第５１回東京都社会福祉審議会の審議結果

（午前１０時０５分　開会）

○梶原計画調整課長 　本日は、年末のお忙しい中ご出席をいただきまして、ありがとうございます。私は、当審議会の事務局の書記を担当させていただいております福祉局総務部計画調整課長の梶原と申します。どうぞよろしくお願いいたします。 　開会に先立ちまして、事務局より、委員の皆様の出席につきまして報告をさせていただきます。 　本審議会の委員総数は、本委員３０名でございます。そのうち、本日、所用のために欠席の報告をいただいております委員の方々は、今井委員、大橋委員、大道委員、大本委員、小林委員、寺田委員、新村委員、本沢委員の８名でございます。したがいまして、本日出席予定の委員の方は２２名となりますので、定足数に達することを報告させていただきます。 　続きまして、お手元に会議資料を配付してございますので、ご確認をお願いしたいと思います。 　資料１が、東京都社会福祉審議会委員の名簿でございます。 　資料２が、「東京都社会福祉審議会『これからの福祉』検討分科会の概要」。 　資料３が、検討分科会委員の名簿。 　資料４が、検討分科会の審議経過。 　資料５が、「論点整理の項目（案）」でございます。 　資料６から資料１１につきましては、本年３月以降の東京都の福祉施策の動向についての参考資料として配付させていただいております。 　まず、資料６「東京の社会福祉２００３」でございます。これは、都の福祉改革の基本的な考え方や各種福祉施策の概要等を解説したガイドブックの最新版でございます。 　資料７は、「東京都高齢者保健福祉計画」でございます。これは、老人福祉法に基づきます都道府県の老人福祉計画と老人保健法に基づく都道府県老人保健計画を一体として作成したものでございまして、東京都の高齢者保健福祉施策についての指針として、本年３月に改定されたものでございます。 　続きまして、資料８は、第２期の東京都介護保険事業支援計画の概要でございます。これは、介護保険法に基づきまして、東京都が介護保険の保険者である区市町村を広域的観点から支援するために策定するものでございまして、５年を１計画期間として、３年ごとに改定されます。これは、本年３月に、資料７の高齢者保健福祉計画と同時に改定されたものの概要でございます。 　資料９が、「介護保険制度の見直しに向けた東京都からの提案【試案】」でございます。これは、介護保険法の附則に定められました法施行後５年を目途とした介護保険制度全般の見直しに向けて、東京都として現場からの制度改善提案を行うべく取りまとめたものでございます。現在、都民や関係者の意見をお聞きしておりまして、取りまとめの上、提案書として国に提出する予定でございます。 　資料１０は、「２１世紀の福祉のまちづくりビジョンのあり方について─すべての人が地域でいきいき暮らすために−」でございます。これは、東京都福祉のまちづくり推進協議会が、本年８月に出しました報告書でございます。 　最後に、資料１１でございますけれども、これは、「平成１４年度東京都社会福祉基礎調査〜東京の子どもと家庭」でございます。これは、今月１６日に公表いたしました東京都社会福祉基礎調査の最新のものでございます。 　資料６から資料１１につきましては、後ほど、参考としてごらんいただければと思います。 　なお、あわせまして、本審議会の事務局側職員につきましては、お手元配付の東京都社会福祉審議会幹事名簿及び同書記名簿のとおりでございますので、よろしくお願いいたします。 　また、本日は傍聴の方がいらっしゃいますので、お知らせいたします。 　なお、当審議会の議事録につきましては、東京都のホームページに掲載されまして、インターネットを通じて公開されますので、申し添えいたします。 　なお、事務的なことでございますけれども、今後、発言される際につきましては、机の上のボタンを押してくださるようお願いいたします。 　では、三浦委員長、よろしくお願いいたします。 ○三浦委員長 　おはようございます。第５１回東京都社会福祉審議会を開会いたします。 　本日は、年末のお忙しい中、皆様方、ご出席いただきまして、どうもご苦労さまでございます。本審議会は、前回の総会が今年の３月に開催されておりますが、その後、委員の変更がありましたので、新しい委員の方々を紹介させていただきたいと思います。 　それでは、順次、私から紹介をさせていただきたいと思います。 　臼井孝委員でございます。 　小美濃安弘委員でございます。 　唐澤��人委員でございます。 　野島善司委員でございます。 　初鹿明博委員でございます。 　藤井一委員でございます。 　渡辺康信委員でございます。 　どうぞよろしくお願いいたします。 　それでは、審議に入る前に、本日、幸田福祉局長がおいででございます。ごあいさつをいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○幸田福祉局長 　おはようございます。福祉局長の幸田でございます。 　私ごとで恐縮でございますが、この６月に福祉局長に着任いたしました。どうぞひとつ、よろしくお願いいたします。 　年末の大変お忙しい中、また、早朝から本審議会にご出席をいただきまして、まことにありがとうございます。本審議会におきましては、これまで、社会の変化に対応した福祉の今日的課題につきまして、その都度、時宜を得た適切なご意見をちょうだいし、東京都の社会福祉の進むべき方向の指針とさせていただいてきたところでございます。第１６期となります今期の審議会におかれましても、専門分科会として「これからの福祉」検討分科会を設置し、東京の社会福祉が抱える今日的課題につきまして、幅広い観点からご審議いただいているところでございます。 　平成１２年の介護保険制度の導入、また、本年４月の障害者分野の支援費制度移行など、福祉の分野におきましては、行政による措置から利用者自身の選択に基づく契約へとサービスを利用する仕組みが大きく転換してございます。 　東京都では、こうした状況を踏まえまして、多様な事業者による競い合いと利用者の選択により、福祉サービスの質と量を充実させ、利用者本位の新しい福祉を実現すべく、平成１２年１２月には「東京都福祉改革推進プラン」を策定いたしました。また、平成１４年の２月には、その理念を発展、具体化するということで、「ＴＯＫＹＯ　福祉改革　ＳＴＥＰ２」を策定いたしまして、福祉改革を積極的に推進しております。 　今年度におきましては、都の重点事業といたしまして、障害者地域支援緊急３カ年プラン、オーナー改修型痴呆性高齢者グループホームの整備に新たに取り組みますとともに、福祉サービス第三者評価システムを本格的に実施いたしました。 　また、先月、１１月でございますが、発表いたしました平成１６年度の重点事業におきましても、痴呆性高齢者グループホーム緊急整備３カ年事業を創設し、整備のおくれている地域の重点的整備を行いますとともに、知的障害者生活寮整備における補助対象の民間企業への拡大やオーナー改修型補助の新設、地域に根差した子育て支援システムを確立するための児童相談所の抜本改革など、新たな取り組みを実施してまいります。 　東京の社会福祉は、大都市としての特性に起因するさまざまな課題を抱えているところでございます。私どもといたしましては、東京の地域特性を踏まえながら、地域での自立を支える利用者本位の新しい福祉の実現を目指し、福祉改革を一層推し進めていく所存でございます。 　本審議会の委員の皆様方におかれましては、このような都の方向性を十分にご理解いただきまして、今後の専門的なご審議を通じ、福祉改革の推進に向けての特段のお力添えをお願いいたしたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。 　簡単ではございますが、ごあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○三浦委員長 　どうもありがとうございました。 　　それでは、局長、よろしゅうございましょうか。 ○幸田福祉局長 　この後、会議がセットされておりますので、恐縮でございますが、ここで中座させていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○三浦委員長 　それでは、前回も申し上げましたことでございますが、本審議会は、現在の東京都の社会福祉を取り巻く社会情勢を視野に入れまして、さらに国や都の福祉改革の動向等を勘案いたしまして審議を進め、平成１６年７月までに意見具申を行うということにしております。 　前回は、東京都の社会福祉を取り巻く状況につきまして、専門的に審議をしていただきました。大都市における福祉の将来的方向を探るために、専門分科会「これからの福祉」検討分科会を設置することを委員全体で了承していただきました。 　本日の審議でございますが、「これからの福祉」検討分科会での検討の中間報告をいただきまして、これまでの議論の論点整理をしたものを報告していただいた上で、意見具申に向けまして意見を交換してまいりたいと思います。 　なお、本日の会議でございますけれども、予定といたしましては１２時までとなっておりますので、進行につきましては、何とぞよろしくご協力のほどお願いしたいと思います。 　それでは、まず、事務局から、「これからの福祉」検討分科会の審議経過の説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いしたいと思います。 ○梶原計画調整課長 　それでは、私から、「これからの福祉」検討分科会の審議経過について、ご説明をいたします。 　資料２をごらんいただきたいと思います。資料２につきましては、検討分科会の概要ということで、趣旨が書いてございます。「多様な事業者が競い合い、利用者に必要なサービスを提供する『福祉サービス市場』の役割とその将来的方向性を総合的に検討し、大都市東京におけるこれからの福祉のあり方を探る」ということで、資料３を見ていただきますと、審議会の委員の方が７名、それから、臨時委員５名、総勢１２名。三浦委員長には、オブザーバーという形で参加をしていただいてございます。 　資料４でございます。これまでの審議経過でございます。専門分科会につきましては、これまで５回開催をいたしました。５月９日に、「大都市東京におけるこれからの福祉のあり方について」ということで、全体の方向性をご議論をいただき、２回目から４回目までは、それぞれ、各委員の報告を中心にご議論をいただきました。 　６月、第２回につきましては、白石委員、武田委員ということで、「公的介護保険制度と市場」、「福祉サービス市場における民間企業の役割と参入促進」という題でございます。 　第３回につきましては、執行委員から、「福祉サービスの消費者（利用者）保護のあり方」ということと、中村委員から、「これからの地域福祉における市民ニーズとＮＰＯの役割」。 　第４回でございますが、平岡委員から、「サービス供給体制の変容と政策形成のあり方」。高橋分科会長から、「高齢者介護研究会報告」、これは、厚生労働省の老健局の研究会でございますが、「『２０１５年の高齢者介護』が示唆するもの」ということで、各委員からのご報告をもとに、第５回、論点整理及び論点整理の項目ということでご議論をいただきました。 　第４回と第５回の間に起草委員会を開きまして、この論点整理のたたき台についてご議論いただき、第５回専門分科会でご審議をいただいたものでございます。 　本日お配りしております資料５が、その論点整理の項目ということの全体でございます。審議経過につきましては、以上でございます。 ○三浦委員長 　どうもありがとうございました。 　それでは、続きまして、「これからの福祉」検討分科会の分科会長をお願いしております高橋副委員長から、検討分科会でのこれまでの審議内容等につきまして、ご報告をお願いしたいと思います。 　それでは、どうぞよろしくお願いします。 ○高橋副委員長 　分科会の取りまとめ役を仰せつかっております高橋でございます。 　お手元に資料５がございますので、これに沿いながら、どんな議論が行われ、これからどういう検討の方向で、どういう形でこれから検討が進められるかというようなことについてご説明をさせていただきたいと思います。 　前回の委員会のときに、「これからの福祉」の検討について、委員長からメモが出されまして、その概要につきましては、先ほどご紹介をした検討分科会の概要の趣旨のところに書いてありますように、「利用者に必要なサービスを提供する福祉サービス市場の役割とその将来的方向性を総合的に検討して、大都市東京におけるこれからの福祉のあり方を探る」というものでございます。 　これが、いわば、我々の検討すべき内容のテーマということで、非常に膨大、多岐にわたる内容が予想されるテーマでございまして、そういう意味では、現在の福祉サービスシステムの総ざらいになるような、そういう検討にならざるを得ない。そういう意味では、非常に幅の広い検討をせざるを得ないということでございますが、なかんずく重要なのは、大都市東京におけるという、いわゆる都市型の福祉サービスというものを、これからどうやって根づかせていくか。とりわけ、いわゆる２０１０年から１５年の取り組みということでございますが、たまたま、先ほどご紹介いただきました厚生労働省の老健局の検討会でも、２０１５年の高齢者介護、これは、２０１５年というのは、団塊の世代が高齢期に、６５歳に突入するという、そういう時期でございまして、いわば、これ、従来型福祉ではとても対応できない大都市型福祉ということについて、さまざまな指摘をこの研究会でもいたしましたし、ここでも、その内容を私から発表させていただきましたが、そういう意味で、大都市型という、そこら辺をどうとらえながら、福祉サービス市場と、福祉サービス市場では対応できないさまざまな諸課題をどういう形で仕組みとしていくのかということが全体の見通しのテーマになります。 　この検討を今日ご提示申し上げた上で、今まではやや、広さの議論ということになっていたかと思いますが、これから、東京の福祉問題に焦点を合わせながら、深さの議論というか、そういうものをこれからしていかなければならないと認識をしております。その上で、東京都の役割、区市町村の役割、さらに事業者、区市町村民、あるいは都民の役割というか、そこら辺に期待されることをご提案申し上げるというようなことになろうかと理解をしております。 　それでは、お手元の資料５「論点整理の項目（案）」に従いまして、どんな議論が今まで行われてきたか。そして、どういう形で整理をされてきたかということについてご報告を申し上げます。 　大きく言いまして、先ほどからお話をしております福祉サービス市場ということでございまして、これは３の議論でございますが、その前提でございます。社会福祉基礎構造改革及び介護保険が導入される中で、措置の仕組み、これは、言うまでもなく、一部、さまざまな領域でも残っておりますが、措置の仕組みから、福祉サービス利用にあたって、契約によって福祉サービスを利用するという、そういうことが柱になってきた。そういう意味では、措置から契約への移行というキーワードで第１点を整理してございます。これは、社会福祉制度の転換という、いわゆる基礎構造改革の中で措置から契約への移行が行われた。 　これは、いろいろな側面を持っております。１つは、福祉サービスの普遍化と言われるものでございまして、ありていに言ってしまえば、都民がその生活の周期の中で、さまざまな形で福祉サービスを利用することが普通のことになってきたという、そういうことであろうかと思います。だから、契約に基づいてサービスを利用するという。そして、高齢者福祉については、平成１２年４月から介護保険が導入され、障害者福祉、これはさまざまな問題をはらみながら、平成１５年４月から支援費制度が導入され、保育については、認可保育所への株式会社の参入や東京都における認証保育所制度の創設等々に見られるような形で、事業者にさまざまなサービス提供の参入を認める。そういう意味では、従来、国、地方公共団体及び社会福祉法人に福祉サービス供給を限定しておりました。事実上は、さまざまなＮＰＯが福祉サービスを提供してまいりましたが、制度としては、事業者の多様性というか、そういうものを認識しながら、福祉サービス市場というようなものを構造的につくりながら、サービスを利用・提供するという、そういう仕組みができてきた。そういうことによりまして、従来は、社会福祉事業を経営する者という、そういう概念でございましたが、それが福祉サービス事業者となり、そして、福祉サービスを利用する者という、そういう形の中で取り結ばれる契約に基づいて、福祉サービス市場が動き出す。それについて、公的な行政は、その市場形成をサポートしたり、あるいは事業所を認可したり、そういうさまざまなコントロールを行う主体として想定されるということになりますが、それは、利用者像の変化というものが１つ、その背景にございます。 　先ほど申しましたように、都民一般が生活周期のさまざまな側面で福祉サービスを利用するという、市民社会を支える重要な制度として福祉サービスが位置づけられるようになったということで言えば、行政が決定した福祉サービスを享受するという消極的な存在から、自己責任、自己決定に基づいて選択し、利用する消費者として、福祉サービス市場に登場してくるということになります。 　それから、民間サービス事業者の参入が、介護保険以降、本格化いたしております。このことによって何がもたらされたかというと、サービス提供量の増大でございます。介護保険でいえば、全国ベースで言いますと、居宅サービスについては２倍、サービス利用者が拡大をしておりますが、これは、サービス提供量が増大するからにほかなりません。これはこれからの分析が必要でございますが、支援費制度においても、大変な利用者増というものが起こってきておりますが、これは、その背景に、事業者の参入というものを促すということがあったということでございます。 　それから、福祉サービスが、先ほど申し上げましたように、社会的弱者に対する公的援護としての社会福祉事業から社会福祉法の改正にも見られますように、広い層を対象とした、社会福祉法では福祉サービスを利用する地域住民という、そういう概念が用いられております。昭和２６年の「援護、育成、更生の措置を要する者」という、そういう利用者像から、より広い対象、いわゆる普遍的サービスということになってきている。 　そして、このような動向については、東京では、「東京都福祉改革推進プラン」や「ＴＯＫＹＯ　福祉改革　ＳＴＥＰ２」の中で、「競い合い」というようなキーワードも出ておりますが、地域での自立を支える独自の施策を、認証保育所や福祉サービスの第三者評価事業等、国に先駆けて、大都市東京の福祉需要にこたえるために打ち出してまいりました。 　そういう意味で言えば、このような福祉サービス普遍化の動向を受けながら、２０１０年から２０１５年に向けて、これからどういう展望を持って、福祉施策の推進を図るか、あるいは、さまざまな事業者や都民の方々に、福祉サービスをどういう形でとらえて、今後、福祉サービスの利用をしていただくか等々についての検討を行うということになろうかと思います。 　１ページをおめくりくださいませ。 　福祉サービスをめぐる政策課題としては、まさに改革の時代。ある人に言わせると、連続革命の時代だと言っておりますが、引き続き、さまざまな形での取り組み。先ほどもございましたように、介護保険制度は、施行５年後に見直すということが法定されておりまして、これに基づきまして、介護保険の抜本的な見直しのための取り組みが着手されているのはご承知のとおりでございます。 　さらに、次世代育成支援のための取り組み。これも、未曾有の少子化の中で、少子化対策基本法や次世代育成支援対策推進法の制定、児童福祉法の改正などの次世代育成支援のための取り組みが進められております。 　それから、障害者の地域生活支援の検討ということで、先ほど申しましたように、障害者、これは地域生活支援の在り方に関する検討会、及び精神障害者の地域生活支援のあり方も並行して進められておりますが、障害者の地域生活支援という検討が、今、国で進められております。 　そのほか、社会保障審議会での検討、規制改革の推進、生活保護制度の見直し、あるいは、三位一体改革等も含む補助金の縮減、地方への税源移譲等も含めまして、国の動向はいろいろな形で、今後の東京都における福祉のあり方について影響を与えていくわけでございますが、いずれにいたしましても、地域における自立した生活の継続ということが、あらゆる検討の中でのキーワードになっておりまして、その上で、サービスの利用者支援・保護の仕組みづくりと、サービス基盤の整備・事業者の参入促進という、このことをやりながら、地域における自立した生活の継続を可能とするような福祉サービスの量と質の確保ということが課題になるということが第２点でございます。 　それでは、ここで言う福祉サービス市場というのはどういうものなのか。現状分析でございますが、まずは、利用者の立場から見ると、契約というのは、契約の当事者が対等な立場で契約を結ぶということでございますが、現実に、福祉サービスでは、利用者側は交渉力や情報が不十分である。 　それから、もう一つは、契約が成り立つためには、十分なサービス供給量がなければいけませんが、福祉基盤の整備がまだまだ不十分である。 　それから、さまざまな形で、利用者が問題解決の主体という従来の行政ではなくて、みずからの自己責任、自己決定でサービスを利用していくという、そういう役割がまだまだ問題があるということが利用者側の現状でございます。 　それから、サービス提供主体については、まず、社会福祉法人。多様化するニーズへの対応がまだ不十分でありますし、経営改革、自己改革が不十分ではないか。これは、東京都も、福祉経営改革の推進事業等に着手されて、さまざまな取り組みをなさっておりますが、社会福祉法人の主体的な力量という意味では、とりわけ社会福祉法人の経営者の認識、まだまだ不十分だなという、そういう議論がございます。 　福祉サービス市場に参入をしてまいりました民間営利法人には、小規模事業者が非常に多く、人材育成のノウハウや体制が不十分である。これも、東京都としてもいろんな形で取り組んでまいりましたが、まだまだ民間の営利法人が福祉サービスの供給者としての役割を果たしていただくためには、未整備の部分が非常に多いのではないか。 　それから、「地域」をキーワードにいたします福祉サービス市場にとって、これから重要なのは、ＮＰＯやボランティア団体でございますが、まだまだ資金の基盤が弱く、人材不足であるし、思いのほか、まだ、サービス提供者として、ＮＰＯやボランティア団体、とりわけＮＰＯに実績があるというわけではないのではないか等々。サービス提供主体の問題点を指摘してございます。 　さらに、大都市東京としての特性ということになれば、利用者、事業者が、大まかに言えば、日本の人口の１割を抱えているということになりますが、いわば、１割の動向というのは、国のあり方にも深く影響を及ぼすわけでございますが、バブルが崩壊したとはいえ、地価が高うございますし、希薄な地域共同体、多様な地域特性、こうした都市特性の中で、地域特性を踏まえた事業者の参入促進とサービスの質の向上の確保。それから、福祉サービス利用者の地域での自立した生活を支えるコミュニティの形成。これは、先ほど申し上げましたけれども、大変チャレンジングな課題だと、私は思っております。従来の伝統的な地域共同体は、確かに、さまざまな形で姿を消しつつある。地域によっては、それが非常に残っていて、大変重要な役割を果たしている東京の地域もございますが、おおむね希薄になりつつあるわけですが、その中で、やはり福祉サービスをキーワードにしながら、もう一度コミュニティ形成に再チャレンジをするということが非常に重要なのではないかと私は個人的には認識しておりますが、そういうような課題が、１ページをおめくりください。ややゆっくりやり過ぎておりますので、少しテンポを急ぎます。 　第４の論点は、「『福祉サービス市場』を活用した大都市型福祉システムの整備・確立に向けての取組」で、ここでは、キーワードは「地域」。要するに、市場と言いますと、グローバライゼーションと深く、親和性のある概念でございますが、福祉サービス市場はむしろ地域、言ってみれば、コミュニティビジネスとか、さまざまな用語がございますが、これは、福祉サービスの機能特性を分析しておりますと、価格競争になじみにくい分野に市場原理を導入して、効率的な資源配分を図る。 　それから、社会連帯に基づき、生存・生活に重要なサービスの利用については公費を投入。これ、支援費支給方式もそうでございますし、介護保険というのは、実は１割負担と言いますが、９割保険財源負担のサービスでございますから、そういう意味では、そこに公費及び保険料が投入されているわけですが、そういうことで言うと、福祉サービス市場の場合は、経済的要因による利用の阻害を防止する仕掛けが、社会的連帯や生存・生活に必要なサービス利用について公費投入が行われるという市場である。これは、ですから、一般的市場とはその原理が異なるのだと。 　しかし、従来の措置と大きく違うのは、利用者の人としての尊厳を保持するという、ベースにありますのは、自己決定と自己責任に基づく多様な選択であるという、そういう認識でございます。行政に決められたサービスを自動的に利用する存在ではなくて、みずからの必要に基づいて、みずからの選択によってサービスを利用できるような、そういう仕組みが福祉サービス市場であると、私どもは考えております。 　市場原理、一般についていろいろな議論がありますが、我々は、福祉サービスの特性に基づいた市場という、そういう形で福祉サービス市場という言葉をとらえているということでございます。ですから、福祉サービス市場というのは、擬似市場、あるいは準市場という、そういう言い方を使われますが、流通する資金の相当部分は、先ほども申しましたように、公費。税金や、保険料もございますが財源でございます。 　それから、利用者。これは、何らかの形でさまざまな支援を要する方たちで、これは福祉サービスの特性によるものでございます。 　それから、これは、その制度、市場政策という言い方がありますが、福祉サービスはまさに制度形成の対象として、政策の結果、つくられたものであるという。そして、顕在化し、さまざまな形で、市場のあり方を調整したり、コントロールしたりすることが可能なものであるという。これは、例えば、介護保険で言えば、介護報酬のあり方を調整することによって、さまざまなサービスの供給を促進したり抑止したりということが事後的にできる、そういう制度でございますが、そういう意味でございます。 　あるいは、サービス事業者については、これは都道府県の権限でございますが、一定の基準に応じて、これは、事業者として認めるか認めないかというような形で、参入・退出というのをコントロールすることができるという、そういう仕組みでございます。 　そういうことで言えば、福祉サービス市場を活用した福祉システムというものをどういうものとして考えるかということで、市場というのは、これも言わずもがなの議論でございますが、資源配分の構造として、ある意味で言えば、唯一生き残った仕組みでございます。社会主義も既に、中国は市場経済を導入しておりますし、市場経済を抑止しているところはほぼ、経済的に破綻をしているわけでございますから、マーケットメカニズムというのは、そういう意味では、多様なニーズについて必要な資源を配分する上では非常にいい仕組みであると私は認識しておりますが、にもかかわらず、「市場の失敗」という言葉があるように、限界はもちろんあるわけでございまして、そういう意味で言えば、市場活用のための仕組みづくりをどう考えるかという議論。これ、福祉サービス市場については、先ほど言いましたように、制度変更というか、そういう調整やコントロールができるという仕組みでございまして、そのために、サービスの質の確保・向上の取り組みが重要でございますし、多様な事業者が参入しやすい環境。これは、やっぱり事業者参入というのは、ある意味では、介護保険がそれを証明したと私は思っております。 　しかしながら、一方で、市場のルール、サービスの適正化と事業者のモラル。我々は決して楽観主義者ではございませんし、性善説に立っているわけではございませんので、サービスの適正化と事業者モラルというものをどうやって向上するかという、そういう仕組み。そして、さらに、地域ケア。要するに、これも実は、今後の非常に大きなテーマ、ここら辺をどういうふうに、福祉サービス市場と地域ネットワーキングや地域ケアの考え方をどういうふうに組み合わせていくかというのは、これからの検討の大きなテーマだと認識しておりますが、そういうものを入れながら、福祉サービス市場を使う。 　それから、もちろん言うまでもなく、サービス非利用者というのがございまして、そういう方々の不公平感、これは負担の問題をめぐって、さまざまな話がこれから顕在化していくと思いますが、そういうものも必要である。 　そういうことで、福祉サービスを利用しながら、利用者が地域で自己責任に基づいて、必要なサービスを安心して利用できるような仕組みとして、福祉サービスの利用支援の仕組み、これは、利用者支援のための仕組みづくりとして、権利擁護や地域に潜在するニーズ、要するに、市場の中に顕在化できるような仕組みをどう整備するかというのは、これは大変重要でございます。今までの措置の制度も、ある意味で言えば、需要を抑制して、潜在化させることに相当貢献をしてきた制度。そのギャップが支援費制度の問題だと私は思っておりますけれども、福祉サービスの需要と、ある意味では非常に、潜在的なニーズが需要に転嫁しやすい仕組みではあっても、まだまだ、なお、潜在化するという可能性がありますから、そこをどうするか。 　それから、言うまでもなく、福祉サービス市場になじまないサービス利用者や、なじまないサービスですね。あるいは、福祉サービス市場に適応困難な要援護者への対応。これは、現在でも、措置という仕組みでサービスが提供できる介護保険の中でも、介護サービスもそうでございますが、これ、意外と有効に活用されていると私は思っておりません。きちんと措置を活用すべき側面というのは多々あると私も認識をしておりますが、そういう意味で、それは社会的セーフティーネットということになろうかと思います。 　次のページ、４ページをおめくりください。 　サービス提供主体について、どういうことが期待されるか。これは、先ほど申しましたが、社会福祉法人については、先駆的な取り組み。これは、もともと社会福祉法人というのは、まさに公的な社会福祉事業が成立していないときに、篤志家の、いわばボランタリズムによって支えられた制度、法人、提供主体がその淵源だと思っておりますけれども、その時代はやはり、新しいニーズに対して果敢な取り組みをしてこられた。これが、社会福祉事業になって、公の支配の中に社会福祉法人として取り込まれることによって、そういうベンチャー精神、これは、一方で言えば、行政の責任もある。監査・監督という形でコントロールしてまいりましたから、責任もあるかと思いますが、現実には、東京都においても、さまざまな社会福祉法人が先駆的な仕事をずっとやって、それが一般的な制度に、一般的なサービスになっていったという実例がございまして、そういう先駆的な取り組みを期待したい。 　それから、言うまでもなく、社会福祉法人はさまざまな形で税制等の優遇措置があるわけでございますが、これは、福祉サービス市場になじまない分野のサービス提供を期待している。これは、社会福祉法人の本来の役割かと思います。 　そして、地域の拠点として在宅生活を支える役割等々がございます。 　それから、ＮＰＯ・ボランティアについては、地域に密着したきめ細かな福祉サービスの担い手として、あるいは、これもボランティアとして、新たな福祉ニーズに先駆的に取り組んできた、これは、ＮＰＯ・ボランティアの大変大きなメリットでございます。これは、ニーズ、地域の必要に応じて、それをどういうふうに解決するかという、そういう形で地域の知恵を集約してきたという、そういう実績があろうかと思います。 　さらに、ＮＰＯ・ボランティアは、サービスの利用者に、ある意味では寄り添う位置というか、地域住民として、地域で生活をともにするという、そういう基盤で活動しておりますから、地域における利用者保護やサービス評価、権利擁護の担い手という、これは事業者としてだけではなくて、固有の役割があるのではないか。 　それから、民間営利法人については、福祉サービス市場のサービス提供主体としての大量かつ安定的なサービス提供、競い合いによるサービスの質の確保等が期待されるということで、その中で、東京都は、１つは、福祉ニーズの増大によって、しかし、一方で、資源はますます制約をされておりますから、適切に配分、有効活用するという、そういう役割がございまして、福祉サービスの量の確保を目的とした福祉基盤の整備と福祉サービスの質の確保を目的とした利用者支援の仕組みづくりという、そういう課題がある。 　さらに、福祉サービス市場が適正かつ円滑に機能するように、区市町村、事業者等の積極的支援・指導。それから、さまざまな形で、国への提案等をお願いする。さらに、区市町村に対する支援。これは、従来からも取り組んでおりますけれども、専門的な立場からの技術的支援、必要に応じた財政的支援。それから、区市町村の実情に応じた取り組みを柔軟に展開するための仕組みづくり。それから、地域福祉の推進主体として、区市町村がその役割を発揮していただくための積極的な取り組みを促すための問題提起などがあると考えています。 　そういう中で、具体的には、次をおめくりいただきたいと思いますが、事業者に対する支援・指導。サービスの質の向上に向けた事業者の取り組みに対する支援や、新たな福祉ニーズに対応した先駆的なサービスメニューの取り組みへの支援。 　それから、利用者については、事業者情報の提供等を通じた利用者の選択の支援。利用者保護のルールの制度などの取り組みや検討等。これ、一部については既に着手されております。 　それから、サービス基盤の整備・人材育成。これは、規制緩和、制度改善、事業者の参入促進のための提案、それから、区市町村のサービス基盤整備、福祉人材育成のための取り組みに対する支援などがある。 　それから、言うまでもなく、東京都独自の取り組みの推進として、先駆的な取り組み、それから、これをきちんと評価した上で一般化するという意味で、国への提案。その一環として、介護保険等の先ほどの資料もあったかと思います。 　それから、さらに、東京都は大都市圏でございまして、その中で、広域的な連携というものも、これは防災では既にテーマになっておりますけれども、福祉サービスにおいても、やはりこれから課題になるだろうと考えております。 　東京都の社会福祉審議会でございますので、区市町村について、ああせい、こうせいと言う立場ではないと認識をしておりますけれども、区市町村についてもやはり期待をしたいというか、まさに地域福祉、福祉サービス市場を活用した地域福祉システムの構築という意味では、区市町村の役割は大変大きいことは、これは東京都の審議会、もう長年、そのことを再三再四申し上げてきております。自治体としての区市町村の立場を尊重しながら、しかし、区市町村の役割をこういう形で期待したいということをご提起申し上げたいと思っておりまして、まずは、福祉サービスを利用する人々について、「ワンストップサービス」というような言い方をしておりますが、あらゆる区民、市民、町民がそのサービスを利用しやすくするには、やはり区市町村の窓口の役割が大きいだろう。 　それから、基礎的自治体としての提案やコミュニティサポートは、区市町村の役割であろう。 　そういうことで、もちろん言うまでもなく、社会福祉法の中で、区市町村が福祉サービスの提供の第一線の主体であるという、基礎自治体の役割を強調しておりますが、そういうことで、幾つかの整理として、ワンストップで対応できる。それから、コミュニティサポート。地域で自立した生活を送るために必要なコミュニティサポート。それから、地域資源の活用とネットワークの形成。それから、区市町村の実情に応じた取り組み。それから、基礎自治体の立場からの提案ということで、地域福祉の推進を図っていただきたい。 　それから、サービスの質の向上、基盤整備、福祉人材の育成については、これはもう基礎自治体として当然の役割かと思っておりますが、そして、何よりも地域をベースにするＮＰＯ・ボランティア活動等の地域活動の育成支援。それから、地域における利用者支援、事業者支援・指導の具体的展開等々、一応ここでは書いてございますが、区市町村に期待をしたいという、そういうことで、これが以上でございますが、全体として、やや総括的な整理ということが今回の眼目でございます。そういう意味で、広がりを持って検討させていただいたということについては、この項目についてごらんをいただければご理解をいただけるかと思いますが、さらに、これを今後の大都市型福祉というか、福祉サービス市場を活用した地域福祉システムというか、これをどうやって深さにおいて実現をするかということについて、さらに具体的な提案等については、これからの検討課題だと認識をしております。 　ちょっと時間を要しましたけれども、以上でございます。 ○三浦委員長 　どうもありがとうございました。 　それでは、今期の意見具申に向けました中間報告といたしまして、論点整理の項目をお示しいただいたわけでございます。これにつきまして、皆様からのご質問、ご意見などをこれからちょうだいしたいと思います。どうぞご自由にご発言をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。 　大変幅広い論点を示していただいておりますので、ご意見を出しにくい点もあるかと思いますけれども、初めから、項目ごとに議論するわけにもいかんだろうと思いますので、どうぞ総括的に、どこからでも結構でございますので、ご意見をちょうだいできればと思います。 　分科会の委員の方々で、この機会に特に強調しておきたいとか、あるいは足らない点がありましたら、どうぞ、ご自由にまた補っていただければと思いますので。

○藤井（俊）委員 　藤井でございますが、キックオフのつもりで発言させていただきます。１ページの一番下のところの本意見具申の目標とする時期のことですが、２０１０年から２０１５年となっておりますが、今後、益々時代の変化が急速に進み、変化していく時代にあって、５年間のスパンというのは、かなり長いのではないか。まあ、今から見れば先のことだと思われますけれど、例えば２０１０年になったときに、２０１５年は、あと５年も。これから少子高齢社会の構図、内容が激しく、然も世界一といわれるほど速いスピードで変化していく中で、５年もというのは、かなり長いスパンをとっていることについては、どういうふうに。私もいろいろご意見申し上げたつもりなんですけれども、いろんな、ほかの答申や報告書などを拝見いたしますと、大体が、先ほど、副委員長がおっしゃったように、団塊の世代の人達が高齢者になる２０１５年に焦点を合わせて、一応ターゲットとしているということもあり、もう一度、どのように捉えていったらいいのかということをお聞きしたいと思いました。 ○高橋副委員長 　この答申が出たのは、昭和何年でしたっけ。「総合的なあり方について」というのは何年でしたっけ。６１年ですよね。これは、三浦委員長が中心になってまとめた６１年答申という、意見具申というのがございまして、これはわりとタイムスパンの長い、これからのあり方を見通して、その当時、私、大変印象に残っているのは、やっぱりＮＰＯをきちんと位置づけようということで、それを支える提案をいたしましたし、それから、その当時、シルバーサービス等はまだまだでございましたが、そういうものをきちんと位置づけようとか、いろんな形で、その後の、何よりも、東京都は地域福祉の推進ということで、地域福祉計画に取り組んで、地域福祉型の福祉政策というようなことで、かなり長期的な見通しの作業をやった記憶がございますが、今回の意見具申があの答申のようなものになるかどうかはまだまだわかりませんが、それぞれの現場のさまざまな委員会や審議会では、直近の課題についてのレポートや取り組みや報告等がございますので、社会福祉審議会としては、それらの動向を含みながら、少し長期的な視野といいましょうか、そういうことで、やや中長期という、そういう視点で議論をしたほうがいい。 　どうしても、個々の、個別の議論、ある意味では、おととい、きのう、そして今日という、そういう議論が行われますが、逆に、長い、未来からもう一度、現在の施策を投影して、それを評価する。要するに、今はやっぱり、きのう、おとといの議論ばっかり多いんですね。これ、世の中そうでございます。予算のシーズンでございますが、それでは、やはり、将来の社会に適合した福祉システムというのはなかなか難しいだろうということで、少しタイムスパンを長くとることによって、逆に言うと、利害関係も、これ、２０１５年の議論は実はそうなので、２０１５年、何で待たなきゃいけないのかなんてよくおっしゃるんですが、高齢者介護。そうじゃなくて、それはまさに利害関係を一度ちょっと相対化して、今、施設を経営される方が、小規模多機能、福祉施設をつぶすのかみたいな議論に、短絡的な議論になって、これは、東京都でもそういうご経験をいろいろされているかと。そうではなくて、長い未来的な視野を持ちながら、現在を考えてみようというような、そんな視点の作業だと私は認識しております。 ○藤井（俊）委員 　ありがとうございました。 ○大木田委員 　今のお話にも関連するんですけれども、要するに、今の社会そのものが激変、激変、大激変なんですね。したがって、今回の視点は私は非常に大事だと思っておりますけれども、今まで、５年とか１０年をスパンにした場合、その状況に立ったときに、その時代状況の変化があまりにも早くて、変化が激しくて、要するに、今のいろんな課題、政治の課題を考えてみても、全くその時代の変化を読み取れないでいるというのが率直な感じなんですね。 　先ほどもちょっと言っておりましたけれども、地域というとらえ方も、この東京においてもそうですけれども、都心３区、都心５区、都心７区、周辺区。それから、三多摩の４００万。東京そのものだけでも、大変な温度差があり、状況の変化があるから、もう地方と東京なんかを比較して、これを一律に何かをやろうなんていう時代はもう終わっているんですけれども、それを今やっているところのゆがみ、ひずみが、もう典型的にあらわれているわけですね。 　したがって、無理した現状のところでいろいろとやっているというのが、今、率直な、私は思いを持っているわけですね。したがって、これからどんどん、どんどん、新しい都市の再生ができてくる。それから、高齢化の進展と少子化の問題のとらえ方も、スピードが速くて、この変化にさまざまなものが全くついていけない。後追い後追いのいろんなことで、小泉さんが厚生労働大臣のときに、介護保険を導入するということが、私も直接、いろんな問題提起をして、いろいろと課題があるけれども、とにかくさせてくださいと。そして、５年後見直す。５年じゃ遅いですと。見直すんだったら３年だという議論を激しくしたこともあるんですけれども、今の状況というのは、とにかくそういう現状、現状のことだけで来ていると。したがって、未来から長期スパンを持って、今後どう変化していくという意識を持ちながら対応していくことは、すごく大事なんですけれども、あまりにもこの変化についていけない予測や物が多過ぎて、したがって、先行き不透明で、今、豊かさの停滞、この停滞を打破できないジレンマの中に、みんな、 陥ってしまって、それで、希望の持てない、今、そういうような状況の閉塞感に全体が覆い尽くされているという状況ですよね。 　したがって、この問題で指摘していることは、非常に重要なことが数多く指摘されていると思いますけれども、ただ、これを指摘している以上に、現実はどんどん変化をしているというようなことも常にとらえていかないと、あらゆるところで、もうミスマッチなんていうどころの騒ぎじゃない現象があまりにも起き過ぎているというのが、率直な感じを今の状況の中ではしているわけですけれども、しかし、現実がありますから、その現実にどう対応していくかという、これも政治の場合は現実ですから、それはそうなんですけれども。 　したがって、そういうような１つの観点からすれば、今、１つは、東京で「新銀行東京」という構想を石原知事が打ち出されましたよね。この「新銀行東京」は、私は非常に大事な視点で、既存の銀行が、都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合と、要するに、既存の金融システムが不良債権という大きな山の中で完全に行き詰まって、現実も対応ができなくなっている。それをどうするかと。あらゆる資金の流れをあらゆるところから流れをつくることが大事だということで、いろんな、東京都が先駆的に、先鋭的に出ている部分に対応しようと努力をして、その中の１つが「新銀行東京」の構想の中にもこれがあるわけですけれども、今後、これが出てくると、大都市部で同じような銀行構想が出てくると。そうすると、これ、金融界の大再編につながっていくことは間違いないんです。要するに、東京に先鋭的に、この大都市東京という、先鋭的にあらわれている部分をどう対応していくかという部分が非常に大事な視点にはなってくると思うんですけれども、その中で、地域という１つの視点もかなり大事なんですけれども、その中身が同じ東京の中でも大きく変わってきているということがありまして、したがって、市場原理を導入することによって、そういう変化に柔軟に対応できるという意味においては、市場原理の導入というのは非常にいいと思っているんです。 　したがって、ここで指摘されていることの中で、今後、さらに大きな変化をしていく。したがって、それをどう、今後、福祉なら福祉の視点でこれを吸収しながら対応していくかという、そういうようなところを、１つの方向性等を示す中において、必ずここで示した以上の激変が起きますから、昔、十年一昔って、私は一日一昔だと思っておりますけれども、今、そのくらいの激しい変化が、世界的にも、あらゆる通信情報、さまざまな面で、もうそれが進んでおりますのでね。したがって、そういうことを視野に入れながら、いろいろと問題提起をし、そういう取り組みをしていくという１つの提言を出すということは大事だなと思っております。感想をちょっと申し上げました。 ○三浦委員長 　どうもありがとうございました。大変貴重なご意見をいただきました。 　どうぞ、そのほか。 ○小美濃委員 　お話をお伺いさせていただきまして、大変、もうごもっともだなという感想を持ちました。１ページのところなんですけれども、高齢者福祉は当然、これからどんどん高齢者が増えてくるということで、市場原理にのっとったサービス提供ができるのかなと思いますし、また、保育も、今、待機児童が本当に多いということで、これも合致をしていくんじゃないのかなと思うんですね。 　ところが、ちょっと心配なのが、障害者福祉の分野なんです。といいますのは、支援費制度が導入されて、今、おそらくどこの区市町村も困惑をしているのではないかと思うんですが、というのは、支援費の１つの売りに、障害者みずからがサービスを選択しということが１つの大きな要点だと思うんですけれども、選択できるサービスが整ってないうちに支援費を導入してしまったために、障害の種別によって、後退してしまったという、これは私の地元だけの話なのかもしれないんですけれども、例えば、今まで、ガイドヘルプサービスを視覚障害の方が欲していたと。しかし、支援費制度になってから、知的障害の方々のガイドヘルプサービスに、どうやら集約されてしまったらしいんですね。 　よくよく話を聞いてみますと、知的障害の方のガイドヘルプと視覚障害の方のガイドヘルプというのは微妙に違うらしくて、大変困っていらっしゃったというようなお話を伺いまして、今後、この市場原理をどんどん導入していくと、こういった、まあ、視覚障害の方は比較的絶対数が少ないものですから、絶対数の少ない障害者の方々のサービスというのは、ひょっとすると低下をしていってしまうんじゃないかというおそれが実はしておりまして、その辺のところについてはこれからどのようにお考えになっていくのかなと。今は総括的な論点整理なので、そこまで深くはお話しになっていなかったと思うんですが、しかし、必ずこれは問題になってくるのではないかと思うんですね。その辺について、もしおわかりでしたらというか、今後の方向性について教えていただければと思うんですけれども。 ○三浦委員長 　それでは、よろしくお願いします。 ○高橋副委員長 　支援費の問題は国の制度でございますので、東京都としてという、なかなか言いにくい問題でございますが、支援費制度の移行については、サービス論がきちんとやられなかったのではないかというのが、私、たまたま、国の地域生活支援の検討会の委員を、身体、知的と両方やっておりまして、その委員をして、つくづく思っております。介護保険というのは、これ、財源の問題じゃなくて、サービス論を相当やって、介護保険に導入、移行しているんですが、障害については、そこら辺がちょっと、私は制度移行のところで、公費を支援費にそのまま横に移行するという、そういうことがあって、そこら辺がちょっと抜けていたところがあるのではないかと、これ、私の個人的な評価でございますので、そういうことを含めて、今後、支援費の制度、このままいくかどうかというのは、僕は非常に難しいと、公費制度をこのご時世で維持するのは難しいなと思っております。 　その場合にはやはり、障害をお持ちの方の当事者の皆さんが、やっぱりサービス論をきちんとやって、どのようなサービスが必要なのか、その場合に、どのような方法でそれを整備するのが重要なのかという、そういう議論、これが実は、オールジャパンの議論でもそうですし、まさに東京の場合はその問題が余計問われるわけですし、やっぱり介護保険も含めまして、東京の制度の最大の問題は、東京の介護報酬や支援費の支給基準、これ、地域差をなくすとかなくさないとかという話もあるんですが、東京として基盤整備が実現するためにはどういうやり方が必要なのか。そして、東京という中で、どういうサービスシステムを開発していったらいいのかという、その上で制度的な枠組みを、そのサービスをどういう枠組みに乗せて、乗る部分と乗らない部分は何なのかというのが、これが政策論だと思いますが、そのことを議論、これからしなければいけないなと。実は、来年、その議論が相当、国のほうでも進むでしょうし、それを、６月、７月ということになりますと、そこら辺をどういうふうに織り込むことができるかは別として、東京での課題をできるだけ踏まえた議論ができればと思っております。 　以上でございます。 ○野島委員 　今、この論点の整理の中で、いろいろなキーワードが出てきていますが、特に、年代的に、団塊の世代がどう乗り越えていくのかと。私も団塊の世代なんですけれども、いわば、世界に類のない一塊の年代がどう乗り越えていくか、大変大きな課題であると思うんですね。 　それと、あと１つは、その中でも特に、この言葉の中で、いわゆるコミュニティが希薄であると。反面、そういう意味で、コミュニティへの支援をしていかなければいけないと、こういう表現があるわけなんですけれども、都市に住む魅力は何かと言われますと、匿名性と雑多性だと、こんなふうに言われるんですね。実社会で動いているときは、なるほど、必要に応じて、実名を出してアプローチをしておけば済む。いわば、会社なら当然実名ですけれども、地域社会でのかかわりというのは関係なく生きられると思うんですね。 　それから、元気なうちだし、経済的にも余力があれば、必要なものを必要に応じてとりに行けば済んじゃうわけですけれども、退職後どうしていくのかというのは、おそらくいろんな意味で不安も出てくる時期かなと思うんですね。それを、コミュニティの中にどう取り込むかというのは大きな課題ですけれども、逆に、例えば、昨今、郊外地に住んでいる方で、便利さを求めて、家を処分してマンションに借りかえるという人もいるんですね。退職して、庭つき一戸建てで、そういうところというのは、マンションに比べれば、比較的人間関係のつき合いがあったのを、逆に切っていくような、それで移りかえていくと。まあ、それぞれいろんな人生観でしょうけれどもね。そんなことを考えますと、果たして、団塊の世代がコミュニティをどの程度どう求めているのかという意識が、僕はわからないというところがあるんですね。 　さっき申し上げましたように、元気なときと、その延長線上で、必要に応じて、自分で生きていくよと。コミュニティは関係ないよと。あるいは、その後、どうしても寝込んじゃって、どうしようもないなら、それは公助の世界があるだろうと。その真ん中の共助の世界というのが、私は、ある種、コミュニティ醸成の中で生かしていく部分だと思うんですよ。自助の世界というのは自分がどう動くかの世界ですよね。それから、公助の世界というのは、ある程度、財政的支援も含めて、制度化されちゃっていますから、共助の世界というのは、ある種、やらなくてもやってもいいみたいなところですから、その辺、団塊の世代がどういうふうに、これから自分の、私自身も答えがないんですが、向かい合って老後を乗り切って、健やかにお休みになれるようなものに持っていこうと、意識調査のデータみたいのがありましたら、ひとつご提示いただきたいのと、そういう意味で、大都市の特性という、匿名性を、匿名性だからだめだというふうにやって、果たして、それが本当の意味の強いコミュニティが育ち上がるかどうか、僕、最近、疑問に思っているところがあるんですね。そんなところも含めて、いわゆる大都市特有のという意味合いのコミュニティづくり、大変大きな課題だと思うんですけれども、それをどのように考えていったらいいのか、ご意見がありましたら、ちょっとお聞かせいただきたいなと思っています。 ○高橋副委員長 　大変な難問でございまして、社会学者が、実は、これ、答えが出ない。社会学者が、大抵晩年に宗教の問題とか連帯を言い出すのは、答えがないからだというぐらい、大変な問題。基本的に、今のお話を伺っていると、やっぱり選択肢を増やすということがものすごく大事で、地域のＮＰＯの担い手が実は団塊の世代の、最近、「おやじの会」というのが大変増えているんですが、それはまさに団塊の世代の人たちなんです。そういう形でコミュニティづくりにコミットするという方もあるし、都心のマンションにもう一度戻るという方もあるかもしれない。その場合、地域共同体ではないのかもしれない。それはもう、今、バーチャルコミュニティでございますから、情報だとか、いろんな形のコミュニティ型の人間関係を、土地、地域に結びつけなくてもいい時代でございますので、その中で、サポートネットワークみたいなものもあるのかもしれない。 　もちろん、お金をためた方は、お金を出して、利用者は使うという、これはもう昔ながらの大金持ちスタイルですが、そういうのもあるのかもしれない。ただ、やっぱり行政としては、選択肢をきちんと用意をして、選択ができるような枠をどうつくっていくのかという中で、共助の世界をどういう形で位置づけるのかということが、あとは、あとはと言うと無責任になりますが、それぞれのライフスタイルでご選択をいただくテーマ。ただし、その場合に、そういう活動をどういう形で基盤として位置づけながら整備をしておくかというのは、これ、入れ物はやはり重要でございますので、そこら辺は留意をして取り組んでいくと、そんなところかなという。なかなかこれは、結論は出ないなと。 ○三浦委員長 　では、手塚委員、どうぞ。 ○手塚委員 　手塚です。私たちの検討分科会の中でも、その問題については、委員長もおっしゃられましたけれども、議論いたしました。それで、とにかく福祉の対象者というのは、全員がそうなるであろうというものは、高齢化がそうですよね。高齢化の場合は、全員がそうなるだろうということ。それから、障害の、視覚の障害とか、何かお持ちの方たちはごくわずかの方たちで、それはそれ。その対象者によって、全員がなるものについては、いずれは免れないものですから、特に団塊の世代の方たちが、高齢化という現実に直面する２０１５年というのを、やっぱり視点に据えなくちゃいけないということです。 　その場合に、福祉のあり方というときに、もう一つの問題として、やっぱり私は、個人ができれば個人がやればいい、自助でやればいい、先生がおっしゃったように。それから、もしできなければ、家族というものが今まで支えてきたと。それで、家族ができなければ、地域、地域というか近隣ですね。近隣のコミュニティがお互いに助け合う、そういうことが必要。もし、それでもできない場合には、ＮＰＯだとか宗教団体だとか、それから、ある意味じゃ、ネットワークづくりで意識的につくられているものに、農協とか生協とか、そういったたぐいのものがあって、それで、自治体、市町村レベルはその後に出てくる。それから、東京都みたいな大きなメガロポリスはその後に出てくる。国は最後に出てくるものだと思うんですね。 　そのときに、東京で今あらわれている現象もそうですし、私どもが懸念しているのは、団塊の世代というのは、ベビーブーマーの世代は、日本だけではなくて、ドイツやアメリカなどでも大問題になっているわけです。非常に大きな塊で、物心ついてから、非常に豊かな、アフレントソサエティーというんですか、豊かな世代でしたから、それぞれ、もう、その段階で貧しさからある程度脱却して、自分で何でもできるというぐあいに思っている気味があって、自分で何かできるとき、例えば、高いマンションに住んで、やれるときはいいんでしょうけれども、もし、年とって、人と対話が必要なときに、それでいいんですかといったら、おそらくそこにいられないと思うんですね。あるいは、何かの対話のネットワークがなければ、人と人とのネットワークがなければだめだ。 　逆に、今度は、地方の過疎地の調査をしてみますと、やっぱり対話と、人と人とのネットワークがなくなるところは、もうどんどん過疎化して、人が離村してしまうという、そういう状況が進んでいまして、東京の場合に、それから、全国の市町村でも、２０１５年ぐらいになるとどうなるかというシミュレーションを、私たちの中でしなくちゃいけないだろうと。それで、同じ東京の中にも、さまざまな要素を持った地域があって、新宿区長さんが隣にいらっしゃいますけれども、新宿の中でも、そういうネットワークがあるところと、全然なくなっちゃって、それを、近代化したと言ったらいいのか知らないけれども、対話がなくても、機能的に、もうぱっとドア１つ閉めるだけで働きに出られて、それで、帰ってきて、ごみを捨てるだけで済むという、そういう生活で働いている現役の団塊の世代の人たち。その人たちが、一体、次のステップのときにどういうことを考えるか。そのための、やはり今おっしゃられたような、団塊の世代の中の共助の中核になるような人たち、委員長がおっしゃった会、何でしたっけ。 ○田端副委員長 　おやじの会。 ○手塚委員 　そういう会をつくっていくような、そういう人たちがどんどんできていかなくちゃいけない時代になっているだろうという。それはＮＰＯという形じゃなくても、もうヒューマンネットワークづくりを東京がしなくちゃいけない。もう無味乾燥な東京で、隣で人が殺されても、人が殴られても知らん顔しているような、そういう世界じゃなくしなくちゃいけない。だから、ニューヨークの、いわゆるセントラルパークの北側のハーレムの地域も、今、ものすごく安全になって、若い人に１人で歩いてみたら、ただし、昼間だけ歩いてみろと言って、行ってもらっているんですけど、非常にそこにはヒューマンネットワークができ上がっている、再構築されたという。あそこは個人でばらばらと全国から集まってきて、それで、家族だけで支えていたのが、そろそろそういうものができつつあるということを聞いていますし、やはり東京の場合、古くからあるネットワークというものももちろん大事にするし、それから、近代的なマンションの中にもそういうものをつくっていくということを考えながら、その枠組みづくりをしていく。そして、その中の必要なサービスというものは、多様なサービスですから、取り組んでいくという、そういう一種のマトリックスみたいなプランが、２０１５年についてできればなということを思う。 　それから、一言、余計なことかもしれませんけれども、ベビーブーマーの世代というのは、世界的に先進国で問題になっていまして、子どものときから、非常に子どもが多いものですから、競争の世界でずっときていまして、どの世界でも、私のところなんかでもそういうことが言えるんですが、こっちを向いているの、あっち向いているの、こっち向いているの、こっち向いているの、たくさん数いるんですけれども、何か共通の課題というのがないという、そういう状況で、ばらばらで、根底的なモチベーションを持っているという、そういうことがありまして、その意味でも、ベビーブーマーの人たちの問題というのは大きな問題だと、野島先生はおっしゃられた。そのとおりだと思います。 　それから、変化がものすごく大きいということをおっしゃいましたけれども、実は、社会主義国を含めて、先進国の中では、アメリカやアングロアメリカンの英米では、大変化をもう１０年前、１５年前にしているわけですね。ところが、日本とドイツだけは、戦後５０年間、同じ、戦後の改革だけで何とか何とかだましだましやってきたものですから、それはもう絶対に根底的に変えなくちゃいけないということが、今掲げられている内容だと思うんですが、その変化というのは、もうどんどん、どんどん進んでいくけれども、ある一定のところに行けば、きちんととまるものだと思うので、その不安感というのは、私たちは持たないほうがいいんじゃないかなと思っています。 ○三浦委員長 　ありがとうございました。田端副委員長、どうぞ。 ○田端副委員長 　いつも、コミュニティとか地域でのネットワークということが、現実的な問題として議論になるのですけれども、おやじの会も、子どもたちが育っていった後には、おやじの会が成り立たなくなったり、あるいは、地域を住みかえたときに、新しいコミュニティに入っていくという意識とか、あるいは、新しく形成された住宅地でコミュニティをつくるということは、日本人の中にはまだ根づいていないという、そこが一番、こうすればよいということはわかっているんですけれども、今、問題だろうと現場からしばしば言われます。 　それで、都心の高層マンションもそういう典型として言われますけれども、一方では、八王子に、ある時代に同じような世代の人たちが住んだところが高齢化すると、その高齢者たちはやはり孤立してしまって、ネットワークづくりをしようにもなかなかというようなことがあります。そういうことに関しては、社会福祉協議会が８０年代以降、サービス事業を中心に、活動が重点化されてきたところがありますけれども、基礎構造改革では、介護保険導入で高齢者サービス等は、それが中心になったときに、社会福祉協議会はもっと原点に戻って、地域づくりにという考え方も示されているかと思います。 　そういう意味では、とりわけ区市町村の社会福祉協議会というのは、それぞれの地域によって異なる状況に対応して、コミュニティづくりがうまくいかないところ、うまくいっているところは自主的に任せてもいいかとは思うんですけれども、うまくいっていないところに力点を置いて活動するというようなことが、もう少し活性化していくことが、日本では現実的に必要じゃないかというのが、都市であっても、地域差を見ていると感じられるところです。 　例えば、新宿区などでも、民生委員さんの活動状況などを伺うと、ネットワークづくりをするにも非常にしやすい地域と、一方ではしにくい地域というように、区のレベルでも言えない、それじゃあ、自分たちでやればいいというだけでもいかないというのが、そういう訓練を経てこなかった日本の戦後社会に育った人間、自分もその１人として、そういうことを考えています。少し、そういう働きかけが必要じゃないかと思っています。 　それから、発言させていただきましたついでに、１つ、ちょっと問題を感じながら、検討委員会への質問ですけれども、基本的には、この準市場の形成を促進していくという考え方に賛成でございます。その中で、現実にはコミュニティづくりも必ずしも上手ではない日本人といいますが、私たちの世代にとって、福祉サービスの利用も考え方としてはわかるのですけれども、なかなかすべての人を対象とするサービスであるということで、利用することについてスムーズにいっているかというと、そうではないということも感じないわけにいきません。 　というのは、このほぼ１年間に、介護保険サービスを、介護保険事業者からいろいろ供給を受けていて、それでも、だれかが、家族の中でキーパーソンになるような人がいないと、なかなかうまくいかないということを、全く個人的に相談を受ける例が十を超えてしまいまして、ああ、実態というのはこういうものなのか。経済的に余裕があって、介護保険で提供されるサービス、さらに、自前で調達するサービスを、組み合わせてもなおうまくいかないという例。あるいは、先ほど、障害を持った方の問題が出されましたけれども、いろんなサービスのところの狭間で、細部になると、うまく結びついていかない例とか、一番現実的に問題なのは、ひとり暮らしとか高齢夫婦の方で、わかっているのだけれども、なかなかそこのところがうまくできないという方たちの相談でした。 　そういうことから考えて、この全体の枠組みの中で、福祉サービス市場になじまないサービスの利用者とか、あるいは、福祉サービスの利用支援を推進していくとか、あるいは、それを可能にするようなというところが随所にあるんですが、その基本は、提供されるサービスの質の問題と量的な問題ということが強調はされているというのはよくわかります。それは、基本的に東京都としての大事な役割だと思うんですが、その利用支援、すなわち、適切なサービスが十分に供給されて、利用したいという人がいるとして、その間を適切に結びつけていくことを支援する人材に関することは、東京都の役割としてはここでは考えなくてよいのか。どこかほかで考えるのか。どういうふうな位置づけであるかということを、この最終草案の中の全体的な構造として、ちょっと疑問が残りました。 　以上です。

○三浦委員長 　中山委員、どうぞ。 ○中山委員 　私は、新宿という基礎的自治体の場にあるものですから、先ほどの件について、ちょっとお話しさせていただきたいと思います。 　新宿は、今、共生・協働のまちづくりをしたいと考えています。そこでは、都市型のコミュニティの再生という、非常にチャレンジングで魅力的な課題を区として取り組もうということです。これは、先ほど、野島先生がおっしゃいましたように、団塊の世代が、地域に関わらなくても暮らせているということで、地域、地域といってもどうしたものかということに、私どもは、いわゆる暮らせている期間はいいですよと。ですから、先ほど、分科会の委員長がおっしゃられましたように、選択肢をなるべく多くしておいて、高齢になったときに、または、地域に帰ってきたいと思ったときに参加できるシステムをたくさんつくっておこう。だから、一律に何かをやろうということではもうなくて、思いがある人がそこに参加をしていき、人はやっぱり人との関係でしかいやされないというか、そういうところが最終的にはあるわけですから、人のつながりのところに戻ってこようと思ったときに戻ってこられるようなコミュニティをつくっておきたい。今までのコミュニティといいますと、お互いに自立しないで依存し合ってしまって、それで、だれかを縛るとかありましたが、そういうことではなくて、自立して、そして、支え合えるような、そういった都市型のコミュニティをこれからつくることが必要だと思っています。 　私は、今の現実を見ていますと、そんなに捨てたものではないと思っています。新宿のような東京の真ん真ん中の地域において、かなりそういうことができる芽が幾つも幾つも出てきていますので、無理をしないで、それで、それぞれがそこに帰りたいと思ったときに帰れるような選択肢、システムをどれだけつくれるかということにかかっていて、それは可能であろうと思っています。 　ですから、先ほど、分科会の委員長が言われたような「福祉サービス」をキーワードにして、まさに、都市型コミュニティの再生というのもできてくるわけでして、この福祉サービス市場を活用した大都市型福祉システムの整備確立というのは、いわば、都市型コミュニティの再生というところと重なる部分がかなりあるのではないかなと思っています。 　それから、今、田端副委員長からお話があった、いわゆるサービスについて需要と供給をつなぐところの支援ですね。本当に私たち、自立して、自分たちが選択できるという、自己決定、自己責任に基づく多様な選択を可能とするというような、そういったことになれてこなかったところを、どこが支援できるかというのは、それは基礎的自治体の中でやっていかねばならない大きな役割でもあるかなと思っていますし、それから、今のこういった取り組みを進めていく中で、時間は少しかかると思いますけれども、そういったところが育ってくるのではないかと思っています。 　以上です。 ○三浦委員長 　どうもありがとうございました。 　何かありますか。 ○高橋副委員長 　田端副委員長からのご質問で、それから、３ページの下で、「『福祉サービス市場』における利用者を支援」というところで幾つか書いてございまして、権利擁護の仕組み、地域に潜在するニーズへの対応、それと、セーフティーネットの維持・整備。そこら辺をどういうふうに相互にかかわらせて、融合させて、１つのシステムにしていくかということがテーマだなと思っておりまして、それは、個別には、いろんな事業で出ているんですけれども、これは、大昔に、大昔でもないですが、東京都の研究会で、地域福祉ステーションという議論をした記憶があって、あれが、残念ながら、区市町村にうまく受けとめていただけなくて、それで、子ども生活支援センターを、我々、従来の縦割りの発想のものになってしまったということがあって、そして、それは、区に１つとか、そういうものではないと思っていまして、もっと、出張所が、今、随分廃止するところが多いんですが、やっぱり地域生活サポートセンターみたいなものは、新しいものをもう一度再構築しないといけないなと。実は、それは多分、在宅介護支援センターの抱き起こしの関係もあるし、それから、障害者の地域生活支援センターや、今度、多分、東京都の大変大事な課題なのは、健康局と合体すると、やっぱり精神障害者の地域生活支援の問題だと思っているんですが、それを今まで、カテゴリー別にずっとやってきたんですね、法律のおかげで。それを、やっぱり地域住民でという、そういう地域というコミュニティのメンバーでという形で、これ、ワンストップと書いてあるのも実はそうなんですが、ワンストップサービスというのも、実はこれ、ものすごく難しい話で、それこそ、区役所をワンストップにすると、大変なバックヤードの議論をしなくちゃいけないんだけど、それはさておき、少しそういう新しい、今までの区市町村の役割で、区役所、出張所じゃないタイプの何かを、やっぱりちょっと、プロトタイプみたいなものは、今の中山委員や田端副委員長のお話を受けながら、ちょっと議論をしてみたいなと思って、ここがうまく突破できると、かなりリアリティーのあるプロポーザルになるなとは思っております。 　それから、やっぱり権利擁護も何とかしなくちゃいけないので、権利擁護と成年後見制度を、僕は、地域福祉権利擁護、大変批判的なんですが、それはやっぱり、ああいうふうに泣き別れにしちゃったことが、ものすごく問題を複雑にしちゃったという感じがあって、そういうことも含めまして、東京都は東京都で、僕もかなり功罪半ばだと思っていますが、東京都の権利擁護のスキームというのは、そう思っておりますが、そういうことを含めて、これはもう一度、検討会で持ち帰って議論させていただきたいと思っております。 ○中山委員 　今、お話がありました、いわゆるワンストップサービスの話なんですけれども、私も、ほんとに基礎的自治体の行政に携わってみて一番感じますのは、これまでの日本の行政というのは、縦割りの中で専門性を蓄積してきている。でも、地域で暮らしている住民の方々、私たちもですけれども、そんな縦割りで暮らしているわけではなくて、丸ごとで暮らしているわけですね。そういう意味で、本当に、それぞれの縦割りごとのサービスのステーションが現場まで出ていることは非効率的であり、住民から見ると、ちっともサービスがよくならない。それが、ものすごく、私は大きいと思っています。 　それで、新宿の場合には、先ほど、先生から、出張所をなくしているところが多いとありましたけれども、新宿は、１０カ所の特別出張所というのを持っていますので、それに地域センターを合わせて、住民の協働の拠点であり、行政を総合化していく拠点として整備していこうと考えています。総合的にワンストップで受けられるような、そういった仕事の組み立て方というのを、都のほうでもぜひ、こういった審議会の報告の中でも提案していただけるというのは、とても重要であり、ありがたいと思います。 ○高橋副委員長 　今の議論の補足。 　地方制度調査会の基礎自治体の内部に、住民自治組織をつくるって、ちょっと後退したなというのが最終報告なんですが、これ、大都市では、これから多分、それはものすごく大きな課題になって、それが実は、福祉と環境に結びつくという感じが。そうなると、これはちょっと言いにくいんですが、やっぱり地方自治体の仕事のスタイルを変えてもらわないと困る、人事も含めてというのが、これ、私、長年の実感でございまして、やっぱりコミュニティは、要するに、管理業務を担う地方公務員のイメージが１つあるとすれば、それと同時に、やっぱりコミュニティワーカーとしての地方公務員というのがあって、コミュニティワーカーとしての地方公務員というのがどうも育ってなくて、ちょっと属人的になっちゃって、組織的にどうもきちんと、これだけ２３区は育ってないというのが、私の長年の印象でございまして、そういうことを含めて、やっぱり地域を支える人材のあり方までちょっと考えないと。 　というのは、やっぱりコラボレーションとかパートナーシップという議論が起こって、行政とＮＰＯや地域住民、どうコラボレーションするのかという議論になった途端に、３年後にコラボレーションの大半がいなくなるわけですよね。それで、また一から、さいの河原みたいに積み直しをやるような形で、行政のほうはどんどん変わっていって、むしろ、全部内情を知っているのは、地域住民だったりしかねないようなことがあって、そういうことを含めて、少し、これからのコミュニティづくり、とりわけ福祉サービスをキーワードとしたコミュニティづくりが、どういう人材が必要なのかみたいなことまで、ちょっといかないといけないなと思っております。 　以上でございます。 ○三浦委員長 　かなり細かいところまで議論がありましたけれども。 　どうぞ、渡辺委員。 ○渡辺（康）委員 　何点か、ちょっと意見を出したいと思うんですが、その前に、長い間、分科会ということで論議をされてこられたことに、本当にご苦労さまでしたと申し上げたいと思います。 　それはそういうことなんですが、ただ、私も初めてなんですけれども、最初の報告がございましたけれども、それは、最初から言われていましたけれども、幅が広過ぎるというか、間口が広いというか、どこかでもう少し絞って、そして、議論をしていただけるような、そういう場をつくってほしいと思うんですね。あまりにも広過ぎると、意見そのものが出しにくいというか、難しいという感じもしますので、できれば、やはり絞りながら、この審議会というものの回数を増やして、そして、具体的にどうしたらいいのかということも含めて、いろいろと意見の交流ができればありがたいなと思っております。ぜひひとつ、そういうことでもよろしくお願いしたいと思うんです。 　私は、今日、大きな問題になっていることについてだけ、二、三述べたいと思っているんです。今回のこの審議会に、いろいろと論点整理ということで出されましたけれども、それを貫いているというのは、福祉サービスにおける市場化の問題だと思うんですね。この市場化の問題ということで言えば、現在の東京都は、すべての分野において市場原理というものを取り入れまして、そして、サービスを、あるいはまた質を競い合わせると。しかも、事業からは東京都は手を引いていくというようなものがあるわけですね。私は、この市場化という問題を、福祉や医療の分野にまで持ち込んで競い合わせて、しかも、サービスを充実させるという手法でどんどん進めていく方策というのは、弱者の切り捨てにもつながりかねない重大な問題だと言わざるを得ないと思っているところです。 　都民ニーズにこたえるといって、企業がサービスメニューをたくさんつくっても、そのサービスを買い取るということ。事業者から言わせれば買い取るということですから、所得の低い方は、そのサービスをあきらめるか、あるいはまた、最小限のサービスしか受けられない、こういうような事態というものが余儀なくされてきているというのが、これは実態だと思うんです。介護サービスということで、介護保険の介護サービス、これがその典型だと私は思っているんですけれども、介護サービスがいろいろあるにしても、そのサービスを買わなければ、受容できないわけですね。介護度５ということであっても、その介護度に合ったサービスを受けられないというのが現状です。 　東京都は、区市町村のような保険料や、あるいは利用料の軽減措置というものを、あまりとっておりません。本当に不十分だと思っております。そういうことから、いわゆるこのサービスを受けられないというのが実態としてあるということを、私は本当に、抜本的な形でその辺を議論していく必要があるのではないかと思っています。 　いわゆる、この生活保護基準及び生活保護基準以下のボーダーラインという層、これが今、生活保護を受けている世帯の１０倍にも達しているというようなことも言われておるわけですね。そういう点から見ても、この人たちへの支援こそ求められているのではないかと私は思います。この人たちへの都としてのいわゆるセーフティーネット、こういうものをつくる。そして、また支援していくということを抜きにして、福祉やサービスの向上というのはあり得ないと私は思います。そういう立場から、低所得者層への福祉のあり方、これは十分検討していく必要があるのではないかと思います。 　それから、もう一つは、これも現実的に深刻な問題になっていることですけれども、特別養護老人ホームの問題です。特別養護老人ホームへの入所、あるいは入所待機者、これは２万人とも言われておるわけですから、しかも、これがなかなか減らない。増える一方ということですから、大変深刻な問題だと思います。 　介護保険が導入され、そして、施設から在宅と、こういうことで大きく転換されましたけれども、４年たってみて、いろんな問題が出てきていると私は思います。特別養護老人ホームは、区市町村の仕事として、都みずから建設はしないという立場をとっておりますし、区市町村ではどうかと言えば、今や、建設する自治体というものも皆無に等しい。これも、民間でやれるものは民間でという都の大方針があるがために、民間が手を挙げることをひたすら待つばかりだというような状況にあるんだと思います。 　民間が手を挙げれば認めるというのでは、いつになっても、待機者を減らすということにはならないと思います。また、民間が手を挙げても、国がホテルコスト型しか認めないんだという方向を打ち出しておりますから、そういう点では、なおさらのこと、大変なことだと思います。 　今日、特養ホームの必要性というのは、そのほかにも、住宅事情、あるいはまた、家族形態等の点から、施設はなくてはならない状況になってきているのではないかと思います。したがって、この特別養護老人ホームの必要性、いかに待機者にこたえていくかという、これも十分、ご検討というか、議論をしていく必要があるのではないだろうか、こういうふうに思っております。 　それから、もう一つ、最後に、キーワードは地域だということで、先ほど報告がありましたけれども、地域福祉といえば、どういうものを必要なのかなということでは、これはもう、かなり前からいろいろ議論があるところですね。私、思うのは、地域福祉ということで、医療機関、あるいは、デイケアとか特別養護老人ホームとか、いろいろありますが、そういう施設、あるいはまた、介護のマネジャー、あるいは福祉事務所とかＮＰＯとかボランティアとか、地域にはそれぞれあるわけですけれども、そういういろんなところの機関、あるいは専門的な人たちに集まっていただいて、総合的な施策の上に、お互いが協力し合えるシステムをつくるということが非常に大事だと私は思っています。そのためにも、地域福祉というのはどうあるべきか。そういう点で、総合的な施策をつくるということが必要だと思います。 　お年寄りが、住みなれた土地で最後まで暮らせるような、そんな暖かい地域の人たちから守られるような福祉、こういうものはどういう福祉なのか。名ばかりで終わることにならないようにするためには、私は、行政が中心に、しっかりと据わらなければできるものではないと思います。これも、やはり十分検討していただいて、具体化に向けて取り組んでほしいと思います。 　そういうことを、私は、今回のこの審議会の中で、市場化という方向でどんどん進むという、そういうことに非常に懸念というか、危惧を持っておるんですけれども、今、市場化という方向の中で取り残されていく、そういう問題についても、やはりしっかりとフォローしていくというか、目を向けて取り組んでいくということが大事だし、この審議会に課せられた大きな仕事の１つではないかと、こんなふうに思っているところです。 　以上です。 ○三浦委員長 　どうもありがとうございました。 　予定した時間が近づいてきておりますけれども、この件は是非という方がいらっしゃいましたら、どうぞ。 ○臼井委員 　私も新任のものですから、よくまだ理解をしていないんですけれども、一言発言させていただきますと、東京都という、区市町村を包含した行政体、基礎的自治体ではなくて広域地方自治体、これは、確かに大きな権限と財源を持っているわけですね。今日、この東京の福祉を語るにも、本当に立派な頭脳が集まって、東京に新しい福祉を、未来に向かって構築していこうということで、すごいなと感じているわけです。けれども、実際、この福祉の恩恵にあずかる市民というのは、小さいコミュニティの中で生活しておりますね。特に、区市町村という単位がありますけれども、この区市町村で、最終的な市民の福祉を実現していくべきだと思うんですね。 　今、合併の問題等も出ておって、区市町村の中には、自立性さえ乏しいところもありますから、市民にとって責任を持てるような基礎的自治体が再編成されていかなければだめだと思っているわけです。そうとは言いながら、今、当面の福祉を東京都がどう進めていくのか。これから１０年、１５年後を目指しての福祉のことを考えると、私は、真の担い手である区市町村に、もう権限も財源も渡すというような気持ちで東京の福祉を構築していかないと、いつまでたっても、真の自立した地域福祉なんていうのはできないんだろうなと思うんですね。一人一人に責任を持たせながら、本当に生き生きとして、生きがいを持って人生を送れるような地域社会を私は望んでいますので、この際、思い切って、こういう立派な構想をつくるのはいいんですが、これを区市町村の責任に、下へおろしていくと。そこで、これからの福祉を区市町村がどれだけ担っていけるのか、そういうことを問いかけていかないと、いつも制度や財源に縛られて、区市町村は、それこそ自立性のない、依存心の強い、そういう行政をやらざるを得なくなっているわけです。ぜひ、そういう面で、この東京のあすの福祉についても、私は本当は現場で責任を持つ区市町村が主体的に取り組めるよう投げかけていくというスタイルを持たないと、いけないと思います。東京都が一方的に立派な構想をつくる、制度をつくる、財源も保障する、こういうことではどうもいけないのではないか。 　それから、最後につけ加えますが、福祉サービス市場、これはやっぱり、市場原理を大いに働かせていくのがこれからのいき方だし、正しいあり方だと思っていますので、進めていただきたいと思っております。 ○三浦委員長 　どうもありがとうございました。 　そのほか、よろしゅうございましょうか。 　それでは、ちょうど予定した時間、１２時が参ってきておりますので、そろそろ本日の議論をまとめさせていただきたいと思っております。大変活発なご意見をいただきまして、本当にありがとうございました。もう時間があまりありませんので、私のほうでまとめることはできませんけれども、一、二、ちょっと気のついたことだけを申し上げておきたいなと思います。 　順序はばらばらでございますけれども、今回の福祉サービス市場、ただ単に市場の原理じゃなくして、福祉サービス市場という形で、あえて、上に「福祉サービス」ということをつけ加えた。といいますのは、確かに今は、グローバリゼーション以降の動きの中で、市場原理というのが大変重要な議論として展開されておること自身は、これはもう否定できないことだと思いますが、ただ、それをそのままの形で福祉サービスの分野に適用すれば、非常にマイナス面も多いし、また、それと同時に、ゆがめられている部分が相当あり得るんじゃないのかということがありまして、そこで、「福祉サービス市場」という名前をわざわざつけたわけでございます。 　逆のことを言えば、準市場だとか、擬似市場というふうな言葉は一緒だろうとは思いますけれども、それを、ただ単なる学者の議論ではなくして、東京都という特性の中において、そういう福祉サービス市場というものをどういうふうな形で構築し、あるいは、それを促進してくるかという、実はこういうことじゃないんだろうかと思うわけです。 　その問題と絡め合わせまして、そのようなもの、福祉サービス市場というか、地域で自立した人々をどうやって支援するかという、これと結びつけて展開させようというところに、先ほど、分科会長からもその話がありましたとおり、今回のねらいが据わるのではないかと思います。 　ただ、その場合に大変重要なことが、先ほど、一、二の方からご指摘がございましたように、要するに、それと同時に、セーフティーネットをどういうふうに構築しておくかということがなければならないだろうという点でございまして、先ほど、渡辺委員でございましたか、低所得者問題等も含められましたし、それからまた、先ほど、田端副委員長が指摘されたように、一種のアクセスのセーフティーネットといいましょうか、セーフティーネットといいましても、いろいろとらえ方があると思いますので、そこら辺をもう少しきちっと整理をするということは、ご指摘のとおりじゃないかと思っております。 　それから、もう一つ、これは私自身の個人的感想ですけれども、実は、福祉サービス市場と言いながら、まだ大変不十分だと思います。これ、あるいは反論になるかもしれませんけれども、先ほど、特養の待機者の問題が出てまいりました。これは、ある意味では、待機者が増えてくるのは当然だろうというところだと思いますから。それから、保育所の待機児問題というのも各区市町村のほうでは大変重要な問題になってきていると思います。これも、似たような問題があると思います。 　それから、私流の言い方をしますと、従来は、福祉サービスという、つまり、社会的な援護を必要とするという、そういう人に対して、必要な資源をどうやって提供するかということで、計画的に、いわゆる公的の中で計画するという。そういう仕組みを現実として持ってきたわけですけれども、実は、福祉のニーズ自身が、本人の選択というところに移りますと、言葉が適正かどうか、福祉のニーズのほうに転換を遂げたと。そうすると、需要に転換を遂げた。需要に転換を遂げた場合に、それに対応する供給のシステムというのが、従来のように、計画的な、割り当て方式的な形では、これ、進み得ないわけであります。当然、それに対応すべきものとしましては、市場的な原理を必要とするということは言うまでもないことじゃないだろうかと思います。そういうような前提の上で問題にしなきゃならないんではないかと。それが、非常に不徹底で、今、進められてきておると。 　例えば、保育所の問題につきましても、実は、一方においては、ニーズのほうは、保育所を選択することができておりますが、実は、供給のシステムだとか中身というのは、これは全然、措置時代と変わらないという状況なんですね。やっと、株式会社の参入を認めておりますけれども、それは、名前だけのものであって、株式会社が生きる余地がないような参入の仕方しか認めていないという、そういう非常に不徹底さが実はあるだろうと。 　特養の問題について見ても、実は、特養以外の、大々的な対策というものがない中で、しかも、非常に不十分な市場の中で、こういう問題が起きております。例えば、これ、いろんな議論がありますけれども、特養に、株式会社の参入が認められているかといえば、これは認めていないわけでございます。いろんな制約のもとで展開をしてきたというのが実態だと思います。 　そういう意味では、市場的な方向を使いながらも、現在、非常に未成熟な状況の中で、そこの矛盾が随分出始めているんじゃないかという中で、今回の答申、出された問題というのは大変重要な方向を示しているのではないだろうかと実は思うわけです。 　あくまでも、それらのものは、先ほど言いましたような、公的なかかわり方の中における市場ということを指摘する、そういった意味でも大変重要じゃないかと。それだけに、公的な形での関与の仕方というのが大変重要だと思うし、同時に慎重でなければならないということを示しているのではないかなと思ったりしております。 　それから、地域の問題が出ましたけれども、地域でやっぱりコミュニティという、この２つを使い分けることを注意すべきだろうと思います。しかも、地域の中において、いろんなサービスを集中するということと同時に、その中においてのコミュニティ、先ほどいろいろ出ましたが、おそらく支え合うような共助の仕組みをどうつくり上げるか。これは福祉にとっても大変重要な議論でございますけれども、と同時に、これは福祉だけでできるものではないだろうと。例えば、住宅の問題であるとか、環境問題であったり、さまざまな問題が。つまり、都民生活全体にかかってくるような問題が実は、このコミュニティの中に出てきておるという。それを全部、福祉のほうで請け負ってしまうというわけにはいかないのであって、やっぱり他の分野も、こちらのほうも、コミュニティということを意識してもらうような、そういうふうな形が、定義の一方において必要ではないか。また、そういう観点からのそういうことが必要じゃないだろうかなんていうことを感じたりしております。 　そういう意味で、そういうふうな議論というのは、高齢者、障害者、それから、児童という福祉の従来の対象者、その辺におけるサービスの縦割りだけじゃなくして、その分野を超えた、もうちょっと広い視点からの、福祉的視点からしていきたいということなどを、先ほどからお伺いしながら、感じておりました。これはあくまでも感想めいたことで、まとめじゃございませんので、こういったことを含めて、今日の論議が、大変私にとっても示唆的だったと思っております。 　そういったことで、今日出されましたご意見を踏まえていきますと、一応、この論点の方向ということについては大体よろしいようではないだろうかと、私、推察させていただいたわけでございます。 　よろしければ、明年の意見具申に向けまして、さらに分科会、起草委員会で検討を進めていただきたいと思います。 　なお、委員会のご発言がございましたように、その点、できるだけ、この審議会のメンバーの方々の意見も反映できるような機会を、ぜひ事務当局にお願いしておきたいと思っております。 　それでは、平成１６年７月の意見具申を目途として、精力的なご審議をお願いすることをお願いしたいと思います。それでは、どうぞよろしくお願いいたします。 　事務局から、今後のスケジュール等につきまして、何かございますればよろしくお願いしたいと思います。 ○梶原計画調整課長 　今後のスケジュールでございますけれども、年明けから、本日ご確認いただきました論点整理をもとに、起草委員会にて意見具申の原案を作成していただき、明年２月ごろに、起草委員会で作成していただいた原案を検討分科会でご審議いただく予定でございます。 　日程につきましては、後日、お知らせをいたします。どうぞよろしくお願いいたします。 ○三浦委員長 　それでは、本日の審議会はこれをもちまして終了させていただきます。長時間にわたり、活発なご意見、どうもありがとうございました。

（午前１２時０７分閉会）

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