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平成12年6月16日

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福祉保健局総務部企画計理課
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東京都社会福祉審議会・第4回新しい福祉のあり方検討分科会の審議結果

1 開催日時

2 場 所 3 出席者 4 議 事
  1. 検討課題に関する報告
  2. その他
5 議事録

(午後6時37分開会)

○永田計画調整課長

 大変お待たせいたしました。高橋分科会会長が遅れておりますが、定刻を過ぎておりますので、早速始めさせていただきたいと思います。
 本日は何かとお忙しい中をご出席いただきまして、本当にありがとうございます。開会に先立ちまして、事務局より委員の皆様の出席につきまして御報告をさせていただきます。
 本分科会の委員総数は現在22名でございます。そのうち本日、所用のために欠席の報告をいただいております委員は、今井委員、野村委員、廣田委員、渡辺委員、杉野委員、鈴木委員、新美委員、前田委員でございます。したがいまして、本日、出席予定の委員の方々は14名となりますので、定足数に達することを報告させていただきます。
 それでは、次に、お手元に会議資料を配布してございます。資料1は東京都福祉のまちづくり推進協議会意見具申でございます。資料の2は「社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律案」に関する国会審議状況等についてでございます。資料3は「新しい福祉のあり方検討分科会」の検討課題についてでございます。資料の4は小高意見の意見でございます。資料の5は水谷委員の報告レジュメでございます。資料6は、第3回新しい福祉のあり方検討分科会会議議事録でございます。また、参考資料として、「福祉系NPOの人材派遣に関する報告書」をお配りしてございます。
 なお、本日の傍聴の方は、1名が予定されています。
 最後に、当分科会の議事録は、東京都のホームページに掲載されましてインターネットを通じて公開されますので、申し添えさせていただきます。  大変お待たせいたしました。それでは、副分科会長にバトンタッチをお願いをしたいと思います。よろしくどうぞお願い申し上げます。

○田端副分科会長

 それでは、高橋分科会長が遅れておりますので、それまでの間、進行を努めさせていただきます。
 それでは、最初に、まず、前回ご紹介いたしました臨時委員の2名の方にきょうおいでをいただいておりますので、自己紹介をお願いいたしたいと思います。それでは、秋元委員からどうぞよろしくお願いいたします。

○秋元委員

 東洋大学の秋元と申します。
 私、専門は社会福祉法制ということでして、前々回の議事録を拝見させていただいたんですが、そこで、基本的人権みたいなものが大事だというような話がたしかあったような記憶があるんですが、そこら辺のところでお手伝いできればと考えております。よろしくお願いいたします。

○田端副分科会長

 それでは、水谷委員、お願いいたします。

○水谷委員

 私、水谷正夫と申します。きょう、簡単な報告をさせていただきますので、簡単に申し上げます。
 NPO事業サポートセンターという、いわゆるNPOを支援するNPOというところで仕事をしておりまして、また同時に、長寿社会文化協会という社団法人があるんですけれども、そちらのほうの兼務しております。私は、主に福祉系のNPOを、とりわけ人材面で支援する活動を中核に行っておりまして、きょう、その部分のご報告を申し上げたいと思っております。以上でございます。

○田端副分科会長

 ありがとうございました。それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
 それで、本来でしたら、本日の予定に従いまして、資料についてのご報告、その他を始めるところなんですけれども、分科会長がいらっしゃってから順に従って進行するということで、今、自己紹介をいただきました水谷委員に、NPOの支援についてのご報告から先に伺わせていただくというように予定を変更したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○水谷委員

 それでは、ちょっとスケジュールと変わりますけれども、私のほうで用意しましたレジュメと、一番最後に、色のついた報告書がございます。これも実は私のほうでレポートしたものでございますけれども、それをあわせまして、30分程度お時間をいただいておりますので、ご報告と私の意見を多少申し上げたいと思います。では、失礼して座らせていただきます。
 お手元に、福祉人材に関して、NPO・市民活動団体が果たす役割についてという資料5がございます。これは、前年度になりますけれども、JT財団というところがございまして、そちら及び日本フィランソロピー協会の助成で研究したものでございます。それの調査データをご紹介しながら、この趣旨についてちょっと私の意見も述べていきたいと思っております。
 この調査は大きく2つの調査で構成されておりまして、1つは、NPO側に対する調査でございまして、要するに、NPOのリーダーの方々に対しまして、どういったような人材上の問題があるか、課題があるかどうかというようなご質問をしております。もう一つは、50代のビジネスマンを対象にいたしました、現役のビジネスマンなんですけれども、その方を対象にいたしました調査で、こちらは、いわゆるボランティア活動、あるいは市民活動に対する参加についての意見を聞いております。特に今回は、その中でも福祉系の市民活動について重点的に調査を行っております。
 これの報告をまず申し上げますと、まず、開いていただきますと、福祉系NPO・市民活動団体の活動実態という、皆様方の中では既にそういう活動家と接触されていらっしゃる方も多いと思いますけれども、私自身は日ごろそういう方々と直接やりとりしながら活動しているんですけれども、この調査は、全国のNPO法人を申請している団体、あるいは認証された団体を中心に調査を行いました。そのうち、とりわけ福祉系の活動をされている方を重点にして調査を行っております。1ページといいますか、開いたところにありますのは、まず、福祉系の活動をされている団体がどういったような活動を、中身がどういう活動なのかということを調査しておりますけれども、いわゆる家事援助、相談・助言、介助というような、あるいは介護、この辺が当然のことながら在宅支援をやっている福祉系の団体が多いわけですが、ところが、下のほうにデイサービスとか、遊びレクレーション、配食等々、かなり多様なサービスを実際にNPOの団体が行っているということを福祉系のNPOですね。この福祉系というのも高齢者介護には限りません。当然身体障害者の方、あるいは精神的な部分の障害を持っておられる方、そういったような分野の活動されている方も含まれております。
 実際にそういう市民活動団体がどのような運用しているか、特に組織面について見ておるんですけれども、本部運営スタッフは、特に保健・福祉系のは173の回答があったわけですけれども、比較的ほかのところと比べれば、本部の運営スタッフが50人以上いるというところが22.5%と多いんですけれども、やはり小規模な活動団体であるというのがわかっていただけると思います。
 次のページですけれども、それでは、どれぐらいの事業予算でやっているのかと。これが一番わかりやすいところなんですけれども、このようにNPO法人として認証、あるいは申請するというのは比較的大きな団体のほうなんですけれども、それにいたしましても、1,000万円未満のところが半数以上であると、年間の事業規模がですね。そのような状況になっておりまして、福祉系においてもそのような状況でございますね。半数以上というか、もう6割ぐらいになりますね。ですから、1,000万円を超えるというのは相当特別な団体であると、年間の予算がですね。
 そして、そのうち、実際に有給の常勤職員を抱えているところというのを見ておりますけれども、これも平均しますと二、三名というところでございまして、当然1,000万円以下の規模ではそんなに有給の職員を雇えないということでございますが、そういう非常に少人数のところでやっているわけでございます。そして、しかも、有給の常勤の職員の標準月額の収入なんですけれども、これは非常に低いと。これはちょっと業種別といいますか、産業名が出ていなかったんですけれども、全体で見ますと、20万円未満が6割を占めるということでございまして、二、三名の職員が非常に安い給料でやっているということが現在の福祉系の事業の状況でございます。
 そういう中でどういうような人事課題、今回は主に人材問題について焦点を当てまして聞きましたけれども、抱えているかということを調査しております。一番やはり課題として考えているのが、上の表のとおりなんですけれども、スタッフに適切な給料を払えないと。20万円未満ですから、当然一番大きな悩みになっていると。それから、専門能力を持った運営スタッフが不足しているというようになっていますね。続きまして、スタッフの保険、福利厚生などが不備であると。あるいは運営スタッフの絶対数の不足と。いわば、現場のボランティアの方々の不足というのも下のほうにあるんですけれども、実は福祉系のNPOに限らず、NPO全体に言えることなんですが、人材問題は運営をするスタッフ側、こちらの方々の問題が非常に深刻であるというのがこの調査から明らかになったわけでございます。今までこの部分ではあまりスポットは当てられてなかったんで、なかなかボランティア活動は現場の方々ということになるんですが、実は、運営側はスタッフ側の問題にかなり重要な課題を抱えておったということでございます。
 そういうことを前提に、じゃ、どのような運営スタッフが求められているのかを聞いております。まず、そういう中で実はこちらのほうで条件を出しまして、もし企業がそういう優秀な中高年の方々を派遣していただいたり、あるいはOBのキャリアのある方を受け入れられますかというような質問をしたんです。そうしますと、これは幾つでも回答ということですが、NPOの事情や知識を理解した人ならば受け入れられるというのが42%、NPOの運営風土に適応する人なら受け入れる。ほぼ同じぐらいですね。必要な時期だけお手伝いいただけるなら受け入れるということで、条件つきではありますけれども、企業で修得された技術、技能をぜひ、条件つきとはいえども受け入れたいというところが4割ぐらいのNPOであったということでございます。
 そして、特にどういうスキルを持った人かということが下の表でございますが、パソコン等の情報処理能力がある人とか、2番目がちょっとおもしろいんですが、営業能力やマーケティング能力のある人、ちょっとNPOとは思えないんですけれども、要するに、事業をつくり出す人ですね。それから、経理とか、財務の、そういう経理分野の専門知識、経験を持った人というようなことが上位に上がっておりまして、一般のビジネス界で活躍した人の本来持っておられる能力をかなり期待されているということがおわかりいただけると思います。
 次のページですが、それではどういう人物、人間性の部分でございますね。それについて質問しております。そうしますと、これは合計パーセント、非常に重視、かなり重視を足したもので並べかえておりますけれども、一番多かったのが仕事の責任感が強い人、これはどのような組織でもそうでございますね。ところが、2番目がちょっとあれっと思うことなんですが、相手の話や意見をよく聞く人、3番目に気配りと協調性のある人、それから、弱者への思いやりがある人と、さらに地位や肩書にこだわらない人と、こういう素質といいますか、人物像が期待されている。これは、実は私もかなり意外な部分もありまして、これは現在の民間企業では必ずしも喜ばれる方ではないんですね。あまり相手の話なんか聞いておったらだめでございます。私の意見を主張しなきゃいけないとか、あるいは弱者への思いやりなんかあまり考えておったら、出世に乗りおくれてしまうとか、そういう意味でいいますと、必ずしも企業の中でエリートで出世した人ばかりでなくて、むしろもう少し人間性の豊かな人を求めていらっしゃるというのがおわかりいただけると思います。こういう技量と、あるいは人間性のある方というのがおわかりいただけるかと思います。
 その次のページからは話が逆になりまして、今度は企業人材のほうがどういう関心を持っているかという調査でございます。NPOで自己の能力を発揮したいかどうかということを聞いておるんですけれども、実は、この質問の前に非常に私としてショッキングなデータがあったんですけれども、そもそもNPOを知っているかどうかという質問をしたんです。最近、新聞とかマスコミでNPOの話題が出ない日はないぐらい紙上で話題になっているという理解があったんですけれども、実際の調査、データでは50歳の現役のビジネスマンのうち、NPOという名前をこの調査で初めて知ったという人が3分の1もおりました。名前すら知らなかったというのが恐ろしい実態でございまして、何となく名前を聞いたことはあるという人が3分の1で、非常によく知っているというか、具体的なNPOの中身までよく知っているという人はわずか5%ほどだったんです。ですので、基本的に企業人の人たちはNPOについてもう無知であるというか、こういうNPOだ、NGOだという言葉の略式はほかにもたくさんあるわけでして、そういう混同もあると思うんですけれども、実は、そういう状況が、私が予想したよりもNPOに対するまず認知が低かったということは驚きでありました。
 それで、一応そういうことも想定されましたので、NPOの説明をした後、じゃ、そういう組織で自分の能力を発揮したいかどうかということを質問したわけですが、活かせるものならば活かしてみたいというのが、意外にもその認知とは異なりまして半数以上でございます。強く活かしたいというところまで感じる人は2%で少ないんですけれども、もし何か自分がマッチングできれば活かしたいという人が半数以上あったと。それから、さらに企業人ですので、もし会社のほうで経済的なサポートがあった場合はいかがでしょうかということで、NPOに参加するでしょうかという質問なんですが、それは考えてもよいという人が63.8%ですね。6割強の方が参加してもよい。積極的に志願するという人も8%ですね、約1割弱ですが、そういう参加したいという人が1割弱いたということでございます。
 そういう方々、参加を考えてもいい方々にその関心分野を聞いております。これが下でございまして、多い順に上げておりますが、一番多いのは環境系のNPOでございます。次、災害救助、地域安全というふうにきておりまして、これ、男性のビジネスマンということもあるんですけれども、福祉は24.2%というので、順位としては低いんですけれども、それでも4人に1人ぐらいの方が医療、福祉系のNPOにも関心を持っておられるということがわかりました。
 以上が企業人とNPO側で調査をしたものなんですけれども、本題であります企業人材が、それでは実際にNPOの中でうまくいくのだろうかということは、これは先ほどの調査でも、NPO側でNPOのことを十分理解していただいた方とか、あるいはNPOの風土に合う方ということが条件でございましたけれども、そういう方は一体どういう方なのかというのを調査といいますか、調べてみたのが次のページでございます。
 これは、こういう方々が多分NPOに合うんじゃないだろうかということでございまして、これは、NPOの参加意向の強い方とそうでない方でグループを分けまして、ライフスタイルの特徴という質問肢をしておるんですけれども、そういう中でその差の大きい順に並べたものでございます。そうしますと、このようなライフスタイルを持った方が非常にNPO向きというとおかしいんですけれども、一番大きかったのは、新しい環境でこれまでの地位役割を捨て白紙からスタートできるというのが一番大きな有意差がございました。2番目、社会的意義のあることならば今の仕事を継続することにこだわらない。つまり、やめても構わないと。要するに、成功体験を捨てて、みずからその社会貢献の中に挑戦できるという、当たり前と言えば当たり前なんですけれども、そういう肩書なんかを捨てられる方という方がやはり非常にNPOの参加要素を持つ方々だということがわかりました。
 そして、個人の条件だけでなくてもう一つ大きな条件は、やはり企業側の支援ということも重要だと思うので、ビジネスマンの方に、どのような企業のスタンスがあればよろしいかということを聞いております。これは、当然、ボランティア休暇など社員が活動に参加しやすい環境の整備、これは当然ですね。それから、企業は社会貢献の意味で、もっとNPOに経済的な支援をすべきと、こういうことは当然なんですけれども、3番目に、求めに応じて企業は知識や技術を持つ人材をNPOに提供する、あるいは、次の企業とNPOが定期的に人的な交流を持つシステムをつくると。こういう企業がやはりもっと積極的にNPOに人材を提供すると言ったらおかしいでしょうけれども、協力するシステムづくりが非常に重要であるということをビジネスマンのほうは答えておりました。
 こういうことを総合いたしまして、こちらの報告なんですけれども、ビジネスマンの方々に実際にNPOの現場に行っていただきまして、ほんとうに適応できるかどうか、もし適応できないとすると、どういう問題があるのか、それを調査するために行ったものでございます。これは、世田谷区の福祉系のNPOのご協力を中心に行ったんですけれども、9名の一般公募をいたしまして、9名の方が実際に現場に3カ月間実体験をしていただきました。そういう中で何が起こったのかというのをつぶさにレポートしております。福祉系のNPOといいますと、やはり現場がすさまじいと言ったら何なんですけれども、やはりそこに身体障害者の方もいらっしゃれば、リーダー自身が身体障害者だというところも結構あるわけですね。あるいは高齢者の介護のために日夜汗を流しておられる方々がいるという、そういう現場へ実際に行っていただいて、事務的な部門のサポートをしていただいたということでございます。当初、やはりNPO側に、ものすごく受け入れる側に不安がありまして、そういう企業経験者が入ってくるとかえって混乱するんじゃないかとか、あるいは企業で実際に派遣される方もやはり自分たちが今まで経験した世界と全く違うんで、かなりの緊張感で突入したわけですが、結果的にはかなりうまく対応していただいた、両者の努力がうまくいったと思うんですけれども、実際に研修は3カ月間だったんですけれども、その後も継続してボランティア活動をされている方が大部分でございます。
 そういうことで、福祉系の人材問題ということで、やはり今までボランティアの部分も含めまして第一線でケアをする、介護をする方々、その方の重要性を当然今も変わりないわけですけれども、実は、もう一歩それを支えるべきスタッフ側の人材という問題も非常に重要でありまして、その方々の果たす役割が非常に、特にリーダーといいますか、運営側の方々にとっては重要であり、その中に今まで最もそのようなNPOといいますか、市民活動に遠かった方々、すなわち、企業の中で働いていらっしゃった方々なんですけれども、そういう方々が実は活躍する場面があったということが大きな発見であります。今後、NPOに限らず、この福祉人材分野では多様な人材のニーズがあると思うんですね。一番今福祉系で現場で活躍されていらっしゃるのは主婦の方々でございます。もう数の上でも質の上でも、特に市民活動の現場では主婦パワーの方々を無視して、政策はできないと思うんですね。
 ただ、もう一方で、昨年できましたNPO法のもとで、NPO自身も法人格という新しい組織としての責任を持つようになってまいりました。これは、いわば、企業と同じように、きちっとした会計をしなきゃいけないとか、あるいは雇用があれば雇用保険もきちっとしなきゃいけないとか、そういうマネジメント力も要請されるようになってきたわけでございます。そういう意味におきまして、NPOも今、大きくその様相が変わっている最中だということでございます。多少今まで福祉系の、特に主婦パワーで動かしてきたところはなかなかやはりそういう経営とか、マネジメントといいますかね、そういうのに苦手な方が多かったわけでございまして、そこにある種、せっかくいいことをやっておられながら、組織がなかなかうまく回らないといいますか、あるいは経済的に非常に苦しいために思いが十分達成できないと、そういう現場が非常に多かったわけでございますね。現在もそうでございます。そういう中に、新しいパワーとしてそういう産業界で経験を持たれた方々が支援するということによりまして、その組織の自立力が高まる可能性が出てきたわけでございます。
 このような形で参加するという形態もありましょうし、あるいは今後、さらにビジネスマンに限らず、若い方々がこの福祉分野を中心としたNPOに参加するきっかけづくりといたしまして、まずはそういう広報活動とか、あるいはいろいろなイベントをしていくとか、そういったようなことの重要性が高まっていくと思うんですね。そういうことにおきましても、そういう企業人材の方々が果たす役割というのは非常に大きく期待されるんじゃないかということで、求められる多様な専門能力でございますが、それをぜひNPOの中に生かしていきたいということを私は求めておりまして、それを達成する努力の一助になればと思っております。
 最後に、一番最終ページに、それでは、福祉系NPOは、特に介護保険の絡みでどのような対応をとろうとしているのかを、これは別の調査でございますけれども、これは昨年実施したものでございますが、対応の取り組み姿勢といいましょうかね、そういうものを聞いております。これは、純粋な市民活動団体ですので、社協さんは調査には入っておりませんけれども、市民互助の福祉系の、NPOとは限りません。団体でございます。その中で、そういう団体に対しまして、まず、いわゆる指定居宅サービス事業者になるつもりはあるかどうかということを聞いております。回答は136団体でございまして、その「申請中」、あるいは「許可済み」とかということになるんですけれども、そこに掲げる下の図、これで見ていただいたらわかりますように、やはり「申請予定なし」というのが結構多いわけですね。あるいは「不明」というのも、なかなかこれは難しいというふうな意味合いが強いわけで、意外と介護保険の指定居宅サービス業者になろうというところは、それほどまだまだ多数じゃないということでございます。
 そこで、NPO側でも、いわゆる指定居宅サービス事業者側になるNPO側と、それから、それはよしとせず、あくまでも今までのボランティア活動をやっていこうという、大きくその2つのグループがあるんですけれども、その指定居宅サービス事業者に申請したところ、あるいは申請しようとしているところの理由が次のところにございます。利用者の権利を守るためとかいろいろありますが、あくまでも利用者にとって多様な選択肢が必要と考えたという、この最後のところでちょっと意味合いがございまして、結局、今、既にもう何年も現場で介護をされていますと、当然多数の利用者がいらっしゃるわけですね。その利用者が結果的に要介護認定を受けられてしまったというのは当然あるわけございまして、そういう方々の要請にこたえると、どちらかというとそういう意味合いが込められております。ですので、その選択肢として選べるようにしてあげたいということでございます。
 逆に、一番右下にあります指定居宅サービス事業者申請をしないという団体の回答がございます。これは、団体の理念と違うということとかございますが、介護保険の枠外サービスのほうが重要だと思うと。いわゆる介護保険枠内よりも枠外のほうが重要だというふうに、これは意識的にそちらにシフトするという、団体の理念と違うというのもかなりそれに近いと思うんですね。それで、民間企業と同様、指定居宅サービス事業者としてやっていこうというところは、利用者側のいろんな選択肢にこたえたいと。一方、あくまでもボランティア・市民活動団体は、枠外サービスに徹するべきだ、こういう見解、この2派がありまして、比率的には後者ほうがまだ圧倒的に多いわけでございます。今後、介護保険の中で言われます介護予防の分野、枠外といいますか、そういう分野のほうでむしろ活躍すべきだという考えを持っておられる市民活動団体も非常に多いということで、ご参考になればと思っております。
 以上、大体お時間のほうで、よろしいでしょうか。また、お時間がありましたら、後日、ご質問にお答えしたいと思います。以上です。

○高橋分科会長

 ありがとうございました。ちょっと遅くなりまして、失礼をいたしました。
 今、水谷さんにNPOの、特に人的な側面でさまざまな調査プロジェクトをご紹介いただきながら幾つかの論点をお話をいただきましたけれども、何かご質問等ございましょうか。
 よろしければ、NPOの問題、テーマというのは今回の新しい福祉のあり方ということで言えば、非常に重要なトピックスになろうと思います。その上で私の視点で言うと、従来サービスの担い手としてNPOを想定するという、そういう局面から、どうやらもうちょっと違った機能をNPOに期待しなければならないという、そういう局面も出始めてきているな。特にこのテーマで言えば、利用支援ということをちょうどご議論いただくわけでございますが、その場面でNPOに期待するという、そういう側面も非常に出てきて、そういう意味で言えば、最後にお話ししになった2班に分かれるというのは大変興味深い議論でございまして、多分そこら辺のことを含めて、これからまたここでもご議論をいただかなければなりません。いわゆる公的なサービスやさまざまな民間営利事業のサービスを補完するNPOというイメージから、固有のNPOのあり方をもう一度改めて考え直すという、そういう視点が非常に重要かと思っておりますので、大変ありがとうございました。
 そして、それが何よりもさまざまな多様なバックグラウンドをどうやってクロスオーバーさせるかという、要するに、今までセパレートしてNPOとPOがあったわけですが、それをどうクロスオーバーさせていくかという、そこら辺もかなり大事、GOのほうもそうですが、GOとNGOと、NPOとPOという、そこら辺をどういうふうに相互にクロスオーバーして議論を考えるかという、そういう視点もあろうかと思いますが、ぜひそこら辺も含めてよろしくお願いをいたします。
 私が遅刻した関係で議事を、予定をしておりました順序を変更しておりましたが、報告事項等があるようでございますので、事務局のほうから、まちづくりの推進協議会の意見具申についてご報告、ご説明がいただけるようでございます。よろしくお願いをいたします。

○枦山地域福祉推進部副参事

 まちづくりの関係で、推進協議会の意見具申につきまして、私のほうからご説明いたします。資料1と意見具申の冊子をあわせてごらんいただきますようお願いいたします。
 福祉のまちづくりに関しましては、東京都におきましては、平成7年3月に条例を制定いたしまして、8年9月に施行規則を整備し全面施行、また、10年には「ハートフル東京推進プラン」を策定いたしまして、都民、事業者、行政の協働によりまして、「やさしいまち東京」の実現に向けて取り組みを進めてまいったところでございます。条例制定から5年、全面施行から4年が経過いたしまして、急速な少子・高齢社会の進展ですとか、子育て支援のための環境整備の必要性の高まり、ユニバーサルデザインの理念が提唱されて徐々に普及するといったこと、福祉用具の技術進歩といったこと、福祉を取り巻く環境が大きく変化しているといった状況のもとで、去る5月31日に東京福祉のまちづくり推進協議会から、東京福祉のまちづくり整備基準等の改正の考え方についてという意見具申をいただきました。
 この意見具申におきましては、より一層高齢者、障害者等を含むだれもが自由に行動し、社会参加ができるまちづくりを目指して、東京福祉のまちづくり条例に基づきます整備基準等の改正をするようにということで提言をしております。以下、意見具申の主な内容につきまして説明いたします。
 主な内容といたしましては5点ございます。わかりやすい表がございますので、申しわけありませんけれども、この意見具申の冊子の21ページをお開きください。今回改正の具申の大きな目玉としまして、居住施設におきます一般都市施設化ということがございます。今回の改正につきましては、網かけと●で表示しておりますので、こちらの表の見方といたしましては、網かけのところ、●のところをごらんいただくようになると思います。
 まず、左側中ほどの共同住宅でございますが、まず第1に、共同住宅を一般都市施設としまして条例の対象としまして、そのうち5,000平米を超える施設につきましては都知事への届け出対象とし、共用部分のバリアフリー化を図るようにしたことでございます。共同住宅につきましては、従前から課題となっておりましたけれども、このたび改造等がなかなか困難な共用部分の廊下、エレベーター等の整備を対象といたすということでございます。
 第2は、表の中ほどにあります★のところでございますが、利便性の高い地域で身近なコンビニエンスストアですとか、ディスカウントショップ、ファーストフード店といった小規模の物販店舗や飲食店のバリアフリー化を進めるため、これまで届け出対象を500平米を超える施設というふうにしておりましたところを200平米を超える施設というふうに範囲を広げまして、より多くの施設のバリアフリー化を進めるということでございます。今回、こちらの表では★がついているところになります。
 第3点目といたしまして、高齢者、障害者等の活動の範囲を広げるため、エレベーターやユニバーサルデザイン化をしました、「だれでもトイレ」をより多くの施設に整備することでございます。例えば表の中ほどにございます7と8のところでございますが、中規模の500平米を超える物販店舗、飲食店、サービス店舗で2階以上にお客様が利用するスペースがある場合にはエレベーターの設置が必要になります。また、小規模の施設を含めまして、不特定多数の方が利用するトイレを設置するコンビニエンスストアといった場合は、高齢者、障害者、妊婦、子育て中の方等のだれでも利用できるトイレを設置していただくことが求められます。
 第4は、男女がともに育児に携わる子育て環境を整備するため、上の欄でいいますと、12にありますように、ベビーチェア、ベビーベッド、また、子育て中の長時間の利用が想定されますデパート等の大規模物販店舗におきまして、授乳場所の整備が必要となるということでございます。
 第5点目としまして、13番にございます公共的通路でございます。道路区域に属さない建築敷地内通路ですとか、地下鉄連絡通路、ペデストリアンデッキなど、屋内・屋外における公共的通路のバリアフリー化を図っていくということでございます。具体的に申し上げますと、例えば都庁の隣にありますNSビルの1階部分など、不特定多数の方が道路と同じように通行している施設の廊下や出入り口に条例の網をかけて、バリアフリー化をしていくということであります。さらに、この意見具申におきましては、交通バリアフリー法、それから、点字ブロックのJIS化の動き等にも整合性をとるようにということで求められております。
 今後、東京都といたしましては、第3回定例都議会に条例改正案をお諮りし、整備基準等の改正をする予定にしております。現在のところ、13年1月1日の施行を目途に作業を進めております。以上です。

○高橋分科会長

 ありがとうございました。
 13年1月1日から施行ということは、そこの時点から整備されるものについてこれが、条例が適用されると、そういう考え方ですか。

○枦山地域福祉推進部副参事

 13年の1月1日に届け出をされる施設から対象になるということで考えております。

○高橋分科会長

 これは個人的な感想でございますけれども、共用マンションということで言えば、あれはバリアーフリーという意味で、あれはほんとうに高齢とか、障害にどの程度、ああいう巨大高層マンションが対応できているのかなというのがあります。何か、よろしゅうございましょうか。ありがとうございました。
 これも新しい福祉のあり方を考えるために重要なポイントでございますので、ひとつよろしくお願いをいたします。とりわけやっぱり大都市では、居住部分での福祉的環境を特段の整備を図るという、一層取り組みをぜひお願いをしなければならないことかと思います。
 それでは、新村委員のほうから。

○新村委員

 済みません。1つご質問してよろしゅうございましょうか。
 すばらしい考え方、意見が出たと思うんですけれども、既存の建物に関する何か誘導、補助というような施策について何か意見が具申されているのでしょうか。例えば改造するための誘導的措置──融資、助成というようなことはこの中には入っていないのでしょうか。

○枦山地域福祉推進部副参事

 福祉のまちづくり条例の対象とします施設というのは、新設の場合と建築基準法によります届け出を必要とする大規模なというか、かなり大がかりな改装ですとか、改築というのが対象になってきます。誘導等の関係につきましては、あくまでも基準を定めてひとしく都民の事業者の方、都民の皆さんにお願いをするという条例ですので、誘導等につきましてはこの条例の中には盛り込まれてはおりません。

○高橋分科会長

 ありがとうございました。  それでは、社会福祉法についてご報告があるようでございます。資料2ですか。

○永田計画調整課長

 お手元の資料2をごらんいただきたいと思います。
 この「社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律案」につきましては、前回の委員会でご報告をさせていただいております。前回の報告後、5月29日に参議院の本会議におきまして可決され、6月7日から施行をされてございます。ご承知のとおり、この法につきましては、3段階に分かれて施行されていくということでございますけれども、6月7日から第1段の施行がされて、13年の4月、それから、15年の4月という形で3段階で施行がされていくということでございます。
 次のページをめくっていただきますと、この法案を成立するに当たりまして、審議の過程で附帯決議がつけられてございます。5月11日でございますけれども、衆議院の本会議におきまして、附帯決議16項目がございます。また、5月26日、参議院の本会議におきまして10項目の附帯決議がついているということでございます。いずれにいたしましても、この附帯決議によりまして、弾力的な運営でありますとか、あるいはさらに利用者の立場に立った施策を進めるようにといったような観点で附帯決議がされているところでございます。
 社会福祉法関係、以上でございます。

○高橋分科会長

 ありがとうございました。よろしゅうございましょうか。社会福祉法の改正により15年まで幾つかの議論がこれから出てくるわけでございますが、この審議会の検討は、まさにその社会福祉法の改正、社会福祉法の成立を踏まえた、そういう議論ということでございます。後ほどご審議いただく利用援助というのは、今回の社会福祉法の改正の一つの眼目でございますので、それに即した審議をこれから展開し、特に東京都としてのあり方というものをこれからこの審議会でご審議をいただくという、そういうことになろうかと思います。
 何か、よろしゅうございますか。それでは、なければ引き続きまして、次の議事に入らせていただきます。
 前回の分科会では、検討課題の案についてご説明をいたしましたけれども、基本的に新たな福祉サービスの利用支援のあり方ということを、焦点に当てて新しい福祉のあり方を考えていくという、そういう考え方で検討を進めるということでご了解をいただきましたが、本日は、前回お示しをいたしました検討課題の案につきまして、皆様からのご意見等を参考にしながら、改めて地域の福祉、これは、実は今回の社会福祉法の理念がまさにそうでございますが、そういう観点を入れてまとめたものを事務局のほうでご用意をいただきましたので、これについてご説明をお願いいたします。

○永田計画調整課長

 資料の3をごらんいただきたいと思います。
 資料の3は、前回お示しいたしました検討課題をさらに整理をいたしまして、テーマとか、趣旨のところについては基本的に変わっておりませんけれども、特に趣旨の○の5つ目になりますか、また、自己決定能力が必ずしも十分でなく、自らサービスを選択する場合に困難を伴う人々に対しても、サービス利用を支援していく必要がある。この項目が加わってございます。
 次のページをお開きいただきまして、3の主な論点でございます。ここも1番目のところは基本的には変わっておりませんけれども、2つ目、3つ目のところについて少し字句を加えまして、サービスの利用支援のあり方では、地域におけるサービスのコーディネートでありますとか、それから、新たなサービス利用支援の枠組みの中での「東京都の役割」についての検討、(3)の中では、利用支援、あるいは地域における多様なサービス、事業者育成、NPO支援等も含めまして、各分野を担う人材の養成、これを多様な手法で行っていくというような観点をここに加えてございます。
 次をおめくりいただきまして、これは、前回お示しした主な論点の概念図でございますけれども、ここで全体的に地域福祉という観点を少し加えまして、大きく二重線で囲ってございますように、地域の福祉というような、必ずしも全部のサービスをこの中に網羅しているわけでございませんけれども、いわゆる、サービス利用の観点で必要とされるような分野、そういったものをここで再整理をしてございます。ですから、先ほど申し上げましたように、地域の福祉の左側のほう、破線で囲ってあるところでございますけれども、ここにサービスの情報の提供から苦情への対応といったようなところを少しコーディネートをしていく機能、こういったようなものが利用者にとって必要とされていくんではなかろうか。こういったようなコーディネートの機能といったようなものも観点に入れまして構成をしてございます。
 そして、もう1点でございますけれども、その二重線の枠組みの中に成年後見制度と地域福祉権利擁護事業といったようなものもこの中に大きく利用者のサービス利用支援を行っていくという観点で1点加えてございます。この辺のところにつきましては、リバースモーゲッジ、それから、成年後見制度と地域福祉権利擁護事業、それから、事業者の育成等につきましては、また別途、この課題については整理をしていく必要があるかというふうに考えてございます。そういった観点で、下のほうにございますように、それぞれの必要とする人材、こういったものも含めて、今回この分科会においてご検討をいただいてはどうかなというふうなご提案でございます。

○高橋分科会長

 ありがとうございました。いかがでございましょうか。
 引き続き、このテーマについて小高委員からもご意見をちょうだいをしておりますので、資料4でございますか、きょう添付をしていただきました。もし小高委員、よろしければこのご意見に従いましてご説明をしていただけたら幸いでございます。

○小高委員

 はい。前も申し上げましたように、福祉の理念ということをもう一度しっかりとここで押さえていただいて、そして、それを啓蒙とか、福祉教育とか、そういうことに広げっていっていただきたいと思うんですが。

○高橋分科会長

 はい。ありがとうございます。これは、実は、おそらく今回の分科会の基調で、利用支援ということを中心にお諮りしたとおりでございます。その前提になりますのはやはり都民の、特に今回、社会福祉法で地域住民という言葉が社会福祉の主体としてとらえられるようになって、福祉地域住民と社会福祉に関する事業を行う者と社会福祉に関する活動を行う者が福祉サービスを必要とする地域住民にという、そういう表現で、社会福祉主体がとらえられるようになりましたので、まさに都民全体が福祉人材であるという、そういう視点ということになろうかと思いまして、これはご提言のとおりかと思います。それを踏まえまして福祉教育とか、バリアフリーの問題ということはこの分科会の検討の前提になり、なおかつ、新しい福祉のあり方の上で、この問題は新たな照明を当てていくという、そういう必要もあろうかと思います。ご提言の趣旨につきましては、ぜひこの検討の中で生かしていきたいと思いますし、その上でさらに、折々に触れてまたご意見を伺う機会を設けたいと思っておりますので、そんなことでいかがでございましょうか。
 なお、ご意見、ご質問、今の小高委員のこと、ご提言も含めまして、事務局のほうの整理に対してご意見、ご質問等があればぜひお出しいただけたらと思いますが。大橋委員、よろしくお願いします。

○大橋委員

 きょう、なぜ水谷委員さんのNPOの話をすることになったのかということもちょっとよくわからなくて、NPOのことはNPOのことで、東京都の新しい福祉サービスのあり方の一つとしてNPOをどう支援していくかと、これは非常に大きな問題ですから、それはそれで実に素直に入るんですが、きょうの新たな福祉サービスの利用支援のあり方の中で、なぜ今報告しなくちゃいけないのかというのが私にはよくわからない。
 前回も話をしましたし、議事録を見てもそうですが、どうみても、今、一番重要な部分は、きょうの資料3の最後のページの括弧の中の網かけがしてあるコーディネートの機能の部分というものがどうもうまくいっていないじゃないかと。サービス利用支援というふうに言う以上はこの部分をやるしかないでしょう。大道先生も、新村委員もみんな同じようなことを言ったわけです。私はコミュニティソーシャルワークということだって、それをシステム論としてやるのが今一番大きな問題ではないかと、こう言って、それを受けてこれをやってくれたのはいいんですね。ところが、これならこれでわかるのに、何でまた右のほうが出てくるのかよくわからない。これをやるんだとすれば、右の事業者のほうは左のほうにあってね、あるいはどっち側かわかんないけど、要するに、サービスを利用する上でいろいろ問題があったときにどうするんだという話だったら利用支援で非常に素直なんですよ。
 今回の法律改正でも、サービス利用援助事業というのがわざわざ入ったわけですからね。だから、サービス利用支援のあり方といったら、素直に読めば、サービス利用援助事業を中心にして、コーディネート機能なり、苦情対応なり、あるいは非常に個別的な援助をどうしていくのか、あるいはサービスのミスマッチをどうするかっていうふうに、実に素直にいくはずなんですよ。やっちゃいけないとは言わないと言っているんですよ。ただ、全体の中でちゃんと全体を鳥瞰していただいて、今回はここだというふうに言うんだったら納得しますよと。
 新村委員さんは、わざわざ前回のときに大橋さんの話の聞いて、1つでよろしいんですねと念を押している、議事録に書いてあるんですよ。だから、テーマを変えて、新たな福祉サービスの時代における、例えばNPO支援だとか、福祉サービス事業者の支援のあり方というんだったら、それはそれで一つですよ、それは。実に僕は大事な問題だと思っているんですね。いろんなところで、例えばけさの新聞でもそうですが、コムスンが撤退するとかしないとかという話になってきて、非常に大きな問題ですから、それはそれとして、NPOがどうみたってやっぱり福祉の分野じゃ重要だというんで、それをもっと大事に育てていこうというんだったら、私はもうずうっとボランティアセクターのことを研究をやってきたんですから、もう大賛成でもろ手を挙げて賛成だし、それが大東京においても重要だというのがわかる。それはそれでいい。
 それから、サービス利用支援ならば、サービス利用援助事業に関してコーディネートをどうするか、ソーシャルワークをどうするかというシステムで、これは、前期の社会福祉審議会の答申の、いわば、延長上にくるじゃないか。それも素直にわかる。今回は一体何をやりたいのかと。逆に言えば、資料3の1ページで言っているこの趣旨の項目と3枚目の図とはうまく合ってないし、2ページ目の主な論点の(1)のところは、今の小高委員の、いわば趣旨ですからいいんですけど、問題は(2)ですよ。サービス利用支援のあり方と、こういっていると、地域のおけるサービスのコーディネートだったら、これ、素直に今の法律改正の中身だからいいけれども、上の東京という大都市の状況を踏まえた仕組みの構築、3番目の新たなサービス利用支援の枠組みの中での「東京都の役割」についての検討、非常に何か抽象に言っている。それで、「起草委員会をつくります。あとお願いします」というので果たしていいんだろうかということも、実に不自然だということだけは議事録にとどめていただきたい。何のための審議会なのかさっぱりわからない。そこだけ言っておきます。あとはどうぞお任せいたします。

○高橋分科会長

 ありがとうございます。厳しいご叱正をいただきましたが、いかがでございましょうか。
 基本的にはコーディネート機能というか、そこら辺を軸に東京都として何ができるかという議論でかなり絞られてきているという、そういう感じがあるですが、少し委員の先生方、補足をしていただけたらと思いますが……。

○大橋委員

 どうみても2つの問題が入っているんですよ。だから、サービス利用支援のあり方と、こういうことに言うんだったらば、社会福祉法で言うところのサービス利用援助事業を中心にしながら、東京都が従来やってきた高齢者サービスセンターだとか、子ども家庭支援センターだとか、あるいは障害者地域自立生活支援センターなんかでいっているところのコーディネート機能とか、ケアマネジメントとか、コミュニティソーシャルワークとかいう問題を前面に立てたらいいんですよ。それとの絡みで苦情対応の問題をどんどんやればいいんですよ。
 それはそれとして、サービスが十分じゃないというふうに言うならば、それは社会福祉法人のあり方とか、NPOの問題だとか含めて新しい社会システムとして官、公共、官といったらもう昔と違うかもしれませんが、行政自身がやるのか、公というところでやるのか、公をどの範囲まで広げるのか、民というのをどういうふうに考えるのかというふうなことを、全体的にサービスの多元化ということも東京都は一貫して言ってきたわけだから、それについてやりましょうというのは、それはそれで新しいサービスのあり方として非常に重要なんですよ。何かくっつけようとするから無理があるし、だから、もしあれだったらテーマを変えればいいんですよ。どっちも必要なんですよ。そのどっちかをやるというんなら納得する。僕個人は、さっき言ったように、コーディネート機能がすごく重要だと思っていますよ。だけど、全体がそうじゃなくて、もう一方もやりたいというならそれはそれでいいけど、そうしたらテーマを変えるべきですよ。

○高橋分科会長

 先ほど言いましたような福祉をめぐる環境の変化の中に福祉サービスの必要、新しい構造の変化を踏まえた議論が入ってくる。それを受けて、ここでは利用者の支援方式とか、新しい契約制度が入ってまいりますから、利用支援制度を東京都としてどういうフォーカスをする、考えるかという、そういう議論として設定をしているという、そういうことかと思いますけれども。

○大橋委員

 利用支援と言ったときに、素直に関係者がどういうふうに受けとめるかと言えば、一番端的な見方は、社会福祉法人というところのサービス利用援助事業というところにいっちゃいますよ。だけど、そうじゃなくて、ここで言っている利用者と事業者の契約のあり方の問題だとかね、そういうところに焦点を当てていくというのは、それはそれで一ついいわけですよ。その提案のあり方というのは、ある意味ではサービス供給組織というものをどういうふうに考えて、それを利用者がどういうふうに利用できるような仕組みにしていくのか、そっちのほうにウエートがあるなら、ウエートの置き方でもそれは構わないですよと、こう言っているんです。ただ、利用支援という言葉を使ったとすれば、それは素直に受けとめ方ができませんということを前回から言っているわけです。
 僕自身は、利用支援と言った場合には、その言葉を使う使わないは別として、コーディネート機能のほうがすごく大事じゃないんですかと、介護保険を含めてみんなもう悩んじゃっている、児童虐待の問題といい、それから、サービス評価で、中身は実際にはそこのところに入っているわけだから、ソーシャルワークということでやったらどうですか。全体の流れの中でそこに目が行かないということであるならば、そうじゃなくたって結構ですよ、それはそれで重要なことだから。ただ、その場合には利用支援という言葉は使わないほうが紛らわしくなくてよろしいのではないでしょうか。

○高橋分科会長

 趣旨はよく踏まえまして、起草委員会のほうの議論の中でそれを踏まえまして、課題をもう一回整理をし直して、当然、起草作業の中で軌道修正というか、そういう形でさせていただければと思いますが。よろしいでしょうか。小林委員、何か今の大橋委員の発言にコメントをいただけますでしょうか。

○小林委員

 介護保険が始まったというのがまず前提になって、当然介護保険の利用者というか、被保険者と事業者との間でのいろんなサービスのやりとりが行われるようになったと、これは大前提にあるわけですね。それはもうもちろん介護支援専門員がいるわけですから、コーディネートが行われているわけですから、そこはもちろんコーディネートと言っているわけではないわけですね、まず、大前提。ただし、そこから派生してくる問題がいろいろあるから、自治体がやるようにするか、地方自治体がやるか、あるいは都がやるかわかりませんけど、何らかの介護保険に対して公的な助言というか、支援というのかよくわかりませんけど、そういうふうなものは必要になってくるだろうというのは一つの論点で、それについては、ここに書いてあります成年後見ですとか、地域福祉権利擁護ですか、事業者育成とか、これはそれに関することというふうに考えてよろしいんでしょうかね、この図の考え方は。
 それ以外に、ここの左側の、今、大橋先生が言われたコーディネートと書いてあるサービスの情報提供、利用支援、サービスの調整、苦情というのは、これは、そうするとそれ以外のもちろんコーディネート機能というふうに解していいんでしょうね。ということになりますと、当然のことですけれども、介護保険のサービスだけがもちろんそのコーディネートの対象じゃないわけで、もっと広く地域でサービスのコーディネートをしなくちゃいけないということは確かです。これはもうどこかでやらなくちゃならないだろう。当然、多分自治体が今の仕組みですと、在宅介護支援センター等を使って、あるいはほかの保健福祉センターでも結構なんですが、そういうふうな機関、組織がかかわって、つまり、介護保険を包むというか、よくわかりませんけど、何かそこの部分をコーディネートするという概念なのかなという理解を今しておりますけれども、これについては多分都が何らかの形でその政策的にかかわることはあり得るという、そういう解釈なのかというふうに今考えていたんです。ですから、コーディネートというのは、介護保険のコーディネートではなくて、もっと一般的な施策との関連で自治体が主に実施する、あるいは社協と、もちろん民間も含めていいと思うんですけれども、が実施する諸サービスとの関連で何か調整が必要になってくるという、こういう理解で、そこをもうちょっとはっきり役割をさせて何らかの調整ができるようにしようという。
 これは今、幾つか自治体に行って聞いておりましたけれども、介護保険が始まって介護保険課というのができたと。今まで高齢福祉課とか、老人福祉課というのがあるわけですけど、皆さん、言っていらっしゃるのは、組織を分けてしまってわかんなくなっちゃっているということを言っていらっしゃる、随分いますね。介護保険はもう民間レベルでやっていることですから、区役所、市役所のほうで見えなくなっちゃっている、何をやっているかわかんないという問題がある。それを何かしらの形で保険者である区市町村がチェックしなくていいのかという、こういう問題は確かにあるんだろうと思うんですね。
 それから、公的な関与が何らかの形でそこで必要になってくるということは確かになんですが、それをここで言うコーディネートというふうに言っていいかどうかという問題があります。  それから、もう1点、やはりこの間、話を聞いておりますと、非常に前もこれは話が出たと思うんですけど、困難ケースと言われている、例えば高齢の親を介護していらっしゃる娘さん、息子さんが精神障害を持っていらっしゃって、この場合にはもうどう考えても保健所とか、保健センター、あるいは場合によったら警察とか、そういうところの何か調整がないともうとても対応できないと。多分ここはサービスのほうの指定事業者の介護支援専門医ではとても対応できない部分です。そんなことをやっている時間がないだろうという問題があるわけですから、その辺の何か対応を指導する仕組みをこの際やっぱりきちんとつくっておかないと、責任がどこかでこう、何ですかね。これはおまえがやるべきだ、これはこっちがやるべきだというような話で、きちんとした役割分担というか、責任が果たせなくなる可能性があると思うので、こういう仕組みは私は必要だろうと思うんですね。ますます必要になってくるというですか。
 ですから、やっぱりどこか基盤整備をすると。その一つとしてこういう何かサービス、サービスかどうかわかりませんが、コーディネート機能と言っているものが必要だろうと私は思うんです。これはむしろほんとうに事務局に聞かせいただいたほうが私はいいと思います。

○永田計画調整課長

 それでは、事務局のほうからご説明をさせていただきます。大橋先生がおっしゃっているように、事業者と利用者の関係がこの図の中で右側のほうに入って、入っているのが非常にわかりにくくさせているというご指摘だというふうに思うんですけれども、それはおっしゃるとおりかもしれません。ただ、今後、考えていくときに、もちろん介護保険の、一つは保険の世界の話があるだろうと思いますし、そのもう一方では、またその周辺のサービスというのがやはり必要になってきております。この介護保険と周辺のサービスをつなぐもの、例えば障害者のサービスというのも、今後15年には利用契約というふうな形に変わっていくわけですので、そうしたときに何がその地域の中で必要になってくるんだろうかといったときに、まずサービスの情報の提供でありますとか、きちんとニーズをとらえられるような相談体制でありますとか、あるいはニーズとサービス事業者をつないでいくような調整でありますとか、あるいはサービスの提供主体との関係でのトラブルというんですか、こちらでは契約のトラブルというのが書いてございますけれども、契約以外の部分での利用形態の中でのトラブルみたいなものも当然あるだろうというふうに考えられます。
 そういったサービスを利用する人たちを中心に据えて、生活の質の向上でありますとか、ニーズの向上といったものを図るときに、全体的にそれをコーディネートというんでしょうか、その調整を全体的にしていく仕組みといったものが必要なんではないかというふうに考えたわけです。これは、大橋先生のおっしゃるように、サービスのコーディネートに特化をしてしまうというふうになりますと、先ほどのサービスの推進事業というんでしょうか、そういったような事業に特化されてしまうというふうに考えられるんですけれども、そこの部分はもちろん含めまして、介護のトラブルなども含めて、全体の地域の中での利用者の支援といったものを、仕組みを全体的に考えていけないものかなと。確かに欲張りと言えば、欲張りの部分なんだろうとは思うんですけれども、この破線の囲ってある部分を当面この審議会の中でのテーマとしてさまざまな課題を整理をしつつ、新しい仕組みをつくっていきたいというような形で整理をさせていただいたつもりでございます。

○大橋委員

 もし破線の中をやるというならば、地域での自立生活を支援していくときに、多問題家族の援助というのはこれだけじゃとても無理なんですよ。地域を基盤にしたソーシャルワークを展開できるシステムというのをつくる必要があるでしょう。その中にコーディネート機能があれば、ケアマネジメント機能もあるわけですよ。それを社会保険原理に基づいたところの事項に関してだけ取り上げてコーディネートだとかって言ったってそれは無理なんです、実際には。
 そういう公的、介護保険になったように、社会保険原理に基づいてサービスの利用が一般化したから、その限りにおいてはここに書かれていることはいいんですよ、とっても。だけど、福祉ということはそれだけじゃないでしょうというのを豊田委員も言われたことだし、みんな言われたわけですよ、前回。特に多問題家族というものが地域で起きていればすごくそれは、事実は小説より奇なりなんです、それに対して従来のケアマネジメントで対応できますかと、介護保険の、コーディネートでできますかという話なんですよ。
 それを従来は行政が施設に入所させるか、あるサービスを利用できるかという、そのサービスの適用できるかできないかでやってきたけれども、それじゃ、もうこれから困るでしょうという話をしている。だから、地域を基盤にしたソーシャルワークを展開できるシステムでやらない限り、法律改正の趣旨がうまくいかないですよ。その考え方はもう既に前期の社会福祉審議会で東京都は出しているじゃありませんか。それをより具現化する方向でやったらいいでしょうと、こう言っているんです、私、前回から。
 ケアマネジメントとソーシャルワークは違うわけだし、こういうのは違うわけだから、その辺のところをどういうふうにしていくのかということを市町村レベルでやると、それを東京都はどう支援したらいいのかというんだったら、それはすっきりするんですよ。その場合には、この間、大道先生も言われたように、今のほんとう医療との関係とかいろんなことが出てきているんです。我々、それをケアマネジメトシステムとか、あるいは地域におけるソーシャルワークを展開できるシステムということで、それを市町村ごとにつくっていくしかないと、こう話をしていて、そのもとになるためには、福祉事務所と児童相談所と保健所を再編成して、保健福祉センターみたいなものをつくらなくちゃいけないじゃないか。あるいはそれを行政が全部抱え込むことが難しいとすれば、子ども家庭支援センターとか、地域障害者自立生活支援センターみたいなのを外部にアウトソーシングすることも含めてソーシャルワークを展開できる、ケアマネジメントを展開できるシステムを担保していくべきじゃないかというのが前回からの主張ですよ、はっきりと言って。

○田端副分科会長

 私は、もっと大橋先生たちがおっしゃるより単純に、それじゃ、コーディネーターというのは大変網かけで重要なものになっているけど、具体的にはコーディネーターって、だれがどういうことを考えていらっしゃるのかなというのはほんとうはわからなかったですね、この図を見てね。それで、テーマはコーディネーターとか、ケアマネジャーとかいろいろ言われますし、ケアマネジャーだけは今、介護保険の関係とでは一応こういうものとなっていますけど、コーディネーターって言葉が使いやすいけども、どこでどういう人が何をここでしようとしていることが利用支援になるのか、具体的にはどういうことなのかなと、それがわかればこの図もわかるようになるとちょっと思ったんです。サービスの利用支援のあり方と、こういうことを新しい福祉のあり方としてやるんだと決めたことまでは小委員会で了解をしていましたので、そうすると、さっき大変大橋委員が問題にされました3枚目の(2)に3つありますが、その東京という大都市の状況を踏まえた仕組みの構築というのはイメージがつかないんですが、NPOのことを特にご説明いただいた背景とか、その理由としては、利用者の利用支援をここの網かけの中に、コーディネーターはちょっと別にして、かかれているような、まずサービス情報提供して、それから、利用の支援や相談をして、利用して、利用したところがここで具体的には入ってこないんですが、利用してみたら苦情もあれば、何だかかんだかこうあって、そういうことにまずはならないように、もし、コーディネーターってどこかわかんないんですけど、それが逆に左のほうにあって、そういうことをいろいろやっても、実際にはサービス利用支援にならないときに、しっかりと都が都の役割としては、サービスの供給、必要な供給を増やすためにNPOならNPOがもっと活性化するように支援するというように2つ並んでくるのかと、そういう意味でNPOの話が出てきたのかなというようにちょっと思いながら伺っていました。
 それならば、この破線の中に利用者はこの5項目、サービスの情報から縦に並んでいるものの前に出てきて、サービスはとにかく、これからで言えば高齢者だけじゃなくて、障害者も需要が変わっていくと。そういうような状況で、こういうサービスの供給にかかわるところから情報を得たり、具体的にサービスを利用したり、利用者がそこの間に入って、そういうことをして、いろいろ起こったときに利用支援を、大変ここでわざわさ網がかかっていますから、コーディネーターという言葉を使えばコーディネートの協力をするのかなとか思ったりして、そして、その下にほうにサービスという供給基盤の支援とか何かがこうきて、右のほうの具体的なところは要らないんじゃないかなと、図をかくならなんて思いながらちょっと見ていたんですね。
 そういう意味で、大橋委員は大変厳しいおっしゃり方で、この理念から始まって、論点、しかも、それが整理された図が不一致であるし、看板と中身に違いがあるというよりも、サービス利用支援と言われながらどういう支援するかという、新しいあり方と言っているんですから、どういう支援の仕方を特に東京都は重点を置いて、あるいはどういうところに焦点を置いてやるかというところがちょっと明確にならない図になって混乱してしまう、なお混乱してしまったんじゃないかという感想で、ちょっとひとり勝手によくわからないところを何とかつなげて考えられだけ考えるのは、ここに座っている役割かななどと思ってしまいまして、その辺を少し解きほぐしていただけるならばありがたいと思っています。

○高橋分科会長

 ちょっと混乱を招きましたかもしれませんので、基本的には、サービスの利用のあり方を、措置から選択制度というふうに厚生省は言っていますが、そういうふうに変わると、どこがどう変わるのかということを少しいろいろな角度から検討してみよう。その上で論点としては、先ほど大橋委員からかなり強調されたような、どういうサービス基盤をつくり直していくのかという、そういう視点をこれから議論をしていくという、そういうことにさせていただきまして、ここのサービス利用支援に関する主な論点というのは、事務局のほうでおまとめいただいたものをかなり誤解を招くようなところもあるかと思いますので、そこら辺は改めて議論の過程の中で少し相互関係とか、テーマ等は整理をさせていただくと、起草委員会のほうで。そういう形でおそらく次の分科会を開く時期には、今までの議論のご指摘を踏まえながらもう少しわかりやすい図に改良していくというか、つくり直していくという、そういうことで整理をさせていただければと思っております。

○小林委員

 コーディネートという言葉なんですが、コーディネートって、通常何と何をコーディネートするという意味ですよね。これは、利用者がこれは当然あるんですけど、それと何かをコーディネートするというときのコーディネートする内容というのは何かということなんですね。例えばサービスの情報の提供ですと、これは、面倒くさいのは、これ、自治体と考えていいのかどうかよくわかりませんが、地域というふうに考えた場合に、介護保険の対象ではないサービスがもちろんあるわけですから、それをコーディネートするという意味にもとれますし、もう一つの考え方は、例えばそこの情報の非対称性があるわけですから、当然、それに対して適切な情報を提供するということになってきて、この意味のコーディネートということになりますと、利用者と事業者の間に入った第三者的な機能をもっと持たせるという意味合いが出てくるんじゃないかと思うんですね。
 それから、利用者の支援・相談も多分そう考えますと、トラブルから出てくるのかわかりませんけれども、利用者と事業者じゃない第三者的な何か相談機能を持つ。次のサービスの調整というのは、介護保険事業以外のサービスがありますから、これは多分サービスを調整するという意味になるのかなと。場合によっては介護保険のサービスとそうじゃないサービス、一般サービスとを調整するという意味になるかもしれない。苦情への対応というのは、これはおそらく事業者と利用者の間にある、サービスの質のトラブル、契約をめぐるトラブルに対して苦情の対応というのは出てくるんであろう。それから、第三者サービス評価、これはもう間違いなく第三者評価ですから独立したもの。
 ですから、直接にサービスを提供することに関するコーディネートと、間に立って調整するコーディネート機能みたいなものと、それから、かなり第三者的な何かある種の判断を下していくという、幾つか層に分かれるんじゃないかと思うんですね。その辺のコーディネートの意味をこれ一本にこういうふうになっていますけれども、もうちょっと何か整理して、どの辺をどういうふうに考えるかというような整理というのはできないでしょうかね。それによって大分内容が違ってくる。ですから、大橋委員が言われたようなソーシャルワークとかいった意味はどの辺にどういうふうにかかわるのかというのはね。

○大橋委員

 違うよ。高橋分科会長が言ったことが大事なことで、多分福祉サービスの新しい利用のあり方に関する住民の利用支援にかかわる検討なんですよ。それを利用支援と言っちゃったからおかしくなっちゃうんで、福祉サービスの新しい利用のあり方なんですよ。そのときにNPOとかいろいろあるよと。そうでしょう。サービス供給組織の多元化の問題が出てきたときに、多元化、多元化と言ってきたけど、それをどういうふうに利用するかというところがもう一つうまくいっていないというのがあれでしょう、分科会長が一番気にしているところなんでしょう。

○小林委員

 それは、しかし、ここの右側の事業者の、ここ、それはもちろん一つですよね。基盤整備でいいわけで。

○大橋委員

 うん。ただ、それを左のほうまで言っちゃうと話が混乱をするから、触れないわけにいかないけれども、まず右のほうでやりたいというんでしょう。

○小林委員

 いや、それはちょっとはっきりさせたほうがいい。

○大橋委員

 だから、それを僕は、さっきの分科会長が言うんだったら右のほうだけだよと、こういうふうに言うんだったら、言葉を、テーマを変えてくれと言ったわけ。それはそれでいいんですよ。大事なことだから。
 ただ、今、何をとらえるべきかというのは、僕は一貫して左のほうでしょうと、こう言って、左のほうこそが今、時期的にやらざるを得ないことなんであって、そこを間違えるとすれば、それは行政としては非常に大きな問題がありますよと。だけど、右のほうも要らないわけじゃないから取り上げるというんなら、それはそれで結構でございますと、そういうふうにいくなら。その右のほうをやるときに左のほうを一生懸命くっつけようとするから、あれこれと言ってわからなくなっちゃうんだということなんですよ。それは一貫して私が言っていることなので、だから、今、小林委員が言ったのは左のほうまでうんとウエートを置いちゃっているけど……。

○田端副分科会長

 そうじゃないでしょう。

○小林委員

 いやいや。この点の中の意味をどういうふうに考えるかということなんですよ。

○大橋委員

 破線の中をやっていったんじゃ、分科会長が言ったことと全然合わなくなっちゃいますよ。破線の中をやるというんだったら、僕が前回言ったことと同じことであって、それをソーシャルワークと呼ぼうか、ケアマネージングと呼ぼうとか、コーディネートと呼ぼうかということは別として、左のほうをやってくれるんなら、それはまたみんな一致しちゃっているんですよ。だけど、右のほうをやりたいというのがずっと強いんだもん、はっきりと言って。

○小林委員

 右のほうが中心的と書いてない。

○大橋委員

 いや、わかりやすく言えばそういうことですよ、非常にすっきり言えば。ましてやテーマがサービス利用支援のあり方としちゃったら、利用支援というふうに使ったら、もうそうなっちゃうよという話なんです。

○高橋分科会長

 要するに、新しい福祉サービスというか、一つはやはり措置制度から、いわゆる選択制度に変わってきつつある。変化を踏まえて、しかも、なおかつ選択制度では組み尽くされないようなさまざまな困難なケース等を含めて存在する。とすると、そこら辺を十分踏まえて、サービスの利用というか、そういうものが適切なニーズに応じたサービスの利用をサポートできるような仕掛けというか、仕組みというか、それを東京都の今の状況を踏まえてどのようにこれから再構築していくかという、そういうテーマだろうというふうに、ちょっとさっき申し上げたんですが、それは当然それぞれのサービスの利用場面、特性に応じてどのようなものが不足、どのような仕組みが不足しているか、サービス量が不足している側面と種類が不足している面と、それから、それを機能的に結びつけるための、サービスとニーズを結びつけるための支援機能といいましょうか、そういうものが不足している。とすれば、それをどういう形で再構築していくかという、そういうテーマというふうに整理をしてみたんですけれども。

○大道委員

 これは意見というよりはお役に立てばということで、私の役回りはいつも先行した医療保険がここまできたときの経緯で、今のご議論がどういうことになっているのかなとつくづく思うんですけれども、医療の場合には、アクセスを確保するために、幸か不幸か医師という専門職がかなり古いときからあって、病気、ないしはこのままでは死んでしまうかもしれないとか、つらいとかというときには、最初のアクセスはかなり社会的に明確な医者というところへ行ったわけですよね。それで、まだ医学ないしは医療技術の進歩不十分で、どこの、それなりの一定の水準の開業医師のところへ行けば、同じようなサービスが受けられるというような時代にはまずは、一般的にはアクセスを確保するために、もっと言うと、医者をそれなりに必要なだけ養成をして分布させるというようなことで一定の充足をみて、利用支援、利用という観点から見ますと、ある意味では、よほど単純と言えば単純だったんですね。福祉の場合はさまざまな、むしろ、従来の社会福祉の流れでさまざまな議論の中でやってこられたんでしょうけど、医療というのは、理屈抜きにアクセスすればそれなりに事が足りる利点はあったわけですけれども、問題はここで介護保険化されたあたりから状況は似ているんですよね。
 保険というのは、一気に介護保険化されたわけじゃないですけれども、ついこの間まで引きずっている議論、ある意味では今日まで引きずっている議論は、保険で採算がとれるかとれないかという切り口があるんですね。それで、採算のとれる部分の医療サービスについては、これは、我が国では自由開業医制といいますけど、端的に言えば民間に任せると。ある種の、これ、市場論理と違うんですけれども、そこには医の倫理とか、仁とか、それなりの価値観に自律的な秩序を求めて、そこにゆだねるというようなことで、一定程度社会的な充足を図ってきた時期があるんですけど、保険化されてだれもが極めて容易に、経済負担なしにアクセスできるときに、採算がとれない医療というのが間違いなく出てきたんですね。介護保険の場合も、とりあえず要介護認定をやって、それなりの給付があると一定程度、全部じゃないですけど、ある範囲でうまくいくのかなとも思うんですけれども、要介護認定の基本は家族の状況だとか、先ほどのケアギバーが、例えば精神疾患を持っているなんてことは捨象して判定するわけですよ。そのような状況を抜きでやりますから、その部分と、医療の場合に不採算といったら、細かい議論はともかくとして、大きく言うと2つあるんですね。
 1つは、医療が、技術が高度化していく。非常に高い機械がないと治療ができない。また、医療の宿命として有効で効く、血を見ずというのは必ず適用しなきゃならないという医の理念みたいなものがありますから、そうすると、高度医療をやろうとすると、採算がとれないから、当初の、端的に言うと、開業医レベルの医療では対応できないというんで、医療の世界では、これを機能連携、あるいは医療施設連携というような言い方で、お互いに紹介という言葉を使って、紹介し合うということである種合理的な利用をやっていこうという、これは自然の流れがある。医者も自分の手には負えない、自分の専門性でない、あるいは自分の診療所ではしっかりとした機械がないから、大学病院と言わない、大きな病院に送りましょうみたいなことがある意味で自然に行われて、利用の支援というか、利用のあり方が、医療の世界の、今、申し上げたような考え方で出てきたと。
 それから、不採算の部分もあるんですね。処遇困難事例ですよね。さまざまな厄介な事柄があって、通常の対応をしておったんでは経営的に成り立たないというようなときには、これをもって、とりあえず紹介とか連携というような形で、それなりの充足を図ってきたという経緯があります。
 細かいことは抜きにしますと、今、介護の中で、介護保険が導入されて一定程度採算がとれるかとれないかはまた別の議論ですけれども、それなりの社会保険原理でやろうという領域と、それでは吸収し切れない、広い意味での社会福祉的なニーズというのはまだたくさんあると。その中でも、先ほど小林先生も、あるいは大橋先生も述べられた処遇困難事例という言葉は医療の世界の言葉ですけれども、さまざまな対処困難例というのは多分出てきて、その辺のあたりの対応が多分この利用支援って、言葉の問題はともかく、社会福祉サービスの利用のあり方とどうも一気に問題が顕在化したようなところがあるのかなと。医療の世界では今言った不採算的な部分とか、高度医療とかの言い方で施設間の連携をすると。
 最後のコメントですけど、この際、コーディネーティングしたのは、あり方論的なところはありますけど、これ、開業医なんですね。プライマリーケアといって、最初のアクセスを受けたところの医師が、理念としてもプライマリーケアの役割、機能みたいな中で5つ、6つあるんですけど、その中にコーディネーター、何しろコーディネーティングという言葉が入ってくるんですね。つまり、医師は一般的なひとりで対応できる病気も診るけれども、同時に、あえて言うと、情報の非対称を補完をして、どこの医療機関へ行くのが一番目の前の患者にとって適切かという判断をして、それを送るということをやってきた。これ、コーディネーティングなんですね。そういうことが、これはほんとうに適切にいってないから、日本の医療の問題は根深いんですけれども、考え方としては、そういうことで利用の適切さを何とかカバーしてきたというようなところがあります。
 社会保険とそうでなかった時代とのいろんな経緯は、きょうのご議論に役に立つかどうかわかりませんけれども、医療の流れの中ではそんなことで何とかやってきて今日がある。問題はたくさんありますけれども、そこら辺の問題は、確かに介護保険が入ってきた、社会福祉のさまざまな社会的ニーズが、体系がとり得てないんでしょうね、多分。それで都が何をやるべきか、地方自治体が何をやるべきか、そこら辺のあたりのところを整理していこうというのがきょうのご議論なのかなと思って承っておりました。お役に立てればということで。

○高橋分科会長

 ありがとうございました。大変示唆的な、平たく言えば、措置制度がなくなったときにどうなるのかという、そこら辺を方向づけを、要するに、一方で措置制度というのは残るというふうに言われて、公的責任も残るというふうに言われて、そこら辺の仕切りの仕方を、仕切りをする仕掛けが何なのか。これもまだ定かではないと思っておりますし、そうなりますと、今までの福祉事務所を中心とした、あるいは区市町村の福祉事務所の仕組みと、先ほど小林さんがおっしゃったように、介護保険はまさにサービス供給のほうを手放しちゃったわけですから、そこの調整が改めてどういう仕組みを間に入れていくとできるのかという、そこら辺が多分議論としては大きなテーマだというふうに、私は今のお話を伺いながら理解をあれしているんですが。いかがでございましょうか。
 改めて課題設定も含めまして、起草委員会を設定をさせていただいて、そこでもう一度今日の議論をそしゃくしながら、前回の議論も含めまして整理させていただくということで、いかがでしょうか。

○白石委員

 私どもは、通常こういった審議会の事務局運営なんかをさせていただいり、資料作成をさせていただいている立場から、若干ちょっときょうの感想めいたことを少しお話ししたいと思うんですが、議事録を拝見していて、次の回の資料を拝見した場合に、必ずしも前回の議事録の内容を反映されたような資料づくりになっていないという印象を受けるんですね。当初、初回、私に2回目に初めて参加させていただいたときにも申し上げたんですけれども、ここにいろんなお立場の方がいらっしゃって、その方たちの専門性を生かした議論をしていくためには、やはり今、何が問題になっているのかという共通土俵ができていなければならないんですが、それができないままに進んできてしまったという気がするんですね。
 前回、いろんな先生方からソーシャルワークの機能とか、サービス利用の普遍化とか、基盤の再構築というお話が出ておりますけれども、それについて、じゃ、それを具現化するようなことはどういうことなのかという、準備不足の資料のような気がするんです、すごく厳しい言い方をすると。もし、例えば大橋先生がおっしゃったことがそしゃくできていないのであれば、事前にそこら辺はヒアリングをしたような資料、そこの問題を明らかにするような資料設定が私はできているべきで、こういう議論を4回繰り返した今の時点でこのようなフリクションが起こっているわけですから、やはりここら辺で少し地固めをしないと、今後果たしてまとまるのかなという不安を私は覚えております。
 もう少し、東京都が今、社会福祉について、今まで措置の対象だった人だけではなく、いろんな問題が噴出しているわけです。社会的孤立の中であらゆる人が今不安な状況に置かれていて、そういうことを今回の新しい社会福祉のあり方を論じる上でどうとらえていくのかという、少し共通認識を私は早くつくって、そこから各先生方がおっしゃったようなキーワードを具現化するような資料づくりをぜひしていただきたいなというふうに思います。
 きょう、その起草委員の中に名前を連ねていただいているんですが、若干の不安を覚えております。以上です。

○高橋分科会長

 少し準備不足であったことは否めないかと思います。そういう意味で、今までの議論をもう一回トレースした上で検討課題については再設定をするという、そういうことで、それ自身を企画起草委員であって、起草というのはテーマが定まってそれに応じて起草するというのと、企画というのは問題を設定するという、そういう役割と両方ありますので、やや次回は企画のほうに焦点を置いて、今までの3回の議論を踏まえた、議論を事務局とも少し積み上げて、課題をもう一回再調整をさせていただきたいと思っております。課題の再整理をした上で企画起草委員を運営するということでいかがでございましょうか。

○村山福祉局参事

 私から一言、今、いろいろご意見をいただいたように、なかなかいろいろなご意見がありまして、私どもの事務局のほうで、それを十分踏まえて共通のベースをつくるという点でやや整理不足だというご指摘、そのとおりだというふうに思います。したがいまして、今、分科会長がおっしゃったように、その点も含めて、企画起草委員会の中で整理ができますように、事務局としても次回に向けて改めて整理をし直して、今までのご議論を踏まえた発展させた形で対応していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○高橋分科会長

 ということで、きょうのご叱正を十分肝に銘じて運営をさせていただきたいと思いますが、企画起草委員会の設置ということでよろしゅうございましょうか。少し予定の時間をオーバーしてしまいましたが、資料をお配りをいただいておりますか、このメンバーにつきましては。起草委員の(案)ということで、私と田端先生が入って、秋元、小林、白石、水谷委員の6名をメンバーとして企画起草委員会を設置させていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
 それでは、そのように取り計らわせていただき、今、参事からもご発言がございましたとおり、課題の再整理をちょっと集中的にやらさせていただいた上で、きょうの、今までの経緯を十分踏まえた形で議論をスタートをさせていただきたいというふうに思っております。その上で、論点の整理等作業、そして、掘り下げ作業ということになろうかと思いますが、事務局のほうから、今後の予定をひとつよろしくお願いいたします。

○永田計画調整課長

 それでは、事務局のほうから、今後の当面の予定でございますけれども、ご説明をさせていただきます。  お手元に今後の予定(案)ということでお配りをしてございます。
 先ほど分科会長からもお話がございましたように、論点の整理をもう一度させていただいた上で企画起草委員会を開催をさせていただきたいと思います。9月中ぐらいまでに検討していただきまして、その後、少し整理をいたしまして、拡大分科会ということで分科会と本審議会との合同会議を10月ぐらいに開催したいと考えてございます。ここで、ある程度それまでの間のいろいろな経過報告をさせていただきたいというふうに考えてございます。その後、11月からまた再び企画起草委員会を開催いたしまして、当初に申し上げましたように、大体3月いっぱいぐらいで本審議会の意見具申として提出をしていきたいというふうに考えてございます。

○高橋分科会長

 はい。

○大橋委員

 最後に、論点じゃなくて、前にも言ったと思うんですが、新しい福祉サービスの状況の中でどういうことが今東京都で論議しなくちゃいけないのかということの鳥瞰をしてほしいと。その全体を鳥瞰した上で、今回はここに絞り込むんだということだったらわかる。
 したがって、ぜひその企画ということであれば、今、事務局は論点と言われたけども、論点じゃなくて、課題をまず鳥瞰をして整理してほしい。どこかを取り上げたところの一つのところについてこういう論点があるんではないかというなら、それはそれでもいいということなんですよ。第1回目から一貫して私は同じことを言っていると思いますけれども、それはぜひ、特に21世紀に向けて非常に僕は危惧しています。それだけは一言つけ加えさせていただきます。

○高橋分科会長

 ありがとうございました。大変厳しいご発言をいただきましたが、時間的なスケジュールもございますので、一応、そのご意見を受けとめて企画起草委員会のほうに臨みたいと思います。
 それでは、そのほか何かございませんでしたら、きょうはこれで閉会をさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

(午後8時30分閉会)