「つながる」フレイル予防

1)毎日出かけよう

「出かける」というと、何かきちっとした予定がないと達成できないと思っていませんか。コンビニに行くのでも犬の散歩でも、些細なことで構いません。外に出かける理由は何でもよいのです。また、意識的に出かける用事を作るようにすることも効果的です。家にいても、インターネットを使えば社会とつながれる時代ではありますが、定期的に外に出かけることは高齢であるほど大切です。日々の積み重ねが、フレイル予防につながります。

2)色々な人と色々な交流をしてみよう

新しいつながりを無理矢理作る必要はありません。まずは今持っているつながりを大切にしてください。もし、「もう少し広げたいな」と思えたら、最近疎遠になっていた人に連絡を取ってみたり、思い切って新しい仲間を探してみたりしてください。また、無理はせず、付き合っていて「自分が心地良いと思える関係」であることが大切です。

3)好きな活動を続けよう

自分に合った活動を見つけられるかが肝心です。「学ぶ」「働く」「集う」「趣味」「地域貢献」など色々な社会参加活動があります(図3)。何より、楽しさややりがいを持てることが大事です。楽しさ、やりがいを感じられない活動は長続きしませんし、結果的にフレイル予防としての効果も見込めません。

楽しさ・やりがいを見つけたい!/地域貢献:清掃、見守りパトロール、子供への絵本読み聞かせなど。身近なこと・得意なことで探してみましょう/趣味:絵画サークル、史跡探索、料理教室など。共通の趣味なら、みんなで楽しく取り組めます。/学ぶ:歴史、語学、パソコンなど。仲間と一緒に、学びのときを楽しんでみませんか?/働く:現役時代のようにバリバリ働きたいわけではないけれど、仕事を通じて社会とつながりたい、生きがいを得たい場合は、シルバー人材センターに問い合わせてみましょう。/集う:特別な活動ではなくても、友人・知人などで集まっておしゃべりをするだけでもOK。楽しいひとときを過ごしましょう。

図3.色々ある社会参加活動

※図3 出典:健康長寿新ガイドラインシリーズ『4つのカギで人やまちとつながろう』監修/東京都健康長寿医療センター研究所 健康長寿新ガイドライン策定委員会 発行/社会保険出版社

のびしろが多い都市部のソーシャルキャピタル

一般的に、都市部のソーシャルキャピタルは地方部に比べ低い傾向があります。しかし言い換えれば、ソーシャルキャピタルののびしろが大きいとも言えます。都市部には、出身地、職歴など、様々な背景を持った人が集まって暮らしており、自分に合った「つながり」を築ける可能性があります。地域の高齢者の社会参加が促進されることにより、ソーシャルキャピタルが醸成され、健康増進やフレイル予防に還元されるといった好循環が期待できます。
地域には、住民同士で体操や趣味活動等を行う「通いの場」や運動教室、サロンなどがたくさんあります。積極的に参加してみましょう。

このページ(予防のポイントその3「つながる(社会参加)」、やってみよう!社会参加チェック!、「つながる」フレイル予防) について

原稿作成:
村山 洋史(東京大学高齢社会総合研究機構 特任講師)

参考文献:
1. Holt-Lunstad J, et al. Social relationships and mortality risk: a meta-analytic review. PLoS Med 2010; 7(7): e1000316.
2. Kuiper JS, et al. Social relationships and risk of dementia: a systematic review and meta-analysis of longitudinal cohort studies. Ageing Res Rev 2015; 22: 39-57.
3. 東京都健康長寿医療センター研究所.社会参加. 健康長寿新ガイドライン エビデンスブック. 東京: 社会保険出版社. 2017; 29-39.
4. Murayama H, et al. Do bonding and bridging social capital affect self-rated health, depressive mood and cognitive decline in older Japanese? a prospective cohort study. Soc Sci Med 2013; 98: 247-252.
5. Aida J, et al. Assessing the association between all-cause mortality and multiple aspects of individual social capital among the older Japanese. BMC Public Health 2011; 11: 499.
6. Murayama H, et al. Are neighborhood bonding and bridging social capital protective against depressive mood in old age? A multilevel analysis in Japan. Soc Sci Med 2015; 124: 171-179.
7. 東京都健康長寿医療センター研究所.地域力. 健康長寿新ガイドライン エビデンスブック. 東京: 社会保険出版社. 2017; 74-83.
8. 村山洋史. 「つながり」と健康格差: なぜ夫と別れても妻は変わらず健康なのか. 東京: ポプラ社, 2018.