が変わった。僕は、ベビーカーを押すか、お母さんやお父さんが福祉なんだということをきちっと考えるばかりじゃなくて、そういう福祉なんだと意識の中で感じていってもらいたいなと、僕は思います。だから、僕はそういう意味では、子どもの福祉だけじゃなくて、福祉の中に自分らも入っているんだということが重要じゃないかなと思います。そういう意味では、野村部会長が言ったように、権利というのもそうじゃなくて、親の権利とか、子どもの権利とか、障害者の権利条約だけじゃなくて、すべての人間に権利があるんだみたいなことも前文に入れていただければありがたいなと思います。
○ 野村部会長
ありがとうございました。今の市橋さんのご発言も踏まえて、それから、私が最後にこういうことを書いてほしいということも踏まえて、そこの部分については、皆さん方に、こういうふうに変えたいということで最終的に変わった部分がわかるような形にしてお諮りをして、そして、東京都ではネーミングをこういう考え方でこうしましたというペーパーをつけて、次回の会議用の資料にしていただきたいと。
ということでよろしいでしょうか。今の市橋さんのお話に一言余計なことを言いますと、京都の駅ビルがありますね。あそこに伊勢丹がありまして、エレベーターが四、五台ずらっと並んでいるんですが、一番端は、ベビーカー、車いす優先なんです。床に書いてあるんです。そういう意味では非常におもしろいのが出てまいりました。
どうぞ。
○ 横矢委員
先ほど、ちょっと勘違いされているかなと思ったところがあるので言っておきたいんですが、ここの要約がきつくなっている、言ったことがきつくまとめられていると思うんですけれども、福祉という言葉の意味を狭義にとらえているわけではなく、気持ちはわかるんですが、周りの方にもっと関心を持っていただきたいと思うんですね。わかっていらっしゃる方はよくわかっていらっしゃるけれども、もっともっと広げていかなきゃいけないというときに、今の感じだと興味を持ってもらいにくい。なので、さっきの資料1-1の13ページのところで広報活動等の普及啓発ということが課題に挙がっていますけれども、ここの部分をどうしていくかということで大分改善されていくんじゃないかなということを言っておきたいと思います。
○ 野村部会長
ありがとうございました。要約をすると、どうしても文章はきつくなりますので。
○ 川内委員
川内です。今、野村先生がおまとめいただいたというので特に私は反対しませんけれども、先ほど申し上げように、せっかく整備したものでも、きちんと利用できるかどうかというのが、今は約束されてないんですね。そこのところをしっかりと書かないと、権利実現にはならないだろうというふうに思っています。条例の頭の部分には、都の責務とか、事業者の責務とか、都民の責務とかいうのがあります。この責務という言葉がどうなのかという議論は、以前、坂巻委員のほうから提起されて議論がありましたけれども、その用語はともかくとして、ここのところはもうちょっとはっきりと書くべきだろうと思います。つまり、整備した以上はきちんと使うというところまでを約束すべきだろうというふうに思っています。そうしないと、推進に努めるとか、そういうふうなことだと、いろいろな利用の現場では、「おそれいりますが、お帰りください」ということが実際に起きているんですね。ですから、それはだめだよということをきちんとこのあたりで、もし権利ということを強調するのであれば、はっきりと言うべきだろうというふうに思います。以上です。
○ 野村部会長
ありがとうございました。ちょっと時間が押しておりますので、次の議題に移りたいと思います。
お手元にございます資料2-1になりまして、整備基準(案)についてということであります。こんなたくさんの資料をこの短い時間ではとても全部お話はできませんので、またお持ち帰りいただいてご検討いただくという部分もあろうかと思いますが、まずは事務局からご説明をいただきたいと思います。
○ 花本副参事(地域福祉担当)
整備基準(案)につきましては、今回初めてご審議をしていただくことになります。庁内組織であります東京都福祉のまちづくり条例等改正検討委員会というのがありまして、そこで検討のための作業部会を設置して、検討してきております。今回の条例の改正にあわせまして、整備基準も、バリアフリー新法、あと建築物バリアフリー条例との整合性を図ることを前提に、新たな基準について検討をしてまいりました。事前に委員の皆様には資料として送付しておりますけれども、きょうは各作業部会の会長が来ておりますので、大まかな内容について説明させていただきたいと思います。
○ 野村部会長
それでは、建築部会からお願いいたします。
○ 上野市街地企画課長
市街地企画課長の上野でございます。私のほうから、整備基準の改正(案)のうち、建築物についての概要につきまして、ご説明いたします。
資料2-1の2ページにその方向性のあらましをお示ししております。条例規則の改正の方向性の1点目、条例対象施設についてでございます。条例の対象施設につきましては、現行の福祉のまちづくり条例施行規則別表第2の建築物のところの一般都市施設として定めております。この対象施設につきましては、改正後も変更はございません。ただし、対象施設の分類の仕方につきましては、バリアフリー新法及び建築物バリアフリー条例と異なったところがございますので、これにつきましては整合性を図っております。
条例規則の改正の方向性の2点目は、届出対象規模についてでございます。現行の福祉のまちづくり条例施行規則別表第2の建築物のところの特定施設として定めております規模・対象の施設が条例の届出対象となっております。一般都市施設のうち、一定規模以上の施設につきまして届出を求めております。今回、3つの種類の施設につきまして届出の対象となる規模を引き下げまして、一層のバリアフリー化を進めていきます。1つ目といたしまして、事務所、工場につきましては、就労スペースのバリアフリー化を進めるため、現在3,000平方メートル以上を届出対象としておりますけれども、これを2,000平方メートル以上に引き下げます。2つ目といたしまして、物品販売業を営む店舗、飲食店、サービス店舗等、小規模建築物につきましては、小規模建築物のバリアフリー化を進めるため、現行200平方メートル以上となっておりますものを、すべての施設に引き下げます。また、3つ目といたしまして、共同住宅につきましては、住宅のバリアフリー化を進めるため、現在5,000平方メートル以上が対象となっておりますものを、2,000平方メートル以上に引き下げます。
次に、条例規則の改正の方向性の3点目といたしまして、整備基準についてでございます。現行の福祉のまちづくり条例施行規則別表第3に建築物に関する整備基準として、整備基準を定めております。改正後の整備基準の考え方は2つございます。1つは、整備基準を2種類設定いたしまして、全体として整備基準の底上げを図ってまいります。2種類として、1つは、これは仮称でございますけれども、整備基準A。これと整備基準B、この2つの整備基準を設定することといたします。また、基準の考え方の2つ目といたしまして、物品販売業を営む店舗、飲食店など、特定の用途につきましては、特に200平方メートル未満の施設を対象としまして、小規模建築物基準を設定します。これによりまして、小規模建築物のバリアフリー化を図ってまいります。
整備基準Aと整備基準Bの違いにつきましては、3ページの下の表をご参照いただきたいと思います。整備基準Aにつきましては、現行の福祉のまちづくり整備基準がございますけれども、これに現在のバリアフリー法・バリアフリー条例の基準のほうが厳しくなっている内容などを追加いたしまして、新たに整備基準Aといたします。現在の福祉のまちづくり整備基準を強化した形の整備基準でございまして、これにつきましては従来どおり努力義務を課します。これにつきましては届出義務は課しませんけれども、この整備基準Aに適合している場合には適合証を交付することでこの基準の普及を図ってまいります。
整備基準Aとは別に、整備基準Bを新たに創設いたします。整備基準Bにつきましては、現行のバリアフリー新法及び建築物バリアフリー条例の内容をそのまま位置づけます。さらに、客席・観覧席など、福祉のまちづくり条例のほうに設けている項目につきまして、この整備基準Bのほうに位置づけをいたします。また、200平方メートル未満の特定の施設を対象といたしまして小規模建築物基準を設けますが、これを整備基準Bといたしまして位置づけます。この整備基準Bにつきましては、従来の努力義務ではなくて、遵守義務といたします。さらに届出義務を課しまして、これまでよりも行政指導を強化することで実効性を高めてまいりたいと思います。
その他規則で定める事項といたしまして、増築等の扱い、届出対象となる床面積の考え方、これにつきましては、福祉のまちづくり条例とバリアフリー条例の運用上の扱いを同じにいたしまして、整備基準のすり合わせとあわせまして、従来、福祉のまちづくり条例、バリアフリー条例、2つの条例があることによる運用上のわかりにくさを改善してまいります。
私からの説明は、以上でございます。
○ 野村部会長
いろいろとご質問があろうかと思いますが、1つ1つ質問を受けておりますと最後のほうの説明ができなくなってしまうおそれがありますので、ご質問の点があれば、ちょっと控えておいてください。説明だけ、次々お話を聞きたいと思います。
続いて、道路作業部会の方、お願いしたいんですが。
○ 相場建設局道路管理部安全施設課長
それでは、道路作業部会のほうから説明させていただきます。建設局安全施設課長の相場と申します。
お手元の資料の21ページになります。道路編のほうでございます。ちなみに、施設整備マニュアルにつきましては、112ページからとなっております。あわせてごらんいただければと思います。
最初に口頭で、今議論している内容について、5点ご説明させていただきます。道路作業部会にかかわるものといたしましては、道路の移動等円滑化整備ガイドラインが出されておりますので、これに準拠して主に5点ほど議論しておりますけれども、1点目は、平成13年に視覚障害者用の誘導用ブロック、いわゆる点字ブロックの突起や形状や寸法や配列についてJIS規定が設けられましたので、これを取り入れることを検討してございます。
2点目といたしまして、平成15年に交通バリアフリーにかかわるガイドラインが発行され、横断歩道部に接続する歩道と車道の境界の段差は2センチが標準となっておりますが、視覚障害者や車いす使用者の双方の方々がより使用しやすい段差になるように歩道と車道の境界のブロックを検討することが望ましいとされておりますので、この点、どのように取り入れるかを議論してございます。
3点目といたしまして、平成17年には歩道の一般的構造に関する基準が国土交通省より出されております。マウントアップ形式の歩道に比べて、歩道と車道面の高さが小さく、勾配改善を図りやすいセミフラット形式の歩道を今後の歩道整備の基本とするようにいたしております。
4点目、昨年5月、警察庁のほうで道路を横断する視覚障害者の安全性や利便性を向上させるために、点字ブロックのような突起のあるものを横断歩道上に設置する視覚障害者誘導用横断帯、エスコートゾーンと呼ばれているものでございますけれども、設置が決まっておりますので、これを取り入れるよう、議論をしております。
最後、5点目といたしまして、ことし2月にバリアフリー新法に関するガイドラインが発行され、歩道の有効幅員を2メートル確保することを基本としておりますが、バリアフリー歩行空間のネットワーク化を推進するため、幅員2メートルを確保できない場合は1.5メートルや歩車共存道路を認めるというような経過措置も示されておりますので、こういった点もマニュアルに反映できるように検討いたしております。
現在、建設局の内部で、交通管理者、それから、荒川区、三鷹市さんを加えたメンバーで議論をしておりますが、お手元の資料の21ページで変更になったところだけご説明いたします。今ご説明いたしましたものをマニュアルの図ですとか基準の中身でいろいろ取り込んでいるところでございますけれども、きょうお示ししました21ページの基準としましては、あまり大きな変更はございません。変わったところだけ、ご説明いたします。
1番、歩車道の分離につきましては、「歩道と車道とは、原則として分離し、歩行者の安全を確保すること」というふうに、「原則として」という言葉を加えております。これは、歩車道の分離が困難な場合というのがどうしても残りますので、その施工例を具体的に記述するということで、整備基準には「原則として」という言葉を追加しております。
2点目の歩道の有効幅員につきましても、「原則として2メートル以上」というような表現で、「原則として」という言葉を加えております。これにつきましても、有効幅員2メートル以上の確保が困難な場合があり、その施工例については記述して、具体的には1.5メートルという基準を検討してございますけれども、それにあわせて「原則として」という表現を加えております。
次の変更は、3番の横断歩道です。これにつきましては、(2)の標識・標示のところを、正確な記述としましては道路標識・道路標示ということで、「道路」という言葉を加えております。
次の変更点につきましては、9番目の車両乗り入れ部についてでございます。(2)の中で特殊ブロックという表現がございますけれども、これは、特殊縁石という言葉を道路の工事の設計基準で用いておりますので、それと整合をとっております。
それから、11番の案内標示ですが、これは案内標識というふうにしております。ここはまだ議論を続けているところなんですけれども、マニュアルのほうにつきましては中身がほぼ案内標識に関することなものですから、「案内標識」というふうに統一いたしましたが、それ以外にいろいろ、手すりにつける標示ですとか、そういったことも含まれておりますので、手すりの標示等は横断施設のところで取り込むか、まとめ方の違いかと思いますけれども、そういったところは今議論をしているところでございます。
最後、12番ですけれども、(2)の視覚障害者誘導用ブロックの色について、ちょっと表現がわかりにくいところがございましたので、「視覚障害者用誘導ブロックの色は、黄色を原則とする。周辺の舗装の色彩との輝度比において対比効果が発揮できなくなるなど、やむを得ず他の色を使用する場合、輝度比が確保できる適切な色を選択すること」ということで、わかりやすい表現に修正いたしました。
道路作業部会の変更は、以上でございます。
○ 野村部会長
ありがとうございました。
続いて、次のページ、22ページになりますが、公園作業部会のほうからお願いいたします。
○ 高遠建設局公園緑地部公園建設課維持係長
公園作業部会からご報告申し上げます。作業部会長の公園建設課長細岡の代理でございます、維持係長の高遠と申します。よろしくお願いいたします。
お手元の資料は、引き続きまして22ページ以降です。それから、冊子というか、施設整備マニュアルのほうで申し上げますと、143ページになりますかね。142ページの次はページの記載がございませんが、143ページに該当する部分からになります。
今回、改正の柱といたしましては、1つは、現行の都基準と国のバリアフリー新法その他の基準を比較しまして、双方のうちのより厳しいほうというか、高いレベルの基準にそろえるということを柱にしています。
それから、もう1点大きな話といたしまして、現行ですと、公園編と庭園編、それから動物園・植物園・遊園地、この3本柱で規定しておるんですが、これを一本化するということで検討しております。従前ですと、庭園などのように現状の変更について規制されているものがございましたので、結果的に多少水準を下げるような意味合いで別に項目をつくった経緯がございます。ただ、一連の考え方の中で、屋外空間でのレクリエーションということを考えますと、公園でも、庭園でも、動物園でも、目指すべき目標は1つだということで、今回、一本化した中身にしてございます。
22ページ、内容が盛りだくさんで、1つ1つやっていくと何でございますけれども、今申し上げたような3本柱を一本化するという意味で、公園編なら公園編、庭園編なら庭園編、それぞれに出てきたものは全部盛り込む形で集約してございます。それから、国のバリアフリー新法ですとか国土交通省が定めたガイドラインなどにある記載についても、改めて拾い上げる形をとってございます。
ほんの一例で申し上げますと、例えばこういう意味でございますというのを幾つか申し上げたいと思います。出入口ですとか、園路ですとか、こういったものは、都の基準、国の基準、双方にもあったわけですが、22ページの5番目、転落防止等ですとか、あと23ページの野外劇場・野外音楽堂、こういったものについては、国の基準にそろえて、改めて盛り込んでございます。
なお、用語につきましては、今後さらに検討を重ねまして、完成度を高めていきたいと思います。段と段差がごちゃまぜになっていたり、多少、用語として大ざっぱ過ぎる部分がありますので、今後検討を重ねていきたいということを申し添えたいと思います。
以上でございます。
○ 野村部会長
ありがとうございました。
それでは、公共交通部会で、ページで言いますと25ページです。お願いいたします。
○ 小林交通局建設工務部建築課長
交通局建設工務部建築課長の小林と申します。公共交通部会での審議につきまして、ご説明させていただきます。
福祉のまちづくりの施設整備マニュアルの184ページに基本的な考え方をお示ししております。公共交通部会におきましては、対象となる施設につきまして、鉄道の駅。鉄道の駅というと、JRを含めまして、私鉄、地下鉄など、すべての鉄道となります。それから、軌道の停車場。これは都電などを対象といたします。あと、バスターミナル。これは、バス停ではなくて、ある程度の規模を持った、自動車ターミナル法に基づくバスターミナルということでございます。あと、港湾旅客施設、航空旅客施設が対象となります。その中で、今回、交通バリアフリー法と整備基準とが整合してない部分につきまして、交通バリアフリー法に書かれた基準につきまして、この中に盛り込んでいくというのが、一つの大きな作業でございました。
まず、整備基準の改正につきましては、資料の25ページを見ていただきますと、最初に公共交通施設というのがありまして、それから、アラビア数字で1、2、3、4というふうに数字が振られております。このように公共交通施設として、まず共通する部分を取り上げました。それと、27ページに鉄軌道駅、それから、下のほうに3としてバスターミナル、28ページに、旅客船ターミナル、それから航空旅客ターミナルというふうに、これらに共通する部分と、それぞれの施設に独特といいますか、単独で適用させる部分というのに今回整理をさせていただきました。
個々の具体的な話といたしましては、今まではいきなり個別の施設の整備基準について書いていったんですが、まず第一といたしまして、移動等円滑化経路、これにつきまして取り上げさせていただきました。そのほかには、先ほども申し上げましたように、バリアフリー新法が改正されまして、今までの条例の整備基準の中に入っていなかったもの、これをつけ加えるということがございます。例えば、ホールですとかコンコースにおける照明の問題、それから、25ページの6番の階段につきましては階段の両端の立ち上がりなど、そのほか幾つかございます。そういったものをつけ加えさせていただいたということでございます。
それと、条例そのものの考え方が努力義務から遵守の基準になったということに伴いまして、実はいろんな鉄道施設などにつきましては、特に既存不適格で例えばエレベーターをつけられなくなるなんていうことがあると困りますので、バリアフリー新法の整備基準の中にただし書きなどがあるものにつきましては、それを、横引きといいますか、加えさせていただいたものがございます。例えば25ページの4番のコンコース・通路・ホール等というのがございます。この中の(1)で、「移動等円滑化経路を構成する通路等においては、次に定める構造とすること」ということで、有効幅は1.4メートル以上とする。これは基本的には1.4メートル以上としていただくんですが、ただ、既存の駅舎等でこの辺が十分整備されてないものもございますので、そういったものにつきましてはバリアフリー新法の基準のほうのただし書きの規定を取り入れまして、「既存の駅舎等で構造上困難な場合は、車いす使用者が円滑に通行できる構造とした上で、1.2メートルとすることができる」というようなただし書きを設けさせていただきました。
1つ1つ見ていきますとちょっと時間がかかりますので、あと、いろいろな施設の配置につきましても、できるだけわかりやすく、重複がなくなるような並べかえなどと、あと文言の整理をさせていただきました。それらについては、省略させていただきます。
大体、今まで検討してきた内容というのは、以上でございます。
○ 野村部会長
ありがとうございました。とじた資料の最後の1枚がございます。路外駐車場について、お願いします。
○ 花本副参事(地域福祉担当)
路外駐車場につきましては、事務局から説明させていただきます。資料は29ページ、最後の部分で、現行のマニュアルですと、236ページになります。両方見ていただきたいんですけれども、現行のマニュアルの基本的な考え方の一番最後のところにも書いてありますように、建築物に附属せず単独で設けられている駐車場ということで、スーパーについている駐車場とか、建物についている駐車場があるんですけど、そういったものは対象としていません。これはあくまで、例えばコインパーキングとか、駐車場単独のものがこれに該当します。
変更しているところなんですけれども、こちらは、基準等については変更していません。現行のマニュアルを見ていただくとわかりますように、整備基準で1、2、3と書かれていますけれども、詳しい内容については下の整備基準の解説のところに書いていまして、そこでも特に建築物編のところを準用するというような書き方をしていたんですけれども、新しい整備基準(案)にはそこら辺のことをきちっと整備基準の中に明記するようにしております。数値等については、変更しておりません。
以上でございます。
○ 野村部会長
今配られた資料については、どなたから?
○ 花本副参事(地域福祉担当)
今配った資料ですけれども、こちらは、先ほど説明ありました建築物編の追加資料です。2ページのところで部会長から説明がありましたが、そのところに「詳細な基準は別紙参照のこと」と書きながら別紙をつけておりませんでした。新たに条例の対象施設になったところですとか、それから200平米以下の小規模の建築物の基準について、こちらの添付資料に記載しております。
○ 野村部会長
よろしいでしょうか。
以上、資料2-1プラス今の資料を含めて、ご説明をいただきました。これを見ていきなり細かいことを全部チェックするのは、とてもできないでしょう。それから、専門でない方は、理解するのがとても大変ですよね。ですけれども、とても重要なことですので、少し時間をかけてお読みいただいて、できるだけ多くのご意見をいただけたらというふうに思います。
きょうの段階でお気づきの点があれば。これは全体のことも結構です。全体の考え方を含めて。どうぞ、市橋さん。
○ 市橋委員
まず、野村先生が言う苦痛な人間で、大丈夫かどうか、1つ、僕、率直に聞きます。建築物の中で、いわゆる飲食店や何かがすべてとなったということになった場合に、1つは、ものすごく具体的な例だけど、飲食、特に居酒屋や何かで入り口のところに段差があったり、あるいは、今はやっているのは、靴を脱いで段を二、三段上がっていく。確かにそのほうが居酒屋よりかちょっといきだという小料理屋に近いほうがそんな気分になっていいわけですけれども、例えば、今でも200平米以上はあるかなというところがあるのにそういうのがあると。これからはすべてかかると、そういうのができなくなるとか、どこが抜け道なのか、今いっぱいある点は、こちらの局の方もご存じだけど、これからはそういうのがなくなるのかどうか。そういう聞き方でいいかどうかわからないんだけれども、教えていただきたいと思います。
○ 野村部会長
居酒屋さんが、1つは大きなビルの中に入っている居酒屋さんの場合と、戸建ての居酒屋さんの場合と、ちょっと考え方を違えなければいけないんですね。その辺のことを部会長のほうからちょっとご説明いただけないでしょうか。
○ 上野市街地企画課長
市街地企画課長の上野でございます。特に小規模の店舗につきまして、今回すべての施設を対象に規模を引き下げることにしました。その場合に、小さなものについては、今、追加で資料を配付しておりますものの中に、追加した資料はホッチキスどめのものと1枚ぺらのものがございますけれども、1枚ぺらのものをまず見ていただきますと、これは小規模な建築物について特に今回新たに設ける整備基準です。これは、今ありましたお店の出入口とか、それから店の中に入っていくところの便所までの経路までは少なくともバリアフリー化しましょうと、そういう基準になっています。これは単独で、小さなもの、200平方メートル未満のものをつくる場合にはこの基準でもって遵守義務を課して届出の対象とすることで、行政指導の中で、出入口、便所、敷地内通路、これをバリアフリー化することについて指導していくということになります。
それから、お店が大きな施設の中に取り込まれる場合、全体の延べ床面積が2,000平方メートル以上になりますと、これは複合施設として施設全体をバリアフリー化しなければならなくなります。その場合につきましては、資料2-1の4ページから13ページまで、これは共同住宅以外の建築物に関する整備基準でございますけれども、そのうちの右側、整備基準Bというふうになってございます。規模が大きくなる施設につきましてはこの整備基準Bが適用されまして、この中にある区画が小さい店舗につきましてもこの整備基準Bがすべて適用されまして、ここで書いてある移動等円滑化経路から出入口、廊下、階段、便所、浴室、その他ここに掲げてある項目についてはこの基準でもって整備を図ることとなっておりますので、今までよりも全体としては整備を図れることとなりますけれども、お店の中に入って、1つの区画の中のところについては移動等円滑化経路に、居室の中でどう区画するかによって、ちょっと廊下から外れてしまうところについては、直接は適用されない部分が出てくるかもしれません。
○ 市橋委員
要するに、そういうお店の中で1通路を設けていく計画があるということですか。それとも、やっぱりどうにか抜け道ができちゃうということですか。ちょっと僕は全く素人なもので。
○ 上野市街地企画課長
具体の計画、お店の中の部屋の配置とかを見ていかないとわからないところがありますけれども、配置状況についてはこの基準が適用されない部分もあると思いますから、それは抜け道ということではなくて、それはあくまでも基準の適用対象とならないところというところになりますから、抜け道ということとは違うかと思います。
○ 野村部会長
基本的には、そういう小さなお店でも、お店の中に入れて、そして目的が達せられて、なおかつトイレまで行けるように整備しましょうというのが、大きな考え方なんです。したがって、今、市橋さんがおっしゃられたように、抜け道ということではなくて、対象にならない部分もあるかもしれないけれども、それは個々の問題であって、実際にその図面を見て指導をしていくことも多分あるでしょうねと、そんなようなところですね。抜け道とはおっしゃらないでいただきたい。
○ 市橋委員
わかりました。わかったような、わからないような。
○ 野村部会長
いずれ、また細かくやりましょう。
時任さん、どうぞ。
○ 時任委員
時任です。今月15日に新宿区の視覚障害者と車いす利用者とが千葉県松戸市の八柱の国土交通省の実験場に行って実際に調整をしてくるんですが、先ほどありました横断歩道の入り口の段差は2センチを基準とするということで、これを今後どうしていくかというのを市町村ごとにやっていくというのは、私はあまり適当でないと考えています。例えば、新宿区の盲人は新宿区だけにいるんじゃないし、新宿区には他の地区の盲人が来ないわけじゃない。エスコートゾーンが今後入っていくと随分変わると思うんですけれども、実際に私は、この前、副都心線の西早稲田駅の工事で、諏訪町の信号、つまり明治通りと諏訪通りの交差点ですが、全部撤廃になっちゃって完全にフラットになっていた時期に、しばしば歩道から車道に踏み出して、後ろの人に注意されて引き戻されるとか――赤信号のときですね。それから、渡るときにも、縁石がないので方向がはっきりつかめないから斜め方向に行ってしまって、停車している車の横まで行ってしまうといったようなことがしばしば起こりました。これはできれば全国統一でいく必要があると考えていると、このことを申し上げておきます。以上です。
○ 野村部会長
どうぞ、岩田さん。
○ 岩田委員
岩田です。25ページの公共交通編の8のエレベーターのところでちょっと気がついたんですけれども、エレベーターの大きさですとか、定員ですとか、そういうことは決められているんですが、日ごろ思っているのは、エレベーターの開閉の時間なんですね。車いすなんかで乗っていくと、いきなり閉まっちゃったりしてすごく慌てることがあって、エレベーターの開閉というか、開く時間を十分にとるというようなことを今まで決めていらっしゃってないような、前の整備マニュアルを見てもそういう決まりが載ってないんですけれども、ここでひとつ、十分な時間をとるというような文言でも構わないと思いますが、あるいは何秒というふうに決めたほうがいいのかわからないんですけれども、それをちょっとここに入れていただけるといいなというふうに思いました。以上です。
○ 野村部会長
それは検討します。
どうぞ、仲島さん。
○ 仲島委員
くしくも、今、言おうとしたことを言っていただいた部分もあるんですが、一般に、今回、ハード面ではいろいろよく書いてあるんですが、オペレーション面での表現不足が随分あるんじゃないかと思っています。例えば、必要なところには、横断歩道には信号を設置しなさいと。これも、私どもは渡り切れる時間。よく、僕らは真ん中ぐらいで赤くなっちゃうときがあるんですよ。これに限らず、もうちょっとオペレーションということについて盛り込めないかなという。実際、こういう中でオペレーションまでは出せない場合があると思うんですが、そういうことを考えてもらいたいということを知ってもらうだけでも、ここに書いてあれば、有効じゃないかなと思います。
あと1つ。先ほどいろいろ意見がありましたということで、私らも随分たくさんあるんですが、こういう会の中でそれを一々申し上げる時間はないと思うんですが、これは事務局のほうに提出すれば、各部局のほうにつないでもらうとか、それはできるんでしょうか。私、二、三日前にそれを出させていただいたんですが。
○ 渡邉福祉のまちづくり係長
この専門部会以降に、先ほどもお話ししましたけれども、事業者団体、障害者団体、関係団体のほうに意見集約をかける予定です。今回、委員の方々の資料についても、ちょっと細かい資料で、ぎりぎりで送ったところもあって見切れないと思いますので、その辺は同時に、あわせて委員の方々にも意見をお聞きする機会を設けたいと思っております。それを、各団体等の意見も全部踏まえまして、各作業部会にもう一度検討してもらって、それを次回の専門部会で出すという形をとりたいと思っております。
○ 野村部会長
そうすると、いろんな皆さん方からいただく意見を大体いつごろまでと、ちょっと時間をいただかないとこれは読み切れないので、それを後で教えてください。
○ 渡邉福祉のまちづくり係長
はい。
○ 野村部会長
それから、ご意見は、建築物作業部会だけではなくて、道路、公園、公共交通機関、路外駐車場、すべてにわたってお目通しをいただいて、そして、これは事務局がやればいいんですが、お互いの関係において、違った表現をしているとか、あるいは違った数字を使っているとか、そういうこともできれば見ていただきたいと思います。
川内さん、どうぞ。
○ 川内委員
東洋大学の川内です。今、野村先生もおっしゃいましたが、例えば7ページの建築物のところにトイレがあります。ところが、24ページに公園のトイレがあるんですけれども、書き方が違っていて、公園のトイレのほうは、多分、解釈を間違えています。建築物のトイレと同じような項目が並んでいるんですが、分類を間違えていますので、このままでいかれると大変なトイレができるだろうなと思っています。そのあたり、それぞれの規定の整合をお願いします。
それから、21ページ、道路ですが、2つあります。1つは8番ですが、細街路と広い歩道つきの道路が交差するところでは、歩道つきの道路のほうの歩道を切り下げないで平らにしましょうという、いわゆるスムーズ歩道の考え方があって、これは現在の整備基準にもあるんですけれども、これはよくよく視覚障害のある方々に聞いてください。視覚障害のある方々は、このスムーズ歩道に対してすごく危機感を持っている。つまり、今、自分は車道を歩いているのか、歩道を歩いているのかわからないのは困るという意見がすごく強くあると私は感じていますので、よくよくご確認ください。
それから、12番に輝度比ということが出ていますが、輝度比についてどういう条件下で測定するかということがないと、例えば、夜なんかだと、どんなにコントラストをはっきりしても、光がないとわからないわけです。ですから、どういう条件下で輝度比を測定するかというのをきちんと規定するべきだろうと思います。
それから、22ページ、公園の3番、階段のところの下から2番目、(9)のところに、傾斜路を併設する。ただし、その代替の措置として、エレベーター、エスカレーターの設置でこれにかえることができるというふうに書いてありますが、現在、エスカレーターというのは、階段の代替手段としては評価していません。ですから、エスカレーターは削除すべきではないかというふうに思っています。以上です。
○ 野村部会長
いろいろとご意見ありましたが、お互いの部会の調整は、それぞれの部会のほうでもひとつご検討をいただきたいと思います。
○ 越智委員
越智です。川内さんと同じ意見で、ちょっとダブっているんですが、その面は省きまして、21ページの11番ですけれども、(2)の中に「分かりやすい文字」という言葉があるんですが、文字だけだと、文字はわかりやすくても、説明文章が複雑だとわかりにくい文があるので、文字ではなく表記と書くとか、文字を含めて説明がわかりやすいという意味がわかるような言葉にしていただきたいと思います。
○ 野村部会長
ぜひ、そういうようなご意見をたくさんお出しいただきたいと思います。
○ 坂巻委員
公園のことでちょっと伺いたいんですが、庭園というところをさっきおっしゃいましたね。庭園というのは一つの文化財ですから、それをユニバーサルデザインという形で文化財を壊すような形になってはまずいんじゃないかと思いますが、そのあたりはどういうふうにお考えになっているのか、庭園についての扱いをちょっとご説明いただきたい。
○ 野村部会長
ご担当はどなたでしょうか。どうぞ。
○ 高遠維持係長
公園の検討部会ですが、庭園につきましては、まさにご指摘のように文化財保護法その他の法令で現状をいじることはかなり制約がございます。かつての姿をそのまま後世に伝えるということで今日的価値を持つものですので、例えば飛び石とか岩海があるけど、そこは通りにくいから全部どけて真っ平らにしようという話にはならないわけで、そういったものにつきましては、公園編の中において除外規定を定めるつもりでございます。文化財ですとか、あと自然保護の関係上、現状の改変が難しいものですとか、そういったものについては、別途に除外の規定を設けたいと思います。
○ 野村部会長
いろいろご意見あろうかと思いますが、事務局のほうである期限を、ちょっとゆっくり設けてほしいんですが、設けていただいて、そこにできる限りご意見をいただくということで、きょうは終えたいと思います。
それでは、マイクを事務局にお返しして、今後の予定等をお話しいただいて、そして閉会にいたします。
どうぞ。
○ 花本副参事(地域福祉担当)
整備基準につきましては、先ほども説明しましたように、委員の皆様方からのご意見を聴取する時間をたっぷりとりたいと思っております。関係団体、これから、事業者団体、障害者団体、市町村含めて意見集約を実施しますので、その時間と同じように、委員の皆様方の時間はとりたいと思っております。その後、各作業部会で再度調整した上で、12月に開催する予定の第5回の専門部会で再度ご審議していただくというふうになっております。
○ 渡邉福祉のまちづくり係長
その期間なんですけれども、きょう多少ご意見出たところもありますので、また各作業部会に持ち帰りまして、意見集約用の形で多少修正等はあると思います。その部分を踏まえた上で意見集約をかけるような形になりますので、事務局としても早々にやりたいと思っておりますので、10月中旬あたりから実施する予定です。期限としましては、11月の初めぐらいということで期限を設定したいと思いますけれども、その部分についてはたっぷり見る時間をとるような形で設定したいと思っておりますので、ご了承ください。
○ 野村部会長
よろしいですか。
○ 花本副参事
はい。
○ 野村部会長
それでは、きょうはこれで閉会にいたします。どうもありがとうございました。
閉会:午後00時01分