平成13年2月19日
問い合わせ先 福祉保健局総務部企画計理課 電話 03−5320−4019 |
東京都社会福祉審議会・第6回新しい福祉のあり方検討分科会の審議結果
1 開催日時
2 場 所
3 出席者
委員長
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高橋 紘士
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立教大学コミュニティ福祉学部教授(学科長)
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副委員長 | 田端 光美 | 日本女子大学人間社会学部教授 | |
企画起草委員長 | 小林 良二 | 東京都立大学人文学部教授 | |
委員
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今井 道子
内野 京子 大道 久 大本 圭野 小高 百合子 豊田 榮子 野村 歡 渡辺 光子 |
東京女子医科大学非常勤講師・登山家
品川区立荏原特別養護老人ホーム施設長 日本大学医学部医療管理学教室教授 東京経済大学経済学部教授 主婦 主婦 日本大学理工学部教授 東京商工会議所婦人会常任理事 |
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臨時委員 | 新美 まり 水谷 正夫 |
品川区高齢者部長 NPO人材開発機構事務局長 |
4 議 事
5 議事録
(午前10時01分開会)
○福祉局総務部副参事
本日は、何かとお忙しい中ご出席をいただきまして、ありがとうございます。開会に先立ちまして、事務局より委員の皆様の出席につきましてご報告させていただきます。
本日、所用のため欠席の報告をいただいております委員の方々でございますが、大橋委員、新村委員、廣田委員、秋元委員、白石委員、杉野委員、田中委員、滝口委員、前田委員の9名でございます。したがいまして、本日出席予定の委員の方でございますが、13名となりますので、定足数に達することをご報告させていただきます。
次に、お手元に会議資料「意見具申(素案)(2月19日現在)」をお配りしてございますので、ご確認いただけますでしょうか。
最後に、本日は傍聴の方がいらっしゃいますので、その旨お知らせいたします。
また、当審議会の議事録でございますが、東京都のホームページに掲載され、インターネットを通じて公開されておりますので、申し添えておきます。
それでは、お待たせいたしました。ただいまから第6回新しい福祉のあり方検討分科会を開会いたします。
審議事項に入ります前に、委員の変更をお知らせいたします。
人事異動に伴いまして、日野市福祉保健部長の鈴木俊夫委員から田中正美委員に変更となりました。なお、本日は田中委員はご欠席でございますので、次回ごあいさつをいただきたいと思っております。
なお、名簿をお配りしてございますので、ごらんいただければと思います。
それでは、会長、お願いいたします。
○高橋分科会長
ありがとうございます。
それでは、議事に移らせていただきます。
皆様のお手元に、既に郵送できょうの資料が、事前配付を事務局のほうからいたしました。これから最終的に意見具申を行うための作業の結果をお示しいたしまして、きょうはご審議いただくということでございます。
前回、拡大分科会を開催いたしました。それ以降、企画起草委員会で検討を重ねまして、起草の案文を素案として、2月19日現在という形でございますが、作成をいたしました。これをきょう皆様のご検討をいただき、その上で案文をさらにいろいろな形で積み上げまして、次回の拡大分科会にこれを、きょうは素案でございますから、素案の素が取れた形で、意見具申案という形でご提案をさせていくという手順を考えております。
今回のこの意見具申の検討の中心になりました小林企画起草委員長のほうから、まずこの素案のご説明をいただいた後、事務局のほうから読み上げるというか、そういう形でご提示を申し上げて、章ごとにご意見をいただくという形で進めさせていただければと思っております。
それでは、小林委員長、よろしくお願いいたします。
○小林企画起草委員長
おはようございます。私のほうから概要について説明させていただきます。
前回の分科会でいろいろなご意見をいただきましたが、それらを踏まえまして、企画起草委員会でさらに検討を重ねてまいりました。きょうは、その素案をご提案させていただくことになります。
最初に、タイトルですが、「利用者が必要とするサービスを選択できるようバックアップするしくみの構築について」、ちょっと長いタイトルになっておりますが、利用者の選択をできるだけバックアップできるような仕組みをつくってみようということであります。
構成でありますが、第1章、3ページになりますでしょうか、「『バックアップのしくみ」をめぐる状況」、第2章が、9ページになりますが、「『情報』が果たす重要な役割」、第3章が、17ページからになります、「利用者が必要とするサービスを選択できるようバックアップするしくみの構築に向けて」、あと、「おわりに」というような形になっております。
概略申し上げますと、第1章の「『バックアップのしくみ』をめぐる状況」ということでは、ご案内のとおり措置制度から契約制度にサービス利用の仕組みが変わりますので、これをめぐってどういう課題が生じているかということを書いたところであります。
第2章の「『情報』が果たす重要な役割」というところでは、特にその中で情報の提供が大変重要になっているということでありまして、現状では情報についていろいろなギャップが存在しているということで、それについて分析したところであります。
そのギャップをどう解決するかというところが第3章であります。ここは少し詳しく分析をしておりまして、これについてはまた後でご紹介したいと思います。
そういたしますと、結論の部分で、バックアップする仕組みがどういう形であるべきかということで、まず第1は情報の質を確保する機能。それから、利用しやすい情報へ加工する機能が大変重要だろうというようなことを議論しているわけであります。こういう仕組みは現状ではございませんので、行政がある程度の仕組みをつくってリードしていく必要があるだろうということになります。
最後に、「おわりに」のところで、都がこれからどういうことに取り組んでほしいかということが触れられております。
以上が大まかな流れになりますが、詳細につきましては事務局のほうから各章ごとに読み上げていただくのがいいのではないかと思います。
以上です。
○高橋分科会長
今回の意見具申の構成というか、大まかな見取り図をつくっていただくために、小林委員長のほうからご説明をお願いいたしました。
それでは、引き続きまして事務局のほうから、今ご紹介をいただきました素案を1章ごとに読み上げていただく形で、ご審議をお願いさせていただきたいと思いますので、それでは事務局、よろしくお願いいたします
○福祉局総務部副参事
それでは、「はじめに」と第1章を続けて読み上げさせていただきます。1ページからでございます。
○東京都社会福祉審議会は、平成11年10月4日に開催された第46回総会において、福祉を取り巻く状況が変わってきている中で、今期は、新しい時代にふさわしい東京の福祉をくみたてていくということを目的として課題を整理し、意見を具申することとした。
審議に当たっては、専門的及び効率的に論議を進めるため、専門分科会として「新しい福祉のあり方検討分科会」を設けることとなった。
○同分科会は、「新しい福祉」という大きな範疇について、様々な課題について論議し、これを踏まえ、検討すべき課題の整理及びその内容の具体的な検討のため企画起草委員会を設置し、この委員会でまとめた素案を分科会でさらに審議した。これらの審議の経過は巻末資料に記したとおりである。
○12年4月の介護保険法の施行に続き、障害福祉の分野でも、15年度には戦後の福祉サービスの提供のしくみであった「措置制度」から「契約制度」へと転換する。また、契約制度の下で、サービス提供主体として多様な事業者が参入するなど、福祉サービスを取りまく状況が大きく変化している。
○このような状況の中で、従前のように「限られた人々」のみでなく、福祉サービスを必要とするすべての人々が、質の高いサービスを選択できるような環境整備を図ることが極めて重要かつ緊急の課題である。本審議会は、そのためには、「サービスの量・質の充実」、「利用者が効果的・効率的にサービスを利用できるようなサービスコーディネートのしくみ」、「利用者が必要とするサービスを選択できるようバックアップするしくみ」が必要であると考える。
○この中で、「サービスの量・質の充実」、「サービスコーディネートのしくみ」については、都が各々計画等を策定し、区市町村や事業者とともに計画的整備を図っている、あるいは、当審議会が既に基本的な考え方を示しており、今後は、さらに実務面等で一層深める段階に入っている。
○しかしながら、都において、利用者の選択の基本となる情報の提供、苦情対応、サービス評価等のしくみは未だ整備途中であり、またそれぞれのしくみを作っていく上で土台となる基本的な考え方や、しくみ相互の関係について、体系的に十分に整理されていない。
今回の意見具申は、これに対して、利用者のサービス選択をバックアップするしくみの構築について、現状と諸課題を明らかにし、必要と思われる基本的な視点と方向を提言したものである。
○平成12年12月、東京都は「東京都福祉改革推進プラン」を策定した。これは東京都が目指す、利用者指向の新しい「開かれた福祉」の理念と展望を示すとともに、この「福祉改革」を推進するための戦略と具体的な取り組みの方向について明らかにしたものである。
○その中で示されている利用者指向の「開かれた福祉」の理念は、平成8年度の本審議会中間答申「東京都における今後の地域福祉の総合的・計画的推進について」での提言をさらにすすめたものである。また、今期提言するところの「利用者の選択をバックアップするしくみ」は、利用者指向の「開かれた福祉」の実現のために不可欠のしくみであると考える。
○本審議会として、東京都が今後「東京都福祉改革プラン」を実施するに際しては、本意見具申を踏まえ、具体的なしくみを早期に構築されることを強く希望するものである。
第1章 「バックアップのしくみ」をめぐる状況
1 「措置制度」から「契約制度」への転換
(しくみの転換)
○少子・高齢化の進展や核家族化の進行、家族の機能の変化、女性の社会進出の拡大などにより、福祉に対する都民のニーズは多様化・高度化し、かつ、普遍化してきている。
○一方で、戦後基本的な構築を変えずに維持されてきた「行政措置によってサービスが提供される」これまでの福祉制度のしくみが、一定水準以上の福祉を確保する上で大きな意義を果たしていたが、ニーズに即応して供給が働くシステムになっておらず、ニーズが普遍化してきたことに対応できなくなるなど、限界が生じていたことは、これまでにも本審議会の答申で既に指摘してきたところである。
○平成12年4月介護保険制度がスタートしたことを契機に、高齢福祉の分野においては、利用者がサービス提供事業者と直接契約するしくみ(契約制度)へと転換した。
○また、平成12年6月には、社会福祉法及び関連法が改正され、平成15年4月から障害者福祉の分野にも契約制度が導入されることとなり、福祉のサービス分野は本格的に「契約」による利用に移行する。
(民間事業者の参入)
○措置制度においてはサービス提供の主体は行政及び行政から委託された社会福祉法人等が担っていた。契約制度においては、利用者のサービスの選択の幅を広げるとともに、効果的・効率的に質の高いサービス提供を行うため、NPO法人や民間企業を含めた多様なサービス事業者の参入が期待されている。
○これにより、従来のような行政と社会福祉法人が中心の競争のなかった福祉の世界から、多様な事業者が互いにサービスを競い合う世界に転換することになる。事業者による公正な競い合いが活発に行われることによってこそ、福祉サービス全体としてのレベルアップの促進が図られる。
○介護保険制度における在宅サービスの分野では、多様な民間事業者の参入が実現している。特に東京など大都市においては、この傾向は強い。
表1(巻末)は全国と東京における居宅介護支援事業者の指定状況を比較したものである。(平成12年7月1日現在)これをみると、全国では営利法人が23%なのに対して、東京都は46%とほぼ倍の割合を占めている。また、NPO法人が全国の0.9%に対して1.8%と高くなっている。
(高齢者や障害者等判断能力が不十分な場合の対応)
○このように契約制度が本格化すると、利用者は、自らの責任において多くの事業者の中から自己のニーズに応えられる事業者を選択し、サービスを利用することとなる。そのためにはサービス選択のために必要となる十分な質と量の情報へのアクセスが不可欠である。
○また、痴呆性高齢者や知的障害者など、サービスや契約内容等を判断する能力が不十分な人々がサービスを受ける際にも不都合が生じないような対応がとられる必要がある。
この課題については、平成12年4月から施行された成年後見制度(民法)、社会福祉法で規定されている福祉サービス利用援助事業など、判断能力が不十分な利用者を支援するしくみがスタートした。
しかし、これらの問題に関しては、しくみ相互の関係や、また利用者に身近な区市町村を含めた役割分担が十分整理され、機能しているとは、必ずしもいえない段階にとどまっている。
○都は、平成12年7月、「東京都契約支援に関する検討会」を発足させ、それぞれのしくみの関係の整理や、区市町村との関係、円滑な運用などについての検討を行っている。詳細には同検討会の今後の検討結果が待たれるところであるが、判断能力が不十分な利用者が適切に福祉サービスを利用し、地域で自立して生活が送れるよう、都としても条件整備を進めていく必要がある。
○このほか、日常生活については特に不自由なく暮らせるが、選択・利用する際に何らかの困難が伴う人々が、福祉サービスを契約制度によって利用することになった場合についても検討が必要であることも忘れてはならない。
○以上のように、福祉サービスを取り巻く環境が大きく変化する中で、従前の「措置制度」の下でのように「限られた人々」のみでなく、福祉サービスを必要とするすべての人々が、質の高いサービスを自ら選択し利用できるようバックアップするしくみを、平成15年度の契約制度の本格化を前に、早急に整備していくことが求められている。
2 利用者のサービス選択をバックアップするしくみ
(「バックアップのしくみ」の必要性)
○利用者が自分のニーズにあった福祉サービスを選択・利用できるようにするためには、サービスに関する十分な情報を有していることが前提となる。
そのためには、事業者が提供するサービスの特徴や、提供事業者の運営の実情、評判等「自分のニーズに合うか否かの判断に必要な情報」を利用者が入手できるしくみや、サービスを受けた後に生じる苦情やトラブルに的確に対応していくしくみなど、利用者の選択をバックアップするしくみが必要となる。
○また、多様な事業者が参入し、競い合いにより福祉サービス全体のレベルアップをはかるためには、事業者間の公正な競争も確保されなければならない。利用者が、多様な事業者の情報を、その主体や経営規模等にかかわらず入手できるようバックアップすることにより、事業者間の競争が確保され、結果として、サービスの質の向上が図られる。
○このしくみは、契約制度に移行するサービスだけでなく、措置制度が存続する分野においても、利用者のニーズをサービスに的確に反映し、サービスの質の向上をもたらすという意味で、早期に整備することが必要である。
(サービス評価のしくみ)
○サービス評価は、事業者が提供するサービスの内容や質、事業や経営のしくみを評価するしくみである。評価の手法として、自己評価と第三者評価があるが、信頼できる評価結果を得るためには、専門的知識を持った中立的な第三者による評価が望ましい。
○契約制度の下で、利用者が多様なサービス提供事業者の中から、自分のニーズに最適なものを選択するためには、サービスの特徴や質を、事業者間で比較できることが重要となる。比較の際、第三者評価の評価結果の情報は、利用者にとって非常に役立つものとなる。
○一方、事業者は、評価を受けることにより、自らのサービスの質や、事業上・経営上の課題を客観的に把握し、事業の改善につなげることができる。これによって、事業者が提供するサービスの質の向上が図られる。また、良好な評価結果を得られれば、そのことが利用者へのPRのポイントともなる。
○このように、サービス評価のしくみにおいては、サービスを評価するだけでなく、評価結果を情報として広く利用者及び事業者に提供するしくみが重要である。
(苦情対応のしくみ)
○措置制度下においては、「与えられる福祉」による給付的な意識等が利用者にあることなどから、決定された福祉サービスに対する苦情が公にされにくい場合があった。
また、たとえ利用者により苦情が出されたとしても、サービス提供側(自治体又は社会福祉法人等)にとって、措置費の支給等運営にはよほどのことがない限り影響がないため、それが直接サービスの改善に結びつきにくかった。
○しかし、契約制度においては、利用者の苦情に対する適切な対応は、当該利用者にとって、以後の契約(サービス内容等)及び事業者に対する信頼・安心につながる。また、その対応の状況如何が他の利用者に広く情報として提供されれば、他の利用者にとっても、選択の際の一つの判断材料となる。
○事業者にとっては、利用者からの苦情を分析することで、利用者のニーズや重視するポイントを把握でき、それによりサービスの見直しや改善が可能となる。最終的には、自らのサービスに利用者の声を反映させることにより、満足度の高いサービス提供が可能となり、利用者から選択される誘因ともなり、他者との差異化を図ることが可能となる。
(キーワードとなる「情報」)
○先に述べたように、利用者が自らサービスを選択・利用できるようにするためには、必要な情報に的確にアクセスできることが基本である。また、以上のように、苦情やサービス評価の結果のアウトプットは各々、利用者にとって有効な情報となる。この意味で、利用者の「選択」をバックアップするしくみのキーワードは「情報」であると言える。
○すなわち、個々のサービスの評価結果は、それ自体が「情報」として公表されることにより、利用者がサービスを選択する上での判断の参考となる。また、苦情対応についても、苦情の内容や対応状況のおおよその内容が傾向としてまとめられ、「情報」として公表されることで、利用者の判断の参考となるからである。
○「利用者のサービスの選択をバックアップするしくみ」は、このように、情報提供、サービス評価、苦情対応等の各々が適切に機能するとともに、それぞれのしくみが「情報」をキーワードにネットワーク化され、総合的に提供されることにより、利用者をバックアップできるよう、整備していくことが必要である。
○このしくみの対象となるサービスは、自治体によるものも、営利・非営利を含めた民間事業者によるものも含んだ、福祉サービス全般である。
○また、利用者本人や家族はもとより事業者自身、中間ユーザーとしての介護支援専門員等のサービスコーディネーターなとがこのしくみを利用することが想定される。
○このしくみを整備することにより、利用者自らがサービスを選択・利用を可能とすることはもちろんのこと、地域において利用者に対するサービスコーディネートがより適切に行われ、本審議会がこれまで答申してきた「地域福祉」の向上に資すること、また、結果として事業者によるサービスの質の向上を促す効果も生じることとなる。
○高橋分科会長
ありがとうございました。
「はじめに」という、これは問題の認識と、今までの東京都の答申等の関連の中での本意見具申の位置づけを述べたものでございます。その上で、第1章が措置制度から契約制度の転換を踏まえた利用者のサービス選択をバックアップする仕組みということが、ばらばらには幾つかのサービス評価、それから契約書に関する検討会で検討されていたけれども、それを総体的な仕組みとして首尾一貫したものとして把握する、そういう形での課題整理をそれぞれの局面の、今までの現状の評価を踏まえた整理ということかと思いますが、「はじめに」と第1章を踏まえて、今読み上げたものを踏まえて、ご意見、ご質問等をちょうだいできましたらと思います。総括的には、また最後にもう一度議論をさせていただきますので、「はじめに」と第1章に即した議論ということで、ひとつよろしくお願いをいたします。
○小高委員
起草委員の方々のご努力と、事務局の方々がこの資料を、土曜日の朝でしたか、速達でお送りいただいて、ほんとうにありがとうございました。
読みまして、私の率直な意見を申し述べてよろしいですか。前回、中村先生もおっしゃっていましたが、前提となる「福祉とは何か」とか、「福祉サービスとは何か」というのをもうちょっと盛り込んでいってもいいのではないかと思ったんですね。
前にも申し上げましたけれども、今回は情報ということに関してとても専門的に論じているこの案になっておりますけれども、その前に、ぜひ私は、福祉というのは心の問題であって、もちろん技術が向上して、それに越したことはありませんが、たとえサービスの中で技術が劣っていても、人間関係とか、信頼感ですね、そういうことによって苦情も出にくくなりますし、それで満足されて明るい気持ちになって、そういうことが私は福祉だと思うので、ぜひそういうところももっとこれに盛り込んでいただきたいように思うんです。
基本のところは何なのかというところ、今も読んでいただいているところで、私が具体的にはレベルアップというのは、例えば4ページの福祉サービス全体としての一番上の○の最後のところに「福祉サービス全体としてのレベルアップの促進が図られる」。じゃ、そのレベルアップというのは、どういうことを具体的にレベルアップさせなければならないのかということもありますよね。
それから、バックアップする仕組みということなんですけれども、じゃ、東京都は市町村に対してどういうことをバックアップするのか、または都民に対してどういうことをバックアップするのか、もうちょっと見えてきてもいいような気がするんですね。
それから、7ページにありますけれども、(苦情対応のしくみ)の中の2番目ですね。苦情の内容はなかなか公表されないものですよね。車のリコール問題などもそうですけれども、隠すことがどうしても多いですよね。苦情を上手に利用してレベルアップにつなげるようにさせたいわけですけれども、ちょっと順番が違うように私は思ってしまうんですけれども、常に相手の立場に立って考えて行動すれば一番なわけで、どうしても今、頭の中に介護保険ということが先に出てまいりまして、利用者のお年寄りたちが介護保険で福祉サービスを得ますね。で、苦情が出る。
どういう苦情が多いのかなというと、対応してくれる人がすぐかわってしまうとか、時間に来てくれないとか、そういう基本的なことですよね。もしそこに信頼関係があれば、たまたまその日はその方が途中で事故か何かがあって遅れたとか、すぐ話をすれば、苦情になって上がらないものですよね。それから、人がかわってしまう。じゃ、なぜかわったのかを、そのサービスされる方またはその団体が「実はこういうことでした」と、それに対応すれば理解されますよね。理解されれば、それは苦情にはならずに「ああ、そうだったんだ」となりますよね。
今の都知事もおっしゃっているように、とにかくスピードとか、実行力とか、行動力とか、そういうことを推し進めていくんでしたら、もうちょっと根本のところを、福祉の、東京都が描いているそこをもうちょっと出したいような気が私はするんですけれども。すみません。
○高橋分科会長
ありがとうございました。
ちょっと後でまとめて少しいただくということで、ご意見をまずいただかせていただければと思いますが。
○大道委員
お取りまとめいただいたご努力、敬意を表します。私の立場から2つだけ、周辺をめぐる現状認識という趣旨での第1だと思いますので、それについて、ここに言及していただいたほうがよろしいのではないかということで、2点を申し上げたいと思います。
1つは、先ほどもご指摘になったように、介護保険がいろいろな意味でインパクトが大きいので、それがすべてではないことは十分承知の上で申し上げるんですが、現状でこれだけの大きな変革ないしは転換が行われている中で、今、医療とのかかわりが、言葉は適当かどうかわかりませんけれども、特に介護保険の運用において、医療系のケアマネジャー、いわゆる介護支援専門員と福祉系の介護支援専門員がかなり分断といいますか、二極化しているというようなことは繰り返し言われているんですね。まだ草創の時期ですからやむを得ない側面もあるんですけれども、利用者の利用支援という観点からいいますと、このあたりの現状を適切な方向へ持っていくことの書き込みをお願いしたいなと。確かに情報整備は大変重要なんですけれども、現在、情報が不備だからこそ、提供される側のケアマネジャーの限られた情報の中に、利用者は誘引されてしまう。そのために福祉系、医療系ということになっている可能性が強いんですけれども、このあたりの認識を、ひとつ適切に文言に入れていただけるとありがたいなというのが1つです。
もう一つは、「めぐる状況」ですから、現状の中での認識で、確かに措置から契約は極めて大事な転換なんですけれども、現実的にはサービスそのものの、まさに質が極めて格差が大きいと言ってもいいし、不十分なところが少なくない。評価して、それを情報化することは、当然ここに盛られているように、現場へのインパクトは大きいんですが、もう少し、今申し上げたサービス水準の向上に向けるような支援を、これは都としてというべきか、行政というべきか、このあたりの視点をぜひ書き込んでいただきたいと思います。
一次的にはサービスの質的向上はサービス提供者側の努力によるということは言わずもがななんですが、少なくとも発足早々とはいいながら、これもやはり介護保険を念頭に置かざるを得ないんですけれども、サービスの内容につきましては、提供者によってかなり違うとか、あるいは考え方によって、運営、運用、実際に実施しているプロセスの中でさまざまな問題が指摘されておるわけでして、このあたりを適切に改善していく、サービス内容を向上させていくというような仕組みについて、この審議会、あるいは専門分科会がどういう言い方をしていくかというあたりを何らかの形で言及していただきたい。
第2、第3のところでも多分書き込みはあるのかなと思っているんですけれども、まず冒頭の状況認識という意味で2つを申し上げさせていただきました。以上でございます。
○高橋分科会長
ありがとうございました。小高委員がおっしゃった「福祉サービスとは何か」ということともかかわるご指摘かと思います。
○内野委員
私、事業者の立場でちょっと申し上げたいんですが、今まで措置制度のときには、自立支援という支援サービスが福祉のサービスで言われてきたんですが、介護保険になって、支援サービスということはなくなって、18ページに書かれているように、例えばレストランのサービスと同じような受けとめ方を今度していくのかと。
私自身、ほんとうに不勉強で認識できていないというのでお恥ずかしいことなんですが、サービスのあり方、サービス向上で、どういうサービスを私どもの事業者に要求されるのかということを、私自身ちょっと今わからなくなっております。
例えば私どもは特養をやっておりますが、介護保険の中に療養型と老健と特養があって、特養が一番安い金額でサービスを提供するということになりますと、特養対象でない方でも、金額だけで特養を選ばれるというのが現実です。そうしますから、特養が足りない足りないというような言葉も出ている中で、どういうサービスを提供するか。
今、サービス向上というようなことを言われておりますので、利用者から細かく言われます。例えばロッカーの中の整理ができていないとか、汚れ物が入っていたとか。そういうことを言われますと、個人個人のロッカーのものは、もちろん職員もやりますが、ご家族が管理していただいてもいいんではないかと。でも、サービス提供業者としてそこまで要求されていくのかと。
それは大変細かい点なんですが、第3章でレストランという問題が出ていましたので、そこで触れようかと思ったんですが、サービスのあり方をほかの方たちがおっしゃいますので、冒頭に、どういうサービスのあり方かというのを定義づけていただきたいということを申し上げたいと思います。
○高橋分科会長
ありがとうございました。
時間のこともございますので、「福祉サービスとは何ぞや」という議論、この全体にかかわる総括的な議論にもなりますので、そこで少し深められればと思います。
あと、大道委員がご指摘になりました福祉サービスと、それこそ保健医療サービスとの関係というか、とりわけ介護の場合は、まさに同じ制度で両者が動いていることを踏まえた議論というのも、そういうご指摘を踏まえた検討は必要かなというふうに思っております。
それから、個別のサービス水準、サービス提供・利用の関係をめぐる問題と、それから、ここで取り上げようとしている一つのシステムというか、仕組みの問題、そこら辺の整理をした上での指摘の必要があるという、そういうご指摘かと思いますので、そこら辺はぜひ検討させていただければと思いますが、いかがでございましょうか、議論が2章、3章にもかかわったご指摘をいただいているようでございますので、先へ進めさせてよろしゅうございましょうか。
それでは、第2章をお願いいたします。
○福祉局総務部副参事
それでは、9ページの第2章から朗読します。
第2章 「情報」が果たす重要な役割
1 福祉サービスにおける「情報」とその役割
○第1章でみたように、「バックアップのしくみ」を構築する上でキーワードとなるのは「情報」であることから、ここでは、福祉サービスにおける「情報」について整理することとする。
(情報の種類)
○福祉サービスにおける情報については、大きく分けて、
(1)「サービス関連情報」
(2)「苦情関連情報」
(3)「サービス評価関連情報」に分けられる。
○(1)「サービス関連情報」は、事業者やサービスを選択する際、利用者の判断の参考となるものである。例えば、1. サービス提供事業者(法人等)の組織運営や経営に関する情報、2.
サービス運営に関する情報、3. サービス提供者に関する情報、4. サービス関連の建物や設備に関する情報(通所・入所施設サービスの場合)などである。
これらの中には、法律等の規定により、公表しなければならないものがある。
表は省略させていただきます。
○1. のうち、経営情報に関しては、これまでの措置制度のもとでは「経営」という観点からの情報はあまり必要とはされなかった。しかし、「利用者による選択」という視点のもとでは、経営の失敗により利用者が被害を被る可能性がないかといった判断が必要なことから、経営に関する情報も重要となる。社会福祉法の規定で公表することとされた財務諸表などはこれに含まれる。
○2. サービス運営に関する情報としては、利用料金などのように契約書や重要事項に記載されるべき基本的事項のほかに、利用者による選択のみならず、サービスの質の向上という観点から、運営の事業者独自による創意工夫の状況も、今後重要な運営情報の一部となることが考えられる。これには、利用者の立場に立った付帯的なサービスやサービス提供の基本コンセプトなどの情報がある。
○(2)「苦情関連情報」、(3)「サービス評価関連情報」については、先に各々のしくみでみたとおり、苦情や対応状況のおおよその内容が傾向としてまとめられ情報として公表されたもの、あるいは、サービス評価機関が自らの評価項目、手法により、客観的に事業者について評価した結果を公表するものである。福祉サービスにそれほど詳しくない多くの利用者にとって、これらが選択の際の大きなポイントとなるのは予想される。
○なお、このほかにも、福祉制度そのものに関する情報や、行政や民間事業者の設置する相談窓口の情報、各種統計や実態調査等利用者のニーズに関する情報、住民参加・ボランティア活動等に関する情報も、広く福祉サービスに関する情報として存在する。
(利用者における情報の役割)
○以上のような情報が、どのような効果を有しているかをまず、「利用者の選択」という観点から整理する。
○利用者にとって「情報の価値」は、いうまでもなく「自分のニーズに対応できるサービスの選択に資する情報」であるか否かによる。
○まず、利用者は、様々な情報から必要な情報を選択する。それは、個々の利用者が直面している困難な状況に応じて、そのニーズにマッチするサービスかどうか、そのサービスの適正な価格はどの程度か、どういう事業者を選ぶべきかなど、判断の参考となるものである。
○利用者が情報を入手する経路としては、例えば「口コミ・噂」、行政の情報紙(区市町村や東京都の広報誌)、事業者への問い合わせ、各種相談機関、介護支援専門員などサービスコーディネーターのアドバイス、その他マスコミ、インターネットなどが考えられる。
これは、利用者側の状況(判断能力やサービスに対する知識、情報処理能力の有無等)によっても異なると思われる。
○これらを通して得た情報により、利用者は自分に最適のサービスを選択し利用する。
(事業者における情報の役割)
○情報は事業者にとっても有効な資源となる。
福祉サービスが「利用者の選択」に委ねられるようになると、事業者は自らを選択してもらう必要があるため、「いかに自らがよりよいサービスを提供しているか」など、他者と差異化する情報を利用者に対して発信(PR)する。
○客(利用者)に選択されれば、その利用についての情報(顧客の意向等)を集め、サービス内容について、CS(顧客満足度)あるいは苦情の情報を集められる。それは、今後の経営判断のメルクマールとなる情報である。これらを分析・活用することで、その事業者の自主的なサービス改善が図られ、組織改革、体質強化につながる。
○このように、適切に発信され、また効果的に活用されることにより、「情報」は事業者の経営にとっても「キーワード」となるものである。
○しかし、事業者等による情報の発信が常に妥当な内容であるとは限らない。利用者を引きつけるため、誇大広告、不当表示を行う場合も考えられる。こうした悪意ある情報発信から利用者を保護する必要があることは、いうまでもない。
2 「情報」の特性
○以上のように、利用者、事業者双方にとって重要な役割を果たす「情報」であるが、今後「情報」をキーワードにバックアップのしくみを検討していく上で、「情報」そのものに内在する特性を考慮しておくことが有効である。ここでは、福祉サービス分野における「情報」の特性について整理する。
(変化する「情報」)
○福祉サービス情報に限らず、「情報」はいわば生き物のように変化する性質を有している。
○介護保険制度の例であるが、まず、介護保険制度内における指定サービス事業者として、営利・非営利を含む民間事業者がおり、そのほか、制度外の多様なサービスを提供している民間事業者や、ボランティア団体等も存在し、それぞれに情報を有している。
○一方、利用者の状況も様々であり、自ら情報を収集し、サービスを選択する利用者(以下「自立した利用者」という。)もいれば、日常生活は支障ないが、福祉サービスには疎く、契約制度の下で選択するには何らかの困難が伴う人々も多数存在する。
○これらの利用者が、どのようにして情報を受けとるのかを考えたとき、「自立した利用者」は自ら事業者やサービスに関する情報を収集するが、直接、事業者が発信する情報を受信できるとは限らない。
例えば事業者が情報を発信しても、いわゆる「口コミ」の噂や評判というような情報が途中で加わったとたん、その事業者情報に対する利用者の受け止め方が変わってしまう。
○近年はインターネットのホームページを個人を含め誰もが容易にもてるようになり、質の高いものから劣悪なものも含め、様々な情報が大量に発信される。このようにして取得された情報は量的あるいは質的にかなり大きなウエイトをしめる場合も多いと思われる。
○一方、福祉サービスを契約制度の下で選択・利用する上で何らかの困難を伴う人々は、行政の相談サービスや、各種相談やサービス評価、苦情対応を行っている民間団体やNPOなどから情報を得ることも多いと考えられる。
○このほか、情報の発信者として公的関与が強い主体としては、1. 区市町村、2. 東京都、3. 消費者センター、4. 介護保険制度上の制度として苦情対応を行っている国民健康保険団体連合会などが考えられる。
また、私的な情報の発信者として、NPOや民間事業者等の情報、個人によるうわさ、口コミなどの情報がある。
○このように情報が伝わる流れには、様々な媒体が関与し、それらのフィルターを通して、情報は次第に変化・拡散していく。
○また、情報は互いに干渉しあうことによっても変化する。
例えば、行政が指定事業者情報を客観的に提供したとしても、さらに口コミやうわさ、評判など主観的な情報が付加して伝えられると、一瞬にして、元の情報が変化してしまったり、それぞれ別の系統から情報が入っただけで、あたかも信憑性ある情報として信じられたりする場合がある。
○さらに、情報の発信者、受信者の主観や社会的な位置づけによっても、情報は変化して伝えられる。どんなに情報を提供したとしても、例えば受け手が発信者自体を信頼していなければ、その情報はバイアスがかかったものとして信用されず、あるいは、情報の内容によるのではなく、発信者の社会的ポジションによって信憑性が判断され、伝えられることなどがおこってしまう。
○このように、情報は、様々な要因により変化するという特性を有している。「情報」をキーワードとしたしくみを検討する際には、この特性を踏まえておく必要がある。
3 利用者のニーズと「情報」とのギャップ
利用者がサービスを選択するために必要としている情報は、
1. 福祉サービスの制度内容そのものはもちろんのこと、
2. サービスやサービス提供事業者について、判断基準の参考となる情報である。
しかし、現状では、利用者が必要とする情報と事業者が提供する情報には大きなギャップが生じている。
○表3は、このようなギャップについて、先に見た情報の種類によって、その形態と理由について整理したものである。
○第一、「知りたい情報そのものがない」ことである。この例としては、以下のような「サービス評価関連情報」が挙げられる。
○都では、これまで特別養護老人ホームや、障害者(児)入所施設等について、自己評価や施設オンブズマンによるサービス評価を実施しており、一定の成果を得ている。
しかし、市場への多くの事業者の参入を考えると、利用者による比較を可能とするためには、客観的な第三者評価を効果的に行った上での「サービス評価関連情報」を得ることが重要である。しかしながら、評価のしくみがまだ十分整備されていないために、情報そのものがほとんど得られないのが現状である。
○第二に、「情報は存在するが、開示されない」ことがある。この例としては、以下のような「情報関連情報」が挙げられる。
○「苦情関連情報」は、苦情の内容や対応の傾向が「情報」として公表されることで、利用者の判断の参考となる。しかし、利用者が苦情を持っていても、それを公にしにくかったり、事業者が苦情を受けたとしても、プライバシーの保護や企業秘密等により、その詳細については開示されない場合がある。
○第三に、「開示はされているが、積極的に提供されない」ことがある。例として、以下のような一部の「サービス関連情報」が挙げられる。
○「サービス関連情報」の中には、施設の空き情報や併設サービス等、利用者が個別具体的に問い合わせるなどすれば、情報の提供が受けられるものの、積極的には情報提供がなされていない場合も一部見受けられる。
現在東京都が実施している「東京都介護保険情報システム」は、利用者が「いつでも、どこでも、簡便かつ迅速に」情報を入手できるよう、都、区市町村、サービス提供事業者等との連携を図ったシステムで、インターネットで情報を提供している。このなかには、サービス提供事業者が任意に提供する情報として、上に述べたような項目をシステム上に設け、事業者が自ら入力し、情報提供できるよう配慮している。それにもかかわらず、実際には全く提供していない事業者も未だ見受けられる。
○第四に、「情報提供はなされているが、利用者が利用しにくい」ことである。
○例えば、利用者がサービス提供事業者に関する情報を求めた場合、一般的に事業者名と所在地、法人名、代表者名、営業時間、サービス内容、職員数等の基本的な情報が掲載された「一覧表」は得られるものの、利用者が事業者を選択するための判断基準が示されていない。
○このほか、情報が事業者ごとに点在しており、利用者が個々に収集しなければならないとか、情報が網羅的、専門的なため、制度やサービスについての専門家ではない利用者がみても参考とならない等の例も考えられる。
○新しい福祉である「利用者が自ら必要とするサービスを市場から選択するしくみ」を機能させ、サービスのより一層の質の向上、効率化を図り、ひいては利用者の利益に資するためには、このようなギャップを克服していかなければならない。
○高橋分科会長
ありがとうございます。
情報が果たす重要な役割として、福祉サービスにおける情報とその役割の整理をし、情報の特性論を述べた上で現状分析をしております。これは、第3章で展開される提言の基礎になる位置づけでございますが、何かご質問、ご意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。
○新美委員 先ほどの第1章もかかわっているわけですが、まず、第2章の中で、1点は質問で、1点は意見なんですが、1つは、13ページ、一番上の、情報があったとしても、それをうまく契約制度、情報の中で活用して選択に困難を持つ人々が多数存在するという表現がありますが、ここはどういうイメージなのか。私は、これは多分、現時点で高齢者、あるいはほかの福祉の提供を受ける方々ほとんどがそうだと思いますし、それは現時点だけではなくて、おそらく10年後も、あるいは現時点で若い世代、例えば親の介護でやっている世代も、ほとんどこれに該当するのではないか。そうすると、その解決策は、この2つ下の何らの相談機能を通じて情報を得る、活用するというところにつながっていると読めるのかどうかということを、まず1点ご質問したいと思います。
もう1点は、10ページから11ページなんですが、さっきの第1章のところもそうですが、現状認識として、この福祉サービスの部分、介護サービスも含めて、サービス業、つまり情報だとか、選択だとか、契約だとか、理念としては確かですが、現実にサービス業としての、サービス内容の確定も含めて、まず体制、あるいはサービス業と呼べるのかどうか、その要素が未確立ということを現状認識すべきなのではないか。だからこそ、これからみんながうまく利用するために何らの仕組みが必要だということは、私は賛成なんですが、そのためには、突然ここに書かれていることが、10年後のことなのか、あるいは理念的な考え方なのかあるかと思うんですが、もし一つ一つ仕組みが必要だとすると、時間の設定みたいな概念を入れないと、例えば15年という一つの区切りがあるとすれば、2年間は、まず何をやるべきなのか。それから、そこに制度として転換後の数年間、2〜3年なのか4〜5年なのかわかりませんが、一定の時間にはどういうところを目指し、将来的にはどう目指すのかみたいな時間概念が入らないと、関係者が無用な混乱をするのではないかという、何となく読んでいて思ったというのが、2点目の意見です。
○高橋分科会長
ありがとうございます。
ご質問とご意見は、実はどうも深く関係をしていそうで、これも、「市場」という言い方は少し整理したほうがいいと思いますが、経済的な商品を購入するようにサービスを購入するわけにはいかない状況が、福祉サービスの特性としてあるらしいという議論と今の議論が、どうも……。それが、措置制度で組み立てられたサービスの利用・提供の関係がそうさせてきたのか、あるいは契約制度をとってもそうなるのか、そこら辺の整理をしなさいというご指摘かと思いますが、いかがしましょうか。ご指摘として承って、後で企画起草委員会で練らせていただく。後ほどそれぞれレスポンスはさせていただきますが、なおほかに。
○渡辺委員
4ページに、事業者による公正な競い合いが活発に行われることで、福祉サービス全体としてレベルアップするという、その競い合うという内容が、現状ですと、これは介護保険がらみが主体となりますけれども、大変な民間企業の参入によって、営業的な競争と、サービスの質というところの問題で、ほんとうに10分しか居られないとか、15分で帰らなきゃいけないというような問題が、イコールそういうことも視野に入れた形で検討しなければいけないと思うんですね。
それともう一つ、利用者のサービス選択なんですが、利用者そのものですね、一般市民のレベルというか、私など、専門職がまるでお手伝いさん扱いされてとかいうこともよく聞くわけですけれども、利用者の教育というんでしょうか、情報を的確に取れる判断力ですとか、そういう点も非常に……。それでいて、どこに聞いたらいいかわからないということもよく聞くわけですが、そんなことを感じています。
○高橋分科会長
おそらく、小高委員が一番初めにおっしゃったサービスへの信頼関係という議論と深くかかわる、利用者とサービス提供者の関係のあり方、サービス利用においてという、そこら辺の前提的な条件のご指摘かと思います。ありがとうございました。
いかがでございましょうか。
〇豊田委員
今回のこの提言は、前回に比べて、心身機能が衰えている人に対する配慮が盛られているのは大変よかったなということがありますけれども、それと同時に、サービスをバックアップする仕組みを構築する上でのキーワードとなるのは情報であるというふうに言っていらっしゃいます。これは確かにそうだろうと思います。しかし、12ページにおいて、(変化する「情報」)ということで、「福祉サービス情報に限らず、『情報』はいわば生き物のように変化する」という1ページがあるということと、13ページに、情報の持つ特性として、情報の流れにあって媒体が関与し、情報が変化・拡散するということが指摘されているというふうに書いてありますね。
では、こういう情報がどういうふうに拡散していったか、どういうふうに変化していったかということは、だれが把握して、そしてチェックしていくのか。これは先ほども出ましたけれども、レストランの利用情報でないので、福祉サービスにあって、そういうギャップを持った情報で十分対応できるかということを大変心配しています。
福祉において、そのサービスは、例えば心身機能が衰えても人権が守られる契約内容であるかどうかをチェックする仕組みをつくるとか、例えば認定されてもサービスを受けていない人に対する追跡調査をする仕組みとか、そういう具体的な仕組みをこの中に盛り込んでいただきたいと思っております。
というのは、福祉においては、上から流れてくる情報だけでなくて、課題にアウトリーチする方法、アウトリーチするとか、フェース・ツー・フェースの関係、そういうものがすごく重要だと思いますので、情報ということは確かに情報ですし、情報化社会にこんなことを言ったらしかられるかもしれませんけれども、そういう面をもうちょっと強調していただきたいというふうに感じています。
○高橋分科会長
ありがとうございます。サービスの提供と利用にかかわる情報と同時に、地域マネージメントに近いことにも関係したご指摘かと思います。ありがとうございます。
いかがでしょうか。第3章がかなり重要で、少し時間をとってご議論いただきたいと思いますので、引き続き第3章をお読み上げいただいて、それで、今までの1章、2章も含めた総括的な議論をしていただくということで、第3章をよろしくお願いいたします。
○福祉局総務部副参事
それでは、17ページの第3章と「おわりに」を続けて読ませていただきます。
1 土台となるしくみの整備
○21世紀、福祉サービスの提供のシステムは大きく転換する。
介護保険の施行を契機とした、「必要とするサービスを市場から選択する」というシステムを円滑に機能させるためには、利用者のサービス選択をバックアップするしくみが必要となる。
このしくみの構築をする上でキーワードとなるのは「情報」であり、第2章で指摘したような情報のギャップを克服していくことが、「バックアップのしくみ」の構築の基礎となる。
○そのためには、まず前提として、先に見た第一、第二のギャップに対して、サービス評価、苦情対応等土台となるしくみが各々適切に機能するよう整備することが必要である。
(第一のギャップへの対応−サービス評価のしくみの整備)
○まず、「情報そのものがない」ことに関する大きな課題である「サービス評価関連情報」については、適切な情報提供が行われる評価のしくみを整備することが必要である。
○客観的な第三者評価を効果的に行うためには、多様な事業者が評価を受けるに十分なノウハウを備えた評価機関が多数存在し、サービス事業者の評価を的確に実施できるしくみを整備していくことが必要である。
○将来的には、民間のシンクタンク、利用者団体、事業者団体、NPO等多様な団体が評価機関として活躍することが期待される。それらの評価機関が利用者・事業者の双方から信頼を得ていくことがしくみの構築の要となる。
○現在、例えば、レストランを第三者が評価したガイド等は、雑誌、インターネットを含め、様々な主体により提供されている。これは、情報そのものの価値を上げるため、民間ベースで情報の提供者が常に内容を更新し、また、多様な提供者同士、その情報の内容、アクセスしやすさ等の企画を互いに競い合う中で情報自体がレベルアップしている。利用者が費用を払ってでもその情報を利用している例もある。
○福祉サービスの分野においても、このような民間ベースの情報提供の状況が生まれてくることが望ましい。しかし、これまで主に行政における「措置」によってサービス提供がなされていた福祉分野においては、公的セクターによる一定の関与なくしては、十分な情報提供を行うことのできる評価システムの立ち上げは難しいのが現状である。
○また、将来的に多様な評価機関が現れ、それぞれの機関による多様な評価結果を情報として得られたとしても、利用者やサービスコーディネーターは比較できないということも起こり得る。
○東京都は、現在、サービス評価システムについて、評価項目と評価手法のあり方等を検討しているところであり、具体的な検討はその検討結果に譲るが、福祉サービスはレストランや一般の商品と異なり、かなり個別性が強いということは念頭に置きつつも、ある程度コアとなりえる「標準仕様」のようなものを示すことが、利用者の比較を可能とするためのポイントであろう。
(第二のギャップへの対応−苦情対応のしくみの整備)
○第二に、「情報は存在するが、開示されない」ことの課題としてあげた「苦情関連情報」については、必要な情報が利用者に適切に開示される苦情対応のしくみを整備することが必要である。
○苦情やトラブルに対する速やかな対応のためには、利用者に身近な地域で、その地域の実情にあったしくみを構築するとともに、苦情関連情報が適切に公表されるしくみも重要である。
○苦情対応のしくみについては、介護保険法の下、高齢者介護の分野における対応が先行している。都では、事業者による対応を基本としつつ、保険者である区市町村が苦情・相談の窓口を設けることとしており、それと国民健康保険団体連合会(国保連)が連携するしくみとしている。
○国保連では、苦情処理機関に寄せられた苦情等の情報を収集・分析した「東京都における介護サービスの苦情相談白書」を発表し、情報の共有化を図ることによって、利用者、サービス提供事業者や行政が介護保険制度実施上の問題点を把握することに役立てている。
○この白書によると、制度発足後半年間(平成12年4月〜9月)における東京の状況をみると、約5400件の苦情のうち、9割が利用者にとって一番身近な区市町村に寄せられている。
(「東京都における介護サービスの苦情相談白書」
平成12年12月東京都国民健康保険団体連合会)
○一方、社会福祉法においては、事業者に対して苦情対応を義務づけるとともに、困難事例等については都道府県社会福祉協議会に「運営適正化委員会」を設け、対応することとしている。
○先に述べたように、「利用者に身近な地域で、しかもその地域の実情にあったしくみを構築する」という観点からは、東京のような大都市においては、その特性を考慮して、介護保険法のみではなく、広く社会福祉法における苦情対応についても住民に身近な地域である区市町村が中心となって、寄せられる苦情に即時に対応することが重要である。
○また、先行している介護保険制度において区市町村が苦情・相談の窓口を設けていることに鑑み、利用者の利便性の点から、障害者福祉分野等のサービスの苦情相談窓口についても、将来的には介護保険分野と同一とすべきである。
○具体的なしくみを構築する際は、身近な地域で苦情が速やかに対応できることが重要であることから、区市町村の役割が大きい。
○東京都は、区市町村が利用者や事業者の福祉サービス利用に対する相談・苦情に的確に対応できるよう、区市町村へ苦情の傾向分析や対応のノウハウの提供等、必要な支援を行っていかなければならない。
○また、「苦情関連情報」については、身近な地域に出された情報について、利用者が参考にするだけでなく、事業者としても自らのサービスを省みて、サービス向上を図る手段として利用することができるようなルートがあることが望ましい。
○利用者のプライバシー保護や企業秘密等の関係もあり、個別具体的な情報の開示には十分配慮しつつも、苦情内容や対応の傾向等、その公表の手法やルール等を今後具体的に検討していく必要がある。
2 情報提供、苦情対応、サービス評価のしくみがネットワーク化された、総合的なしくみの構築
○利用者のサービス選択のバックアップのためには、以上のような、サービス評価、苦情対応のしくみが各々が適切に機能するだけでなく、これらがネットワーク化され、総合的に情報提供されることが必要である。さきにみた第三、第四のギャップへの対応によって、このことが可能となる。
(第三のギャップへの対応−事業者による自主的な情報提供の促進)
○第三に、「開示はされているが、積極的には提供されない」ことの課題としてあげた「サービス関連情報」については、事業者による自主的な情報提供を促進することが必要である。
○「サービス関連情報」は、先に見たように、事業者やサービスを選択する際、利用者の判断基準の参考の中核となるものである。これには、1. 法律その他で規定されていたり、指定事業者として行政が開示を義務づける情報(指定項目)、2. 行政が事業者情報の提供について基準(ガイドライン)を作成し、提供を誘導すべきもの、及び2. とも関連するが、3. 事業者が他者との差異化を図って自主的に提供することが望ましい情報がある。
○1. のなかには、例えば財務諸表等、通常の利用者にとっては見ただけでは判断しにくいものもあるが、事業の透明性の確保という観点からは開示が重要である。また、直接の利用者でないが、評価機関等がこれらの情報を分析することにより、情報の活用が容易になるものもある。
具体的な情報の項目については、今後さらに検討が必要であるが、少なくとも、この項目がなければサービス選択に支障をきたす、あるいはサービス提供事業者として問題があるという判断基準にはなり得ることが必要である。
○利用者にとっては、2. により、法定されてはいないが、自分にあったサービスを探すのに役立つ情報が提供されることが必要なほか、3. の事業者による自らのサービスの特性や、工夫等きめ細かな情報が自主的に提供されていることが望ましい。情報提供のルールも含めた事業者向けガイドラインの作成や情報開示状況の公表などにより、行政は事業者による自主的な情報提供が行われる環境を整備していく必要がある。
その際には、事業者における情報提供のための負担が大きくならない、あるいは負担してでもほかにメリットが生ずるよう、事業者との連携を容易にするなどの工夫を行い、このしくみが効果的に機能するようにしていかなければならない。
○福祉サービスを提供しているNPOや地域で活躍するボランティアに際しては、制度が発足して間もないことや、法人としての運営基盤が弱いことなどから、発信すべき情報が適切に整備されていないなどの心配がある。今後、このような主体の活動はますます重要になることが予想されるため、これらに関する情報をいかにこのしくみに取り込むかも、課題の一つとなる。
(第四のギャップへの対応−利用しやすい情報の提供)
○第四に、「情報提供はなされているが、利用者が利用しにくい」ことの課題としてあげた「一覧表」等については、利用者が利用しやすいように加工して情報を提供することが必要である。
○そのためには、「サービス関連情報」、「苦情関連情報」、「サービス評価関連情報」が利用者の利用しやすい形で加工されているほか、制度の概要や、東京都や区市町村の関連施策PR、その他民間事業者による関連サービス、利用者のニーズ情報、ボランティア情報等、福祉サービスに関する情報も総合的に提供されていることが望ましい。
○図3は、利用者のサービス選択を総合的な情報提供によりバックアップするしくみのイメージを示したものである。
情報提供、苦情対応、サービス評価のしくみは各々しくみとして機能していることは前提となっている。その上で、それぞれのしくみが、個別に情報を発信し、利用者に伝えられる際に、それぞれが有機的に組み合わされ、効果が生じるように加工するのである。
○また加工された情報をいかに利用しやすく提供するかも重要な課題である。インターネットを活用することが、広く多くの利用者が必要なときに入手でき、効果的であることはいうまでもない。
しかし、インターネットを利用できない多くの利用者について配慮することを忘れてはならない。そのためには、サービスコーディネーターの活用はもとより、将来的には、今後も進歩するであろうIT(情報技術)を活用して、たとえば高齢者でも利用できる操作の容易な情報端末をコンビニエンス・ストアに配置し、買い物やATM利用のついでに利用できたり、ケーブルテレビに「福祉サービス情報チャンネル」のようなものでも情報が入手できるよう、考慮すべきであろう。
○当面は、高齢者等にもわかりやすいパンフレット等を作成し、行政やサービスをコーディネートする事業者などから積極的に利用者に対してアクセスし、情報提供を行っていくことにより、利用したくても情報を入手できないという状況に対応していかなくてはならない。
3 しくみが有すべき機能
○最後に、以上のようなしくみに内包されるべき機能について、提言しておく。
(情報の質を確保する機能)
○先に見た「常に変化する」という情報の特性を踏まえると、サービスに関して事業者等から発信された情報が利用者に届くまでの間に何らかの影響を受けて変化したり、利用者側の事情で異なって認識されてしまったりする可能性がある。契約制度においては、口伝え等によって質が悪化したものが混じる情報の中から、適切な情報を利用者が自らの責任で選別することが基本である。
○しかし、一般商品と異なり福祉サービスは、サービスの利用者がそのサービス自体に疎かったり、判断能力が不十分な場合もあるなど、情報を選別する能力が小さい傾向がある。
○また、質の悪い情報を選別してしまい、不適切なサービスを利用した場合、介護など利用者の生活に明着しているサービスのため、その影響は非常に大きい。
○そのため、できる限り質の高い情報が確保されるよう、正確な情報を十分に提供される機能を有したしくみを確立することが必要である。
(利用しやすい情報へ加工する機能)
○一方、「情報の正確さ」だけを求めると、例えば事業名、住所等の「事業者一覧表」、あるいは、利用者が理解できない専門的な情報になりがちである。しかし、これでは、利用者の選択をバックアップすることはできないことから、利用者が利用しやすいように加工することが必要である。
○正確さの点では、行政が有する情報が社会的に信頼性が高いといえる。しかし、中立性・公平性の観点から、行政は、その有する情報にバイアスをかけ、加工することができにくいことから、行政が提供するものは情報としての魅力が低くなることは避けられない。
○また、サービス関連情報は事業者からできるだけきめ細かいサービスが提供されなければ、このしくみは成り立たないことから、事業者からも信頼され、広く利用者に提供されるよう、情報を加工する機能もこのしくみに内包されることが必要である。
○これまで行政による「措置」によってサービスが提供されてきた福祉サービスの分野において、サービスに関連する情報の重要性については、まだ十分認識されているとは言い難い。このような状況の中で、上記のような機能を有した「利用者のサービス選択をバックアップするしくみ」が自然発生的に生ずることは期待できず、しくみの整備は行政がリードしていくことが求められる。
○都の場合は、事業者の指導検査権限を有しており、サービス評価や苦情関連情報を指導検査に活用したり、利用者に危害が及ぶおそれのある場合には緊急情報を流すことも考えられる。また、たとえば先に示した事業者向けの運営ガイドラインの作成などにより、事業者に対し情報が適切に開示されるよう働きかけていくことも忘れてはならない。
○また、これらの新しいしくみを担う人材の確保も重要である。そのためには、区市町村や民間との役割分担を踏まえて、従来の手法にこだわらず、効果的・効率的に人材を確保していくしくみを検討することが必要となる。
○サービスに一番身近な地域である区市町村は、サービス事業者や住民に直接接する機会も多い上、苦情については介護保険制度だけでなく、今後他のサービス分野でも苦情対応のしくみが確立すればその役割はますます重要になる。
○都は、今後、区市町村とも連携しながら、早期に総合的なしくみの構築について具体的検討を行い、平成15年度からの本格的な契約制度の導入を前に、利用者が地域で自らサービスを選択し、利用できるよう環境を整備していく必要がある。
おわりに
○利用者が選択するといっても、福祉サービスは個別具体的に直面している困難な状況に対応するためにこそ必要とされるものであり、レストランや一般の商品のように、たくさんある中から、どれでも選べるわけではない。「バックアップのしくみ」に求められる「情報」は、そのような状況のもとで、どれが最適かを判断するためのものであることを忘れてはならない。
○さらに、利用者が契約によりサービスを選択するという新しい制度へと円滑に移行するためには、次のような課題も十分に考慮しなければならない。
1. サービスの量・質の充実
利用者が福祉サービスを選択できるようになるためには、その量の拡大及び質の 改善・向上が必要である。
2. サービスコーディネートのしくみ
利用者の自立を支援するという観点から、地域での生活に支障を抱えている人の 個別ニーズに即して、効果的・効率的にサービスを提供するためには、福祉サービスのほか、保健、医療等関連サービスと総合的に調整し、提供するしくみが必 要である。
○「バックアップのしくみ」は、これらの課題とともに結びついてこそ、より一層利用者の選択を容易なものとする。
○本審議会は、これらの課題について、東京都が今後とも取りくんでいくことを強く願うものである。
○高橋分科会長
ありがとうございました。
それでは、第3章の提言についてのご質問、これは1章、2章とも深くかかわりますので、とりあえず第3章に即したご質問を受けて、それから総括的な議論というふうにさせていただければと思います。
○大本委員
質問と意見なんですけれども、質問は細かい具体的な質問ですけれども、図3の「利用者のサービス選択をバックアップするしくみ」というふうに書いてありますけれども、仕組みというのは、具体的にどこがやるのか、どういう機関がやるのか、ちょっとそこのところがイメージできないのですが、これはどうなるかということをお尋ねしたい。
それから、こういうふうに情報についておまとめいただいたことに対して、私は高く評価したいと思うんですね。こういう情報サービスというんですか、開示していくとか、そういうことについては、こういうことが前提になって福祉サービスがある必要があると思うんですね。
そういう点で、きょう提案されたことが前提になると思うんですけれども、同時に、これと関連されて、最後の「おわりに」のところで指摘があるんですけれども、一人一人の選択といっても、一人一人のニーズは時間の経過とともに変化していくと思うんですね、特に後期高齢になっていきますとね。それに対応したサービスが必要なわけですけれども、情報もいろいろと多様化し、拡散する、変化しているというご指摘があるんですけれども、選択する側にとってみたら、ニーズが変化するといったときに、先ほど大道先生からもご指摘があったんですけれども、医療とか、保健とか、ホームヘルプという福祉ですよね。保健と福祉と医療、3者の領域でニーズが変化していくという、それを一人一人のニーズを発生する人が選択するといっても、自分が変化したときに、どういうサービスを受けたらいいのかということ自体もわからないということがあると思うんですね。だから、知らないで選択できないということが往々にしてある。だから、医療、保健、福祉を選択するといったときに、個人が選択するといっても、かなり専門的に勉強しない限りできないと思うんですね。
そういう意味で、今、介護保険制度の中でいろいろな専門の方々がおられるんですけれども、どうも個人のところにトータルにそれがおりてこないというんですね。だから、選択するといっても、無知で選択できないという側面がすごくありますので、そういう連携というんですか、自分のニーズが変化することと情報サービスが自分で判断できないけれども、それを結びつけられるような、そういうことがすごく大事じゃないか。じゃないと、せっかく情報があっても利用できないことが起きてくるということがあると思うんですね。
そういう点で、そこら辺のところを、これは「おわりに」の1.、2.で指摘があるんですけれども、ここと緊密に関係していると思うんですね、きょう提言された内容は。非常に多様化した情報を統一的に把握するというシステムは非常に重要だと思うんですけれども、選択するといっても、表2のところで、サービスをいろいろ開示する。いろいろ開示されても、例えば特養に入りたいといったときでも、待機期間が1年とか、2年とか、3年とあるときに、選択するといっても早いところから入りたい。それでも1年待たなきゃいけないといったときに、どんな立派な情報があっても選択できない。とにかく入れるところに入っていくという現状の中で、「おわりに」の1.、2.が指摘されていることと、きょう提言されていることがほんとうに密に連携されないと、きょう提言されていることがなかなか生かされてこないということが起こってくるんじゃないかと思いますので、そういう点を、どういう形でそれが提言に組み込まれたらいいのか、ちょっとよくわからないんですね。ただ、「おわりに」という、こういう指摘でとどまること自体、すごく残念だなという、もう少し組み込んだ形での提言ができないのかなというふうに感じました。
それだけです。
○高橋分科会長
ありがとうございました。
これは、あえて仕組みを制度と言わなかったところがみそでして、起草委員長のお立場からちょっとコメントいただけたらと思います。
後ろのほうの議論は、初めから相当議論されていたことで、今回は、とにかく情報の仕組みの問題を浮かび上がらそうという、結局そのコンセプトを整理した上で、今ご指摘のような問題が課題になるという、そういうことかと理解しております。それは全体として、介護保険と社会福祉法における法的な枠組みの変化を踏まえて、これから議論すべき課題とすれば、そこら辺はそういうことが伝わるような形で整理は必要かと思っておりますが、いかがでございましょうか。
○今井委員
今の関連なんですが、先ほどから1章、2章のときから皆さんのお話をお伺いしながら、実際に情報を使うことを臨場感を持ってイメージしていたときに、何か一つの抜けているなと思っていたんですよ。
介護士の試験、研修がありましたね。あのときに、実は受けた人の半分ぐらいは仕事にはしていないんですね。なぜ受けたかという理由は、どういうことをやって、例えば自分の家族が何かあったときに、どういうふうにしたら介護できるかということと、もう一つは、介護を利用できるのかということを知っておきたかったという人たちが半数を超えているデータがありましたね。
それを見ても思うんですけれども、今ちらっとお話がありましたが、要は情報の価値は、その情報を使えるだけの、情報を受け取る側に何らかの選べる基準を持っている人のためのものなんですね。そういった基準を持っていない人たちに情報を与えても、ただ右往左往するだけで、それは利用できる形にはならないと思います。
ということで、これは最後のところでいいと思うんですけれども、今さら、今ごろになってこんなこと言っちゃって、ここであと1章増やせなんて言ったら、とても大変なことだろうとは思うんですけれども、「おわりに」のところの○2番目、「さらに、」の1.の「サービスの量・質の充実」の前に、サービスの知、知るという部分を項目の一番上につけるべきじゃなかったかなと思います。
その知るということに関しては、実はこれ、中にも書いてありますが、24ページ、○の下から2番目の真ん中から下ですが、「上記のような機能を有した『利用者のサービス選択をバックアップするしくみ』が自然発生的に生ずることは期待できず、しくみの整備は行政がリードしていくことが求められる」と書いてありますから、ここの部分だけは行政にしてほしいと思う部分として、知るための、いわゆる体験学習みたいなことですよね。
だから、どういうサービスが受けられるのか、もちろんそれはどこかへ行って具体的に見てもいいですし、それから、VTRや何かでも構わないと思いますが、こういう場合にはこういうのがあるみたいなのでも、それを提供するでもいいし、それからドラマにするにしても、何でもいいんですけれども、目で見て臨場感のある形で、いわゆるサービスがどういうものかがわかる情報が、知るための情報を一番最初につくれば、そこが基準になって、その後のことがスムーズに行くような気がするんです。
以上です。
○高橋分科会長
ありがとうございました。
従来、「啓蒙」という言い方をしていたんですが、蒙を啓くという意味ではなくて、生活情報としてきちんと福祉サービス、生活技術としての福祉サービスのリテラシー、そういうご指摘かと思いますが、これは非常に大事なご指摘であろうかと思います。
○今井委員
要は、今まで、例えば医療とか、もちろんレストランもそうですけれども、すべてのものが知らないうちに子供のころからだんだん経験することによって知ってきているということを忘れちゃっていますよね。そこの部分が、今回、新しいものができるというのは、これは何でもそうですけれども、例えば、すごく単純なことだけれども、シートベルトを締めましょうというのも、途中から始まった人にとってみればかなりのストレスだし、それを習慣にするまでの間にすごく時間がかかります。でも、生まれたときからシートベルトをしましょうというのがわかっている子供たちにとっては、全くストレスにも何にもならないものなんですね。
だから、そういうことを考えると、最初のところはどうしても体験学習をできる、いろいろな形の情報のやり方で体験学習ができるという部分、知るという部分を落としちゃうと、今回のこれは、先のことが知っている人向けに書かれているというふうになっていると思うんです。
以上です。
○高橋分科会長
ありがとうございました。先ほどの新美委員の時間軸の問題にも多分かかわるご指摘であったかと思います。ありがとうございます。
そのほかに何かご意見。
〇大道委員
総体をお聞かせいただいて、私は、情報提供の重要性は論をまたない。その情報の種類を、これは2章に、一応3種類にお分けになって、サービス関連情報と、苦情関連情報と、評価情報ですね。これはそのとおりだと思います。これを現実に利用者側に、あるいは利用者側からアクセスされるときの具体的なイメージは、苦情関連は、多分、行政に近いところが一番持っていらっしゃるから、これをあちらこちらにばらまかないで、アクセスする側は、多分、行政ないしは行政に近いところへ情報を得たいということで、それが開示の問題ともつながりますけど、これは一つの流れで、かなりイメージできるんですね。
それと、評価関連情報は、評価主体が、この報告では対応性をむしろ期待しているところがあって、さまざまな評価機関があっていい。むしろそこから、場合によっては利用料を払ってでも評価情報を得たいことすらあるのだということが書き込まれている。その背景には、多分、的確な評価を呼び起こすようなこと、あるいは容認というよりは、それを助成するようなことすら感じられるので、私はそれはそれでいいのかなとは思います。
この評価についての議論は、きょうはあまり時間がないので、必要であれば後ほど議論したいんですけれども、いずれにしても、複数の評価機関、組織に直接的にアクセスすることが、多分、情報としては一番しっかりしているんだと思います。
問題はサービス関連情報なんですが、この提言の主たる方向性は、各提供側が積極的に情報提供しなさい、こういうスタンスで書かれていて、これは特に民間事業者から見れば、いわゆる広告ですね。広告またはそれに準ずる形での広報活動が事業の流れを左右しますから、当然のことなわけですけれども、問題は、このあたりの関連情報へのアクセスがもうひとつ見えてこないんで、幾つかご意見になっているのかなと思いました。
あまり軽々に申し上げてはいけないんですけど、現段階、あるいは今後とも、サービスの利用については、ご本人が選ぶことも大いに大事で、ここでは自立した利用者みたいな書き込みをしていらっしゃいますけど、これは医療も含めてですけれども、仮に福祉ニーズについても、みずからの福祉的なニーズ、場合によっては医療も含めたニーズ、何が必要かということそのものが、必ずしも的確に認識できないんですね。そのニーズに合ったサービスといっても、まずニーズは何かというようなことを受けてサービスを選ぶ。
医療は非常にわかりやすいんです。自分は体調が悪いけど、何の病気かわからない。だから、専門家の医者のところへ行くんだ。その診断を受けて、この病気にはこの薬が必要だという、その関係づけの中で医療サービスは展開されるんですけど、福祉の場合も、福祉のニーズは、確かにより生活的ですから、ある意味でわかりやすいといえばわかりやすいんですが、制度との関連で何が必要かというようなことをまずわからないといけない。
それに対応したサービス体系をどういうふうに結びつけるか。これは、もちろん介護保険では介護保険専門員ですし、それ以外では、ここでは介護のコーディネーターという言い方で指摘されているんですが、コーディネーティングまたは相談機能というところが、現実には極めて重要になるんで、相談機能をするときに有効な情報提供体制が非常に強く求められている。このあたりがどういうイメージでどうするか。おそらく東京都も含めて、あるいは全国各地、いろいろな動きがありますけど、まだ見えていない。
介護保険がどうしても先行しますが、いわゆるケアマネ、介護支援専門員の方々は、現段階では特定のある組織・団体、場合によっては企業に所属をしていて、みずからの事業展開をする上で必要なユーザーを何とか集めている。それが先行して、とてもコーディネーティング的なところまで行っていないのが現状だと。これはやむを得ないところもありますし、また、民間事業者を持ち込んだときの大前提としてそれがあったわけですから、これは必ずしも悪いことではないんですが、問題は、情報をいかに適切にインテグレーションするかというところをバックアップする仕組みが、現段階ではとてもそこまで成熟していない。ここでの提言は、そこをどういうふうにつくり上げていくか、東京都が、あるいはこの専門部会がどうやって誘導していくかということなのかなというぐあいにお見受けいたしました。
非常に的確なユーザーが自分自身でやることは、介護保険では、例のルートが分かるぐらいのところまで書いてあるんですが、実際はなかなかそこまで行かない。ましてや従前の福祉サービスの場合は、今申し上げたとおりだと思いますので、そこのあたりの書き込みを、何とかもうちょっと具体的な提言としておまとめいただけるとありがたいな。
実は、その中に医療とのかかわりが出てくるんですけど、医療のことは先ほど申し上げましたが、今申し上げたようなところでの情報支援の仕組みをイメージ化していただけると、この提言書が大変ありがたい提言書になるのではないかなと思いました。
以上でございます。
〇高橋分科会長
大変的確なご指摘をいただきました。企画起草委員会でもう一度議論すべきテーマをいただきましたが、おそらくここで若干相談ということで触れていますので、これをどういうふうに書き込めるか。現在では、方向というよりは幾つかの道筋というか、そういうことになるのかもしれません。その中で、公的な区市町村、そこで、ある意味でいえば区市町村の役割ということをかなり強調しておりますので、そういうことも含めた整理と、それから、民間の相談ということも多分あるだろうしという、それを支える人的なあり方みたいなものもあると思いますので、そこら辺は、後で小林起草委員長にちょっとコメントしていただきたいと思いますが、大変大事なご指摘をいただきました。ありがとうございます。
いかがでございましょうか。
○水谷委員
ただいまご指摘がありましたように、大部分の利用者は情報弱者であるという、私も起草委員の一人なんですけれども、そういう出発点でこの提案をしたわけなんですが、ご指摘のように、この最後の図3でサービスのコーディネーターという言葉が使われておりまして、いわばプロといいますか、今でいう相談の役割なのかなという気もしますけれども、その人たちにとって、サービス選択をバックアップする仕組みがほんとうにこれでいいのかどうかという、そういった点のご指摘だと私も思いました。
私は、その一因として、コーディネートする第三者的な立場でというふうなところも書かれておったと思うんですけれども、そういう中で、例えばNPOのような機関が情報のコーディネートをする役割もあり得るんじゃないかなというふうにちょっと感じました。
以上です。
○高橋分科会長
ありがとうございます。
全体の東京都の審議会の文脈の中では、この議論はずっと積み重ねてきていたかと思います、地域福祉のあり方等。ただ、これを情報の視点からもう一度見直してみようということかと思います。ありがとうございます。
〇豊田委員
今までの皆さんの指摘は大変共感しているんですけれども、23ページにある○の3番目の一番最後「適切な情報を利用者が自らの責任で選別することが基本である」と言い切っているんですね。先ほども言っていますように、知っている人を対象にした提言であれば、これはこれでよろしいんですけれども、福祉のサービスを受ける人は、そういう範疇の人でないということは皆さん感じていらして、先ほどからの発言があると思うんですね。
それで、言葉じりをつかまえるわけじゃないんですけれども、みずからの責任で選別することが基本でありますけれども、みずから選別しなければサービスが受けられないというのは福祉ではないんではないかという疑問を私は持っているんです。
要は、だれでも安心してサービスを利用できる仕組みをどうやって私たちは提供していくかという提言でありたいと考えておりますので、その辺をもうちょっと盛り込んでいっていただければいいかなと思っております。
○高橋分科会長
ありがとうございます。
○小高委員
東京都は、こういうサービスのレベルアップに貢献すべきというようなことをもうちょっと盛り込んでいただきたいんですけれども、この図3のイメージですね。先ほどほかの委員もおっしゃっていましたけれども、どこから出ている情報なのかというのは、大体想像はつきますが、これは一方的な矢印ではなくて、もっと戻ってそちらのレベルも上げるという、そういう働きもなければいけないんじゃないでしょうか。
○高橋分科会長
相互的なことではあろうかと思いますが、この矢印はひとつの理解のためのあれですので、ご趣旨はよくわかります。
いかがでございましょうか。
○内野委員
先ほど申し上げた続きにもなるかもわかりませんが、こういう福祉サービスは人的サービスです。私ども、予算とかそういうものに対して大変枠を決められて動いているというのが現状です。医療関係は、同じ介護保険の報酬の中で枠が決まったといいながら、まだそこに自由があるというようなことを私ども支援センターの職員は申しております。
そうした中で、これを見ていますと、営利法人が東京の場合、倍以上あるという点を考えますと、行政で一定以上の、これだけのサービスができているところは優良マークを出すとか、保健所が今食堂に出していますね。そういうことをするような方向を考えていただけないかと。
それから、先ほども新サービスということに私はこだわっていますが、サービスは厚ければ厚いほうがいいと。例えば自分でできることでも、人にしてもらえばありがたいというものはあります。それを支援サービス、その人の自立を促すという意味でやると、「じゃ、あそこはサービスが悪い施設だ」というような言葉にもなりかねないという危惧も、支援を抜かされると、単なるサービスだけで言われると、出てくるんではないかというような思いがあります。
私としましては、先ほど委員の方がおっしゃっていらしたように、自分ではなかなか判断できない方たちなんです。できれば、私は今言っている、元気な間にこういう福祉施設を見ておいてくださいと。そうしますと、弱ったときにご自分が選ばれる判断基準になりますよと。
先ほどからビデオとか、いろいろな形で知るということを言っていらっしゃいましたが、やはりそれは大変必要だと思うんです。ですから、サービスを受ける立場の人の教育ということ、それも元気で判断能力のあるときに見て、知っておくということをぜひ都としても呼びかけてほしいですし、提言の中でも、そういう賢い消費者になろうと。
私は、選択肢が多いほどサービスとしては大変いいと思っております、いろいろなサービスがあって。ただ、それには賢い消費者にならなければ必ず痛い目に遭う人も出てきますので、そういう意味で消費者側の教育、消費者と言ったら高齢者に対して失礼なのかもわかりませんけど、やはりそういうことも考えて、ちょっと書いていただけたらと思います。
○高橋分科会長
ありがとうございました。
情報の選択と福祉サービスの特性に即した選択のあり方みたいなことをもう少し具体的に提示できないかということかと思います。ありがとうございます。
いかがでございましょうか、ほかに。
〇渡辺委員
今のお話と、また、先ほど今井委員からもあったんですが、私が小金井のある施設に伺ったときに、小学5年生ぐらいの男の子が、きちっとてぬぐいをかぶって一生懸命高齢者のお世話をしていた場面があるんですね。すごく真剣な顔つきで、それで、高齢者の方も、そこでのコミュニケーションという光景がずっと忘れられないでいるんですが、先ほど、受ける側のというのは、やっぱり義務教育的に教育の中にきっちりと、どんどん高齢化していくことはわかり切っていることですし、基本的なことかもしれませんけれども、その辺が非常に必要ではないかということを感じます。
○高橋分科会長
ありがとうございます。
いかがでございましょうか。そろそろ整理をさせていただきたいと思いますが、幾つかご指摘がございましたが、個別というよりは総括的に小林さんのほうからレスポンスしていただけましょうか。
○小林企画起草委員長
私は一応企画起草委員長ということになっておりまして、私がそうでなければ、皆さんが今おっしゃったようなことを言いたかったんですけれども、たまたま取りまとめのほうになってしまいまして、いや、これはこういう意味だというやや、私は弁解するつもりはないんですが、これは事務局との合作ですので、こういう趣旨で書いているつもりなんだけどということを含めて、お話をさせていただきたいと思います。
今までの福祉の仕組みから、措置の仕組みから契約の仕組みに変わっていろいろな問題が起きてきていることは、もちろん私の個人的な認識ですが、わかっているつもりであります。
その上で、今回の意見具申の位置づけなんですけれども、まず、4点ほど私の考え方を申し上げたいと思います。これは個人的な考えですので、もしかしたら田端先生とか、ほかの企画起草委員の方と違うかと思います。
第1点、情報だけですべて解決するものではない。これは非常にはっきりしたことです。情報だけで問題解決するとはだれも言っていないということだろうと思います。当然、今、お話しいただきましたように、サービスの具体的な提供に当たられる事業者の方、利用者の側、コーディネートの仕組み等々いろいろな仕組みがあってのことでありまして、それがうまく働かなくてはいけませんし、何よりも大きいのは、きちんとサービスの量が確保される、つまり計画的なサービスの整備が行われる。これがなければ、いくらこんなことを言っても意味がない。これはもうはっきりしていることだと思います。
じゃ、逆に言いまして、そういうものがうまくいかなかったら、この情報の仕組みは意味がないかというと、私はそうではないと思うわけです。逆に、この情報の仕組みを今申し上げたようなところにフィードバックしていく。こういう情報の仕組みができたら、そちらのほうとどういう問題が生じてくるかという枠組みをつくっているということだと思うわけでありまして、今回の検討では、できるだけ情報ということに絞って仕組みを考えてみようということで案ができているというふうに考えております。
したがって、皆様から出していただいたような問題があることは当然であります。それをどこまで答申の中に含み込んだらいいのかというのは、また皆様にぜひご意見をいただきたいと思いますけれども、一応、情報を考えてみると、こういうことになっているということですね。そのことをまず第1点申し上げたいと思います。
したがって、2番目として、今もう言ってしまいましたが、関連する領域、特に東京都では、いろいろなほかの領域の検討をなさっているわけでありますから、そちらとどういうふうに連携するか、あるいはフィードバックするかということを検討していく、これは当然のことだろうと思います。これが2点目です。
3点目、利用者、今までの福祉サービスの利用者ということですが、イメージなんですが、つまり、成年後見のサービスを利用なさるような方から、こちらの利用をできる方というふうにいろいろな幅があることも当然のことだと思います。
私の認識を一つ申し上げておきますと、これは私の住んでおります横浜でちょっと経験したことなんですが、福祉事務所──あそこは福祉事務所じゃなくて、保健福祉サービス課とかというふうに言いまして、福祉事務所でなくなっていますが、そこで、担当者の方がこういうことを言っていました。「最近の福祉の相談に見える方は、どこそこのどういうサービスを利用したいと言って来るんじゃない。そうでなくて、どういうサービスがあるか知りたいという言い方をなさる」。これはもちろん本人ではありません。家族ですね。家族が来るということなんです。
ですから、利用者というのは、皆さん今までお聞きしておりますと、体が弱くなったご本人を想定していらっしゃるかもしれませんが、多くの場合は、私の考えでは家族ではないか。家族がいろいろな情報を仕入れて、どうやってうちの親をこれから介護していったらいいか、ケアしていったらいいかというふうに考えていらっしゃる方が多いんではないか。したがって、そういう方たちにできるだけ多くの情報をお伝えする、これは絶対必要なことだと考えております。
そういうように福祉サービスの利用者の層というんですか、利用者の方の意味が変わってきているということを前提に、この情報ということを考える必要があるんではないかと思うわけであります。当然、それができない方、ひとり暮らしの方でありますとか、成年後見の対象になるような方たちに対しては、もちろん行政のほうで手厚い対応をしなくちゃならない、これは当然であります。けれども、そういう方たちだけではないということは、やはり今の時代、踏まえておかなければいけないのではないかというのが第3点であります。
第4点、コーディネーターの問題が大変強く出されておりまして、この点は、やはり今回もう少し強く書き入れてもいいかなと思いました。大道先生ほか何人かの方から、コーディネーターの情報提供ですね、これが大変重要であるというふうに考えています。
ちょっと言うのが恥ずかしいんですが、福祉サービスとは何かという問題について、今のコーディネーションの問題、ちょっと私の考えを申し上げてみたいと思います。
医療の場合のコーディネーターは医師が担当するというふうに私は考えております。適切な医療、適切な薬、そういうことを専門職の立場から最も科学的な判断に基づいて提供することが医師に課せられている使命でありまして、このところはもう前提になっております。もしこれが揺らいだら非常に大きな問題になるというのは、いろいろな問題が起きてきている最近のことから見ても当然だと思います。
福祉は何かと申しますと、サービスと利用者との間の、利用者の希望を聞きながら適切なサービスを調整していく。したがって、医師が行うような「あなたはこの薬を飲みなさい」ということではないのが前提だと思います。そうしますと、サービスのコーディネーターはいろいろな情報を自分が持っていて、つまり自分が所属するサービス提供機関の情報だけでは当然いけないわけでありまして、いろいろなサービスの情報を持っていて、相談していくということだろうと思います。その場合、相談というのは、必ずしも利用者ご本人、例えば寝たきりのお年寄りではないのでありまして、家族が在宅のケアをしていく上で何が必要かということも非常に重要なことであります。家族の意向と利用者の間の調整をする、そのことも非常に重要であります。
このときのサービスは、必ずしもAであるBであるという科学的な対応ではないのではないか。むしろ、この言葉では「個別性」となっておりますけれども、その家の事情を勘案しながら、いわば話し合いをしていきながら「これがいいんではないか」という、暫定的なと申しますか、そういう仕組みをつくっていくことだと思うんですね。したがって、科学的な真理みたいな──医療でもいろいろな問題があると思いますけれども、そういうことではないのではないかというイメージを持っております。
そういうコーディネーターに対して情報がどういう役割を果たすことになるかという観点から取り上げてみるべきではないか。介護保険における介護支援専門員のこともありますでしょうし、私の立場から言いますと、在宅介護支援センターの職員の果たす役割、いろいろあると思いますけれども、そういうことを総合的に考えて、もうちょっと議論をぜひ詰めてみたいと。これはぜひ大道先生にこの辺のご教示をいただいて、医療におけるコーディネーションの問題と福祉におけるコーディネーションの問題、原理的には違う点があると思いますので、ぜひこの点は深めてみたいと思っております。
さて、以上の4点を前提にいたしまして、私は別に答える必要は何もないんですけれども、今までいただきました議論に対して簡単に、時間がもう4〜5分で、全部をもちろん答えるわけにはいきませんけれども、申し上げたいと思います。
気がついたところだけ申し上げます。あとは、記録をとっていただいておりますので、また、個々のご意見に対しましては詳しく検討委員会で、事務局と検討いたしまして、必要なものは採用させていただくようにいたしたいと思います。
小高委員の問題に対してですが、最初に出された問題ですが、心の問題、サービスのレベルアップの問題等々いろいろ出されております。これは、全くおっしゃることよくわかります。信頼関係がどうつくれるかというところが非常に重要なことでありますが、この前提には、もちろんサービスがあるということが前提なんですけれども、例えば苦情が出てきた場合に、ここの仕組みで考えられる部分とそうではない部分があるのではないか。一義的には、まずサービス事業者に対して苦情を言うことができるというのが介護保険の仕組みでありますし、そういう苦情が言えるための何か考え方ですね。こういう場合にはサービスの苦情を当然言ってもいいんだというような、消費者教育というのか、利用者教育というのかわかりませんけれども、そういう適切な情報を提供することが基本になると思うわけでありまして、最後にどなたかがおっしゃった「安心して」というのは、私はとてもいいキーワードだと思うんですね。安心してサービスを利用できる。
ただ、安心してという意味が、お任せすれば安心ということではないのではないか。我々の時代は、特定の施設にサービスをお任せしていればいいという時代ではなくて、一つ一つ考えて、こうしてはどうでしょうか、こうしてもらえないんでしょうかということを考えられるような時代に入ってきているのではないか。したがって、これはちょっときつい言い方になりますけれども、先ほどどなたかおっしゃっていましたが、サービスを選ぶ責任、選択の責任があるということ、これもちょっと問題があるかもしれませんが、「必要なことはこうではないですか」ということを言える。そういう判断の基準を示す必要がある。そういう意味で情報を考えてはいかがでしょうか。
したがって、対応がすぐ変わってしまうとか、公表できない問題等々ありますけれども、信頼関係という意味が、お任せする信頼関係ではないんですね。ではなくて、「これはどうでしょうか」と聞いて、それに対して適切な説明が行われて「こうなんですよ」ということが言われるような、そういうサービス利用が今後福祉の領域でも求められるようになるのではないか。その上で、この仕組みがどういうふうに機能するかが課題になるのではないかというように先ほど伺っておりました。
大道委員のご意見は、先ほど申し上げたとおりであります。
内野委員のご指摘でありますが、療養型と特養型と老健型、お金だけで、安いからということ、これも伺っておりましてそうだろうと思いますが、これは情報の問題といいますよりも、サービスの基盤整備の問題がかなり大きいのではないでしょうか。
この問題は一つ大きいと思いますけれども、施設サービスと在宅サービスで大分違ってきているのじゃないでしょうか。在宅サービスの場合にはかなり事業者が入ってきておられますし、選択の余地ができてきているのではないかと思うんですね。だけど、施設のほうは待機者が逆に多くなってしまったという話も聞きます。いろいろなところに、要介護認定を受けて「私は施設サービスを利用できる。早く申し込まなくちゃいけない」ということで、ものすごいサービスの利用待機者が出てきてしまっているということらしいんですね。これは逆に情報が増えちゃったために、うまくいかなくなってしまっている面があるのかなと思いましたので、こういう点も情報としてどういう対応ができるのか、いわゆる空き情報をどうするのだろうというのは課題かなと思って伺っておりましたが、そういうことも含めていいかなという気がいたしました。
新美委員のお話ですけれども、これも先ほど言われたとおりだと思います。この情報がすぐ動くとは思いません。したがって、もちろんこれは都がやれることと、自治体にお願いしなくちゃならないことが非常にはっきりしていると思います。自治体はより具体的な情報を持っていらっしゃるわけでありますし、どういう施設配置になっていて、どこに利用できる施設があるとか、どういうサービス情報、これはもちろん自治体が持っていらっしゃるわけですから、こういう仕組みを提案したときに、自治体のほうでは、これをどういう仕組みとして受けとめていただけるかということをご教示いただければ、大変いいのではないかと思います。
あと1〜2点だけ申し上げますと、競争が問題になるというのはおっしゃるとおりだと思いますが、競争でいい部分と悪い部分と両方あるのじゃないかと思います。渡辺委員のご質問でしたけれども、専門職がお手伝い扱いされる。この辺もやはり利用者教育はもちろんあるのかなと思いますけれども、このことも含めて、どの程度までそういうことをお願いしていいのか。つまり、利用者の方針をどこまで言っていいのかどうかということも、この情報の中で整理されていくのがいいんではないかという感じがいたしました。
大本委員のご意見ですけれども、これは、先ほど申し上げたとおり連携の仕組みということですね。医療のコーディネーションと福祉のコーディネーションは違う部分があるんじゃないかと思います。私の聞いておりますところでも、例えばリハビリテーションになってきたら、やはり病院、特にディスチャージというんでしょうか、病院から次の病院へ移って、また次の病院というような動きがありますし、福祉は、どっちかというと在宅から施設に入るということをイメージしておりますけれども、今、非常に大きな問題は、病院から在宅に戻るための仕組みが非常に重要になってくる。この場合には、福祉というよりも医療のほうとかかわった仕組みが、特にリハビリテーションみたいなことを考えますと重要だと思いますし、この辺の情報の提供も、福祉で抱え込む、あるいは医療で抱え込むというのが一番問題なのではないかと思いますので、そこがはっきり情報として提供できるような何か仕組みが問題になる。どうなるかわかりませんけれども、そういう問題提起という感じがいたしました。
今井委員がおっしゃったことにつきましては、おっしゃるとおりで、情報って非常に無機的な、コンピューターの画面に出てくるような情報を考えているけれども、そうではないということで、もう少し情報という範囲を、種類を広げてみてはどうかというご提案だったかと思います。ビジュアルな形で、目に見える形で、あるいは体験という形で利用する、そういう知識を持っていることの大切さは必要でありますし、このことは多分この中に入れさせていただいてもいいのではないかと思います。
関連情報につきましての大道委員のご指摘でありますけれども、これはおっしゃるとおりだと思います。
これは、最後の小高委員のご指摘にもあったかと思いますが、最後の図3をごらんいただきたいと思います。ここに示しましたのは、これは事務局が考えてくださったので、主にバックアップする仕組みから、利用者とサービス事業者にどういうインプットが、つまり貢献ができるかというふうに書いておりまして、どういう情報を吸い上げるかということは入れていないんですね。それを入れますと非常に複雑な図になってしまいますので、むしろここではバックアップのところだけとらえて図をつくったということになっているかと思います。
その上で問題になりますのは、下の「利用者」と「サービス事業者」の枠に入っているところの自己情報の開示というこの自己情報と、一番上の段の真ん中のところにあります「サービス関連情報」、ここの関連情報がどういう関係になるかという問題だろうと思います。上のほうのサービス関連情報をどの程度事業者にお願いできるか、これが一つポイントになってくるだろうと思います。したがって、ここは、個々の事業者が発行しているパンフレットではなくて、そうではない情報を今後どう集積できるかというところが課題になってくるのではないかという感じがいたしました。
あと幾つかございましたけれども、何回も申しますが、情報の仕組みだけで、もちろんうまくいくわけではない。ほかの仕組みとどう組み合わせるかということが次のステップの課題なんだろうというふうに考えております。
○高橋分科会長
ありがとうございました。
田端副分科会長から何かコメントございますか。
○田端副分科会長
一言よろしいですか。時間がありませんので簡単に申したいと思いますが、ただいま小林企画起草委員長からご説明ありましたことは、基本的に企画起草にかかわった一人としては了承しております。
その上で、ちょっと私としても強調したいことは、今、小林委員長からお話があったことの中で、利用者が変わってきているということを強調されましたけれども、そういう一面と、もう一つは、利用者の中で高齢化が進んでいく中では、ひとり暮らしとか障害を持つ人というだけではなく、高齢夫婦、しかも、そのときに家族が存在しても、家族が家族としての機能をすべてに要求することはできない利用者という問題があるだろうと思います。
そういう場合に、福祉サービスのコーディネーターにとって重要なことは、大道委員もおっしゃられましたけれども、医療については何らかの自分にとってふぐあいがあるときにサービスを求めるというところがあります。もちろんそうでない方もいらっしゃいますけれども、それでも医療のサービスを求める道につながっていかない人もいることはいますけれども、多くはそういうことだと思います。
ところが、福祉サービスの場合は、これまで福祉サービスについての認識がなかったというご指摘もあるとおりでありますけれども、必ずしもサービスを必要とするより、今の言葉で言えば「自立した」と言われますけれども、自立したとまで言わなくても、よりよい質の生活が営めることであっても、サービスを利用しようという認識を持たない場合と、もう一つは、逆にこういうサービスは利用できるのだという時代になって、必要を越えても利用したいという人と、やや両側に分化していく傾向があるということです。
そのときに、福祉サービスの特徴というのは、その人にとって適切なサービスを利用することによって、その人がその人らしいよりよい生活を営めるようにするところに、ここで言われればコーディネートの重要性があると。東京都はずっとこれをサービスコーディネートとか、あるいはコーディネーターという名称を使ってまいりましたから、1ページの「はじめに」のところにも、今回、サービスコーディネートの仕組みについては都が別に計画しているという説明を入れているところでございます。
さらに、小林委員長は、そういう役割を持つのは介護支援センターの介護支援の専門職であるというように言われておりますが、ここのところをどのように機能──介護支援センターであるか、あるいはもっと身近にいろいろな提供組織が必要なのか、そこはちょっと別としまして、ここをどのように強化するかということと、この情報のバックアップシステムがどういうように連動していくかということを「おわりに」のところでは少し強調する必要があったかなというふうに考えております。
以上です。
○高橋分科会長
事務局のほうで、今の全体の議論で何か補足ございますか。
○福祉局総務部副参事
特にございません。
〇高橋分科会長
ありがとうございます。
東京都の今までの審議会の答申の流れの中に、ある程度位置づけ……。何回もいろいろな先生方からご指摘いただきましたけれども、大まかに言うと、従来はある種のサービス充実論というか、従来の仕組みを前提として充実するその条件を探る、その人的な確保を探る、そういう議論があって、それがある時期から「地域福祉」というキーワードにする。そうすると、地域福祉をキーワードにして、在宅ケアをどういう形で充実させていくかという、そういう文脈の中で、いろいろな形で、これは高齢者、障害等を含めてコーディネート論、ここではコーディネートの議論がある。そういう議論が、地域福祉を基調としたということを言いながら議論がずっと進んできて、その上で、介護保険と社会福祉法はサービスの利用制度の大きな仕組みの転換でございますから、それを踏まえて、その裏にありますのは、福祉サービスが多分市民社会で生活を維持していく上での、だれでもが利用すべき制度になってきたという構造の中で、多分、利用者像が、きょう議論があったように、かなり幅が出てきた。そうすると、そこを「情報」というキーワードでもう一回見直そうと。
これはあえて「制度」と言わずに「しくみ」と言っているところが大変重要なところで、東京都が責任を持ってということではなくて、東京都という社会というか、地域社会の中で情報の、これは神経細胞みたいに情報が行き渡る。それがどういう形で形成されていったらいいかという見取り図をここで出そう。それを踏まえた上で東京都としてやれること、市町村として、先ほどから民間として、事業者として、そういう形でもう一度見ていくと、当然、今まで出てきたコーディネート論の意味合い、それから福祉サービスとは何だろうかということも含めて、もう一度ある種の合意といいましょうか、共通了解、そして、それに立って、それぞれのところで行政政策を展開していただく、そういうための参照すべき一つのドキュメントとして利用していただく、そんなことで今準備が進められているというふうに私としては理解をしております。
それでは今後、きょうもご欠席の委員がいらっしゃいましたので、きょうの議論の結果は早急に整理をしていただく上で、お気づきのことを含めまして、具体的に3月5日(月曜日)ということで日程を設定させていただきたいと思いますが、ご意見等、これはぜひご欠席の委員の皆様にもこの旨お知らせをいただきたいと思います。
これを踏まえて、企画起草委員会等の議論を踏まえまして、分科会としての最終案を、次回は拡大分科会という形で開かせていただきたいと思っております。日程は目下調整中でございますが、後ほど、めど等があれば事務局からご報告いただければと思いますが、そして拡大分科会で了解をいただいた時点で、総会という取り運びになろうかと思いますが、そういう手順で考えておりますので、ひとつよろしくご協力、ご提言をお願いできたらと思います。
この点、事務局のほうで何か補足すべきことございましょうか。
〇福祉局総務部副参事
このほか、きょういただいたご意見を含めまして、特にありましたら、今、分科会長がおっしゃられましたように5日の月曜日までに事務局のほうにファクスなりいただければ、またフィードバックするようにいたします。
○高橋分科会長
それでは、大変ありがとうございました。的確なご意見をちょうだいいたしまして、最終的な案、素案の素が取れた案に仕上げていく上での示唆的なご意見をちょうだいすることができました。ありがとうございます。
それでは、次回、改めて拡大分科会という形でご提案をさせていただきたいと思います。
本日の分科会はこれで審議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。
(午後0時08分閉会)