○高橋分科会長
ありがとうございます。
大変大事な、しかも的確なご指摘をいただいたような気がいたしますが、少しこの議論を膨らませていただくということもあろうかと思いますので、まず課題出しをちょっとしたいので。
○新村委員
いいですか。
○高橋分科会長
どうぞ、新村委員。
○新村委員
きょう初めて見せていただいて、起草委員会の議論を知らないで、今、ご説明を聞いただけで得た印象でございます。それをちょっと申し上げたいと思ったんですが、資料3のところで最初に思いましたのは、私は、利用者の立場というのは随分いろいろな面で制度的に定義されてきたんですが、まだまだ消費者主権を実現するようなマーケットになってないということを言いたくて、そういう意味では、資料3の2ページ目のところ、今後の方向性に2つ、消費者の立場からは書いてあるんですけれども、ここに今問題になっている供給側の話。要するに、消費者の側からそれを見れば、多様な選択肢を確保しなくちゃいけない。現在、確保されてない。そこで利用者支援保護とか自立生活、もちろんこれは最終目標としていいんですけれども、その前に、多様な選択肢がきちっと供給されているかどうかということを1つ追加したいなというのが1つです。そのためには多様な供給を確保しなくちゃいけないということで、供給者のほうで、これはいろいろなところにかかってくるんですけれども、特に東京というのはビジネスとして成立しやすい場所であるということにも言及する必要があって、しかし、そこでネックとして地価が高いとかあるわけですけれども、こんなに需要が密集している地域というのはないわけで、実はビジネスが非常にやりやすい。そこの中でどういうふうにやって多様な供給がなされるような基盤をつくるかというようなところを重視してほしいという感じがいたしました。
その中で、これはちょっと言葉の話なんですけれども、市場ルールの確立というようなことが資料2の9ページあたりに出ているんですけれども、これは不適切な事業者を規制するための仕組みと書いてあるんですけれども、こういう規制をするほうじゃなくて、良質な事業者をつくるための仕組みづくりというような、ポジティブなとらえ方をできないかなというのが、伺っていて思ったことです。それが第1点で、多様な選択肢の確保と、供給者側をどうやって引き出すかということについてのコメント。
もう1つは、福祉サービスも需要者だけの議論になっていて、福祉サービスを利用しない人との関係がどうも見えないなと。先ほど、若い世代の負担とか、いろいろご議論がございましたけれども、利用しない人のほうがマジョリティーなわけでございまして、利用しない人といっても高齢者であって、いろいろな形があるわけですけれども、シームレスな政策のプレゼンテーションができたらいいのかなと。今、育児のほうはちょっとそうなりかけておりまして、かつては働く女性だけの保育園だったのが、今は、地域の育児支援センターとか、さまざまな制度ができて、むしろ専業主婦の子育てを支援するところから、パートで働く方、フルタイムで働く方、そういうふうな仕組みが徐々にでき上がってきつつある。高齢者のほうもそうではないかというふうな感じがいたしまして、ちょっと話が福祉サービスの話だけになっている。その前にもちろん、もっと大きく言えば、健康づくりとか、そんな話もあるわけですけれども、そういう中でうまく福祉というところを、大きな背景の中でシームレスなプレゼンテーションをして、その中で福祉がどうあるべきかというような話になっていたほうが、同世代間の不公平感でしょうか、そういうものが。もちろん保険ですから、例えば高齢者の介護保険について言えば保険ですから、そこが手厚くなされているということは自分にとっても非常に安心ではあるんですが、健康で全然それを使ってない人にとって関係があるかどうかというような視点ですね。私は、年をとると必ず関係が出てくるところがあると思うので、そこのところをうまく書けたらいいのかな、なんていうふうな感じがいたしました。
そして、特にリバースモーゲージとか、この間、白石委員からご提案があった居住資産の活用なんていうのは、実は介護保険福祉サービス利用者だけの話ではないので、もうちょっと広くとらえていくと、それがもうちょっと位置づけがうまくいくのかなというふうな感じがいたしました。
とりあえずその3点申し上げます。
○高橋分科会長
ありがとうございました。
いかがでございましょうか。まずはもう少しご自由にご発言をいただきたいと思いますが。
武田委員、何かある。
○武田委員
起草委員会の非常に広範な議論をよくここまでまとめていただいて、ほんとうに感服しています。
今、新村委員のほうからもご指摘がありましたけれども、起草委員会の中でも、事業者が参入しやすい条件整備とか、供給をどういうふうに確保するのかといった、売り手側をいかにきちっと作っていくかという話があって、一方で、買い手側、消費者というふうに表現されていますけれども、消費者がその仕組みの中にきちっと入ってこられるような支援の仕組みをいかに作っていくかという話がある。そして、この2つのマッチングの仕組みをいかに作っていくかと。こういう視点でとらえていくというのが、起草委員会の中で話し合われたというふうに理解しています。もちろんこれは全体を通して読む中で全て出てくる話ではあるんですが、表現の仕方として、資料3の2ページ目の2の福祉サービスをめぐる政策課題・国の動向というところは、「課題」という意味からすると、利用者支援の話と事業者参入の話というのが並立であっていいのかな、という感じはいたしました。
あと、これはある意味で、ご質問というのか、この審議会での提言の実効性の確保の問題というところにもつながっていくわけですけれども、実際、ここに書かれていることは相当部分、国ベースの制度にひっかかってくる。先ほど平岡委員がおっしゃったように、例えば都のほうから国のほうに何か意見書を投げていくというツールもあるわけですけれども、例えば、先ほどの市場化という話からしても、典型的には保育、先ほど新村委員からもありましたとおり、これは現在、直接契約制ではなくて、自治体を通じた間接契約制になっている。そのとき、市場が成立する、すなわち売り手・買い手という関係を成立させるためには、基本的には直接契約制への移行というのは不可欠だろうと考えられます。こういった部分をこの審議会として提言をしていくとすれば、それを何らかの形で制度改正につなげていかなければならない。そういう流れをどうつくるかということについては、もちろんこの報告書に書き込んでいく話ではないかもしれませんけれども、審議会としてどうとらえていったらいいのか。ここについては逆に、都はどんなふうに考えているのかをお伺いできればと思います。
○高橋分科会長
ありがとうございました。
武田委員のコメントに何かレスポンスしていただけますか。
○梶原計画調整課長
確かに民間保育所の問題で、東京都は認証保育所をつくって直接契約制度を導入し、価格のキャップというのは、上限のキャップはありますけれども、事業者が自由にといいますか、設定できる制度と言います。それを踏まえて、今年の春と秋、国に対して提案要求を既に行っています。それが1つと、もう1つ、現在、都の児童福祉審議会の中でも、今後の子育ての部分の中で、先ほどお話がありましたけれども、在宅支援も含めたところの中で今ちょうど議論をなされていて、中間のまとめの中ではこういう問題の提起をしていくというのが1つ。
それから、次世代育成支援法案の中で来年度、区市町村が計画をつくり、東京都もその計画をつくっていく。その中で、在宅で子育てをなさっている方の保育、その部分も含めて全体の計画というのをつくっていく流れ。ですから、東京都としては、今までもそういう提案をしてきましたし、今後もやっていく。
社会福祉審議会の中でどういうような位置づけにしていくかというのは、ご議論の中でだと思います。
○高橋分科会長
おそらく国の政策提案が幾つか具体的に出ているとすれば、これはある段階で資料としてきちんと整理したものを、そして、その位置づけ等を含めて後で反映させるという必要はあるだろうけれども、そんな形で整理をしていきたいと思います。
手塚委員、よろしくお願いします。
○手塚委員
3つくらいありまして、1つは、こちらでの議論というのはわりと福祉サービスの供給ですね。要するに、供給があるんですけど、他方では供給の下にニーズがあって、ニーズのことでいきますと、少し整理の意味でちょっと考えていたんですが、新村委員がおっしゃったように、高齢化というのは全員なりますね。その中に例えば、糖尿病で目が見えなくなるとか、それから、今、この次来る医療保険改革で非常に悩んでいることですけれども、私は国を代弁するわけじゃないけれども、透析は1人年間500万円かかりますね。今、23万人いますから、大体1兆円かかっているわけです。国民医療費が30兆円ですから、23万人で30分の1使っちゃっている。そういう問題があるわけですね。ところが、日本の年金改革は今、議論になっているのは、高齢者については一切、既得権のある人については一切、政治の問題だから年金は下げないということを厚生労働省は言う。財務のほうはとんでもないと。削りなさいと。そういうしのぎ合いなんですけれども、実際は、最後の供給とニーズと、もう1つは、分科会長に伺いたいんですけど、その資源をどこから持ってくるか。個人が払う場合、介護保険で払う場合、地域で助け合う場合。これは資源じゃなくて、あれでいいと思います。例えば、私もここに1回出られなかったんですけれども、私、88歳の母親を1人で田舎に置いています。実際的には要支援なんですけれども、公的な介護保険は使いたくない。そうすると、地域の、近所のとてもいい方が買い物から医者から連れていってくれる。それは一つの資源であるし、他方ではそれに対する報酬がないわけですね。今後、介護保険の要望書はどういうことをお書きになったか知りませんけど、厚生労働省としては、結局、地域のそういうボランティアの人たちに現金給付をすることはやめちゃったわけですね。ドイツの場合は、ご案内のとおり現金給付をやって、会議をやったら、なぜ日本は入らなかったと、はっきり言いますね。だけど、それにもかかわらず在宅給付がどんどんドイツでもなくなって赤字になって、結局、施設にみんな行く。しかし、入った本人たちにしたらどうなるか。結局、営々と30年間、40年間、子どもを育ててやってきた。だけど、あとは施設に入ってください、介護保険で面倒見てくださいという話にはならないだろうから、その間には多種多様なものがある。
もう1つは、都の姿勢も伺いたいんですけれども、日本では2つ間違ったことをやったと思うんですね。1つは老人医療費の無料化ですね。これは美濃部知事のときに都でやって、高度成長期の真っただ中だったので、結局、国が追随した。もう1つは専業主婦の第三号被保険者です。11月5日にOECDの報告書が出て、専業主婦に過剰な保護をしているのは日本だけだと。いわゆるマンパワーだとか人的資源が足りないと言っていながら、それをやっている国は日本だけだと。そういう要求というのはますます出てくるわけです。
最後のところで申し上げたいのは、供給サイドの市場原理の導入もいいし、それから、ニーズというものの分析の視点も必要だろうし、もう1つは、それを支える資源というものをどう配分するか。日本は今、GDPは500兆円ですね。だけど、おそらく2025年から30年にかけて450兆円ぐらいに減っていくだろうと思うんですね。そういう中で日本医師会は、今の状態でいったら30兆円が80兆円になるんですよ。それをどうするのかという話。そのときに3割負担にして、高齢者にも1割払ってくれということにしたわけですけど、それじゃあ困った人はどうするのか。消費税を増やすことも結構ですよ。だから、そのあたりのところをちらっと、高橋分科会長が元気を出して、国はどうだと。私のところには、社会保障審議会の資料が全部送られてきます。見ても、国は何も言ってないわけです。だから、都は何かやってもらいたい。
私がふと気がついたのは、千代田区の幼保一元化で古い幼稚園を一緒にやり始めた。スウェーデンは幼保一元化で監督官庁を全部文部省に移したわけですね。幼児教育もするから子どもの知的水準も上がって、ものすごく教育水準が上がっているわけでしょう。フィンランドでもみんなそうです。そんなものは移してしまえと僕は言うんですけど、それは役人にとっては手足をもがれるようなものだから絶対に嫌だと。東京都が国のシステムに従って予算をもらってやるのは、それはそれでマニュアルに沿ってやらなくちゃいけないからいいんですけど、サービスの供給でもいいし、独自のものを何か。だって、リバースモーゲージなんて、武蔵野市から始まってあれしたけど、ほとんど例がないわけでしょう。それから、成年後見にしても。成年後見だって、ほんとうは近所の人たちがきちんと成年後見をするシステムがあればもっと助かっているはずなんですけれども、そういうものもないし。だから、いろんなことを考えて、その辺のところをうまく、図をつけて出したらどうでしょうか。例えば、福祉の享受者というのはどうなる。高齢者には必ず全員がなる。逆に、子どもが小さくて教育の必要とか何とかも全員そうですね。義務教育や何か。だけれども、教育の質はどんどん下がっている。ところが、今までのばらまきだと、今度は老人だったら老人で、老人もお勉強をしたいと言ったら、お勉強の施設もつくらなくちゃいけない。老人大学とかをたくさんつくる。みんなばらまきでやっちゃっているからいけないんで、その辺のところは何かうまい整理がないかなという具合に考えているんです。
○高橋分科会長
ありがとうございました。これは中間報告で、意見具申に向けて議論をしないといけないテーマだなというふうに思いました。少し深めたいテーマでございます。ありがとうございました。少し議論を、委員の皆様にご発言いただいた上で整理をしたいと思います。
どうぞ三宅委員。
○三宅委員
非常に幅広い論点を的確に整理されていただいていると思うんですが、私は、1点ちょっとわからないのが、これからの福祉といったときに、前回、高橋委員のほうからご報告がありましたけれども、高齢者介護研究会報告は団塊の世代が介護保険の適用になる2015年ぐらいをターゲットにしているというお話がございましたね。今回のこの、言ってみれば「これからの福祉」は、大体どの辺のところを視野に入れてつくられているのかなというのが、正直言って1つ、見えない部分があります。
どういうことかといいますと、例えばリバースモーゲージなんかの話がいろいろ出てきましたね。これは、私もよくわからないんですが、我々の世代、あるいは我々より上の世代と団塊の世代の人たちとの意識というのはかなり違うんじゃないかという、これは漠然とした思いなんですけれども、そういう感じが実はしているわけです。そうしますと、仮に団塊の世代あたりをターゲットにしたときに、これは現行制度ではそう簡単にはいかないだろうと思いますけれども、そういった団塊の世代の意識をある程度的確にとらえたときに、高齢者の資産をフローとして使っていくような、そういう意識というのは、団塊の世代はかなり持ち得るのかなという気がしないでもないんですよ。こういった考えが的確であるのかどうか、ちょっとよくわかりませんけれども。
したがいまして、現行制度ではなかなか無理なんだけれども、将来をある程度視野に入れて、どの辺のところでどういうふうに国の政策に対する提言をどの程度織り込んでいくのかというのもかなり大きな視点なのかなというふうな気がしながら、いろいろ議論をお聞きしておりました。
以上です。
○高橋分科会長
要するに、これからのインプリケーションは何だという大変本質的なご質問をいただきましたが、いかがでしょうか。これは非常に大事な議論でございます。
○手塚委員
それはリソースの議論ですね。リソースの議論で、しかも個人が持っている財産ですね。要するに、それを自治体が何とかということはできないから、何らかのきちんとしたカウンタビリティーがあればどっと広がると思うんですけど、今のところ広がらないというのは、うまい企画商品が出てないことだと思うんですね。
○藤井委員
第1回目でしたかね。その問題がちょっと議論になって、いつごろのスタンスを持って議論するかというときに、今日的ではなくて、近未来的な、2015年とか、少し先のことを論じるというか、視野を見据えてこの審議をしようじゃないかということだったと私は理解をしておりますが、よろしゅうございますか。
○高橋分科会長
はい。基本的には、第1回目でも再確認をしなければいけないという意味でございます。
○藤井委員
そういうことに絡みまして、ちょっといいでしょうか。
○高橋分科会長
どうぞ。
○藤井委員
手塚委員のお話に乗っかる訳ではございませんけど、ここは、これまで皆様の御発言をお聞きしていて、もし見過ごしていたとしたら失礼申し上げますが、本検討分科会での「これからの福祉」の中で財源の問題、財政との関連はどうなるのかという問題についてです。これから福祉の実施主体性がどんどん区市町村へと移っていき、それに伴っての権限が移譲されていくという意味も含めて、財源と財政的支援について東京都のスタンスをどうするのか。資料の12ページに区市町村に対する支援の中で「専門的な立場から技術的支援及び必要に応じた財政的支援」とありますが、かなり限定された財政的支援とも受取られる訳ですが、この分科会でのメッセージは、2015年ぐらいの近未来的を見据えた理想というか、真のあるべき姿を発信するということで、財源、財政については、別個で別部門の政治的な問題として取り上げるということになるのか。そうは言っても、どうしても絶えず、お金の問題はついて廻るものですから、これをどのような面と深さで考慮しながら、検討の中で関連させていくのか。いや、そこまで立ち入らなくてよいというのか。この辺りの認識と理解について確認がされればと存じております。
もう1つは、資料9ページに「地域ケア・地域ネットワーキング」というのがございますが、高齢者で介護の対象になる人とそうでない人があり、元気な人というか、介護を受けない人の方がマジョリティーであるということですが、この人たちもやがては対象になるということでもあるので、元気な高齢者が元気で、いわゆるPPKをしっかりとして社会を支えていくという姿勢が必須である。それはみずからの自覚が必要であるし、できるだけ自立をしていかなければと。元気なマジョリティーの高齢者がこれだけ多くなってくる社会になってくると、社会全体に予想もしないような大きなインパクトを与える世代になってくる。そこで、高齢者として若い人たちの世代に何をどうやって指導、教育をしていくのか。世代間乖離ということが言われていますが、世代間でお互いに「ありがとう」と感謝し合えるような社会を実現するために、まず、高齢者自身が若い世代の人たちに何を伝え、何を残していくかを自覚して、みずからの姿勢を示していくことが大切だと。こういうことからいきますと、まず高齢者自身がもう少しというか、うんと自覚をして、ぴしっとした自立した高齢者であること。それで生を全うするという、いわゆるPPKをしっかりとしていく社会をつくり上げていく必要がある。
それで、直接関係することだと思いますが、諸外国に比べて現在の日本にはコミュニティの意識、活動が希薄で、むしろないとさえと思われるのですね。私、ロータリーのメンバーでありましたときに、ロータリーの人達はそう云った面でのコミュニティの意識、活動に強い面を持っている。昨今は世界的にもメンバーがなかなか集まらなくて困っているのですけれども、例えば、年の暮れに、高齢者及びそれに関わっている人々に何らかの寄付や貢献をしようじゃないかと、会を開こうと誘いが来たりしておりますし、日本には希薄なこういったコミュニティの育成をもう少し、公共体、そこをみんなで宣伝し、広報していくという姿勢も必要ではないかと。
こういったことが、行政とあいまって魅力的な福祉市場の育成に結びつくのだと。
いろいろと取りとめがございませんが、申し上げました。
○高橋分科会長
ありがとうございました。
今の藤井委員のご発言はとても重要で、これは、自己責任の議論だと思うんですね。例えば、後見制度に即して言えば、任意保険というのはまさに自己責任の発露ですよね。自分の資源をきちんと使って要介護になったときに備える仕掛けをあらかじめ選択して後継人を選任する。そうなりますと、あるから使うではなくて、自己責任で私的な財産をきちんと活用しながら要介護に備えるという。そして、それを逆に言うと社会的に担保する。単なる個人的な契約ではなくて、後見特区とかって社会的な仕掛けをフレームできちんと守りながら、自己責任を。だから、自己責任を実現できるような社会制度の一つの典型だと思いますけれども、そういうような議論をぜひ。そうすると、非常に重要な問題は、東京都の人たちは相当個人資産を持っている。一方ではもちろんそうでない人も非常に多いんですが。その個人資産をきちんと老後生活なり社会づくりなりに活用する。要するに、今のままだと、生命保険を買って、アメリカの国債を買っても、どうせ20年後は暴落しますから。というような金融の循環が成り立っているんですけど、日本の都市的な生活づくりのために金融資産を使えるような社会的インフラで自己責任が発揮できるような、そういう仕掛けを整備する。それと同時に、税金を財源にしたさまざまな仕掛けもセーフティーネットとして必要。そういうミックスだと思うので、そこら辺の見取り図は何らかの形で、今の藤井委員や手塚委員のご指摘を踏まえて、ちょっとかけたらいいなというふうに私は思いましたが、そういう意味で三宅委員が、これからというのはどういうパースペクティブだということで言えば、そういうことを想定した場合に、あるシステムがワーカブルになるためにはやはり5年から10年はかかる。2015年の高齢者介護もその議論をずっとしまして、そういう意味では、前のあり方の答申だって、60年、61年だったっけね。1900何年になるんですか。
○梶原計画調整課長
86年です。
○高橋分科会長
86年。あのときも大体10年ぐらいを考えながら議論をした記憶がありますので、大体そういう……。要するに、将来を見渡したときに今準備しておく施策は何だろうか。まさに今、東京都でやっているのは、相当いろんな抵抗がありつつ、昭和60年代の福祉の構造を一度整理しながら、2010年、2015年の福祉のあり方に備えた、ある意味では福祉財政の使い方の構造を切りかえておかないと、そういう新しい需要にはとても。高度経済成長時代に税金がどんどん入ってきて、毎年自然増があるというような、そういう時代ではありませんから、構造を組みかえるということが必要で、それはやはり10年、15年先を踏まえながら組みかえるという、そういうことが多分、東京都の当局が大変ご苦労しておられるところですが、そういうことに対する基本的なパースペクティブをきちんとここでご提起申し上げて、これからの施策のあり方みたいなものを考えるとぜひ、今の対策ではなくて、5年、10年の道筋を踏まえた対策という形でやっていただきたいというようなことのある種の見取り図みたいなものがパースペクティブで与えられれば、とてもいいのではないかなというふうに思ったりいたします。
○手塚委員
都のほうで、2015年なり20年に地域がどうなるかという推計はなさっておられるんですか。
○梶原計画調整課長
人口ですか。
○手塚委員
ええ、2015年から20年の。
○梶原計画調整課長
推計上は、統計部のほうの人口のほうで出ていると思います。
○高橋分科会長
国では人口研から減るような予測が出ていて、あと、単純所帯数があって……。
○手塚委員
例えば、多摩地区っておっしゃられたけど、多摩地区はゴーストタウンになって老人だけしかいないという状況に近くなってきていて、日本の過疎化の一番進んだ、例えば周防大島あたりと同じ状況に今はなりつつある。だけど、それが先に進んだらどうなるのかということまで。だから、そこのところの中で、ここは福祉の担当部局だから福祉の問題をやるけれども、全体で発信しなくてはいけないはずですよね。
○梶原計画調整課長
統計上の問題でいきますと、総務局のほうでつくっている人口の推計というのはあります。で、その高齢者の現状というところでの2015年までの推計というところで今は出しています。ただ、その意味では、手塚委員がおっしゃるように、人口問題研が出している推計、上位、中位、下位の推計……。
○手塚委員
マクロしか出てない。
○梶原計画調整課長
ええ。のところで東京都という、それを前提にしてやっているということはあるかと思います。
○高橋分科会長
もちろんそういう基本的な情報については東京都で推計してきちんと出していただく。僕、それと関係してものすごく気にしているのは、65歳以上死亡者数なんです。2015年の高齢社会の中でも死亡者数をちょろっと入れてもらったんですが、大体、2020年に今の65歳以上人口の倍になるんですね。1年の死亡者は。ということは、約8割が病院や施設で亡くなっているというのが現在ですが、それは実質上不可能になる。要するにターミナルケア問題。施設死の前を支える高齢者介護とターミナルのシームレス化の議論は、避けて通れないというか、きちんとそれをどういうふうに……。手塚委員、一番大変なのは千葉ですね。千葉、埼玉問題と、僕は呼んでいるんですが。
○手塚委員
第一、今度、三位一体で市町村におろすといったって、受けとめるだけの能力がないのが実情。今までは都がそれでやってきたから、国もそれでやってきたからいけないので。私は、規制緩和というのは下から出てくる、千代田区の幼保一元化みたいなのを都は全面的に支援をする。国が何を言おうと。だけど、国のマニュアルで予算が来るやつはそれはそれでやるということで、むしろこっちのほうがこれからはどんどん大きくなっていかなくちゃいけない議論じゃないかな。先生方の話もそうだと思う。
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