福祉保健局トップページへ
  企画計理課トップページへ

平成14年1月23日

問い合わせ先
福祉保健局総務部企画計理課
電話 03−5320−4019

第49回東京都社会福祉審議会の審議結果

1 開催日時

    平成14年1月23日(水) 午前10時00分から午前11時30分まで

2 場 所

    東京都庁 第一本庁舎 42階(北側) 特別会議室A
3 出席者
    委員 



    三浦 文夫
    大澤 義行
    小美濃安弘
    小山 敏雄
    曽雌 久義
    田端 光美
    寺田 和雄
    中嶋 義雄
    新村 保子
    野村 歡
    平川佐保子
    藤井 俊郎
    山加 朱美
    吉田 信夫
    渡邉 潤子
    渡辺 光子
     
    武蔵野女子大学特任教授
    東京都民生児童委員連合会会長
    東京都議会議員(自民党)
    東京都議会議員(自民党)
    東京都議会議員(公明党)
    日本女子大学名誉教授
    町田市長
    東京都議会議員(公明党)
    住友生命総合研究所常務取締役
    日本大学理工学部教授
    日本語教師(公募)
    会社顧問(公募)
    東京都議会議員(自民党)
    東京都議会議員(日本共産党)
    人材派遣会社勤務(公募)
    東京商工会議所女性会常任理事
         

4 議事

    (1)社会福祉を巡る諸問題について

5 議事録

(午前10時01分 開会)

○松浦計画調整課長

 それでは、定刻になりましたので、第49回社会福祉審議会を始めさせていただきたいと思います。本日は何かとお忙しい中ご出席をいただきまして、ありがとうございます。私は、当審議会の事務局の書記を担当させていただいております、福祉局の計画調整課長の松浦と申します。よろしくお願いいたします。
 では、開会に先立ちまして、事務局より、委員の皆様の出欠についてご報告させていただきます。本審議会の委員総数は本定員30名でございまして、本日、所用のためご欠席という報告をいただいております委員の方々は、酒井委員、中島委員、今井委員、大橋委員、大道委員、大本委員、小林委員、高橋委員、南委員、本沢委員、小口委員、佐々木委員、小野田委員の14名でございます。まだお見えになっていらっしゃらない委員の先生方もいらっしゃいますけれども、出席というふうにいただいておりますので、本日出席予定の委員の方は16名ということでございまして、定足数に達していることをご報告させていただきます。
 続きまして、お手元に会議資料を配付してございますので、ご説明させていただきますので、ご確認をお願いいたしたいと思います。まず、資料1でございます。「『福祉改革 新たな段階』の基本的な考え方」でございます。続きまして資料2でございまして、「福祉サービス第三者評価システム検討会システム分科会『中間のまとめ』概要」。それと、後で冊子で本文をお配りしてございます。資料3でございますけれども、「児童虐待の実態(白書)」でございます。続きまして、資料4でございます。「『地域における子ども家庭支援のネットワークづくり』(児童福祉審議会意見具申)」の冊子でございます。続きまして、資料5でございます。「介護保険制度の東京都における実施状況」、1枚の資料でございます。最後に資料6でございますけれども、障害福祉サービスに15年度に導入が予定されております「支援費制度の概要」でございます。
 なお、当審議会の議事録でございますけれども、東京都のホームページに掲載されましてインターネットを通じて公開されますので、申し添えます。
 では、委員長、よろしくお願いいたします。

○三浦委員長

 どうもおはようございます。ただいまから、第49回の東京都社会福祉審議会を開催いたします。本日は大変お忙しい中、どうもご苦労さまでございます。本審議会は、今期が第16期でございます。昨年7月に第1回の総会を開催いたしました。その後、委員の変更がございましたので、新しい委員の方々を紹介をさせていただきたいと思います。それでは、順次私のほうからご紹介させてもらいます。
 小美濃安弘委員でございます。
 小山敏雄委員でございます。

○小山委員

 おはようございます。よろしくどうぞ。

○三浦委員長

 曽雌義久委員です。

○曽雌委員

 曽雌です。おはようございます。

○三浦委員長

 山加朱美委員でございます。

○山加委員

 おはようございます。よろしくお願いします。

○三浦委員長

 吉田信夫委員でございます。

○吉田委員

 吉田でございます。よろしくお願いいたします。

○三浦委員長

 どうぞよろしくお願いいたします。今回が第2回ということになります。よろしくお願いしたいと思います。
 審議に入る前に、本日、前川福祉局長がいらっしゃっておりますので、ごあいさつをいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○前川福祉局長

 皆様、おはようございます。福祉局長の前川です。大変お忙しい中を私どもの審議会にご出席を賜りまして、心から御礼申し上げたいと思います。
今期の審議会は、昨年の7月に3年間の任期でお願いしたわけでございますが、限られた期間ではございますけれども、東京都の社会福祉が抱えているさまざまな問題につきまして、幅広い観点から、ぜひご審議をいただきたいと期待申し上げます。
 既にご案内のとおり、平成12年の12月、一昨年の12月に、私ども、福祉改革推進プランを策定し、発表して、これまで約1年間、東京都の福祉行政の改革に取り組んでまいりました。その結果、いろいろなことをやってまいったんですが、例えば、一番顕著な例としては、いわゆる認証保育所につきましては、今年度10カ所の予定でした。10カ所というのはA型なんですが、2月1日現在で20カ所になる見込みでございます。今後また来年度に向けて、さらに大幅な増があるのではないかと考えております。
 ただこれは、これまでのいわば経過でありまして、これからが福祉改革の本腰を入れる時期であろうと考えております。何のための改革か。これは改めて言うまでもありませんが、一言で言えば、利用者本位を徹底していきたい。先ほどご案内しました、お手元の「『福祉改革の新たな段階』の基本的な考え方」にも一通り説明があると思いますが、これを一言で言えば、高齢者の方であれ、障害者の方であれ、あるいは子どもであれ、地域の中で普通の暮らしをできるような条件を整えて支えていきたいというのが眼目であろうと考えております。そのためには、来年度は、政策面においても、あるいは執行体制の面においても重要な年になるだろうと考えております。
 幸い東京都の重要施策、あるいは来年度の予算の中におきましては、私どもがこうした改革を進めるための、あるいは福祉行政の充実を進めるための大きな条件は何とか確保できたのかなと考えております。例えば、予算につきましては、東京の一般会計の中で、これは全体で約5%減になったわけですけれども、私ども微減ではありますが、一般会計に占める比重は9.1%から9.5%と、これまでにない最大の比重になった。あるいは内容を見ても、痴呆性高齢者のグループホーム等の整備について、土地助成であるとか、企業助成等が盛り込まれている。それからまた、執行体制につきましても、今一番問題になっております子ども虐待等を担当する児童相談所につきましては、約110名のこれまでの定員数につきまして、22名の増を実現できている。
 いわば出発点としては、何とか条件が確保されつつあるのかなと。これを踏まえて、積極的な取り組みを進めていきたい。ぜひ私どものこうしたスタンスをご理解をいただきまして、忌憚のないご意見、建設的なご批判をいただければと考えております。そのため、本日は事務局から冒頭、東京の社会福祉をめぐるさまざまな問題につきまして、配付した資料を使いながら、若干のご説明を行わせていただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 もとより福祉改革、あるいは福祉行政の充実は、一朝一夕にできるものではありませんが、私どもは遠い目標に向かいながら、確実に一歩一歩進んでいきたい。そして、この首都東京から、新しい福祉を発信していきたいと考えております。どうぞ本審議会の委員の皆様方の、特段のお力添えをお願い申し上げておきたいと存じます。簡単ではございますが、どうぞよろしくお願いいたします。以上です。

○三浦委員長

 どうもありがとうございました。
 本審議会につきましては、現在の東京都の社会福祉を取り巻く社会状況というものを視野に入れ、さらに国及び都における福祉改革の動向、こういったことを勘案いたしまして審議を進め、平成16年7月までの間に、答申または意見具申を行うというふうなことになっております。したがいまして、今日は現在の社会福祉をめぐる情勢について、意見交換を十分に行いながら、審議の方向について検討します。こうした意見交換を踏まえた上で本格的な審議を行っていく、こういうふうに考えております。よろしくお願いしたいと思っております。
 そういう意味で、本日の審議会でございますけれども、2つほどを重点として考えております。第1点が、東京都の社会福祉をめぐる状況につきまして、先ほどご説明がございました資料等に基づきましてご説明をいただきます。後半は、幅広い都民の中から、公募によって選ばれましたお三人の委員の方々がいらっしゃいます。その方々が、日ごろ東京都の社会福祉につきまして考えていらっしゃいますいろいろなことがあろうかと思いますので、そういった意味で、きょうはそのお三人の方々からご発言をいただきまして、それを一つの素材にいたしながら、皆様各委員の方々からご意見をちょうだいするという、いわばフリーディスカッションいたしまして、先ほど申し上げました、今後の審議の方向をはっきりさせていこうというイメージでございますので、どうぞよろしくお願いしたいと思っております。
 なお、本日の会議でございますけれども、予定としましては11時30分となっておりますので、何とぞ進行につきましては、よろしくご協力のほどお願いしたいと思います。
 それでは、まず最初に、事務局のほうから、資料のご説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○松浦計画調整課長

 それでは、私のほうから、資料1につきまして説明させていただきます。
 先ほど局長から発言がございましたように、「『福祉改革 新たな段階』の基本的考え方」ということで、副題が「地域での自立を支える新しい福祉を目指して」ということになってございます。
 一昨年の12年12月に、これは第1回でご報告させていただきました、東京都の福祉改革推進プランを作成したわけでございますけれども、まず福祉改革推進プランでございますけれども、1ページの1の○の3つにございますが、利用者本位の新しい福祉の構築を目指す福祉改革の基本的理念と全体展望をあらわしたということでございます。それで先ほどご紹介しました、認証保育所を初めとする戦略プロジェクト、このような独自の取り組みを定めたという位置づけでございます。しかし、このプランにつきましては、広範な福祉分野の一部分にすぎず、これからすべての分野で利用者本位の徹底ということで、新たな展開を図っていかなければならないという認識でございます。
 また加えまして、国の政策で、国は全国一律ということでございますので、大都市の特性に応じた都の独自の取り組みということを、今後一層広げていきたいと考えてございます。
 ○の3つ目になりますけれども、改革の基本理念を、子ども家庭、障害、高齢者など各福祉分野においてさらに発展・具体化し、これらの基本方針と目標などを明らかにするために今策定中でございますけれども、「福祉改革 ステップ2」というべきものを明らかにしまして、施策と執行体制の両面において、新たな段階に福祉改革を推し進めるという考え方でございます。
 2ページでございますけれども、今後、新たな段階に進める上でのコンセプトとしまして、2つ掲げてございます。2ページ目が1つ目、コンセプト1でございまして、「重整備の施設偏重の従前の画一的な福祉を改革し、地域のケア付き住まいを重視した、きめ細かな福祉を実現する」ということでございまして、その下に現状の課題がありまして、国の対応、これは全国一律で不十分ということで、都は、グループホームや養育家庭など、地域の住まいを重視した過程に転換しますということを示してございます。
 3ページに入りますが、もう一つのコンセプト、コンセプト2でございます。「多様な主体の参入により競争を促し、公立・社会福祉法人中心の供給体制を改革するとともに、利用者選択を支えるしくみを創る」ということでございまして、下に、国は依然として民間参入等に大きなハードルを設けておりますし、サービス評価も具体的な策が出ていないと。その中で、都の考え方としまして、民間企業、NPOなどの多様な参入を図るとともに、サービス評価も都独自でやっていくということが書いてございます。
 4ページでございますけれども、福祉改革推進プランで3つのコンセプト、地域、選択、競い合いを出していますので、先ほど申し上げた2つの基本コンセプトを基礎に、その3つのキーワードのもとに、各福祉分野で施策の体系を築いていくということでございまして、5ページ以下が各分野の内容になってございます。
 5ページが子ども家庭分野で、目指すべき将来像がありまして、その中で大きな3つの柱として、保育サービスを都市型にやっていくと。認証保育の普及促進と、既存の保育サービスのレベルアップを進める。社会的養護につきましても、家庭的な雰囲気の名かですこやかに育ち、自立できるようにする。それから、相談につきましても、地域におきます総合的な相談の仕組みとともに、児童相談所を改革していくというような方針を出しまして、具体的施策につきましては、下の重要施策に盛り込まれた事業となります。これは予算要求上、重要施策というのを東京都が定めるということでございますけれども、それに取り上げられて予算化されているという構成になってございます。
 6ページが障害分野になっていまして、障害も地域をキーワードに、地域の自立生活。それから、入所している障害者の方でも、知的障害者の場合、入所者の30%が地域に移りたいという意向や可能性を持っていますので、それを支援していきたいということでございます。
 7ページが高齢者分野。こちらも福祉改革推進プランで、ケア・リビングという概念を出しましたけれども、それの具体化を図っていく。その一つの中で、痴呆性高齢者グループホーム、これにつきましては、民間企業が整備する場合の助成を、今回考えてございます。
 8ページに行きますと、選択を支えるしくみ分野ということで、先ほどちょっと申し上げましたサービス評価、情報提供、それから権利侵害等の相談、これについてワンストップで答えるようにしますというような内容を掲げてございます。
 最後9ページでございますけれども、サービス提供システム分野ということでございまして、改革の基本方針で、多様な供給者の新規参入とともに、こういう新しい福祉の実現に合わせまして、社会福祉法人につきましては、経営体制の強化と自立の促進ということで、社会福祉法人の自主的な努力を促す仕組みを構築したいということでございます。3でございますけれども、都においても、都立施設の有り様とか、執行体制の改革を図らなくては、ならないということでございます。最後に4番目に、例えば、グループホーム等を整備するために、地域の福祉インフラの整備を促進するということでございまして、そういう内容のもとに、今、その具体策についてまとめているということでございます。
 以上でございます。


○梶原福祉改革推進課長

 福祉改革推進課長の梶原でございます。私のほうから、資料2「福祉サービス第三者評価システム検討会システム分科会『中間のまとめ』概要」、それから本体のほう、「中間のまとめ」をお配りしておりますが、これについてご説明申し上げます。
 東京都におきましては、利用者がみずから必要な福祉サービスを安心して選択できる仕組み、すなわち利用者支援の仕組みとして、第三者による福祉サービスの評価システムの構築に向けて、平成11年度から検討を行ってまいりました。今年度につきましては、福祉サービス第三者評価システム検討会を設置し、そのもとに6つの分科会を設けまして、東京という大都市の特性を踏まえた評価システムが適切に機能するための具体的な検討を行ってきたところでございます。資料2はその中で、評価システム全体の仕組みづくりを検討しておりますシステム分科会の中間のまとめという位置づけでございます。
 恐れ入りますが、本体の黄色いほうの3ページをお開きいただきたいと思います。ここには、第三者評価の必要性ということを書かせていただいております。福祉サービスの利用の仕組みが、措置制度から、利用者が選択して利用する制度へと大きく変換する中で、福祉サービスを提供する仕組みを、利用者指向の開かれた福祉のシステムに変えるためには、まず利用者がニーズに合ったサービスを選択する信頼できる情報、こういうものが必要となってきてございます。また事業者も、事業運営上、あるいは経営上の課題を把握し、質の高いサービスを提供していく、こういうことが重要でございます。そのため、サービスの質の向上、また利用者の選択に資する情報提供を行っていくために、多様な事業者が提供するサービスの質、あるいは事業の仕組みを第三者が客観的に評価し、その評価結果を広く情報提供する仕組み、これがサービス評価システムでございます。
 恐れ入りますが、23ページをお開きいただきたいと思います。これは第三者サービス評価の全体像のイメージ図ということでございます。左下に「評価機関」というものがございます。サービス評価機関ということで、NPOや研究機関など多様な評価機関が、上のほうにございます事業者と契約して、サービスの評価を行う。それから、事業者は、その評価結果のうち、右側のほうに流れますけれども、共通評価項目、重要な評価項目を情報開示していく。それから、一番右側の「評価サポート機構(仮称)」と書いてございますが、ここで情報を、比較可能なわかりやすい形に集約しまして、利用者や事業者に情報提供をしていく。これが一連の評価の流れということでございます。
 この評価サポート機構(仮称)でございますが、ここは第三者性、客観性、公平性を有した中立的な機構として設置し、評価機関の信頼性を確保するために、評価機関の認証や評価者研修などを行うこととしております。
 このほか、この中間のまとめにおきましては、評価機関の信頼性の確保、支援の方法、あるいは評価情報の活用策、評価実施のための誘導策など、全体の仕組みづくりのために取り組むべき課題を明確にするとともに、早急に着手すべき事項の方向性についてまとめていただいたところでございます。
 現在、このまとめを踏まえまして、システム分科会では、全体の仕組みづくりに必要な評価機関の認証の基本的な考え方、あるいは評価者に対する研修の考え方について、引き続き検討を行っているところでございます。また、高齢、保育、障害在宅、障害通所、障害入所、この5つの分科会におきまして、12のサービスにつきまして評価手法をつくって検討、試行、その有効性の検証を行っているところでございます。その結果を年度内に取りまとめる予定としてございます。
 東京都といたしましては、平成15年度の評価システムの本格実施を目指しております。そのために、先ほどご説明いたしました評価サポート機構(仮称)を14年度当初に立ち上げまして、評価者研修、あるいは評価機関の認証を行うとともに、システムが円滑に機能するよう、システムの検証を行う予定としてございます。
 私からは以上でございます。

○松岡子ども家庭部計画課長

 子ども家庭部計画課長の松岡でございます。私のほうからは、資料3の「児童虐待の実態」、いわゆる児童虐待白書について。それから、資料4の児童福祉審議会の意見具申、「地域における子ども家庭支援のネットワークづくり」についてご説明をさせていただきます。
 まず、児童虐待の実態のほうでございますけれども、これは昨年の10月5日に発表させていただいたものでございまして、平成12年度に児童相談所で対応いたしました虐待相談件数1,940件全件を対象に、子ども、親、家庭の特徴、精神的な背景、環境的な要因などを詳細に分析をした、全国で初めての白書でございます。
 1枚おめくりいただきまして、児童虐待の実態白書のポイントでございますけれども、先ほど申し上げました1,940件という数字でございますけれども、これは10年前の15.4倍という数でございます。ただ、これにつきましては、近隣からの通報など、社会の関心の高まりからくる掘り起こしの要素も大きく、実際に虐待を受けた子どもの数は1,242人で、これは都内の子ども1,000人に対し0.7人という割合でございます。2歳から8歳までの子どもが6割を占めております。虐待の種類や重傷度でございますけれども、これにつきましては身体的虐待が約半数で、軽度のものが54%。しかし、重度の生命の危険があるものにつきましても36件、全体の3%ございました。
 そして虐待を受けた子どもや親の状況でございますけれども、虐待を受けた子どもにつきましては、情緒的な問題、心理的な問題を示すことが多いということがあらわれております。ただそういった中でも、虐待を受けても、虐待を行った親と同居することを希望する子どもが、拒否している子どもよりも多いという状況がありました。そうした意味でも、親子分離しても、再統合に向けた対応が重要であるということが言えます。
 虐待を行った者ですけれども、実母が約59%、実父が約24%といった状況で、合わせて8割という状況でございます。1枚めくっていただきまして、ひとり親家庭での出現率が高く、三世代の家族では極めて少ないという状況が出ております。そうした中で、親の生育歴、あるいは子どもの要因といったところでは決定的な要因はなく、いわゆる虐待の世代間連鎖や、望まれずに出生した場合には虐待があるといった状況は見られておりません。
 こうした虐待の状況に対して、児童相談所の処遇の内容でございますけれども、虐待を受けた子どもの4分の1、301人を昨年度は一時保護しており、一時保護した子どもの7割が親子分離が必要となって、施設入所という状況となっております。
 このページの最後のところで、分析結果からの展望を行っておりますけれども、虐待の予防・防止から親子のケアまでの総合的な取り組みのための、子どもと家庭を取り巻く身近なところで支援をしていく仕組みを構築することが必要であるということ。また、緊急の対応として、親子分離を行う必要がある場合でも、親子の再統合を視野に入れて、家庭全体を対象とする取り組みが必要であるということ。虐待という言葉にいたずらに不安をかき立てられることなく、親子が向き合い、葛藤する中で、子どもも親も成長していくという当たり前の関係を結び続けることが重要といった展望を挙げております。
 あとの虐待の概要のほうは説明を省略させていただきます。
 次に、児童福祉審議会の意見具申のほうでございますけれども、ちょっと本文をつけておりますけれども、かなり量が多くなりますので、その中に2枚もので概要を挟んでおりますので、こちらのほうで説明をさせていただきます。これらの児童虐待白書の話の中でも、虐待の予防から親子ケアまでの総合的な取り組み、あるいは身近なところでの支援をしていく。あるいは、家庭全体を対象とするということが必要だというお話をさせていただきましたけれども、児童福祉審議会の基本具申は、こうした観点から、このテーマを取り上げさせていただいたところでございますけれども、深刻化している児童虐待問題、あるいは子どもと家庭に関するさまざまな問題に対しては、住民の身近な地域社会の中で、問題の発生予防を視野に入れて継続的な関係を築きながら、解決を図っていくことが重要であるということで、約1年半にわたりまして審議を行いまして、昨年の11月20日に意見具申を行ったものでございます。
 今回の意見具申の特徴といたしましては、モデル事業を行ったということで、これは都内の2地区の子ども家庭支援センター、これは都の区市町村が設置するものでございますけれども、地域における子ども家庭支援の核となるセンターでございますが、2地区の子ども家庭支援センターをモデルとして、そのモデル事業を踏まえて、地域を基盤とする子育て支援のネットワークづくりを重点に検討を行ったものでございます。家庭全体を視野に入れながら、区市町村が主体となって、関係機関との連携によって対応していく体制を確立することが必要であるということを強調しております。
 そういった子どもの家庭支援センターが、サービスを実施するに当たってどうするかということでございますけれども、これは次のページの、特に第4章の「モデル事業を踏まえた子ども家庭支援センターにおけるサービスのあり方」、この2番目の○のところでございますけれども、子ども家庭支援センターがサービスを実施するに当たっては、ファミリーソーシャルワークの実践。これは家庭全体、家族全体を視野に入れて、関係機関との連携を図りながら行うということになりますけれども、ファミリーソーシャルワークの実践を展開していくことが重要であるという重要性を掲げております。
 簡単ではございますけれども、児童福祉審議会の意見具申の説明を終わらせていただきます。
○岡本介護保険課長 介護保険課長の岡本でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。介護保険制度の東京都における実施状況について説明させていただきます。
 資料5をごらんください。この制度の制度実施以来、この3月で早くも丸2年を迎えようとしております。私どもといたしましては、大きな混乱もなく、概ね順調に実施してきたと考えてございます。
 まず初めに1番の要介護認定者数でございますが、平成13年9月末現在で、23万3,465人ということでございます。これは高齢者人口の概ね1割をちょっと超える11.8%ということでございます。内訳でございますが、下表のとおりでございまして、第1号被保険者、65歳以上でございますが、概ね全体の96.2%、第2号被保険者でございますが、これは40歳以上65歳未満の方、これが3.8%ということになってございます。
 次に、財政負担等の状況でございますが、平成13年度予算、今年度予算でございますが、これを見てまいりたいと思いますが、介護保険の費用負担は、ご存じのとおり公費と保険料50%ずつになっています。公費の部分のうち全体の12.5%が都の負担分でございまして、13年度は、当初予算508億ということでございます。ちなみに、平成12年度決算でございますが、当初予算409億、決算330億でございました。
 次に、サービスの利用状況を伺うものといたしまして、3番の介護保険に関する苦情等の件数をまとめたものでございます。平成12年度におきましては、トータルで1万391件の苦情がございました。そのうち、サービス提供関係が一番多くございまして3,806件、2番目に保険料の関係が3,622件でございます。その後、13年度直近でございますけれども、一番多いのは保険料の2,619件、サービス提供関係が1,817件ということになってございます。この数字でございますが、都及び都内の62保健所、国保連に寄せられたものの総数でございます。平成13年度直近では保険料が一番多くなってございますが、これは保険者からの賦課通知が夏ごろございます関係もございまして、年度の上半期に集中するためでございます。
 続きまして、最後に今年度の都としての取り組みということでございます。「東京の介護保険を育む会」の設置運営でございます。これは介護保険法自体が、制度実施後5年で見直しをということを言ってございますが、それを待たないで提言していくということで委員会を行っているものでございます。現在までに小委員会6回、全体会1回を開催いたしまして、明日、第2回目の全体会を開催する予定でございます。
 次に、要介護認定適正化事業。要介護認定の適正化を図るために、区市町村間のばらつきをならすためもございまして設置いたしました。現在、要介護認定適正化委員会及び審査会委員の連絡会議を開催してございます。
 3番目といたしまして、ケアサポート体制の構築でございますが、これにつきましては、介護支援専門員支援会議、現在提言を取りまとめ中でございます。それから、ケアプラン指導研修チームといたしまして、事例研究の検討会を開催してございます。また、介護サービス利用者学習会の講師養成ということで、現在各社におきまして、講師養成の講習会を行ってございます。
 4番目でございますが、介護IT活用モデル事業ということでございます。これは介護支援専門員の活動を、ITを活用いたしまして支援していこうという取り組みでございまして、ケアプラン事例研究システム、ケアカンファレンス支援システム等々のシステムを検討してございます。
 以上、簡単ではございますが、介護保険制度の実施状況でございました。ありがとうございました。

○大津事業推進担当副参事

 障害福祉部事業推進担当副参事の大津でございます。私のほうから、資料6に基づきまして、支援費制度の概要についてご説明をいたします。
 障害福祉の分野では、これまで行政がサービスを決定する措置制度が長く続いてまいりました。この措置制度にかえて、利用者と事業者が対等の関係に基づき、契約によりサービスを利用する新たな仕組みをつくる、これが支援費制度でございます。移行は平成15年4月からでございます。あと1年と2カ月で円滑な移行準備を行わなければならないという状況でございます。
 まず、資料の1ページ目をごらんください。支援費制度の基本的な仕組みでございます。三角形の左下に、障害福祉サービスの利用者が掲げてございます。利用者は、事業者、施設と対等な契約を結んでサービス提供を受ける。それが三角形の底辺に示された関係でございます。そのサービス提供に必要な費用は、利用者が負担する部分を除いて、支援費という公費を充てる。その支援費は、区市町村が支給決定を行うことになります。それが三角形の左辺、利用者と行政の関係でございます。東京都は、図面の右側、指定事業者・施設の指定を行うということでございます。
 次のページをお開きいただきますと、この図が支援費制度の基本的な流れでございます。初めに、区市町村と利用者の間で情報提供、相談支援、利用のあっせん、調整などのプロセスがありまして支援費が決定され、それから事業者との契約になる。こういった流れが想定されております。
 支援費制度の特徴を明らかにするために、介護保険と比べてみたいと思います。利用者と事業者の対等な契約、あるいは区市町村が制度の中心である。また利用者主体、サービスの質の向上を目指していくという点では共通しておりますが、次の点で両者は異なっております。
 第1に、介護保険は、公費による負担もございますが、基本は保険制度でございます。一方、支援費制度は、税金で支援費を支給する制度でございます。第2に、利用者負担の考え方が、介護保険は、サービスに応じて負担する応益負担でございますが、支援費制度は、利用者と扶養義務者の所得に応じて負担する応能負担でございます。第3に、支給決定手続が異なります。介護保険では、コンピューターによる一次判定、介護認定審査会による二次判定という手続でございますが、支援費制度では、厚生労働省令で定めた勘案事項、すなわち障害の程度や介護者の状況などの勘案事項を勘案して、区市町村がケース・バイ・ケースで決めることになります。第4に、対象サービスが、支援費では、支援費に移行するサービスと移行しないサービスがございます。資料の3ページ目に、支援費に移行するサービスと移行しないサービスが掲げてございます。補装具や日常生活用具給付事業などは支援費に移行いたしません。第5に、ケアマネジメントの役割が異なります。介護保険では、ケアマネージャーによるケアプランが必ず必要であります。しかし、支援費制度では、ケアマネジメントが制度の必須項目としては位置づけられてはおりません。支援費制度の主な特徴は以上のとおりでございます。
 支援費制度の内容についてのご説明は以上のとおりでございます。どうもありがとうございました。


○三浦委員長
 どうもありがとうございました。本来ですと、ここでご質問等でもちょうだいしなければならないのかもしれませんけれども、後ほどまたご意見等とあわせてあろうかと思います。
 引き続きまして、公募委員の方から、お三名いらっしゃいますが、1人大体15分以内でお願い申し上げたいと思いますけれども、ご発言をお願いしたいと思います。
 それでは、まず平川委員のほうからお話をいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○平川委員
 おはようございます。私は、都民一生活者として、長い間気にかかっていたことと自分の体験、それから周りで福祉にかかわっている者から聞いた話をもとに、やや高齢者福祉についての問題に傾きますけれども、4つ5つのことを中心にお話しさせていただきます。
 一番大事なことは、2つあると思います。1つは、東京が国際都市であるということを免れないということです。もう一つは、東京が首都であり、全国にいろいろなことを発信できるリーダーであるということに注目いたしました。
 それで、海外の駐在から帰ってきましたときに大変奇異に思いましたことは、高齢者とか障害者に対する人権と言うと大げさなんですけれども、「おじいちゃん、おばあちゃん」と言いますね。病院とか施設では「何々さん」と皆さん呼んでくださいますけれども、メディアを見ますと、ラジオ、テレビでは、「おじいちゃん、おじいちゃん、幾つ」「80歳」「元気ね」、やりますね。これがもし私が住んでおりましたフランスですと、そんなことはあり得ません。「おばあちゃん」と私がやると、「私はあなたのおばあちゃんじゃありません」と答えますね。それで、東京にメディアも集中しておりますことから、何か正しい日本語ですね。実年とか熟年という例もありますので、ぜひそういうことを考えていきたいと思っております。
 それから、小さなことですけれども、友人に生活寮を自分でやっているのがおります。まだ初めなので、行政との間に入って大変苦労しておりますので、やはりこのことを長い目で支援するような方向に持っていけたらと思っております。
 その次は、都市型高齢者です。東京には地方からの人が多く集まっております。田舎の老いた両親が介護が必要になると、皆民族移動じゃないですけど、行ったり来たりしますね。若い子ども家庭が行くのはいいんですけれども、場合によっては老いた両親を、引き抜きというと大変言葉が悪いんですけれども、連れてきちゃう。ところが、安住する家がなくて、集合住宅に高齢者を引き取るということがありますと、これはほんとうに落ち着きません。
 それで私は、全く素人の考えなんですけれども、ここにリバースモーゲージを拡大した考えが、もし適用されたらどんなにいいかなと思います。東京においても田舎においても、雨戸を締め切りで無人になった家を見かけますね。それを何とか多額の費用を使わないで解決できたらと思います。
 また、福祉公社などで働いた1時間というものが、もし他府県で適用されたら、これは私の友人たちが盛んに言います。九州にまで何度も親の介護に通っておりますけれども、東京の福祉公社で1時間働いた分が、せめて自分が何回か行くうちの一部に充てられたらいいなということを申しております。私自身も、1時間家事援助、お手伝いをしたこと、インフレはございませんね。その点数をためておいて、九州なりどこかのご両親のためにもし使うことができましたら。そういうことを東京がリーダーとなって、何とか呼びかけができましたらと願っております。
 また、昨年平成13年7月に、東京都の男女平等参画審議会が答申いたしました17ページですけれども、そこに、地域の福祉にエコマネーを用いるということがあります。エコというのは確かに限られた社会で用いるものでしょうけれども、それもできましたら、せめて東京近県というか、拡大解釈してそれが用いられたらどんなにすばらしいことかと思います。何でエコマネーが今どんどん進められているかといいますと、お手伝いいただいたときに、高齢者は、ややもすると大きなお礼の品物を持って見えるんですね。ですけれども、一定の取り決めをいたしまして、1時間1点、あるいはこうこうということになりますと、お礼の品物に心を砕かないで済む、そういうことだと思います。
 その次は、見守りのことなんですけれども、ひとり暮らしの方がいらっしゃいますと、今、ある自治体などでも、見守りのネットワークというものを立ち上げて、これは大変すばらしい考えだと思います。それに加えまして、1つの例ですけれども、今、生協の共同購入とか、あるいは回覧板ですね。そういうことがだんだんグループから個人の個に流れつつあります。例えば、集合住宅に住んでおりますと、20年前は回覧板をベルを鳴らして渡していたものが、各お宅の郵便受けに黙って入れる。その次は、下の掲示板にただ張ってあるということになりました。確かにわずらわしい。ベルが鳴るとわずらわしいということがありますけれども、これから急速に進んでいく高齢者、あるいはひとり暮らしのご家庭にとっては、回覧板のときにベルを鳴らされるのはよろしいんじゃないでしょうか。安否を確かめるということになりますね。
 また、ただいま申し上げました生協の例ですけれども、生協の共同購入は、子育て中の若いご家庭ではなく、これからは高齢者のひとり家庭、あるいは高齢者のみのご家庭でも、共同購入に入るほうに持っていきますと、その日は例えばそのお宅の庭で品物を分けるということになりますと、ああ、あそこのお宅は窓があいていないということもわかりますね。ですから、一たん個別に流れてきたものを、無理のない程度でグループといいますか、そういうことに戻るようになったらどうかなと思います。例えば、見守りネットワークですと、ご近所の中で登録した方が、ある方の支援の見守りに回るわけですけれども、それとさらに二重、三重に生協ということで、そういう動きもできましたらと思います。
 それから、情報弱者というものがございますね。東京の中でも、広報が新聞のみに挟まれて配付という自治体もありますれば、区によりましては、個別に郵便受けに入っているということも見受けられます。ひとり家庭になりますと、新聞をとっていないところが大変多いんですけれども、そういう方に限っては、文化センターや駅にも置いてあるよといいましても、なかなかそこに足を運ぶということがございませんね。それでやはり、井戸端とか口コミのネットワークというものを使いまして、ぜひいろいろな、せっかく出してくださる情報が、最後の最後まで行き渡るようになったらと思います。
 それから、一番初めに申しましたけれども、国際都市東京として、いつも外国人の方に言われるんですけれども、お腹の大きな方が、日本の悪口を言って大変申しわけないんだけれども、2度目のお産は絶対に東京でやらない。なぜかといいますと、だれも席を譲ってくれないというんですね。これはやはり今の若い方が、高齢者になるまで20年、30年かけて私たちが、意識改革というと大げさですけれども、そういうことに取り組まなきゃいけないと思います。数年前から、男子の家庭科必修ということも行われておりますので、そういう時間とか総合教育の時間を使いまして、ぜひ東京から発信していけたらと思います。また、外国でやっておりますインターンシップ、東京でも始まりましたけれども、それをさらに強力に推し進めて、若い方の経験というのを待ちたいと思います。
 その次には、財政についてなんですけれども、大きなことは申しませんけれども、日ごろ大変不思議に思っていることは、やはり税金ですね。寄附に対する税制。去年テロ事件で、みなし税の議論が国会で見送りになってしまいましたけれども、アメリカでは、キリスト教の教会に5ドル寄附をしましても、ちゃんとオフィシャルのレシートが出て、それが確定申告の場合に税制の減免になるということを聞いております。
 それと今、たくさんのNPOが立ち上がっておりますけれども、認定のNPOの許可、それが大変条件が厳しいと聞いております。個人の、貧者の一刀、ささやかなものがたくさん集まってこそ、福祉というものも活性化するんじゃないでしょうか。1万円のハードルも、私はきついと思いますね。東京都のほうから国に対しまして、ぜひ強力に呼びかけをお願いしたいと思います。例えば、ボランティア貯金ですね。あれも今、税金がついているんじゃないかと思いますけれども、それに協力した方には免税ということも考えられるのではないでしょうか。
 最後に、介護保険について申したいと思いますけれども、先ほどもご説明いただきましたけれども、私どもの周りの人たちは、やはり「介護保険料を幾らとられた」という言い方をするんですね。これはほんとうに情報が行き渡っていない。自分が介護を受けるときになってみれば、とられた分の何倍もの恩恵に浴するわけです。それから、介護保険代がもったいないから、女性、お嫁さんだの娘だの奥さんだのが働かない。介護に従事しなきゃならないという逆戻りの傾向、兆しがあってはならないと思います。実際に、例えばあなたが3万円払うとしても、30万円のヘルプを受けてるのよということは、ぜひ末端の生活者の口コミネットワークで、そういう理解を図るような地域ができたらと思います。
 以上でございます。

○三浦委員長
 どうもありがとうございました。

 それでは、引き続きまして、またお願いしたいと思います。藤井委員、どうぞよろしく。
○藤井委員

 藤井でございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。なかなか的を絞ってまとめることができずに、思いつくまま私から3点ばかりお話をさせていただきたいと思います。
 まず第1番目に、介護保険施設と介護の社会化ということについてですが、これは都の総人口1,206万人に対しまして、要介護高齢者が25万人と。先ほど23万人というご説明をいただきましたけれども、私は発行されております『社会福祉』12月号からとりましたので、数字がちょっと違っておりますが、お許しをいただきたいと思います。47人で1人の要介護高齢者を支えているという構図になっていると思います。
 これに対しまして、最近発表されました資料によりますと、東京都の介護保険施設が介護老人福祉施設、介護老人保健施設、それから介護養老型医療施設を計算して見ましたら、合計で507カ所、4万574名の定員数ということになっております。これは25万人の要介護高齢者に対しまして、16.2%の割合ということであります。私も幾つか近くの特養施設などを訪問いたしまして聞いてみましたら、2年前に申し込んだ一部の人が昨年末にようやく入所できて、まだ2年前の人たちがウエイティングの状況にあるというのが実情の一つの例であると思います。
 東京都の抱えております土地の問題だとか、事情が多々あるにいたしましても、また建設が計画に基づいて進んでいるとしましても、15%強、20%に満たないというのは、全体的不足だと考えます。これが介護保険制度のあり方だとか、ケアマネージャー、それからサービスの質や内容の問題、高齢患者の病院のたらい回しなどの問題が、形式は契約だけど、まだ中身は措置だと指摘されているところではないかと思います。量よりも内容という議論もございますが、これら施設の建設の計画を前倒ししてでも、ある一定水準までは、マスづくりを一層加速させることが緊急課題ではなかろうかと考えております。
 それでこのためにということでもございませんが、利用者側も、先ほど平川さんからお話があったように、情報ということですが、利用者側の直接の意見や実態の声を、情報として毎月発行されている『社会福祉』、なかなかいい雑誌だと思いますけれども、これを情報公開して、都民全員参加の意識を盛り上げていくようにしてはいかがかと思います。他の県や市では、こういった欄にかなりのページを割いているというのが見られるわけです。そして、これは私が強調したい点なんですけれども、要介護高齢者以外の高齢者、これらの人たちのすべての人たちは元気で、いわゆるPPKと言われています。私、PPKという言葉は、あまり敬老の精神がないので好きではないんですけれども、少なくともPPYぐらい、安らかにぐらいにはしてもらったらいいかなと思ったりしておりますけれども、まあ、PPKと最近は言っておりますけれども。そういう人たちばかりではなくて、後期高齢者の介護、面倒を見たり、ご自身が病院通いしている人たちも非常に多くて、これらの人たちは、あすにでも要介護高齢者になり得る人口と見る必要があるのではないか。介護という観点から、そう思う次第であります。
 高齢社会にありましては、要介護以外の高齢者の人たちの生き方こそが、これからの高齢社会の社会全体に大きな影響を及ぼす、与えるということになると思います。このために、肉体的にも精神的にも安心した生き方ができるように、ことに欧米先進のように、ケア・フォー・ケア・テイカー、これ、日本語でどういうのか、老老介護というのは、私もこれもちょっと言葉で行き詰まるんですけれども、ケア・フォー・ケア・テイカー、社会全体が温かい手を差し伸べる仕組みづくりが必要であると痛感しております。
 これに関しましては、都から、高齢者の生活像を考える懇談会という、非常に充実した報告書が出ております。これに沿って精力的に具体的に推進して、介護される人と介護する人をも含めた介護の社会化を早く構築していくべきだと思います。また、海外の介護先進国の仕組みや実態の調査、研究をさらに深めて、参考にしていくことが有意義じゃなかろうかと考えております。
 次に、2番目ですが、NPOについて少し触れさせていただきたいと思いますが、NPO法案が1993年3月に施行されてから、昨年、日本人のNPO法人が4,000団体を超えたということは、皆さんもご承知のとおりだと思いますが、日本にNPOが普及するには、事業化ということが大変な課題と言われております。NPOの最も進んでいるアメリカでは120万ものNPO法人がありまして、700万人の人が雇用です。その組織はボランティアに支えられているのではありませんで、有給の専従スタッフが運営しております。日本のように市民活動イコールボランティアというのでは、事業化にあまり努力しなくてもいいかもわかりませんが、活動が長続きしないのは明らかです。社会と個人の関係、スタンスというのがしっかりしておりまして、コミュニティに積極的に参画する喜びと使命感を持って活動しているアメリカ社会とは、少し異なっているということ。
 さらに先ほどご指摘がありましたように、NPO法人の認定条件がちょっと厳し過ぎるということもありますが、私は何よりも、NPOに参画する人たちが、事業活動におきまして、市場原理に基づいた一般企業と競争、伍していくんだという、それぐらいの厳しい事業家マインドを持つことが必要であるんじゃなかろうかと。しかもその運営力、経営力をしっかりと身につけていないと、到底成り立ってはいかないということは目に見えているような気がしてなりません。善意だけではNPO法人の活動はできないと思います。しかし、善意というのは崇高なものでありまして、極めて尊いものでありますので、社会としてはこの善意をいかに生かしていくかが極めて重要なことだろう。こういう点から、NPO法人の運営能力だとか経営の能力のノウハウ、そして人材を、社会として、東京都として支援、バックアップしていく体制をつくるということの必要性を痛感しております。
 また、ここの場で申し上げるのは飛躍的過ぎるかもわかりませんが、私個人といたしましては、基本的には、また将来的には、国民皆介護保険制度の導入を検討していくべきというか、してもいいのではないかと思っております。現在の40歳以上からというのではなくて、段階的にはやがて20歳以上の成人、少なくとも成人からの保険制度。また、飛躍し過ぎるかもわかりませんが、健康保険制度の脱退とかいうものを視野に入れた検討なども考えられるのではなかろうかと思っております。これはひとえに日本の社会全体が、敬老の精神と文化を持って高齢者を支えていくという、国の仕組みづくりを構築していく必要性を痛感しているからでございます。
 最後に3番目に、本審議委員会の運営方法について、率直に提案というか、ご意見を申し上げたいと思います。この委員会は、昨年の7月13日に第1回の会合以来、本日は6カ月目の第2回目の会合でありまして、私の認識といたしましては、余りにも間が空き過ぎて、その回数が少な過ぎるのはないかと思われます。まあ、2回出てこんなことを言うのは僣越かもわかりませんが。基本的なご方針もあることですし、また実際には、事務当局におかれては、これだけ第一線でご活躍なさっている皆様、高名な、著名な委員のお方を一堂にたびたび会する、集まっていただくというのは至難のことだというご苦労は重々わかっているつもりではございますが、あえて申し上げさせていただくということでお許しいただきたいと思いますが、私は、これまでささやかではありますが、長年企業や業界で、海外を含めましたいろいろな委員会だとか研究会に数多く参画してまいりました。
 これらの展開といいますか、運営に当たりましては、いわゆるTQCで方針管理を徹底させまして、いわゆるPDCへのサイクルを回しながら目標管理をやってまいりました。これがささやかではありますが、産業界では通常のことでありまして、率直に申し上げて、極めて意外だという感じも受けておりますのが本音でございます。もちろんこのような幅広い高度な問題を、同じ尺度でものは言えないわけでありますが、あえて私見として申し上げさせていただきますと、この委員会を、もう少し会合の頻度を上げていただけないか。それから、次の会合での審議事項、またはテーマなど、スケルトンだけでもいいんですけれども、事前に全員にお知らせいただけないかと。それから、的を絞った課題に対して、これから活動が大変に活発になってくると思いますが、委員を幾つかのグループに分けて検討するとか、分科委員会のようなものをつくっていただくのはどうかなと思ったりしております。
 それから、現場をよりよく知るために、委員合同でいろいろなところを訪問したり、見学、視察を行う。バスなどで一堂に皆さんが一緒というのは難しいと思いますけれども、これは他府県も含めて幅広くそんなことを実施する。こうすることによりまして、委員同士の親近感も増して、また有益な委員同士の交流も図られるのではないかと考える次第であります。
 以上、少しでもお役に立てばという思いばかりが先行しての、私の発言を申し上げた次第です。以上です。ありがとうございました。

○三浦委員長

 どうもありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、渡邉委員のほうからお願いいたします。

○渡邉委員

 渡邉です。よろしくお願いいたします。着席で失礼いたします。今後の社会福祉の基本的なあり方ということで発言をということでしたので、私なりに考えてみましたので、発言申し上げます。
 まず、東京都が目指している開かれた福祉に一歩でも近づくためにはどうすればよいかということなんですけれども、今までのような決められたサービスではなく、自分自身の責任と判断で、自分に適したよいサービスを利用者が選ぶということが大前提ですので、やはり利用者が得る情報の量が大切であると思われます。例えば、今日私たちは、日用生活用品などを、必要とその利用方法によって、デパートで少し仕様のいいものを買ったりとか、値段重視で、多少外見ですとかが悪くても、ディスカウントショップで購入したりします。それぐらいの安易さで福祉を選んでいけるということが理想です。デパートやディスカウントショップでは、商品や価格の情報を、雑誌や新聞の広告や折り込みに、またあるときにはテレビなどを利用して顧客に広めております。
 同じように、福祉もできるだけ大勢の人の目にサービスの内容が触れるということが大切です。必要である人に対しても、今は必要でない人へも情報の提供をすることは、開かれた福祉にとって、とても重要な課題だと思います。どれだけの若年層の方が、介護保険について知識を持っているでしょうか。若年層に限らず、高齢者と同居していない人たちもまた同様です。介護保険が開始された前後は、テレビや新聞などで特集が多く、そういった情報を取り入れようとふだんからしている人たちには、その制度が説明されたとは思います。ですが、具体的な内容は、まだまだ浸透しているとは言い切れません。ましてや政府の動きであるとか、情報にふだんから興味のない人たちについては言語道断です。何も興味を持っていない人たちのレベルでも、ある程度の情報が常識として入っている程度の情報の広まり方が大切だと思います。
 また、制度やサービスだけでなく、高齢者や障害者との接し方についても、情報を提供するべきではないかと思います。例えば、目の不自由な方に対してどういうフォローをするのがよいのかわからない人がたくさんいます。手を差し伸べることがかえって迷惑になるのではないかとか、また相手の自尊心を傷つけたりはしないかなどを思っているうちに、結局何もできないでいる人たちは少なくないはずです。また、知らず知らずに障害者の方がほかの方に迷惑をかけている場合に、障害者だからしようがないと注意できないでいる人たちも同じようにいると思います。どういうふうに協力し、どう声をかければいいのか、そういった情報が広がっていけば、目指していくべき福祉の道であるノーマライゼーションにつながっていくのではないかと私は思います。
 現在私は、人材派遣会社でコーディネーターをしています。コーディネーターというのは、労働者を必要とするクライアントに対して、労働者を提供するといったコーディネートをしていくわけなんですけれども、そういったことで、働く女性ですとか、そういったことに興味をいつも持っております。それで保育園のことに関してなんですけれども、認証保育所がスタートして、働く女性にとってもとても頼もしい味方ができたと思いますけれども、やはり預かってもらうまでの期間という問題があります。もっとも認証保育所については、役所を通さずに申し込みができるということなので、申し込みをしてから実際に子どもを預かってもらうまでの日数は少ないと思いますけれども、ちょっと勉強不足で、実際に何日間かかるかというのを私、存じておりませんので申しわけないんですけれども、ただ一般の保育園であるとか、学童保育であるとか、申し込んでから預かってもらうまでの期間が、1週間から2週間かかるようです。
 私どもの会社に限らず、パートの方は、採用は即日ということが多く、保育園の都合により、就業開始日が遅れる方よりも、即日から仕事ができる方を採用する例が多くあるかと思います。せっかく能力があり、就業の意欲もある方が、そういった事情から不採用になっていくこともあります。正式の保育園が決まるまで、または手続が終了するまで子どもを預かってくれるプレ保育園のような制度があるかということも、よく職場で話したりしています。ただ、子どもの環境をそういった都合だけでたびたび変えていくことがどうかといえば、それはまた話が別だとは思いますけれども。働く女性、特に母子家庭の方にまつわる問題は、また全く別のところにもありまして、長期の仕事や勤務時間の長い仕事につきましては、社会保険、すなわち健康保険とか、厚生年金などの付与が余儀なくされます。就業前は、国民健康保険とか、国民年金保険料が免除になっていた方が多くて、仕事につくことによって、保険料を支払う義務が生じてきます。
 正社員や専門職のように、収入がある程度のレベルを超えている方はよいんですけれども、収入難の昨今で、正職員になることはとても難しく、パートの限られた収入から、月2万近くの保険料の支払いはとても厳しいものです。トータルでは月収が変わらないということから、逆に社会保険のつかない短い時間で終了するパートを選ぶ方もいます。せっかく条件のよい、時間給の高い仕事があっても、わざと時間給の安いほうの仕事につくんです。
 この問題は福祉ではなく、国民年金などの社会保険に絡む法律の問題だとは思いますけれども、中途半端に働くと損をするといった本末転倒的な感じが否めないのが実情です。これに似た事例が、介護保険の中でも発生していることを、毎月福祉局から送っていただいている『社会保険』の中で知りました。まさに本日お見えになっている前川福祉局長の対談の一部だったと思いますけれども、特養からグループホームへお年寄りが移られ元気になると、介護報酬が落ちてしまうといったような内容のものでした。また、これは別のところで耳にした話なんですけれども、障害者が勧められて仕事を少しするようになったために、ヘルパーがなかなか派遣されなかったりとか、後回しになってしまったということも聞いたことがあります。努力した人が報われない福祉ではなくて、前向きに頑張っている人こそが報われるよりよい福祉になるように、制度が改良していくことが大切であって、先ほども申し上げましたけれども、できるだけ多くの人たちが、福祉の知識を常識として持つようになることが理想です。福祉が少しでもそういう方向へ向いていけばいいと思います。
 脈絡のないものとなってしまいましたけれども、以上で私の発言は終了させていただきます。失礼します。


○三浦委員長

 どうもありがとうございました。
 今、お三人の方々から、それぞれご発言をいただきました。その前に、東京都のほうから、最近の社会福祉をめぐる状況、それから、それぞれ取り組んでいらっしゃる問題等々出されました。残された時間若干ございますけれども、どうぞこれらのご意見を含めまして、ご質問、あるいはご意見等をちょうだいできればと思います。順序は一つ一つ区切りませんので、お感じの点から自由に出していただければと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。また、今の話以外にも、何か思うことがありますれば出していただければありがたいと思います。
 口火を切るのは大変難しいと思いますが、どなたか勇気を持ってちょっと出していただきますと、皆さんから出ると思いますので。野村委員、どうぞよろしくお願いします。

○野村委員

 野村でございます。2つほど質問を行政側にお願いしたいんですが、1つは資料の5です。介護保険制度の東京都における実施状況ということで、要介護認定数が出ているわけですが、この要支援から要介護5までの区分に従って、使われているサービスの内容とのクロスをしたデータをお持ちなのかどうか。私の立場からいうと、住宅改修がどういう等級で、どのように使われているか。あるいは、福祉用具がどのように使われているかということが一番大事なんですが、一方で、在宅サービス、あるいは施設サービス、その辺の大きなくくりでもお教えいただけたら。これは先ほどの藤井委員の、施設が足らないということについて、基本的には、在宅福祉を進めていくということが大きなところにあるわけで、その辺とのバランスで、ちょっとお教えいただけたら。あるいは、後でデータをいただけたら。これが第1点です。
 それから、第2点目は、NPOのお話が幾つか出てきたわけですが、今のNPO法に対して、まあ、財政的な基盤云々がありますが、外国でいうNPOと日本でいうNPOは、やはり全然違うものなんですね。それで法律は法律として、今持っている法律の問題点が一体どこにあるのか。そういう調査をされておられるのか。そこをちょっと聞きたいです。以上2点です。

○三浦委員長

 すぐお答えできますか。あるいは、何人の方にいただいてからにしましょうか。大丈夫でしょうか。では、どうぞ。

○岡本介護保険課長

 介護保険課長でございます。今、ご質問がございましたサービスの内容、要介護のクロス表ということでございますが、実はサービスの利用と申しますのは、実際使ったものを介護報酬ということで、ここいらのほうに請求がまいります。そのデータというのがコンピューターの中に入ってございまして、そのデータがございます。ただ、データの解析につきましては、これまで分析するソフトがございませんで、これがちょうどでき上がりましたので、現在それについて解析中でございます。ということで、現在は手元には資料ございません。申しわけございません。

○松浦計画調整課長

 2点目のNPOの関係につきましては、関係局がまたがっていまして、次回にでも資料として出したいと思います。

○野村委員

 結構でございます。

○三浦委員長

 それから、今の特に介護保険のほうですね、これは次回というよりも、なるべく早くいただきたい。場合によっては個人的にということでございますから、よろしくお願いします。
 そのほか、いかがでしょうか。新村委員、どうぞ。

○新村委員

 新村でございます。いろいろご説明をいただいて、東京都の状況にあまり明るくないのであれなんですけれども、例えば、資料1の「福祉改革 新たな段階の基本的考え方」の考え方はすばらしいものが書いてあるわけですけれども、実際にこれを次のステップに進めるに当たって、一体どういうものを問題点と考えておられるのかということを、ちょっと教えていただきたい。
 例えば、競い合いというときに、東京都で、今ほんとうに民間事業者が新規参入をできるような状況にあるのか、それともそれが非常に難しいのか。お話を聞くと大変よいことをおやりになっているなと思うんですが、それを実行するに当たって、実際に現場で行政に当たっていて、どういうことが課題と考えておられるかということを、ひとつ教えていただきたい。
 同じようなことで、介護保険につきましても2年がたちまして、先ほどご説明があったように、介護保険を育む会というのをお立ち上げになったということですが、この2年間の間で、一体今、東京都においてどんな問題が生じているのかというようなことを少し教えていただけると、私たちが次のことを考えるよすがとなるのではないかと感じましたので、その辺がもしおわかりでしたら、今でも、またこれから後でも結構でございますが、お教えいただけたらと思います。

○松浦計画調整課長

 1点目を私のほうから説明させていただきます。民間企業等、多様な事業者主体を参入するという方針でいきますけれども、例えば、国の法制度上、こういう事業は社会福祉法人に限られるとかいう非常な規制がございます。私どもとしましては、東京都でできる限りのことはやるということで考えておりまして、例えば、先ほどご説明したときに、痴呆性高齢者グループホームにつきましては、国は社会福祉法人については、整備費補助を出すと。NPO法人とか、医療法人についても、上限がありますけれども整備補助は出す。ところが、民間企業は出さないということにつきまして、東京都としましては、民間企業にも整備補助を出したいということで、今、考えているところでございまして、やはりそういう多様な事業者、民間企業等が入ってくるためには、イコールフィッティングという言い方をしていますけれども、同じ土俵の上に立ってサービスを競い合って、それがまた質の向上、量の拡大に資すると考えておりますので、そういうことで、具体的に一つ一つ競い合いに向かって政策を進めていきたいと思います。
 もう一つ、福祉改革推進プランで既に実際やっていますけれども、例えば、今保育所につきましては、国のほうで認可保育所という制度がございます。これに対しまして、東京都につきましては、東京都独自ということで、多少設置基準につきましては、認可保育所よりは基準面積については多少縮めた部分もございますけれども、保育に支障がないということでやっています。認証保育所を立ち上げましたのは、認可保育所では対応できていないもの、例えば、ゼロ歳児から預かるとか、13時間保育をやるとか、しかも駅前というような預けやすい場所につくるという、これも大都市特性を生かしたものでございます。そういうようなことで認証保育所をつくることによって、認可保育所が今まで対応していなかったことにつきまして、認可保育所のサービス向上に向けての努力を促したいというところもございます。こういうことで、具体的にこれからもやっていきたいなと考えているところでございます。
 以上でございます。

○村山企画担当部長

 今の点で1点だけ補足をさせていただくと、認証保育所という制度を、今年度から東京都は独自に始めているわけですけれども、なぜ始めたかという理由は、今、幾つか課長から説明申し上げたような形であるんですけれども、本質的なところは、認可保育所について、国も民間企業に入っていいですよというふうに規制を緩和していないわけではないわけなんですね。ところが、実際には東京で2つぐらいあって、全国でもほんとうに数えることも必要ないぐらいしか、民間企業はまだ認可保育所の世界には参入していないわけですね。
 それはなぜかというと、運営の仕方について、いわば創意工夫を認めないというか、がちがちに定められた形になっていて、いわば自由な経営努力というものが、先ほど努力をした人が報われないというようなご指摘もありましたけれども、いくら運営主体が努力しようとしても、がちがちに決められちゃっているので努力の余地はないし、したからといってどうなるわけでもない。しなくても別にちゃんとお金は区市町村から入ってくると、こういう仕組みになっているので、頑張ってもしようがないシステムになっているわけですね。だから、そこのところを変えないと、今ご説明申し上げたように、延長保育をやろうとか、よりいいサービスをやろうというふうなインセンティブもわかないということになるので、東京都はその辺のところを緩和をして、自由な経営努力ができるような仕組みのやり方をしようと。
 ところが、そういうふうにすると国庫補助金は出てこないわけですので、これは国庫補助金をあてにした認証保育所じゃなくて、別のシステムで独自の認証保育所というものをつくって、東京都と区市町村で独自の補助を出してやっていただこうじゃないかというのを始めたら、先ほど局長からお話し申し上げたように、当初、初年度だから10カ所ぐらいかなと思って始めたら、既に1月1日の段階で17カ所になって、さらに今増え続けているということで、来年は倍以上に増やそうというようなことをやっているので、その辺のところを、今後今申し上げた痴呆のグループホームも含めて、ほかの部分にも普遍化していこうというのが、先ほど冒頭ご説明申し上げたことの実態的な意味合いでございます。

○新村委員

 私も、この認証保育所の制度というのは、昔、子育てに悩んだ私としては大変いい制度だと思っておりますし、それから、民間グループホームに補助を出すというのもいいことだと思うんですが、今私が質問したのは、せっかくこういうふうにして皆様が集まっている場なので、既にやられたことじゃなくて、これから何を克服して、そのためにどういう知恵を私たちから求めようとしておられるのかというところを知りたくて。今、実際に行政をおやりになるに当たって、どこがつまづきの石になっていて、どういういい知恵があったらできるのかというようなことをお教えいただきたいなという趣旨でございます。

○三浦委員長

 どうでしょうか、何かありましょうか、その点で。どうぞ。

○村山企画担当部長

 まさにその辺のところをご議論いただいて、お知恵を拝借できればということで、先ほど来、今現時点での我々の問題意識をいろいろご提示を申し上げて、お知恵をいただければということでございます。

○三浦委員長

 よろしゅうございましょうか。先ほどの介護保険のほうの問題も出ておりましたけれども、今のと関連するとは思いますけど。よろしゅうございますか。

○新村委員

 何となくいつもご説明を承っているだけで、何に私は何の意見を言ったらよいのかがよくわからないというところが気になっておりましたので、ちょっと言わせていただいたところでございます。

○三浦委員長

 ほかの方、いかがでございましょうか。どうぞ。


○小美濃委員

 2点ばかり意見というんでしょうか、お願いを申し述べさせていただきたいと思います。
 先ほど来、NPOの話がかなり出ておるわけですけれども、一般的にNPOは世の中にたくさんあるわけですけれども、その中で法人格を取れるのは、やはりかなり少ない。収益がある程度見込めないと、法人格を取ってもあまり実効性がないというんでしょうかね。ただ、やはり今回のNPO法人ができたきっかけというのは、阪神大震災の、ほんとうに一人一人の思いを持った人たちの集合体がなかなか活動がしづらいと。そういったところから出てきているところが多々あるわけでありまして、先ほど福祉局は、NPOに対してそういったものは所管外だよというご意見がありましたけれども、もう少し積極的に、これからある意味、考えというとおかしいんですけれども、福祉局が政策的につくっていくんだというような、それぐらいの活動が私は望ましいのではないかと思っております。
 それともう1点は、児童虐待のお話がございましたけれども、先日、とある児童相談所に取材に行ってまいりました。取材に行く前に何回もアポの電話をしたんですけれども、電話がつながらないんですね。それぐらい今、混雑をしているという状況がわかりました。アポがとれたのも、電話をかけてから2週間後ということで、大変忙しいなと。子ども家庭支援センターをつくって、区市町村にどんどん移行しているというのは非常にわかるんですけれども、今、その過渡期でございますので、私も武蔵野市なんですけれども、かなり児童相談のブースは劣悪な状態なんですね。ぜひとも児童相談所も手厚く、予算もかなり削られているようでございますので、よろしくお願いをしたいと。以上2点、ご意見を申し上げます。

○三浦委員長

 ご要望的なものでございましょうか。ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。どうぞ。

○吉田委員

 吉田でございます。座らせていただいて、若干意見を述べさせていただきますが、社会福祉の分野というのは非常に幅広くて、何を言ったらいいのかなという思いなんですけれども、3人の都民公募委員の方からご意見がありましたが、それぞれほんとうに都民の要望なり、現実を反映したものだなという思いを強くいたしました。
 例えば、やっぱり一定の量の施設整備の緊急性ということも出されましたけれども、そういう問題を私ども、日々ご相談を受けている。まあ、議員という仕事ですから、当然と言えば当然なんですけれども。客観的に見ると、例えば、東京都がやっている世論調査で都政要望という項目があるんですが、やはり第一に上がるのが高齢者対策なんですよね。高齢者対策で何が中身として一番要望が強いかと言えば、現実的には施設整備を急いでほしい。もう一つが、元気高齢者の社会参加を進めてほしいということです。
 今、福祉局としてはグループホーム、ケア・リビングを新たに強化する、それは当然のことだと思うんですけれども、きのうも小規模特養の施設長さんとお会いする機会があったんですが、じゃ、私たち小規模特養はどういう位置づけになったんだろうかと。随分一時期は応援するというような受けとめだったんだけどというような、まあ、これはその方の言ったことをそのまま言っただけですけれどもね。やはり在宅、社会全体でケアを支えるということは大事なんですけれども、やはりこうした緊急性の高い施設整備ということをどういうふうに取り組んでいくのか。あるいは、いかに要介護、寝たきりにならないための寝たきり予防、介護予防という施策を本格的にどうこれからも強めていくかということは、私もみずからの親との関係でも痛切な課題だということを、ちょっと一言言わせていただきたいんですね。
 それと同時に、ちょっと触れられなかった点で、非常に幅が広いんですけれども、今日的な問題で、やっぱり避けて通ることができないのは、今日の経済悪化の新たな進行という段階の中で、社会福祉の政策として、例えば地域での自立ということを考えた場合でも、そういう方々が急増する中で、社会福祉の分野でどういう対応が新たに求められているのかということも、今日的課題だと思うんですね。
 ちょっときのう仕事の関係で、生活保護の被保護世帯の数を調べさせてもらいましたけれども、この10年間で1.7倍ぐらいに増えている。とりわけ昨年1年間で相当増えているんですね。私、杉並区ですけれども、生活保護の対象世帯が増えたために、急遽補正予算を組まなければならないという事態が起きるほどの状況なんです。こういう問題について、私どもも議会の中で、いろいろ福祉局の方々と議論をさせていただいていますが、低所得対策と言えば、いや、それは生活保護があるじゃないか。それで対応するというご答弁が多く聞かれるんですけれども、それはそれとして大事なことですが、じゃ、生活保護ということだけで果たしていいのかということを含めた、やはりほんとうの地域の自立ということを支えていくための側面からの新たな検討策ということも、ぜひ議論ができればなとちょっと思っております。
 最後に、冒頭いろいろ福祉局がこの間、精力的に取り組んできた施策なり、到達点のご報告があったんですが、私は先ほど、委員会のあり方の議論もありましたけれども、やっぱり共通認識で議論をできるだけ進めていくという点では、どのような施策を検討してきたかということとあわせて、先ほども、介護保険の要介護の認定に対する利用度の状況についてという質問がありましたが、東京の福祉の実態みたいな基礎的なデータというものをまずご紹介いただければ、それはそれで非常に有益なんではないかなという印象を持ちましたので、意見として述べさせていただきます。
 以上でございます。

○三浦委員長

 どうもありがとうございました。大分時間が押しておりますが、どうでしょうか、そのほか。どうぞ局長、お願いします。

○前川福祉局長

 何点か、不消化のままだとあとがちょっとしこりが残りますので、ちょっとコメントさせていただきます。
 1つは、新村先生がおっしゃった規制緩和の関係といいますか、東京都が何をすべきかということなんですが、これは私どもが主眼としているのは、仮に国が全国一律で、まあ、これも大変僣越な言い方をすると、どちらかといえば地方に引っ張られた福祉の展開をしているとすれば、大都市、特に東京にふさわしい福祉というのはちょっと違うだろうと。東京にはこれだけ民間企業もいれば、NPOもいれば、ボランティアもたくさんいて、また、地域社会も独特の濃密なものがあるわけですね。そういう中で、地域の中で自立できる福祉を展開していきたい。そのためには、場合によっては、先ほど企画担当部長も申し上げましたが、国の規制を乗り越えてやっていきたい。
 その場合に、じゃ、具体的にどうすべきかですね。それは率直に言って、我々も試行錯誤をしながらいろいろなことをやっているわけですけれども、それについて、もしこうすべきだとか、こういう方法があるということがあればぜひご提言いただきたいと、むしろ積極的にお願いをしたいと思っております。
 この問題は、一方では申し上げるまでもなく、極めて利害対立が絡んでくるわけですね。当然ながら、財源配分を変えたいとか、あるいは今の国庫補助金の配分のあり方を場合によっては問題にするわけですので、その辺になってくると、当然既得権を持っている方たちもいれば、新たに参入しようとする方々もいる。その辺のところはリアルに見ながら厳しくやる必要がある。そういう視点も踏まえて、ぜひ率直な現場の意見もいただければというのが眼目でございます。
 それから、先ほど小美濃先生もおっしゃった、NPO等を積極的にやるというの、あれはむしろやりたいと思っているのであって、例えば、障害者の重度生活寮等について、国がやっていないのを我々がやるとか、あるいは、先ほどいらっしゃる前にお話をしたんですが、虐待等につきましても、今度、児童相談所の児童福祉員の定数が約110ぐらいなんですけれども、これを一挙に22名増やすとかという形で、積極的に前に進んでいるつもりでございます。ですから、いろいろな予算上の理由で、若干微減があったのは事実ですが、トータルで見れば、むしろ予算上でも、組織定数等の面でも前に進んでいるんじゃないかなと我々は考えております。ですから、これでいいという意味ではありません。もっともっとやらなくちゃいけないというのはご指摘のとおりだということは重々わかっておりますので、ぜひいろいろな意味で、またご指摘いただければと思います。
 それから、吉田先生がおっしゃったのも全くそのとおりであって、我々そうだと思っているんですけれども、ただ先生もよくご存じのとおり、我々は決して低所得者対策をなおざりにしているわけではなくて、例えば、介護保険についても登録順にやろうということで、多少横やりが入ってもやっているわけですので、そういったこともぜひご理解いただきたい。必要なデータは、これは虐待白書をつくったことでもありまして、私どもは、例えば虐待の問題というのはどちらかというと、マスコミの方もおいでになりますが、ややもすると非常に観念的で抽象的な議論が多いんで、むしろ現場のデータをちゃんと押さえろということでやっているようなこともありますから、今お話があったことについては、できるだけ対応させていただきたいと考えております。
 以上です。

○三浦委員長

 どうもありがとうございました。
 時間がちょっと出ておりますし、今幾つか出ましたご意見、これに一つ一つお答えするよりも、むしろ冒頭で申し上げましたように、これから審議をする方向を考えるという意味で、大変貴重なご意見だと思います。ほんとうにありがとうございます。
 若干座長役としまして、今、局長からお答えがあったので、私が言うことはありませんけれども、例えば、先ほど審議会のあり方につきましては、前回からこれまで少し時間がかかったということについては、私は委員長としましては責任を感じておりますし、事務局ともども、このことについては反映できるように。やはり審議会自身を活性化するということが大変重要だろうと思いますので、この思いは大変私ども、共感するものでございますので、ぜひこれは実行するように、事務局ともご相談をさせてもらたいと思っております。
 その他、感想めいたことでは、例えばNPOの問題も出ましたけれども、先ほど、NPOに企業的感覚をと。アメリカ逆なんですね。ドラッカーか何かは、NPOに実は今の企業は学べと言っているんですね。残念ながら日本ではNPOの歴史が少なくて、NPOじゃなくて社会福祉法人だったんですね。それが全然役に立たない、そういう意味であったというふうなことでは、ご指摘のことがあったんだろうということを痛感をしたりしておりました。そのほかの、最後に局長がおっしゃいましたように、実は国の規制緩和というのは随分いろいろあるなということはあちこちで痛感しています。例えば、今、介護保険のお話がありましたように、低所得者の問題について、新聞の上では、せっかく出したものについて、国が大分文句をつけているようでございますね。つまり、特養だけに減免措置を認めている。この部分をいっぱい広げただけでも大分文句を言ってきたわけですけれども。これまでについてはまあどうかと私は思っておりますが、ぜひ頑張ってほしいなと思ったり、それから、独自の指定ということも、ぜひ検討していただきたいと思っておるし、また局長も、大分そういうお気持ちのようだと私もお聞きしました。どうぞ今後ともよろしくお願いしたいと思います。
 そんなことで、大体きょう予定しました議論につきましては、以上いろいろなことをいただきましたことを大変ありがたく思っておりますし、これらの問題を踏まえた上で、今後さらにどういうことを議論するかということにつきまして、いろいろご議論をさせていただきたいと思います。
 特にこれが大きな問題になりましたのは、例の支援費支給制度の問題でございます。これは基礎構造改革のときに出されております問題の一番大きな目玉の問題になってくるだろうということになりまして、これがまだ姿が全部見えないというお話でございました。そういった問題等含めまして、それが明らかになる状況の中で、また改めて日程等調整しまして、ご議論をいただければと思いますので、ぜひご協力のほどお願いしたいと思います。
 それでは、事務局のほうは大体こんなことでよろしゅうございましょうか。全体の議題は。

○松浦計画調整課長

 委員長が今おっしゃいましたように、支援費制度の内容が、国のほうでまだ明らかになっておりませんものですから、そのような状況を踏まえまして、今後日程を調整させていただきたいと思いますけれども、具体的にはやはり新年度に入りましてからということで予定させていただきたいと思います。

○三浦委員長

 どうもありがとうございました。ちょうど10分ほどお約束の時間よりオーバーしてしまいましたけれども、大変貴重なご意見をいただきましてありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
 それでは、本日の審議会を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

(午前11時40分閉会)

このページのトップに戻る