第13回東京都障害者福祉交流セミナー実施報告
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障害者の地域生活をすすめるために
第一日目 基調講演 ~大都市であたりまえの暮らしをめざす~
第二日目 分科会 ~障害があっても地域でくらすためにそれぞれの持ち場でなすべきことは~
1 開催目的
平成18年度の障害者自立支援法の施行により、障害者が地域で当たり前に暮らしていけるよう地域生活支援の拡充が喫緊の課題となっている。
本セミナーは、都民や障害福祉関係者を対象に、障害があっても当たり前に地域で暮らすことの意味や障害の正しい理解を啓発することにより、支援の必要性及び地域生活を支える取り組みの課題と方向性を3カ年シリーズで示唆する内容として実施した。
第一年目の今年度は、障害者本位の生活の意味の重さを再確認し、それぞれの持ち場で取り組みの課題を明らかにする。ちなみに二年目は安全ネットの構築や災害時における障害者支援に焦点をあて、三年目はライフステージに沿った地域生活支援の課題について深める予定である。
第一日目は障害があっても当たり前にくらし、働ける社会とはどんな社会なのか等、都民への啓発を目的とした講演を行い、第二日目は三つの分科会に分かれて実務者が取り組みの課題等について検討した。
2 開催日時 会場
第一日目
開催日時:平成20年12月10日(水曜)午後1時30分から午後4時30分
会場:文京シビック小ホール
第二日目
開催日時:平成20年12月18日(木曜)午後1時30分から午後4時30分
会場:東京都心身障害者福祉センター
3 第一日目 ~大都市であたりまえの暮らしをめざす~
(1)参加者数 252名
( 内訳 )都民(家族会・民生児童委員・都民等)55名 区市(行政)34名
障害関係機関(相談支援、活動支援、居宅サービス等)95名 都(行政)68名
(2)内 容
◇基調講演
「都民としてだれでもあたりまえのくらし はたらき」午後1時45分から3時30分
講師 北野 誠一 東洋大学 ライフデザイン学部教授
○地域自立生活支援には自立生活支援 地域生活支援 地域支援の3要素がある
○障害当事者が本人の人生のドラマの主人公である
○地域生活支援は本人と地域住民とが主体的に参加、参画することなしには成立しない
○地域で住民が助け助けられ、ともに共感できなければこの仕組みは達成できない。人間はすべて助け、助けられて生きている。
◇行政報告
「働くよろこびを! 世田谷区の取り組み」 午後3時45分から4時20分
講師 金澤 弘道 世田谷区障害者地域生活課長
○世田谷区就労支援の特色は就労支援と生活支援を分けていること。すきっぷ(知的)としごとネット(精神)が中核となり就労支援
事業所と連携。多機能型の就労支援事業として身近な就労移行事業所で就労に挑戦できる仕組み、商工会議所や特別支援学校
等と連携しているところである。
○障害者就労支援センター(すきっぷ)と就労障害者生活支援センター(クローバー)の概要
○「すきっぷ」での新年会、永年勤続表彰の様子を紹介。
(3)感想・意見など (アンケート回収数112名)
◇「基調講演」に関する意見
参考になった(89) どちらともいえない(12) 参考にならなかった(4)
<感想・意見>
- 支援の本質は形ではなく、心であるとの強いメッセージが心に残った
- 現在行っている支援について客観視する重要性を教わった
- 同情と共感の違いについて認識できた 人との関わり全般にいえることだと思った
- 支援者は黒子という提言は普段の支援に厳しい点を突きつけられた心痛く感じた
- エンパワメントまで話がすすまなかったことが残念
◇「行政報告」に関する意見
参考になった(85) どちらともいえない(12) 参考にならなかった(2)
<主な意見>
- 当市の就労支援が間違っていないことがわかり安心。(可能性の信頼)
- 自分の所でもきちんと計画を立て実践することでかわるという刺激になった
- 世田谷区の取り組みに感動!自分の所にも参考にしたい
- 時間が短く、1つ1つ詳しく聞けなかったのが残念
- 就労支援はその人の生活をトータルに支えていくものであることを実感した
4 第二日目
第一分科会 | 44 | 第二分科会 | 48 | 第三分科会 | 67 | 総数 | 159 |
(内訳) 区市職員(行政)20名 相談支援事業所等 就労支援関係機関24名
入所・通所施設関係68名 居宅サービス関係11名 都職員(行政)36名
(2)内容
午後1時30分から4時30分 各分科会で話題提供者から話題提供後、意見・情報交換
◇ 第一分科会 「地域生活と施設の役割」
話題提供:東京都多摩療護園 園長 平井 寛氏
「地域生活と施設の役割」
話題提供:東京都心身障害者福祉センター 係長 伊藤 祥子氏
「一日も早い地域生活を実現するために」
話題提供:練馬就労支援ホーム 係長 相良 宏司氏
「新事業体系移行について」
◇ 第二分科会 「エンパワメントを高める」
話題提供:生活保護 更生施設 淀橋荘 主査 田村 勝氏
「更生施設淀橋荘における軽度・境界域の知的障害者への支援について」
話題提供:地域生活支援センター びーと 施設長 植村 由紀彦氏 大久保さらさ氏
「08サマーセミナーの取り組み ~本人学習会の開催~ 」
◇ 第三分科会 「高次脳機能障害者の地域生活」
話題提供:自立支援センター むく 理事長 木村 利信氏
「高次脳機能障害者と家族をトータルサポートする取り組みについて」
話題提供:世田谷区立岡本福祉作業ホーム玉堤分場 課長 上原 絹代氏
「玉堤分場からの報告~働くことを通してあなたの笑顔を応援します~」
話題提供:生活介護事業所 みずき所長 岩崎 京子氏
「高次脳機能障害者の地域生活」
(3)感想・意見等 (アンケート 回収数 91名 )
参考になった(70) どちらでも(12) 参考にならなかった(0)
◇ 第一分科会(意見抜粋)
- 自立支援法の中で施設が、今何をすべきか、職員がやるべきことが等が少し見えてきた
- 当事者の意見は考えさせられる ・施設の取り組みの報告がよかった
- 半日では足りない もっと聞きたかった
- 最近は制度改正等の話題ばかりだったが、利用者を中心にすえた研修会に参加でき意義深かった
- びーとの実践は自分の仕事に生かせる。
- 淀橋荘の報告は路上生活者に知的障害者が多いことがわかり支援体制の必要性を知った
- 自立支援法と介護保険の併用に疑問を感じていたので勉強になった
- 連携の大切さ、ネットワークつくりの必要性を強く感じた
- 高次脳機能障害は「中途障害」なので、障害に対しては「初心者」という言葉が印象的
- 各自治体の様々な違いがわかり、自分の区での取り組みを見直すきっかけになった
5 報告書は下記から
第一日目 基調講演 ~大都市であたりまえの暮らしをめざす~ 報告書
第二日目 分科会 ~障害があっても地域でくらすためにそれぞれの持ち場でなすべきことは~ 報告書