予防のポイントその3
「つながる(社会参加)」

1)社会とのつながりはフレイルや認知症のリスクを下げる

私たちは、色々な人と色々な形のつながりを持って生きています。そういった社会とのつながりが豊かな方が、将来長く健康でいられ、認知症にもなりにくいことが知られています。
具体的には、週1回以上友人等と交流している方が、活動能力障害や死亡のリスクが低いことがわかっています。また、同世代とのつながりだけでなく、他世代との世代間のつながりもフレイル予防には効果的です。自分とは異なる背景をもつ人との付き合いが多いほど、抑うつになりにくく、認知機能低下が起こりにくいという研究結果もあります。

なぜ、社会とのつながりを持つことがフレイル予防につながるのでしょうか。
一つは、他者からソーシャルサポートを受け取ることができるためと考えられます。例えば、フレイル予防に役立つ情報を教えてもらう、一緒に運動を頑張ろうと励ましてもらうなどです。そういったサポートも、つながりがあるからこそ得られるものです。また、様々なつながりを持っていれば、つながりを通して色々な刺激を受けることができ、「頑張ろう」という気持ちのハリを持つこともできます。

※ソーシャルサポート...つながりを通してやり取りされる支援を意味します。「情緒的サポート(共感、同情など)」「手段的サポート(手助け、物を貸すなど)」「情報的サポート(問題解決のための情報や知識を与えるなど)」「評価的サポート(適切な評価をするなど)」が含まれます。

2)「つながり」を保つためには

社会とのつながり、というと難しく考えがちですが、例えば「社会参加活動」をイメージしてみてください。
社会参加活動といっても中身は様々ですが、これまでの研究では、特に趣味や教養、スポーツの会やボランティアといった、活動目的が明確で、参加者同士の上下関係が少ない活動に参加している方が、健康づくりやフレイル予防の効果が促進されるといわれています。加えて、自発性(やりたいと思って参加すること)が重要です。頻度としては月1回以上参加することが良いのですが、頻度や時間が多すぎると逆効果という研究もあります。頑張りすぎには気をつけましょう。

3)地域のつながりが持つ力、ソーシャルキャピタル

世の中にはそこに住む人同士のつながりが強い地域もあれば弱い地域もあります。こういった地域のつながりが持つ力は「ソーシャルキャピタル」と呼ばれ、住む人の健康状態やフレイルのなりやすさに関係しています。特に、高齢者同士のつながりなど、同質的な人をつなぐネットワークが地域に張り巡らされているほど、そこに住む人の健康は維持されやすいと報告されています。

なぜ地域のつながりの強さとそこに住む人の健康やフレイル予防が関係するのでしょうか。一つには、地域のつながりが強いと、そのつながりを介して健康情報などが迅速に伝わります。つまり、フレイル予防に関する情報などが地域で広がりやすいというわけです。また、住民同士のつながりが強いと、他の人の目を意識して「フレイル予防を頑張ろう」と思えるといった効果も考えられます。さらに、地域の密なつながりの中では、個々の住民が抱えるニーズが発見されやすいといわれており、フレイルになる前に何らかの予防策が講じられやすい可能性もあります。