平成12年2月1日

東京都社会福祉審議会・第２回新しい福祉のあり方検討分科会の審議結果

１　開催日時

1. 報告事項
2. 資料説明
3. 意見交換
4. その他

　　（午前１０時２分開会）

○永田計画調整課長　

　皆さん、おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから社会福祉審議会新しい福祉のあり方検討分科会を開催させていただきたいと思います。
　本日は、何かとお忙しい中、ご出席をいただきまして、ありがとうございます。
　開会に先立ちまして、事務局より、委員の皆様の出席につきましてご報告をさせていただきます。
　本分科会の委員総数は、現在２０名でございます。そのうち、本日、所用のために欠席という報告をいただいておりますのは、大橋委員でございます。したがいまして、まだお見えにならない方、１名の方がいらっしゃいますけれども、本日出席予定の委員の総数は１９名となりますので、定足数に達することを報告させていただきます。
　また、本日は傍聴の方がお見えになっておりますので、お知らせをいたします。
　次に、お手元に会議資料を配付してございます。ご確認をいただきたいと思います。資料の１−１は「福祉改革ビジョン」、資料の１−２は「２１世紀高齢社会ビジョン」、資料２−１は「東京都社会福祉審議会の答申と都の施策の変遷」、資料２−２は「地方分権一括法の概要」、福祉関連の主なものを掲げてございます。資料２−３は「成年後見制度の概要」、資料２−４は「東京都老人保健福祉計画の改定について」、資料３は「第１回新しい福祉のあり方検討分科会会議録」でございます。
　ちょっと恐れ入りますが、会議録の中で誤植がございましたので、ご報告をさせていただきたいと思います。恐れ入りますが、１６ページをお開きいただきたいと思います。１６ページの１０行目になります。「あるいは介護する側の労力」となってございますけれども、これは「介護力」の誤植でございます。申しわけございません。ご訂正をさせていただきたいと思います。
　また、参考資料といたしまして、前回の分科会でお話がございました福祉に関する基礎的な数値を集めました「子ども・障害者・高齢者・まちづくりに関する基礎資料集」を添付してございます。また、１１年１２月２１日に発表されました１２年度の予算原案「平成１２年度主要事業」、福祉局と高齢者施策推進室関連のものを添付してございます。また、昨年６月に発行いたしました「危機に直面した東京の財政」をお配りしてございます。
　なお、前回御出席の臨時委員の皆様には、あわせて「東京の社会福祉」と「９９年版社会福祉の手引き」もお配りいたしてございます。
　最後に、当分科会の議事録は、東京都のホームページに掲載されまして、インターネットを通じて公開をされるという予定になってございますので、申し添えさせていただきます。
　事務局の方から事務なものについて説明させていただきました。以上でございます。
　では、分科会長、よろしくお願い申し上げます。

　それでは、第２回の東京都社会福祉審議会新しい福祉のあり方検討分科会を開会いたします。
　議事に入ります前に、前回ご欠席でございました田端委員について、私の方から分科会の副会長に指名をさせていただきました。きょうご出席でございますので、簡単で結構でございますので、一言ごあいさつを。

　ただいまご指名のことをお伝えいただきました田端でございます。
　前回、第１回目のとき、ちょうど本当に駆け足４日間ほどの日程でイギリスへ行かなければならないことが入っておりましたものですから、申しわけありませんが、欠席させていただきました。欠席した罰のように、こういうことになりまして、私には重荷なんでございますけれども、高橋分科会長をお手伝いできることならばということで、受けさせていただくことにいたしましたので、よろしくお願いいたします。
　第１回目にいろいろお出しいただきましたご意見等を拝見いたしておりまして、私自身も「新しい福祉のあり方」という「新しい」というのがどういう意味なんだろうと、改めて考えさせられたところでございます。
　私、区の方で介護保険の事業計画等にかかわっておりますと、その問題に絡めて、これまで東京都が推進してまいりました先駆的な地域福祉の方向というものが、介護保険で高齢者に対する保健事業を行うことを、それに集中することが今非常に重要なんだと思うんですが、そのことを通して地域の中では、今まで考えてきた地域福祉のあり方というものが、またばらばらになりそうな懸念さえ感ずるような状況に時々陥りまして、これから東京都としてはどういう「新しい福祉のあり方」を検討していくのかということを、ぜひ皆様方にもお教えいただきたいものと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

　どうもありがとうございました。
　なお、きょう、先回ご欠席で初めてご出席をいただいております委員の方がいらっしゃいますので、ご紹介いたします。皆様には後ほど自己紹介も兼ねて、先回、お手元にお配りしたように、それぞれの委員の皆様にはいろいろな形でご発言をいただきましたので、その第２ラウンドということも兼ねて、今、若干副分科会長の方からも話がございましたが、コメントもいただけたらと思いますが。
　今井通子委員でございます。

　よろしくお願いいたします。

　それから、廣田達人委員でございます。

　廣田でございます。

　それから、秋間富美子委員でございます。

　私、町村会からのご推挙をいただいて臨時委員になりました、瑞穂町の福祉課長の秋間です。よろしくお願いいたします。

　小林良二委員でございます。

　小林でございます。

　それから、白石真澄委員でございます。

　おはようございます。白石でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

　それから鈴木俊夫委員でございます。

　日野市の福祉保健部長を務めている鈴木でございます。よろしくお願いします。

　では、後ほどそういうわけでお願いをいたしますが。
　それでは、議事に入りたいと思いますが、まず報告事項として、東京都では昨年末に「福祉改革ビジョン」及び「２１世紀高齢社会ビジョン」を発表いたしました。資料がお手元に参っているかと思いますが、これにつきまして事務局の方からご説明をお願いいたします。

　それでは、まず資料１−１「福祉改革ビジョン」でございます。
　この「福祉改革ビジョン」は、昨年の１２月２１日に発表されたものでございます。東京都は、平成９年９月に「東京都の福祉施策を考える」、昨年６月に「東京都の福祉施策を考える２」と題しまして、この２冊の冊子を発行いたしまして、東京都の福祉施策の現状と課題を都民の皆様に提議をいたしました。また、昨年８月には、それまでの間に都民の皆様からいただきましたご意見も踏まえまして、「福祉施策の新たな展開」を策定いたしまして、都の福祉施策の転換の必要性、新しい福祉の基本的方向を示すとともに、今後展開する施策の主なものを取りまとめました。
　都の福祉施策につきましては、現行制度の多くがつくられた昭和４０年代から今日に至るまでの社会経済状況の変化などを踏まえまして、負担の公平性などの観点から、所要の見直しを行うとともに、在宅サービスを中心とする福祉サービスを充実し、新しい時代に適合する福祉施策を展開する必要があるということを主張してまいりました。
　また、昨年１２月には、他の分野に先駆けまして、「福祉施策の新たな展開」にかかる事項について、平成１２年度予算の方針を決定いたしまして、「福祉施策の新たな展開」の方向性をより具体的にするため、また今後の施策展開についての「福祉改革ビジョン」及び「２１世紀高齢社会ビジョン」を取りまとめました。
　この「福祉改革ビジョン」の基本的な考え方でございますけれども、２１世紀を目前に福祉が大きく変わろうとしております。高齢者の分野では、ことしの４月からは介護保険制度が始まりますが、子ども家庭や障害者の分野でも大きな制度改革が進みつつあります。この変化は、「行政が決定する福祉」から、「都民がみずから選択し利用する福祉」への転換です。それは「福祉改革」とも呼ぶべき大きな流れではないかというふうに思います。
　この「福祉改革ビジョン」でございますけれども、３つの目標と４つの戦略を掲げてございます。戦略の１つには、安心してサービスを利用できるしくみの構築。２つ目には、子ども家庭サービスの新しい展開。３つ目には、障害者の自立支援の新しい展開。４つ目には、新しい福祉を支える基盤の整備ということで、１番にしくみづくり、２番、３番を具体的な分野別の施策、４番にはそれを底支えをする基盤の整備というような構成になってございます。
　このビジョンをまとめるに当たりましては、幾つかの点に留意をいたしてございます。対象分野といたしましては、現在改革の準備期にあり、今後急速に変化が生じると思われる子ども家庭と障害者、及びこれに関連する分野というふうに整理をいたしました。
　２番目には、特に早急な整備の必要に迫られている在宅サービスを中心といたしました。
　３番目には、サービス利用者の立場から、どのようなことが望まれているのかというようなことを、可能な限り具体的に示し、その実現のために今後取り組むべき事業を提示いたしました。
　４番目には、改革の中心的役割を担う区市町村との連携を一層重視するということです。このために区市町村がより主体的に、かつ早期に在宅サービスを中心とした地域福祉の基盤整備ができるよう、支援するための新たな包括補助制度を創設いたしました。
　今後はこのビジョンを基に、施策の一層の具体化を図り、必要事業量を精査するとともに、タイムスケジュールの精緻化を図ります。また、区市町村や民間団体、企業等の力を生かして、改革を早期に進めていくための諸方策を検討するなど、改革の実行に向けた新たな取り組みを進めてまいります。
　なお、このビジョンでございますけれども、このビジョンを実行するに必要な事業量の増加量は、平成１２年度からの５か年でおおむね1,０００億円程度と見込んでございます。
　以上で「福祉改革ビジョン」についてのご説明を終わらせていただきます。

　恐れ入ります。高齢者施策推進室の企画課長の小宮と申します。
　それでは、「安心・いきいき・支え合いの２１世紀高齢社会ビジョン」につきまして、ご説明を申し上げます。
　恐れ入りますが、１ページの「『２１世紀高齢社会ビジョン』の基本的な考え方」このページをおあけいただきたいと存じます。全体の状況でございますけれども、我が国はご案内のとおり、世界でも例のない速さで高齢化が進んでおります。高齢化率が７％から１４％に至るに２４年ということで、本当に世界でも例がないという速さで高齢化が進んでおります。そうした中で、高齢者だけではなくて、あらゆる世代の都民の皆さんが、長寿を本当に真に喜び合えるような社会を築いていきたいといったことでございます。
　それから、先ほど話もございましたが、ことし４月から介護保険が実施されます。介護保険では、利用者の皆さんが契約でサービスをみずから選ぶことになります。あるいは、それだけではございませんが、いろんな仕組みそのものが変わってまいります。
　そうした中で、上から３番目の○ですけれども、こういった状況を踏まえまして、まずは介護が真に必要な高齢者に介護サービスが確実に提供できるよう、保険者であります区市町村の皆さんと連携して取り組んでいくこと。また、東京では高齢者だけでお暮らしの方が、他の都市に比べて大変多くなってございます。そうしたことから、ひとり暮らし高齢者や高齢者のみで暮らしている方々が、地域で安心して暮らせますよう、介護保険の対象に至らない方につきましても、施策を充実していくということでございます。
　そして、３番目でございますが、「さらに」と書いてございますが、高齢者の約８割の方がお元気でいらっしゃいます。また、元気な高齢者がさらにふえる見込みでございます。そういったことから、そういう元気な高齢者の方々がいきいきと暮らせるよう、社会参加の促進など、そういった施策を積極的に展開していくということでございます。これが大きな施策の３つの柱であろうかと思います。
　そういったことで、施策の重点化方針でございますが、下の方に掲げてございますが、５つございます。１つは、介護保険の円滑な実施。それから、高齢者の自立支援と在宅福祉の充実。３番目が、元気な高齢者の施策充実でございます。そして加えまして、区市町村主体の地域福祉の推進でございます。それから、自助・共助・公助のバランスをとるための共助を積極的に支援していく。こういった５つの重点方針を掲げてございます。
　２ページでございます。それを実際に実現していくための５大政策ということで、介護基盤の緊急整備。それから、多様な社会参加の場の創出。それから、在宅高齢者の自立生活の支援。それから、在宅生活を実際に営んでいく上で何よりも大事なことは、地域の暮らし、それから住まいの確保でございます。これも５つのうちの１つに重点に掲げてございます。さらには、高齢者の皆さんが行きたい所に行けるといったことが、基本的な働きとして大変重要だと考えておりまして、移動手段の確保・移送サービスの充実も、大きく５大政策のうちの１つというふうに位置づけてございます。
　そういったことを含めまして、区市町村の主体的な役割、地域のいろんな実情に合わせまして取り組めるように、財政的な裏づけとしまして、新たな包括補助制度の創設を提示しております。先般一次原案が発表されましたが、その中でも高齢社会福祉ビジョン推進補助事業という位置づけで、３０億円の予算が現在提示をされてございます。
　そういったことで取り組んでいくわけですけれども、高齢福祉につきましては、大きな基本的な計画が現在策定中でございます。１つは、介護保険事業支援計画でございます。これは区市町村が保険給付の対象となる高齢者数や必要なサービス量を見込んだ介護保険事業計画を策定中でございます。都としては、これと整合性を図る上で、必要なサービスを利用できるように、介護サービス基盤の整備目標などを定める介護保険事業支援計画を策定しております。
　それとまた、そういうものを含めまして、介護保険サービスを含めました高齢者施策の総合的な計画であります老人保健福祉計画を策定中でございます。ここで施策の全体、全容、それから規模といったものを定めていきますので、ごらんになっていらっしゃいます福祉ビジョンにつきましては、当面の緊急に取り組むべき内容を示しているところでございます。
　２ページの最後に書いてございますが、「高齢者福祉の大きな転換期」と。１つは高齢化の急速な進展、それから介護保険の実施、そういった大きな転換期になっておりまして、こういう転換期におけるモデルという、あるいはシステムというものにつきましては、これまでのように手本というか、見本となるようなものがございませんので、ぜひ日本で世界に先駆けて、この東京というところで、この新しいビジョン、社会的なシステムといいますか、それを築いてまいりまして、「安心・いきいき・支え合いの２１世紀の東京の高齢社会」を築いていくと、そのように考えてございます。
　簡単ですが、以上でございます。

　ありがとうございました。要点といいましょうか、大事なところを「福祉改革ビジョン」と「２１世紀高齢社会ビジョン」についてご説明をいただきましたが、これについて何かコメント、ご質問含めまして、何か委員の皆様からございますでしょうか。
　また、時間の関係もございますので、ご一読いただきまして、何かご意見等がございますれば、また改めてご発言をいただければというふうに思いますが。
　「福祉改革ビジョン」の方は、東京都として行政のレベルで責任を持ったという、そういうお立場でビジョンをお出しをいただいておりますが、私どもの委員会との役割分担というか、関係というのは、多分いろいろあろうかというふうに思っております。
　審議会の方では、ややパースペクティブというか、それを少し後ろに引きながら、それから行政としての責任というものだけではなくて、広く東京都を構成するさまざまな主体の関係に留意しながら、やや長期的なビジョンというか、そういうことを議論をしていただくということになろうかと思いますが、いずれまたこのビジョンとの関係については、少し突っ込んだ議論は、時期を見計らってしなければいけないというふうに思っています。とりわけやはりここ数年から、将来は神様しかわかりませんが、いずれにしろかなりきつい財政構造の中でいろいろな議論を考えざるを得ないということだけは確かでございますので、そういうことも含めましてまた集中的にご意見をいただく機会はあろうかと思います。そういう形でこのご説明は取り計らさせていただくということでよろしゅうございましょうか。
　それでは、引き続きまして、先回も若干話題になりましたが、福祉をめぐる状況に関連して、私どもの共通の理解といいましょうか、そういうことを得るために、最低限必要と思われる基礎資料を事務局の方でご準備をいただきました。これにつきまして、事務局の方からまとめて説明をお願いしたいと思います。

　それでは、私の方からご説明申し上げたいと思います。
　なお、基礎資料集などにつきましては、参考ということでお手元にお配りしてございますが、そちらの方につきましては、ご説明を省かせていただきたいと思います。
　それでは、まず資料２−１「東京都社会福祉審議会答申と都の施策の変遷」についてでございます。この資料につきましては、前回の平成１０年７月の社会福祉審議会に資料として提出させていただいたものでございます。それに若干昨今の状況を加えてございますけれども、基本的にはその資料をベースにしてございます。
　ここの表でございますけれども、一番上の方、時代区分という形になってございますけれども、時代区分という形で右に行くほど年代が新しくなるという状況になってございます。この時代区分についてはいろいろご議論もあろうかと思いますけれども、仮に整理をさせていただいております。
　縦軸に社会状況を入れまして、下の方には国の制度、特に法律の関係などを掲げてございます。真ん中の方に課題とか施策の流れがございまして、その下に社福審の答申、そしてその答申と関連の深い都の施策について掲げてございます。
　戦後は、ここにございますように、生活困窮者を中心としたような施策が中心ではなかったかというふうに思われます。その後、高度経済成長期に入りまして、社会的弱者への対応ということで、母子家庭や高齢者、障害者、こういった方々に対する施策というようなものが、社会的支援の充実という形であらわれてきているかと思います。
　東京都の社会福祉審議会でございますけれども、昭和３７年に意見具申をいただきまして、昭和３９年、社会福祉事業についてでございますが、ここで知事からの諮問の第１号をいただいてございます。
　その後、家庭福祉対策でありますとか、心身障害者福祉センターの建設と運営がございまして、昭和４４年にはコミュニティ・ケアの推進について答申をいただいております。これが非常に東京都においては大きな意味を持つ答申ではなかったかというふうに思われます。このコミュニティ・ケアの推進でございますけれども、この答申に基づきまして、在宅に向けた施策の取り組みでありますとか、あるいはこれからの地域を主体にしたようなものとか、そういったものがこの答申中で述べられてございます。
　その後、４６年、４７年には社会福祉事業経営のあり方について答申をいただきまして、社会福祉施設職員の給与の公私格差是正事業が施策化をされてございます。昭和４０年代の後半から、石油ショックがございまして、在宅の重視の視点が一層叫ばれてきております。また、民間福祉事業の進行でありますとか、福祉サービスについても多様化でありますとか高度化とか、そういったような状況が生まれてきております。
　社会福祉審議会の方では５７年に、高齢化社会に向けての老人福祉施策について答申をいただいております。この答申につきましては、昭和５５年に中間答申を、５７年に最終答申をいただいておりますけれども、ここでは所得制限を撤廃して、応分の負担をいただいて、サービス対象を拡大していくというような、非常に重要な答申をいただいております。これがこの後の施策にも結びついているかというふうにも考えられます。
　昭和６１年に社会福祉審議会から大きな答申をしていただいております。これは先ほどお話をしました昭和４４年の答申、コミュニティ・ケアの進展をさらに進めていくということで、例えば施設についても今後は在宅福祉サービスの拠点として評価するとか、あるいは行政だけではなくて、地域の民間団体、その他いろいろな供給主体を組み合わせて、サービスを提供していくとか、いわゆるサービスの多様化、高度化への対応について答申をいただいてございます。
　この答申をいただいて、昭和６２年の社会福祉振興基金の創設でありますとか高齢者の在宅サービスセンター、さらに今私どもが計画の基本としております、平成３年の地域福祉推進計画の策定といったようなものに結びついているわけでございます。
　その後、経済的にはバブルの崩壊、合計特殊出生率の低下、高齢化率の上昇といったような状況がございます。施策的にも地域福祉の総合的な推進ということで、区市町村の施策が重視をされ、供給主体も多元化をされていく。そして、福祉の対象者もすべての住民が対象となってくるような状況が生まれてきております。
　そうした中で、前回の社会福祉審議会では、平成８年に中間答申を、そして１０年２月には、今後の地域福祉の総合的・計画的推進について最終答申をいただいております。これからの地域福祉のあり方について、重要なご提言をいただいております。この中では国の制度に先駆けて、地域福祉を中心とした人間性の豊かな社会福祉を充実していく。特に在宅サービスを中心にそれを展開していくというようなご提言もいただいております。その後、昨今の社会福祉事業の見直しなどにつきましても、この答申をベースに行ってきているという状況でございます。
　以上の都の施策につきましては、特に社会福祉審議会の答申と関係の深いものを掲げてございますけれども、東京都の福祉施策としての重要なものがすべてここに網羅されているというわけではございませんので、その辺のところをお含みおきいただきながら、ごらんをいただきたいと思います。
　以上でございます。

　ありがとうございました。
　大変貴重な資料をご説明をいただきましたが、議論は一通りの説明をいただいてからということにいたしまして、引き続きまして資料２−２でございましょうか。「地方分権一括法の概要」ということでご用意をいただいております。

　それでは、続いて資料２−２「地方分権一括法の概要」でございます。お手元にございますけれども、１枚裏表の資料でございます。
　平成１１年７月８日でございますけれども、「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」、通称「地方分権一括法」が、国会で成立をいたしました。この法律は、地方自治法など４７５本の法律で構成されておりまして、機関委任事務制度の廃止、それに伴う事務区分の再構成、地方自治体に対する国の関与の縮減、権限移譲の推進、国が自治体職員の配置基準等を定めた必置規制の整理合理化等、必要な法律の整備を行うものでございまして、国と地方公共団体の対等な関係の下に、地方自治体の自立性を高めようとするようなものでございます。
　これからの福祉は、先ほども申し上げましたように、住みなれた地域で必要な福祉サービスを利用しながら生活することを基本とし、住民に身近な区市町村が地域の実情に応じた施策を総合的に展開することが求められております。昭和６１年に保育所、老人福祉施設等への入所措置の事務が団体事務とされております。また、平成２年には、いわゆる福祉関係８法の改正によりまして、住民に最も身近な区市町村で、在宅福祉サービスと施設福祉サービスを一元的かつ計画的に実施する体制が規定をされました。また、平成１２年４月からは、介護保険制度も区市町村を保険者として実施されます。
　今回の地方分権一括法での社会福祉分野の主な改正内容は、ここに示しております表１のとおりとなってございます。機関委任事務制度の廃止と権限移譲、それから必置規制の見直しでございます。権限移譲につきましては、施行の期日がそれぞれ定まってございます。
　また、国は中央社会福祉審議会基礎構造改革分科会の中間まとめを受けまして、平成１１年４月１５日に「社会福祉事業法等一部改正法案大綱」及び「社会福祉基礎構造改革について−社会福祉事業法等改正法案大綱骨子」を発表いたしました。その後、８月１０日には「社会福祉の増進のための関係法律の整備等に関する法律案制定要綱」を取りまとめまして、中央社会福祉審議会に諮問いたしました。中央社会福祉審議会は９月３０日、この要綱を了承する旨、答申をしております。国は今国会に上程をいたしまして、成立を目指すとしておりますけれども、その内容につきましては、表２のとおりになってございます。
　こうした法改正によりまして、これまで都道府県と区市町村の役割が混在していた児童福祉、知的障害者福祉の分野での権限のほとんどが、区市町村へ一元化されるということになるかというふうに思います。これは表３をごらんいただけると、簡単に図示をされてございます。
　また、従来より都独自の地方分権として、各種事務を区市町村長に委任しておりましたけれども、地方分権一括法による地方自治法の改正で、条例による事務処理特例が規定をされまして、同制度として平成１２年４月から実施が予定されております。これが表４でございます。
　以上が地方分権一括法の関係の概要でございます。
　続きまして、資料２−３「成年後見制度の概要」でございます。
　成年後見制度につきましては、平成１１年１２月１日の国会で可決をされ、１２年４月から施行される予定となっております。この内容でございますけれども、その背景というんでしょうか、判断能力が十分でない成年者を保護する制度といたしましては、民事法上、禁治産・準禁治産制度及び後見保佐制度がございます。これらの制度は、本人の不十分な判断能力を後見人又は保佐人に補完させることにより、本人の利益を保護することを目的といたしまして、またあわせて取引の安全も保護しようとするようなものでございます。
　現行の制度では、心神喪失でありますとか、心身耗弱という要件が非常に厳格であるため、高齢者には利用が困難であるとか、用語の問題や広範な資格制限もあって、社会的偏見が強いとか、宣告等の公示が戸籍への記載を伴っており、これに対する国民一般の抵抗感が強いとか、あるいはこの制度の後見人、保佐人が１人であるため、適切な対応ができない場合があるといったように、高齢者、知的障害者、精神障害者等の財産管理等の保護に十分に機能していない、利用しにくい制度となっているというような指摘がされておりました。
　法制審議会の民法部会は、平成１１年１月２６日に民法の一部を改正する法律案等要綱案を決定し、公表するとともに、２月１６日、法制審議会総会におきまして、民法の一部を改正する法律案等要綱を決定し、法務大臣に答申をしたところでございます。
　その後、法律案の立案作業を経て、３月１５日に民法の一部を改正する法律案をはじめとする関係４法案を国会に提出をされてございます。先ほど申し上げましたように、１１年の１２月１日に国会で可決されまして、平成１２年４月から施行されるということになってございます。
　成年後見制度の趣旨でございますが、自己決定の尊重の理念と本人の保護の理念との調和を旨といたして設定されておりまして、ポイントの１は現行の禁治産・準禁治産制度を、後見、保佐、補助の３類型の制度とするものでございます。
　２点目は、禁治産者は被後見人、準禁治産者は被保佐人に名称を変更するというものでございます。
　３点目は、これは新しい、補助制度ということでございますけれども、補助制度は軽い痴呆者の方々が対象になる。補助人の代理権や取り消し権は、家庭裁判所が必要な範囲で与えるというようなことになってございます。
　４点目でございます。これもまた新しい制度でございますけれども、自分の判断能力が低下する前に、任意後見人を他人に依頼し、公正証書で委任契約をしておくことができるということでございます。この任意後見制度というのが全く新しい考え方になろうかというふうに思います。詳細につきましては、表に取りまとめてございますので、ごらんいただきたいというふうに思います。
　以上で説明を終わらせていただきます。

　ありがとうございました。かなりこれも大事な議論でございますが、時間の制約がございまして、かいつまんだご報告、ご説明をいただきました。
　それから、基礎資料集として冊子をつけていただいて、きょうは時間の関係で省略させていただきますが、かなり数量的な幾つかの基礎資料というようなものもまとめていただいておりまして、これも審議の過程で徐々にバージョンアップをしていただこうかというふうに思っておりますが、そういうものもご用意をいただいております。
　１つは、東京都の社会福祉審議会の答申の流れにつきまして、ひとつご説明をいただきました。それから、地方分権一括法ということで、東京都の文脈で言えば区市町村の権限というか、そういうものが大きく変わるのか、変わらないのか。これはいろんな議論が、ご評価もあろうかと思いますが、規制緩和の流れの中で現実化しました、あるいは社会福祉基礎構造改革等で現実化しようとしている点について、ご説明をいただきました。
　それから、成年後見制度、これはいわゆる民法の世界の改正でございますが、これはいろいろな意味で福祉の普遍化の中で、社会福祉事業として展開をしております福祉と、そして市民法としての民法といいましょうか、そこら辺が非常にこれから交錯をする、そういう領域で出てきている大きな制度改正がございましたので、成年後見制度、後ほどコメントもご専門のお立場でいただけるのではないかと思いますが、成年後見制度の概要についてご説明をいただきました。
　以上、若干資料に基づいた説明でございますが、何かご質問等ございましょうか。あるいは次回等での事務局への資料請求等も含めまして結構でございますが。

　資料２−１なんですが、施策の流れのところで、昭和３０年代、４０年代のところに「母子家庭、高齢者、障害者など」となっているんですが、この時期の、私ども区の立場から言いますと、かなり児童という対象が、保育園、児童センター、学童保育クラブという施策の対象分野としてはかなり意識されて、力を入れた時期かと思うんですが、「児童」ということも入れておいた方がいいんじゃないかと思うんです。

　昭和３０年代の後半から４０年代にかけましては、保育というような観点で、東京都でも「ポストの数ほど保育所を」というようなスローガンで、保育に力を入れた時期がございまして、その辺ちょっと漏れておりまして、次回の資料にはそれを入れさせていただきたいというふうに思います。

　これは言うまでもなく、児童福祉審議会の答申が多分これに加わってくるはずですよね。だから、そういう意味で、社福審の答申ともう一つ欄を分けて、児童福祉審議会の答申の動きもあれば、今の議論が少しクリアにされていく。逆に言うと「新しい福祉のあり方」というのをどこの範囲でとらえるかという、ここの委員会のミッションとも若干関係があるんですが、そういう意味で言えば、議論するとすれば、要するに縦割り行政ではなかなかいきにくい……。そういう意味で、これは東京都の社会福祉審議会の答申というふうに限っておりますが、最終的なところでは児童、障害等の関係審議会の動きも展望に入れておかないと、どうも……。そうなりますと、医療等をどうするかとか、いろいろな議論がございますが、これはこれからの議論の中で少し詰めていきたいというふうに思います。
　なぜこういうことを申し上げるかというと、福祉という概念が、社会福祉事業から、明らかに都民福祉というか、市民福祉に拡大をしてくる中で、改めて他領域との連携なり、分担の問題がかなり今後シビアな形で議論せざるを得ないという、そんなことがあろうかと思いますので、そこら辺はぜひこれも議論の中で明らかにしていくと同時に、そこら辺の配慮をした資料もご用意をいただけると幸いでございます。
　大変大事なご指摘をいただきまして、ありがとうございます。引き続き、何かご質問、コメントあるいは資料要求等がございましょうか。
　これはオリジナルを見ようと思いますと、事務局の方にご請求いただければ、ご用意をいただけるということでしょうか。
　それでは、後ほどフリーディスカッションの中でまた、今お出しいただきました点についてもご議論をいただけたらというふうに思います。
　前回の分科会では、検討課題について皆様の考えていらっしゃることを一言ずつ、コメントをいろんな形でいただきまして、これは前回の検討分科会の議事録等をごらんをいただきましても、大変多彩なご意見をちょうだいして、これはこれからの議論の基礎として大変有益なご発言をちょうだいをいたしました。今回も、残念ながら先回は何人かのご欠席の委員の方がいらしていただいておりますので、引き続き自由なご議論をお願いできればというふうに思います。
　まずは、委員会の問題意識を共有するということも含めまして、先ほどお願いをいたしましたように、先回ご欠席をされた委員の方から、自己紹介を兼ねまして、またこの分科会へのコメント等、検討課題についてお考えのところもおありになろうかと思いますので、ひとりひとりご欠席の委員にご発言をちょうだいをし、さらにそれを踏まえて、またディスカッションができればというふうに思っております。
　それでは、今井委員からご発言をちょうだいできればというふうに思います。よろしくお願いをいたします。

　前回を欠席してしまいまして、申し訳ございませんでした。今井でございます。
　資料の２−１を拝見して、いわゆる福祉行政の流れというものがわかったわけですが、国の流れとか、都の流れとか、そういうことをすべて含めて、まず今回いろんな意味で、世紀末だからということではないんでしょうけれども、改正、改革というのが非常に盛んなんですが、個々それぞれの問題に入る前に、全体的な私の印象として申し上げておきたいのは、今「福祉改革ビジョン」とか「２１世紀の高齢社会ビジョン」とか、いろいろご説明をいただいている中で、国と対等というか、並行なレベルでというか、地方分権でというようなご説明とか、それから押しつけではなくて、選択できる福祉とか、どれを見てもみんなとってもすてきな言葉が使ってあるんですが、国の方も非常に金銭的に大変なこと、労力的にも大変なことは、地方にどんどん分散していっているし、それから対応そのものも、いわゆるハード対応からソフト対応になっていっているし、そしていろいろなものが何かものすごくマイルドなんだけれども、自分で生きていけという方向に行っています。もちろん今回の東京都のいわゆる福祉関係について、今急に何かがストンと落ちるというような方向ではないとは思うんですが、やはりそれはある意味では仕方がないことみたいなことで、いろんな意味で地方ということにくくりつけるというのは変ですけれども、一方、世の中はということで２つ問題があると。
　そのうちの１つは、人が地方にそのままいない。例えば人によっては、本当に日本にいるけれども、ほかにも行っちゃっているというか、かなり流動性が増しているということもありますよね。
　それから、もう一つは、これはこの表を見ながら、世相について書いてあって、一番上の方なんかは、「恍惚の人（有吉著）」が出ていたりしていますけれども、もし１９００年代の次に２０００年代というのがあって、２０００年というのがあったら、「おばあちゃま、壊れちゃったの？」という、今話題になっている本がありますけれども、「壊れちゃったの」という言い方、これは人間を示してないんです。実際にもう今、若い人たちは子育てもぬいぐるみ育てみたいな状況で始まっていて、普通の人体に対する用語的な言葉で説明しても、ものはわかってもらえないから、例えばガラスのコップは投げたら壊れるみたいな、そういう説明しか聞かないような状態になっています。
　というようなことを含めて考えると、やっぱり福祉に関する考え方を変化させないと間に合わないと思うし、それからその考え方の中で、対処・対応というのはどこまで細かく突き詰めていっても、やっぱり選べるとか、それから本人の意思を持ってみたいな形まで突き詰めていこうとしたら、これは莫大なお金をかけないとできないことで、今のような流れの中ではとても無理な話だと思うんですね。やっぱり考えるだったらば、対処・対応ではなくて予防、それからハードではなくてソフトなんですけれども、そのソフトの方向を、かなり予防に関する広報・宣伝というんですか、そういった方向性を考えないと、こういうところで書いてあるものというのは、１つ１つの項目は全部入っているんだけど、そこに例えば４章あって、第５章目に、情報の開示の仕方をどうするか戦略みたいなのは、全く入っていないんですが、その辺のところがまず一番大切なんじゃないかなというふうに思います。
　だから、せっかくこの機会ですので、ここではやはり今までの１つ１つの各論について深めていかなければならないところもあるでしょうが、考え方そのものの転換も考える必要があるんじゃないかと思います。
　以上です。

　ありがとうございました。やっぱりソニーのアイボというのは、時代の象徴ですね。あれは逆にロボットがいかにもペットのように振る舞うんですが、そういう今の関係性の問題を考えた大変重要なご指摘をいただきました。ありがとうございました。
　引き続き、廣田委員の方からご発言をいただけたらと思います。

　廣田でございます。福祉という非常に広く、また奥深いテーマを扱う中で、めったなことは申し上げにくいのですけれども、私なりの専門の観点から１点だけ意見を申し述べたいと思います。
　しばらく前にも１度申し上げたのですが、福祉についても、その他、教育にしても、土木にしても、農林水産にしても、サービスを提供して、そのサービスを利用するサイドの話と、それからそのサービスのコストを負担するサイドの話と、２つの次元があると思うんです。とかくそれぞれの事務を主管する部局としては、サービスの利用者にこそ多くの目を向けるのですが、負担者については必ずしもそうでない場合もあるのではないかと思うんです。もちろんその自助といいますか、料金の問題等々で負担の関係に議論が及ぶこともあるのですが、体系立ってそれが議論されることが少し少ないのではないかと思うんです。
　そこで、例えばきょう配られた資料の中にも「平成１２年度の主要事業」、これは主要な施策の説明の資料の何か一部なのでしょうか。そこにも書かれていますけれども、いろいろなさまざまな福祉施策を講じていく中で、そのコストをどのようにして負担しているのだろうかというところに関心を持っております。その負担というのは、これはまた前にも申し上げたことですけれども、だれが負担するのかということと、いつ負担するのかということなんです。ここに書かれているのは、財源−幾らの予算がついた、あるいは執行されたということですけれども、この財源が例えば都債によって賄われているならば、それは将来負担されるわけで、逆にまた都税や、あるいは国庫支出金であれば、今年度負担されたことになるわけです。今年の負担にしても、将来の負担にしても、それがどちらの負担で今年のサービスが提供されているのかということに関心があります。
　それから、今年であるにしても、将来であるにしても、だれが負担するのかということも１つ大切だと思うわけです。これは３者大きく分けてあると思うんです。１つは、サービスの直接の利用者が負担する料金。もう一つは、住民である都民。そしてまたもう一つは、広く国民だと思うんです。なので、料金収入であるとか、都税収入であるとか、国庫支出金であるとか、そういっただれが負担するという観点も必要だと思うんです。
　また、ここに掲げられているのは予算額ですから、いわば福祉施策を推進していく上での現金の消費なんです。現金の消費というのは、福祉施策のサービスの推進の中で、その測定の手段としてはやや不完全の感があると思います。これは会計技術的にはもう過去の手法であって、アメリカも英国もオーストラリアもスウェーデンもニュージーランドも、そして国も地方も、今は現金の消費で活動を測定するのでなくて、資源の消費でそれを測定するようになっています。極端な話、福祉施設を建設した場合には、現金の消費というのは一時期にどっと出てくるわけですけれども、その福祉施設を活用することによる施策の提供という、活動ベースで見るならば、平準的に長期にわたるわけです。なので、現金の消費では福祉施策の推進という活動が見えてこない部分もあります。なので、現金の消費のみならず、資源の消費でその活動の状況を測定しておくことも必要だと思います。
　そういった、私はサービスの利用者の観点からはなかなか物を申すことができないのですけれども、その負担者の観点から、より確実な測定の方法、そしてより正確でわかりやすい開示の方法を研究する必要があると思います。
　もちろんそういったことは、例えば福祉局の中の予算決算担当部局で正確に管理されているところとは思いますが、よりこちらのさまざまなビジョンや報告書の中にも出てきてよろしいのではないかと、そんなように思います。

　ありがとうございました。専門の、確かアカウンティングのお立場からご発言をいただいたような気がいたしますが、どうもこの世界というのは、何でもそうなんですが、ビジネス・アドミニストレイションの世界とパブリック・アドミニストレイション、これ訳語もそうですね。経営学と行政学と、全く違う人が大学で教えているという、そういう世界がございましたが、そこら辺がどうやら、知事がバランスシートの問題をご提起されていたかと思いますが、そういうことも含めまして、どういう形で議論をするかという、大変興味深い論点をこれからもぜひご提起をいただけたらと思います。
　それでは、秋間委員の方からまたご発言をいただけたらと思います。

　私、昨年の１１月にヘルニアの手術をいたしまして、この分科会を欠席させていただきまして、本当に申し訳ございませんでした。
　会議資料等をちょっと目を通して感じたことなんですけれども、措置から選択という時代になってきまして、バブルの頃までの福祉につきましては、経済的な支援として給付水準の引き上げとかが主だったと思うんですけれども、東京都が全国の２位であるということ、それから経済成長よりも給付水準の方が高いというのも問題であろうと思っております。このために東京都に住所を移したり、それぞれの自治体が競うように独自の制度をつくったりいたしました。このような観点で現在の財政的に厳しい時代でありますので、見直しが必要であろうというふうに思っております。
　簡単ですけれども、以上でございます。

　ありがとうございました。
　それでは、引き続き小林委員の方からご発言をいただけたらと思います。

　このところの介護保険の導入等々の動きに少し参加させていただきまして、感じたことを２点ほど申し上げたいと思います。
　第１点は、人の問題なんですけれども、ご承知のとおり、介護保険の中で介護支援専門員という仕組みができました。この介護支援専門員というのは、いろんな議論があって、皆さんご承知のとおりですけれども、この仕組みというのは、基本的には利用者と直接に接して、そのニーズを判断して、適切なアドバイスをして、サービスを調整するという、そういう仕組みであります。
　従来の福祉のサービスというのは、措置という仕組みを考えますと、必ずしもこういうケアマネージャーという、直接に利用者と相談に乗って、いろんな援助をするという仕組みになっていなかったのが、新しくケアマネージャーという仕組みができたことによって、より利用者のニーズに即した援助ができるということになってきているんだと思いますし、これは大変いいことではないかと思います。
　この仕組みが今後どういうふうに定着していくかということが大変重要なことだと思うんですが、ケアマネージャーとしてだけ取り上げるんではなくて、その仕組みの中でケアマネージャーがどういうふうに機能を果たすのかという。しかも、従来の行政と違った立場で援助できるような仕組みはどうなるのかというのは、非常に大きな課題ではないかというふうに思います。
　いろんな機能があって、情報提供、それからニーズのアセスメントですとか、ケアプランとかと言われていますけれども、あれだけの広いプロセスの管理をケアマネージャー１人でできるのだろうかと、どうなるんだろうかなというふうに思っておりまして、どうしてもある仕組みの中でケアマネージメントが動かないといけないのではないかという気がしております。
　そうしますと、ケアマネージャーという考え方は、もう一つ進めてみますと、主に高齢者、介護保険の施行に伴う介護支援専門の仕組みだけではなくて、これももうご案内のことですけれども、障害者の分野でもケアマネージャーが必要だと言われてきた。多分そうしますと、児童の分野でもケアマネージャーが必要になってくるのかなと。サービスを提供する側で、何かケアマネージメントと言われているような、内容についてはこれから深まっていくと思いますけれども、ケアマネージメントという内容がもう少しシステムの中で議論されることによって、これまでカバーできなかった、先ほど今井委員のご説明がありましたように、ニーズを引き受けて、把握して、適切なところにつなげていくというような、単なる情報ではなくて、情報をさらにかみ砕いて、具体的に伝達できるようなところも含めたケアマネージメントというしくみができてくるといいのではないかという気がいたしておりまして、多分これは高齢者、障害者、児童、福祉というしくみの中に共通のあるインフラストラクチャーになる必要があるのではないかなということを感じた点が、まず第１点です。
　それから、第２点ですが、住民参加のことなんですけれども、これもいろいろな、このところ勉強をさせていただきますと、住民というのは、当たり前ですけれども、いろんな住民がいるわけで、「住民の立場」なんていうのは、私は一つもそういうのはないという感じを非常に強くしております。要するにいろんなレベルの住民がいて、非常に積極的な発言をなさる住民から、これから勉強してみようという住民、いろんな住民がいるんだと思うんですね。何か住民というのを奉って、何かの審議会に出てきて、住民の立場からなんて言っても、かえってそういう代表になさる住民というのは、困惑なさるんじゃないか。１人で住民全体をしょうことができるはずがないというふうに感じたわけです。
　やっぱり住民というのは、勉強していく立場というのが大切なんではないか。いろんな参加の機会を持って、そういうところに行って勉強をしていくしかない。私も例えば地域でやるとしますと、そういう住民としていろんな勉強を始めなくちゃならないわけで、そういう勉強の場、つまり住民教育なのか、学習なのか、よくわかりませんけれども、そういうものとしてとらえていく必要がある。これが福祉の新しいステップの課題になっていくのではないかという気がいたします。
　そうしますと、やはりそういうリーダーをどう育てていくか、そういうことがインフラストラクチャーとして必要になってくるんではないか。他にもいろいろありますけれども、何か福祉のインフラストラクチャーがどう変わっていくのかという観点からの検討があってもいいかなという気がいたします。
　それと関連して、福祉の対象者という観点ではなく、違う、福祉の──対象者というのは変なんですけれども、つまり老人とか障害者とか言われていますけれども、そうじゃなくて、通じてする何か考え方があるのかどうか。その辺の議論があってもいいかなという気がいたします。
　以上です。

　ありがとうございました。大変示唆的な今後の議論、在宅ケアの転換ということを東京都が言っておりますが、そこでのインフラストラクチャーという、そういう議論で、これからの議論の出発点になるご意見をいただけたかと思います。ありがとうございました。
　それでは、白石委員の方からご発言をお願いします。

　私も前回欠席をさせていただきまして、失礼をいたしました。
　私は、専門分野は少子高齢時代の住宅、まちづくりというハード系の人間でございまして、社会福祉に関しましては、甚だ素人でございますので、どこまでお役に立てますか、不安でございます。
　私が申し上げたいのは１点でございます。今後新しい福祉のあり方を検討していくに当たって、この分科会のメンバーで、どのような時代認識を持つのか。共通の認識を持つのかということ。そして、行財政的なところをどこまで含んで考えていくかということが、非常に大事ではないかなと思います。
　私は今、都計法の改正なんかのお仕事もさせていただいているんですけれども、まちづくりは今後市街地再編の時代に入っていくわけで、今まで人口が急増し、どんどん外延化していた時代から、あるものを有効利用しようという、リストラの時代に入る。そうしますと、町中を高度利用しながら、一方でゆとりを残していく時代に入っていくわけです。これを福祉の供給ということから見ましたら、非常に介護効率が上がっていけるし、集住することによって地域の見守りの機能も出てくる。そうしますと、公的な役割が担える部分というのはおのずと変わっていくわけでございます。
　また、私の子どもが通っております小学校でも、高齢者が教育にかかわるということがだんだんできております。授業の中で高齢者が昔遊びを教えたり、戦争体験を話したり、こういうことから始まって、授業のお手伝いをするというようなことまで始まっている。そうしますと、地域の中で生きたエイジング教育ができていく。そうしますと、地域でいうか、社会全体で高齢者ないし障害を持つ方を取り巻く認識が変わっていくと。まちづくりの面から、また教育の面から、高齢者のとらえ方、高齢者や子どもが住む器が変わっていくということで、おのずと社会福祉のあり方自体も変わっていくのではないか。
　そういうことから考えると、社会福祉という狭い領域だけをとらえていては、時代の変化を見逃すことになってしまうのではないかなと思います。いろいろ社会環境が急激なスピードで変化をしている中で、時代認識をどう共通化して、どこまで他の変化を取り組んでいけるか。モビリティーの面でも民間事業者が、例えばワンコインで乗れるようなものを移送サービスとして提供する時代になれば、公的なところはそういうところは担っていかなくてもいいかもしれない。時代の状況を織りまぜながら、公的なところがどこまで担うべきかと。このメンバーで共通認識をいち早くつくっていくことが非常に重要ではないかなと思います。
　以上です。

　ありがとうございます。これも大変重要な論点をちょうだいしたような気がいたします。
　それでは、引き続き鈴木委員の方からご発言をいただけたらと思います。

　日野市から参りました鈴木でございます。
　私は、市の立場として、現実に福祉に関するサービスを提供している中で、「新しい福祉のあり方」についての考え方等に、少しでも協力ができればと思って参加しております。
　東京都の方の「施策の概要」の中のまさに１９９０年代、少子高齢社会への対応が大きな課題ということで挙げられております。これにつきましては、まさに我々市町村につきましても、大きな課題として現在取り組んでいるわけですが、これらの方向性の中で、前からも言われてきましたが、保健・医療・福祉の連携、これがますます重要となってくる時代でございます。私どもも縦割りから横の連携へということで、福祉保健部という部制をしいて対応しているところでございますが、なかなかまだ日が浅く、連携が十分でないというような気もいたしております。
　それと、今年の４月から介護保険の導入に伴いまして、それぞれの市民ニーズの把握に努めているところでございますが、説明会等の中で市民からの意見を吸い上げる中で、まず元気高齢者の施策、それについて非常に質問が多い。なぜかといいますと、要援護者については、全体の１０％、日野の場合は１０％程度の出現率ですが、残りの９０％の方々は要援護者にならないための施策、その重要性を非常に要望しているところでございます。
　それと、保険の制度の導入の中で、今までの応能負担から応益負担に変わってくるということと、従来の公助から共助の意識改革、そこら辺もこれからしていかなければいけないことなのかなあというふうに思っております。
　また、少子高齢化という中での相乗効果の中では少子化対策、これをやはり重要な課題だと思っております。女性の方の社会参画の環境整備をしなければ、少子化は私どもは止まらないというふうに思っております。なぜかといいますと、現実的には保育所の入所待機児が現在でもある状況でございます。また、その市民のニーズも変わってきておりまして、零歳児保育から要望が強い。また時間的にも延長保育の要望が非常に強いということで、子どもを産む前に、若いお母さんが相談に来るケースが増えてきておりまして、子どもをそういう形の中で育てられるのか、そういう心配があるのかなあという気がいたします。いずれにしましても、保育につきましては、保育園あるいは働いているということでかぎっ子となる学童クラブの充実、そこら辺もあわせて福祉の中で位置づけをしていく必要があるのではないかというふうに考えております。
　以上でございます。

　ありがとうございました。行政の第一線のお立場から、今行政の一線で動いていることをご提起いただいたような気がいたします。ありがとうございました。
　一わたりというか、先回に引き続きまして、委員の皆様からご発言を特にお願いをいたしまして、ご発言をいただきました。前回のご発言を議事録という形でまとめ、さらに後に議論のたたき台をつくる上での作業ができるような形で、おまとめを事務局の方にも実はお願いをしておりますが、今回もそういう形で少し整理をお願いをしたいと思っておりますが、今のご意見も含めまして、次回以降の論議、多々出てくると思いますが、何か委員の皆様から引き続きご発言、補足的な意見、あるいはいろいろな形で資料説明をいただきましたこういうことについても含めまして、ご自由にちょっとご意見、ご発言をちょうだいできたらと思います。どんな角度からでも、あるいは先回の補強等も含めまして、どうぞお願いできましたらと思います。

　質問でよろしいですか。

　はい、どうぞ。

　最初の方の資料説明で「２１世紀高齢社会ビジョン」の中で、元気な高齢者に対する部分が重要だということで、先ほど日野の鈴木委員の方からもご発言があったんですが、私ども現場感覚では、高齢者を６５歳以上という定義にすれば、約９割の方がお元気だというふうに常々説明しているんですが、東京都は約８割と大体おっしゃっているようなんですけれども、これは何か根拠があるんでしょうか。

　よろしくお願いします。

　全高齢者の割合ということで言いますと、ちょっと古いんですけど、平成７年度に社会福祉基礎調査というのがございまして、６５歳以上についての見方で言いますと、東京では７６.３％で、今新美委員がおっしゃられたように、例えばですけど、６５から６９歳では、平成７年でちょっと古いんですけど、その時点でも８１.８％です。ですから、恐らく年齢のとり方によって、また７年から今の現在から言えば、もっと高い数字ではないかと思うんですけど、一応新しい数字としてあるもので言いますとそういうことで、約８割というふうな言い方をしております。恐らく実態は、あるいはもっと年齢のとり方で全高齢者でとれば、実感的にいうと、９割近い数字かもしれません。

　実は今、私ども、介護保険というのが新しく入りますと、介護保険対象は「要支援」まで入っているわけですね。つまり、かなり軽度の支援の方まで対象になっています。かなり幅広く拾っているはずなんですね、今の認定のシステム。あれで１割ちょっとですから、そういう意味でいいますと、切り捨てて元気を言うよりは、切り上げて元気を言う方が、実際には８割なのか、８５％なのか、８７％だか８１％だか、わからないと思いますけれども、切り上げ型で元気を正面に出した方がいいのではないかと思って、ちょっと質問させていただきました。

　恐らく今行っているのは「要援護」老人ですか、厚生省の使い方。実態調査ベースで介護保険の導入を前提とした調査で出てくる数字と、基礎調査の場合はかなり意識調査に近うございますよね。そこのレベルで出てきているのとのギャップは、当然あると思いますね。
　それから、どうも「自立」という言葉が、非常に悪い言葉を厚生省は使ってしまったと思っているんですが、「自立」というのも、要援護老人調査ベースでもいい、自立支援で言う「自立」と、ややニュアンス的には随分難しい議論で、そこら辺は高齢者の生活像ということを考える上で、それからもう一つは、ある断面で切った見方というよりは、もう少しライフ構成に即して見直してみると、自立と依存の関係をどういうふうに見るかとか、いろんな議論、これはそれに対応する先ほどの議論では、ケアマネージメントという機能をどういう形でどこから始めていくのかということにもかかわってくるかと思いますが、ぜひ今後議論をいろいろな意味で詰めたいテーマ、これは障害の問題にもかかわりますし、相変わらず厚生省は「要援護」という言葉を調査の項目にも使っています。その「要援護」という言い方そのものが、要するに市民福祉の契約ということには、どこでどういう形でその概念をとらえるのかというのは、大変福祉サービス利用ということで言えば、これまた大変興味深い議論でして、そこら辺の動きを踏まえた福祉のあり方という議論をしなければいけないかというふうに思います。いかがでございましょうか。
　先ほどの小林委員のご発言とちょっと関係して、ぜひ現場の行政のご議論の方でお願いをしたいと思いますが、要するにケアマネージャーというか、ニードとサービスを調整する機能があり、介護保険の中で制度で入ってくる。従来措置の中ではそれなりの機能があったということになっていたわけですね。それは現実に区市町村のレベルでどうなのか。
　そして、もう一つは先ほどの地方分権の一括法の議論で言えば、必置規制をどんどん緩めていくという、そういう方向でご議論をするとすると、やっぱり公的サービスというか、公的機関におけるいわゆるニードとサービスの調整、これは措置というものに乗っかっていたわけですが、それが契約になってきたときに、公的サービス機能というものをどういうふうに、必置規制が緩んでいく。社会福祉士とか、司の福祉というのは、ある意味で言えば、福祉サービス提供過程における専門性を担保する概念として、格好だけしか残っていなかったという説と、まだそれが自主的に機能し得るんだという説と、いろいろあるかと思います。そこら辺の議論はかなりこれからインフラストラクチャーを考える上で、公的サービスの役割ということを考え、多分ここでちょっと議論をしなければいけないテーマになっていくのかなというふうに思っておりますが、そこら辺のことで何か行政の第一線の立場の方からご発言がいただけないでしょうか。あるいは介護保険がそれをどう変えていくか。

　ケアマネージャーの関係でございますが、従来措置でのその役割を果たしていたのは、行政の中では社会福祉士のケースワーカーが当たっておりました。現実的に現場に出るには介護福祉士あるいはヘルパー等が手助けをしているという現状でございます。
　これからの介護保険の中でのケアマネージャーの役割ということで、基本的には支援事業者の民間の活力を活用していくというのが原則でございますが、行政といたしましても、それらのケアマネージャーの指導、公平性を持った指導をしていかなきゃならないということで、市の方もそれなりにケアマネージャーの資格を取らせております。それで、当市の場合は、当面調整チームという中で、保健婦あるいはケースーワーカー、介護福祉士、いろいろの職種の中からケアマネージャーのチームをつくっております。それらのケアマネージャーが民間の支援事業者のケアマネージャー、日野市には現在１２０名程度いるんですが、それらのケアマネージャーとの連絡調整会を毎月開き、ケアプランの立て方あるいは苦情等の相談業務について、連絡を密にし、実際に介護保険の４月に向かって準備を進めていると、そんなような現状でございます。

　ありがとうございました。

　基本的なところは、今鈴木委員のおっしゃったとおりなんですが、先ほど小林先生がおっしゃった中で、私ども品川区としては重要だと思っていることは、ケアマネージャーというのは専門職、個人なんですが、個人でできることには限界があるということだと思うんです。とりわけ介護保険のようにかなり大勢の方を、かついろいろなタイプの方、つまり措置ではなく契約ということは、相手の方の意思あるいは希望、もろもろのものを踏まえて相談に乗るということですから、そういったところで単に個人レベルでの専門性ではもう追いつかない。したがって、仕組みが必要であると。これをどうつくるか。それはやはり区市町村単位でつくるしかないということだと思っております。
　そういう意味で、行政というのは、公的にはその区市町村の中でそういう専門職がきちんと動けるようなルール、あるいは基盤、組織、あるいは権限の付与といったようなことを行うことが、一番今行政に求められているわけです。調整役というのは多分そういうことだと思うんです。
　さらに今後の福祉で言えば、区市町村単位も大き過ぎますね。もう一つやっぱりコミュニティ、それぞれの区市町村のコミュニティはどういう単位なのかということがあると思いますが、学校区のところもあれば、私どもは町会、自治会という地縁的な組織のあるまとまりの単位が、大体どこでも日本の社会にはあると思いますので、そういう地縁的な組織のある種の何々地区というものですね。そういったものとの連携を果たしていくという、かなり現実的な小地区での仕組みと、それから区市町村単位、つまり保険者単位での仕組みを階層的につくっていく。できるだけ現場に権限を落としていく。しかし、現場が個人的にやるんではない。というような、重層的とかいろいろ言われますけれども、ある現場、中間、統括というような、そんなふうな仕組みをつくって、ルールをつくっていく。
　それからケアマネの中である意味、居宅介護支援事業者という一定の指定を受ければできる事業というふうに規定をされていますが、現実的には、少なくとも当分の間は、介護支援センターという公的居宅介護支援事業者をどう活用していくのかということが、重要なのではないかというふうに思っております。

　ありがとうございました。大変大事な論点をお出しいただいたかと思いますが、いかがでございましょうか。今の議論を踏まえてでも結構ですし、また新しい切り口のご議論でも結構でございますが。

　先般オーストラリアへ行きまして、メルボルンで話を聞いてきたんですけれども、アルツハイマー・アソシエーションという痴呆性老人の支援組織があって、そこに行って話を聞いてきました。おもしろいことをやっていると思ったんですが、日本で言えば痴呆性老人を抱える家族の会と、多分同じようなことになるかと思うんですけれども、この団体ではいろんな教育プログラムをつくっているんです。
　教育プログラムといってもいろんなものがあります。本部がありまして、その支部が各地域に置かれているんですけれども、その地域ごとにボランティアの方にお願いをして、特定の痴呆性老人を抱える家族の人たちを支えるような仕組み。例えば外に出ていくとか、デイサービスに行くときに一緒についていってくれるとか、そういうようなまず地域の支援プログラムを考えます。
　今度はそのボランティアを支える教育のシステムというんでしょうか、いろんな情報を勉強していただいて、こういうことは注意してほしいというようなことで、ボランティアリーダーみたいなこともされている。
　それから、もう一つ大切なのは、専門家との連携でありまして、どうしても医療の問題が入ってまいります。けれども、これは２つ実は議論があったんだそうで、専門家が中心になって痴呆性老人の対応をしていく、そういう仕組みをつくるという考え方と、どっちかというと、地域の統一組織をベースに、そこに専門性機能が後ろからバックアップするという仕組みを考えた方がよろしいというような、そういう議論があったんだそうですが、そのアルツハイマー・アソシエーションの場合には住民が主体になって、ボランティアがかなりかかわれるような形で仕組みをつくっていったということで、これは大変好評だそうです。そこにかなり連邦政府もお金を出して、こういう団体育成を助成をしてきたということで、どうも団体助成とか育成という意味が、日本よりもちょっと広いかなという感じがしたわけであります。
　先ほどの教育というか、人材育成も含めて、育成の方式がとられているということと、それからそこによってはパートタイムで専門職の精神科の先生が入ってきて、アドバイスもできるような、そういうふうな仕組みになっているようでありまして、何か住民の力を高めていくときのやり方を検討するのも、テーマとしてはおもしろいかなと。行政の方からは先ほど、サービスの方からのケアマネージメントとしての考えとしますと、住民の地域の方からそういう仕組みを考えてもいいんではないかという、先ほどちょっとそのことを念頭に置いて話したんですが、ご参考になればと思います。

　恐らく６１年の「総合的なあり方の展開」のときに、地域福祉基金という発想を出しました。それがある意味では助成・補助というカテゴリーで、これは公私関係がそういう公私関係だったからそうなったというところがあるんですが、それをもう少しエンパワーメントに関する、先ほどリソースの話が出てきましたけど、エンパワーメントのためのリソースを提供する仕掛けにどうも組みかえていくということは、かなり今回の非常に大きな−これは東京都の役割をどう考えるかと。東京都、市区町村という、そういう考え方でずっと行っていますが、どういうやり方があるのかというのは、多分ここで少し議論を詰めて、提案を多分しなければいけない。単に在宅福祉サービスへとか、選択へというふうに言っているだけではだめで、それを可能にする政策手段をいろんな形で提起するという必要があろうかと思いますが、今の小林委員のご発言は多分そこと深くかかわるご発言をいただいたような気がいたしますが、いかがでございましょうか。
　専門家と住民、ここで言えば市区町村民ということになりましょうが、先ほどのコメントもございました。何か関係をどう考えていったらいいのかを、これは公的な役割ということを考える上で、大変重要な議論かと思いますが。相変わらず給付すればいいと。要するにたくさん出した方がいいという、そういう議論は議会あたりで相変わらず、国も含めまして、まかり通っておりますので、そういう議論では多分もう成り立たない、非常に厳しい時代が来るとすれば、お金を大事に使う。使い方の関係にも、これから議論になっていくかと。いかがでございますか。

　今の小林委員のご意見の中で、いわゆる教育というか、自分たちを高めていく方向への研究みたいな問題ですよね。それがやはり一番今後求められるんだろうと思うんですね。行政サイドだと、ある程度確固たる普遍性のあるものでなければ認められない部分もあるんでしょうけれど、やはり地域地域の場合には、そういったものの新しい、例えば医学的なことですと、本当に日進月歩まではいかなくても、１年ぐらいたったら、２年目にはケアすべき人間の相手の人たちの持っている能力が変わるようなことって、もう今の時代だと起こる可能性は大なんです。
　そういうようなことを考えてくると、やり方がマンネリ化してしまうような状況だと、お互いに不幸という形にもなりますので、今のおっしゃっていたのは、医者といわゆるボランティアの方々と、それから精神科医とみたいな、いろんなチームがあると思うんですけれども、中でも最近、これはオーストラリアだけではなくて、世界的傾向だと思います。日本でもだんだんそうなってきているけど、医者ってどうしても医療で治療しちゃおうと思っちゃうわけで、だから老人性痴呆症に対しても、その痴呆の度合いを減らしていこうということに、研究の意義も感じるんですけれども、これはもちろん痴呆症のみならずですけれども、いろいろな状態のハンディキャップのある方を、そのハンディがあることが当たり前の形として、むしろその人とどうつき合っていくかというのは、対等な人間としてつき合っていくというのと同じ。この人はこういう特徴があるから、私はこういうふうにつき合いましょうと。向こうもそれに対しては、ある程度気を使ってくれる部分も中には残っているみたいなものは当たり前としてつき合っていくという方法で、つき合うことの方が、要するに幸せだというような方向に行っていますので、今お話があったように、医者や精神科医は時々アドバイスをするにしても、ボランティアの方たちがメインになって、いろんなケアの方法を考える。そっちの方向に行っていると思うんですね。
　いずれにしても、私さっき言い忘れたなあと思っていたのがそこの部分で、やはりこういう問題を考えていくときに、今後必要になってくるのは、だんだんだんだん１つずつ１つずつが多様化するだけに、普遍的な部分の考え方と、それから個々それぞれの各論に対しての研究開発というか、修業と研究ですかね、その部分を怠らずというか、確保していくことが大切だろうと思います。
　以上です。

　ありがとうございました。福祉と言われている領域が、ようやく事後的な要援護者への対応から、事前的な市民や都民への。となりますと、やっぱりイノベーションにセンシティブな仕掛けと金の出し方と資源のリクルートメントの方法というか、それがどうも重要で、先ほど東京都がつくった年表を見ていただくと、公私格差の議論が出てきたのが昭和３０……。やっぱりそれが始末をつけるといったら悪いけど、整理されてくるのにこんなに時間がかかるのか。手当の問題もそうですが、そういう意味では、そういうことを含めますと、やっぱりイノベーションにどれだけセンシティブになっていくかというのは、これはとにかくお金がなくなっていくということだけははっきりしていますから、お金がなくなる分を、なくなったお金を２倍３倍に使わきなゃいけないというための仕掛けづくり、これがかなり重要かなというふうに思いましたが、いかがでございましょうか。まだ、若干時間が残っておりますので。

　皆様方のご意見をお聞きして、それぞれ大変もっともだなというふうに思うんですが、全体の議論の進め方として、ここは「新しい福祉のあり方」を検討するときに、要するに今ある問題を解決するという進め方をしていって、あるべき姿を求めるのか。あるいはあるべき姿を先に出して、それをどうやって戦力としてプログラムに移行するのか。そこは大変重要な点ではないかというふうに思いました。
　問題解決型は、その問題が解決すると、次には必ず次の問題が出てきて、これはいつまでたってもなかなか難しい問題があるのではないか。どうもそういうやり方は、一方で財政が厳しいということで、行財政上の問題がどうしても見え隠れしてしまうような気がするんです。私としては、どちらかというと、あるべき姿をトータルでとらえていって、それに向けてのプログラミングをした方がいいのでないか。学識経験者はついそういうことを言いたがるんですが、そうしないと、私が前回申し上げたクロスセクターベネフィットという考え方が、なかなか出てこないのではないかというふうに思います。もちろん私は、財政が大変厳しいということはよくわかっているわけですが、今井委員から出てきた、例えば対症療法でいくか、予防でいくか、これ大変重要な問題で、一般的には当然予防にお金をかけた方が、将来絶対に有利だと、私は思っているわけです。
　一つの例として、私、最近よくノルウェーに行くんですが、ノルウェーでは身体機能が低下をしてきた高齢者に、１カ月ぐらいのトレーニング・アパートメント・システムがある。特養のナーシングホームの一部の階を１カ月利用して、そこで理学療法、作業療法を徹底的にやるんですね。それで、ある程度その機能を維持あるいは回復して、また家庭に戻す。それは行く行くナーシングホームに入る期間を延ばしていくことに大変役立っている。また、地域で自立生活を自分でできていくということに、大変重要な視点がありますので、そんなこともひとつ視野に入れていただけないだろうかと、これが第１点です。
　それから、第２点目は、福祉という視点でとらえられる部分と、もう一つは基本的人権という視点をとらえる部分と、もう少し分けられないだろうかという気がするんですね。どうも福祉というと、どうしても行財政が十分でないからと、後回しになりますが、基本的人権という視点をとらえますと、これは一番先にやらなくちゃいけない問題で、それはどんなに財政が厳しくても、最初にやる。私の専門では「福祉のまちづくり」という言葉がありますが、この「福祉のまちづくり」というのはどうも日本的な発想で、外国では基本的人権を守るという視点が非常に強いわけで、どうも日本の「福祉のまちづくり」が、相当進んできているということは評価をいたしますが、もう一つ行かないのは、何かその辺にあるのではないかという感じがしています。
　以上です。

　ありがとうございました。野村先生がおっしゃった点で、東京都にお任せするところは前者の話で、審議会としては後者の議論をしたいと、そういうことかなというふうに思っております。
　それから、第２の点は、実はこれも大変重要なご議論で、ぼくは地域福祉権利擁護事業というのは、厚生省が社会福祉事業の枠でやろうとしていて、あれがどういうわけだか、財産管理というふうに矮小化されてとらえられていると、そういうふうに思っておりまして、いつの間にか成年後見制度の民法の理念と地域福祉権利擁護事業、補完補完と言いながらどうするのかというのが、そこが実ははっきりしないまま、議論が進んでいるなあというふうに思っております。これも実は人権というか、市民としての選択権というか、そういう権利をどういうふうに確保するかと、そういう議論ともかかわっていて、権利というものをどういうふうに考えるのか。矮小化されないで、きちんと議論をしていく。そういう大変重要なご指摘をいただきました。ありがとうございました。

　いろいろとご意見を伺って、今考えついたことなんですけれども、亀井さんが介護保険について、家族にもっとやらせろというようなことをご発言なさったという事件が、去年の秋にありましたけれども、結局家族というものが今どうなっているかということに関する認識の違いというものがあったんだと思うんですね。恐らく亀井さんの家族は「うちは嫁と兄の嫁が面倒見てます」とおっしゃるような家庭なんですよね。でも、東京にそういう家庭がどれだけ存在しているかと。また、地方で本当に過疎の村でそういう家庭がどれだけあるかというようなことを考えますと、やっぱり変だなあというふうに思わざるを得ないわけで、同じようなことを、今ご議論を聞いていて思ったのは、コミュニティというものに対して、野村先生がおっしゃったみたいに、かくあるべし、地域づくりはこうあるべし、だからこういうプログラミングをしましょうというときに、先ほど来、各委員がやっぱり市区町村では大き過ぎて、もうちょっと小さい単位で福祉は考えると。そのコミュニティは一体東京で今どうなっているんでしょうかということに関して、私は若干危惧の念を持っていると。
　例えば私は練馬の端っこで、どちらかと言えば、戸建て住宅地ですので、家族がある所ですけれども、ほとんど若い人はいない。みんな高齢化して、小学校がどんどん減っているような地域ですし、私が生まれた所は神田でございまして、ご存じのように、住人は３万何千人という中で、小学校がどんどん廃校になっていますと。そういうコミュニティの現状に即して、地域というものをどう考えていったらいいかということを、どこかできちっと議論しないと、絵にかいたもちになってしまいそうな気がちょっといたします。
　その中で、特に今という話と今後という話がありまして、北欧なんかで聞いた話によりますと、かなり高齢になると住む所が制限を受けるというような話を聞いております。今日本ではそういうことはございませんから、特に東京都の場合などのように、どんどん流動化していくと、ずっと住んでいる、税金を払った人がそこで福祉を受けるわけじゃない場合もすごくあるわけですよね。そういうときの考え方の整理だとか、外国人の方も大勢居住される。そういう方がコミュニティとどういうかかわりを持つかというような、福祉政策を考える前提のところを、先ほど白石さんがおっしゃった共通認識を持つということと同じだと思うんですけれども、何かちょっとそういう議論を１回して、データを見せていただいて、そして福祉を考えるというふうになったらよいかなというふうに思いました。
　以上でございます。

　ありがとうございました。費用の面で言えば、東京都として余り表立って言えないわけですが、東京都民がかせいだお金、これは法人のあれもあるんですが、それがある意味では地方の補助金に化けているという、そういう側面が一方であって、実はそれがどうも２１世紀になってきかなくなるということですよね。そこら辺の問題もあるなあというふうに、今のお話を伺いました。

　いろいろな新しい議論を提起していただきまして、大変参考になっております。今、新村さんからも提起がありましたけれども、福祉政策の前提をもう一度再確認する必要があるんではないかというふうなご提起がありましたけれども、私もその点について申し上げたいと思うんですけれども。
　前提が非常に変わってきていると、それは皆様方はすごくご承知のことだと思うんですけれども、今コミュニティの話とか家族の話も出ましたけれども、私は労働の領域においても、これは新聞紙上でもよく言われていることですけれども、終身雇用も崩壊していると。２１世紀の労働のあり方というのは、非常にフレキシブルな、非常に弾力的であり、柔軟な労働形態になるということで、一見すごくよく聞こえるんですけれども、もっと言えばやっぱりパート労働化が非常に進むということなんだろうと思うんですね。
　アメリカなんかの現状を見ても、フレキシブルを望む人、今の若い人たちも非常に望んでいる側面があるんですけれども、具体的にアメリカの実態の報告を見ていますと、大体労働がフレキシブルでどんどん変わっていくに従って、賃金は決して上がっていないという。賃金が下がってきているという。それから、賃金が下がるだけじゃなくて、家庭とか地域ということが非常に崩壊するという形も出てきているわけです。
　日本もこれからフレキシブルな労働形態がもっと進むだろうと思うんですけど、その中で核家族のもとでのお年寄りというよりも、単身男性と高齢者とか、単身女性と高齢者が同居とか、いろんなそういう形が多くなってくると思うんですね。その中で今回、私の近所の方の問題が起こったんですけれども、単身男性が親を見ていると。親をなかなか見切れないということで、労働をフレキシブルにしていくと。要するに今までは正規の社員だったのをパート労働にして、請負業になっていくと。それで、自分の自由な時間が獲得できるから、親のお昼の食事を用意するとか、おむつを取りかえるとかとやっていたんですね。福祉が若干対応していたんですけど、どういう問題が起こったかというと、本人が、お母さんを支えている５０歳の男性ですけれども、その人が病気になったときに、私の地域ではどういうことが起こったかというと、福祉の受入れがなかったんですね。病院に入院してしまったときに、お母さんをどうするか。痴呆ですから、自立できませんから、どこに入るかといったときに、対応するところが何もなかった。結局のところ、警察が来て、２４時間のパトロールをやってもらって、数日を過ごしたという。まだ、こんな時代でも最後のところは警察のお世話なのか、福祉が警察のお世話にならなきゃいけないのが現状なんだなという。
　それで、今回、４月から介護保険になるときに、すごく彼は喜ぶというか、やっと自分の母親が３級の介護を認定されたと、おかげさまでなりましたと。３級というのは２７万何がしぐらいまでは使えるらしいという話で喜んでいた。同時に、一方で、３級認定されるのはいいけれども、一部負担が入るけれども、自分の所得では、５０歳の男性でも、フレキシブルな労働というのは、月に１０万ぐらいしかお金が入らないらしいんですね。今景気も悪いし。そうすると、介護保険はせっかくできて、３級にまで認定されてありがたいんだけれども、一部負担が導入されたときには、自分はもしかしたら払えないかもしれないから、やっぱり法律のとおりのサービスを全部受けられなくて、縮小さぜるを得ないだろうというようなことを言っているんですね。
　それはたまたま一つの例なんですけれども、多分これから労働形態が、社会の方向としてフレキシブルな労働がたくさん出てくる。それから、失業も出てくると。そういう中で、そういう前提の上で、福祉というサービスとの関係というんですか。私は、だから給付をたくさんという、そういうことじゃなくて、５０歳の人、病気しながらでも、何とか働ける能力があるわけですね。そういう人たちが再度の福祉需要にならないような形でのサポート、労働とか生活のサポート、そういうことをすることによって、本人もいいし、家族そのものもまだ維持できると。もう少し福祉の前提としての労働のあり方というんですか、福祉と労働は、労働は労働政策だと、そういうふうに切り離さないで、もっと連携させた対応というんですか、それでなるべく労働の自立というんですか、労働することによって生活を維持していけるという、そういうサポートを含んで、高齢者の介護も考えていくような、そういう市民生活の、福祉を対象というよりか、全生活の領域をサポートできるような問題を考えていく必要があるんじゃないかなと。そうじゃないと、福祉需要を再生産してしまうんじゃないかという感じがあるものですから、福祉の前提の問題をもうちょっと議論いただきたいと思います。

　ありがとうございました。
　そろそろ時間でございますが、最後にこれだけはと……。渡辺委員、お願いいたします。

　私も昨年オーストラリアのシドニーとブリスベーン、１週間ぐらいだったんですけれども、施設４か所ぐらいと、あとどうしても在宅ケアの実態を見たいということで行きまして、先ほどちょっと出ましたけれども、あちらには、詳しいことは省略しますが、Ａキャットといいまして、高齢者の支援チームが１２２か所ぐらいできておりまして、地域の高齢者はそこに何でも相談すれば、すぐ下にＮＰＯがありまして、そしてその下にボランティアというような構造ができていまして、私と車で一緒に回っていただいた、その方は看護婦さんだったんですけれども、ボランティアで週２回、ＮＰＯに所属して、活動している。看護婦さんという専門職なわけですね。そこのお宅にも伺うチャンスがあったら、まだ小学生ぐらいの小さいお子さんが３人いるわけですね。そこにはきちっとヘルパーさんがまた派遣されて、その方の活動を支援しているという、そういう仕組みができていたということに、非常に感銘を受けて帰ってきました。

　ありがとうございました。今の家庭モデルというのは、亀井静香的世界では考えられない世界でございますが、ああいう人が政調会長になる日本の政治の現実がございまして、そういう意味では、私は学ぶものがないというと、すごく間違えるというふうに思います。２１世紀の日本はフロンティアであることは間違いないんです。だからといって、学ぶものがない、モデルはないと言ってしまうと、間違えることがあるなということ。特に行政の文書、政治家の文書は、そういう文書が結構まかり通っているんですね。実はそうではないのではないかという。それはやっぱりイノベーションということを、日本の地域社会の、日本の文化のコンテキストで、制度のコンテキストでイノベーションをするためにどうしたらいいかという、そういう発想をすることであろうかと思いますがそこら辺のことはぜひこれから議論を詰めていきたいというふうに思っております。
　きょうはもう時間になりましたが、１回目、２回目ということで、委員の皆様からいろいな形で、自由な形でご発言をちょうだいしてまいりました。なお、こういうやり方はいろんな形で続けていきたいというふうに思っておりますが、ただ時間というのも限られた資源でございまして、その中である方向づけをしなければいけないということ。それから、次回が、後ほどお諮りをいたしますが、東京都の議会との関係もございまして、若干時間が空きそうだということがございまして、今までのご議論を踏まえつつ、本分科会の検討課題というものを少し構造化していきたいという、そういう作業をやってみたいというふうに思っております。
　それで、私の方からご提案を申し上げたいと思いますが、この分科会でこういう議論の中ではなかなか柱立てが難しいなあというふうに思いましたので、ワーキンググループをつくらせていただいて、これは起草委員会とかそういうのとは全く別でございます。起草委員会の組織はまた別に考えたいと思っておりまして、かなり少人数で、事務局を交えて作業ができたらというふうに思っておりますが、いかがでございましょう。そして、４月５月ということで日程調整をこれからお願いするようでございますが、その会に検討課題の骨子のようなものをお出しして、それに沿いながらご議論をしていただくというようなことで、進めさせていただければと思っておりますが。
　そういうことでご異議がないようでございますので、ワーキンググループを少人数でつくらせていただくということのお許しをいただけたらと思います。そして、その委員については、私と副分科会長の田端委員のほか、小林委員、白石委員にお願いし、さらに事務局を加えまして、この作業をさせていただく。これはもうアドホックということでお願いをいたしました。そんなことでよろしくお願いをしたいと思います。
　そういうわけで、次回につきましては、今までの委員のご発言を踏まえつつ、そして事務局のさまざまなご報告を踏まえながら、課題を柱立てして、議論をしていただく素材を提供したいというふうに思っておりますので、よろしくお願いをいたします。そんな形で取り進めさせていただければと思っております。
　それでは、次回の日程につきまして、事務局の方からよろしくお願いをいたします。

　どうもきょうはありがとうございました。
　それでは、次回につきましては、４月下旬あたりを私どもとしては考えておりますので、席上にお配りしました日程表でご記入いだたきまして、後日調整させていただいた上でご連絡をさせていただければと思っています。よろしくお願いいたします。

　何かございましょうか。
　もしよろしければ、時間になりましたので、本日はこれで閉会をさせていただきます。
　次回は、若干そういうわけで桜が散ってからということになるかと思いますが、ひとつよろしくお願いを申し上げます。

（午前１１時５８分閉会）