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平成15年11月18日

問い合わせ先
福祉保健局総務部企画計理課
電話 03−5320−4019

東京都社会福祉審議会・第5回「これからの福祉」検討分科会の審議結果

1 開催日時

  平成15年11月18日(火)午前10時00分から正午まで

2 場所

  東京都庁 第1本庁舎 33階 特別会議室N6

3 出席者

    分科会長 高橋 紘士   立教大学コミュニティ福祉学部教授
    委員
    手塚 和彰
    新村 保子
    三宅  亨
    藤井 俊郎
     
    千葉大学法経学部教授
    住友生命総合研究所常務取締役
    東京都社会福祉協議会副会長
    会社顧問(元日本発条(株)副社長)
    臨時委員 武田 雅弘

    平岡 公一
      ベネッセコーポレーション
    シニアカンパニー本部調査室次長
    お茶の水大学大学院人間文化研究科教授

4 議事

  1 挨拶
  2 資料説明
  3 委員報告
  4 その他

5 議事録

(午前10時12分 開会)

○梶原計画調整課長
 先に資料の確認と、資料のご説明をさせていただきたいと思います。
 本日の資料でございますけれども、1から3までございます。
 資料1は、東京都社会福祉審議会第4回、この検討分科会での主な意見を踏まえた論点でございます。
 資料2は、「論点整理(案)」という形でお配りをしています。
 資料3につきましては、「論点整理の項目(案)」ということでお配りをしています。
 なお、当審議会の議事録につきましては、東京都のホームページに掲載され、インターネットを通じて公開されますので、申し添えておきます。
 それでは、資料のご説明をさせていただきたいと思います。
 まず、資料1でございます。これは、前回の分科会での論点ということで、平岡委員と高橋分科会長にご報告をいただきましたが、そのご報告をポイントとしてまとめたものでございます。
 最初に平岡委員のご報告ですが、現在の福祉制度改革の国際的動向の中での位置づけということで、世界的に見たとき、日本はイギリスのたどってきた道を10年から20年おくれてたどっていることを踏まえまして、現在の動向、介護サービス、あるいは市場原理の導入等々についてお話をいただきました。
 それから、サービス供給体制の変容とその意義ということで、対象の選別主義から普遍主義への流れの話。サービスの内容と種類ということの話。在宅ケアを中心とした体制の構築の話等々でございます。また、サービス提供の主体と過程ということで、いわゆる措置から契約への中での選択範囲の拡大であるとか、規制緩和の話等々。疑似市場、準市場のメカニズムの中での現在の状況や、政策形成の今後のあり方などについてお話をいただきました。
 議事録につきましては、別途確認をお願いしています。
 次に、分科会長のご報告です。これは、高齢者介護研究会報告「2015年の高齢者介護」が示唆するものということで、高齢者介護研究会の委員という立場から一連のお話をいただきました。介護保険、高齢者ケアということを中心に具体的なお話をいただいたものでございます。
 5ページでございますけれども、その上で各委員の意見ということで、ここには幾つかの点でまとめてございます。1つは、福祉サービス市場の現状と今後のあり方、2番目は、社会的セーフティーネット、3番目は、高齢者の資産活用、リバースモーゲージも含めたお話になります。
 資料1の説明は以上でございます。

○高橋分科会長
 それでは、引き続き、きょうの本題でございます「論点整理(案)」について、説明をよろしくお願いいたします。

○梶原計画調整課長
 続きまして、資料2「論点整理(案)」と資料3「論点整理の項目(案)」を説明させていただきます。
 資料3のほうは、資料2のペーパーになっているものを、全体のイメージとしてまとめさせていただいたものです。
 資料2につきましては、前回までの各委員のご報告・審議の内容を踏まえまして起草委員会でご議論をいただき、「論点整理」としてまとめさせていただいたものです。今申しましたように、資料3は資料2の概要です。
 なお、次回総会に中間報告としてご報告する予定ですけれども、資料3の形で報告とをする予定です。
 それでは、資料2、資料3を見比べながら、ご説明をしたいと思います。
 資料2ですが、まず1番目は、措置から契約への移行ということで、これは、現在の社会福祉制度全体の流れ、それから、現状の動き等々をまとめた章という形になっています。
 1つは、福祉サービスの普遍化ということで、措置から契約へという流れです。高齢者福祉、障害者福祉、保育等の分野で、介護保険制度、あるいは支援費制度が導入されています。それとともにいわゆる市場というものが形成された。この市場というのは、サービス事業者を主体的に選択し、自己決定に基づき契約を結んでサービスを導入する。こういうことであります。こうした制度の転換とともに、いわゆる民間企業の福祉サービスへの参入。これは規制緩和という観点から進んでいるということであります。
 この制度変更に伴って利用者像というのが変化をしている。すなわち、措置という制度の中で行政の権限によって社会的弱者を保護・救済する援護という形の旧来の仕組みから、社会全体で支える連帯の仕組みのもとで、先ほども申しましたけれども、主体的選択と自己決定に基づきサービスを受けることができる制度へと変わっている。これは、サービス提供者と利用者の対等の関係、あるいは市民社会の一般的なルールに福祉サービスの利用の仕組みを転換したということであります。つまり、利用者というのはいわゆる消費者ということで、みずから選択・利用するということであります。もちろん、この利用者の特性、あるいは提供するサービスの内容や特性というのは、一般の財の市場とは異なっている。あるいは公的援護としての措置制度に基づく分野も残っている。しかしこれは、社会福祉法の改正の基本理念、基礎構造改革の中でもあったわけですけれども、個人が人としての尊厳を持って家庭や地域の中でその人らしい生活が送れるよう、社会福祉制度全体が社会的弱者の援護救済から国民すべての社会的な自立支援を目指すものへと転換している。いわゆる普遍化ということで、ここは利用者像の変化を書いてございます。
 それから、先ほども申しましたけれども、民間サービス事業者の本格参入ということで、サービス提供が大きく飛躍的に増大したということであります。
 次は、社会経済状況の変化に伴う福祉サービスの概念の変化。ここは若干、今まで述べましたところとダブってくるわけでございますけれども、ここも、社会的弱者への公的援護から普遍的なサービスとなり、福祉ニーズは多様化しているということ。ここで1つ入れてございますのは、最後のところでございますけれども、福祉政策は従来からいわゆる社会政策ということで考えられるものでありますけれども、単独で考えるものではなくて、今まで以上に、住宅の問題、雇用の問題、教育の問題等と相互に関連してとらえることの必要性が高まっているという整理をしてございます。
 その上で、福祉改革・東京都の取り組みということで、12年の「東京都福祉改革推進プラン」では、選択、競い合い、地域というのが3つのキーワードになってございます。さらに、「福祉改革STEP2」ということで、地域でのケア付住まいの重視、多様なサービス提供主体の参入促進と利用者選択を支える仕組みづくり、これを2つのコンセプトとして進めているということでございます。
 2番目は、福祉サービスをめぐる政策課題・国の動向ということでございます。資料3でいくと、2ページ目になるかと思います。
 現在、福祉サービス、いわゆる社会福祉・社会保障制度というものはさまざまな検討課題というのが進められています。基礎構造改革の中で社会福祉法が生まれたわけでありますし、2000年というのは介護保険制度も含めた一つのエポックであったわけですけれども、この介護保険制度の抜本的見直しのための取り組み、これが今回、介護保険の見直しというような、法施行後5年後ということを目途としてございますので、さまざまな検討会の報告が行われているという整理であります。
 2点目は、今度は子どもという観点から見ると、次世代育成支援のための取り組みということで、次世代育成支援対策推進法の成立、あるいは児童福祉法の改正ということで、さまざまな検討がなされております。幼保一元化もその1つであります。4ページ目へ参りますと、次世代育成支援のあり方に関する検討会報告というものも出されている。
 それから、障害者の分野につきましては、障害者(児)の地域生活支援のあり方に関する検討会での検討。あるいは、精神障害者の地域生活支援のあり方に関する検討会等々が行われているということであります。
 その他、押さえておくべきことということで、1つは、社会保障審議会での検討であります。これは、年金との関係もありますけれども、保険料や税の問題。それから、規制改革の流れや年金改革の問題。また、今度は財政という面が強くなりますが、三位一体改革ということで、国庫補助金、地方交付税等々の見直し。これは税源移譲も含めてでありますけれども、この改革の流れ。さらに基礎構造改革で残されていると言われております生活保護制度の見直し。次に参りまして、もう1つは、地方自治制度ということで、地方制度調査会、これも今回、合併等々について、小規模自治体のあり方等々についても課題になっておりますが、その中では、基礎的自治体の判断による地域自治組織の設置ということもうたわれております。こういうことを踏まえる必要があるだろう。
 その上で、今後の方向性ということを2点にここではまとめてございます。1つは、先ほど申しました全体の社会福祉制度の変革の問題、それから、国が今取り組んでいる問題を踏まえた上で、2つのキーワードをここでは設けています。1つは利用者ということと、1つは地域という問題があります。
 福祉サービス市場というものの成立の中で、一般の財と異なる、つまり、疑似市場、準市場等という面もありますので、1つは大きく1点、利用者支援、利用者保護の仕組みづくり。実際、主体的に選択できる、自己選択のもとにできるということはありますけれども、福祉サービスにおいては、それを支援する、あるいは保護する仕組みづくりというのを落としてはならないということが1つあります。
 もう1つは、地域福祉と言われるわけですけれども、地域での自立した生活の継続、あるいは基礎的自治体である、あるいは地域の中での役割ということでの区市町村の取り組み。それから、もうちょっとミクロにいきますと、NPOも含めた地域でのネットワークと地域資源の活用というのが必要である。こういう方向性。これを主な方向性として押さえるということであります。
 その上で福祉サービス市場の現状と課題ということで、利用者、サービス提供主体についてそれぞれ書いてございます。
 利用者の現状という部分につきましては、高齢者、障害者等、これは普遍的サービスになっているということではありますけれども、例えば判断能力が不十分な方であるとか、そういう方々も当然、福祉サービスの対象者になっているわけでございます。そういう選択に必要な情報、制度についての知識、あるいは交渉力というのはまだまだ不十分であろう。
 2つ目は、福祉基盤の整備というものが十分でない。つまり、選択に基づいて選ぶに足りる量というものがまだまだ不十分であろう。
 それから、これは先ほども言いましたが、利用者支援、保護のための仕組みづくりというのが、制度としてはできたわけですけれども、これも一層きちんとした制度につくり上げていくことが必要だろう。その1つが、例えば成年後見制度や地域福祉権利擁護事業、これは福祉サービス利用援助事業でありますけれども、こういう普及促進というものが必要だろうということであります。
 それに、次のページでありますけれども、ボランティア、あるいはNPOなど、地域の活動等を通じて主体的に関与することが重要ということであります。
 2つ目は、サービス提供主体の現状であります。ここの部分は若干舌足らずになっているところというのはご勘弁をいただきたいと思いますけれども、社会福祉法人の現状、従来の社会福祉法人、福祉サービスを担ってきた社会福祉法人でありますけれども、さまざま問題が出ている。1つは、利用者のニーズに柔軟に適応できているのか。それから、効率的・効果的な経営が行われているのか。一方で税制や補助金面で優遇をされているわけであります。この社会福祉法人というのも、弱みと強みということを考えながら、今後のあり方を考える必要がある。
 それから、ここは民間営利法人と書いてありますけれども、さまざまな事業者のサービス。ただ、介護保険の在宅ケアの利用者等につきましては小規模な事業者が多く、サービスの質の向上、従業員のスキルアップの困難さ、あるいは業界としてまだまだ未成熟であろう。一方で、事業者の参入という面では、これはイコールではないということであります。
 第3の部分では、NPO・ボランティア団体の現状ということで、資金基盤の弱さ、あるいは人材不足。それから、まだまだ行政や民間事業者との役割分担の不明確さということであります。これは現状ということでむしろネガティブなことを書いてございますけれども、逆にそれぞれの強みというのも書く必要があるだろうというふうには考えております。
 その上で大都市東京の特性と課題ということをまとめてございます。1つは、大都市東京という意味では、福祉サービスの利用者が多く、多様な福祉ニーズが集中をしている。あるいは、多数・多様なサービス提供主体が集中をしている。これは利用者の面、あるいは提供主体からの面ということであります。それから、事業を展開するに当たってということで、高い地価、人件費などの基盤整備の上での固有の問題。あるいは、地方部に比較して、地縁・血縁等の地域共同体、従来の結びつきが希薄ということであります。5点目に書いてございますのは、これはご指摘をいただいたところでありますけれども、東京都という自治体、つまり広域的な東京という自治体から見ると、特別区、多摩、島嶼、ここではある種、日本の縮図みたいな部分がございまして、過疎地域から大都市というところの地域が存在していることも忘れてはならないだろうということであります。この上で地域特性を踏まえた事業者の参入促進とサービスの質の向上・確保、これが必要だろうということです。
 次は、4番目でございます。4番目は、福祉サービス市場を活用した大都市型地域福祉システムの整備・確立に向けての取り組み・課題ということで、まず、福祉サービス市場という部分の中で、5番目のパラグラフ、地域での在宅生活をできる限り続けることを望んでいる。そのためには、1)市場活用のための仕組み、2)支援があれば福祉サービス市場に参加できる人のための市場への参加を支援するための仕組み、3)福祉サービス市場への参加が困難な人たちのための社会的セーフティーネットの三層というものが考えられるだろう。これはセーフティーネットのところで市場を活用するというわけではございませんけれども、市場というものを考える上でこの三層というのも考える必要があるだろう。こういうことであります。同時に、当然、福祉サービスというのはさまざまな特性、対象者によって違いがあるということも忘れてはならないということであります。
 それを踏まえた上で、8ページでございますけれども、現在の市場の機能と特性ということで、いわゆるサービス価格が公定価格、あるいは利用限度額が設定されている疑似市場、準市場というふうに言えるだろう。その特性というのを6点にまとめてございます。
 先ほど三層と言いましたけれども、その次は市場活用のための仕組みづくりであります。福祉サービス市場の特性を踏まえて利用者が福祉サービスの市場を活用しながら、地域において安心かつ安全な生活を送るための仕組みづくりを行うというのが1つです。そのために、ここではサービスの質の確保・向上の取り組みということで、サービス評価であるとか、指導検査体制であるとか、人材育成のための研修であるとか、そういうことを書いてございます。
 9ページ、次でございますけれども、これは利用者支援のための仕組みづくりということであります。ここでは、苦情対応、契約支援体制、あるいは利用者保護のためのルールの整備ということであります。
 3つ目のマルでありますけれども、これは多様な事業者が参入しやすい環境の整備。それから、4つ目は市場のルールの確立。その上で、地域ケア・地域ネットワーキングということを押さえてございます。地域ケア・地域ネットワーキングということで、ここは従来の地域の資源ということでの在宅介護支援センターであるとか、独立型社会福祉士、NPO、ボランティア、民生委員、あるいは施設、病院等、こういう地域資源を活用した地域ネットワーキングというのが必要だ。その上で、その下に書いてございますけれども、さまざまな連携でありますとか、あるいは大都市部での住まい方、施設のあり方も含めて、地域ということを考えることが必要だろうということであります。
 10ページでございますけれども、若年層を中心としたサービスの非利用者の不公平感と将来の不安の解消。今まで縷々述べてきたわけでございますけれども、この財源ということを財と資源ということで考えた場合については、現役世代に対する施策の均衡に配慮した給付と負担のあり方、こういうことも検討をする必要があるだろう。あるいは、高齢者福祉施策と障害者福祉施策、これも考える必要がある。それから、福祉サービス利用者の負担能力と適正な負担ということも検討をする必要があるだろう。こういうことであります。
 資料3の3ページにイメージとして書いてございまして、先ほどの三層というところの、今、真ん中の市場活用のための仕組みづくりということをお話ししました。
 もう1つは、市場への参加を支援する仕組みづくりということであります。今は市場を活用するための仕組みづくりということでございますけれども、今度は、できるだけ多くの人が福祉サービス市場に参加できるようにといいますか、福祉サービス市場から福祉サービスを購入し利用できるような支援ということで、権利擁護でありますとか、潜在するニーズの掘り起こしという観点で書いてございます。
 それからもう1つは、社会的セーフティーネットの維持・整備ということで、要援護者、あるいは、福祉サービス市場になじまないといいますか、福祉サービスの種類によっては市場原理になじまないサービスの措置による維持等も必要だろうということであります。
 その上で、(5)は、提供主体の期待される役割になります。先ほど社会福祉法人ということ、あるいは民間営利法人、NPOの現状みたいな形を言いましたけれども、1つは、社会福祉法人の期待される役割というのがそこに7点書いてございます。それから、民間営利法人の期待される役割というのも3点書いてございます。それから、「NPO・ボランティア団体の役割」では、地域に密着したきめ細かな福祉サービスの担い手としての役割等々。ここでは期待としての役割像を書いているところでございます。これが1点目の提供主体の役割であります。
 今度は東京都の役割というのが4点、大きく書いてございます。1つは区市町村に対する支援、事業者に対する支援・指導、利用者に対する支援、それから、都独自の取り組みの推進と国への提案・働きかけというまとめをしてございます。
 最後のところは区市町村の役割ということで、住民に最も身近な基礎的自治体としての地域福祉の推進ということで書いてございます。
 地域ということ、それから、利用者ということ、それをサービス市場という横軸といいますか、そういうところで整理をしたという全体の形になってございます。
 説明は以上でございます。

○高橋分科会長
 ありがとうございました。
 「論点整理」ということでかなり壮大な議論になっておりますけれども、ご意見、修正点等を含めまして、もちろんその前提にご質問があろうかと思いますが、どうぞ。ご自由にご発言を。感想等から始めまして、課題の指摘等も含めまして、よろしくお願いいたします。
 基本的に、審議会に出すのは絵柄のほうの表ということで、「論点整理」はバックデータという扱いになりますか。

○梶原計画調整課長
 はい。最終的には、資料2のほうは、これを整理し、膨らませて最終の意見具申に持っていきたいというスケルトンです。

○高橋分科会長
 ありがとうございます。
 そういうことでございますので、どうぞご意見を。起草委員会で大分いろんな議論をいたしまして、事務局がそれを消化するのが大変だったのではないかと思いますが、大変頑張ってくれまして、相当いい整理ができたような感想を持っております。起草委員の先生、平岡委員、武田委員もいらしておりますので、何かコメントを平岡委員あたりからちょっといただけますか。

○平岡委員
 論点を大変うまくまとめていただいているかと思うんですけれども、最初の発言として適切かどうかわかりませんが、幾つか気がついた点を申し上げたいと思います。
 1つは、資料3の最後のところを見ますと、東京都の役割と区市町村の役割というのが出ております。東京都の役割について4項目ありまして、区市町村のほうは1項目で、これは東京都の審議会でありますので区市町村のことにいろいろ意見を言うよりは都の役割というものを明確にするというのは当然のことでありますけれども、今までの社会福祉の展開というのを考えてみますと、90年に社会福祉関係の八法改正というのがありまして、そこで区市町村への実施主体の一元化という方向が示されているわけで、その後、市場原理の導入というようなこともあったんですけど、基本的には区市町村を実施主体として一元的に位置づけるという流れは変わっていないんじゃないかと思いますので、やはり区市町村の役割が基本であるというところをどこかで明確にできないかということを1つ考えました。
 それから、昨日、東京都から国に向けて介護保険制度見直しに向けての提案というのが検討されているということで、その試案を見させていただいたんですけれども、そこでは、自治体から国への要望ということですと、例えば、規制を緩和するとか、補助率を引き下げるとか、そういうような要望というようなものをイメージするわけですけれども、内容的には非常にこの提案というのは豊富なものでありまして、そこにむしろ今後の、介護にとどまらない福祉全体の基本的な理念が示されているという面があって大変すぐれたものだというふうに考えたんですが、そこで述べられていることの中で、例えば、新たなサービスメニューを開発していくということが重要であるというようなことが指摘されていた。これは資料1のほうで紹介されている高橋分科会長の報告の中でも指摘されていた点の1つの、そういう既存のサービスをいかに市場の枠組みの中で有効に活用していくかというだけではなくて、新しいサービスを開発していくということの、そこでNPOとか、さまざまな担い手というのを考える必要がある。そのことが1つあってもいいのではないかということです。あってもいいというか、含まれてはいると思うんですけど、強調してもいいのではないかということが1つ。
 ついでにもう1つ申し上げますと、サービスの利用者としての位置づけは、対等な立場での利用者としての位置づけを明確にするという点は重要なんですが、同時に福祉の分野では、単にサービスの受け手という位置づけだけではなくて、むしろ主体的にといった場合には、そこで何らかの形でセルフヘルプという場合に、自分自身で解決すると同時に、共同でその問題を解決する、相互扶助といいますか、そういう観点。問題解決の主体であるというような位置づけも必要なのではないかというふうに考えました。これはそのあたりの論述のバランスの問題かと思うんですけれども、ちょっとその点を申し上げたいと思います。


○高橋分科会長
 ありがとうございます。
 大変大事な、しかも的確なご指摘をいただいたような気がいたしますが、少しこの議論を膨らませていただくということもあろうかと思いますので、まず課題出しをちょっとしたいので。

○新村委員
 いいですか。

○高橋分科会長
 どうぞ、新村委員。

○新村委員
 きょう初めて見せていただいて、起草委員会の議論を知らないで、今、ご説明を聞いただけで得た印象でございます。それをちょっと申し上げたいと思ったんですが、資料3のところで最初に思いましたのは、私は、利用者の立場というのは随分いろいろな面で制度的に定義されてきたんですが、まだまだ消費者主権を実現するようなマーケットになってないということを言いたくて、そういう意味では、資料3の2ページ目のところ、今後の方向性に2つ、消費者の立場からは書いてあるんですけれども、ここに今問題になっている供給側の話。要するに、消費者の側からそれを見れば、多様な選択肢を確保しなくちゃいけない。現在、確保されてない。そこで利用者支援保護とか自立生活、もちろんこれは最終目標としていいんですけれども、その前に、多様な選択肢がきちっと供給されているかどうかということを1つ追加したいなというのが1つです。そのためには多様な供給を確保しなくちゃいけないということで、供給者のほうで、これはいろいろなところにかかってくるんですけれども、特に東京というのはビジネスとして成立しやすい場所であるということにも言及する必要があって、しかし、そこでネックとして地価が高いとかあるわけですけれども、こんなに需要が密集している地域というのはないわけで、実はビジネスが非常にやりやすい。そこの中でどういうふうにやって多様な供給がなされるような基盤をつくるかというようなところを重視してほしいという感じがいたしました。
 その中で、これはちょっと言葉の話なんですけれども、市場ルールの確立というようなことが資料2の9ページあたりに出ているんですけれども、これは不適切な事業者を規制するための仕組みと書いてあるんですけれども、こういう規制をするほうじゃなくて、良質な事業者をつくるための仕組みづくりというような、ポジティブなとらえ方をできないかなというのが、伺っていて思ったことです。それが第1点で、多様な選択肢の確保と、供給者側をどうやって引き出すかということについてのコメント。
 もう1つは、福祉サービスも需要者だけの議論になっていて、福祉サービスを利用しない人との関係がどうも見えないなと。先ほど、若い世代の負担とか、いろいろご議論がございましたけれども、利用しない人のほうがマジョリティーなわけでございまして、利用しない人といっても高齢者であって、いろいろな形があるわけですけれども、シームレスな政策のプレゼンテーションができたらいいのかなと。今、育児のほうはちょっとそうなりかけておりまして、かつては働く女性だけの保育園だったのが、今は、地域の育児支援センターとか、さまざまな制度ができて、むしろ専業主婦の子育てを支援するところから、パートで働く方、フルタイムで働く方、そういうふうな仕組みが徐々にでき上がってきつつある。高齢者のほうもそうではないかというふうな感じがいたしまして、ちょっと話が福祉サービスの話だけになっている。その前にもちろん、もっと大きく言えば、健康づくりとか、そんな話もあるわけですけれども、そういう中でうまく福祉というところを、大きな背景の中でシームレスなプレゼンテーションをして、その中で福祉がどうあるべきかというような話になっていたほうが、同世代間の不公平感でしょうか、そういうものが。もちろん保険ですから、例えば高齢者の介護保険について言えば保険ですから、そこが手厚くなされているということは自分にとっても非常に安心ではあるんですが、健康で全然それを使ってない人にとって関係があるかどうかというような視点ですね。私は、年をとると必ず関係が出てくるところがあると思うので、そこのところをうまく書けたらいいのかな、なんていうふうな感じがいたしました。
 そして、特にリバースモーゲージとか、この間、白石委員からご提案があった居住資産の活用なんていうのは、実は介護保険福祉サービス利用者だけの話ではないので、もうちょっと広くとらえていくと、それがもうちょっと位置づけがうまくいくのかなというふうな感じがいたしました。
 とりあえずその3点申し上げます。

○高橋分科会長
 ありがとうございました。
 いかがでございましょうか。まずはもう少しご自由にご発言をいただきたいと思いますが。
 武田委員、何かある。

○武田委員
 起草委員会の非常に広範な議論をよくここまでまとめていただいて、ほんとうに感服しています。
 今、新村委員のほうからもご指摘がありましたけれども、起草委員会の中でも、事業者が参入しやすい条件整備とか、供給をどういうふうに確保するのかといった、売り手側をいかにきちっと作っていくかという話があって、一方で、買い手側、消費者というふうに表現されていますけれども、消費者がその仕組みの中にきちっと入ってこられるような支援の仕組みをいかに作っていくかという話がある。そして、この2つのマッチングの仕組みをいかに作っていくかと。こういう視点でとらえていくというのが、起草委員会の中で話し合われたというふうに理解しています。もちろんこれは全体を通して読む中で全て出てくる話ではあるんですが、表現の仕方として、資料3の2ページ目の2の福祉サービスをめぐる政策課題・国の動向というところは、「課題」という意味からすると、利用者支援の話と事業者参入の話というのが並立であっていいのかな、という感じはいたしました。
 あと、これはある意味で、ご質問というのか、この審議会での提言の実効性の確保の問題というところにもつながっていくわけですけれども、実際、ここに書かれていることは相当部分、国ベースの制度にひっかかってくる。先ほど平岡委員がおっしゃったように、例えば都のほうから国のほうに何か意見書を投げていくというツールもあるわけですけれども、例えば、先ほどの市場化という話からしても、典型的には保育、先ほど新村委員からもありましたとおり、これは現在、直接契約制ではなくて、自治体を通じた間接契約制になっている。そのとき、市場が成立する、すなわち売り手・買い手という関係を成立させるためには、基本的には直接契約制への移行というのは不可欠だろうと考えられます。こういった部分をこの審議会として提言をしていくとすれば、それを何らかの形で制度改正につなげていかなければならない。そういう流れをどうつくるかということについては、もちろんこの報告書に書き込んでいく話ではないかもしれませんけれども、審議会としてどうとらえていったらいいのか。ここについては逆に、都はどんなふうに考えているのかをお伺いできればと思います。

○高橋分科会長
 ありがとうございました。
 武田委員のコメントに何かレスポンスしていただけますか。

○梶原計画調整課長
 確かに民間保育所の問題で、東京都は認証保育所をつくって直接契約制度を導入し、価格のキャップというのは、上限のキャップはありますけれども、事業者が自由にといいますか、設定できる制度と言います。それを踏まえて、今年の春と秋、国に対して提案要求を既に行っています。それが1つと、もう1つ、現在、都の児童福祉審議会の中でも、今後の子育ての部分の中で、先ほどお話がありましたけれども、在宅支援も含めたところの中で今ちょうど議論をなされていて、中間のまとめの中ではこういう問題の提起をしていくというのが1つ。
 それから、次世代育成支援法案の中で来年度、区市町村が計画をつくり、東京都もその計画をつくっていく。その中で、在宅で子育てをなさっている方の保育、その部分も含めて全体の計画というのをつくっていく流れ。ですから、東京都としては、今までもそういう提案をしてきましたし、今後もやっていく。
 社会福祉審議会の中でどういうような位置づけにしていくかというのは、ご議論の中でだと思います。

○高橋分科会長
 おそらく国の政策提案が幾つか具体的に出ているとすれば、これはある段階で資料としてきちんと整理したものを、そして、その位置づけ等を含めて後で反映させるという必要はあるだろうけれども、そんな形で整理をしていきたいと思います。
 手塚委員、よろしくお願いします。

○手塚委員
 3つくらいありまして、1つは、こちらでの議論というのはわりと福祉サービスの供給ですね。要するに、供給があるんですけど、他方では供給の下にニーズがあって、ニーズのことでいきますと、少し整理の意味でちょっと考えていたんですが、新村委員がおっしゃったように、高齢化というのは全員なりますね。その中に例えば、糖尿病で目が見えなくなるとか、それから、今、この次来る医療保険改革で非常に悩んでいることですけれども、私は国を代弁するわけじゃないけれども、透析は1人年間500万円かかりますね。今、23万人いますから、大体1兆円かかっているわけです。国民医療費が30兆円ですから、23万人で30分の1使っちゃっている。そういう問題があるわけですね。ところが、日本の年金改革は今、議論になっているのは、高齢者については一切、既得権のある人については一切、政治の問題だから年金は下げないということを厚生労働省は言う。財務のほうはとんでもないと。削りなさいと。そういうしのぎ合いなんですけれども、実際は、最後の供給とニーズと、もう1つは、分科会長に伺いたいんですけど、その資源をどこから持ってくるか。個人が払う場合、介護保険で払う場合、地域で助け合う場合。これは資源じゃなくて、あれでいいと思います。例えば、私もここに1回出られなかったんですけれども、私、88歳の母親を1人で田舎に置いています。実際的には要支援なんですけれども、公的な介護保険は使いたくない。そうすると、地域の、近所のとてもいい方が買い物から医者から連れていってくれる。それは一つの資源であるし、他方ではそれに対する報酬がないわけですね。今後、介護保険の要望書はどういうことをお書きになったか知りませんけど、厚生労働省としては、結局、地域のそういうボランティアの人たちに現金給付をすることはやめちゃったわけですね。ドイツの場合は、ご案内のとおり現金給付をやって、会議をやったら、なぜ日本は入らなかったと、はっきり言いますね。だけど、それにもかかわらず在宅給付がどんどんドイツでもなくなって赤字になって、結局、施設にみんな行く。しかし、入った本人たちにしたらどうなるか。結局、営々と30年間、40年間、子どもを育ててやってきた。だけど、あとは施設に入ってください、介護保険で面倒見てくださいという話にはならないだろうから、その間には多種多様なものがある。
 もう1つは、都の姿勢も伺いたいんですけれども、日本では2つ間違ったことをやったと思うんですね。1つは老人医療費の無料化ですね。これは美濃部知事のときに都でやって、高度成長期の真っただ中だったので、結局、国が追随した。もう1つは専業主婦の第三号被保険者です。11月5日にOECDの報告書が出て、専業主婦に過剰な保護をしているのは日本だけだと。いわゆるマンパワーだとか人的資源が足りないと言っていながら、それをやっている国は日本だけだと。そういう要求というのはますます出てくるわけです。
 最後のところで申し上げたいのは、供給サイドの市場原理の導入もいいし、それから、ニーズというものの分析の視点も必要だろうし、もう1つは、それを支える資源というものをどう配分するか。日本は今、GDPは500兆円ですね。だけど、おそらく2025年から30年にかけて450兆円ぐらいに減っていくだろうと思うんですね。そういう中で日本医師会は、今の状態でいったら30兆円が80兆円になるんですよ。それをどうするのかという話。そのときに3割負担にして、高齢者にも1割払ってくれということにしたわけですけど、それじゃあ困った人はどうするのか。消費税を増やすことも結構ですよ。だから、そのあたりのところをちらっと、高橋分科会長が元気を出して、国はどうだと。私のところには、社会保障審議会の資料が全部送られてきます。見ても、国は何も言ってないわけです。だから、都は何かやってもらいたい。
 私がふと気がついたのは、千代田区の幼保一元化で古い幼稚園を一緒にやり始めた。スウェーデンは幼保一元化で監督官庁を全部文部省に移したわけですね。幼児教育もするから子どもの知的水準も上がって、ものすごく教育水準が上がっているわけでしょう。フィンランドでもみんなそうです。そんなものは移してしまえと僕は言うんですけど、それは役人にとっては手足をもがれるようなものだから絶対に嫌だと。東京都が国のシステムに従って予算をもらってやるのは、それはそれでマニュアルに沿ってやらなくちゃいけないからいいんですけど、サービスの供給でもいいし、独自のものを何か。だって、リバースモーゲージなんて、武蔵野市から始まってあれしたけど、ほとんど例がないわけでしょう。それから、成年後見にしても。成年後見だって、ほんとうは近所の人たちがきちんと成年後見をするシステムがあればもっと助かっているはずなんですけれども、そういうものもないし。だから、いろんなことを考えて、その辺のところをうまく、図をつけて出したらどうでしょうか。例えば、福祉の享受者というのはどうなる。高齢者には必ず全員がなる。逆に、子どもが小さくて教育の必要とか何とかも全員そうですね。義務教育や何か。だけれども、教育の質はどんどん下がっている。ところが、今までのばらまきだと、今度は老人だったら老人で、老人もお勉強をしたいと言ったら、お勉強の施設もつくらなくちゃいけない。老人大学とかをたくさんつくる。みんなばらまきでやっちゃっているからいけないんで、その辺のところは何かうまい整理がないかなという具合に考えているんです。

○高橋分科会長
 ありがとうございました。これは中間報告で、意見具申に向けて議論をしないといけないテーマだなというふうに思いました。少し深めたいテーマでございます。ありがとうございました。少し議論を、委員の皆様にご発言いただいた上で整理をしたいと思います。
 どうぞ三宅委員。

○三宅委員
 非常に幅広い論点を的確に整理されていただいていると思うんですが、私は、1点ちょっとわからないのが、これからの福祉といったときに、前回、高橋委員のほうからご報告がありましたけれども、高齢者介護研究会報告は団塊の世代が介護保険の適用になる2015年ぐらいをターゲットにしているというお話がございましたね。今回のこの、言ってみれば「これからの福祉」は、大体どの辺のところを視野に入れてつくられているのかなというのが、正直言って1つ、見えない部分があります。
 どういうことかといいますと、例えばリバースモーゲージなんかの話がいろいろ出てきましたね。これは、私もよくわからないんですが、我々の世代、あるいは我々より上の世代と団塊の世代の人たちとの意識というのはかなり違うんじゃないかという、これは漠然とした思いなんですけれども、そういう感じが実はしているわけです。そうしますと、仮に団塊の世代あたりをターゲットにしたときに、これは現行制度ではそう簡単にはいかないだろうと思いますけれども、そういった団塊の世代の意識をある程度的確にとらえたときに、高齢者の資産をフローとして使っていくような、そういう意識というのは、団塊の世代はかなり持ち得るのかなという気がしないでもないんですよ。こういった考えが的確であるのかどうか、ちょっとよくわかりませんけれども。
 したがいまして、現行制度ではなかなか無理なんだけれども、将来をある程度視野に入れて、どの辺のところでどういうふうに国の政策に対する提言をどの程度織り込んでいくのかというのもかなり大きな視点なのかなというふうな気がしながら、いろいろ議論をお聞きしておりました。
 以上です。

○高橋分科会長
 要するに、これからのインプリケーションは何だという大変本質的なご質問をいただきましたが、いかがでしょうか。これは非常に大事な議論でございます。

○手塚委員
 それはリソースの議論ですね。リソースの議論で、しかも個人が持っている財産ですね。要するに、それを自治体が何とかということはできないから、何らかのきちんとしたカウンタビリティーがあればどっと広がると思うんですけど、今のところ広がらないというのは、うまい企画商品が出てないことだと思うんですね。

○藤井委員
 第1回目でしたかね。その問題がちょっと議論になって、いつごろのスタンスを持って議論するかというときに、今日的ではなくて、近未来的な、2015年とか、少し先のことを論じるというか、視野を見据えてこの審議をしようじゃないかということだったと私は理解をしておりますが、よろしゅうございますか。

○高橋分科会長
 はい。基本的には、第1回目でも再確認をしなければいけないという意味でございます。

○藤井委員
 そういうことに絡みまして、ちょっといいでしょうか。

○高橋分科会長
 どうぞ。

○藤井委員
 手塚委員のお話に乗っかる訳ではございませんけど、ここは、これまで皆様の御発言をお聞きしていて、もし見過ごしていたとしたら失礼申し上げますが、本検討分科会での「これからの福祉」の中で財源の問題、財政との関連はどうなるのかという問題についてです。これから福祉の実施主体性がどんどん区市町村へと移っていき、それに伴っての権限が移譲されていくという意味も含めて、財源と財政的支援について東京都のスタンスをどうするのか。資料の12ページに区市町村に対する支援の中で「専門的な立場から技術的支援及び必要に応じた財政的支援」とありますが、かなり限定された財政的支援とも受取られる訳ですが、この分科会でのメッセージは、2015年ぐらいの近未来的を見据えた理想というか、真のあるべき姿を発信するということで、財源、財政については、別個で別部門の政治的な問題として取り上げるということになるのか。そうは言っても、どうしても絶えず、お金の問題はついて廻るものですから、これをどのような面と深さで考慮しながら、検討の中で関連させていくのか。いや、そこまで立ち入らなくてよいというのか。この辺りの認識と理解について確認がされればと存じております。
 もう1つは、資料9ページに「地域ケア・地域ネットワーキング」というのがございますが、高齢者で介護の対象になる人とそうでない人があり、元気な人というか、介護を受けない人の方がマジョリティーであるということですが、この人たちもやがては対象になるということでもあるので、元気な高齢者が元気で、いわゆるPPKをしっかりとして社会を支えていくという姿勢が必須である。それはみずからの自覚が必要であるし、できるだけ自立をしていかなければと。元気なマジョリティーの高齢者がこれだけ多くなってくる社会になってくると、社会全体に予想もしないような大きなインパクトを与える世代になってくる。そこで、高齢者として若い人たちの世代に何をどうやって指導、教育をしていくのか。世代間乖離ということが言われていますが、世代間でお互いに「ありがとう」と感謝し合えるような社会を実現するために、まず、高齢者自身が若い世代の人たちに何を伝え、何を残していくかを自覚して、みずからの姿勢を示していくことが大切だと。こういうことからいきますと、まず高齢者自身がもう少しというか、うんと自覚をして、ぴしっとした自立した高齢者であること。それで生を全うするという、いわゆるPPKをしっかりとしていく社会をつくり上げていく必要がある。
 それで、直接関係することだと思いますが、諸外国に比べて現在の日本にはコミュニティの意識、活動が希薄で、むしろないとさえと思われるのですね。私、ロータリーのメンバーでありましたときに、ロータリーの人達はそう云った面でのコミュニティの意識、活動に強い面を持っている。昨今は世界的にもメンバーがなかなか集まらなくて困っているのですけれども、例えば、年の暮れに、高齢者及びそれに関わっている人々に何らかの寄付や貢献をしようじゃないかと、会を開こうと誘いが来たりしておりますし、日本には希薄なこういったコミュニティの育成をもう少し、公共体、そこをみんなで宣伝し、広報していくという姿勢も必要ではないかと。
 こういったことが、行政とあいまって魅力的な福祉市場の育成に結びつくのだと。
 いろいろと取りとめがございませんが、申し上げました。

○高橋分科会長
 ありがとうございました。
 今の藤井委員のご発言はとても重要で、これは、自己責任の議論だと思うんですね。例えば、後見制度に即して言えば、任意保険というのはまさに自己責任の発露ですよね。自分の資源をきちんと使って要介護になったときに備える仕掛けをあらかじめ選択して後継人を選任する。そうなりますと、あるから使うではなくて、自己責任で私的な財産をきちんと活用しながら要介護に備えるという。そして、それを逆に言うと社会的に担保する。単なる個人的な契約ではなくて、後見特区とかって社会的な仕掛けをフレームできちんと守りながら、自己責任を。だから、自己責任を実現できるような社会制度の一つの典型だと思いますけれども、そういうような議論をぜひ。そうすると、非常に重要な問題は、東京都の人たちは相当個人資産を持っている。一方ではもちろんそうでない人も非常に多いんですが。その個人資産をきちんと老後生活なり社会づくりなりに活用する。要するに、今のままだと、生命保険を買って、アメリカの国債を買っても、どうせ20年後は暴落しますから。というような金融の循環が成り立っているんですけど、日本の都市的な生活づくりのために金融資産を使えるような社会的インフラで自己責任が発揮できるような、そういう仕掛けを整備する。それと同時に、税金を財源にしたさまざまな仕掛けもセーフティーネットとして必要。そういうミックスだと思うので、そこら辺の見取り図は何らかの形で、今の藤井委員や手塚委員のご指摘を踏まえて、ちょっとかけたらいいなというふうに私は思いましたが、そういう意味で三宅委員が、これからというのはどういうパースペクティブだということで言えば、そういうことを想定した場合に、あるシステムがワーカブルになるためにはやはり5年から10年はかかる。2015年の高齢者介護もその議論をずっとしまして、そういう意味では、前のあり方の答申だって、60年、61年だったっけね。1900何年になるんですか。

○梶原計画調整課長
 86年です。

○高橋分科会長
 86年。あのときも大体10年ぐらいを考えながら議論をした記憶がありますので、大体そういう……。要するに、将来を見渡したときに今準備しておく施策は何だろうか。まさに今、東京都でやっているのは、相当いろんな抵抗がありつつ、昭和60年代の福祉の構造を一度整理しながら、2010年、2015年の福祉のあり方に備えた、ある意味では福祉財政の使い方の構造を切りかえておかないと、そういう新しい需要にはとても。高度経済成長時代に税金がどんどん入ってきて、毎年自然増があるというような、そういう時代ではありませんから、構造を組みかえるということが必要で、それはやはり10年、15年先を踏まえながら組みかえるという、そういうことが多分、東京都の当局が大変ご苦労しておられるところですが、そういうことに対する基本的なパースペクティブをきちんとここでご提起申し上げて、これからの施策のあり方みたいなものを考えるとぜひ、今の対策ではなくて、5年、10年の道筋を踏まえた対策という形でやっていただきたいというようなことのある種の見取り図みたいなものがパースペクティブで与えられれば、とてもいいのではないかなというふうに思ったりいたします。

○手塚委員
 都のほうで、2015年なり20年に地域がどうなるかという推計はなさっておられるんですか。

○梶原計画調整課長
 人口ですか。

○手塚委員
 ええ、2015年から20年の。

○梶原計画調整課長
 推計上は、統計部のほうの人口のほうで出ていると思います。

○高橋分科会長
 国では人口研から減るような予測が出ていて、あと、単純所帯数があって……。

○手塚委員
 例えば、多摩地区っておっしゃられたけど、多摩地区はゴーストタウンになって老人だけしかいないという状況に近くなってきていて、日本の過疎化の一番進んだ、例えば周防大島あたりと同じ状況に今はなりつつある。だけど、それが先に進んだらどうなるのかということまで。だから、そこのところの中で、ここは福祉の担当部局だから福祉の問題をやるけれども、全体で発信しなくてはいけないはずですよね。

○梶原計画調整課長
 統計上の問題でいきますと、総務局のほうでつくっている人口の推計というのはあります。で、その高齢者の現状というところでの2015年までの推計というところで今は出しています。ただ、その意味では、手塚委員がおっしゃるように、人口問題研が出している推計、上位、中位、下位の推計……。

○手塚委員
 マクロしか出てない。

○梶原計画調整課長
 ええ。のところで東京都という、それを前提にしてやっているということはあるかと思います。

○高橋分科会長
 もちろんそういう基本的な情報については東京都で推計してきちんと出していただく。僕、それと関係してものすごく気にしているのは、65歳以上死亡者数なんです。2015年の高齢社会の中でも死亡者数をちょろっと入れてもらったんですが、大体、2020年に今の65歳以上人口の倍になるんですね。1年の死亡者は。ということは、約8割が病院や施設で亡くなっているというのが現在ですが、それは実質上不可能になる。要するにターミナルケア問題。施設死の前を支える高齢者介護とターミナルのシームレス化の議論は、避けて通れないというか、きちんとそれをどういうふうに……。手塚委員、一番大変なのは千葉ですね。千葉、埼玉問題と、僕は呼んでいるんですが。

○手塚委員
 第一、今度、三位一体で市町村におろすといったって、受けとめるだけの能力がないのが実情。今までは都がそれでやってきたから、国もそれでやってきたからいけないので。私は、規制緩和というのは下から出てくる、千代田区の幼保一元化みたいなのを都は全面的に支援をする。国が何を言おうと。だけど、国のマニュアルで予算が来るやつはそれはそれでやるということで、むしろこっちのほうがこれからはどんどん大きくなっていかなくちゃいけない議論じゃないかな。先生方の話もそうだと思う。


○高橋分科会長
 その問題は議論百出のテーマなんですが、先ではなかなか難しい。それより、東京都は伝統的にはまさにある時期から区市町村の自発性を尊重して誘導するようないろんな仕掛けを、今の施策がある意味ではそうですが、それにこたえるだけの主体的力量が区市町村はどうなんだという議論はまた別途。課題はここできちんと提示して、それを区市町村で受けとめていただくという。要するに、受けとめていただけるような、先ほどの平岡委員の区市町村主体という議論を改めて強調するというのはまさにそういうことかと思うけど、そういうメッセージをどういう形で出し得るのかという。
 行政課題と企画にとらえて行政執行をやったり政策形成をやるという、そういう体制についてはどうだろうかという議論は常にあるんですが、これは我々が教えをたれるような話ではなくて、リーダーシップの問題と行政職員の質の問題というのはそれぞれの地域で。それが地方分権の意味ですから。要するに、パターナリズムでああせいこうせいじゃなくて、だめなところは落ちなさいと。あるいは区長を取りかえろというところまで地域住民が成熟しなければ。
 そういう意味では、先ほどからずっと出ている地域づくりというか、都民が、区市町村民になるか、地域づくりやコミュニティーの担い手としてどういうふうに参加して、ある種の公共性を獲得していくというんでしょうか、そういう仕掛けが非常に重要だという指摘を何人かの委員からいただいていますので、そこら辺はぜひきちんと書き込みながら、それが行政を変えていくという。これは迂遠な道なんだけど、それしかないですね。啓蒙君主があらわれたって、もったためしがなくて。そうではなくて、成熟した区民というか、区民がそういう行政のスタイルを変えていくという。それは、介護保険で言えば、被保険者の参画ということが書かれていますから、そういうことを含めた迂遠な道をきちんと提示する。そういう意味で、社会福祉法の言葉を借りれば、地域住民、社会福祉を目的とする事業、社会福祉を活動する者というその3つと、それから、福祉サービスを利用する地域住民という、そういう表現との整理をちょっとした上で、要するに、事業者のほうでも先ほど平岡委員が言われたような、都民と書くのか、区市町村民と書くのかわかりませんが、市民の成熟、参加、そういうものをぜひどこかで書き込みたいなという感じはいたしました。
 いかがでございましょうか。幾つか大変大事な論点が出されていますが、これは、審議会に出す話と同時に、起草委員会にフィードバックする話というのと、2つ筋があるかなと思っております。
 どうぞ、武田委員。

○武田委員
 今、分科会長がおっしゃったとおり、どこまで今回の中間のまとめに入れるかという話はもちろんあるかと思うんですが、例えば、前回の議事録、資料1のほうの6ページ目の上から2つ目のマルのところです。福祉が普遍主義化することに伴って当然、領域が拡大する。その税財源というのは当然限られている。先ほど手塚委員がおっしゃったとおり、負担能力の問題、すなわち、どれだけ自己負担をしてもらうのか、どういう人にどういうふうに負担をしてもらうのかということと、あとは税財源の投入のあり方の問題というところは確かに、本来であれば起草委員会であらかじめ言っておくべき話ではあるんですけれども、実は自分自身、非常に気になっている部分なんです。
 今回の「論点整理」のほうに戻れば、多分、4の市場活用のための仕組みづくりというあたりか、ないしは都としての取り組みという4の(6)のところか、どちらかということにはなると思うんですけれども、こういったところで、負担の問題と税財源のあり方の問題というところは何か、この段階で論点として上げておいてもいいのかなという気がしています。

○高橋分科会長
 逆に言うと、利用者というか、利用者が高齢者なり、障害なり、さまざまなリスクを追ったときに、その生活をどう成り立たせていくかという、そういう視点から見ていくと、当然、インフォーマルケアというか、これは非常に重要だと。制度サービスを利用する。これも非常に重要です。その上に自分のお金で市場サービスを購入するという、そういうミックスなんだけど、僕、介護保険というのはものすごくおもしろい制度だと思っているのは、混合給付の仕方をつくることによってそのミックスが成り立ち得るんですね。要するに、医療保険だとそういうサービスがないから、入れ歯をするときは全然違う自由市場で提供されて、むし歯の治療は保険でやるという、あれは仕切りがあるわけですが、混合給付となると、1つのサービスのクオリティーを高めると自分のお金を使う。もちろん1割負担の上でもう1つ乗っかってくる。あるいは、それに連続的なサービス、給付があるサービスには自分のお金を使うけど、今、それがどう使われているかは別として、シームレスに連続的に使えるような制度構造ではあるわけですね。そこまで介護保険サービス利用が成熟してないし、供給のあれも成熟してないんだけど、そういう仕掛けで自分のお金とインフォーマルケアと制度的給付とを組み合わせてシームレスに使えるような使い方がこれからの福祉サービス利用のあり方だというような。そこにはまさに自己責任の問題がかかってくるわけだけど、要するに、今まで領域別に全部、ここから先が有料老人ホームの世界で、ここから先は特養の世界で、もうちょっと下がって養護老人ホームと、階層的に全部それが区分されているんじゃなくて、特定施設給付ということが実現することによって実は、普遍主義の一つの、自己資金で提供するものと公的給付とが構造化して使えるようになってきたという、これは今までの概念では考えられない制度ですから、そういうことの意味をもうちょっと明らかにしておく。だから福祉サービス市場という概念が出てきたということにもなるんだけど、そんなことかなと。
  私、うまい整理の仕方ができるわけじゃないんだけど、一般市場ととりあえず言っておきますね。一般市場があって、福祉サービス市場があって、セーフティーネットがあって、あともう一つ、多分、この間にインフォーマルケアがありましょうね。インフォーマルサービスととりあえず言っておきます。こういうのがあって、さっきの話は、提供主体でも、営利企業、社福、NPO、それから、住民参加というか、地域のボランティアというか、NPOのように事業化しない地域組織というか、ボランタリーなものがある。これが多分こういう形で、例えば、一般市場は二重マル。それから、福祉サービス市場も二重マルになってきて、社福の場合は、福祉サービス市場とセーフティーネットにかかわってくるとか。それから、NPOはどこになるか。事業化をすればここだ。インフォーマルサービスが二重マル。それから、セーフティーネットもありますね。ボランティアの場合は多分、インフォーマルサービスが二重マルで、セーフティーネットはマルかもしれない。ここら辺は多分こうでしょうかね。そういうような整理があって、あとは何だっけ。行政の機能がある。一般市場は消費者保護。ここも、消費者保護的なものと、さっきの、参入を促進するというか、利用促進型のサービス。インフォーマルケアの場合は違う整理みたいなものが非常に重要。これはかなり行政が主体的に。行政も、国、区市町村、都、それぞれ役割があって、あと、利用者としての都民の役割がありますね。そうすると、ここは利用者として登場するとか、消費者として登場する。それから、ここの場合はある意味では担い手として登場するとかっていう、都民の登場の仕方というものがある。要するに、これが地域住民で、こっちはボランティア。社会福祉法では社会活動を行う者というふうに書いてあるんだけど、こんな整理をちょっとしてみると、いろんな機能がもうちょっと相互関係として、あと、資源配分の話もその裏に隠れているという、そんな整理をしていただくと、一応、見取り図としてはこれからの作業の上でどうでしょうかという。

○手塚委員
 市場という言葉は気をつけなくちゃいけないと思うんだけれども、例えば、今、規制緩和で薬屋さんじゃなくてスーパーで薬を売ると言っている。消炎鎮痛剤なんか、皆さん普通に一般薬でお買いになって、処方せんなしで買って使用しているんですけど、腎臓の大家に言わせると、すごく怖いんだそうです。非常に腎臓障害が来たりする。だけど、そういう説明・情報がきちんとしてない。個人にはきちんと行かない。だから、市場にゆだねていいんだけど、何か問題が起きたときには公的にカバーせざるを得ない。エイズが一番そうでしょうけれども、そういう話になって、福祉サービスというのは一番、公的にある程度、市場メカニズムというものを十分に信頼し過ぎると危ないという面もある。

○高橋分科会長
 事後的規制というのはありますね。

○手塚委員
 人の命ですから、そういうことだけは一言。市場というのは、私たちの分科会とか福祉審議会は、サッチャー改革は、ご案内のとおり70年代にイギリスは今の日本と同じで、成長率もとまっちゃって、産業もすべてだめになって、結局、サッチャー自身が市場経済を導入せざるを得なかったというのは、医療が先にあったわけじゃなくて、やむを得ずやったわけですけど、日本とドイツの場合、やっと今来ているわけですけれども、その市場というのは気をつけないといけないというのは、今の薬の話もそうでしょうけど、大きなところでは電力の話がそうだと思うんです。カリフォルニアの電力。カリフォルニアというか、アメリカの電力は市場でみんなばらばらにしちゃったら、イギリスでも電力は38社か何かつくったら、お互いに供給のネットワークができなくなった。その市場経済のネットワークのある程度のことを見るのが都の仕事だと思う。そこのところはこの中にずっと入っているから異議ないんですけど。

○高橋分科会長
 これが妥当かどうかは別として、行政の機能・役割を少しきちんと。今までは、セーフティーネットですから、主体として行政供給を全部やっていて、規制もそういう筋でやっていたのが、普遍化するに従ってだんだん上に上がっていったという、その組み合わせだと思うんですね。

○手塚委員
 NPOだとか社会福祉法人というのは、釈迦に説法なんだけど、今まで既得権化して、どんどん競争をさせなければだめだと思います。

○高橋分科会長
 今まではここで全部規制を受けていたわけです。ここへ入ったとたんに、これとかインフォーマルはイノベートを忘れちゃったという。実は社会福祉法人のあり方も国でそろそろ始まるんじゃないかと思っているんですが、それはさておき、この数年来、東京都は苦労していろんな議論をしてまいりましたので、大分集中砲火も浴びながらやっていますから。
 どうぞ、新村委員。

○新村委員
 確かに福祉サービス市場というのは普通の市場ではないというのはやっぱり非常に特殊な市場であって、準市場とか、疑似市場とかおっしゃっておられると思うんですけれども、供給者側にマーケットディシプリンが働かない仕組みが今の介護保険だと思うんですね。それをどういう方向に変えるか。供給者側にもマーケットディシプリンがきくようにするのか、それともそれに代替するようなディシプリンを課するのかというようなところで多分、一般市場と明確に変わってくる。例えば、今の介護報酬をキャップ制であの上限内では価格を好きにつけていいよというと価格ディシプリンがきくようになるんだと思うんですけど、多分、国の制度はそっちの方向には行かないだろうと思いますので、そうすると、供給者にどうやってディシプリンをきかせていくのかというところは、さっき私は供給のことを言ったので、そこのところが大きな仕組みづくりの重要なところ。そして、それは、これまでのような事前規制でやっていたときには、手とり足とりといいますか、全部できたわけですね。そうじゃないんだよと。多様な主体が勝手に入っていいんだよといったときに、どうやってそのディシプリンをきかせるのかというところを一つ上手に仕組むいい方法はないかなと。今、第三者評価だとか、そういう意味ではいろいろな仕組みづくりができてきていると思うんですけれども、まだまだ不十分であって、今、分科会長がおっしゃったように社福が従来からの既得権的になって、なかなかディシプリンがきいたような形にはなってないんじゃないかとおっしゃったのをすごく感じておりまして、何かそこのところでいい工夫ができるといいのではないかなと。そこはやっぱり一般市場と違うところであると。

○高橋分科会長
 不祥事のいろんな事件をスクラップしていると、企業もあるし、社会福祉法人もあるし、NPOもある。その組織の性格だけで免責されるという話ではなくて、いい企業と悪い企業があり、いい社会福祉法人と悪い社会福祉法人があり、いいかげんなNPOとちゃんとしたミッション型のNPOがあるという、そういうことですから、そこら辺の部分で言えば、先ほど新村委員がちょっと指摘された、良質の事業者を参入させるとともに、質の悪い事業者は退出させる。それから、ほどほどの事業者というのがあって、適当にもうけて適当な質のサービスしか提供しないという、そういう事業者もありますから、そこら辺をどう……。これは東京都が頑張っている質の評価の話でもあるかと思う。それと情報公開ということだと思いますが、そんないろんな装置をどう考えていくかという、そんな議論になるのかなと思いますが、いかがでございましょうか。
 そろそろお約束の時間も近づいていますので整理をさせていただくと、資料3のほうに入るべきものと、資料2の「論点整理(案)」を補強して次の起草委員会等にフィードバックするものと、きょうは2つ議論があったような気がしますので、それはきょうの速記の会議録等を参照しながら事務局で整理し直していただいて、当座は、12月の作業としては、きょうの議論を踏まえてこれをバージョンアップする。多少、さっきの資源配分だとか、都民の参加の位置づけとか、そこら辺はぜひここに反映できたらいいなと。それから、先ほどの話で言えば、利用者支援の仕組みと自立生活の間の供給サービス量の増大というか、基盤整備というか、そこら辺の話をどこかに入れなければいけない。それから、自己責任とか、そういうことがありますが、資源の活用みたいな話がどこかに芽だけでも例示的に出しておけたらいいなというふうに思っておりますが、あとはきょうの議論を、「論点整理(案)」のほうを参照しながら、反映できるものは反映させていただく。そして、今後検討すべきものは検討すべきものというような形でちょっと整理をさせていただく。大体そんな形でどうでしょうか。
 審議会はいつだっけ?

○梶原計画調整課長
 12月22日。

○高橋分科会長
 22日ですね。事務局のほうでちょっと作業をしていただいて、それを委員の皆様にフィードバックしてご意見をいただいて、必要ならば最終的に提出の「論点整理(案)」は私預かりということにさせていただいて審議会に備える。あとは、起草委員会のほうの作業がございますので、きょうのご意見はそちらのほうにも含ませて、意見具申に向けての作業。
 そういう意味で、きょうご指摘いただいたと思いますが、若干、統計とか資料ですね。2015年ぐらいだろうと思いますが、2015年、もうちょっと先を見通しながら、今、何をなすべきかという形で提言を出しますので、多少、適切な資料等があれば、統計等を含めて、東京都の姿というか、概要をおつかみいただけるようなものは、本答申の作成と並行して準備をしていただく。できれば、東京1本ではなくて、区市町村別のデータが欲しいですね。先ほどの島嶼部の話もあるので、東京都の多様性ということで言えば、高齢化は多分、三宅島は今ああいう形で大変なご苦労をしているけど、島嶼部の話と、桧原村の話と、都心3区の話と、多摩市の話と、それぞれありますので、そういうものがきちんと把握していただけるような。そうすると、そこに例えば事業者数だとか。そこら辺はどういう統計をご準備いただけるかわかりませんが、かなり端的に、データ集である必要はないので、それぞれの地域特性を重要な指標に即してここ10年の動きみたいなものが反映できるようなもので、議論の素材にしていただけるようなものをご用意いただくと大変ありがたいなと。介護保険一つとってみたって、都心3区と周辺の区と多摩で大分状況が違いますし、成績の悪いところ、大分前に『アエラ』でやりましたけれども、その後、いろいろなデータを東京都もお持ちかと思うので、そんなものも参考になるでしょうし、そういうことで少し地域差のことを、東京都の多様性、その上で地域福祉という、そんなことをあれしていただく。
 そういう意味で言えば、例えば、福祉NPOの認証のNPOはどこに拠点があるかみたいなデータってとれる?あと、福祉法人。あとは例の、介護保険ならば事業者のあれは、東京都のネットワークの事業者量とか、そういうものでちょっと地域の状況とか、あと、施設とか、それを端的な形で、たくさんである必要はないので、数枚ぐらいで、認識を共有できるような、そんなものを並行して意見具申まで含めながらちょっと準備していただくと、基礎データにはなっていくのかなというふうに思いますので、そこら辺はご相談ですが。
 あと、委員の皆様のほうから何か。

○藤井委員
 個人個人が認識を持って、自覚を持って、生きていくというか、社会をつくり上げていく、社会文化をつくっていってほしいなと思ってそう申し上げました。

○高橋分科会長
 介護保険というのは連帯の仕組みですけれども、連帯が成り立つためには、エンパシーというか、シンパシーというか、共感というか、そういう意味で言えば個人責任というか、あるいはそれと同時にディーセントであるべきというか、品位と言うとこういう審議会にはなじみませんけれども、障害者でも全く同じことで、そういうことで言えば、連帯をしていく基礎的な条件。これは、そういう意識とか、そういうことを含めた議論はあり得る。ただし、これを審議会の意見具申でどの程度書けるかというのは全く別の問題ですが、多分、連帯を成立させるミニマムな条件、それから、それを非常にアクティベートする、そういう条件づくりの議論はどこかでしなければ。それと、僕は、それは従来の福祉教育と言われているもののあり方をかなりイノベーションしないとだめだなというふうに思っていて、それこそ社会活動とか、先ほどちょっとお話ししたコミュニティーの活動に参加するということが、昔風の言葉を使えばノーブレスオブリゲスという言葉がありましたけれども、それは市民としての公共性へのコミットメントをどう置きかえることができかということの視点としては大変重要だろうと思っていて、それをどういうふうに書くかはこれからの課題だと思いますが、税金だってそうですよね。負担する意識をきちんと持っていただけるような環境というのはどういう環境なのか。当然、増税必至の時代ですから、あるいは行政サービスが必要にして最小限ということになる、そういう社会の中で、ある公正性みたいなものも含めた、公正さと、それから、受益者と利用者の間で発生するエンパシーと、それを支える共生というか、そこら辺の考え方をどういうふうにして可能にしていくかみたいな話は、議論としてはしなければいけないテーマかと思っておりますが、それは、起草委員会も含めまして、全体の委員会の議論でもあると思いますが、総会のほうでも議論していただくべきことだと思っておりますが、何かの形で課題提起ができたらいいなと思っております。
 よろしいでしょうか。
 どうぞ、新村委員。

○新村委員
 今のとも若干関連すると思うんですが、私も市民意識とかコミュニティの重要性を否定するものではないのですが、これまでの日本社会の中でインフォーマルセクターが存在したことがフォーマルセクターとしてのマーケットをどちらかというと阻害、成立を阻害していた部分というのがあるというふうに、特に女性労働、家庭内女性労働に依存したことがあまりにも長く、それがもたなくなってまで依存してきたことが日本の介護をちょっとおくらせたという認識を持っておりますので、インフォーマルセクターとフォーマルセクターとの切り分けというんでしょうか、基盤として非常に重要なもので、それがなければフォーマルセクターの部分ができないんですけれども、そこの部分の上手な切り分けというのが必要かなあと。これは老婆心ながらで、女性の立場からすると、これまであまりにも家庭内福祉、日本的福祉に頼ってきたことによっておくれた部分をまた巻き戻すようなことにならないようなインフォーマルセクターの扱いを是非していただきたいと思います。済みません。余分なことです。

○高橋分科会長
 インフォーマルセクターというのは安定であるかの問題がありますから、そこら辺は少し、いろいろご意見をいただきながら進めさせていただきたいと思います。
 作業的にはそういうことで、きょうのご議論を踏まえて資料3を手直ししたものを総会に提出する。あわせて、「論点整理」の詳細について修正をした上で今後の作業に生かさせていただくということで、きょうは整理をしておけばよろしいですね。
 そんなことで、時間ちょっと前ですが、事務局のほうにお返しいたします。

○梶原計画調整課長
 どうもありがとうございました。
 今、分科会長におまとめいただきましたように、整理をいたしまして当分科会の中間報告として総会に報告いたしたいと思います。
 その後でございますけれども、中間報告をした後にさらに起草委員会でご議論をいただきます。起草委員の方々、よろしくお願いをしたいと思います。で、ご議論いただいたものを来年2月ごろに開催予定の拡大分科会にご報告し、ご意見をいただく予定というふうにしてございます。
  先ほど日程を申し上げましたが、総会につきましては、12月22日午前10時から12時、この第一庁舎の42階の特別会議室を予定してございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○高橋分科会長
 それでは、どうもありがとうございました。

(午前11時55分 閉会)

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