第7期第2回東京都福祉のまちづくり推進協議会 議事録

更新日

議事録

1 日時

平成20年11月14日(金曜日)午前10時01分から午前10時53分

2 場所

東京都庁第二本庁舎31階 特別会議室27

3 次第

開 会
 議事
  審議事項
 ○ 東京都福祉のまちづくり条例の改正及び推進計画策定の基本的考え方(案)について
閉 会

4 出席委員

野村会長 高橋(儀)委員 秋山委員 窪田委員 今井委員 小林委員 高橋(正)委員 平林委員 海江田委員 茂木委員 市橋委員 越智委員 時任委員 田中委員 岩田委員 仲島委員 桜井委員 松本委員 森下委員 

5 配布資料

資料1 東京都福祉のまちづくり条例の改正及び推進計画策定の基本的考え方(案)
資料2 審議経過
○ 東京都福祉のまちづくり推進協議会設置要綱
○ 第7期東京都福祉のまちづくり推進協議会委員名簿
○ 第6期東京都福祉のまちづくり推進協議会
  「福祉のまちづくりの新たなステージに向けて」
○ 東京都福祉のまちづくり条例「施設整備マニュアル」

6 議事録

 開会午前10時01分

○ 花本福祉保健局生活福祉部副参事(地域福祉担当)
 本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。定刻となりましたので、第7期第2回福祉のまちづくり推進協議会を開催させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、本日の委員の出欠状況について報告させていただきます。本日は坂巻副会長、川内委員、並木委員、横矢委員、増田委員、山田委員、井上委員、志村委員、石阪委員から、ご欠席との連絡をいただいております。それから、高橋委員、市橋委員、桜井委員はまだ到着されておりません。
 続きまして、お手元の会議資料の確認をさせていただきます。まず、推進協議会の会議次第、A4、1枚の紙と、資料1としまして、「意見具申(案)」を配付しております。 これにつきましては、事前に委員の皆様に配付送付させていただいたものと同じものでございます。資料2は「審議経過」でございます。
 それと、番号は振ってございませんが、推進協議会の設置要綱、推進協議会の委員名簿、第6期の推進協議会「福祉のまちづくりの新たなステージに向けて」、こちらの冊子でございます。それと、こちらオレンジ色の「施設整備マニュアル」を置かせていただいております。そろっていないものがございましたら、事務局にお申しつけください。
 また、本日は傍聴の方がいらっしゃいますので、お知らせいたします。
 なお、当協議会の議事録でございますが、東京都のホームページに掲載されまして、インターネットを通じて公開されますので、申し添えさせていただきます。
 では、会長、よろしくお願いいたします。
○ 野村会長
 おはようございます。本日、大変お忙しい中をご出席いただきましてありがとうございます。ただいまから第7期第2回福祉のまちづくり推進協議会を開催いたします。
 それでは、議事に入らせていただきます。お手元に資料がございます。資料2に審議経過が載っておりますが、これによりますと、今年の3月末に第7期の推進協議会が立ち上がりまして、今期のテーマは第6期の後期でまとめました「福祉のまちづくりの新たなステージに向けて」をもとにいたしまして、東京都福祉のまちづくり条例の改正と、推進計画策定の基本的な考え方をずっと審議してまいりました。この間、専門部会を4回ほど開催して、まとめてまいりました。委員の皆様には限られた時間の中でございましたけれども、大変熱心にご討議をいただきまして、まことにありがとうございました。今日、その最終調整したものがお手元にございます資料1でございます。これについても、もう既に皆さん方からいろいろとご意見をいただいております。それを極力反映させていただきました。今日、お手元にあるのは前のと同じということですが、既にお目を通されて、基本的にはご了解をいただいていると考えております。したがいまして、本日は事務局から概要のご説明をいただきまして、その後、福祉保健局長へ報告をお渡しするという手順で進めさせていただきたいと思います。ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
 では、事務局からご説明をお願いいたします。
○ 花本副参事(地域福祉担当)
 それでは、お手元の資料1、「東京都福祉のまちづくり条例の改正及び推進計画策定の基本的考え方(案)」の概要をご説明いたします。
 まず1ページめくっていただきまして、目次をごらんください。2章立てになっておりまして、まず第1章に、条例の改正に向けた基本的な考え方、第2章に推進計画策定に向けた基本的考え方をまとめてございます。それでは、2ページから説明させていただきます。
 まず第1章でございますが、1番としまして、福祉のまちづくり、推進協議会によるこれまでの審議の経緯についてまとめております。(1)のこれまでの福祉のまちづくりでございます。東京都は、平成7年に、東京都福祉のまちづくり条例を制定しまして、バリアフリー化を進めてまいりました。第4期の推進協議会からの意見具申、「『21世紀の福祉のまちづくりビジョン』のあり方について」におきまして、これまでのバリアフリーの視点から、ユニバーサルデザインの考え方に立って福祉のまちづくりを進めていくことの重要性についての提言を受けまして、東京都としましては、ユニバーサルデザインの考え方に立った施策を推進してきております。
 3ページからは、直近の第6期の推進協議会での審議の状況についてまとめております。○の2つ目でございますが、第6期の推進協議会では、現行条例の改正も視野に入れまして、東京都における福祉のまちづくり施策の現状と課題を整理した上で、今後の方向性について示しています。
 一番最後の○ですけれども、福祉のまちづくりの取組を効果的に進める仕組みとしまして、各プロセスで利用者の声を反映しながら、段階的・継続的な発展を図っていく。スパイラルアップの仕組みの重要性についても述べています。
 次のページ、4ページの図1にそのイメージ図が載せてあります。そのほか、東京都や区市町村、事業者、都民、及び地域社会がそれぞれの責務や役割を務めながら、相互に連携し共同していくことの必要性についても述べています。
 また、バリアフリー新法や建築物バリアフリー条例との関係整理をすることも必要であるとしております。
 これらを踏まえまして、今後の福祉のまちづくり条例は、ユニバーサルデザインを基本として進めることを前提に、バリアフリー新法や建築物バリアフリー条例が対象としていない小規模の建築物や既存建築物のバリアフリー化の取組を充実させることや、地域住民、地域組織、NPOなどの自主的な活動を推進していくことが新たな役割であるとしております。
 また、推進計画の策定により福祉のまちづくりの取組を、総合的かつ計画的に進めていくことが必要であるともしております。さらに、第7期の推進協議会における審議に向けまして、5ページに掲げてあります丸1から丸4までの4点を検討課題として挙げています。
 これにつきましては、5ページの中ほど以降ですけれども、これらを踏まえまして、第7期の推進協で整理した内容についてまとめております。まず(1)福祉のまちづくり条例の新たな基本理念でございます。今後の福祉のまちづくり条例は、特定の人への取組から一歩進んで、すべての人にとって使いやすい環境となるよう、ユニバーサルデザインを基本理念とすることを明確に位置づけるべきであるとしております。
 また、6ページでございますけれども、福祉のまちづくり条例の新たな定義として、今、福祉のまちづくりという言葉が高齢者や障害者を主に対象とした取組という印象が依然としてございます。そういった中で、新たな条例がユニバーサルデザインの考え方を基本として、高齢者や障害者を含めたすべての人を対象としたものと認識できるように、条例の名称を変更するかが、7期の審議会の中でも論点となっております。
 その中で、今後の条例の対象者につきましては、高齢者や障害者だけではなく、幅広くとらえていることが明確にわかるようにすることが必要であると。また、福祉のまちづくりについても、高齢者や障害者を含めたすべての人を対象とした取組であるということを、改めて明確に定義することが必要であるとしております。
 これらのことを踏まえまして、東京都の新たな条例の名称に、福祉のまちづくりという言葉が引き続きふさわしいかどうか。一方で、「公共の福祉」という広い概念で福祉をとらえる考え方もあるということで、事業者や都民に周知していくことで、このまま使用するかどうかを総合的に判断すべきであるということでいただいております。
 次に、8ページでございます。福祉のまちづくりの推進主体と総合的推進でございます。現行条例でも福祉のまちづくりを進める主体として、東京都、事業者、都民がそれぞれの立場で責務を果たし、協働することを条例で規定しています。今後の福祉のまちづくり条例でも、ユニバーサルデザインを基本とすることによりまして、取組の範囲が広がることから、東京都や区市町村、事業者、都民による連携がより一層重要となってきます。このことから、それぞれが責務を果たし、福祉のまちづくりに取り組んでいくことが結果として都民の生活の向上につながるということについても示す必要があるとしております。

下の図2に福祉のまちづくり推進主体の連携(イメージ図)を示しておりますけれども、これらの推進主体が相互に連携して、総合的に取り組んでいくことが重要であるとしております。
 続きまして、9ページの3番、新たな福祉のまちづくり条例に基づく施策の推進でございます。
 福祉のまちづくりの推進におきましては、建築物、道路、公園、公共交通施設、路外駐車場など、施設整備に当たって、個々に整備していくだけではなく、総合的に連携して取り組む必要性が求められております。また、ハードの部分で整備基準を満たしていても、情報が伴わず、利用しづらいということもございます。したがって、ハード、ソフト、一体的な整備についての重要性を条例の中に改めて明記することが必要であるとしております。
 以下、具体的な施策としましては、住宅の供給、建築物、道路、公園、公共交通施設、路外駐車場の整備について示しています。
 10ページの○の5つ目をごらんください。施設整備における整備基準や整備項目などについて、バリアフリー新法や建築物バリアフリー条例との整合性を図るとともに、届出義務を課している一定規模の特定施設について、現行の努力義務から遵守義務とし、実効性をより一層高める必要があるとしております。
 また、11ページにも記載しておりますが、都民に身近な建築物、物販店や飲食店などといった建築物について、日常の生活の中でバリアフリー化の進展を実感できるような、実効性のある整備方策を規定していくことが必要であるとしております。また、障害者の就労支援に向けた環境整備の促進という視点を盛り込んでおります。
 続きまして、12ページです。情報の共有です。こちらにつきましては、新しい条例の中に新たに位置づけることが必要であるということで、東京都は高齢者や障害者を含めたすべての人が円滑に利用できるように、情報の共有・伝達の充実に必要な施策を推進することが必要である。
 また、事業者は必要となる情報をわかりやすく提供し、円滑に利用されるように努めることが必要であるとしております。
 次に、(4)教育及び学習の振興でございますが、高齢者や障害者を含めたすべての人への理解促進を進める上で、学校における教育の推進や生涯学習の充実のますますの重要性について述べております。
 5番目としまして、広報活動等の普及啓発でございます。理解促進の手段の一つとして、広報活動を継続的に行っていくことの重要性について述べております。また、福祉のまちづくりに先進的に取り組んでいる事業者や団体、個人に対しての表彰制度についても、今後、より一層、積極的にPRしていくべきであるとしております。
 次に4番の推進基盤の整備に向けてでございます。現行条例では、福祉のまちづくりを進めるための推進基盤として、福祉のまちづくり推進協議会や、推進計画の策定等について規定していますが、ユニバーサルデザインの考え方に立った福祉のまちづくりを推進していくためには、この推進基盤は重要であります。今後も引き続き、推進計画の策定等を進めていくことが必要であるとしております。
 これを受けまして、15ページの第2章以降に、推進計画策定に向けた基本的な考え方としてまとめております。まず、計画の目的でございますが、推進計画は福祉のまちづくり条例に基づく、福祉のまちづくりを進める上での基本となる計画であります。今回の条例改正に合わせ、推進計画についても新たに策定する必要があるとしています。
 また、東京都におけるほかの計画との関係でございますが、福祉のまちづくりは、高齢者や障害者を対象としたバリアフリー化のための特別な施策としてとらえるのではなく、あらゆる施策の中に当然の視点として組み込んでいくことが重要であると。そして、福祉のまちづくりに関係する各施策の推進に向けて策定する、その他の計画と相互に連携していくことが必要であるとしております。
 なお、計画期間については、社会環境の変化に柔軟に対応していく必要性などから、5年程度とすることが望ましいと考えております。
 次に、推進計画におけるスパイラルアップの仕組みづくりですけれども、第1章でも述べておりますが、計画策定時や計画期間中、終了後に、事業者や都民が参加のもと、意見を聞き、評価を行い、次の計画や施策の実施に反映させるための仕組みづくりが必要であるとしております。
 また、評価に当たりましても、具体的な評価対象や指標の作成など、評価システムの構築については、引き続き、今後も検討していくことが必要であるとしております。
 次に推進計画の施策の体系でございますが、図4をごらんください。~すべての人が安全、安心、快適に暮らし、訪れることができるまちづくり~の実現に向けまして、こちらに掲げていますような5つの柱、「生活者の視点に立ったバリアフリー化の推進」から、「基盤づくり」まで、5つの柱に立った施策体系とし、これによって福祉のまちづくりにかかわる全庁的な取組を、総合的かつ計画的に進めていく必要があるとしております。
以上が条例改正及び推進計画策定の基本的な考え方(案)でございます。
○ 野村会長
 どうもありがとうございました。ただいま事務局から要点のご説明をいただきました。
 先ほども申し上げましたように、事前に皆様方に原案をお送りして、ご意見をいただいているところでございます。それをこの中に盛り込みまして、それで最終案を作成いたしました。ということで、「東京都福祉のまちづくり条例の改正及び推進計画策定の基本的考え方(案)について」、ご承認いただけますでしょうか。よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
○ 野村会長
 どうもありがとうございました。
 それでは、ご承認をいただきましたので、この報告書を冒頭からお見えいただいています安藤福祉保健局長へお渡ししたいと思います。よろしくお願いいたします。
(報告書手交)
○ 野村会長
 平成20年11月14日、東京都知事 石原慎太郎殿、東京都福祉のまちづくり推進協議会会長 野村歡。東京都福祉のまちづくり条例の改正及び推進計画策定の基本的考え方、意見具申、表記について、本推進協議会として別紙のように意見をまとめましたので、具申いたします。
 よろしくお願いいたします。

○ 安藤福祉保健局長
 どうもありがとうございました。確かにお受けいたします。
 ただいま野村会長から福祉のまちづくり条例の改正及び推進計画策定の基本的考え方につきまして、ご意見をちょうだいいたしました。第7期の協議会の委員の皆様方には、今年の3月に発足依頼、大変お忙しい中を、また、短い期間にご熱心に審議をいただきまして、誠にありがとうございました。改めて、感謝を申し上げます。
 このまちづくり条例は、平成7年に制定されて今年で13年となりますが、この間、本協議会からさまざまな貴重なご意見をいただきながら、これまでのバリアフリーの考え方から一歩進みまして、高齢者や障害者を含めたすべての人への取組となるように、ユニバーサルデザインの考え方に立って福祉のまちづくりを展開してまいりました。 本日は本格的な、現在の少子高齢社会の到来、そして、福祉のまちづくりを取り巻くいろいろな環境の変化を踏まえまして、ユニバーサルデザインの考え方に立った福祉のまちづくりを一層推進していくということで、条例改正案と推進計画の考え方をちょうだいいたしました。今後、この意見具申で示されました内容の実現に向けまして、これまでの福祉のまちづくりをさらにステップアップする取組をしていきたいと思っております。
 皆様、ご存じのとおり、東京都では2016年に開催いたしますオリンピック、パラリンピック競技大会の開催立候補都市となっておりますけれども、その前に、2013年に東京国体を多摩を中心に開催することも決まっております。つけ加えさせていただきますと来年の9月でありますけれども、私どもが当局で招致しておりますけれども、アジアの障害を持った青少年の方々のスポーツ大会を東京で開こうということで、今進めておりまして、パラリンピックのユース版と思っております。アジアの青少年の方々にお出でいただくことになっております。
 こうした国際的なイベントはもちろんのことでありますけれども、東京で生活をしていらっしゃる高齢者の方々やお子さん、あるいは障害のある方、そして、外国からの方々も含めて、すべての人々が安全、安心、快適に暮らし、訪れることができる東京となるように努めていく必要があると思っております。
 各委員の皆様方には、今後の審議につきましても、引き続き広い視点から活発なご審議をいただきたいと思っております。どうかよろしくお願いいたします。本日は大変ありがとうございました。
○ 野村会長
 意見具申をお渡しいたしましたけれども、まだ時間がありますので、これをまとめるに当たって、何かご意見、ご感想があれば、一、二、お聞かせいただけたらと思いますが。
○ 秋山委員
 よろしいですか。
 福祉のまちづくりの枠の外側の問題が相変わらず抜けていて、東京都の窓口がないんですけれども、障害者、高齢者のモビリティーについて、確かに見えるものについては解決しているんですが、移動困難な人に対するドアツードアサービスなどについては、ほとんど都は手をつけていらっしゃらないんです。ロンドンは、リビングストン市長が、そういうものを全部行政がやるということで引き受けて、ダイヤル・ア・ライドだけでも200億円の出費をしております。そのほか、アンビュランス・サービスとか、いろいろあります。そういうことからすると、東京都はゼロ円なんですよね。
 そこの部分は、まちづくりについては、おそらくユニバーサルデザインという言葉が使われていると思うんです。最近、ユニバーサルデザインのトップの人が2003年の国際ユニバーサルデザインの会議のところで、アマルティア・センの言葉を引用して、彼のケーパビリティーアプローチというのは、とてもすばらしいということをおっしゃって、ユニバーサルデザインもそっちの方向に行かないといけませんねというのを彼女の口から聞いたことがあります。ケーパビリティーアプローチというのは、障害者、高齢者の潜在能力をできるだけ引き出すという観点で問題を解こうとしているという部分でございまして、おそらくノーベル経済学賞をいただいた人だと思います。
 これについては研究をやっているんですが、ファンクションをどう定義するかというのは極めて難しい問題で、具体的なレベルではまだ解けてはいないんですが、そういうことも研究者の中ではぱらぱらやられていると。次の課題としては、スペシャルトランスポートを含むディマンド型の交通システムを東京都としてどうかかわるかをきちっと整理していただかないと、ほんとうに困ってしまっていると。今、人権の問題で、世界の中で、多分日本が98番目という数字が出ていたと思うんですが、イギリスは10何番目。この差は、まさにそこにあるんだろうと。基本的に、外出を尊重していない国という部分と尊重している国という部分が、日本ではまだ混在していて、尊重していないところはおくれていると。
 本来、交通局がやるべきところなんですが、やれてないんです。そういう意味で、コミュニティーバスというのを確かにやっているかもしれませんが、コミュニティーバスの計画自体も、今、大きな問題になっておりまして、しっかりと地域のモビリティーニーズのためのちゃんとした計画を立てましょうと国は言い始めておりますので、そういうことも含めてモビリティーの原点から、最初から考えていただきたいなと。そういう意味で、福祉部局がやるのか、都市整備局がやるのか、難しい問題ではありますが、どこかで一度相談をしていただけないだろうか。
 私はこの会議に出て20年近くたっておりますけれども、一つも進んでないんです。ですから、何とかここは頑張ってほしいなと思っております。以上です。
○ 野村会長
 貴重なご意見ありがとうございました。もうお一方、どなたか。
 それでは、市橋さん、お願いします。
○ 市橋委員
 何日か前にこれを持って帰ってもう一回読み直して、そして、ここは細かいところをもう一回読み直して思ったんですけれども、大きく言って2つ言います。
 今、秋山先生が言われたように、福祉施策と、まちづくり施策がほんとうに一体化しているかというと、一体化していないと。これ、もうちょっと書けばよかった、この11ページ、都は「東京都障害者計画・東京都障害者福祉計画」と関連しているのは、就労ということに限ってしまったのだけど、そうではないだろうと。もっと多くの福祉サービスとの関係をもっと考えていかないといけないんじゃないか。これは、これからの僕らの課題にするべきだと思います。
 もう一つは、住宅の問題はかなり書いてはありますけれども、住宅の根本的な供給の問題は東京都に住む障害者並びに障害者だけじゃありませんで、お年寄り、あるいは若い子持ちの人、そういう、個々の住宅の問題はまちづくりの一環として、取り上げていただきたいと改めて言いたいと思います。
 3つ目に、整備計画、細かいところをつくる中で、もう一回僕がやっていきたいと思いますことは例えば、この間見て、もっと言わなきゃいけないなと思ったのは、例えば、公会堂、劇場みたいなのに、車いす席1以上をつくらなきゃいけないということを書いてある。1だったら、車いすの人はデートもできないわけです。そして、僕らは今、僕らが進んで、障害者が車いすで集団で動くことって非常に多いわけです。
 例えば、この間も、「ちょっと出てこないか」と、仲間から来て、地下鉄を2回乗りかえたら、普通、30分で行くところが1時間半かかっちゃった。これはもう、いたし方ない問題なのか、新しい課題として、障害者も車いすも集団で動くんだよというところの、新しい社会参加の観点を、もう一回僕は大きく目を開いてやらないといけないんじゃないか。
 この間、野村先生から、一番の課題だと言われた、居酒屋の前の段の問題も含めて、社会参加というのは、もっと大きな観点、僕もまだまだ小さいなと思って、もっと大きい観点で、この協議会が審議を進める必要があるんだということを改めて思いました。
○ 野村会長
 お二人の方から大変貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございました。これにつきましては、事務局並びに会長として、今、これからの審議にどのように反映させていくか、検討させていただきたいと思います。
 ということで、東京都福祉のまちづくり条例及び推進計画策定の基本的な考え方に関する審議はこれで終わりにしたいと思います。
 なお、前期の審議事項は、このほかに、新たな条例に基づく整備基準についても、現在、専門部会において審議中でございます。推進協議会の今後の予定等について事務局からご説明をいただきたいと思います。

○ 花本副参事(地域福祉担当)
 ただいま、野村会長からお話がありましたとおり、本日いただいた意見具申をもとに、今後東京都としましては、必要な手続を進めていきます。その都度、委員の皆様にはご報告させていただきます。また、新たな整備基準につきましては、今、専門部会で検討をお願いしているところでございます。こちらにつきましては、来年の1月下旬には、また推進協議会を開催させていただきまして、(案)についてご審議いただく予定となっておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○ 野村会長
どうもありがとうございました。ただいま事務局からもご説明がありましたように、本日意見具申をいたしましたけれども、まだ福祉のまちづくり条例の改正に関連した整備基準に関する検討は残っておりますので、引き続き、委員の皆様にはよろしくお願いしたいと思います。
 では、まだ多少時間がございますので、福祉のまちづくりに関して、委員の皆さんが感じておられる課題、先ほど、秋山さん、市橋さんからご意見をいただきましたけれども、全体を通して何かご意見があれば、ご意見、ご要望を承りたいと思います。
 いかがでしょうか。特にございませんか。はい。
○ 高橋(儀)委員
 東洋大学の高橋儀平です。よろしくお願いいたします。
 きょう、条例の改正の方向と推進計画の策定についての考え方が示されたところですけれども、これについては、これまでも議論されていたところなんですが、まず、実行方策、考え方の中にも出されているところですけれども、東京都はこの福祉のまちづくり条例と合わせてバリアフリー条例を持っているわけなんですけれども、今回、そういう方向での改正を思案されている、基準についてもそういうことが現在の(案)として出されているところですが、福祉のまちづくり条例の限界というものを、もう少し丹念に確認をして、これはすべての区市町村で確認されていると思いますけれども、義務化の及ばない部分に対して、どのような方策をとっていったらいいかということを、改めて議論する必要があるのではないかと思います。
 これは、条例そのものの基準ということではないかもしれませんけれども、よりここで表明している実効策を立てるという前提の関係各機関と、各業界団体等も含めてそうですけれども、そこが非常に重要になってくるなと思います。
 それから16ページにも書かれていますが、全庁的な取組という施策の、これからの推進計画の体系のところで、ここがなかなか横につながっていかない。難しい局面も非常にあるわけなんですけれども、庁内合意と連携、各団体との連携等も含めて、さらに促進していかなければいけないということが2つ目。
 もう一つは、3つ目は、これも今回の条例の方向の中にありますけれども、都民の参加の問題です。これまでも繰り返し議論されてきているところですけれども、福祉のまちづくり、ユニバーサルデザインのまちづくりで、都民の方々が一番不満に思うのは、参加したいと思う人たちが参加できないというシーンです。これをどういうふうにやっていくのか。これは評価のシステムの中でも書かれているかと思いますけれども、この不満は完全には解き放たれないわけですけれども、表現はおかしいんですが、一歩でも参加したからゴールがいいかというと、これはまた難しい問題なんですけれども、とにかく同じテーブルにつくと、ほんとうに抜本的な、基本的なところの福祉のまちづくりの進め方の原点がある気がいたしますので、これについても忘れないで進めていただければと思います。よろしくお願いします。
○ 野村会長
 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。どうぞご遠慮なく。
 どうぞ。
○ 今井委員
 株式会社ユーディットの今井です。ここで決められた理念自体は非常にすばらしいものだと思うんですけれども、どのようにしてこれを実現するかということが大きなポイントになってくると思います。そうすると、すべてを理想的な形でというのは、非常に難しいと思いますので、ほんとうに困っているところはどうなのかというのも見きわめていく必要があるのではないかと思います。
 それに関しては、人が生きる、生活しているということを中心に見据えていきますと、先ほど秋山先生がおっしゃったようなサービスの欠如も見えてくるのではないかと思います。
 実際に生活するという視点で見直すことが重要になると思います。イギリスでの施策は、そういった点が非常にすぐれておりまして、ほんとうに生活ができるのか。快適に生きられるのかという視点で見直す必要もあると思います。
 また、フィンランドの教育なども最近盛んに取り上げられておりますけれども、教育も非常に大切だと思います。評価の点に関しましても、単に大人が評価するということだけではなく、小学生、中学生などにも、例えば、UD探検隊のような形で現場を見て、自分たちで町を見て、参加するという方向も、今後、大事になってくるのではないかと思います。
 海外では、小学生や中学生などもかなり自立して、考えを持つように教育されておりますので、今後、子供たちも小さいまちづくりに参加して、そういう目でものを見られるようにという意味でも、そういった活動もお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○ 野村会長
 ありがとうございました。
 どうぞほかの方もご遠慮なく。まだ時間がございますので。

○ 松本委員
 松本です。私、今期から初めてこういう議論に参加させていただいたんです。参加して学ぶ点とか、理解する点はたくさんあるんですけれども、実際に参加する前までは福祉のまちづくりについて知らない部分が多くて、私以外の一般の方々も皆さん、知らない点が多いと思うんです。こういうことが行われていることも知らないし、こういう条例があるということすら知らないというのがあるので、その点で広く皆さんに知っていただけるような、こういう薄い冊子ですけれども、内容が難しいので、わかりづらい点が多いので、もっと簡単に知っていただけるようなことを、何か考えていただければと思います。
○ 野村会長
 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。
○ 秋山委員
 交通バリアフリー法ができて、東京都は2001年のときには基本構想を立てるときのガイドライン的なものをつくったと思うんです。2006年のバリアフリー新法ができて以後は、国がつい最近、それを出して、横浜市は今、素案レベルまで来ていて、東京都はその動きがないんです。つまり、バリアフリーを進めるに当たって、面整備の計画支援について、もっと知恵の部分をしっかり補佐すると言いますか、そこのところは東京都がやるべきところかなと思っています。特に、交通バリアフリー法の基本構想は市町村で疎密があったり、あるいは計画の立て方がそれほどしっかりしているものではないので、それについてのバックアップが、ひとつ必要だということが一点です。
 2つ目に、技術の支援について、やっておいたほうがよろしいと。最近は、段差解消とかはかなり進み始めていますけれども、情報系、特に光とか、音とか、そのあたりについて、技術支援がないために、あまり進んでいないんです。
 役所が幾ら計画を、指針を頑張ってつくっていても、技術支援がないと進まないということがございますので、両輪で行くと考えると、そこもぜひ必要と思っています。以上です。
○ 野村会長
 どうもありがとうございました。いかがでしょうか。
○ 桜井委員
 桜井です。通じて参加してみて感じた感想なんですけれども、3点ほどありまして、先ほど松本委員もおっしゃったのですけれども、ここにいらっしゃる方は福祉に対してかなり興味なり関心なりを持っていると思うんです。都民の大部分の方は不老不死というか、自分はいつまでも健康で倒れることもないと思っていて、その身にならないとわからないことというのがたくさんあると思うんです。そういう点で、そういった一般の方にこの考え方というのを浸透させることが、とても必要なんじゃないかと私も思います。
 あと、そのためには、今、ハードの基準をこれからつくっていくと思いますけれども、同時にハートのつくりも、心の教育というのも必要なんじゃないかなと、とても痛感します。
 最後に、多分、基準案をつくっていくと思うんですけれども、そのときに、理想論かもしれないんですけれども、10年先を見据えた視線といったもの、私たちも今だけじゃなくて、先を見据えて考えていく必要があるんじゃないかと思っております。以上です。
○ 野村会長
 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
 はい、岩田さん、どうぞ。
○ 岩田委員
 岩田です。先日、自分の区の障害者福祉計画を見てみたんですけれども、バリアフリーという言葉とユニバーサルデザインという言葉が混在している感じで、なかなか、まだまだ浸透し切っていない感じがしました。もちろん東京都がこういう条例をつくっていくことは、それをまた区市町村がそれに倣っていくことにつながると思うんですが、東京都と市区町村の福祉のまちづくりというような委員会というのは、ほとんど、どの区も持っていると思うんですが、連携というのはどうなっているのか、いかがなんでしょうか。
○ 野村会長
 それは事務局からお答えをいただけますでしょうか。
○ 花本副参事(地域福祉担当)
 東京都と区市町村の連携ですけれども、区市町村と連絡協議会を持っておりまして、その中で情報の共有化なり伝達なりを図っております。
○ 野村会長
 よろしいでしょうか。どうぞ、そちらから、ご発言を。
○ 仲島委員
 仲島でございます。私、以前、建築設計事務所をやっていた時代に、まちづくり条例の手続というのは、強制じゃないという面から、役所の窓口なんかが、単なる書類ワークといいますか、「ここはできないよ」と言うと、「ああ、そうですか」と、いわゆる、ただ煩雑な手続が1つ増えただけという印象を非常に持っておったわけなんです。そういう面で、改正に伴って、今度もう少し何らかの実効性のある条例になればいいと思っているんですが。以上でございます。
○ 野村会長
 よろしいでしょうか。
○ 仲島委員
 はい。
○ 野村会長
 どうもありがとうございます。
 今日は、皆さんのいろいろなご意見を承って、これからの会議に、後期の進め方にできるだけ反映していくように考えていきたいと……。
 市橋さん、どうぞ。

○ 市橋委員
 もう一個、実例があって、発言させていただきます。
 実は、先月の終わりに、仲間と池袋に、それこそ雑居ビルに行って、いろいろな食べ物屋が入ったビルに入ったんです。そうしたら、そこのビルでも、だれでもトイレに車いすマークが張ってあって、「わあ、うれしい」って僕らがそこへ行って、そのビルの中の1軒のイタリア料理店に入った。そこの料理店も、段差はあったけれども、どうにかいすをつくって、車いすで3人くらいで、辛うじて入れた。
 そのとき、1人がトイレに行ったら――女性の方です――、ここのトイレだめだ、奥行きが足りない、いわゆる便器の前の空間があと30センチぐらいあればというところでアウトだったんです。それで、考えたのが、要は、車いすトイレ、だれでもトイレを雑居ビルみたいなところでも、有名なデパートの名前が入った雑居ビルがあるんですけれども、車いすトイレをつくって、それだけの設備つけても、実際には使えないものがある。いわば、便器の前の空間なんていう部分は、一般の人が考えれば、120と考えておけば、80ぐらいでもどうにか。これだけ広いんだからということを考えるかなと思ったんです。そして、もう一回言うならば、ここからもう、変な言い方ですけれども、男なら周りにこぼしてもいいから、それでもトイレをしちゃえばと言うけれども、女性はそういうわけにいかないよということまで言われました。
 何を言いたいかというと、健常者が、車いす障害者がどうやってトイレに行ったらいいかということをもう一回考えなきゃならないし、ここに教育ということがあった場合、教育といえば、単に教科書を見て教えるんじゃなくて、ほんとうの使い方というと、あるいは、建築物が便所だから、女性がここでおしっこをするにはどうしたらいいかという点に、書けるか書けないかということが、あればいいんじゃなくて、実際にその便所を使うかというところを考えているものがないと、ただ、車いすトイレをつければいいというところまで、僕らは考えていたんだけれども、やっぱりもう一回、使うんだという観点でものごとを言う、その差を感じたので、そこでは今回の意見具申を受けて、実際に条例をつくる中で、条例で決めるとともに、都民の理解という、ここはいつでも書いていますけれども、ほんとうの理解というものに私たちは力を入れなきゃいけないなということはあります。
○ 野村会長
 はい、ありがとうございました。皆さん方からいろいろなご意見をいただきました。いろいろな指摘がございましたけれども、全体の印象といたしましては、まずはこのすばらしい理念をどうやって都民の皆さんにご理解いただけるか、その啓発の問題。どうやって実効性を上げていくか、実効性担保の問題。これは、技術支援という問題も含めて実効性を上げる。しかし、大事なことは、その後にそれをほんとうに使えるのかどうかという問題です。これは何人かの委員の皆さん方から評価という言葉がありました。基本的な考え方の中にも評価について書かれておりますけれども、評価は推進計画だけではなくて、実際に使われた建築物の評価をだれが、どのようにしていくか。この辺のことについて、今後の推進協議会できっちりと検討していかなければいけないと私は感じました。全体の皆さん方のご意見、ごくごく簡単にまとめてしまいましたけれども、大体そんなようなご意見に集約されるのではないかと思いました。今後とも、ぜひ、皆様方のご協力をお願いしたいと思います。
 そろそろ時間となってまいりましたので、本日はこれで閉会にしたいと思います。どうもありがとうございました。
 あと、事務局にお返しをいたします。
○ 花本副参事(地域福祉担当)
 委員の皆様、どうもありがとうございました。この後ですけれども、東京都福祉のまちづくり推進本部幹事会をこの場で11時15分を目途に開催いたしたいと思います。 準備がございますので、幹事の皆様、この間、お待ちいただきたいと思います。
○ 野村会長
 どうも、朝早くからありがとうございました。

閉会午前10時53分

 
記事ID:114-001-20240814-009007