第7期東京都福祉のまちづくり推進協議会(前期)第1回専門部会 議事録

更新日

議事録

1 日時

平成20年3月27日(木曜日)午後10時30分から

2 場所

東京都庁第二本庁舎10階 201・202会議室

3 次第

開会
議事等
審議事項
 東京都福祉のまちづくり条例改正及び推進計画策定の基本的考え方について
閉会

4 出席委員

野村会長 坂巻副会長 窪田委員 川内委員 彦坂委員 大西委員 平林委員 海江田委員 茂木委員 市橋委員 越智委員 時任委員 宮澤委員 田中委員 横矢委員 増田委員 岩田委員 仲島委員 桜井委員 松本委員

5 配布資料

資料1 東京都福祉のまちづくり条例改正及び推進計画策定の基本的考え方
資料2 東京都福祉のまちづくり条例スキーム(案)
参考資料1 建築物作業部会検討資料(抜粋)
参考資料2 スケジュール
○第7期東京都福祉のまちづくり推進協議会(前期)専門部会委員名簿
○東京都福祉のまちづくり条例等改正検討委員会設置要領
○第6期東京都福祉のまちづくり推進協議会「福祉のまちづくりの新たなステージに向けて」
○東京都福祉のまちづくり推進計画「ハートフル東京推進プラン」
○東京都福祉のまちづくり条例「施設整備マニュアル」

6 議事録

6 議事録
  開会午前10時30分
○ 宮村福祉保健局生活福祉部副参事(地域福祉担当)
 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第1回専門部会を開催させていただきたいと思います。
 委員の出欠状況につきましては、先ほどの推進協議会で申し上げましたとおりでございますので、省略いたします。
 お手元の資料の確認をさせていただきます。
 専門部会の会議次第、それから資料1、2と参考資料の1、2、それからまちづくり条例等改正検討委員会設置要領というのがございますでしょうか。
 それと「福祉のまちづくりの新たなステージに向けて」の冊子、それから「ハートフル東京推進プラン」という冊子になっています。これは平成10年度から17年度まで東京都が福祉のまちづくりの推進計画を定めていたときのものでございます。この後、計画を策定しておりませんで、まさにこういった計画をこれからつくっていきたいということで、ご検討をお願いする次第でございます。そのための参考にということで配付をさせていただきました。
 それから、専門部会の委員名簿になってございます。
 以上の資料がありますでしょうか。不足がありましたらば事務局のほうにお申し出いただきたいと思います。よろしいですね。
 それでは、野村会長、よろしくお願いします。
○ 野村会長
 先ほどと同じようなあいさつはいたしません。
 これからする作業は、先ほどの話にあります資料3、これまでの会議の資料3の条例改正及び推進計画策定の基本的な考え方に絞って初めに議論をするわけですが、その条例というのは、皆さん方のお手元にこの厚いのがありますね。この中に東京都福祉のまちづくり条例というのが書いてあるわけです。そのことと、それからきょうお手元にいただいた「ハートフル東京推進プラン」、いわゆる推進計画をつくるときの基本的な考え方を審議するというのが一番大事なポイントだろうというふうに思います。
 一言、先ほど言い忘れたことがあるんですが、東京都のこういう条例あるいは推進計画は、東京都だけではございませんで、全国の自治体が実は関心を持っているんです。一番国に近いところで、たくさんの先生あるいは業界の団体あるいは障害の団体の方が参加をしているということで、まず東京都が何をしているかということは必ず全部見ているわけです。そういう意味で、東京都だけを意識するのではなくて、全国にすごい影響があるということを念頭に置いてこれから作業に入りたいと思います。そういう意味でぜひご協力をいただきたいと思います。
 それから、推進計画そのものは、今読んでどうこうということはいきませんので、お持ち帰りいただいて、ひとつ十分お目通しいただきたいと思います。
 そういう意味で、福祉のまちづくり条例の条文の資料はありますか。これをお持ち帰りいただくわけにいきませんので、何か手配ができればと思いますが。
○ 宮村副参事
 会議が終わるまでに用意させていただきたいと思います。
○ 野村会長
 それでは、具体的な審議に入りたいと思います。
 まず、事務局から資料の1及び2についてご説明をいただきましょうか。
○ 宮村副参事
 それでは、まず資料2をごらんいただきたいと思います。東京都福祉のまちづくり条例スキーム(案)となっていますけれども、左側が現在の条例で、中身の文章がありませんけれども、章立て――前文があって、第1章から第7章まであって、それぞれの章で総則から基本的な施策、あるいは施設の整備といったようなことを章立てして決めているという条例の枠組みを示してございます。この現在の条例の枠組みを、右側にあります新条例(案)となっていますような枠組みに再構成をしたいと考えています。前文とか第1章、総則のあたりでは、基本的な考え方のところにユニバーサルデザインの考え方を基本にしながら、対象者についても高齢者、障害者だけでなくて、子どもとか妊娠中の人とか外国人とか、そういうすべての人を対象にするというような考え方を前文、総則のところに盛り込みたいというふうに考えています。それから、第2章以下それぞれの取り組みについては再構成をして、新しい条例をつくっていきたいと考えているところです。
 そして、資料1にちょっと目を移していただきたいと思います。そういう条例を大体こんなふうに変えたいという大枠を念頭に置いていただきながら、資料1の1番、東京都福祉のまちづくり条例改正の基本的考え方について説明させていただきます。福祉のまちづくり条例については、障害者や高齢者を含めたすべての人が安全、安心、快適に暮らし、訪れることができるまちづくりを目指す。そういうユニバーサルデザインの考え方に立って、行政、事業者、都民が協働しながら総合的・計画的に進めることを目的とした条例としたいと考えています。そして、東京都の各部門の施策について、ユニバーサルデザインの考え方に立った福祉のまちづくりの視点を取り入れて進めていくための役割を担うことが重要だというふうに考えております。
 その下に新条例イメージ図というのがございます。先ほど見ていただいた条例スキーム(案)でいきますと、前文、それから第1章で基本理念があらわされてくるのではないかと思っておりますけれども、これまでの取り組みを前進させた上で、高齢者、障害者を含めたすべての人が安全、安心、快適に暮らし、訪れることができるまちづくりを、ユニバーサルデザインの考え方に立って、行政、事業者、都民が協働して進める、こういうふうに前文、第1章のところをつくっていきたいと思っています。
 そして、具体的な取り組みとして第2章以降ですけれども、ユニバーサルデザインの考え方に立った福祉のまちづくりの推進ということでは、新しい条例の第2章の中でこのあたりを整理していきたいと考えています。内容としては、都民及び事業者の福祉のまちづくりへの理解促進、それから一般都市施設(建築物・道路・公園・公共施設・路外駐車場)の整備について、特に建築物のところではバリアフリー新法、それから建築物バリアフリー条例との関係整理による、福祉のまちづくり条例の新たな役割をこの条例にうたっていくことが必要だと考えています。そのほか、移動支援のことですとか、住宅整備のことですとか、情報サービスのことなど、それらの推進について第2章で整理をしていきたいと考えています。
 それから、施策の推進ということでは、第3章で再構成をしていきたいと考えておりますが、まず推進していくための推進協議会のことをやはり条例の中でうたう必要があると考えています。それから、各部門における諸施策を通して福祉のまちづくりの取り組みを進めていく、そのための推進計画の策定ということも施策の推進の中でうたっていく必要があると考えています。さらに、継続的な改善、総合的・計画的な取り組みを進めていくための仕組み、このあたりで都民の意見の反映ですとか、参加ですとか、それから評価をどのように実施していくのかといったようなことを盛り込んでいく必要があるのではないか。それから、事業者等に対する支援も触れていく必要があると考えております。
 次のページをお開きいただきまして、2番目の柱であります推進計画策定の基本的考え方でございます。こちらは、条例の中で新しい理念を整理してまいります。それに基づく推進計画を策定していくための基本的な考え方となります。そういう意味では、計画をつくるための主要な柱立てを考える必要があると思います。それから、都民の意見の反映、あるいは計画が終了したときなどの評価、事後評価をどのように実施していくのか。その必要性も含めて検討していただき、基本的な考え方を示していければというふうに思っております。
 その下のほうに推進計画策定イメージ図というふうにお示ししましたのは、第6期推進協議会「福祉のまちづくりの新たなステージに向けて」という冊子に掲載されております内容をここに抜粋させていただいたものでございます。推進計画を策定するには、庁内――福祉ですとか建築ですとか土木ですとか、いろいろな分野、部局がございます。そういったところで福祉のまちづくりの視点から計画を検討する必要がございます。また、都民の意見ですとか関係団体、事業者の方々のご意見をこの計画に反映させていくことも必要だというふうに考えています。
 そういうプロセスを経まして、最終的には東京都の計画ということになりますので、それぞれの分野に分かれたり、あるいは重複したりすることがあろうかと思いますけれども、そういう形で計画をまとめ上げ、それぞれ実施をし、その後で評価をし、またフィードバックして計画の再検討をしていくというような形で進めていくことになると考えております。このあたりは大分、第6期の推進協議会でもいろいろなご意見をいただきまして、こういった形でまとめさせていただいたところでございます。
 資料の説明は以上でございます。

○ 野村会長
 どうもありがとうございました。
 今のご説明に対して何か質問、ご意見はございませんでしょうか。どうぞご遠慮なく。
○ 川内委員
 「福祉のまちづくりの新たなステージに向けて」というこの分厚い冊子ですね。昨年度でまとめたものですけれども、これの45ページ、一番上の「○」ですけれども、「この取組はすべての人を対象としたものとして広がりを持ってきている。」ということが書いてあります。ただ、57ページかな、アンケートによると、福祉のまちづくりと聞いて連想するものというので、高齢者、障害者が圧倒的に多いということで、ユニバーサルデザインの考え方で推進していくのに、もちろん、高齢の方、障害のある方のニーズを的確に実現していくというのは重要なことではありますが、もうちょっと広がった展開をしようということで、この45ページの一番上の「○」では「福祉のまちづくり条例の名称やその主旨を反映した定義の再検討が必要である。」と書いていただきました。これについての議論はどのあたりでできますでしょうか。
○ 野村会長
 何か事務局のお考えがあれば……。
○ 宮村副参事
 きょう現在では特に具体的にいつの時期というふうに明確に考えているところはないのですけれども、やはり内容の検討を先に進めていただいて、できれば、事務局としては、そのあたりが整理されたところで最後に名称についてご検討いただくのが、時間的にも有効に使えるのではないかというふうには考えております。それでいいかどうかはご検討いただきたいと思います。
○ 野村会長
 名称はすべての作業が終わってからでも構わないのですが、考え方は初めのうちにやっておかないと、それがぶれると後も変わるというのが普通ですから、考え方については割と議論を早目に重ねておいたほうがいい。きょうは難しいと思いますので、次回でもとにかくベースになるところを、それは先ほど桜井さんのおっしゃった哲学的なこともできたら初めのうちに議論しておいたほうがいいのではないかと私は思いますが、いかがでしょうか。
○ 坂巻副会長
 そのとおりだと思います。
 もう1つ伺いたいのは、障害者自立支援法の中で都道府県に基本計画の策定を義務づけられていますね。それとの関連をどう考えるのか。その部分は何か別の審議会みたいなものがあるんですか、東京都の場合。
○ 宮村副参事
 障害者自立支援法の関係では別の協議会がございます。計画についても東京都においては既に策定されているところですけれども、特に改めて関係を整理するための組織をつくるとか、そういったことは考えておりません。
○ 坂巻副会長
 区市町村にもつくることを義務づけられてくるわけですけれども、そこでは当然こことダブる部分が、まちづくりとダブる部分が出てくるのではないかと思うのですね。そのあたりの調整をどういうふうにしていくのかということについて、全く向こうは向こう、こっちはこっちという形、今、哲学の部分と桜井さんはおっしゃったけれども、同じような形が、共通の部分が出てくるのではないかと思うのですが、そのあたりはどういうふうにお考えになっていますか。
○ 宮村副参事
 これから審議していただく内容の中で関係が出てくる部分もあろうかと思います。また、第6期におきましてもいろいろご意見をいただく中でそういった部門との調整をさせていただいております。協議会同士でのすり合わせはなかなか難しいと思いますので、事務局で関係部門と調整をさせていただくというような形で進めさせていただければと思います。
○ 仲島委員
 私が思いますには、何か名称が先にあってという感じがするんです。といいますのは、今の福祉のまちづくりという条例の名称ですと、先ほども話が出ましたように、対象者も割合限定されてしまうと。これは私だけかもしれないですけれども、何か行政から受益者へのワンウエー的なイメージを非常に与えますので、ここで今うたっています住民参加とかいうようなことになりますと、何かもうちょっと適当な名称があるのではないかと。また、その名称によってこれから審議していく中身も若干影響を受けるのかなという感じがするのですが。
○ 川内委員
 おっしゃるとおりだと思うんですけれども、ただ、今、名称を決めるとなっても、この委員の中で合意ができていないので、これは多分議論の中で合意ができてくるのだろうと思うんですね。ただ、このスキーム(案)では新第1条のところに定義とか目的とかいうのがありますので、先ほど野村会長がおっしゃったように、初めのあたりでこのあたりの議論をして、それから固めていって、名称についてはその後で考えましょうという流れのほうがむしろ妥当ではないかと思うんです。
 ただ、名称のことを忘れないために、これはご提案なんですが、一番上の「東京都福祉のまちづくり条例」という名称に「仮称」ということをつけておいて、最後に名称についてもう一度考えましょうということにしたらどうかと思うんですが、いかがでしょうか。

○ 野村会長
 世の中全体の動きで言うと、障害のある人たちの、あるいは高齢者のというと、イコール福祉という名前でとらえてきたわけですね、長い歴史の中で。しかし、国際的にはそういう問題はすべて権利という問題でとらえていくと。実はその議論をするだけでこの委員会が終わるか終わらないかになってしまうと思うんですが、世の中全体としてやっぱり変わってきているわけです。例えば障害者の国際権利条約が通ると、その後の差別禁止法という一つの流れが見えてくるわけで、私は、そういうことを意図して、意識して議論はする必要があるけれども、一気にそこのタイトルをつけてやるということはなかなか難しいような気がするわけです。そういう意味で、先ほどの平成7年からずっと12年やってくると、その中でも随分流れが変わってくるわけです。ですから、これから先どこまでもつかということも考えながら、現実にはとらわれなくてもいいけれども、しかし、やっぱり現実は意識しながら、将来を意識しながら最終的な名称をつくるというのが一番いいのかなと思っているんですね。ちょっと漠然とした言い方で申しわけないですが……。
○ 坂巻副会長
 名称を先にというのはちょっと無理だろうと思いますけれども、例えばADA法の日本版をつくろうというような動きがありますよね。そうすると、千葉県などは既に権利擁護というか、人権侵害というものに対する条例をもうつくって走り始めているわけです。東京都の場合にそれをどこでやるのか。やっぱりそうした流れというものを的確につかんでいかないと、福祉のまちづくりのこの会でやるのか、あるいは障害者の専門のところでやるのか、そのあたりをどういうふうに振り分けておられるのか、ちょっと伺いたいと思います。
○ 永田生活福祉部長
 今の坂巻副会長のお話ですけれども、障害者の関係につきましては障害者福祉施策推進部で協議会を既に、古い歴史になりますけれども、昔の身体協の時代からの協議会がございまして、そちらのほうで審議をすることになっていると思います。
 野村会長もたしかご参加いただいていて、私ども行政としては、連携をとりながら、その辺のところについては向こうの審議の状況というのでしょうか、そういったものも的確に把握をしながら、この会に情報を反映させていきたいというふうに考えております。
 条約の批准の問題があって、国内法の整備というようなこともあるかと思うんですけれども、その辺のところについてはそちらの障害者の関係の推進協議会がございますので、そちらのほうで今後検討されていくのではなかろうかなと考えております。
○ 坂巻副会長
 それは行政としてわかるんだけれども、一部重なってくる部分があるだろうと思うんですね。それを両方に記述するのか、それとも分けて、まちづくりというのはハードを中心として、人権問題とか権利擁護とかいうのは任せるとか、そういった仕分けがやっぱり必要になってくるんじゃないかなという気がするので、少し推進協の議論を踏まえて、問題の1つとして意識していきたいなというふうに思います。
○ 永田生活福祉部長
 それはおっしゃるとおりだと思います。いろいろな施策でオーバーラップする部分がございますので、その辺のところについては整合をきちんととれるような形でやっていきたいというふうに思います。
○ 市橋委員
 僕も障害者推進協議会の委員で、野村先生たちと一緒に協議させていただいて、今第2期目というか、自立支援法が始まってから2期目と考えたほうがいいかもしれませんけど、それをやっていて、この前のときに推進計画をつくったわけですけれども、正直言いまして、自立支援法の問題があまりにも深いので、向こうでは、向こうの推進計画にこの計画を入れて、まちづくりを入れたんですけど、まちづくりの部分まで公言する余裕ができたら、心的な余裕を持って、もっとやっぱり問題点があったものなり、ホームヘルパーの問題点とか、あるいは施設移行の問題点とか出せたというところはあったなと今思っています。そして、もっと言えば、だから、それは永田部長さんから報告を受けて、僕はうまく整合性がとれるような調整をやっていただきたいなと思いますけれども。
 もう1個、僕が今議論を聞いていた場合、区市町村でも同じなんですね。僕もある市の推進計画、これは障害者のほうの推進計画の委員をやっていたわけですけど、やはりあまりにも自立支援法の問題で急激に変わろうとしているので、まちづくりの面、あるいはまちづくりの面というのは市民にどう理解を増していくか、そういうことも含めた面があまりにも議論が希薄だったなと今思います。そういう意味では、やはり区市町村で障害者施策推進計画をつくるときに、まちづくりの面をきちっと入れて、ユニバーサルデザインの面を入れて計画するような働きかけも重要ではないかなと今感じていますので、その辺もこの部会の役目だと思います。
 もう1つは、僕も第1期目からやって、第1期目から野村先生にもいろいろ教えていただくことが多くて、野村先生もさっき言われたとおり、随分時代が変わったなと思います。ただ、僕、これを見ていて、まちづくりの第1回目の条例をつくるときにも、条例というと何となく、規則でああしろ、こうしろというのが条例みたいに一般市民は思っています。一番いい例がぽい捨て条例で、たばこをぽいっと捨てちゃいけないよ、そういう条例だよというのが一般市民の感覚だと思います。
 ただ、このまちづくり条例は、1期目から理念的なものを広げて浸透していくことがもう1つの役目なのかなということをもう1個感じています。特に、今回ユニバーサルデザインというものをどう広げていこうかということが重要なポイントになっている場合に、やはりユニバーサルデザインの理念を理解させていくという上からの押しつけではなくて、これを市民的な合意化、ユニバーサルデザイン、ここの部会では当たり前の言葉になっているけれども、そうじゃないんだということを踏まえて、押しつけではない、また理念的なものがひとり歩きしないような議論をしながら、それが条例の名前にもつながっていくような、そんな議論をしていきたいと思います。

○ 野村会長
 ありがとうございました。
 一番最初の問題ですが、高齢の方や、あるいは障害のある方が抱えている問題を2つの委員会で重複して議論するのはまだしも、欠落するのは一番困るわけですね。それから、それぞれ検討したものの方向が違うのも困るわけで、そういう欠落した部分あるいは方向が違う部分は、ひとつ事務局として整合性をとるような働きかけをしていただきたいというのが会長からのお願いでございます。それが一番大事なことかなというふうに思います。
 それから、ここで使われる言葉というのは、我々の委員ではある程度理解ができても、市民の皆さん、都民の皆さんが理解できないのでは意味がありませんので、そういう意味で、できるだけ多くの都民の皆さんにわかるような説明をしていただきたい。例えばバリアフリー新法、東京都の建築物バリアフリー条例あるいは福祉のまちづくり条例、この区別すらまず普通の人はつかないと思うんですね。だから、その辺をできるだけわかりやすいような情報を出すことにして、我々も努力をしたいと思います。
 そこで、今、東京都のバリアフリー条例、あるいは福まち条例のお話をしましたが、もう1つのテーマとして整備基準という2番目の大きなテーマがあります。その整備基準についてはできるだけこの専門部会で報告をしてくださいというふうに私はお願いをいたしました。お手元に参考資料1がございます。これは建築物の作業部会から出てきた資料かと思いますが、先ほど庁内検討委員会という名前でお話をしましたが、この庁内検討委員会の1つの部会かというふうに理解をしていますが、その辺のことについてちょっと事務局からご説明いただけたらと思います。
○ 宮村副参事
 庁内の検討組織で作業部会というのがありまして、そのうち、きょうまでの間に検討が進められております建築物作業部会と、それから公園作業部会から検討状況について報告させていただきたいと思います。
 では、まず建築作業部会長からお願いします。
○ 上野都市整備局市街地建築部市街地企画課長
 建築物作業部会長を仰せつかっております都市整備局市街地企画課長の上野でございます。私からは建築物作業部会における検討状況につきましてご報告申し上げます。
 建築物作業部会につきましては、これまで2回開催いたしまして、福祉のまちづくり条例規則に定める建築物に関する整備基準等について検討を進めております。建築物作業部会における検討課題といたしましては大きく2つございます。1つは、今回の条例改正の目的であるユニバーサルデザインの考え方を基本とした条例とするという観点から、建築物の整備基準等に関して検討を行うことでございます。2つ目は、バリアフリー新法及び建築物バリアフリー条例と福祉のまちづくり条例との関係を整理することでございます。この2つ目の検討課題につきましては、他の作業部会と異なってございまして、建築物作業部会に特に与えられた課題でございます。特に学識と経験が求められることから、部会のメンバーとして推進協議会の野村会長、高橋委員、川内委員に入っていただきまして、熱心にご議論いただいているところでございます。
 建築物のバリアフリー化に関する条例といたしましては、東京都には2つございます。1つは福祉のまちづくり条例、もう1つは建築物バリアフリー条例でございます。福祉のまちづくり条例は、自治体の東京都が独自の取り組みとして定めているものでございまして、一定の用途の規模、建築物を対象といたしまして、届け出制によりまして事業者に対して整備基準への適合の努力義務を求めていく仕組みでございます。建築物バリアフリー条例につきましては、バリアフリー新法の法の委任に基づく仕組みでございまして、建築基準法に基づく建築確認事務と連動いたしまして、建築確認審査を通じて一定の用途の規模、建築物を対象として整備基準への適合義務を求めていく仕組みでございます。
 お手元の参考資料の1をごらんいただきたいと思います。「建築物バリアフリー条例との一本化」と題しました資料でございます。
 この(1)に現在の課題を整理してございます。
 マル1をごらんいただきますと、建築物バリアフリー条例と福祉のまちづくり条例とでは、整備対象が重複しているところがございまして、建築物バリアフリー条例による建築確認が行われれば届け出が行われたとみなしているところでございます。一方、福祉のまちづくり条例で独自に整備項目、整備基準を設定している部分につきましては、建築確認とは別に、別途届け出が求められることから、これに基づく手続上の面で事業者の方あるいは区市町村のほうでの扱いで現在課題があるところでございます。
 また、マル2にございますように、建築物バリアフリー条例は基準への適合義務による整備を進めております。一方、福祉のまちづくり条例は適合努力義務にとどまっておりますため、事業者のほうでは福祉のまちづくり条例に従っていただけない方も多くありまして、この福祉のまちづくり条例による整備を不十分なものとしているという状況がございます。
 また、マル3にございますように、2つの条例の間でも整備基準あるいはその運用の取り扱いにつきまして異なったところがございまして、これらによって運用面で若干の円滑さが欠けるような部分があるところでございます。
 こうしたことから、(2)にございますように、区市町村あるいは事業者の方からも福祉のまちづくり条例と建築物バリアフリー条例との一本化を求める声も出されているところでございます。
 しかしながら、この2つの条例を今すぐ1つの条例として再編し直しまして運用することにつきましては、制約も大きく、困難であるというふうに考えております。このため、(5)に記載してございますように、当面は将来の2つの条例の一本化を展望するとともに、区市町村や都における関係部課の連携強化等を図りながら、現在2つの条例の間で取り扱い等が異なっている点の解消を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
 具体的には、(6)の5つの項目に記載している事項、例えばマル1のそれぞれの条例が対象とする範囲を明確にし、適切に役割分担をすること。あるいは、マル4の事業者等に義務づける整備基準等を整合させることなどの項目につきまして引き続き作業部会で検討を行いまして、あわせて実効性ある建築物の整備方策についても検討を進めていくこととしております。
 私からは以上でございます。

○ 野村会長
 というご説明ですが、結構それでも難しいですよね。ちょっと補足をさせてください。
 マル2番のところに、福祉のまちづくり条例と建築物バリアフリー条例、2つある。これはもうそのとおりです。実はこの条例の生まれ方が違うんです。これから先のことは、都民の皆さんはともかく、私どもはちょっと理解をしておいてほしい。生まれ方が違う。
 要するに、建築物バリアフリー条例というのは親がいるんです。親はバリアフリー新法という法律があるんです。その法律が産み落として、こういう条件でこの範囲だったらそれぞれの自治体で条例をつくって決めてもいいよというのがある。これを行政用語で法令の委任に基づく条例と言っているわけです。ですから、当然それは法律に基づいているわけですから、一定の制約があるわけです。
 一方、福祉のまちづくり条例というのは自治法の14条でしたね。自治体の議会の議決を経て条例をつくることができるという条文が実はございます。これについては、例えばマンションの規制であるとか、あるいは道路を歩いてたばこを吸っちゃいけないよとか、騒音防止条例とか、かなり地域を意識した条例があるわけです。この福祉のまちづくり条例はこれに基づいてつくられている。すなわち、生まれ方が全く違う。
 それを一本化にしようと思っても、生まれ方が違うのだからなかなかできないよ、当然手続も違うわけですから、ということなんですよね。よろしいですか、私は間違えていませんか。
○ 上野都市整備局市街地建築部市街地企画課長
 ありがとうございます。
○ 野村会長
 ですから、それを一本化するのはなかなか難しい。でも、一番大事なことは、(2)の、事業者から届けを出すときに、極端な言い方をすると、あっちへ行け、こっちへ行けと、これはたまらん、何とか1つの窓口で全部わかるようにしてほしいという希望はとても多い。それから、その事務を負う行政の手続上の問題も、窓口がみんな違ったりするものですから、これもとても大変と。それを何とかもっとわかりやすくしてほしい。それをわかりやすくしてほしいというのは事実ですから、なるべくわかりやすくするんだけれども、条例は一緒にできない。逆に言うと、条例は一緒にできないけれども、もっとわかりやすくしたいねという気持ちは私どもは持っています。どこまでできるか、これからやらないとわからないんですけれども、そういう背景があるということでございます。ご理解いただけましたでしょうか。
 参考資料1について、ご質問、ご意見はございますでしょうか。その辺をさらに細かく庁内検討委員会で詰めようかなと事務局は……。
○ 宮村副参事
 資料はございませんけれども、公園作業部会の報告も引き続きさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○ 細岡建設局公園緑地部公園建設課長
 それでは、公園作業部会の報告を申し上げます。公園建設課長の細岡でございます。改めてよろしくお願いいたします。
 公園作業部会は、この間ですけれども、第1回目を開くことができました。まずは、中を見て取り組みの方向性を確認していこうということでした。今回の資料にも多々ございましたように、整備基準と誘導基準の確認をしたわけでございます。その整備基準にありましては、やはりバリアフリー新法との整合をちゃんと図っていこうということで、実を言いますと、公園ではいろいろなハード面のルールがございます。国の規程もございます。国交省で定めたルールもございますが、それより都のほうが上回っているケースもございます。そのあたりについてはあいまいにならないように、国のほうに合わせるというのではなくて、それはうちのほうでやっていきましょうということを確認してまいりました。
 レベル的にはまだそのレベルでございますけれども、1つ大きな今後のマニュアルでありますとか、規則の章立てにもかかわることといたしまして、公園に関するものとしてまず公園・緑地、「・」でつないでいますけれども、その分野と庭園、これは文化財の話が主になると思ってください。それと動物園・植物園というような3つの区別をしてありました。これらは基準面で実際、整備にしろ、誘導にしろ、どういうように定めておるかというと、基本的にあまりその項目で峻別する必要がないのではなかろうかと。きょうはご欠席とのことでございますが、秋山先生からも文化財のあたりの基準のことで発言をいただいたことがございます。えてして庭園の書きぶりを別立てにすることによって、庭園はその措置をしなくていいというような意味合いにもとられるのではないか。したがって、それらはいわゆる公共空地というような考え方で一本化にして、それぞれの項目の特性がございますから、これはできる範囲までとか、いろいろな取り扱いがあろうと思います。公園、庭園、動物園、そのあたりを一本化していこうというのが1つ芽出しをされた新しい項立てとして今検討を始めておるところでございます。
 具体的な文面といいますか、そのところまでは、まだ端緒についたばかりのところで、至っておらないのですけれども、一応今後のスケジュール等も作業部会の中で検討しておりまして、具体的な案としてまとめていきたい、そういう状況でございます。
○ 野村会長
 ありがとうございました。
 なかなか難しい問題がやはり幾つもあろうかと思います。あまり時間がないところで余計な話をしても恐縮ですが、文化財というのはやはり貴重な、ご先祖様から代々受け継いでいかなければいけませんので、それをどうやって守るか、非常に重要なんですね。余計な話というのは、実は日本の文化財保護では、とにかく守らなくちゃいけない。ただし、緊急の場合には一部壊してもいい。実は韓国にはそこのところがなくて、南大門が焼けたときに文化庁の長官が、壊してはだめだと言ったんですね。韓国の条文にはないんです、そこが。それで全部燃えちゃったという話がありまして、これは消防庁関係から聞いた話ですのでかなり正確だと思います。だから、文化庁の長官は辞任しましたよね。そういう問題も実は裏にもありますので、かなり慎重に対応していただきたいと思います。
 実はそれ以外に道路作業部会あるいは公共交通作業部会がございますが、これは私の聞くところによると、4月早々に開催されるというふうに聞いております。

○ 窪田委員
 今の公園の3つの分類を1つにするというお話、もちろん部会での詳細なご検討にお任せするわけですけれども、やはり文化財の周辺の景観については非常に重要な点かと思います。特に東京都さんでは景観条例の中で、ご承知のように、庭園等の周辺の景観形成特別地区を設けられておりますし、そういったところと連動する中で、これまではどうも景観というと、例えばちょっとぐらい使いにくくても美しいものをというような議論がありがちだったわけですけれども、やはりその両方は当然のように両立するものでありますから、特に庭園の周辺あるいは庭園そのものについては両方が両立して、これをやっていけばほかの一般の市街地でも十分両立していくんだというものをお示しいただけるような方向でご検討いただければというふうに思います。
○ 野村会長
 窪田さんには今回初めて委員になっていただきましたけれども、ご専門がそういう景観ということで、今までこの福祉のまちづくりの面では欠けていた視点ですよね。その辺をこれからも充実をしたいということでお入りいただきました。よろしくお願いをいたします。
○ 宮澤委員
 今の公園の作業部会と建築物の作業部会に対して、意見を言っていいんでしょうか。まず公園のほうからいきますが、公園には緑を、当然ですが、緑の全くない公園が結構あって、何かなと思うので、やっぱり公園には緑があったほうが絶対にいいと思うので、もっと言ったら、トカゲがそこら辺をちょろちょろしているような公園がいいんでしょうけど、そのぐらいにしてほしいなという気持ちがあります。
 それから、景観条例というのが今言われましたけど、それとクロスするかどうかわからないんですが、建築物の部会ですけれども、今、東京ってすごく雑多ですよね、ビルとか。それが悪いという意見がよくありますけど、僕はそれが東京になっているので、逆に例えば歌舞伎町のあの雑多さとか、その雑多さが東京なので、そこを残したほうがいいんじゃないかなという気がします。そこは法的に整備しないほうがいいんじゃないかなと思います。例えばギリシャみたいに家を全部真っ白にしてしまえばきれいになるんでしょうけど、東京はちょっと違うと思います。
○ 細岡建設局公園緑地部公園建設課長
 公園の部分についてでございます。先ほどの窪田先生のを含めてですけれども、まだ具体的な議論はこれからでございますので多くを語れないんですけれども、対象物のスケール感、あるいは改修等の規模、大きさなどによって景観を論ずる部分と使いやすさを論ずる部分、必ずしも影響し合わない部分もあります。ですから、そこのところがごっちゃにならないようにということと、双方がまさしく共存するという考えが必要となります。あまり強く影響するようなものというのは、庭園などの場合は、文化財保護の視点から、別の方法を考えなければいけないなというところもあろうと思います。
 あと、宮澤委員からもございました緑の公園というのは、これは言わずもがなでございます。ただ、公園にはいろいろな使い道があるところもありますので、そういうことを踏まえて対応してまいりますので、よろしくお願いいたします。
○ 野村会長
 そういう意味では、公園というのは、これは横矢さんのご専門なんですが、いろいろな犯罪の問題、植え込みのつくり方によって犯罪が発生したりすることがあるので、その辺で何かご意見があればお聞かせいただけないでしょうか。
○ 横矢委員
 子どもを持つ親としては、木を全部伐採するみたいなイメージを持たれると困るねということを最近話していますけれども、やはり人目につかない場所で犯罪が実行されやすい。そうなると、塀との関係も大きいんですが、塀と樹木のうっそうとした形だと悪いことをしやすくなるよという話はあります。ただ、それがどの程度影響を及ぼすのかという証明を今後していかなければならないということで、そちらのほうでも研究が進んでいる状況です。何でもまず撤去してというイメージにならないようにしながら、慎重にそちらの面も考えて、見ていきたいと思っております。
○ 野村会長
 というようなことで、いろいろ問題が実は入っていると。
○ 桜井委員
 私は、以前、造園のコンサルタントにおりまして、公園ですとか、いわゆる屋外空間の設計をしていた立場におりました。その後、がんを罹患しまして、今まで条例、いわゆるこの本はバイブルと呼んでおりまして、これに基づいて全部設計していました。昔の住都公団さんですとか、そういったところもまたそれぞれ持っていますので、そういった設計条例、基準、数値に基づいて全部設計していました。そこから今度自分が、がん患者というのは障害手帳を持たないんです。ところが、皆さん障害は持っているんですね。そういう状態になったときに、今までやっていたことが、設計していたことが、いざ、使う側に立ってみたらこんなにバリアだったんだと。自分が車いすに乗ったり、抗がん剤で疲れていたときとか歩いたときにすごく感じたんですよね。だから、そういう数字だけを追うようなものにはなってほしくないなと。どうしてもバリアフリーとなると、ハード、ハード、ハードとなると思うんですけれども、ハード(hard)だけじゃなくて、ハート(heart)を育てるような哲学的な部分と私が先ほど言ったのは、そういうのも含めて一度議論をした上で、その中でここではこれをやるんだという位置づけの整理が必要かなというのが1つ感じている部分です。
 それから、もう1つとしては、ハード整備に入ってきますと、お金、税金投与が入ってくると思いますので、納税者の方への、先ほどパブコメの話がありましたけれども、あれは本当に重要な話だと私は思っています。自分も病気になるまでは全く福祉には関心がなかったです。それが私は国民の大多数だと思っています。そういう人たちも納税しているんですね。そういう人たちに対して、このまちづくり、今これだけのことをやっているんだということをどれだけ意識づかせるか。そうすると、多分、心も変わってくると思うんですね。そのあたりもかなり重要になってくるんじゃないかなというようなことを、今、皆さんのお話を聞きながら考えていた部分です。
 公園設計していたときなんかは、5%、8%という数字なんかもどんどん年度によって変わってきますので、それでつくっていくと、普通の計算式でやると200メートルのスロープとか出てきちゃうんですね。果たしてそれがバリアフリーなのかというのはすごく疑問に思っていますね。だから、今回いろいろな方がご参加されていらっしゃいますので、何かそういう点を変えられるような一言が入っているといいだろうなと思います。設計事務所なんかだと、なるべくコストを下げて整備するということになってしまいますので、どうしても安上がり、安上がりで、当事者不在の設計というものがふえてきてしまうので、ぜひ皆さんからそういう意見が出たらいいなと思っています。

○ 野村会長
 ありがとうございました。宮澤さん、大分プロがおられますので、ひとつ十分に細かいところまで検討していただきたいと思います。
 私から一言だけ、公園で言うと、公園というと、どうしても管理のことをいつも念頭に置いて物事がつくられがちになっているという実感が私はあるものですから、やはり都民の立場に立ってというところも十分認識をしていただきたいというふうにお願いをいたします。お願いでございます。
○ 越智委員
 まず、建築物バリアフリー条例の問題についてですけれども、私は単純に条例が2つ一緒になればいいと思いましたけれども、野村会長の話を伺って、そんなに簡単ではないものだということがわかりました。法令的な問題だとか、普及などの問題で一緒になればいいなとも思いますので、今後検討していただきたいと思っています。
 それから、公園のことですが、実は2年ほど前に東京都から頼まれて、都内の何カ所かの公園のバリアフリーの視察といいますか、そういうのを行いました。そのときに感じたことは、やはり公園によっては、簡単に言えば、バリアフリーができない公園もありました。岩の道とかもあって、そこはどうしたって車いすは通ることはできない。それはどうしたらいいかということを考えてみました。物理的にバリアフリーというのは限界があるというふうに思います。そういうことを考えると、先ほども出ましたソフト的な部分、特に人の力というのがポイントになってくるのではないかと思います。そういうものも含めてきちっと条例化できればいいだろうなというふうに思っています。
 そのほかにも、外観を損なわないような工夫もできるというふうに思っています。岩の道なども、例えば自然な感じの手すりをつけるとかいうこともできるのではないかと思います。そういうことも含めて検討できればいいなと思っています。
 もう1つ、話は戻りますが、条例のスキームということについて意見を出してもよろしいでしょうか。
 スキームの第6節の中に、情報のバリアフリーの課題に対応するための新たな条項を入れるというふうに書いてあります。それは大変喜ばしいことだと思います。私たち聞こえない立場で情報保障について訴えてきました。ただ、これからのことを考えてみると、聞こえないことはおいといて、情報というのは今後社会の中で1つ大きなポイントになるのではないかと思います。情報化社会と言いますけれども、特に今の社会というのは、情報をうまくとることで大きな効果が得られるという時代になっていると思います。そういう面とか、また、特にインターネットというのはもう1つの社会と言ってもいい状況になっていると思います。インターネットの中でのバリアフリー、ユニバーサルデザイン、そういう基準をきちっと早いうちに固めていかないと、もう手のつけられない状況に、既になっているかもしれませんけれども、今からでもやっていくべきではないかというふうに、この中でやってみたらどうかと思います。
 以前は、視覚障害者が見やすい、わかりやすいつくり方という話が出ましたけれども、いつの間にかそれが消えてしまいましたよね。また、厚生労働省で昔、ノーマネットといって、障害者向けのコンテンツをつくったこともあったんですけれども、あまり普及していません。そのようなことをきちっと条例の中で見直していくべきではないかというふうに思います。そういう意味では、この情報の提供及び用具の品質向上というふうに形が入っているのは弱いのではないかと、きちっと情報のバリアフリー化という面で独立して持っていくことが大切ではないかと思っています。そう考える必要があると思います。
 また細かい面でも、まだまだ情報のバリアフリーという理解がされていないというふうに思っています。今にしても、例えば市橋さんが資料をうまく見つけられない状況がありますよね。私は気づいてお手伝いしていますけれども、その委員会の中で保障すべきではないかと思っています。また、時任さんについても、資料が点字化されているのかどうかというのもわかりませんが、そういうことが大切だと思っています。そういうこともきちっと配慮、そういうことも条例化として入れるべきではないかと思っています。
 また、国連の障害者権利条約にしても、2年間かけてどこまで批准が進むかどうかわかりませんけれども、例えばその中で手話が言語という内容があります。でも、日本で考えてみたら、日本の中で法的な言語の基準というのがないですよね。その整備も必要になってくる。国の整備をまたないで、東京が先に始めてもいいのではないか。そういう新しい取り組みも今後やっていきたいなというふうに思っています。
○ 野村会長
 2つの大きなご意見をいただきましたが、前半は公園のことですから、ひとつお受けいただきたいと思います。
 情報の問題については新たに入れると、それは評価をしていただきました。これは、内閣府のほうでもこれからの5か年計画の中で情報の問題を大きく取り上げてきております。当初は、情報は製品情報という1つの項目ですが、私はぜひそれは2つに分けてくださいというお願いをして、最終的には2つに分けて多分閣議決定がされるのではないかと思います。そういう意味で、情報というのはこれから大変重要だということは国も、もちろんここも認識をしていると。ただ、国の場合にはもう少し難しいユビキタス社会という言葉を使っていますので、ここではそういう言葉をどういうふうに使うか、これから考えなくちゃいけないんですけどね。確かにこういう会議の場面での情報の問題、あるいはいろいろなパンフレットの情報の問題、パンフレットでは最近はQRコードとかSPコードだとか、そういう形で、要するに電子情報ですね。機械にかけると読んでくれるというのがあるんですけれども、そんなことも含めて前向きに検討していきたいというふうに思います。
 ほかに、ご説明の資料のことについて、きょうは第1回目ですからご自由にご発言をいただいて、第2回目以降の資料にさせていただきたいと思います。
○ 宮澤委員
 今、越智さんからもソフト面という話がありまして、ソフト面で僕が考えているのは、もっとみんなが、都民がユーモアのあるゆったりとした社会になっていけばいいんじゃないかなと思うんです。本当に朝から晩まで働き続けて、本当に世知辛い世の中、そうじゃなく、もっとゆっくり、ゆったりと働いてもいいし、6時間ぐらいでもいいと思うんです。趣味や家族を大切にするという社会になってほしいなと思っています。
 ちょっと外れたことを言ったら、ごめんなさい。例えば電車の駅で車いすの方が階段を上ろうとすると、駅員が何人もついて、エスカレーターをとめて、すごく大げさに上っていきますよね。あれ、周りの男の人にちょっと声をかけて手伝ってくださいと言えば、それで済むわけです、多分。乗るときだって、駅員が何人もついて、あんな簡単な板を渡して、放送で、何番どうのこうのですと言って渡さなくても、僕らが頼まれて、ちょっと押してくださいと言われて、押して入れば済むわけなんですよね。そういうことをやっているということは、僕から見ると、大声で、この人はこんな手のかかる厄介な人なんですよとみんなに言っているように聞こえる。本当は頼めばすぐ済むことなのに。
 例えば僕はスーパーでバイトをやっていますけれども、耳の不自由な人が全く声をかけてきませんね。絶対いるはずなんです。耳の不自由な方も絶対いるはずなのに、全く声をかけてこない。僕も少しは手話ができるんですね。なのに、かけてこないというのがあって、だから、生きづらい世の中なんだろうなということを感じるんですけど、それを解消するために、もっとゆったりとした社会になってほしいなと思います。
 それからもう1点、精神障害者のことを言うと、僕は精神から来ているので、精神障害者はやっぱり今でも偏見がすごくあると思うんです。犯罪をする人だとか、そういう偏見があると思います。僕たちは、どこにいても100人に1人がなる普通の病気で、みんなまじめで優しい人たちで、犯罪を犯す人ではない。短時間なら働ける、仕事を下さいというようなことを訴えていきたいなと思っています。

○ 野村会長
 ありがとうございました。いろいろとご意見がありましたけれども、ひとつ記録にとどめておいてください。
 ほかにいかがでしょうか。
○ 田中委員
 初めて参加させていただきます田中でございます。
 ソフトの関係の議論が今あると思うんですけれども、特に知的障害の中で、今、民間同士といいますか、特に市のレベルですけれども、例えば小平市ですと商工会議所と団体が連携してパンフレットをつくりまして、その障害特性を、例えば商店街に障害者が行ったときにお互いに迷わないといいますか、ちゃんとしたコミュニケーションがとれるようにということで、私どもの団体で商店街一店一店にパンフレットを1枚ずつ配りながら説明しているというような動きもございます。
 そういう意味で、ガイドラインをつくるというのももちろん大きな役割だと思うんですけれども、行政と都民との協働もそうですし、民間同士のそういった助け合いといいますか、そういう視点も大いにこれからやっていかないといけないのかなというふうに思っておりますので、そんな部分が、この推進協議会は福祉のほうの推進協議会なのか、まちづくりのハードを中心にしたこの中でやったらいいのかわかりませんけれども、やはり民民同士の協働という視点も非常に大事なんじゃないかなと思っています。その点から具体的な事例を話させていただければと思っていますので、よろしくお願いいたします。
○ 野村会長
 どうもありがとうございました。
○ 岩田委員
 私、実はこの福祉のまちづくり第1期と第2期の委員を計4年間務めさせていただいて、また今回皆さんの仲間に入れていただくことになったんですが、先ほど福祉のまちづくりの名称についてのご提案がありまして、それについてちょっと感じたことをお話しいたします。
 福祉のまちづくりという名称でスタートしたこの会なんですけれども、それが例えば今回新しく違う名称になることでどうなるのかなと私は懸念のほうをしています。というのは、もしこれがスタート時点で「福祉」という言葉がなければ、ここまで進んでこなかったんだと私は思います。先ほど野村会長がおっしゃったように、この十何年の間に、もちろん福祉のまちづくりの中身も変遷というか、進化をしていますし、それから使われている言葉もどんどん変わってきているということも承知しておりますが、もしこの「福祉」という言葉がなければ、ここまで変わったかなというか、よくなったかなというふうに私は思います。
 福祉というのは、本当は高齢者も小さなお子さんも全部含めたことが福祉なのでしょうけど、当時はどちらかというと、対象は障害者という感じでスタートをしたんですね。でも、それが障害者というスタートだっただけに、いろいろな障害を持つ方の意見が取り入れられて、そして、障害者というのは、どっちかというと、全般に関係することなんですね。障害者に優しいということは、つまりは骨折をした人にも優しいし、妊婦にも優しいというふうになってくるので、全部を含めて障害者に優しいまちづくりというスタートは大変よかったと思います。
 例えば今回、福祉のまちづくりの「福祉」という言葉を外したとすれば、どうなるのかなと私はちょっと不安に思うんですね。確かに福祉というと、何か特定されているんじゃないか、もうちょっと一般的な概念でみんなに通用するような言葉がいいんじゃないかというご意見もあるかとは思うのですけれども、これからさらに進めていく上で、一番助けを必要としている人の総合名称としての「福祉」という言葉は大事じゃないかなと思います。
 さっきふと思ったのが、今、養護学校が特別支援学校という名称に変わろうとしているときに、ろう学校が大変反対をしているんですね。一般の方にとっては何でと、ろう学校よりいいんじゃないのと思うかもしれないんですけど、実際の人たちは、ろう学校という名称を残してほしいという大変強い気持ちがあるわけです。それらも踏まえた上で、例えばぴったりくる名称があればそれに変えることも、それは大事かもしれないんですけれども、あまりぴったりくる言葉がなければ、このまま残していただきたいなというふうな私の考えです。
○ 野村会長
 「福祉」という言葉は、実は狭い意味の福祉と広い意味の福祉があるということなんですね。この運動が起こったころは狭い意味の福祉――高齢者、障害者、一般的な低所得者という人たちが福祉の対象、要するに社会福祉の福祉だったわけですね。それからスタートしたのは間違いありません。ただし、今は公共の福祉ということで広い意味の、すべての市民の幸せのためにと。ですから、皆さんがすべての人々の幸せのためにという意味で福祉を使っていればいいけれども、福祉イコール高齢者、障害者というイメージになると、今は逆のイメージ、マイナスのイメージがあるわけですね。その辺の仕分けをどうやって皆さんにわかっていただくか。これは坂巻さんのご専門ですから……。

○ 坂巻副会長
 福祉の概念もどんどん変わってきて、環境問題から地球環境まで含めた、あるいは公園もそうですけれども、社会保障制度審議会というのが昔ありまして、社会保障とは何かという定義をしたときに、すべての国民の安全と安心を保障していくというふうな定義に変えているわけですね。それと同じように福祉の概念も非常に広がってきているので、その概念の広がりを一般の普通の人にどう理解していただくかということも大事だと思います。ですから、どなたかがハードとハートとおっしゃったけれども、この会議はただハードだけではなく、ハートも大事だよというような視点も盛り込んでいかないといけないなという気がしているんですね。ですから、名称そのものをどうするか、またこれからの議論だと思いますけれども、広い意味での福祉という概念で使っていけばいいのかなと私は思っています。この問題に関してはそんな感じですね。
 もう1つ、資料2を見てちょっと気がついたんですけれども、福祉のまちづくり条例スキーム(案)ということで、これは現条例と並べているんですが、第1章総則のところで第4条に「都民の責務」と書いてあるんですね。これは前回の「新たなステージに向けて」では、都民の責務、都民に行政と同じような責任を負わせるのはちょっと問題なので、これは「都民及び地域社会の役割」というふうに呼び方を変えています。ですから、ここのところは「都民の責務」ではなく、新条例の案ですけれども、「都民及び地域社会の役割」という形に直したほうがいいんじゃないかな。それから、福祉のこれからのメインは地域社会なんですね。要するに、地域でもってどう福祉を支えていくかということがこれからの福祉の大きな流れになってきていますので、ぜひそこのところは「都民及び地域社会の役割」というふうに変えていただいたほうがいいんじゃないかと思いますので、その辺をご検討いただければと思います。
○ 宮村副参事
 ただいまいただきましたご意見のように直しながら、再構成の文言整理も含めて進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○ 市橋委員
 まず、さっきの庭園の問題、公園や庭園、僕も公園緑地部の方と、さっき越智さんが言った幾つかの公園を拝見しました。それからもう1つは、駒込にある旧古河庭園に、普通の車いすでは無理なので、もっとタイヤの大きい車いすを、いわば砂浜で使うようなあれを入れるところを検討していたといいますか、そんなところの動きがあるということですけれども、僕が幾つかの庭園や公園を見て思ったのは、庭園、公園1つずつが、例えば庭園でいえば名称があると。しかもその庭園はどういう意味でつくったのか。ここの場合は、例えば池が本当にポイントであるところもあれば、築山がポイントであると。そうすると、例えば築山というのは、別にあれは登るところじゃなくて、殿様が下から見ることがいいところであって、今の東京都の庭園は幾つか登るようになっているけど、あれ、登るのは邪道中の邪道だと僕は思うわけです。
 例えばやっぱりその庭園のポイントなり目的というのをきちっと踏まえた上でどうつくっていくか考えていく必要があるし、僕は、もう1点言えば、公園でも、例えば駒沢公園がスポーツ的な公園であるのに、その役目が本当に今果たされているのかなという疑問を持ちながら、後で提言させてもらいますが、何を言いたいのかというと、僕は、福祉のまちづくり、庭園や公園は難しいことがいっぱい多いよということを言ったときに、そこで一番提起してもらいたいのは、この公園、庭園、それだけじゃありません、建物もそうかもしれない。何の目的で、何のためにつくってあるかという目的をきちっとしながら、その上でバリアフリーがどうできるかということをきちっと考えていく必要があると。そこの提起が弱いと、バリアフリーとその目的とが食い違ってしまう危険性があるなということをつくづく感じているので、そこら辺をやっていきたいと思います。
 2つ目で、資料2の条例のスキームですけれども、2つ、僕は言いたいことがあります。
 1つは、第1回目からやっていた住宅の問題です。この間の改正で若干は広くなりましたけど、住宅整備という問題では、やっぱりどう考えていくかはちょっと時間をかけて協議をしていただきたいと思います。それが1つです。
 2つ目は、名称なり理念の問題でいろいろ出ていたけれども、僕は、条例に書き込むかどうかはともかく、やはり平成7年に条例がつくられてから今日まで、僕は障害者の団体ですから言いますけど、障害者福祉はいろいろな変遷があってここまでになっています。だけど、まちづくりの点ではかなり進んだということは、仲間が一筆書いているんです。じゃ、何で進んできたのか。これは、今こそこういうことはいろいろと意見を言わせていただきたいところですけど、進んできた道筋をきちっと都民の前に示しながら条例を変えて、例えば議会なんかで私たちがこうやっても、この条例はきのうの銀行条例と違って、反対や賛成が会議録に載る可能性は少なくて、さっと通ってしまう条例だと思います。そうじゃなくて、この条例が生まれて育ってきた意義というものを都民の前にきちっとするチャンスを持ちながら条例改正をしていただく、その道筋をつくっていきたいなと思います。
○ 野村会長
 大変貴重なご意見、ありがとうございました。

○ 仲島委員
 条例とかなんかの中で規定できるのは、建築物ですとか道路ですとか公園とか、こういう固定物が対象になってしまうかと思うんですが、什器ですとか、その辺についても条例の中で規制できないまでも、何かガイドブックとか指針みたいので提供もしていけるような方法をとっていただければと思うんです。といいますのは、実は私がリハビリに通っていた区のスポーツセンターが最近リニューアルしまして立派になったわけなんですが、ロッカーが今まで通常のスーチルロッカーだったけど、立派なロッカーになって、自動的に閉まるロッカーになったんですね。そうすると、私、片麻痺ですと、開けたところを頭で押さえながらやっていかなきゃいけない。お金をかけて、かえって無駄になっちゃったと。そういうことを規制しないでも、こういうこともありますよというガイダンスみたいのをやっていければと思うんですが、よろしくお願いいたします。
○ 野村会長
 推進体制というようなところでちょっと考えて……。
○ 仲島委員
 それで一番最初に推進か、条例かということで質問したんです。
○ 時任委員
 僕、随分いろいろなところで会議に参加していますが、会議で点字の資料を出していただけるのは、盲人会の会議は別とすると、財団法人東洋療法研修試験財団、これはあんま・マッサージ・指圧・はり・きゅうの試験を厚生労働大臣から委託されている財団です。ここの理事会、評議員会と、もう1つは厚生労働省の職業安定局障害者雇用対策課、これの会議は大体点字が全部出るんです。ところが、悲しいことに会議の中で実際に発表したりなんかされるときにほとんどパワーポイント。つまり、何とかかじりついて聞いていないとわけがわからなくなるという状況です、というのがまず1つ。
 2つ目は、ユビキタス社会とかIT社会とか言われていますが、東京都のホームページは大丈夫なんですよ。盲人用のデータ読み上げソフトでPC-Talkerというのがあるんです。これで読めるのは中央官公庁の中では総務省と厚生労働省だけです。あとはひっかかりません。そういうふうに、いろいろ言われている中ではどうしても置いてけぼりになっている部分があるということを話したかっただけです。
○ 野村会長
 情報のところでひとつお願いをします。
 ちょっと時間が少なくなりましたので、端的にお願いします。
○ 川内委員
 本当に時間がないのにすみません。今議論を聞いていて、少しコメントを言っておかないといけないと思うので申し上げます。
 まず、宮澤さんがおっしゃった駅などで駅員さんがくっついて大げさにやっているというふうなこと、趣旨はそういうことではなくて、ごく自然にほかの方も手伝えばいいじゃないかということだと思うんですね。それはそれでいいと思うんですが、例がちょっと私にとってはひっかかるもので、例えば駅の階段をみんなで担げばいいとか、あるいは電車の乗りおりのときにみんなで手伝えばいいと。それをやったこともあるわけですね。だけども、例えば駅の階段を担ぐというのは、担がれる側にとっては落とされるとか、担ぐ側もぎっくり腰になるとか、大変なことだったわけです。それから、電車の乗りおりも、例えば電動車いすなんかだと、ああいう段差は橋もなく乗りおりすることによって溝にタイヤがひっかかるとか転落するとか、いろいろあったわけです。ですから、橋を使ってきちんと溝や段差を埋め合わせてやりましょうと。本来はそういうものがない鉄道システム、あるいは上下移動でもエレベーターをきちんとつけて、ほかのお客さんと同じようにスムーズに乗りおりできるのがいいというのがあって、それをずっと求め続けていて、だけど、それができない場合に過渡的にああいう橋を使いましょうということになっているので、そのあたりはご理解いただきたいというふうに思います。
 それから、岩田さんのほうでおっしゃった障害のある方に優しいものはみんなに優しいというのは大きな誤解ですので、よくおっしゃいますけれども、例えば私にとって点字ブロックは邪魔です。だけども、それで視覚障害の方に点字ブロックをつけるなと言うつもりはありません。問題なのは、お互いにニーズがぶつかり合うときに、これは絶対必要なんだからこのままでいきましょうではなくて、いかにしてお互いのぶつかり合っているニーズに折り合いをつけるような技術を開発していくかで、そういう意図を持たない限り、障害のある方に優しいものはみんなに優しいということにはなり得ません。そういう場合もあるけれども、そういう場合でない場合もあります。このあたりはよく言われることですけれども、一言申し上げておかなくてはいけないと思います。
 それから、「福祉」という言葉についても、もともとのというのはわかります。野村先生がおっしゃったように、福祉の概念が変わってきている。狭い意味の福祉から広い意味の福祉に変わっているときに、福祉という言葉がつくことによって一般市民のイメージがずっと狭い意味の福祉でイメージを持たれるというのが多分問題なんだろうというふうに思います。それは先ほど桜井さんがおっしゃったように、設計の現場ではバリアフリーの配慮というのはやっぱりつけ足しなんですね。あるメインのものがあって、メインのものを設計した後、つけ足しとしてほかのものをつけよう、こういうバリアフリーのものをつけようとするから非常に難しい、ややこしい変なものになっていくわけですね。
 これをつけ足しではないように考えようといったときに、普通のまちづくりと福祉のまちづくりという二本立てになることによって、つけ足しというイメージが出てくるんです。しかも福祉という言葉がつくことによって、何かそれは恩恵的な社会の付加としての考え方というのが、どうしても色合いが今までついてきた。それをいかにして薄めていくか、なくしていくかというところでタイトルということを申し上げているわけで、このタイトルを絶対に変えなくちゃいけないということを申し上げているんじゃないんです。いかにして意識を変えていくか、そのシンボリックなものとしてタイトルを考えましょうと言っているわけです。これでいい言葉がなければ、この福祉のまちづくりということを残さざるを得ないというお考えはわかります。それはいい言葉を考えつけなかった私どもの問題だろうと思いますけれども、その狭い意味から広い意味にどうやって理解を深めるかというところをもう少ししっかり考えていきたいなというふうに考えています。

○ 野村会長
 ありがとうございました。
 すみません。時間が来てしまいましたので、私からの最後のお願いを1つしておきます。今お手元に東京都福祉のまちづくり条例及び東京都福祉のまちづくり条例施行規則が配付されました。実は次期の会議に対してこの2つ及び、きょういただいた資料2、この条例のスキームの変更、この変更を検討するにはやっぱり本文がないといけないということでお配りいただいたわけです。ですから、この2つと資料の2、そして初めからございます「ハートフル東京推進プラン」、この辺をひとつよくお読みいただいて、そして次回の会議に備えていただきたい。私、大変厳しいことを言うんですが、委員として座っているこの席だけが委員ではなくて、委員の任期中ずうっと委員だよということですので、ひとつおうちでじっくりとお読みいただきたい。それで次回の会議に備えてほしいということでございます。
 それでは、事務局にマイクをお返ししますが、大体次期の会議はいつごろかということをお知らせください。
○ 宮村副参事
 本日はどうもありがとうございました。
 次回でございますが、5月に開催を予定しております。日にちといたしましては5月の下旬を考えておりますので、またご連絡をさせていただきたいと思います。次回は5月下旬の予定でございます。
 それでは、今回たくさんのご意見をいただきましたけれども、今後ともよろしくお願いいたします。
 本日はどうもありがとうございました。

  閉会午後0時02分

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