表紙 タイトル 令和6年4月改訂版 東京都障害者差別解消法ハンドブックみんなで支え合い、つながる社会をめざして  障害のある人もない人も手をつないで輪になっているイラストがあります。障害のある人もない人も共生する社会の実現をイメージしています。  裏表紙に、すけだちくんという侍の恰好をしたキャラクターが片手をあげているイラストがあります。 発行 東京都福祉局 この冊子は、原則下に音声コードがついています。 上下2か所に音声コードがついているページは、1ページ前半1ページ後半といったように読み分けます。 はじめに 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「障害者差別解消法」といいます。)は、我が国が障害者の権利に関する条約(以下「障害者権利条約」といいます。)を締結するに当たり、国内で進められた法整備の一環として定められたものです。 私たちが暮らす社会には、様々な障害のある方が、色々な施設やサービス等を利用して生活していますが、社会にはそうした方々を想定していない物やサービスがたくさんあり、障害のある方の暮らしにおける障壁となっています。 このため、障害者差別解消法は、行政機関等や事業者に対し、障害を理由とする不当な差別的取扱いを禁止しています。 また、障害のある方が直面する社会的障壁について、本人の求めに応じて合理的な配慮の提供を行うことを義務付けています。 そして、障害者も含めた国民一人一人が、それぞれの立場において自発的に障害者差別の解消の推進に向け取り組むことを促しています。 このハンドブックは、平成28年4月の障害者差別解消法の施行に当たり、都内の自治体職員や、事業者の方々が、日々の活動の中で配慮すべき事項を分かりやすくまとめ、対応の具体例を提示するとともに、様々な障害の特性についても分かりやすく説明するなど法の理解を推進するために作成したもので、東京都の職員対応要領を補完する役割も有しています。 その後、東京都では、法の規定を具体化し、障害者差別解消の取組を一層推進するため、平成30年10月施行の東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例(以下「東京都障害者差別解消条例」又は「都条例」といいます。)において、国に先駆け都内事業者における合理的配慮の提供を義務化するとともに紛争解決の仕組みを定めました。 また、令和6年4月からの改正法の施行により、全国的に事業者による合理的配慮の提供が義務となり、この部分において都条例との違いはなくなりました。 当ハンドブックは、これら状況の変化に応じて、2度の改訂を行っています。 障害者に対する差別を無くしていくためには、私たち一人ひとりが、障害のある方のことを「知らない」「分からない」とせず、自分たちの職場や地域で起こり得ることとできることを考え、障害のある方と対話をし、具体的に行動することが大切です。 多くの方々にこのハンドブックを活用していただき、それぞれの立場から取組を進めていくことで、東京に暮らし、東京を訪れる全ての人が、障害の有無によって分け隔てられることなく、支え合う共生社会を実現していきたいと考えています。  すけだちくんが、右手でこぶしを作り、右斜め上へ上げているイラストがあります。 「すけだちくん」は共生社会の実現に向けた障害者理解促進キャラクターです。 「一緒にすけだちいたそう。」をキャッチフレーズに障害のある方が困っていたら、ちょっとした配慮や手助けを呼びかけます。 ※音声コードのQRコードの横に、音声コードについての説明書きがあります。 ⾳声コードとは、「Uni-Voice」専⽤アプリなどで読み取ると、内容を⾳声で聞くことができます。 目次 第1 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律とは 1 法の概要 1ページ 2 行政機関等及び事業者に求められること 4ページ コラム 障害者雇用促進法について 6ページ コラム 「社会的障壁」とは 7ページ コラム 「障害の社会モデル」とは 8ページ コラム 障害者の定義について 9ページ 第2 障害者差別を解消するには 1 不当な差別的取扱いの禁止 10ページ (1) 基本的考え方 (2) 不当な差別的取扱いの具体例 (3) 正当な理由の判断の視点 コラム 「不当な差別的取扱い」の検討フロー図 13ページ 2 合理的配慮の提供 14ページ (1) 基本的考え方 (2) 合理的配慮の提供の具体例 (3) 意思の表明の方法 (4) 建設的対話について (5) 過重な負担の考慮事項 コラム 「合理的配慮の提供」の検討フロー図 21ページ 第3 東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例とは 1 条例制定の背景 22ページ 2 事業者による「合理的配慮の提供」の義務化 22ページ (1) 都条例における事業者とは (2) 都内で事業を行う事業者に求められること 3 相談体制について 24ページ (1) 広域支援相談員による相談受付 (2) 広域支援相談員の業務 (3) 相談体制における区市町村との関係について 4 紛争解決の仕組み 26ページ (1) あっせん (2) 勧告 (3) 公表 5 共生社会実現のための基本的施策 28ページ (1) 情報保障の推進 (2) 言語としての手話の普及 (3) 教育の推進 (4) 事業者による取組の支援 第4 様々な場面における対応の例 1 対応の基本と考え方 30ページ コラム 声かけにおける支援内容の判断チャート図 33ページ 2 様々な場面における対応の例 34ページ (1) 行政機関等や店舗等における対応の例 34ページ ① 案内・誘導 ② 相談・説明 ③ 手続 コラム 知っていますか?手話通訳者等の守秘義務について 40ページ ④ 情報アクセシビリティ コラム 開催通知等の例・参加申込書の例. 44ページ コラム 障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法 45ページ コラム デジタル技術を活用した聴覚障害者コミュニケーション支援事業 46ページ コラム 電話リレーサービス 47ページ ⑤ 緊急時の対応 コラム <配慮の例>カードルールの導入 49ページ (2) 生活場面ごとの合理的配慮の提供等の例 50ページ ① 学校など ② 病院・福祉施設など ③ 交通(鉄道・バス・タクシー・飛行機など) ④ 住まい ⑤ 銀行など ⑥ 小売店・飲食店など コラム 東京都作成障害者差別解消に関する事例集について 54ページ コラム 身体障害者補助犬とは 55ページ (3) 環境の整備 57ページ コラム 音声による情報保障 DAISY・音声コード 60ページ コラム 情報保障の推進に向けた各局の取組を紹介 61ページ コラム 福祉のまちづくりの取組を紹介 63ページ コラム ヒアリングループ(磁気ループ)について 65ページ 第5 障害特性について 1 視覚障害 66ページ 2 聴覚障害 69ページ 3 盲ろう 70ページ 4 肢体不自由 71ページ 5 構音障害 75ページ 6 失語症 75ページ 7 高次脳機能障害 76ページ 8 内部障害 78ページ 9 重症心身障害・その他医療的ケアが必要な障害者 80ページ 10 知的障害 81ページ 11 発達障害 83ページ 12 精神障害86ページ 13 難病89ページ 14 強度行動障害91ページ コラム ヘルプマーク92ページ コラム ヘルプカード93ページ コラム 障害者に関するマーク.94ページ 第6 相談体制の整備等 1相談体制の整備について95ページ コラム:「障害者差別解消支援地域協議会」とは97ページ 2参考情報98ページ 東京都障害者への理解及び差別解消の推進に関する条例......99ページ 1ページ 第1 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律とは 1 法の概要 目的 この法律は、行政機関等や事業者に対し、障害のある人への障害を理由とする「不当な差別的取扱い」を禁止し、障害のある人から申出があった場合に「合理的配慮の提供」を求めることなどを通じて、「共生社会」を実現することを目指しています。 対象範囲等 ① 障害者 心身の機能の障害があり、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活や社会生活に相当な制限を受ける状態にある人のことで、障害者手帳のない方も含みます。 ② 行政機関等 国の府省庁や都道府県、区市町村などのことです。 ③ 事業者 商業その他の事業を行う企業や団体、店舗などのことで、地方公営企業(水道、交通、病院等)や個人事業者、非営利のものも含み、対面やオンラインなどサービス等の提供形態は問いません。 ④ 対象となる分野 障害者が日常生活や社会生活で関わる全ての分野が対象です。 ただし、雇用に係る分野を除きます。 差別解消のための措置等 ① 不当な差別的取扱いの禁止は、行政機関等、事業者ともに法的義務 ② 合理的配慮の提供は、行政機関等、事業者ともに法的義務 差別解消のための支援措置等 国や地方公共団体は、相談・紛争解決のための体制整備、地域における連携、普及・啓発活動の実施等の取組を行うものとされています。 法改正により、令和6年4月1日から事業者による合理的配慮の提供が義務となりました。 2ページ (1) 目的 障害者差別解消法は、我が国が障害者権利条約を締結する際の国内法の整備の一環として定められたものです。 全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を社会において推進することを目的に制定されました。 (2) 対象範囲等 ① 障害者 障害者差別解消法において障害者とは、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害及び高次脳機能障害を含む。)その他の心身の機能の障害(難病等に起因する障害を含む。)(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」としています。 ※ 「障害の社会モデル」の考え方を踏まえた障害者基本法における「障害者」の定義と同じ定義です。 ※ 「障害の社会モデル」とは、障害者が日常生活又は社会生活において受ける制限は、心身の機能の障害のみならず、社会における様々な障壁(バリア)と相対することによって生ずるものとする考え方です(「障害の社会モデル」の詳細は、8ページ参照)。 また、例えば女性の障害者は、障害に加えて女性であることにより、更に複合的に困難な状況に置かれている場合があること、障害児には、成人の障害者とは異なる支援の必要性があること等にも留意が必要です。 ② 行政機関等 行政機関等とは、国の府省庁や独立行政法人等、都道府県や区市町村といった地方公共団体(地方公営企業を除く。)及び地方独立行政法人をいいます。 ③ 事業者 事業者とは、商業その他の事業を行う者のことです。事業の分野や目的の営利・非営利、個人・法人の別を問わず、同種の行為を反復継続する意思をもって行う者であり、個人事業者や対価を得ない無報酬の事業を行う者も対象となります(地方公営企業を含む。)。オンラインのサービスも含みます。 3ページ ④ 対象となる分野 障害者差別解消法は、障害者の日常生活及び社会生活全般に係る幅広い分野を対象としています。 ※ 行政機関等及び事業者が事業主の立場で、労働者である障害者に対して行うことについては、対象外です。障害者の雇用の促進等に関する法律(以下「障害者雇用促進法」という。)の対象となります(障害者雇用促進法の詳細は、6ページ参照)。 なお、障害者差別解消法における差別は、一般の方が個人的な関係で障害者と接するような場合や、個人の思想、言論等は対象にしていませんが、差別の解消を進め、障害のある人もない人も共に支え合う共生社会を実現していくためには、都民の皆様の理解・協力が欠かせません。 (3) 差別解消のための措置等 行政機関等や事業者は、「不当な差別的取扱い」が禁止され、「合理的配慮の提供」が求められます。次ページ以降で詳しく解説します。 (4)差別解消のための支援措置等 差別解消のための措置に対応するため、国が策定した基本方針に基づき、行政機関等では対応要領を策定することとされ(地方公共団体等は努力義務)、事業者に対しては、主務大臣が事業分野ごとに、対応指針(ガイドライン)を策定しています(対応指針の詳細は、5ページ参照)。 なお、事業者における取組が適切に行われるための仕組みとして、同一の事業者によって繰り返し障害者の権利侵害に当たるような差別が行われ、自主的な改善が期待できない場合などには、その事業者の事業を担当する大臣が、事業者に対し、報告を求めたり、助言・指導や勧告を行うといった行政措置を行うことができることとなっています。 都条例では、「公表」の措置まで定めています。 4ページ 2 行政機関等及び事業者に求められること 行政機関等は、不当な差別的取扱いの禁止及び合理的配慮の提供は、法的義務となっており、職員対応要領を遵守することとされています。 事業者は、不当な差別的取扱いの禁止及び合理的配慮の提供は、法的義務となっており、分野ごとの対応指針を遵守することとされています。 令和6年4月1日から法改正により、事業者の合理的配慮の提供が法的義務となりました。 (1) 行政機関等の職員に求められること 東京都や区市町村といった地方公共団体は、国と同様、障害者差別の解消に率先して取り組む主体として、「不当な差別的取扱いの禁止」及び「合理的配慮の提供」が法的義務とされています(詳細は10ページから21ページ参照)。 東京都では、職員の服務規律の一環として、職員対応要領を定めており、本ハンドブックは、これを補完するものです。 10ページ以降に記載している対応の考え方や具体的な事例を踏まえ、東京都職員は適切な対応を取らなくてはなりません。 東京都が設置する施設や事業所等で、主務大臣が定める対応指針の分野に係る事業者として、事業を行う場合やこれに類似する事業を行う場合等は、本ハンドブックだけでなく、該当分野の対応指針にも従う必要があります。 また、行政機関等が施設の運営や事務・事業を事業者に委託する場合等には、事業者が適切に合理的配慮を提供するよう留意が必要です。 区市町村においても、職員対応要領を作成し、障害者差別の解消に向けた取組を行う際の参考として、本ハンドブックをご活用ください。 (2)事業者に求められること 事業者には、不当な差別的取扱いの禁止が義務付けられる一方、その事業内容や規模により、障害のある方との関わり方や求められる配慮も多種多様であることから、合理的配慮の提供については、法においては努力義務とされていました。 しかし、法改正により、令和6年4月1日から、事業者においても合理的配慮の提供が義務となっています。 事業者は、対応指針に従い、積極的な取組が求められます。 5ページ 障害のある方に合理的配慮の提供を行うことは、障害のある方が障害のない方と同等の権利を得られるようにするために重要な取組です。 また、障害者への理解を深め、障害者差別を解消する取組を通じ、施設等の利便性やサービスの質を向上させることは、誰にでも優しく使いやすい施設等やサービスを提供することにもつながります。 本ハンドブックには、行政機関等・事業者双方に共通する考え方や具体例を盛り込んでいますので、実際の場面での参考としてご活用ください。 ※ 対応指針とは、各府省庁において、所管する事業分野ごとに、事業者の適切な対応・判断に資するために主務大臣が作成した指針(ガイドライン)を指します。 例 内閣府(認定こども園) 文部科学省(教育分野、スポーツ分野、文化芸術分野等) 国土交通省(不動産関係、設計等業関係、鉄道事業関係、旅行業関係等) 厚生労働省(福祉事業者、衛生事業者、医療関係事業者等)等 なお、各府省庁の定める対応指針は、内閣府ホームページで確認できます(詳細は、98ページ参照)。  図 障害者差別解消法の概要  図の説明  Ⅰ.差別を解消するための措置  不当な差別的取扱いの禁止は、国・地方公共団体等(第7条第1項)及び民間事業者(第8条第1項)は、法的義務となっているい。  合理的配慮の提供は、国・地方公共団体等(第7条第2項)及び民間事業者(第8条第2項)は、法的義務となっています。  具体的な対応としては、  (1) 政府全体の方針として、差別の解消の推進に関する基本方針を策定(閣議決定)  (2) 国・地方公共団体等は、当該機関における取組に関する要領を策定すること(地方の策定は努力義務)。事業者は、事業分野別の指針(ガイドライン)を策定すること。  実効性の確保としては、主務大臣による民間事業者に対する報告微収、助言・指導、勧告があげられています。  紛争解決  相談・紛争解決の体制整備については、既存の相談、紛争解決の制度の活用・充実  地域における連携  障害者差別解消支援地域協議会における関係機関等の連携  啓発活動  普及・啓発活動の実施  情報収集等  国内外における差別及び差別の解消に向けた取組に関わる情報の収集、整理及び提供  ※ 内閣府ホームページ  https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/pdf/law_h25-65_gaiyo.pdf  障害者差別解消法法律概要を加工して作成  図の説明終わり 6ページ コラム 障害者雇用促進法について 障害者雇用促進法では、事業主の障害者に対する差別の禁止及び合理的配慮の提供義務が定められています。 ポイント ① 雇用の分野での障害者差別を禁止 障害者であることを理由とした障害のない人との不当な差別的取扱いを禁止 ② 雇用の分野での合理的配慮の提供義務 障害者に対する合理的配慮(雇用分野における障害者に対する差別の禁止及び障害者が職場で働くに当たっての支障を改善するための措置)の提供を義務付け ③ 相談体制の整備、苦情処理・紛争解決の援助 障害者からの相談に対応する体制の整備を義務付け 障害者からの苦情を自主的に解決することは努力義務 差別の主な具体例 1 募集・採用の機会 ・身体障害、知的障害、精神障害、車いすの使用、人工呼吸器の使用などを理由として採用を拒否すること等 2 賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用 障害者であることを理由として、以下のような不当な差別的取扱いを行うこと ・賃金を引き下げること、低い賃金を設定すること、昇給をさせないこと ・研修、現場実習を受けさせないこと ・食堂や休憩室の利用を認めないこと等 合理的配慮の提供の主な具体例 1 募集・採用の配慮 ・採用試験の問題用紙を点訳・音訳すること、試験などで拡大読書器を利用できるようにすること、試験の回答時間を延長すること・回答方法を工夫すること等 7ページ 2 施設の整備、援助を行う者の配置 ・車いす使用者に合わせて、机や作業台の高さを調整すること ・文字だけでなく口頭での説明を行うこと、口頭だけでなく分かりやすい文書・絵図を用いて説明すること、筆談ができるようにすること ・手話通訳者や要約筆記者を配置・派遣すること、雇用主との間で調整する相談員を置くこと ・通勤時のラッシュを避けるため勤務時間を変更すること等 ※ 詳しくは、厚生労働省のホームページを参照してください。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/shougaisha_h25/index.html コラム 「社会的障壁」とは 「社会的障壁」とは、「障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のもの」と定義されています。 具体的にはどのようなものでしょうか。 社会的障壁の例 ・事物 通行や利用がしにくい施設、設備等 (例 階段がある、通路の幅が狭く車いすが通れない、ウェブサイトが拡大・音声読み上げなどの閲覧補助に対応しておらず閲覧できない等) ・制度 利用しにくい制度 (例 障害があると加入できない会員規約等) ・慣行 障害のある方の存在を意識していない慣習や文化等 (例 講演会の申込先が電話番号しかないため、聴覚・言語障害者が申し込めない等) ・観念 障害のある方への偏見など (例 障害のある方は、○○と思うに違いない等) 8ページ コラム 「障害の社会モデル」とは 「障害の社会モデル」とは、障害者が日常生活又は社会生活において受ける制限は、心身の機能の障害のみならず、社会における様々な障壁と相対することによって生じるという考え方です。 障害者権利条約では、「障害の社会モデル」の考え方に基づき、社会の側に障壁を取り除く責任があり、「不当な差別的取扱い」と「合理的配慮を提供しないこと」は、どちらも「差別」に当たります。 「障害の社会モデル」の考え方に立つことで、社会の中で見過ごされている「障壁」に気付くことができます。そのような障壁を、どのようにすれば取り除くことができるか、考えていきましょう。 障害の社会モデルの例 ① 講演会の申込先が電話番号しかないため、聴覚・言語障害者が申し込めない。 これは、講演会の申込を電話でのみ受け付けるという「慣行」による「社会的障壁」があるケース ② 階段があり、車いすで通れない。 これは、階段という「事物」による「社会的障壁」があるケース では、①②の障壁は、どうしたら取り除くことができるでしょうか。 ①については、「申込をメールやファックスでも受け付ける」ことで解決できます。  2人の人が向き合っていて1人の人が電話のほかに、メール、ファックスを加えるように提案しているイラストがあります。 ②については、「工事を行う」・「簡易スロープをつける」といった対応が考えられます。  お店の前に階段があり、車椅子使用者が入ることができませんが、簡易スロープがあれば入ることができることを示したイラストがあります。 9ページ コラム 障害者の定義について 障害者差別解消法の対象となる「障害者」は、障害者の手帳の有無は関係がありません。 障害者手帳がなくても、何らかの障害があり(2ページの定義参照)、「障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活 に相当な制限を受ける状態にある」方は、障害者差別解消法の対象になります。 境界知能』を知っていますか 境界知能とは、IQが70以上85未満で知的障害の診断が出ていない方に対して使われることのある言葉です。 境界知能の子どもは、学習困難や、対人関係やコミュニケーションの困難、身の回りや社会生活の困難を感じやすく、境界知能の大人も、日常生活や仕事において困難を感じる傾向があります。 しかし、困っていることに気づかれにくく、支援につながらないことも多いといわれており、本人は「何かうまくいかない」ということが積み重なり、非行や精神疾患につながる可能性も指摘されています。 障害者差別解消法では、このように制度的な障害の基準に達しないものの、日常生活でなんらかの障害を感じている方たち(例えば『境界知能』の方たち)も法の対象になります。 『境界知能』をはじめ、障害者手帳がなくとも、生活等に困難を感じている方がいらっしゃることをご理解ください。 そして、実際に障害を理由とする差別の相談などがあった場合には、法に基づいた適切な対応をお願いします。 法の対象 ・身体障害のある人 ・知的障害のある人 ・精神障害(発達障害・高次脳機能障害のある人を含む) ・難病などにより、心や身体の機能に障害のある人 ・障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に+相当な制限を受ける状態にある人 10ページ 第2 障害者差別を解消するには 1 不当な差別的取扱いの禁止 不当な差別的取扱いとは、障害を理由として、正当な理由なく、サービスの提供を拒否したり、制限したり、条件を付けたりするような行為をいいます。 行政機関等又は事業者は、正当な理由なく、障害者の権利利益を侵害してはなりません。 障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別な措置を行うことは、不当な差別的取扱いには当たりません。 正当な理由に相当するか否かは、個別の事案ごとに判断することが必要です。 (1) 基本的考え方 障害者差別解消法は、障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、サービス等の提供を拒否する、サービス等の提供に当たって場所・時間帯などを制限する、障害者でない者に対しては付さない条件を付すなどにより、障害者の権利利益を侵害することを禁止しています。 車いす、補助犬といった支援機器等を利用していることや介助者がいること等(社会的障壁を解消するための手段の利用等)を理由に、不当な差別的取扱いをすることも、障害を理由とする不当な差別的取扱いに当たります。 なお、障害者を障害者でない者と事実上平等にするために、障害者に対して特別な対応をすることは、不当な差別的取扱いではありません。 障害者を障害者でない者と事実上平等にする対応は、下記のような対応を指します。 ・障害者に対して障害者でない者と平等な機会をつくるために、必要な範囲で、障害者を障害者でない者よりも優遇すること(いわゆる積極的改善措置)。 ・障害者差別解消法に規定された合理的配慮の提供により、障害者でない者と異なる取扱いをすること。 ・合理的配慮を提供するために、プライバシーに配慮しつつ、障害者に障害の状況等を確認すること。 11ページ つまり、不当な差別的取扱いとは、事務・事業の諸事情が同じ状況において、正当な理由なく、障害者を障害者でない者より不利に取り扱うことを指します。 (2) 不当な差別的取扱いの具体例 次のような取扱いをすることは「不当な差別的取扱い」となるおそれがあります。 ・障害があることを理由に、窓口での対応を拒んだり、本人の同意なく対応の順番を後回しにしたり、業務の遂行に支障がないにもかかわらず障害者でない者と別の場所で対応をすること。 ・障害があることを理由に、書面の交付・資料の送付・パンフレットの提供等を拒み、そこに記載されている内容や情報を伝えないこと。 ・障害があることを理由に、説明会・行事等への参加を拒んだり、施設等の利用を制限すること。 ・事務・事業の遂行上、特に必要ではないにもかかわらず、障害があることを理由に、来庁等の際に付添者の同行を求めるなどの条件を付けること。 ・障害の種類や程度、サービス提供の場面における本人や第三者の安全性などについて考慮することなく、漠然とした安全上の問題を理由に施設利用を拒否すること。 ・障害があることを理由として、言葉遣いや接客の態度など一律に接遇の質を下げること。 ・障害があることを理由として、障害者本人やその家族に対して、保証人を求めるなど、障害者でない者とは異なる扱いをすること。 なお、具体例はあくまで例示であり、また、個別の事案において正当な理由が認められるときは、不当な差別的取扱いと判断されない場合があります。 (3) 正当な理由の判断の視点 障害者に対する各種行為が、不当な差別的取扱いであるかどうかは、「正当な理由」の有無により判断されます。 正当な理由に相当するのは、それが客観的に正当な目的(例:安全の確保、財産の保全、事務又は事業の目的・内容・機能の維持、損害発生の防止等)のもとに行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合です。 12ページ 正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例 留意事項 以下に記載する例はあくまで例示であり、正当な理由があるか否かについては、個別の事案ごとに判断する必要があります。 例に類似しているからといって、正当な理由があるため不当な差別的取扱いにならないと安易に判断してはいけません。 正当な理由があると判断した場合でも、障害者本人にその理由を丁寧に説明し、理解を得るよう努めることが重要です。 障害者本人の安全確保に関する事例 例 実習を伴う講座において、実習に必要な作業を行う際に具体的な危険の発生が見込まれる障害特性のある障害者に対し、障害者本人に丁寧に説明して理解を得た上で、当該実習とは別の実習を設定した。 事業者の損害発生の防止に関する事例 例 飲食店において、車いす使用者が畳敷きの個室に車いすで乗り入れることを希望した際に、障害者本人に丁寧に説明して理解を得た上で、敷物を敷く等、畳を保護するための対応を行った。 障害者本人の財産の保全に関する事例 例 銀行において口座開設等の手続を行うため、預金者となる障害者本人の同行者が代筆をしようとした際に、障害者本人に丁寧に説明して理解を得た上で、必要な範囲で、障害者本人に対し、障害の状況(代筆が必要か等)や本人の取引意思等を確認した。 正当な理由に相当するかどうかは、事案ごとに、障害者、事業者、第三者の権利利益の保護等の観点から、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要です。 「客観的に判断する」に当たっては、その主張が客観的な事実によって裏付けられ、第三者の立場から見ても納得を得られるような「客観性」があることが必要です。 個別の事案において、正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を丁寧に説明し、理解を得るよう努めることが必要です。 その際、行政機関等あるいは事業者と障害者双方が、お互いに相手の立場を尊重しながら相互理解を図ることが求められます。 13ページ なお、正当な理由があることを根拠に、対応しないというのは、障害者差別解消法の趣旨に反します。 例えば、単に「事故の危険がある」といった不確実な理由によりサービスを提供しないことは適切ではありません。 他に何か解決する方法はないか、障害者本人とも話し合いながら、柔軟に考えて取り組んでいくことが必要です。 また、本人から申出があった場合は、「合理的配慮の提供」(次ページ以降参照)を検討しましょう。 下記フロー図もご参照ください。  図 「不当な差別的取扱い」の検討フロー図  図の説明  「不当な差別的取扱い」の法的判断の検討プロセスフロー  障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律65号)  (事業者における障害を理由とする差別の禁止)  第八条事業者は、その事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。  質問1事業者の対応は、事業(財・サービスや各種機会の提供等)を行うに当たり行ったものですか?  はい、事業を行うに当たり行ったものです。→質問ん2へ進む。  いいえ、事業での対応に関係ないです。→事業者の対応は「不当な差別的取扱い」に該当しない。  質問2事業者の対応には、障害を理由とする、障害者でない者と比べた異なる取扱いがありますか?  はい、あります。→質問3へ進む。  いいえ、ありません。→事業者の対応は「不当な差別的取扱い」に該当しない。  質問3事業者の対応は、障害者、事業者、第三者の権利利益等の観点から、正当な理由によるものと判断できるでしょうか?  (以下の①と②の両方を満たせば「正当な理由あり」)  ① 質問2の異なる取扱いは、客観的に見て正当な目的の下に行われたものか  ・障害者、事業者、第三者の権利利益の観点から検討  例  安全の確保、財産の保全、事業の目的・内容・機能の維持、損害の発生の防止等  ② その目的に照らしてやむを得ないといえるか  ・①の目的のために必要な範囲のものとなっているか?  ・必要な範囲を超え不必要な制限を課すものとなっていないか?  いいえ、正当な理由はありません。→事業者の対応は「不当な差別的取扱い」に該当。  はい、正当な理由があります。→事業者の対応は「不当な差別的取扱い」に該当しない。  障害者から申出があった場合には「合理的配慮の提供」を検討  図の説明終わり 参考 内閣府「障害を理由とする差別の解消の推進相談対応ケーススタディ集」を加工して作成 https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/tyosa/r04jirei/pdf/case_study.pdf 14ページ 2 合理的配慮の提供 合理的配慮の提供とは、障害者から社会的障壁の除去(「社会的障壁」の詳細は、7ページ参照)を必要としている旨の意思の表明があった場合に、その実施に伴う負担が過重でないときに、社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な取組を行うことをいいます。 行政機関等及び事業者は、合理的配慮の提供が法的義務です。 事業者は、法改正により、令和6年4月1日から、合理的配慮の提供が法的義務となっています(それ以前は、法では努力義務、都内事業者は都条例により平成30年10月から義務としていました)。 合理的配慮の提供は、障害のある方が障害のない方と同等の権利を得られるようにするための重要な取組です。 合理的配慮の提供の方法は一つではなく、申出のあった方法では対応が難しい場合でも、「建設的対話」を通じて、代替措置の選択も含め、柔軟に対応してください。 過重な負担については、個別の事案ごとに、行政機関等及び事業者が、事務・事業への影響の程度等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断し、障害者に説明することが必要です。 なお、合理的配慮の提供は、個々の障害者に対して、その状況に応じて個別に実施することなので、主に不特定多数の障害者を対象に行う「環境の整備」(環境の整備の詳細は、57ページ参照)とは異なります。 (1) 基本的考え方 障害者差別解消法は、行政機関等及び事業者に対し、個々の場面において、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、社会的障壁の除去の実施について、必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」といいます。)を行うことを求めています。 合理的配慮の提供は、障害者が権利行使するために重要な取組です。障害のある方は、ある目的のために、障害特性に応じて、障害のない方と異なる手段や方法で行う(=「合理的配慮の提供」を受ける)ことで、障害のない方と平等な結果を得られるようになります。 15ページ 合理的配慮の提供は、障害の特性や具体的場面によって異なる、多様で個別性の高いものです。障害者が実際に置かれている状況を踏まえ、選択し得る手段や方法について、「過重な負担」を伴うものかどうか、様々な要素を考慮することが必要です。 そして、双方の建設的対話による相互理解を通じ、代替措置の選択も含め、柔軟に対応がなされることが必要です。 なお、いわゆるバリアフリー化や情報保障のための機器の導入を行うこと等は、「環境の整備」として、「合理的配慮の提供」とは異なる概念です(環境の整備の詳細は、57ページ参照)。 また、合理的配慮の提供にあたっては、下記事項に留意することが必要です。 ・事務又は事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないこと。 ・必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること。 ・障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること。 ・合理的配慮の内容等は、障害者本人に直接確認し、その意向を尊重すること。 ・合理的配慮の内容は、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変更すべきものであること。 合理的配慮の提供義務違反にあたらないと考えられる例 留意事項 以下に記載する例はあくまで例示であり、合理的配慮の提供義務違反に当たるか否かについては、個別の事案ごとに判断する必要があります。 例に類似しているからといって、合理的配慮の提供義務違反にあたらないと安易に判断してはいけません。 障害者からの申出どおりの対応が困難な場合でも、障害者本人との建設的対話を通じて相互理解を深め、代替策を柔軟に検討していくことが重要です。 必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られることの事例 例飲食店において、食事介助を求められた場合に、当該飲食店が当該業務を事業の一環として行っていないことから、障害者本人に対応が難しいことを丁寧に説明し、理解を得るように努めた。 16ページ  図 合理的配慮の提供に至るまでのプロセスイメージ  図の説明  前提として、環境の整備(バリアフリー化、研修等)があるのが望ましいです。  一方で、障害当事者からの配慮の申し出があった際には、双方のコミュニケーション・建設的対話で、双方の合意がとれれば、合理的配慮の提供(1対1で行う対応)となります。  同じような配慮が複数寄せられる場合には、環境の整備につなげることで、障害者本人の尊厳の回復・利便性の向上、コスト削減・効率化などにつながります。  環境の整備(バリアフリー化、研修等)の詳細は、57ページ環境の整備参照  双方のコミュニケーション・建設的対話の詳細は、33ページ、声かけによる判断チャート図参照  合理的配慮の提供(1対1で行う対応)の詳細は、21ページ、合理的配慮の提供の検討フロー図参照  図の説明終わり (2) 合理的配慮の提供の具体例 障害者本人からの求めに応じた次のような対応が「合理的配慮の提供」に当たります。 物理的環境への配慮 車いす使用者のために段差に携帯スロープを渡すことや、高いところの陳列商品をとって渡すこと。 意思疎通の配慮 障害者本人に適切なコミュニケーション方法を確認して、筆談、読み上げ、手話、コミュニケーションボードの活用などによるコミュニケーション、振り仮名や写真、イラストなど分かりやすい表現を使って説明をすること。 ルール・慣行の柔軟な変更 ・障害特性に応じた休憩時間の調整や必要なデジタル機器の使用を許可すること。 ・店内の移動や商品場所の特定が困難な障害者に対し、店内移動と買い物の支援を行うこと。 なお、上記の内容はあくまで例示であり、あらゆる事業者が必ずしも実施するものではないことにご留意ください。 障害者から配慮の申出があったにも関わらず、対応の検討を行わずに断る場合などは、合理的配慮の提供の義務違反に該当するおそれがあります。 17ページ 合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例 ・試験を受ける際に筆記が困難なためデジタル機器の使用を求める申出があった場合に、前例がないことを理由に、必要な調整を行うことなく一律に対応を断ること。 ・イベント会場内の移動に際して支援を求める申出があった場合に、「何かあったら困る」という抽象的な理由で具体的な支援の可能性を検討せず、支援を断ること。 ・電話利用が困難な障害者から、電話以外の手段により手続が行えるよう対応を求められた場合に、マニュアル上、利用者本人による電話のみで手続可能とされていることを理由として、メールや電話リレーサービスを介 した電話等の代替措置を検討せずに対応を断ること。 ・セミナーにおいて、弱視の障害者からスクリーンや板書がよく見える席での受講を希望する申出があった場合に、対応を検討せずに「特別扱いはできない」という理由で対応を断ること。 なお、上記の内容はあくまで例示であり、合理的配慮の提供義務違反に当たるかどうかについては、個別の事案ごとに判断することが必要です。 合理的配慮の提供の具体例は、「第4様々な場面における対応の例」(30ページ以降)でも詳しく説明しています。 (3) 意思の表明の方法 意思の表明の方法は、言語(手話を含みます。)のほか、点字、拡大文字、筆談、実物の提示や身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達など、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳を介するものを含みます。)によって行われます。 その際に、障害者側は、社会的障壁を解消するための方法等を相手にわかりやすく伝えることが望ましいといえます。 また、障害者本人からの意思の表明だけでなく、知的障害や発達障害を含む精神障害等の障害特性により本人からの意思の表明が困難な場合には、障害者の家族、支援者・介助者、法定代理人等、コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行うものも、意思の表明に含まれます。 ※ 上記の本人の補佐は、本人の意向をどのように反映しているか、本人にとって最善の利益となっているかなどに注意する必要があります。 18ページ なお、障害者等から意思の表明がない場合であっても、障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白であるときには、当該障害者に対して適切と思われる配慮を行うために、行政機関等・事業者から障害者に対し建設的対話を積極的に働きかけるなど、自主的に取り組むことが望ましいといえます。 (4) 建設的対話について 合理的配慮の提供に当たっては、障害者からの社会的障壁の除去についての申出の内容(「社会的障壁」の詳細は、7ページ参照)と、その申出に対し過重な負担のない範囲でできる対応について、障害者と事業者が対話を重ね、解決策を検討していくことがとても重要です。 このような双方のやりとりを「建設的対話」といいます。 合理的配慮の提供の方法は、一つではありません。申出のあった方法では対応が難しい場合でも、障害者と、行政機関等・事業者双方が持っている情報や意見を伝え合い、お互いに相手の立場を尊重しながら建設的対話に努めることで、目的に応じて代替となる手段を見つけていくことができます。 建設的対話にあたっては、障害のある人が障害のない人と同等の権利・平等な結果を得られるようにするために、何ができるかということを念頭に対応検討しましょう。 例えば、障害者本人が、社会的障壁の除去のために普段講じている対策や、行政機関等あるいは事業者が対応可能な取組等を対話の中で共有する等、建設的対話を通じて相互理解を深め、様々な対応策を柔軟に検討していくことが円滑な対応につながります。 なお、事業者が次項の「(5)過重な負担の考慮事項」に照らし合わせ、過重な負担に当たると判断した場合には、障害者にその理由を丁寧に説明し、障害者の理解を得るよう努めることが必要です。 このような建設的対話を通じて、様々な障害のある方や、その方を取り巻く社会的障壁を理解していくことが、差別のない社会の実現につながります。 19ページ (5) 過重な負担の考慮事項 合理的配慮の提供は、「ここまでしなければならない」という一律の考え方は馴染みません。 過重な負担については、以下の視点を踏まえ、個別の状況等に基づき、総合的・客観的に判断することが必要です。 ① 事務・事業への影響の程度 ・事務・事業の目的、内容、機能を損なうか否か ・当該措置を講ずることによるサービス提供への影響、その他の事業への影響の程度 ② 実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約) 施設の立地状況や所有形態等、当該措置を講ずるための機器や技術、人材の確保、設備の整備等の制約に応じた実現可能性の程度 ③ 費用の程度 当該措置を講ずることによる費用の程度 ④ 事務・事業規模 当該事業所等の規模に応じた負担の程度 ⑤ 財政・財務状況 当該事業所等の財政・財務状況に応じた負担の程度 20ページ 留意事項 以下に記載する例はあくまで例示であり、合理的配慮の提供義務違反に当たるか否かについては、個別の事案ごとに判断する必要があります。 例に類似しているからといって、合理的配慮の提供義務違反に当たらないと安易に判断してはいけません。過重な負担にあたると判断した場合でも、建設的対話を通じて相互理解を深め、代替案を柔軟に検討していくことが重要です。 過重な負担」との兼ね合いで、合理的配慮の提供義務違反にならないと考えられる例 事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことの事例 例オンライン講座の配信のみを行っている事業者が、障害者から、オンラインでの集団受講では理解が難しいため、対面での個別指導を求められた場合に、当該対応はその事業の目的・内容とは異なるものであり、対面での個別指導が可能な人的体制・設備も有していないことから、障害者本人に対応が難しいことを丁寧に説明し、理解を得るよう努めた。 過重な負担(人的・体制上の制約)がある事例 例小売店の店員が、混雑時に視覚障害者から、店内を付き添って買物の補助を求められた場合に、混雑時のため付添いはできないが、店員が買物リストを書き留めて商品を準備することを提案した。 過重な負担にあたると判断した場合は、障害者に丁寧にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましいです。 その際には、行政機関等及び事業者と障害者の双方が、お互いに相手の立場を尊重しながら建設的対話を通じて相互理解を図り、代替措置の選択を含めた対応を柔軟に検討することが求められます。 21ページ  図 「合理的配慮の提供」の検討フロー図  図の説明  「合理的配慮の提供」法的判断の検討プロセスフロー  障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)  (事業者における障害を理由とする差別の禁止)  第八条(略)  2 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない。  ※ 改正法により、令和6年4月1日から義務化(改正後の条文は以下のとおり)  第八条(略)  2 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年 齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。  質問1障害者から事業者に対し、事業(財・サービスや各種機会の提供等)を行うに当たり社会的障壁の除去を必要としている旨の意思表明がありましたか?  はい、あります。(本人からの求めや、家族や支援者・介助者等からの求め(本人からの意思表明が困難な場合を))→質問2へ進む。  いいえありません。→質問は終了です。  質問2求められている配慮は、社会的障壁の除去について「必要かつ合理的な配慮」に該当しますか?  必要かつ合理的な配慮とは、以下の3つの全てを満たす必要があります。  事業者の事業の目的・内容・機能に照らし、  ① 必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること  ② 障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること  ③ 事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないこと  はい、該当します(①から③全てを満たす)→質問3へ進む。  いいえ、該当しません(①から③を満たさない)→質問4へ進む。  質問3求められている配慮は、「過重な負担」に該当しますか?  過重な負担の判断の要素等  ・事業への影響の程度  ・実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約)  ・費用・負担の程度  ・事務・事業規模  ・財政・財務状況    はい、該当します→質問4へ進む。  いいえ、該当しません→合理的配慮の提供  質問4建設的対話により、どのような代替案が考えられますか?→合理的配慮の提供  図の説明終わり 参考 内閣府「障害を理由とする差別の解消の推進相談対応ケーススタディ集」を加工して作成 https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/tyosa/r04jirei/pdf/case_study.pdf 22ページ 第3 東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例とは 1 条例制定の背景 東京都では、社会全体で障害者への理解を深め、差別を無くす取組を一層推進するため、平成29年3月より、障害のある方、事業者や学識経験者等様々な立場の方で構成される委員会において、条例制定の検討を行ってきました。 東京都は、障害者権利条約、障害者基本法及び障害者差別解消法の理念のもと、障害を理由とする差別を禁止するとともに、建設的対話等を通じて、差別を解消していく仕組みを定めることにより、東京に暮らし、東京を訪れる全ての人が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指し、平成30年に「東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例」を制定しました。 2 事業者による「合理的配慮の提供」の義務化 (1) 都条例における事業者とは 都条例の対象となる事業者は、「東京都内」にある事業者すべてです。 例えば、同一事業者のうち、A店が都内、B店は都外、C本社は都外にある場合、都内で事業を行うA店のみ都条例の対象となります。 ※ 都外で事業を行うB店及びC本社については、その所在地の自治体に相談をお願いします。 (2) 都内で事業を行う事業者に求められること 障害者への制限は、社会における様々な障壁と相対することで生じているという「障害の社会モデル」(障害の社会モデルの詳細は、8ぺージ参照)の考え方に基づき、都は、障害者差別解消法の改正(※)に先立ち、平成30年に制定した都条例で、都内の事業者による合理的配慮の提供を義務化しました(※ 令和6年4月1日以降、法改正により、全国的に事業者による合理的配慮の提供が法的義務となっています)。 「合理的配慮の提供」として求められることは、個々の障害者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置であり、「環境の整備」とは異なります(合理的配慮の提供の詳細は、14ページから21ページ参照・環境の整備の詳細は、57ページ参照)。 23ページ なお、合理的配慮の提供に当たっては、「過重な負担がなく」できることは何か、障害者・事業者の双方が対話による相互理解を通じて、代替手段の検討も含めて問題の解決を図ることがとても重要です。  すけだちくんがコメントしています。  「問題の解決方法は1つではありません。  「建設的対話」などを通じて、障害者・事業者双方が理解し合い、柔軟な解決方法を探していくことが必要です。」  表 障害者差別解消法と都条例の比較  表の説明  障害者差別解消法は、不当な差別的取扱いは、行政機関等・事業者共に禁止となっています。  合理的配慮の提供は、行政機関等は、義務、事業者は努力義務から義務(※)となっています。  ※ 障害者差別解消法の改正により、令和6年4月1日から、事業者による合理的配慮の提供が法的義務となりました。  都条例は、不当な差別的取扱いは、行政機関等・事業者共に禁止となっています。  合理的配慮の提供は、行政機関等・事業者共に義務となっています。  表の説明終わり 24ページ  図 相談体制  図の説明  障害者、事業者や行政機関等が、障害者差別に関する事案を、区市町村や身近な相談機関等、東京都広域支援相談員へ相談しています。  東京都広域支援相談員は、区市町村や身近な相談機関等への支援や連携を担っています。  図の説明を終わり 3 相談体制について 都条例では、障害者差別に関する事案解決に向けて、相談体制を設けています。 (1) 広域支援相談員による相談受付 東京都では、知識経験のある「広域支援相談員」を配置して、障害者差別解消に関する相談対応をしています(相談窓口の詳細は96ページをご覧ください)。 なお、区市町村においても、障害者差別解消に関する相談体制を整えています。 障害者ご本人や周りの関係者の方からの相談はもちろんのこと、事業者からの相談も含め、幅広く相談を受け付けます。 (2) 広域支援相談員の業務 広域支援相談員は、区市町村と連携し、相談者への助言や調査、情報提供及び関係者間の調整などを行います。 対象となる相談事案は、都内の事業者に関する事案(※22ページの「2(1)都条例における事業者とは」参照)です。 なお、対象外のご相談を受け付けた場合は、適切な相談窓口等をご案内させていただきます。 (3) 相談体制における区市町村との関係について 国の基本方針では、相談対応等において、地域における障害を理由とする差別の解消を促進し、共生社会の実現に資する観点から、まず相談者にとって一番身近な市区町村が基本的な窓口の役割を果たし、都道府県は、市区町村への助言や広域的・専門的な事案についての支援・連携を行うとともに、必要に応じて一時的な相談窓口の役割を担うことが考えられると定められています。 25ページ そのため、まずは、身近な区市町村窓口にご相談していただきたいと思います。 なお、東京都の広域支援相談員へ直接ご相談いただくことも可能です。 東京都への相談事例  化学物質過敏症のある方からの相談 ※ 令和5年度第1回障害者差別解消支援地域協議会資料より 障害者 自分は都内のスポーツ施設を利用しているが、香水や柔軟剤の匂いが強い人がいて困っている。 匂いが強い人の入場規制をしてほしい。 都から、事業者に相談内容を伝え、事情を確認した。 事業者 匂いの強い人に対して入場規制を行うことはできない。 匂いの強さをどのように測るのか判断が難しい。 都から事業者に、障害者差別解消法・都条例について普及啓発し、化学物質過敏症のある方の存在を認識し、何か工夫できることがないか検討してほしいと伝えた。 その後、事業者より連絡あり。 事業者 今回初めて化学物質過敏症で悩んでいる人の存在を知った。 対応策として、国の啓発ポスターを見つけたので掲示し、本人と話合いを行ったところ、ある程度納得され、本人からの希望で、本人の利用場所にもポスターを掲示した。 その後、本人から都に御礼の連絡があり、対応終了した。 対応のポイント 「合理的配慮の提供」において、障害者の申出どおりの対応が難しい場合でも、建設的対話を通じて代替手段を検討する等、障害者の理解を得るよう努めることが大切であることを事業者に伝えた。 26ページ 4 紛争解決の仕組み 都条例では、広域支援相談員に相談しても、なお紛争事案が解決されない場合の紛争解決の仕組みとして、あっせん、勧告及び公表の手続を設けています。 手続に当たっては、公正中立な東京都障害を理由とする差別解消のための調整委員会(以下「調整委員会」といいます。)が関わり、解決を目指します。  図 争解決の仕組み  図の説明。  ステップ1障害者と事業者間では解決できない障害者差別に関する事案  ステップ2広域支援相談員による相談  相談しても解決しない場合、調整委員会へあっせんの求めステップ3あっせん  従わない場合ステップ4勧告  従わない場合ステップ5公表  図の説明終わり (1) あっせん 広域支援相談員に相談をしても、障害者・事業者の間の問題が解決されない場合、紛争事案の当事者である障害者は、東京都に「あっせん」を求めることができます。 あっせんとは、公正かつ中立な第三者機関である調整委員会による解決を目指すものです。 あっせんを行うことが適当である場合、東京都から調整委員会へあっせんを求め、調整委員会は公正かつ中立に審議・事実調査を行った上で、紛争事案の当事者にあっせん案(つまり解決案)を示します。 なお、都内の行政機関(国、独立行政法人、地方公共団体及び地方独立行政法人)については、地方公務員法等による紛争解決の手段があるため、あっせんの対象外です。 (2) 勧告 あっせんを行っても問題が解決されず、それが特に悪質な事案である場合、調整委員会は、知事に対し「勧告」を行うよう求めることができます。 勧告とは、東京都から、事業者に対し、事業者による不当な差別的取扱いの禁止や合理的配慮の提供など必要な対応をするよう求めるものです。 27ページ (3) 公表 勧告を行っても、事業者が正当な理由なく勧告に従わないときは、東京都はその旨を「公表」することができます。 なお、公表は社会的影響が大きいため、実施に当たっては、あらかじめそのことを事業者に通知し、意見を聴取するなど、慎重な手続を行います。 勧告も公表も、事業者を対象としており、事業者の従業員を公表することはありません。  すけだちくんがコメントしています。  「東京都では、4コマ漫画で合理的配慮について分かりやすく説明している都条例パンフレットも作成しています。詳しくは、54ページに掲載のアドレスから福祉局ホームページをご覧ください。」 28ページ 5 共生社会実現のための基本的施策 東京都は、以下のとおり、共生社会実現のための基本的施策に取り組みます。 (1) 情報保障の推進 障害者への理解を深め共生社会を実現する上で、障害者が必要な情報を取得することは必要不可欠です。 また、情報保障を行うことで、障害の有無に関わらず全ての人の間で相互理解やコミュニケーションを促進することができます。 そのため、東京都は、障害者のみならず都民及び事業者にとっても重要であると考え、情報保障の推進に引き続き取り組んでいきます。 (2) 言語としての手話の普及 障害者権利条約や障害者基本法では、手話は言語として規定されており、東京都は、手話は一つの言語であるという認識に立ち、この認識を広げるこ とは重要であると考えています。 そこで、東京都では、令和4年「東京都手話言語条例」を制定しました。 条例では、手話が独自の文法を持つ一つの言語であるという認識の下、手話を必要とする方の意思疎通を行う権利が尊重され、安心して生活することができる共生社会の実現を目指しています。 東京都は、今後も、手話は音声言語と対等であるという「言語としての手話」の認識を広げることや、都民及び事業者において手話の利用が進むよう取り組んでいきます。 (3) 教育の推進 障害のある人もない人もともに暮らす社会の実現に向け、すべての教育関係者、幼児・児童・生徒が、障害、障害者及び障害の社会モデルや差別の解消に関する理解を深めることは重要です。 そのため、東京都は、幼児・児童・生徒に対し、障害等への理解を深める教育を推進するとともに、引き続き教育関係者に対し、人権課題について正しい理解と認識を深める研修等を実施していきます。 29ページ (4)事業者による取組の支援 合理的配慮の提供については、事業者が過重な負担のない範囲で取り組むべきものですが、どのように取り組むべきか迷うこともあるかと思います。 そのため、東京都は、障害者と事業者の間で生じた相談解決に向けて支援を行うとともに、研修等を通じて、「合理的配慮の提供」に関する考え方や好事例等を広く周知することにより理解促進を図っていきます。 30ページ 第4 様々な場面における対応の例 1 対応の基本と考え方 ① 相手の人格を尊重し、尊厳を守り、相手の立場に立って対応します。 ② 困っている方には進んで声をかけます。 ③ コミュニケーションを大切に、柔軟な対応を心がけます。 ④ 言葉遣いやプライバシーにも配慮します。 「障害者だから」と特別扱いをするのではなく、まずは接遇の基本に立ち返り、丁寧な対応を心がけることが大切です。 障害者差別解消法が求める対応は、特に新しいものではなく、従来から様々な場面で行われてきた配慮等もたくさん含まれています。 障害者差別解消法は、全て一律の対応ではなく、様々な場合や、障害のある方の状況に応じ、柔軟に対応することを求めています。 また、障害者に対し、障害に関する配慮は必要ですが、それ以上に、一人の個人として対応することが大切です。 障害者との対話を通じて、日常生活や社会生活を送る中で生じる、障害を理由とする困難さを少しでも軽減するため、以下を参考に、これまでの取組を振り返ってみてください。 ① 相手の人格を尊重し、尊厳を守り、相手の立場に立って対応します。 相手の立場に立ち、「明確に」「丁寧に」分かりやすい対応を心がけます。 介助者や手話通訳者等ではなく、当事者である障害者本人に直接対応するように心がけます。 思い込みや押し付けにならないよう、どのような配慮が必要か、本人が必要と考えていることを確認します。 31ページ ② 困っている方には進んで声をかけます。 窓口等を訪れる方の障害の有無や種類は明確ではないため、困難さを抱えていることが見た目でわからない場合もあります。 常に、訪問者の中には障害者がいるかもしれないことや、自分から合理的配慮の提供を申し出ることが難しい場合もあることを念頭に置いて、困っているような様子が見受けられたら、「お手伝いしましょうか?」等、こちらから声をかけるようにします。 その際、障害の種類や内容を問うのではなく、「どのような手助けが必要か」を本人に尋ねます。 足の不自由な方や、息切れや疲れなどの外見からは分かりづらい理由で腰かけたい方には、椅子を用意するなどの配慮が大切です。 なお、座位から立ち上がることが困難である場合には必要な手助けをしましょう。立ったままの姿勢のほうが楽な方もいることに留意しましょう。 相手の意思を確認する場合に、状況に応じて「はい」「いいえ」から選択するなど、答えやすくする工夫をして、相手の意思を確認しましょう。 言葉が出ずに困っているときは、具体的な選択肢を挙げて質問しましょう。 ※「ヘルプマーク」を身に着けている方は、援助や配慮を必要としています。困っている様子があれば、援助等が必要かどうかを尋ねてください。 ※ 「ヘルプカード」を持っている方であれば、(本人の承諾を得て)必要な支援を確認し、記載された緊急連絡先に緊急連絡をすることができます。なお、カードに記載された個人情報の保護には十分留意してください。(ヘルプマーク・ヘルプカードの詳細は、92、93ページ参照)。  イラスト 窓口での対応  イラストの説明。  窓口で行政職員がが「どんなご用件ですか?」と、障害当事者に聞いています。  障害当事者は、住民票と言いたいのに「えー、そのー」という言葉しかでてきていません。  イラストの説明終わり ③ コミュニケーションを大切に、柔軟な対応を心がけます。 こちらから、挨拶や自己紹介をします。 お声がけをした際に、相手が聞こえていない場合や、聞こえていても理解できない場合があります。 また、相手が発したコミュニケーション手段をこちらでうまく受け取れない場合もあります。そういった場合は、相手の様子を見ながら、どのような方法でコミュニケーションが取れるかを探っていく必要があります。(33ページのコラム「声かけによる支援内容のチャート図」参照) 32ページ 会話が難しいと思われる場合でも、敬遠したり分かったふりをしたりせず、「ゆっくり」「丁寧に」「繰り返し」相手の意思を確認し、信頼感の持てる対応を心がけます。 聞き取れなかったり、分からなかったりした場合は、分かったふりをせず、相手を傷つけないよう尋ね方に留意した上で確認します。 状況に応じて、身振りや文字で伝えたり、「はい」「いいえ」で答えられる質問や具体的な選択肢を挙げて質問しましょう。コミュニケーション支援機器やタブレット等を使う方もいます。 対応方法は一つではないことに留意し、建設的対話を通じて個々の場面や障害特性に応じ、柔軟な対応を心がけます。 対応方法がよく分からないときや想定外のことが起きたときは、一人で抱えず周囲に協力を求めましょう。 ④ 言葉遣いやプライバシーにも配慮します。 差別的な言葉や態度はもとより、成人には子供扱いするような失礼な話し方や態度をとらないようにします。 相手の年齢に応じた言葉を使って話してください。 幼児に対するような話し方や態度は、非常に失礼です。 馴れ馴れしい態度をとらないようにします。 相手に不快を与えるおそれのある言葉・表現を、自分では気付かずに使ってしまうこともあるかもしれません。 そのような指摘を受けたときは、厳粛に受け止めてお詫びし、今後の対応に生かすとともに、職員間で気付いた場合にも見過ごさず、お互いに注意し合うようにします。 障害の原因や内容について、必要がない場合は聞かないようにします。 仕事上知り得た個人情報については、守秘義務を順守します。 ※ このほか、障害を正しく理解し、障害特性に応じた対応を行えるよう、「第5障害特性について」(66ページ以降)も参照してください。なお、本章は、あくまでも一般的な障害特性を紹介するものであり、必要とする配慮は、一人ひとり異なります。実際の対応に当たっては、一人ひとりと向き合うことが重要です。 ※ 障害者が多く利用することが見込まれる場合には、あらかじめ障害当事者から意見を聴いておく方法もあります。対応に迷ったときなどにも、障害当事者の意見を聴くことが大切です。 33ページ コラム 「声かけによる支援内容の判断チャート図 相手が困っている様子などで声をかける場合で、やりとりを通じて、障害への対応が必要と思われたら、どのような対応が必要か判断することが重要です。 下記のチャート図を活用し、相手の様子を確認しながら、柔軟なコミュニケーションをとってください。  声かけによる支援内容の判断チャート図  図の説明。  【「見た目では障害の内容がわからない人」への対応が必要なときの、声かけによる支援内容の判断チャート例】  パターン1  声かけ→発語も、話す内容の意味もわかる→どんな支援が必要かを聞く  パターン2  声かけ→発語はわかるが、話す内容の意味がわかりにくい、発語がわからない→相手の様子を確認する(見えていない、聞こえていないで伝わっていないことはないか)※プライバシーに配慮しつつ、障害の状況等を確認することは不当な差別的取扱いに当たらない。 →落ち着いている→コミュニケーションできる準備をする(マスクを外す、顔を見て話せるよう近づく、やさしく声かけをするなど)→相手の状況に合わせ、どんな支援が必要かを聞く(探る)(目線を合わせ、ゆっくりと口の動きがわかるように話す。わかったことは復唱して確認する。わからないことがあれば、何度でも聞き返す。相手が「はい」「いいえ」で答えられるよう、具体的に質問する。可能であれば、書いてもらう、こちらも書く。絵を書く、筆談をする、コミュニケーション支援ボードを使うなど。) パターン3 声かけ→発語はわかるが、話す内容の意味がわかりにくい、発語がわからない→相手の様子を確認する(見えていない、聞こえていないで伝わっていないことはないか)※プライバシーに配慮しつつ、障害の状況等を確認することは不当な差別的取扱いに当たらない。→混乱している→ゆっくり落ち着いて話せる環境をつくる→相手の状況に合わせ、どんな支援が必要かを聞く(探る)(目線を合わせ、ゆっくりと口の動きがわかるように話す。わかったことは復唱して確認する。わからないことがあれば、何度でも聞き返す。相手が「はい」「いいえ」で答えられるよう、具体的に質問する。可能であれば、書いてもらう、こちらも書く。絵を書く、筆談をする、コミュニケーション支援ボードを使うなど。)  出典  国土交通省「公共交通事業者に向けた接遇ガイドライン」  https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/sosei_barrierfree_tk_000143.html  図の説明終わり 34ページ 2 様々な場面における対応の例 障害のある方への合理的配慮の提供については、既に行政機関等・事業者において様々な工夫がなされていると思いますが、ここでは改めて各場面における好ましい対応を例示します。 これらの例を参考に、よりよいサービスを目指していきましょう。 (1) 行政機関等や店舗等における対応の例 ここでは、行政機関等の窓口、事業者の店舗等において、よくある場面ごとに、障害のある方にとって障壁(バリア)となることが想定される事例と、望ましい配慮等の対応の例を示します。 ① 案内・誘導共通事項 ・入口付近で困っていそうな方を見かけたら、「お手伝いしましょうか」等、積極的に声をかけます。 ・障害の特性に応じた方法で「明確に」「ゆっくり」「丁寧に」「繰り返し」説明します。声かけは、相手のペースに合わせて丁寧に行います。 ・ドアの開閉が困難な方には開閉をお手伝いします。 ・受付の手順等については、障害の特性と必要性に応じ、慣行を柔軟に変更します。 建物やフロアの入口付近 車いすを使用している、杖をついている、握力が弱くドアノブを回せないなどにより、手動の扉を開けられず、中に入れない。 対応の例 扉の開閉を手伝う。 車いすを使用している人が、優先駐車場の場所や目的の場所までのバリアフリーの経路を知りたい。 対応の例 声をかけ、優先駐車場の場所に案内やバリアフリー経路に案内(誘導)する。 視覚障害者や知的障害者などが、目的地の建物までたどり着いたが、受付や目的の場所(窓口、部屋など)が分からない。 対応の例 職員から声をかけ、「どのように誘導しますか」等と誘導方法を確認し、訪問先まで案内(誘導)する。 35ページ 聴覚障害者が、手話で職員に行き先を伝えようとしたが、手話が通じず、分かってもらえない。 対応の例 筆談(紙に書く等)で、行き先を確認して案内(誘導)する。 高次脳機能障害などにより、少し前のことを記憶するのが難しい方などが、建物まで来たものの、どこのフロアに行くのか、何をしに来たのか用件を忘れてしまった。 対応の例 行き先や用件、連絡先の書かれたメモ等を持参していないか確認する。 受付付近 聴覚障害などにより、名前や受付番号を呼ばれても、呼ばれたことが分からないことがある。また、視覚障害や知的障害などにより、「次の方」と呼ばれただけでは、自分のことを呼ばれているのか分からないことがある。 対応の例 あらかじめ本人と呼び出し方法等を確認し、順番が来た際には、直接本人を呼びにいく。 知的障害や精神障害、発達障害などにより、周りの物音等が気になってしまい、混雑した場所などで順番を待つことが難しい。 対応の例 落ち着いた場所で待てるよう、別室やカームダウンエリア(気持ちを落ち着かせる場所)等を案内する。 対応の例 他の利用者に協力を求め合意を得た上で、待ち時間が短くなるよう順番を変更する。 物理的環境への配慮の具体例 ・車いす使用者が、段差で困っている場合、車いすのキャスター上げ等の補助をしたり、携帯用スロープを段差に設置する等し、安全に通行できるようにする。 ・目的の場所までの案内の際に、障害者の歩行速度に合わせた速度で歩いたり、左右・前後・距離の位置取りについて、障害者の希望を聞いたりする。人混みで、車いす使用者を案内する場合は、車いすが通る旨を周囲の人に声かけしながら誘導する。 ・車いす使用者が、階段で困っている場合、スロープやエレベーターまで案内する。もしくは、対応可能の場合は、本人の意向を確認し、安全に十分配慮した上で、4名程度で車いす使用者を運ぶ。その他一般的な合理的配慮の提供の例 36ページ ルール・慣行の柔軟な変更の具体例 ・移動に困難を伴う方について、送迎バス等の車両の乗降場所を、施設などの出入口や、バリアフリー経路出入口に近い安全な場所へ変更する。 ・障害者の来客が多数見込まれる場合、障害者専用とされていない駐車区画を一時的に障害者専用の区画に変更する。その場合、ドアからの乗降や、スロープからの車いすの安全な乗降スペースを確保する。 ・建物の入り口に段差がある等により、車いす使用者が、通常の入口から入館するのが困難な場合、車いすが利用できる別ルートからの入館を案内する。 ② 相談・説明 共通事項 ・訪問に来た方の話をよく聞き、訪問目的を的確に把握し、「たらい回し」にならないよう努め、安心して話ができる信頼関係を作ります。また、相談内容の把握が難しい場合は、必要に応じて複数の職員で対応します。 ・説明が的確に伝わるように、「はっきりした言葉で」「ゆっくり」「丁寧に」「繰り返し」話します。一方的に伝えて終わるのではなく、相手に内容が理解されたと思えたら先に進めるやりとりが大切です。 ・伝えることや理解することに配慮が必要な方に対しては、必要に応じ、絵、図、写真等も使って説明します。 ・事前に訪問が分かっている場合は、障害特性に応じた方法で説明できるよう、あらかじめ説明資料等の準備をしておきます。 ・専門的な用語を避け、ポイントを明確に、文章は短く、一般的な分かりやすい言葉で説明します。 視覚障害者が、窓口で職員に「書類の説明文を読んでもらいたい」と頼んだが、職員に内容を読み飛ばされてしまい、十分に理解できない。 対応の例 記載されている内容は、勝手に判断して省略せず、本人が必要とする情報を正確に伝える。 職員が聴覚障害者に対して筆談を行う際、内容を全て文字に書いて説明すれば、情報を伝達できると誤解している。 対応の例 長い文は前後の関係が複雑になり、理解しにくくなるため、長文で書かず、要点をまとめる。必要に応じて、図など言葉以外の情報も併せて使用する。 37ページ 良い例 チケット申込みは、15日から ※申込み方法は、5日から問い合わせOK 問い合わせ先 当店(〇〇店) 電話番号(00-0000-0000) ファックス番号(00-0000-0000) メールアドレス0000@tokyo.jp 悪い例 チケットの申込みは15日から始まりますが、申込み方法については5日に発表されますので、5日以降に当店に問い合わせてくださ ・知的障害や精神障害、発達障害などにより、伝えることや理解することに配慮が必要な方などは、急かされているように感じると、緊張してうまく話せない。また、一度に説明されても理解が難しい。 <対応の例> 用件を分け、用件ごとに理解度を確認しながら説明する。 物理的環境への配慮の具体例 車いすを使用している等により、書棚の高い所に手が届かない方に対して、必要に応じ、パンフレット等を取って手渡す。 意思疎通の配慮の具体例 ・本人の障害の特性を踏まえ、筆談、読み上げ、手書き文字(手のひらに、指先等でひらがなやカタカナ、漢字等を書いて言葉を伝えること。)、手話、点字、拡大文字などのコミュニケーション手段を用いる。 ・意思疎通が不得意な障害者に対し、絵カード等を活用して意思を確認する。 ・比喩表現等が苦手な方に対し、比喩や二重否定表現などを用いず、具体的な結論を明確に分かりやすく説明する。 ・申出があった際に、ゆっくり、丁寧に、繰り返し説明し、内容が理解されたことを確認しながら対応する。また、馴染みのない外来語は避ける、漢数字は用いない、時刻は24時間表記ではなく午前・午後で表記するなどの配慮を念頭に置き、必要に応じて適宜メモ等を渡す。大事な内容を伝えるときは、復唱してもらうと良い。 ・知的障害のある方から申出があった際の対応として、紙等に書いて伝達したり、書面を示す場合には、必要に応じてルビを付した文字を用いたり、ひらがなを用いたり、分かち書き(文を書くとき、語と語の間に空白を置く書き方)を行ったりする。その他一般的な合理的配慮の提供の例 38ページ ・筆談器や、視野に収まりやすい大きさ(A4程度)のホワイトボード、太い文字を書けるペン、拡大鏡等を用意しておく。 ・聴覚障害のある方で、本人から希望があった場合は、手話通訳者の派遣を依頼する。  筆談器のイラストがあります。(磁気式のメモボードが一般的です。)  手話を紹介したハンドブック(話そう!手のことば、おもてなしの手話ブック)のイラストがあります。 ルール・慣行の柔軟な変更の具体例 エレベーターのない建物の2階で開催する講演会、イベント、説明会等に車いす使用者から参加の申込みがあった場合に、1階の会場が用意できる場合には、会場を変更して開催する。 39ページ ③ 手続 共通事項 ・書類の記入方法については、記入例も含めて文書で大きく分かりやすく表示しておきます。 ・書類の記入の仕方が分からない方には、「お手伝いしましょうか?」と声をかけます。 ・自筆が困難な場合には、本人の意思を確認した上で、可能な限り代筆を行い、代筆した内容を本人に確認するとともに、その旨を記録しておくことが必要になります。自署する場合は、署名欄の部分だけを切り取った枠(サインガイド)を別途用意することで、位置が明確になり署名しやすい方もいます。 ・代筆する時は、周りの人に住所等プライバシーを知られないように配慮しましょう。 視覚障害者や、知的障害などにより理解することに配慮が必要な方などは、書類が読めなかったり、文章が難しく内容が理解しにくいことがある。 対応の例 書類を読み上げたり、行がわからなくならないように定規等の目印になるものを準備する。 対応の例 記入例を作成し、どこに、何を記載すればよいのか分かりやすくする。 対応の例 できるだけ分かりやすい言葉で説明する。 対応の例 必要に応じてひらがなやルビを活用し、丁寧に説明する。 手や腕の不随意運動等により書類等を押さえることが難しい方の場合、書類等が動いてしまい、記入する際にうまく書けない。 対応の例 バインダー等を用意し、書類が動かないように固定する。 対応の例 本人の同意のもとに代筆し、記入内容を確認する。 40ページ その他一般的な合理的配慮の提供の例 意思疎通の配慮の具体例 電話、電子メール、ホームページ、ファックスなど多様な媒体で情報提供、利用受付を行う。 ルール・慣行の柔軟な変更の具体例 ・順番を待つことが苦手な障害者の場合、周囲の人の理解を得た上で、順番を入れ替える。 ・立って列に並ぶのが難しい障害者に対して、周囲の人の理解を得た上で、当該障害者の順番が来るまで別室や席を用意する。 ・他人との接触や多人数の中にいることによる緊張により、自分の意志によらない不随意の発声等で落ち着いて手続きできない場合や免疫力が弱く感染症への配慮が必要な場合、当該障害者に説明の上、施設の状況に応じて少し離れた場所や別室を用意して手続きを行う等の提案をする。 ・非公表又は未公表情報を扱う会議等において、情報がきちんと守られることを前提に、障害のある委員の理解や発言を援助する者の同席を認める。 ・体調の変化が大きい方などは、急に体調が悪くなり、動くことができなくなることがあるので、本人に確認し、休憩できる椅子や休息できる場所を用意しておく。本人の求めに応じて、必要な支援を提供する。 ※ 本人が「ヘルプカード」やメモ等を持っている場合には、状況に応じて、本人に了承を得た上で、書かれた内容を確認し、緊急連絡先への連絡や必要な支援を行う(ヘルプカードの詳細は、93ページ参照)。 知っていますか?手話通訳者等の守秘義務について 聴覚障害者の暮らしをサポートするため、都内には多くの手話通訳者・要約筆記者が活躍しています。 手話通訳者等は、聴覚障害者個人のプライバシーや、企業内の情報など、業務上知り得た情報を第三者に提供することがないよう、守秘義務が課されています。 障害者差別解消法は、行政機関等や事業者に対し、個々の場面において、代筆・代読等を行うといった、合理的配慮の提供を求めています。 代筆・代読等を行う場合も、守秘義務を念頭において、対応することが必要です。 41ページ ④ 情報アクセシビリティ 共通事項 ・情報アクセシビリティとは、年齢や障害の有無等に関係なく、誰でも必要とする情報に簡単にたどり着け、利用できることをいいます。 ・行政機関等の広報やお知らせ、事業者の営業活動等においては、様々な方法で情報伝達が行われていますが、障害特性によっては、一つの情報伝達方法だけでは伝わらない場合があるので、障害者の状況を想定し、複数の情報伝達方法を用いる等、必要な配慮を行います。 ・問合せ先等を記載する場合は、電話、ファックス、メールアドレス等の複数の情報を盛り込みます。 ・行政機関等は、法の趣旨を踏まえ積極的に対応することが望まれます。 説明・通知文書、冊子等の印刷物 視覚障害がある場合、通常の紙の印刷物では内容が分からない。 対応の例 説明文書や通知、封筒について、点字版、拡大文字版、テキストデータ、音声データ(カセットテープやDAISY、音声コード化したものを含む。)など、対象となる方の状況を踏まえ、様々な手段による情報提供を行う。 知的障害や発達障害などにより、理解することに配慮が必要な方の場合、専門用語や漢字の多い文書の内容が理解できないことがある。 対応の例 必要に応じて、漢字に、ひらがなのルビを振った資料や、図やイラストを使用した資料、分かりやすい版の資料を作成する。 ホームページ 画像データとして、目立つように文字の色を変えたり、文字が動いたり、点滅したりするホームページを作成した場合、視覚障害のある方などがホームページの読み上げソフト等を利用する際に、うまく読み上げができず、内容が分かりにくいホームページになってしまうことがある。 <対応の例> 画像等を張り付ける場合は、説明用のテキストを作成する。 対応の例 誰にとっても利用しやすいホームページとなるよう、ウェブアクセシビリティのJIS規格「高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス-第3部:ウェブコンテンツ(JISX8341-3)」を参照し、レイアウト等を行う。 42ページ 対応の例 障害者に関連するページへのリンクボタンは、目立つ位置(視覚障害のある方に対しては、早く読み上げられる位置)に配置するなどの工夫をする。 講演会、イベント、説明会 聴覚障害がある場合、説明者の話が聞こえないので、内容を知ることができない。 対応の例 講演会等の申込みの際に、必要な配慮の有無を確認し、東京手話通訳等派遣センター等に連絡して、手話通訳や要約筆記者の手配をする。特に、行政機関等は、法の趣旨を踏まえ、積極的に対応することが望ましい。なお、手話通訳等を行う際、手話通訳者の立ち位置、聴覚障害者等の座席位置や照明の加減等の配慮も必要となる。(開催通知等の例及び参加申込書の例は、44ページ参照) 対応の例 聴力を補うためのヒアリングループ(磁気ループ)を設置する。(ヒアリングループの詳細は、65ページ参照) ・知的障害や発達障害などにより理解することに配慮が必要な方などが、説明の速さについていけず、混乱してしまうことがある。 対応の例 説明内容を要約したり、分かりやすい言葉に置き換えて、補足説明を行う。 また、必要に応じて、事前に口頭で説明し、意見を聞く場を設ける。なお、必要に応じて、「イエローカード」を用意する。(イエローカードの詳細は、49ページ参照) 視覚障害者は、会議資料等の確認に時間を要する。 対応の例 本人に確認し、できるだけ確認しやすい形式で、事前に資料を送付するよう配慮する。 重症心身障害者等は、幅・長さ・回転半径が普通よりも大きい車いすを使用していることが多い。 対応の例 車いすと介助者の座席スペースを広めに確保する。医療機器を使用する人もいるのでコンセントを使えるようにしておく。 その他一般的な合理的配慮の提供の例 意思疎通の配慮の具体例 ・会議資料等は、資料や資料の項目に番号をつけ、どの部分の話なのか、すぐに探せる工夫をする。また、視覚障害のある方に向けて点字、拡大文字、テキストデータ、知的障害のある方に向けてルビ付き等で作成する際に、各媒体でページ番号等が異なり得ることに留意する。 43ページ ・資料を見ながら説明を聞くことが困難な視覚障害・聴覚障害のある委員や知的障害のある委員がいる会議では、ゆっくり、丁寧な進行を心がけるなどの配慮を行う。 ・会議の進行に当たっては、職員等が委員の障害の特性に合ったサポートを行う等、可能な範囲での配慮を行う。 ルール・慣行の柔軟な変更の具体例 ・視覚障害などにより遠くが見えにくい方に対して、申出に応じてスクリーンや板書等がよく見えるように、スクリーン等に近い席等を確保する。 ・聴覚障害のある方には、手話通訳者や要約筆記のスクリーン等が見やすい座席を確保する。 44ページ コラム   開催通知等の例  開催通知の見本が記載されています。  ○○講演会の御案内  【記載例】  ※ 点字資料、拡大文字資料や手話通訳、要約筆記等を希望される場合は、事前に下記担当までお申し出ください。  ※ 当日、介助者等の同行があり、座席が必要な場合、あらかじめ御連絡ください。  上記の文章等を追加することで、必要な配慮について事前に確認することができます。 コラム 参加申込書の例  参加申込書の見本が記載されています。  ○○講演会参加申込書  ① お名前  ② 御所属  ③ 御連絡先  ③-1 住所  ③-2 電話  ③-3 ファックス  ④ 備考欄  以下について、必要がございましたら、印をつけてください。  車いすスペース 手話通訳 要約筆記 磁気ループ 点字資料 その他 事前資料配布(点字資料、テキストデータ、音声コード、墨字)  ⑤ 介助者(同行する 同行しない)  (⑥ その他、「身体障害者駐車場の要・不要欄」など  ※ 対応可能な配慮以外は、削除することも必要になります。)  ※ お申込みの個人情報については、本事業以外の目的には使用いたしません。  ※ 状況により、お申し出いただいた御要望に対応できない場合がございます。その場合は、あらかじめ御連絡をさせていただきます。御了承ください。  備考欄(配慮事項)への記入があった場合は、直接本人と連絡を取り、主催者が行おうとしている配慮内容と本人が希望する配慮内容にズレがないか等を確認するようにしましょう。 45ページ コラム  障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法について 令和4年5月に「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法(正式名称:障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律)」が成立・施行されました。 全ての障害者があらゆる分野の活動に参加するためには、情報の十分な取得利用・円滑な意思疎通が極めて重要です。 この法律は、障害者による情報の取得利用・意思疎通に係る施策を総合的に推進し、共生社会の実現に資することを目指しています。 基本理念 1 障害の種類・程度に応じた手段を選択できるようにする 2 日常生活・社会生活を営んでいる地域にかかわらず等しく情報取得等ができるようにする 3 障害者でない者と同一内容の情報を同一時点において取得できるようにする 4 高度情報通信ネットワークの利用・情報通信技術の活用を通じて行う(デジタル社会) 内閣府ホームページ 障害者による情報の取得利用・意思疎通に係る施策の推進 https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/jouhousyutoku.html  すけだちくんがコメントしています。  「東京都では、「ハートシティ東京」サイト(詳細は98ページ)にて、障害特性に応じた情報提供の方法のページをご紹介しています。是非一度ご覧ください。」 46ページ コラム  デジタル技術を活用した聴覚障害者コミュニケーション支援事業 東京都では、聴覚障害などのある方が、都庁や都事業所において円滑に情報を取得し、意思疎通ができるよう、デジタル技術を活用した遠隔手話通訳などのサービスを提供しています。 この事業は平成30年度から開始しており、現在は365日、午前8時から午後9時まで利用できます。 福祉局ホームページ デジタル技術を活用した聴覚障害者コミュニケーション支援事業 https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/ictdeaf/index.html ① 来庁者向け支援(遠隔手話通訳) 都庁や都事業所の窓口で、利用者自身のスマートフォン等で遠隔手話通訳の⼆次元バーコードを読み込んで利用します。 読み取ることで、手話通訳オペレーターに繋がり、手話でのコミュニケーションが可能となります。  受付で二次元バーコードを読み取っている人のイラストがあります。 ② 電話代理支援 都庁や都事業所へ電話で問い合わせをする際、テレビ電話(手話・筆談)か文字チャットにより、通訳オペレーター等が職員との電話を通訳します。 利用の際は、事業ホームページの専用ボタンを押すと、通訳オペレーターに繋がります。  テレビ電話を通じて会話しているイラストがあります。 聴覚障害のある方のコミュニケーション方法は様々です。 手話・筆談対応など、まずは本人が希望するコミュニケーション手段を確認し、窓口カウンターなどの見やすく分かりやすい位置に、手話や筆談対応ができる旨を表示しましょう。 47ページ コラム 電話リレーサービス(総務省所管) 24時間365日、聴覚や発話に困難のある人ときこえる人の会話を、通訳オペレータが手話・文字と音声を通訳して電話で即時双方向につなぐ公共インフラとしてのサービスです。 仕事での活用、緊急通報、病院への連絡など幅広く利用できます。 総務大臣指定電話リレーサービス提供機関 一般財団法人日本財団電話リレーサービス https://nftrs.or.jp/ ⑤ 緊急時の対応 共通事項 ・火災等の緊急時には、障害の特性に合わせたコミュニケーション方法により、情報を的確に伝達し、迅速に避難誘導します。 ・日常的な避難訓練において、障害のある方を交えた上で、車いすやアイマスクを用いた疑似体験を実施し、安全な避難方法を確認するなど、自力での移動が困難な方の補助体制を確保できるように努めます。 ・避難路の段差を無くし、荷物等で通路をふさがないようにします。 ・急病時に本人がかかりつけの医療機関への連絡を希望する場合は、協力します。 聴覚障害がある場合、発災時等は、緊急放送が流れても聞こえないので、何が起こったのか、どのような状況にあるのか分からないことがある。また、その後の避難時においては、食事や物資の提供等、必要な情報を得ることができないことがある。 対応の例 今起きていることなど、必要な情報は、音声だけでなく紙に書いて渡したり、掲示したりする等、複数の手段で伝え、避難路に誘導する。 視覚障害等がある場合、避難口が分からない。 対応の例 職員等で、避難誘導を行う。 体調の変化が大きい方などは、急に体調が悪くなり、動くことができなくなることがある。 対応の例 本人に確認の上、必要な支援を提供する。 48ページ 車いす使用者の場合、非常階段での避難が困難である。 対応の例 担架や背負いベルト等を備蓄しておく。 医療機器を使用している人には、電源の確保が必須である。 対応の例 個人が電源を確保するほか、避難所やその他公共施設で電源を確保しておく。 各自治体においては、平時より災害個別避難計画を立てておき、支援者と情報を共有しておきます。 ※ 本人が「ヘルプカード」等を持っている場合があるので、その場合は、書かれた内容を確認し、緊急連絡先への連絡や、必要な支援を行う(ヘルプカードの詳細は、93ページ参照)。 その他一般的な合理的配慮の提供の例 ルール・慣行の柔軟な変更の具体例◆ 災害時において、障害のある方を円滑に避難・誘導できるよう、障害のある方の視点に立った避難誘導の想定や当事者参加の訓練などを実施する。 49ページ コラム 配慮の例 カードルールの導入 平成21年12月、障害者権利条約の締結に必要な国内法の整備等の障害者に係る制度の集中的な改革を目的として「障がい者制度改革推進本部」が設置され、このもとで、障害者施策の推進に関する意見をまとめる「障がい者制度改革推進会議」が発足しました。 この会議には、多くの障害当事者が参加し、様々な合理的配慮の提供が行われました。 その取組の一つに、「カードルール」があります。 レッドカード(「ストップしてください」パーの手の絵)、イエローカード(「ちょっと待って、もう少しゆっくり分かりやすく」パーの手の絵)、ブルーカード(「同意します、分かります」指がグッドサイン)の3種類の赤黄青のカードが用いられ、知的障害のある参加者が、このカードを出して、会議の進行を止めたり、分かりやすい表現に言い直してもらったりできるように運用されました。 「カードルール」は、国際的な知的障害者団体等では以前から使われていましたが、日本の政府の会議としては初めて導入されました。このような配慮を行うことで、知的障害のある方も形式的な参加ではなく、「障害のない人と平等に」会議に参加することができます。 東京都障害者差別解消支援地域協議会においても、「カードルール」として、イエローカードを用いて会議を行っています。 障害当事者が参加される場合は、カードルールを配慮の一つとして実践されてはいかがでしょうか。 その際、事前に会議内容について、障害者本人がわかるように説明を行うことや、進行に当たって意見表明をしやすい雰囲気づくりに努めることなども重要ですので、ぜひ併せてご対応ください。 イエローカードの例  イエローカードのイラストがあります。 50ページ (2) 生活場面ごとの合理的配慮の提供等の例 事業者は、各主務大臣が定める対応指針を参考に、主体的に取り組むことが期待されています。 ここでは、主務大臣が作成する対応指針をもとに、各業種における固有の対応等の例として、「不当な差別的取扱い」と「合理的配慮の提供」の事例を載せています。 対応する上でご参照ください。 なお、客観的に見て、正当な理由がある場合は、不当な差別的取扱いに該当しないことがあります。 また、過重な負担が伴う場合には、合理的配慮の不提供に該当しないことがあります。 以下の事例は、あくまでも例示で、これらに限定されるものではありません。 合理的配慮の提供は、個別具体的な状況によって、柔軟に取り組まれるべきものであることに留意いただき、本ハンドブックや主務大臣が作成する対応指針等を参照し、実際の対応に当たってください。 51ページ ① 学校など 不当な差別的取扱いの例 学校への入学出願の受理、受験、入学、授業等の受講、研究指導、実習等校外教育活動、入寮、式典参加等を拒否したり、正当な理由のない条件を付加する 試験等において合理的配慮の提供を受けたことを理由に、試験結果を評価対象から除外したり、評価に差をつける 合理的配慮の提供の例 聴覚過敏の生徒のために、机・椅子の脚に緩衝材をつけて教室の雑音を軽減する 視覚情報の処理が苦手な生徒のために、黒板周りの掲示物の情報量を減らす 支援員等の教室への入室や、授業・試験でのパソコン入力支援等を許可する 意思疎通のために、絵や写真カード、ICT機器(タブレット端末等)などを活用する 入学試験において、本来の目的を損ねない範囲で別室受験、時間延長、読み上げ機能等の使用を許可する  窓口で、学生が書類を提出するのを断っているイラストがあります。 ② 病院・福祉施設など 不当な差別的取扱いの例 本人を無視して、介助者・支援者や付添者のみに話しかける サービスの利用に当たって、仮利用期間を設けたり、他の利用者の同意を求めるなど、他の利用者と異なる手順を課す 合理的配慮の提供の例 施設内放送の文字化や、電光表示板で表示する 車いす使用者が利用しやすいよう、カウンターの高さに配慮する 障害者に配慮したナースコールの設置を行う 障害の特性に応じた休憩時間の調整など、申出に応じてルール、慣行を柔軟に変更する 食事の形態を利用者に合わせる  医師が付き添い者のみに話しかけているイラストがあります。 52ページ ③ 交通(鉄道・バス・タクシー・飛行機など) 不当な差別的取扱いの例 障害があることをもって、乗車を拒否する 身体障害者補助犬の同伴を理由に乗車を拒否する 合理的配慮の提供の例 券売機の利用が難しい場合、操作を手伝ったり、窓口で対応する(鉄道) 停留所名表示器の設置のほか、音声による案内をこまめに行う(バス) 車いす等の大きな荷物のトランクへの収納の手助けを行う(タクシー) 障害のある利用者が化粧室に行く際に、移動を手伝う(飛行機) 障害の特性を理解した上で、適切な接遇・介助を行えるよう教育・研修を行う 車いす使用者が安全に乗降できるように、停止時間の配慮を行う  バスの運転手が、車いす利用者の乗車を拒否しているイラストがあります。 ④ 住まい 不当な差別的取扱いの例 「障害者不可」「障害者お断り」と表示・広告する 障害者向け物件は扱っていないと門前払いする障害者の希望に対し、必要な調整を行うことなく仲介を断る 障害を理由とした誓約書や保証人の提出を求める 合理的配慮の提供の例 視覚障害者に対して、最寄駅から一緒に歩いて確認したり、住居内の様子を手を添えて案内する 障害者の求めに応じてバリアフリー物件等があるか確認する 物件案内時に携帯用スロープを用意したり、車いすを押して案内する 賃貸物件において、障害者の求めに応じて、ガスコンロからIH調理器(電磁調理器)に交換を行う  不動産屋さんで入店を断られて出ていく人のイラストがあります。 53ページ ⑤ 銀行など 合理的配慮の提供の例 自筆が困難な障害者からの要望を受けて、本人の意思確認を適切に実施した上で、代筆対応する 「筆談対応いたします」などのプレートや、主な手続を絵文字等で示したコミュニケーションボードを用意する ATM操作が困難な顧客に声かけし、適切な対応をとる 取引、相談等の手段を、非対面の手段を含めて複数用意する  筆談対応をしているイラストがあります。 ⑥ 小売店・飲食店など 不当な差別的取扱いの例 身体障害者補助犬の同伴を拒否する 保護者、介助者の同伴を条件とする 障害があることを理由に入店を拒否する 合理的配慮の提供の例 困っていると思われるときは、まず声をかけ、手伝いの必要性を確かめてから対応する メニューを分かりやすく説明したり、写真を活用したりする 食券販売機の利用が難しい場合、操作を手伝ったり、希望のメニューを伺う 精算時に金額を示す際は、金額が分かるようにレジスター又は電卓の表示板を見やすいように向ける、紙等に書く、絵カードを活用する等して示すようにする 紙とペンを活用する、手のひらに書く(手書き文字)など、コミュニケーションにおいて工夫する お金を渡す際に、紙幣と貨幣を分け、種類ごとに直接手に渡し、確認してもらう 注文や問合せ等に際し、インターネット画面への入力によるものだけでなく電話等でも対応できるようにする エレベーターがない店舗で上階にある商品を求められた際、上階の商品を持ってくる等、代行可能な用件であれば代わりに行う 商品宅配時において具体的要望があった際に、品物を家の中の指定された所まで運ぶ  飲食店で、補助犬を連れている人が入店を断られているイラストがあります。 54ページ コラム  東京都作成障害者差別解消に関する事例集について 東京都では、共生社会・ダイバーシティの実現に向け、「不当な差別的取扱いの禁止」や「合理的配慮の提供」について、都民や事業者の理解を深め、取組を進めることを目指し、障害者差別解消に関する様々な事例集を作成しています。 是非ご参照ください。 なお、各事例集に掲載されているものは、あくまで例示であり、個別の事案ごとに対応は異なることにご留意ください。 障害者差別解消法合理的配慮等の好事例集(様々な場面における相談事例から) 障害のある方の日常生活における様々な場面について、事例を取り上げ、対応のポイント等とともに解説しています。 障害者差別解消に関する相談事例集(東京都広域支援相談員による対応事例から) 東京都障害者差別解消条例により新たに設置した「広域支援相談員」が、実際に相談対応した事例をもとに、相談を受けてから対応終了に至るまで詳しく記載しています。 障害者への合理的配慮等に関する事例集感染症対策編 視覚障害者がソーシャルディスタンスを適切に取れるような誘導や、マスクを着用した会話の際の聴覚障害者への配慮など、感染症対策を踏まえた障害者への合理的配慮等について掲載しています。 東京都福祉局のホームページ 東京都福祉局 の中の 障害者 の中の 障害者施策 の中の 障害者差別解消と権利擁護>障害者差別解消法に関する普及啓発 のページです。 https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/shougai/shougai_shisaku/sabetsukaisho_yougo/sabekaikeihatsu.html 55ページ コラム  身体障害者補助犬とは 「身体障害者補助犬」は、目や耳や手足に障害のある方の生活をお手伝いする、「盲導犬」・「聴導犬」・「介助犬」のことです。 身体障害者補助犬法に基づき認定された犬で、特別な訓練を受けています。  身体障害者補助犬法の啓発マーク「ほじょ犬マーク」のイラストがあります。 盲導犬 目の見えない人や見えにくい人が、街なかを安全に歩けるようにサポートします。 障害物を避けたり、立ち止まって曲がり角を教えます。ハーネス(胴輪)をつけています。 介助犬 手や足に障害のある方の日常の生活動作をサポートします。 物を拾って渡したり、指示したものを持ってきたり、着脱衣の介助などを行います。 “介助犬”」と書かれた表示をつけています。 聴導犬 音が聞こえない人や聞こえにくい人に、生活の中の必要な音を知らせます。 玄関のチャイム音・ファックス着信音・赤ちゃんの泣き声などを聞き分けて教えます。 “聴導犬”と書かれた表示をつけています。 補助犬の同伴については、「身体障害者補助犬法」で、人が立ち入ることのできる様々な場所で受け入れるよう義務付けられています。 補助犬の同伴を受け入れる義務がある場所 ・国や地方公共団体などが管理する公共施設・公共交通機関(電車、バス、タクシーなど) ・不特定多数の人が利用する民間施設-商業施設、飲食店、病院、ホテルなど ・事務所(職場)-国や地方公共団体などの事務所、政令で定める一定規模の従業員数以上の民間企業(政令:身体障害者補助犬法施行令) ※事務所(職場)で、上記従業員数未満の民間企業や民間住宅も努力義務があります。 補助犬の受入施設の方へ 補助犬は、ユーザーの指示に従い待機することができるので、特別な設備は必要ありません。 補助犬の同伴を受け入れる際に他のお客様から苦情がある場合は、「身体障害者補助犬法」で受入義務があること、補助犬の行動や健康の管理はユーザーが責任をもって行っていることを説明し、理解を求めてください。 56ページ 補助犬が通路をふさいだり、周りのにおいを嗅ぎ回ったり、その他、何か困った行動をしている場合は、そのことを補助犬ユーザーにはっきり伝えてください。 補助犬を同伴していても、補助犬ユーザーへの援助が必要な場合があります。 補助犬ユーザーが困っている様子を見かけたら、まずは声をかけたり、筆談をするなどのコミュニケーションをとってください。 補助犬を連れていたら 補助犬を連れている場合は、その犬が仕事中だということを忘れないで、邪魔をせず温かく見守ってください。 57ページ (3) 環境の整備 「環境の整備」とは、不特定多数の障害者を主な対象として行われる措置で、「合理的配慮の提供」(合理的配慮の提供の詳細は、14ページから21ページ参照)とは異なり、努力義務とされています。 例えば、バリアフリー化や情報保障のための機器の導入などのハード面の対応や、職員に対する研修やマニュアルの整備などを行うソフト面の対応が「環境の整備」に当たります。 合理的配慮を必要とする障害者の利用が多数見込まれる場合や、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、その都度の合理的配慮の提供ではなく、「環境の整備」を検討しましょう。 その都度の合理的配慮の提供を求めずに済むことから、障害者本人の自尊心の回復、利便性の向上、中・長期的なコストの削減・効率化につながります。 障害者差別解消法では、個々の障害者に対して行われる合理的配慮の提供を的確に行うために、環境の整備に努めるべきであるとされています。 この環境の整備とは、合理的配慮の提供が必要な障害者の利用が多く見込まれたり、障害者との関係が長期にわたる場合等に、いわゆるバリアフリー化や、情報保障のための機器の導入などの対応を行うことです。 整備の例 ・受付や、相談・手続等の窓口などへの筆談ボードやコミュニケーションボードの設置とその使用方法を学ぶ研修等の実施、簡単な手話のできる職員の配置、受付番号等を表示できる掲示板の設置等を行う。 ・行事等で、車いす使用者等の参加が見込まれる場合、あらかじめ車いす対応席等を設定する。 ・参加者から申出があった場合に対応できるよう、車いす等の貸出しを行うほか、手話通訳者や介助者等の同行に配慮する。 ・新しい施設の建設や施設の改修の際は、「東京都福祉のまちづくり条例」(詳細は63ページ参照)等に基づき、スロープやエレベーター等による段差を解消した経路を設置するとともに、車いす使用者対応トイレのほか、オストメイト用設備(詳細は79ページ参照)、乳幼児用設備、介助用ベッド(イラストは81ページ参照)等の設備を設けるなど、バリアフリー化を行う。 58ページ ・色の組み合わせによる見えにくさを解消するため、掲示物や案内図等の配色を工夫する。 ・トイレ、作業室などの部屋の種類や、その方向を示す絵記号や色別の表示などを設ける。 ・不特定多数の人が集まるホール等において、聴覚障害者が、補聴器を通じて、音声を正確に聞き取ることができるよう、ヒアリングループを設置する。 また、環境の整備は、職員に対する研修等のソフト面の対応も含まれます。 <研修の例>・障害当事者等を講師とした研修 本ハンドブックを活用した研修等 「合理的配慮の提供」は、このような環境の整備(障害者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化、介助者等の人的支援、情報アクセシビリティの向上等)を基礎として、個々の障害者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置です。 したがって、各場面において、合理的配慮の提供の内容は異なります。  図 合理的配慮の提供に至るまでのプロセスイメージ ※ 16ページの再掲  図の説明  前提として、環境の整備(バリアフリー化、研修等)があるのが望ましいです。  一方で、障害当事者からの配慮の申し出があった際には、双方のコミュニケーション・建設的対話で、双方の合意がとれれば、合理的配慮の提供(1対1で行う対応)となります。  同じような配慮が複数寄せられる場合には、環境の整備につなげることで、障害者本人の尊厳の回復・利便性の向上、コスト削減・効率化などにつながります。  環境の整備(バリアフリー化、研修等)の詳細は、57ページ環境の整備参照  双方のコミュニケーション・建設的対話の詳細は、33ページ、声かけによる判断チャート図参照  合理的配慮の提供(1対1で行う対応)の詳細は、21ページ、合理的配慮の提供の検討フロー図参照  図の説明終わり 59ページ 環境の整備・合理的配慮の提供どちらも対応をしている事例を紹介します。 代筆の事例 ・(環境の整備)障害者から申込書類への代筆を求められた場合に円滑に対応できるよう、あらかじめ申込手続における適切な代筆の仕方について店員研修を行うこと。 ・(合理的配慮の提供)障害者から代筆を求められた場合に、研修内容を踏まえ、本人の意向を確認しながら店員が代筆すること。 オンライン手続きの事例 ・(環境の整備)障害者がオンライン申込みの際に不便を感じることのないよう、ウェブサイトの改良を行っていくこと。 ・(合理的配慮の提供)オンラインでの申込手続が必要な場合に、手続に際しての支援を求める申出があった場合に、求めに応じて電話や電子メールでの対応を行うこと。 障害者との関係性が長期にわたる場合、障害の状態等の変化を考慮しつつ、その都度の合理的配慮の提供ではなく、環境の整備を行うことを検討しましょう。 環境の整備により、その都度の合理的配慮の提供を求めずに済むことは、障害者本人の自尊心すなわち尊厳を回復することや、社会的障壁がなくなることによって利便性などの向上につながります。 また、行政機関等・事業者にとっては、中・長期的なコストの削減や効率化につながる場合もあります。 これらのメリットを考慮して、ぜひ積極的に環境の整備の検討をお願いします。 60ページ コラム  音声による情報保障 DAISY・音声コード DAISYとは DigitalAccessibleInformationSystemの頭文字をとったものです。 音声データを独自の形式で圧縮し、章や節ごとに「見出し」をつけることができる検索性の高い音声媒体です。 最長でディスク一枚に60時間程度収録可能です。 ただし、通常のCD再生機では聞くことができない方式のもので、専用の再生機や、専用のソフトをインストールしたパソコンが必要になります。 音声コードとは 音声コードとは、QRコードと同じ印刷物上の切手大の二次元コードです。漢字を含めた活字文書を約800文字格納できる音声コードは、マイクロソフト社製のワープロソフト「Word」に音声コード作成ソフトをインストールすることで簡単に作成することができ、活字文書読み上げ装置で読むことが可能です。ただ音声コードを印刷しても、視覚障害者がその印刷物に音声コードが添付されていることに気づきません。音声コードを添付した印刷物には、必ず切り欠きを入れ、裏面に音声コードを印刷する際には、左側に音声コードを添付するようにしましょう。  音声コード添付例の写真あり 61ページ コラム  情報保障の推進に向けた各局の取組を紹介 都条例では、東京都が行う「共生社会実現のための基本的施策」の1つとして「情報保障の推進」をあげています(詳細は、28ページ参照)。 庁内各局では、例えば、以下のような情報保障に取り組んでいます。 主税局 納税通知書の封筒に、音声コード(音声コードの詳細は、60ページ参照)を添付し、通知書の内容を音声で取得できる旨を案内しています。 また、希望者に対し、税額や納期等の情報を音声コード化した説明文書をお送りしています。 ① 封筒に音声コードを添付した納税通知書をお送りします。 ② 音声コード化した文書をご希望の場合、お電話ください。 ③ 音声コード化した文書を送ります。 水道局 給水契約者で希望される方に音声コード付き文書をお送りしています。 ① 様々な媒体を活用し広く都民の皆様に申込方法等をご案内します。 ② 音声コード付き文書の送付を希望される方からの申し込みを受け付けます。 ③ 請求書等の内容をお知らせする音声コード付き文書(※)を定期的に送付します。 ※ お知らせ文書の内容 「使用月分、水道ご使用量、請求金額、支払期限等」をお知らせします。 請求書は、お知らせ文書に同封して送付します。 62ページ 政策企画局 毎月1回発行している「広報東京都」について、点字版・音声版を発行しています。 また、音声ファイルはホームページに公開しています。 ※ 点字版・音声版の申込みについては、電話03-5388-3093までご連絡ください。 参考 広報東京都HP https://www.koho.metro.tokyo.lg.jp/ 議会局 「都議会だより」の点字版・音声版を年4回発行しています。 また、音声ファイルはホームページに公開しています。 ※ 点字版・音声版の申込みについては、電話03-5320-7126までご連絡ください。 参考 都議会だよりHP https://www.gikai.metro.tokyo.lg.jp/newsletter.html 63ページ コラム 福祉のまちづくりの取組を紹介 東京都では、全ての人が安全で、安心して、かつ、快適に暮らし、訪れることができるよう、ハード・ソフトの両面からユニバーサルデザインのまちづくりを進めています。 区市町村や事業者、都民と協働して、福祉のまちづくりを推進していくため、以下のような冊子等を作成していますので、ご参照ください。 情報発信サイト「心のバリアフリー」ホームページ 「心のバリアフリー」に対する都民の理解促進や実践につながるよう、「ハートとハードで、バリアをなくそう!」をキャッチフレーズに、「心のバリアフリー」について知り、考えてもらうきっかけとなるよう、動画やハンドブック等の情報を一元的に発信。 https://kokoro.metro.tokyo.lg.jp/ 区市町村・事業者のための「心のバリアフリー」及び「情報バリアフリー」ガイドライン学校や地域における学習や事業者内での社員教育等の心のバリアフリー、また、音声文字、点字、手話、多言語による対応等、様々な手段で情報提供を進める情報バリアフリーに向けた取組の考え方と効果的な実例を掲載。 https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kiban/machizukuri/kokoro_joho/kokoro_joho.html 東京都福祉のまちづくり条例「施設整備マニュアル」 東京都福祉のまちづくり条例で定める「整備基準」について、図解も含めて詳しく解説するとともに、より高い水準である「望ましい整備」についても説明。 https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kiban/machizukuri/manual05.html 64ページ 店舗等内部のユニバーサルデザイン整備ガイドライン 店舗等内部※のテーブル配置やカウンターの高さなど、条例に定める整備基準だけでは補いきれない整備の考え方をまとめたもの。 ※ 店舗等内部:用品店であれば商品の陳列棚や試着室まで、飲食店であれば飲食を提供するテーブルまでの経路や設備などで、条例に定める整備基準の対象とならない部分 https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kiban/machizukuri/tenponaibu.html みんながまた来たくなるお店づくり だれにでもおもてなしのサービスを バリアフリー整備が困難な小規模店舗などで、「おもてなしのサービス」の対応をする際の具体的なポイントを整理 https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kiban/machizukuri/omise.html 障害者等用駐車区画の適正利用に向けたガイドライン 障害者等用駐車区画を整備した施設管理者が、適正利用に向けた対策を実施する際の参考となるよう、効果的な対策事例を紹介 https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kiban/machizukuri/kanren/guideline-park.html 多様な利用者のニーズに配慮したユニバーサルデザインのトイレづくりハンドブック 高齢者、障害者、子供を含めた全ての人がストレスなく利用できるトイレ環境を実現するため、公共施設、公園、商業施設、鉄道駅等の各施設で自発的な取組を行う際の参考となるよう、トイレ利用の困りごとを解消する事例を紹介。 https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kiban/machizukuri/toilet_handbook 65ページ コラム  ヒアリングループ(磁気ループ)について ヒアリングループ(磁気ループ)とは、補聴器を使用している聴覚障害者が、広い空間や騒音の多い場所において、音声を正確に聞き取るために聴力を補うための集団補聴設備の一種で、音声データを磁気に変換し、敷設したワイヤーから発生させた磁気を、ループ内側にある補聴器で受信して音声信号に変えることで、目的の音声を届けることができる設備です。 建物施工時に、ワイヤーを床下や天井に埋設・固定する「常設型」と、持ち運び可能な磁気発生アンプと巻き取り式のワイヤーを用いて必要な場所にループを設置できる「移動型」があります。  図 ヒアリングループのしくみ  図の説明。  マイクで話した音声信号を磁気ループアンプを通じ、床に這わせたループアンテナに電気信号として送ります。  ループアンテナ内で誘導磁界が発生し、音声磁場ができることにより磁気コイル(Tモード)付補聴器、人工内耳(Tマーク)、専用受信機で音声信号として聴くことができます。  図の説明終わり 66ページ 第5 障害特性について 障害のある方及びその家族や関係者と接する際には、障害者本人の障害特性や、その方が日常生活・社会生活で相対している「社会的障壁」(社会的障壁の詳細は、 7ページ参照)について理解し、その社会的障壁の除去に向けて対応することが大切です。 以下に、代表的な障害特性と、社会的障壁を取り除くための対応時の配慮点をまとめています。 障害者への制限は、社会における様々な障壁と相対することで生じているという「障害の社会モデル」(障害の社会モデルの詳細は、8ページ参照)の考え方に立ち、障害があっても「人」としてのコミュニケーションを大切にしながら対応しましょう。 障害の程度、重複障害の有無、疾病との関係などにより、どのような配慮が必要かどうかは個人によって異なります。 その都度、本人に確認して対応するようにしましょう。 1 視覚障害 主な特性 生まれつき目が見えない場合もあるが、最近は糖尿病性網膜症や網膜色素変性症などで受障される方も多く、高齢者では、緑内障や黄斑変性症が多い 視力障害は、視覚的な情報を全く得られない又はほとんど得られない方と、文字の拡大や視覚補助具等を使用し保有する視力を活用できる方に大きく分けられる(全盲、弱視といわれることもある) 暗い所で極端に視力が落ちる方や、普通では眩しくない程度の光でも、過敏になり眩しさや痛みを感じる方もいる 視野障害は、目を動かさないで見ることのできる範囲が狭くなる ひとことで視覚障害と言っても、様々な見え方がある(まったく見えない、文字がぼけて読めない、物が半分しか見えない(次ページ図A)、筒状の物を通しているようにしか見えない(次ページ図B)など) 例 求心性視野狭窄 見える部分が中心だけになって段々と周囲が見えなくなる 遠くは見えるが足元が見えず、つまづきやすくなる 中心暗点 周囲はぼんやり見えるが真ん中が見えない 文字等、見ようとする部分が見えなくなる 67ページ 視力障害、視野障害の状況によって、明るさの変化への対応が困難なため、移動などに困難さを生じる場合も多い このため、文字を読めても、歩くときに障害物にぶつかってしまう方や、障害物を避けて歩くことはできても、文字を読めない方がいる  3人の男女と犬が1匹いるイラストがあります。  半分だけ見えているイラストがあります。  真ん中だけ見えているイラストがあります。 ※ 視力をほとんど活用できない方の場合、音声、触覚、嗅覚など、視覚以外の情報を手がかりに周囲の状況を把握しています ※ 文字の読み取りは、点字に加えて最近では画面上の文字情報を読み上げるソフトを用いてパソコンで行うこともあります(中途で失明した場合など視覚障害者全てが、点字の読み書きができるとは限りません) ※ 視力をある程度活用できる方の場合は、補助具を使用したり文字を拡大したり近づいて見るなどの様々な工夫をして情報を得ています ※ 見え方、見えづらさには、個人差が大きく、外見からでは判断できないことに留意が必要になります 主な対応 声をかける時には前から近づき「○○さん、こんにちは。△△です。」など自ら名乗る 短い距離であっても、腕や白杖をつかんだり、肩や背中を後ろから押さない歩行は、介助者の腕や肩をつかんでもらい、歩く速度を相手に合わせ、小さな段差についても情報提供することを基本とする  よい誘導のイラストがあります男性が白杖をもった女性を誘導しています  誘導の悪いイラストが2つあります1つは、男性が白杖をもった女性を後ろから押していますもう1つは、男性が白杖をもった女性を手でひっぱっています 68ページ 説明する時には「それ」「あれ」「こっち」「このくらいの」などと指差し表現や指示代名詞で表現せず、「あなたの正面」「○○くらいの大きさ」などと具体的に説明する  よい例のイラストがあります。白杖をもった女性の正面に立った男性が、「前方に看板があります。左側に避けられます。」と言っています。  悪い例のイラストがあります。白杖をもった女性の正面に立った男性が、「あぶない右へ」と言っています。 ポイント 方向や位置を説明するときは、視覚障害者の向きを中心にしてください 向かい合っていると、説明者とは左右が反対になるためです 音声や点字表示など、視覚情報を代替する配慮を行う 成人してから障害が生じた場合、白杖を使って歩くことが難しかったり、 点字を読むことが困難な方も多いので留意する 普段から通路(視覚障害者誘導用ブロック(点字ブロック)の上等)に通行の妨げになるものを置かない、 視覚障害者が日頃使用しているものの位置を変えない 主に弱視の場合、室内における照明の状況に応じて、窓を背にして座ってもらうなどの配慮を行う 好事例1 アンケートも多様な方法で(視覚障害) アンケートを取る際に、印刷物だけを配布していました。 すると、視覚障害のある方から、「電子データでほしい」と要望がありました。 「電子データであればパソコンの読み上げソフトを利用して回答できる」とのことでした。 結果 紙媒体という画一的な方法ではなく、テキストデータでアンケートを送信し、メールで回答を受け取るという方法をとることで、視覚障害のある方にもアンケートに答えてもらえるようになりました。 69ページ 2 聴覚障害 主な特性 生まれつき耳の聞こえない方は、手話でコミュニケーションをとる方も多いが、中途失聴の方は、手話を使わない方もいる 難聴者(少しでも音声が聞こえる方)は、補聴器や人工内耳で聞こえを補うことが多いが、音量を上げてもクリアに聞こえない場合がある 補聴器や人工内耳を装用している場合、スピーカーを通じた音等、残響や反響のある音は、聞き取りにくい 聴覚障害は外見上分かりにくい障害であり、その人が抱えている困難も他の人からは気づかれにくい側面がある 聴覚障害者のコミュニケーション方法には手話、筆談、口話など様々な方法があるが、どれか一つで十分ということではなく、多くの聴覚障害者は話す相手や場面によって複数の手段を組み合わせるなど使い分けている 聴覚の活用による言葉の習得がしにくいことにより、聴覚障害者の国語力は様々であるため、筆談の場合は、相手の状況に合わせる 自らの声が聞こえないことから、発音が不明瞭な方もいる 聴覚に困難を抱えるタイプには、感音性難聴や聴覚過敏などいくつかがあり、その場合一般の難聴と配慮が異なる 主な対応 発音が不明瞭で聞き取れない場合、けげんな表情をせず、分からない時は心情に配慮しながら聞き返す 話をする際は、目や顔の表情等をしっかりと見て、十分に理解できたかどうか確認する 音声だけで話すことは極力避け、手振りや身振り、絵カードなど視覚的な情報も併用する 手話や文字表示など目で見て分かる情報を提示したり、本人の希望に応じて手話通訳者や要約筆記者の派遣を依頼する 音声を文字に変換できるスマートフォンのアプリなどを活用して、筆談を補う 補聴器や人工内耳を装用している方に、マイクやスピーカーの音声を伝えるために、ヒアリングループの利用等も必要に応じて検討する 70ページ 好事例2 研修会等での配慮(聴覚障害) 聴覚障害者のAさんは、ある研修会に参加することになりました。 事務局から研修担当者には、Aさんは聴覚障害があるので配慮するよう伝えていましたが、研修担当者は、Aさんは補聴器をつけていたので問題ないと思い、特段の配慮もなく研修が進められ第1日目が終わってしまいました。 結果 Aさんは、補聴器をつけていても、全て聞き取れる訳ではないことを事務局に相談したところ、次回以降、手話通訳者か要約筆記者(ノートテイク)で対応してくれることになりました。 3 盲ろう 主な特性 視覚と聴覚の重複障害のある人を「盲ろう」と呼んでいるが、障害の状態や程度によって様々なタイプに分けられる(視覚障害、聴覚障害の項も参照) 見え方と聞こえ方の組み合わせによるもの ① 全く見えず聞こえない状態の「全盲ろう」 ② 見えにくく聞こえない状態の「弱視ろう」 ③ 全く見えず聞こえにくい状態の「盲難聴」 ④ 見えにくく聞こえにくい状態の「弱視難聴」 各障害の発症経緯によるもの ① 盲(視覚障害)から聴覚障害を伴った「盲ベース盲ろう」 ② ろう(聴覚障害)から視覚障害を伴った「ろうベース盲ろう」 ③ 先天的、あるいは乳幼児期に視覚と聴覚の障害を発症する「先天性盲ろう」 ④ 成人期以後に視覚と聴覚の障害が発症する「成人期盲ろう」 盲ろう者がそれぞれ使用するコミュニケーション手段は、障害の状態や程度、盲ろうになるまでの経緯、あるいは生育歴、他の障害との重複の仕方によって異なり、介助方法も異なる テレビやラジオを楽しんだり本や雑誌を読むことなどもできず、家族といてもほとんど会話がないため、孤独な生活を強いられている方もいる 障害の状態や程度により視覚障害や聴覚障害のある方と同じ対応が可能な場合もあるが、同様な対応が困難な場合が多い 71ページ 主な対応 盲ろう者関係機関に相談し、対応に関する助言を受ける 手書き文字や触手話、指点字などの対応が必要になりうることに配慮する 言葉の通訳に加えて、視覚的・聴覚的情報についても意識的に伝える 例 状況説明として、人に関する情報(人数、性別等)や環境に関する情報(部屋の大きさや机の配置、その場の雰囲気等)など 本人の希望に応じて、盲ろう者向け通訳・介助者派遣や、手話通訳・要約筆記者派遣を依頼する 好事例3 盲ろう者とのコミュニケーション(盲ろう) 盲ろう者であるBさんは、通訳・介助者を同伴し、パソコン訓練を実施する施設に相談に行きましたが、盲ろう者との特殊なコミュニケーション方法である「手書き文字」「点字筆記」「触手話」「指点字」ができる職員がいないとの理由で受入れを断られてしまいました。 結果 後日、Bさんは通訳・介助者を同伴して盲ろう者関係機関に相談したところ、「Bさんは点字ができること、また、手のひらに書く(手書き文字)ことでコミュニケーションがとれることを施設側に伝えたらよいのではないか」との助言を受け、改めて、Bさんは点字ができること、また、手のひらに書く(手書き文字)ことでコミュニケーションがとれることを施設に説明した結果、施設側も理解を示し、前向きに受け入れる方向で話が進展しました。 4 肢体不自由 車いすを使用している場合 主な特性 脊髄損傷(対麻痺又は四肢麻痺、排泄障害、知覚障害、体温調節障害など)、脳性麻痺(不随意運動、手足の緊張、言語障害等、知的障害重複の場合もある)、脳血管障害(片麻痺、運動失調)に主に起因している下肢切断もある 原因となる疾病や障害の程度により、全く立ち上がれない方、ある程度の歩行ができる方、手に障害がある方、言語障害や知的障害がある方など状況は様々である 72ページ ベッドへの移乗、着替え、洗面、トイレ、入浴など、日常の様々な場面で援助が必要な方の割合が高い 車いす使用者にとっては、段差や坂道が移動の大きな妨げになる 脊髄損傷等により、体温調整が困難な方もいる 手動車いすの使用が困難な場合は、電動車いすを使用する場合もある 障害が重複する場合には、呼吸器を使用する場合もある 自分で車いす操作ができる方は、バリアフリーな場所であれば、移動に支障がない場合もある 主な対応 段差を無くす、車いす移動時の幅・走行面の斜度、車いす用トイレ、施設のドアを引き戸や自動ドアにするなどの配慮を行う 机アプローチ時に車いすが入れる高さや、作業を容易にする手の届く範囲を考慮する ドア、エレベーター内のスイッチなどの機器操作のための配慮を行う 目線が低いため、立ったまま話すと見下ろされたように感じ、威圧感を受ける場合があるので、目線を合わせて会話する 体温調整障害がある場合は、部屋の温度管理に配慮する 自分で移動できる方には、過度な干渉は不要なこともあるので、本人の意向を確認する 杖などを使用している場合 主な特性 脳血管障害(歩行可能な片麻痺、運動失調)下肢切断もある 機能障害の程度が軽いため、杖や装具を使っての歩行が可能な場合や、義足を使用して歩行可能な場合は、日常生活の動作は自立している方が多い 歩行の障害など、目に見える障害だけでなく、失語症や高次脳機能障害がある場合もある 長距離の歩行が困難だったり、階段、段差、エスカレーターや人混みでの移動が困難な場合もあるので、配慮する必要がある 自分で動ける方には、過度な干渉は不要なこともあるので、本人の意向を確認する 主な対応 上下階に移動するエレベーターの設置や、階段の手すりの設置を行う 73ページ 休憩できる椅子やベンチ等を用意する 滑りやすい床などは転びやすいので、雨天時などの対応に留意する トイレでの杖置きの設置や、靴の履き替えが必要な場合に椅子を用意するなどの配慮を行う 上肢に障害がある場合は、片手や筋力低下等、障害の状況に応じて作業をサポートする 好事例4 障害への理解が深まれば(肢体不自由) 座骨部に褥瘡(床ずれ)発生を繰り返している脊髄損傷者Cさん。褥瘡は、長時間座位を保持していることが原因で発生していました。 褥瘡悪化による手術で数か月単位の入院を繰り返していました。 結果 納期が迫っており長時間作業をしなければならない場面でも、時間調整や褥瘡予防できる姿勢を確保するため、途中で休憩をとることなど周囲の理解と協力を得ることで、褥瘡の発生を抑え、入退院を繰り返すことなく生活することが可能になりました。 74ページ 車いす使用者への配慮のポイント~段差や溝がある場合~ 昇るとき 昇る手順は「車いすの前方を上げます」と声をかけます。 ① ティッピングレバー(後車輪の内側の棒)を踏み、 ② 同時にハンドグリップ(持ち手)を押し下げて前輪キャスターを上げます。 ③ 後車輪だけでバランスを保ちながら段差に近づきます。 ④ 前輪キャスターを段に乗せてから、後輪を押し上げます。 降りるとき 降りる手順は、後ろ向きになり、「降ろします」と声をかけます。 相手が安心できるよう配慮しながら、車いすの背を身体で支えながら衝撃を与えないようにそっと降ろします 小さい段差や溝があるときは、斜めに通るか、後ろ向きで通ります。 車いすは、少しでも段差や溝があると前輪のキャスターがつかえたり、はまり込んだりするので注意しましょう。  車いすで昇るときの介助をしているイラストがあります。 75ページ 電動車いすの種類について 大きく分けて「自操用」と「介助用」の2種類に分けられます。 「自操用ハンドル型」「自操用標準型」「自操用簡易型」  それぞれの車いすのイラストがあります。 出典 警察庁「電動車いすの安全利用の手引き(利用者用)」 https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/e_wheelchair.html をもとに編集 5 構音障害 主な特性 発音が不明瞭だったり、話し言葉のリズムがスムーズでなかったりする 話す運動機能の障害、聴覚障害、咽頭摘出などの原因がある 主な対応 しっかりと話を聞く 会話補助装置などを使ってコミュニケーションをとることも考慮する 6 失語症 主な特性 以下の症状が見られる場合がある 聞くことの障害 音は聞こえるが「言葉」の理解に障害があり、話の内容が分からない 単語や簡単な文は分かっても、早口や長い話になると分からなくなる 話すことの障害 伝えたいことをうまく言葉や文章にできない 発話がぎこちない、言いよどみが多くなったり、本人が考えていることと違う言葉が出てしまうこともある 76ページ 読むことの障害 文字を読んでも理解が難しい 書くことの障害 書き間違いが多い、また、「てにをは」などをうまく使えない、文を書くことが難しい 主な対応 表情が分かるよう、顔を見ながら、ゆっくりと短い言葉や文章で、分かりやすく話しかける 一度でうまく伝わらない時は、繰り返して言ったり、別の言葉に言い換えたり、漢字や絵で書いたり、写真・実物・ジェスチャーで示したりすると理解しやすい 「はい」「いいえ」で答えられるように問いかけると理解しやすい 話し言葉以外の手段(カレンダー、地図、時計など身近にあるもの)を用いると、コミュニケーションの助けとなる ※ 「失語症のある人の雇用支援のために」独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構障害者職業総合センター)より一部引用 好事例5 話すことの障害(失語症) 失語症(発語がうまくできない)のあるDさんが、買い物に行きましたが、自分の欲しいものを探すことができませんでした。 店員にどこにあるのか尋ねようとしましたが、欲しいものをうまく伝えられず、時間が経過するばかりでした。 結果 店員は、Dさんが言葉をうまく話せないことが分かったため、「食べ物」「飲み物」「日用品」等、徐々に的を絞って確認していったところ、Dさんの欲しいものが判明し購入することができました。 7 高次脳機能障害 交通事故や脳血管障害などの病気により、脳にダメージを受けることで認知や行動に生じる障害。身体的には障害が残らないことも多く、外見では分かりにくいため「見えない障害」とも言われている。 主な特性 以下の症状が見られる場合がある 77ページ 記憶障害 すぐに忘れてしまったり、新しい出来事を覚えることが苦手なため、何度も同じことを繰り返したり質問したりする 注意障害 集中力が続かなかったり、ぼんやりしてしまい、何かをするとミスが多く見られる 二つのことを同時にしようとすると混乱する 主に左側で、残してある食べ物に気が付かなかったり、障害物に気が付かないことがある 遂行機能障害 自分で計画を立てて物事を実行したり、効率よく順序立てられない 社会的行動障害 ささいなことでイライラしてしまい、興奮しやすい こだわりが強く表れたり、欲しいものを我慢できない 思いどおりにならないと大声を出したり、時に暴力をふるったりする 病識欠如 上記のような症状があることに気付かず、できるつもりで行動してトラブルになる 失語症(失語症の詳細は、75ページ参照)を伴う場合がある 片麻痺や運動失調等の運動障害や眼や耳の損傷による感覚障害を伴う場合がある 主な対応 本障害に詳しい専門家などにサポートのコツを聞く 記憶障害 手がかりがあると思い出せるので、手帳やメモ、アラームを利用したり、ルートマップを持ち歩いている方も多いので、必要に応じて確認する 自分でメモを取ってもらい、双方で確認する 残存する受傷前の知識や経験を活用する(例えば、過去に記憶している自宅付近では迷わず行動できるなど) 注意障害 こまめに休憩が取れるよう配慮する 一つずつ順番にやる 左側に危険なものを置かない 遂行機能障害 手順書を利用する 78ページ 段取りを決めて目につく所に掲示する スケジュール表を見ながら行動したり、チェックリストで確認する 社会的行動障害 感情をコントロールできない状態にあるときは、上手に話題や場所を変えてクールダウンを図る あらかじめ行動のルールを決めておく8内部障害 主な特性 心臓機能、呼吸器機能、腎臓機能、膀胱・直腸機能、小腸機能、肝機能、HIVによる免疫機能のいずれかの障害により日常生活に支障がある 常に医療的対応を必要とすることが多い 外見からは、障害があることが分かりにくい方もいる 疲れやすいため、長時間の立ち姿勢、速く歩くこと、負荷を伴う歩行や作業が困難な場合がある 主な対応 ペースメーカーは外部からの電気や磁力に影響を受ける可能性があることに注意する 排泄に関し、人工肛門(ストマ)の場合、パウチ洗浄等の設備が必要となることに配慮する 人工透析が必要な方については、通院に配慮する 好事例 6 メモを活用して行き違いを防止(高次脳機能障害) 高次脳機能障害のあるEさんに、「先ほど伝えたことを忘れて勝手な行動をしている」と注意したところ、「聞いていなかった、知らない」と逆に怒り出してしまいました。 Eさんは普段、難しい言葉を使ったり、以前のことをよく覚えている方なので、高次脳機能障害の特性を知らない周囲の人は、Eさんはいい加減な人だと腹を立てて、人間関係が悪化してしまいました。 結果 高次脳機能障害のある方は、受傷前の知識や経験を覚えている場合が多いが、直近のことを忘れてしまいがちであるという説明を受け、周囲の人は、障害の特性であることを理解することができました。 また、口頭で伝えたことは言った、言わないとトラブルのもとになりやすいので、メモに書いてもらい、双方で確認するようにしたら、トラブルが起きなくなりました。 79ページ 呼吸器機能障害のある方は、慢性的な呼吸困難、息切れ、咳等の症状があることを理解し、息苦しくならないよう、楽な姿勢でゆっくり話をしてもらうよう配慮する 常時酸素吸入が必要な方は、携帯用酸素ボンベが必要な場合があることを理解する 好事例 7 人工肛門等を造設した方(オストメイト)への配慮(内部障害) 病気のため、人工肛門(ストマ)を活用することになったFさん。これまで外出先のトイレにおいてストマの処理を適切に行うことに困難を感じていました。 結果 最近では、旅館や公衆浴場でもオストメイト用の水洗設備のあるトイレが設置されてきており、トイレを安心して利用することができるようになりました。 コラム  オストメイト用設備の例  説明がイラストになっています。  イラストの説明  鏡(全身を鏡で確認できることが望ましい)  ハンドシャワー型水栓  ペーパーホルダー  汚物流し洗浄ボタン  手荷物置き台(カウンター)(利用者の身長に合わせて汚物流しの高さが変えられると使いやすい)  汚物流し(オストメイト用)(着替え(上足用)台(又はマット)があると着替えやすい)  イラストの説明終わり 80ページ 9 重症心身障害・その他医療的ケアが必要な障害者 主な特性 自分で体を動かすことが困難な重度の肢体不自由と、年齢に相応した知的発達が見られない重度の知的障害が重複している場合がある てんかんを有している人もいる ほとんど寝たままで自力では起き上がれない状態が多く、長時間座っていることが困難な場合もある 身体機能に合わせた特殊型車いすやストレッチャー型車いすを使用している。 医療機器や酸素ボンベ等を載せて移動する人もいる 移動、寝返り、着替え、洗面、トイレ、入浴など、日常の様々な場面で介助者による援助や全面的な介助が必要(オムツを使用していることが多い) 自力で食事をすることが困難なため、スプーンなどでの介助が必要 誤嚥を起こしやすいため、通常の食事が摂れない場合には、食事の形態を変えるなど特別な配慮が必要 食事を経口で摂れず、鼻に留置した管や胃ろう等から、児童に対しては医療用ミルク、成人の場合は半消化態栄養剤やミキサー食を注入する方もいる 常に医学的な管理を必要とし、人工呼吸器を使用する場合や、胃ろう等からの栄養注入や喀痰吸引など医療的ケアが必要な方もいる 言葉でのコミュニケーションなどで意思疎通が困難な方が多いが、支援機器を使えばコミュニケーションできる方や、非言語コミュニケーションが可能な方もいる 弱視・色覚異常や難聴等を併発している場合が多く、それらの障害への配慮は視覚障害者や聴覚障害者への配慮に準ずる 体の筋緊張が異常に強い方や逆に弱い方、また不随意運動等がある方もいる 歩行など骨の強度を高める体重負荷のかかる活動がないことや、抗てんかん薬などの影響で骨の強度が低く骨折しやすい 主な対応 人工呼吸器などを装着して大型の車いす、ストレッチャー型車いすで移動する方もいるため、電車やエレベーター等の乗降で人手が必要なときは、介助者に何を手伝えばよいか聞くなどして、対応可能な配慮をする 医療的ケアや体温調整など医学的管理が常時必要な人や、音や光への過敏がある人が多い。本人または介助者と対話し、対応可能な配慮をする 81ページ 医療的ケアの内容によっては、プライバシーへの配慮が必要 医療機器、器具の取り扱いには、衛生面での配慮が必要なことに留意する 好事例8 ちょっとした配慮で家族と一緒に外出(重症心身障害) 外食の際に、食事形態を整えるために持参した電源を要する器具を使用したいと思いました。 結果 お店の方に伝えたら、電源を快く使わせてもらえました。 胃ろうなどから注入をする場合でも、お店の方たちに温かい対応をしてもらい、家族と一緒に外出しやすくなりました。 外出先のトイレに、介助用ベッド(※下記参照)がありませんでした。 結果 お店の方に伝えたら、別室に案内してもらい、おむつ交換をすることができました。 ・旅行に行くときは、ペースト食を持って行きますが、家族や同行者と同じ食事をすることを願っていました。 結果 事前に旅先の宿泊施設に食形態を伝えたところ、食形態に合わせた料理を提供してくれたので、家族や同行者と同じメニューで食事を楽しむことができました。  折り畳み式ベッドのイラストがあります。 10 知的障害 主な特性 おおむね18歳頃までの心身の発達期に現れた知的機能の障害により、生活上の適応に困難が生じる 考える、理解する、読む、書く、計算する、話す等の知的な機能に発達の遅れが生じる 82ページ 理解できても、話す・書くといった表現が苦手な方もいる 金銭管理、会話、買い物、家事などの社会生活への適応について状態に応じた援助が必要 主な原因として、ダウン症候群などの染色体異常、又は先天性代謝異常によるものや、脳症や外傷性脳損傷などの脳の疾患があるが、原因が特定できない場合も多い てんかんを合併する場合もある ダウン症候群の場合の特性として、筋肉の低緊張、知的な発達の遅れがみられることが多い、心臓に疾患を伴う場合があることがあげられる 第三者の提案に対し、ノーが言えないため、意思決定の支援が必要なタイプがときどき見られる 主な対応 言葉による説明などを理解しにくいため、ゆっくり、丁寧に、分かりやすく話す 本人の返事をじっくり待つ 文書について、平易な文章やわかりやすい表現に心がけるとともに、漢字を少なくしてルビを振るなどの配慮を行う 人によってニーズが違うので、写真、絵、ピクトグラム(絵文字)などを使い、本人が分かりやすい方法で情報提供を行う 説明が分からないときに提示するカードを用意したり、本人をよく知る支援者が同席するなど、理解しやすくなる環境を工夫する 本人意思の確認は慎重に行う。矛盾する提案にもイエスと言っていないかを確かめたり、イエスが本人の真の意思なのかを本人をよく知る支援者や保護者の力を借りて確認する 好事例9 飲食店のメニュー選び(知的障害) 外食をしようとしたGさんは、飲食店等で料理を選ぶことが苦手でした。 メニューが字だけで書かれている場合、内容を把握することがなかなか難しいからです。 結果 Gさんが利用した飲食店では、ほとんどのメニューに写真が活用されており、また、店員が分かりやすく説明をしてくれたため、好きな料理を選ぶことができました。 83ページ 11 発達障害 自閉スペクトラム症 主な特性 言葉や、言葉以外の表情、視線、身振りなどから相手の考えていることを読み取ったり、自分の考えを相手に分かるように伝えることが不得手である 興味や関心が限定的だったり、こだわりや自分だけのルールがあったりする 見通しの立たない状況や、急な予定の変更などでは不安になりやすい 不安が強いとかんしゃくやパニックを起こすことがある 大勢の人がいる所や気温の変化、部屋の明るさ、照明器具の光や匂い等の感覚刺激への敏感さで苦労している一方で、ケガや痛みに気づかないなど感覚鈍麻の人もいる 絶対音階があったり、驚異的な記憶力があったり、独特な認知・感覚が才能やスキルにつながる場合もある 自閉スペクトラム症の方の中には、独自のこだわりがある方や、知的障害を伴う方もいる 知的障害を伴わない自閉スペクトラム症は、障害年金や障害者手帳等では精神障害に分類されることを認識しておく 主な対応 肯定的、具体的、視覚的な伝え方を工夫する(「○○をしましょう」とシンプルに伝える、その人の興味関心に沿った内容や図・イラストなどを使って説明するなど) 精神論では理不尽に感じやすいので、本人が納得しやすい論理で説明する スモールステップによる支援を行う(手順を示す、モデルを見せる、体験練習をする、新しく挑戦する部分は少しずつ行うなど) 感覚過敏がある場合は、音や肌触り、室温など感覚面の調整を行う(イヤーマフやヘッドフォンなどの活用を認める、大声で説明せずホワイトボードで内容を伝える、落ち着いて過ごせるように居場所を衝立などで区切る、クーラー等の設備のある部屋を利用できるように配慮するなど) 本人の返答や返事をじっくり待ち、焦らないで話ができるようにする パニックを起こした場合は、危険を防ぎ、静かで物が少ない部屋に誘導し、落ち着くまで見守る 本人をよく知る専門家や家族にサポートのコツを聞く 84ページ 好事例10 個別の対応で理解が容易に(自閉スペクトラム症) Hさんは、利用者全体に向けた説明を聞いても、理解できないことがしばしばある方です。 そのため、ルールや変更事項等が伝わらないことでトラブルになってしまうことも多々ありました。 結果 そこで、Hさんには、全体での説明の他に個別に時間を取り、正面に座り、文字やイラストにして直接伝えるようにしたところ、様々な説明が理解できるようになりました。 そして、自分が理解されている安心感をHさんが抱くようになり、Hさんと事業所の相互理解も進み、トラブルが減るようになりました。 学習障害(限局性学習障害) 主な特性 全般的に知的な遅れはないにもかかわらず、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」など、学習に必要な特定のことが極端に苦手な状態 読み書きが苦手な人、計算だけができない人など、人によってあらわれ方が異なる 苦手なこと以外の能力には問題がなく、すぐれた学力をもっている場合もある 主な対応 得意な部分を使って情報アクセスし、表現できるようにする(ICTを活用する際は、文字を大きくしたり行間を空けるなど、読みやすくなるように工夫する) 苦手な部分について、課題の量・質を適切に加減する、柔軟な評価をする ストレスケアを行う(傷つき体験への寄り添い、適応行動ができたことへのこまめな評価) 本人をよく知る専門家や家族にサポートのコツを聞く 85ページ 好事例11 苦手なことに対しては、事前のサポート(発達障害) 発達障害のあるIさんは文字の読み書きが苦手であり、様々な手続の際、書類の記入欄を間違えたり、誤字を書いてしまったりして、何回も書き直さなければなりませんでした。 結果 そこで、Iさんの相談を受けている職員は、「記入箇所に鉛筆で丸をつけたり付箋を貼って示す」「書類のモデルを作成して示す」「本人の了解のもとに職員が鉛筆で下書きする」などを試したところ、書類作成を失敗する回数が少なくなりました。 注意欠如・多動性障害 主な特性 注意を持続させることが困難で、忘れ物や単純ミスを生じやすい 落ち着きがない、待てないなど、行動の抑制に困難を抱えている 順序立てて行動することが苦手で、目の前の刺激に反応しやすい 衝動性をいかして、エネルギッシュに次々と新しいことに挑戦していくタイプもいる 主な対応 厳しい叱責や脅しは効果がないばかりか、本人の自尊心を下げる悪循環を招きやすいため、短く、はっきりとした言い方で伝える メモを渡す、リマインドを入れるなどうっかりミスを防ぐ工夫を行う 気の散りにくい座席の位置の工夫、分かりやすいルール提示などの配慮を行う 本人をよく知る専門家や家族にサポートのコツを聞く その他の発達障害 主な特性 運動や体を動かすことが苦手だったり手先が不器用だったりする発達運動性協調障害、我慢していても声が出たり、体が動いてしまったりするチックやトゥレット症候群、一般的に吃音といわれるような話し方なども、発達障害に含まれる 主な対応 叱ったり、拒否的な態度を取ったり、笑ったり、ひやかしたりしない 86ページ 日常的な行動の一つとして受け止め、時間をかけて待つ、苦手なことに無理に取り組まず、できることで活躍する環境を作るなど、楽に過ごせる方法を一緒に考える 本人をよく知る専門家や家族にサポートのコツを聞く 12 精神障害 主な特性 精神障害の原因となる精神疾患は様々であり、原因となる精神疾患によって、その障害特性や制限の度合いは異なる 精神疾患には、いくつもの種類があり、その中には、長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態が続くものがある 代表的な精神疾患として、統合失調症や気分障害等がある 障害の特性も様々であるため、積極的に医療機関と連携を図ったり、専門家の意見を聴くなど関係機関と協力しながら対応する 統合失調症の場合 主な特性 発症の原因はよく分かっていないが、100人に1人弱の割合で発症する、比較的一般的な病気である 「幻覚」や「妄想」が特徴的な症状だが、その他にも様々な生活のしづらさが障害として表れることが知られている 陽性症状 幻覚 実態がなく他人には認識できないが、本人には感じ取れる感覚のこととりわけ、自分の悪口やうわさ、指図する声等が聞こえる幻聴が多い 妄想 明らかに誤った内容を信じてしまい、周りが訂正しようとしても受け入れられない考えのこと誰かに嫌がらせをされているという被害妄想、周囲のことが何でも自分に関係しているように思える関係妄想など 陰性症状意欲が低下し、以前からの趣味や楽しみにしていたことに興味を示さなくなる疲れやすく集中力を持続できず、人づきあいを避け引きこもりがちになる入浴や着替えなど清潔を保つことが苦手となる等 認知や行動の障害考えがまとまりにくく何が言いたいのか分からなくなる相手の話の内容がつかめず、周囲にうまく合わせることができない等 87ページ 主な対応 薬物療法が主な治療となるため、内服を続けるために配慮する ストレスや環境の変化に弱いことを理解し、配慮した対応を心がける 一度に多くの情報が入ると混乱するので、伝える情報は紙に書くなどして整理してゆっくり具体的に伝えることを心がける 症状が強い時には無理をさせず、しっかりと休養をとったり、速やかに主治医を受診することなどを促す 気分障害の場合 主な特性 気分の波が主な症状として見られる病気で、うつ状態のみを認める時はうつ病と呼び、うつ状態と躁状態を繰り返す場合には、双極性障害(躁うつ病)と呼ぶ うつ状態では気持ちが強く落ち込み、何事にもやる気が出ない、疲れやすい、考えが働かない、自分が価値のない人間のように思える、死ぬこと ばかり考えてしまい実行に移そうとするなどの症状が出る 躁状態では気持ちが過剰に高揚し、普段ならあり得ないような浪費をしたり、ほとんど眠らずに働き続けたりするその一方で、ちょっとした事にも敏感に反応し、他人に対して怒りっぽくなったり、自分は何でもできると思い込んで人の話を聞かなくなったりする 主な対応 薬物療法が主な治療となるため、内服を続けるために配慮する うつ状態の時は無理をさせず、しっかりと休養をとれるよう配慮する 躁状態の時は、金銭の管理、安全の管理などに気を付け、対応が難しい時には専門家に相談する 自分を傷つけてしまったり、自殺に至ることもあるため、自殺などをうかがわせるような言動があった場合には、本人の安全を確保した上で、速やかに専門家に相談するよう本人や家族等に促す アルコール依存症の場合 主な特性 飲酒したいという強い欲求をコントロールできず、過剰に飲酒したり、昼夜問わず飲酒したりすることで身体的、社会生活上の様々な問題が生じる 88ページ 体がアルコールに慣れることで、アルコールが体から抜けると、発汗、頻脈、手の震え、不安、イライラなどの離脱症状が出る 一念発起して断酒しようとしても、離脱症状の不快感や、日常生活での不安感から逃れるために、また飲んでしまう 主な対応 アルコール依存症は治療を必要とする病気であるということを理解する 周囲の対応が、結果的に本人の飲酒につながってしまう可能性があることに留意する 一度断酒しても、再度飲酒してしまうことが多いため、根気強く本人を見守る<てんかんの場合> 主な特性 何らかの原因で、一時的に脳の一部が過剰に興奮することにより、発作が起きる 発作には、けいれんを伴うもの、突然意識を失うもの、意識はあるが認知の変化を伴うものなど、様々なタイプのものがある 主な対応 誰もがかかる可能性がある病気であり、専門家の指導のもとに内服治療を行うことで、多くの方が一般的な生活を送れることを理解する 発作が起こっていないほとんどの時間は普通の生活が可能なので、発作がコントロールされている場合は、過剰に活動を制限しない 薬の内服を適切に続けられるように配慮する 発作が起こってしまった場合には、本人の安全を確保した上で専門機関に相談する 認知症の場合 主な特性 認知症とは、単一の病名ではなく、種々の原因となる疾患により記憶障害など認知機能が低下し、生活に支障が出ている状態である 原因となる主な疾患として、アルツハイマー病、脳血管障害、レビー小体病、前頭側頭変性症(ピック病など)がある 認知機能の障害の他に、行動・心理症状(BPSD)と呼ばれる症状(徘徊、不穏、興奮、幻覚、妄想など)がある 89ページ 主な対応 早期に気付いて適切に対応していくことができるよう、小さな異変を感じたときに速やかに適切な機関に相談できるようにする 行動・心理症状(BPSD)には、何らかの意味があり、その人からのメッセージとして聴くことが重要であり、BPSDの要因として、様々な身体症状、孤立・不安、不適切な環境・ケア、睡眠や生活リズムの乱れなどにも目を向ける 症状が変化した等の場合には、速やかに主治医を受診し、必要に応じて専門機関に相談することなどを促す薬が効くまでの時間をもらえると(精神障害) 好事例12 薬が効くまでの時間をもらえると(精神障害) Jさんは、精神障害当事者としての経験を生かして、福祉サービス事業所でピアサポーター(※)として活動しています。 しかし、月に一度位は幻聴が出ることがあり、Jさんは活動に支障が出ることをとても心配していました。 ※ ピアサポーターとは、同じ症状や悩みをもち、同じような立場にある仲間を、英語で「ピア」と言い、体験を語り合い、回復を目指す取組(=「ピアサポート」)を行う人を指します。 結果 職員に相談すると、「普段はどうしているのですか?」と質問され、Jさんは「頓服薬を飲んで1時間位静養すると治まってくる」と説明しました。 すると、「自分なりの対処方法があるのはよいことですよ」「症状があっても、工夫をしながら活動を続けることが大切です」「他の利用者の励みになるのだから気にする必要はありません」と言われ、幻聴が出た時は、頓服が効くまで静養できることになりました。 その後、Jさんは、ピアサポーターとして自信を持ちながら、安心して活動を続けています。 13 難病 主な特性 「難病」とは、神経筋疾病、骨関節疾病、感覚器疾病など様々な疾病により多彩な障害を生じるもの 主なものとして、血液系、免疫系、内分泌系、代謝系、神経・筋、視覚系、感覚系、循環器系、呼吸器系、消化器系、皮膚・結合組織系、骨・関節系、腎・泌尿器系等、多種多様で、病気の状態や症状は個人差があり、重篤で全面介助の生活を送っている方もいれば、ほとんど問題なく日常生活を送っている方まで様々である 90ページ 「障害」が固定せず、進行したり、体調や服薬の状況によって変動したりすることもある 外見からでは障害があることが分かりにくい方もいるなど、必要な配慮についても個々のケースによって大きく異なる 常に医療的対応を必要とすることが多い 病態や障害が進行する場合が多い 難病のうち、医療の確保の必要性が高いもので一定の要件を満たすものは、指定難病として医療費助成の対象で、その数は、令和6年4月1日現在341疾病であり、今後も指定難病は追加される可能性がある 主な対応 それぞれ病気による症状や状態により特性が異なるため、その特性に合わせた対応をする 例 「疲れやすい」という特徴のある方には、柔軟に休憩をとれるようにする(外見からでは病気が分かりづらい方などは、休憩をとっているのではなくさぼっていると誤解されてしまうこともよくある) 体調がよくない時に休憩できる場所を用意する 疾患により、トイレに頻繁に行く・暑さ寒さに気をつけることに留意する 状態の変動などに留意する 外見に目立つ症状がある疾患などは、難病に対する知識の不足から、うつる病気と誤解されることがあるが、難病は伝染病ではないため、誤解や偏見を招かないよう配慮する 多くの疾患では定期的な通院が不可欠であり、定期的な通院をすることで、入院や長期の休みなどを予防することができるため、通院に配慮する 好事例13 色素性乾皮症(XP)児の保育所における対応(難病) 遮光対策が必要な疾病である色素性乾皮症患児のKちゃんは、紫外線対策がなされていない保育所に入所することは困難です。 結果 入所を希望する保育所と話し合った結果、UVカットシートを保育室等の窓ガラスに貼り、紫外線を遮断するために窓は常時閉鎖してエアコンを取り付ける対応をしてもらうことになりました。 そのほか、保育所側に日光に当たってしまった際の対応策などを十分把握してもらった上で、他の保育園児・保護者への説明も十分行い、疾病に対する理解を得ることで、安心して保育所に通うことができるようになりました。 91ページ 14 強度行動障害 主な特性 自分の体を叩いたり食べられないものを口に入れる、危険につながる飛び出しなど本人の健康を損ねる行動、他人を叩いたり物を壊す、大泣きが何時間も続くなど周囲の人の暮らしに影響を及ぼす行動が、著しく高い頻度で起こるため、特別に配慮された支援が必要になっている状態のこと 行動障害は、本人が生まれ持っている「生きづらさ」があり、適切な支援や分かりやすい環境が提供されない中で起こる 主な対応 強度行動障害は、本人が困っているサインだと捉えて、周りの人たちが特性や周囲の環境などをきちんと把握し、行動の原因を探っていくことが大切で、それぞれに合った支援を見つけることが必要となる 施設等において適切な支援を行うことにより、他害行為などの危険を伴う行動の回数が減少するなどの支援の有効性も報告されており、強度行動障害に関する体系的な研修が必要とされている 92ページ コラム  ヘルプマーク ヘルプマーク 義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、妊娠初期の方など、外見からは分からなくても援助や配慮を必要としている方々が、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせるためのマークです。 ヘルプマークを身に着けた方を見かけたら、電車・バス内で席をゆずる、困っているようであれば声をかける等、思いやりのある行動をお願いします。 電車・バスの中で、席をお譲りください。 外見では健康に見えても、疲れやすかったり、つり革につかまり続けるなどの同じ姿勢を保つことが困難な方がいます。 また、外見からは分からないため、優先席に座っていると不審な目で見られ、ストレスを受けることがあります。 駅や商業施設等で、声をかけるなどの配慮をお願いします。 交通機関の事故等、突発的な出来事に対して臨機応変に対応することが困難な方や、立ち上がる、歩く、階段の昇降などの動作が困難な方がいます。 災害時は、安全に避難するための支援をお願いします。 視覚障害者や聴覚障害者等の状況把握が難しい方、肢体不自由者等の自力での迅速な避難が困難な方がいます。  ヘルプマークのイラストがあります。ヘルプマークは、縦に長い長方形で、赤い下地に、上に白いプラスマーク、下に白いハートマークが描かれています。  ヘルプマークをかばんにつけているイラストがあります。 93ページ コラム  ヘルプカード ヘルプカード 障害のある方等が普段から携帯しておくことで、緊急時や災害時、困った際に、自己の障害等への理解や支援を得やすくするためのカードです。 ※ ヘルプカードの活用場面 災害が発生したとき 災害に伴う避難生活が必要なとき 道に迷ってしまったとき パニックや発作、病気のとき ちょっとした手助けが必要なときなど ヘルプカードには、緊急連絡先や必要な支援内容等が記載されています。 記載内容に沿った支援をお願いします。  ヘルプカードのイラストがあります。  イラストの説明  表面  京都標準様式  横に長い長方形のカードに、「あなたの支援が必要です」「ヘルプカード」と記載されています。右側にはヘルプマークが描かれています。  裏面  参考様式  次のようなことがかかれています。  「下記に連絡してください。  私の名前  (ア)連絡先の電話  連絡先名(会社・機関等の場合)  呼んでほしい人の名前  (イ)連絡先の電話  連絡先名(会社・機関等の場合)  呼んでほしい人の名前」  イラストの説明終わり 94ページ コラム  障害者に関するマーク 障害者のための国際シンボルマーク 障害者が利用できる建物、施設であることを明確に表すための世界共通のシンボルマーク 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会(https://www.jsrpd.jp/)  車いすに乗った人が描かれているマークです。 盲人のための国際シンボルマーク 世界盲人連合で1984年に制定された盲人のための共通マーク 社会福祉法人日本盲人福祉委員会(https://ncwbj.or.jp/)  白杖をついて歩く人が描かれたマークです。 身体障害者標識(身体障害者マーク) 肢体不自由であることを理由に免許に条件を付されている方が運転する車に表示するマーク 警視庁 https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/mark/mark.html  四つ葉が描かれているマークです。 聴覚障害者標識(聴覚障害者マーク) 聴覚障害であることを理由に免許に条件を付されている方が運転する車に表示するマーク 警視庁 https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/mark/mark.html  ちょうちょに見えるように並べられた耳が描かれたマークです。 耳マーク 聞こえが不自由なことを表すと同時に、聞こえない人・聞こえにくい人への配慮を表すマーク 社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会(https://www.zennancho.or.jp/)  上向きの矢印が描かれたマークです。 手話マーク 手話を必要としている人のためのマーク 一般財団法人全日本ろうあ連盟(https://www.jfd.or.jp/)  両手で手話をする様子が描かれたマークです。 筆談マーク 筆談を必要としている人のためのマーク 一般財団法人全日本ろうあ連盟(https://www.jfd.or.jp/)  2人で筆談をして会話している様子が描かれたマークです。 オストメイトマーク 人工肛門・人工膀胱を造設している人(オストメイト)である事と、オストメイトのための設備があることを表すマーク 公益社団法人日本オストミー協会(http://www.joa-net.org/)  人の上半身にプラスマークが描かれたマークです。 ハート・プラスマーク 身体内部に障害がある人を表すマーク 特定非営利活動法人ハート・プラスの会(https://www.normanet.ne.jp/~h-plus/)  人の上半身にプラスマークとハートマークが描かれたマークです。 「白杖SOSシグナル」普及啓発シンボルマーク 白杖を掲げたSOSのシグナルを見かけたら、声をかけて支援しようという運動の普及啓発シンボルマーク 岐阜市福祉部福祉事務所障がい福祉課(https://www.city.gifu.lg.jp/kenko/syougaisyafukushi/1004678/1004681.html)  白杖を両手で持ち、前で少し持ち上げている様子が描かれたマークです。 ※ 補助犬マークについては55ページ、ヘルプマークについては92ページをご覧ください。 95ページ 第6 相談体制の整備等 1 相談体制の整備について 行政機関等においては、それぞれの事業を所管する部署が、都民からの相談に的確に応じられるようにすることが大切です。 事業者による差別については、まず当該事業者において対応することとなります。 事業者においては、下記ポイントを検討していくことが必要です。 既存の苦情解決体制や相談窓口を活用すること。 新たにお客様窓口等の相談窓口等を設置したりする際には、ホームページ等を活用し、相談窓口等に関する情報の周知を図り、利用しやすいものとするよう努めること。 対面のほか、電話、ファックス、電子メール等の多様な手段を用意しておくこと。なお、相談等に対応する際には、障害者の性別・年齢・状態等に配慮が必要です。また、実際の相談事例は、相談者のプライバシーに配慮しつつ順次蓄積し、以後の合理的配慮の提供等に活用することが望まれます。 東京都や区市町村における事業所の指導監督権限を有する部署では、事業者に対して、対応指針に係る十分な情報提供を行うとともに、都民や事業者からの照会・相談に丁寧に対応するなどの取組を積極的に行いましょう。 東京都の職員による差別の相談については、東京都の各局等において相談窓口を定め、東京都福祉局のホームページ内で公開しています。 また、都内区市町村の障害者差別解消法所管一覧も掲載しています。 東京都福祉局 の中の 障害者 の中の 障害者施策 の中の 障害者差別解消と権利擁護 の中の 障害を理由とする差別に関する相談窓口 のページです。 東京都職員による差別の相談(各局等の相談窓口) https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/shougai/shougai_shisaku/sabetsukaisho_yougo/soudanmadoguchi/kakkyoku.html 都内区市町村の障害者差別解消法に関する相談窓口 https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/shougai/shougai_shisaku/sabetsukaisho_yougo/soudanmadoguchi/kushichouson.html 96ページ 障害者差別に関するご相談、障害者差別解消法及び都条例の内容や運用については、下記窓口にご相談・お問い合わせください。 東京都障害者権利擁護センター (対応時間:平日午前9時から午後5時まで) 電話  03-5320-4223 ファックス  03-5388-1413 メール syougaisyakenriyougo@section.metro.tokyo.jp 相談受付フォーム https://logoform.jp/form/tmgform/928203 97ページ コラム  「障害者差別解消支援地域協議会」とは 障害を理由とする差別に関する相談や紛争の防止、解決の取組を進めるため、国や地方公共団体の機関が、それぞれの地域で障害者差別解消支援地域協議会を組織できることとなっています。 協議会が組織され、関係する機関などのネットワークが構成されることによって、いわゆる「制度の谷間」や「たらい回し」が生じることなく、地域全体として、差別の解消に向けた主体的な取組が行われることが目的とされています。 東京都においては、障害者差別解消法の施行後、本協議会を設置し、都条例の制定に向けて検討を行ってきました。 今後も、関係機関等が対応した相談事例の共有や、啓発などについての協議を行い、障害を理由とする差別の解消に取り組んでいきます。 参考 福祉局ホームページ https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/shougai/shougai_shisaku/tiikikyougikai  図 組織イメージ図  図の説明  障害者差別解消支援地域協議会の構成員は、  構成機関の相談窓口(行政(国)、行政(地方)、民間事業者、NPO法人等)  当事者  学識経験者  相談又は相談事例を共有したり、取組等について協議します。  図の説明終わり 98ページ 2 参考情報 障害特性の理解 障害特性に応じた配慮事項等を知るには、例えば、以下のようなホームページがあります。 ・ハートシティ東京(東京都福祉局障害者施策推進部) https://www.fukushi1.metro.tokyo.lg.jp/tokyoheart/index.html ・公共サービス窓口における配慮マニュアル-障害のある方に対する心の 身だしなみ-(内閣府) https://www8.cao.go.jp/shougai/manual.html ・障害の種類と必要な就労支援機器の紹介(独立行政法人高齢・障害・ 求職者雇用支援機構) https://www.kiki.jeed.go.jp/inf/u0400.html 「合理的配慮等具体例データ集合理的配慮サーチ」(内閣府) https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/jirei/index.html 国等職員対応要領・事業者向け対応指針 国では、府省庁ごとに職員向け対応要領と事業者向け対応指針を作成しています。 各府省庁の対応要領・対応指針は、内閣府ホームページから確認できます。 ・対応要領 https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/taioyoryo.html ・対応指針 https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/taioshishin.html 障害者差別解消法全般について 法律全般に関する内容等について、詳しくは内閣府のホームページを参照してください。 https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai.html 内閣府ホーム の中の 内閣府の政策 の中の 共生・共助トップ の中の 障害者施策 の中の もっと詳しく の中の 基本的枠組み の中の 障害を理由とする差別の解消の推進 のページです。 99ページ 東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例 目次 前文 第一章 総則(第一条―第六条) 第二章 障害を理由とする差別に関する相談及び紛争の防止又は解決のための体制等 第一節 障害を理由とする差別の禁止(第七条) 第二節 障害を理由とする差別に関する相談体制(第八条) 第三節 障害を理由とする差別に関する紛争の防止又は解決のための体制(第九条―第十三条) 第四節 調整委員会(第十四条) 第三章 共生社会実現のための基本的施策(第十五条―第十八条) 第四章 雑則(第十九条・第二十条) 附則 平成十八年、国際連合において、全ての障害者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有を促進し、保護し、及び確保すること並びに障害者の固有の尊厳の尊重を促進することを目的として、障害者の権利に関する条約が採択された。 その後、我が国は、条約の締結に向けて、障害者基本法の改正、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の制定等、国内法の整備を進め、平成二十六年、障害者の権利に関する条約を締結した。 しかしながら、今なお、障害及び障害者への誤解や偏見その他理解の不足により、障害者は、日常生活や社会生活の様々な場面において、障害を理由とする不当な差別的取扱いを受け、自立や社会参加が妨げられている。 中でも、障害のある女性は、障害を理由とする差別と性に基づく差別という二重の差別を受ける場合がある。 これら障害者が日常生活や社会生活で受ける差別や制限は、心身の機能の障害のみならず、社会における様々な障壁によって作り出されているのであって、障壁を取り除くことは社会全体の責任である。 多様性こそが都市としての発展の原動力であるとの認識の下、東京都は、障害及び障害者への都民の理解を深めるとともに、障害を理由とする不当な差別的取扱いを無くし、建設的な対話と合理的配慮の提供を通じ、社会的障壁の除去の取組を進めていかなければならない。 ここに、障害者の権利に関する条約、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律等の理念の下、東京に暮らし、東京を訪れる全ての人が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指し、この条例を制定する。 100ページ 第一章 総則 (目的) 第一条 この条例は、障害を理由とする差別の解消の推進に関し、基本理念を定め、東京都(以下「都」という。)、都民及び事業者の責務を明らかにするとともに、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成二十五年法律第六十五号。以下「法」という。)第十四条に規定する相談及び紛争の防止又は解決のための体制の整備(以下「体制整備」という。)並びに法第十五条に規定する啓発活動(以下「啓発活動」という。)の実施に関し必要な事項等を定めることにより、障害を理由とする差別を解消し、もって共生社会の実現に寄与することを目的とする。 (定義) 第二条 この条例において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 一 障害者身体障害、知的障害、発達障害を含む精神障害、難病その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。 二 事業者法第二条第七号に規定する事業者のうち、都の区域内において商業その他の事業を行う者をいう。 三 社会的障壁法第二条第二号に規定する、障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。 四 共生社会障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会をいう。 五 障害の社会モデル障害者が日常生活又は社会生活において受ける制限は、障害のみに起因するものではなく、社会的障壁と相対することによって生ずるものとする考え方をいう。 (基本理念) 第三条 障害を理由とする差別の解消は、次に掲げる事項を基本理念(以下「基本理念」という。)として推進するものとする。 一 全て都民は、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されること。 二 全て障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されること。 三 全て障害者は、可能な限り、言語(手話等を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されるとともに、情報の取得又は利用のための手段についての選択の機会の拡大が図られること。 四 全て障害者は、障害のある女性が障害及び性別による複合的な原因により特に困難な状況に置かれる場合等、その性別、年齢等による複合的な原因により特に困難な状況に置かれる場合においては、その状況に応じた適切な配慮がなされること。 五 障害を理由とする差別の解消は、障害及び障害者に対する誤解、偏見その他理解の不足の解消が重要であることに鑑み、多様な人々により地域社会が構成されているという基本認識の下に、全ての都民が相互理解を進め、障害、障害者及び障害の社会モデルに関する理解を深めることを基本として推進すること。 101ページ (都の責務) 第四条 都は、基本理念にのっとり、障害を理由とする差別を解消するため、必要な体制整備を図るものとする。 2 都は、基本理念にのっとり、障害、障害者及び障害の社会モデルについて、都民及び事業者の関心と理解を深め、適切に行動するために必要な啓発活動を行うものとする。 (都民及び事業者の責務) 第五条 都民及び事業者は、基本理念にのっとり、障害、障害者及び障害の社会モデルについて自ら積極的に関心と理解を深めるとともに、都が実施する障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。 (区市町村との連携) 第六条 都は、体制整備及び啓発活動を実施するときは、特別区及び市町村(以下「区市町村」という。)との連携に努めなければならない。 2 都は、区市町村が体制整備及び啓発活動を実施するときは、情報の提供及び技術的助言その他必要な支援を行うよう努めなければならない。 第二章 障害を理由とする差別に関する相談及び紛争の防止又は解決のための体制等 第一節 障害を理由とする差別の禁止 (障害を理由とする差別の禁止) 第七条 都及び事業者は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。 2 都及び事業者は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明(知的障害、発達障害を含む精神障害等により本人による意思の表明が困難な場合には、障害者の家族、介助者等コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明を含む。)があった場合において、当該障害者と建設的な対話を行い、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢、障害の状態等に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。 第二節 障害を理由とする差別に関する相談体制 102ページ (広域支援相談員) 第八条 法第十四条の規定による相談に的確に応ずるため、広域支援相談員を置く。 2 広域支援相談員は、障害を理由とする差別の解消に関する知識及び経験を有する者のうちから、知事が任命する。 3 広域支援相談員は、次に掲げる職務を行う。 一 障害者及びその家族その他関係者並びに事業者からの障害を理由とする差別に関する相談に応じ、区市町村等と連携して、必要な助言、調査、情報の提供及び関係者間の調整を行うこと。 二 区市町村における障害を理由とする差別に関する相談の解決を支援するため、相互の連携を図るとともに、必要な助言、調査、情報の提供及び関係者間の調整を行うこと。 三 障害を理由とする差別に係る相談の情報の収集及び分析を行うこと。 4 広域支援相談員は、前項各号に掲げる職務を公正中立に行わなければならない。 第三 節障害を理由とする差別に関する紛争の防止又は解決のための体制 (あっせんの求め) 第九条 障害者並びにその家族及び後見人その他障害者を現に保護する者は、第七条各項の規定に違反する取扱いを受けたと認める場合で、第八条第三項の規定により相談を行い、当該相談について広域支援相談員が対応してもなおその解決が見込めないときは、知事に対し、紛争の解決のために必要なあっせんを求めることができる(以下「あっせんの求め」という。)。 2 前項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する場合は、あっせんを求めることができない。 一 行政庁の処分又は職員の職務の執行に関する場合であって、他の法令等に基づく不服申立て又は苦情申立て等をすることができるとき。 二 障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号)に規定する障害者に対する差別の禁止に該当するとき。 三 同一の事案について、過去に前項の規定によるあっせんの求めを行ったことがあるとき。 四 障害者の家族及び後見人その他障害者を現に保護する者が前項の規定によるあっせんの求めを行う場合において、当該あっせんの求めが当該障害者の意に反するとき。 (事実の調査) 103ページ 第十条 知事は、前条第一項の規定によるあっせんの求めがあったときは、その職員(広域支援相談員を含む。この条において同じ。)に、当該あっせんの求めがあった事案(以下「紛争事案」という。)に係る事実を調査させるものとする。 2 紛争事案の当事者(前条第一項の規定によるあっせんの求めを行った者及び当該あっせんの求めにおいて第七条各項の規定に違反する取扱いを行ったとされた事業者をいう。以下同じ。)その他関係者(以下「関係者」という。)は、正当な理由がある場合を除き、前項の調査に協力しなければならない。 3 第一項の調査を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。第十一条第五項の規定による調査をする場合も、同様とする。 (あっせん) 第十一条 知事は、前条第一項の調査の結果に基づき、都民への影響が大きい事案であり、紛争事案の解決のために必要があると認められるときは、次項各号に該当する場合を除き、東京都障害を理由とする差別解消のための調整委員会(以下「調整委員会」という。)にあっせんを付託するものとする。 2 調整委員会は、前項の規定によるあっせんの付託があったときは、次に掲げる場合を除き、あっせんを行うものとする。 一 紛争事案について、第九条第一項の規定に基づきあっせんの求めを行った者が、自らあっせんの求めを取り下げる意思を示した場合等、あっせんの必要がないと認めるとき。 二 紛争事案について、法第十四条の規定に基づき国又は他の地方公共団体が現に紛争の防止又は解決を図っている場合等、あっせんを行うことが適当でないと認めるとき。 3 調整委員会は、紛争事案の解決のために必要があると認めるときは、当該紛争事案の当事者及び関係者に対し、必要な調査を行うことができる。 4 第十条第三項前段の規定は、前項の調査について準用する。この場合において、同条第三項中「第一項」とあるのは「第十一条第三項」と、「職員」とあるのは「調整委員会の委員」と読み替えるものとする。 5 調整委員会は、必要があると認めるときは、知事に第三項の調査の全部又は一部を行わせることができる。この場合において、知事は、第十条第一項に規定する職員に当該調査を行わせるものとする。 6 紛争事案の当事者及び関係者は、正当な理由がある場合を除き、第三項の規定による調査(前項の規定により知事がその全部又は一部を行う場合を含む。次条において同じ。)に協力しなければならない。 7 調整委員会は、紛争事案の解決のため必要なあっせん案を作成し、これを紛争事案の当事者に提示するものとする。 104ページ 8 あっせんは、次のいずれかに該当したときは、終了する。 一 あっせんにより紛争事案が解決したとき。 二 あっせんによっては紛争事案の解決の見込みがないと認めるとき。 9 調整委員会は、第二項各号に該当する場合としてあっせんを行わないこととしたとき又は前項の規定によりあっせんを終了したときは、その旨を知事に報告するものとする。 (勧告) 第十二条 調整委員会は、知事に対し、次の各号のいずれかに該当する場合は、事業者に対して、障害を理由とする差別の解消に必要な措置を講ずるよう勧告を求めることができる。 一 前条第二項の規定によりあっせんを行った場合において、当該事業者が、正当な理由なく、あっせん案を受諾せず、又は受諾したあっせん案に従わず、これを放置することが障害を理由とする差別の解消の推進に著しい支障があると認められるとき。 二 当該事業者が、正当な理由なく前条第三項の調査を拒み、妨げ、又は忌避したとき。 三 前条第三項の調査に対し、当該事業者が虚偽の資料を提出し、又は虚偽の説明を行ったとき。 2 知事は、前項の規定による勧告の求めがあった場合において、必要があると認めるときは、当該事業者に対して、障害を理由とする差別の解消に必要な措置を講ずるよう勧告することができる。 (公表) 第十三条 知事は、前条第二項の規定による勧告を受けた事業者が、正当な理由なく当該勧告に従わないときは、その旨を公表することができる。 2 知事は、前項の規定による公表に当たっては、あらかじめ、当該勧告を受けた事業者に対し、公表をしようとする旨を通知し、当該事業者又はその代理人の出席を求め、意見を述べ、証拠を提示する機会を与えなければならない。 3 知事は、第一項の規定による公表に当たっては、あらかじめ、第九条第一項の規定によるあっせんの求めを行った者及び調整委員会の意見を聴くことができる。 第四節 調整委員会 (調整委員会) 第十四条 あっせんの求めがあった事案の解決を図るため、公正中立な調査審議及びあっせんを行う知事の附属機関として、調整委員会を置く。 2 調整委員会は、紛争事案の公正中立な調査審議及びあっせんを行うことができ、障害者の権利擁護について優れた識見を有する者のうちから、知事が任命する十五名以内の委員で組織する。 105ページ 3 委員の任期は二年とし、補欠の委員の任期は、前任者の在任期間とする。ただし、再任を妨げない。 4 委員は、非常勤とする。 5 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。 6 第二項から前項までに定めるもののほか、調整委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、知事が定める。 第三章 共生社会実現のための基本的施策 (情報保障の推進) 第十五条 都は、障害者が円滑に情報を取得し、意思疎通ができるようになることは、障害者だけでなく都民及び事業者にとっても必要であるという認識に基づき、手話、筆談、点字、拡大文字、読み上げ、分かりやすい表現その他障害者が分かりやすく利用しやすい方法(以下「障害者に配慮した方法」という。)による情報の提供が普及するよう必要な施策を講ずるものとする。 2 都は、関係機関と連携し、意思疎通を仲介する者の養成のために必要な施策を講ずるものとする。 3 都は、障害者が都政に関する情報を速やかに得ることができるよう、可能な限り、障害者に配慮した方法によって情報の提供を行うものとする。 (言語としての手話の普及) 第十六条 都は、独自の文法を持つ手話は一つの言語であるという認識に基づき、都民及び事業者において言語としての手話の認識を広げるとともに、手話の利用が普及するよう必要な施策を講ずるものとする。 (教育の推進) 第十七条 都は、障害、障害者及び障害の社会モデルに関する正しい知識を持つための教育が行われるよう、情報の提供その他必要な施策を講ずるものとする。 (事業者による取組の支援) 第十八条 都は、事業者による共生社会の実現に向けた自主的な取組を促進するため、先進事例の収集及び公表その他の情報の提供並びに技術的助言並びに障害者と事業者との連携の促進その他必要な施策を講ずるものとする。 第四章 雑則 (委任) 第十九条 この条例の施行に関し必要な事項は、東京都規則で定める。 (罰則) 第二十条 第十四条第五項の規定に違反して秘密を漏らした者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 106ページ 附則 1 この条例は、平成三十年十月一日から施行する。 2 都は、社会環境の変化及びこの条例の規定の施行の状況その他障害を理由とする差別の解消の推進の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この条例の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。 おわりに 障害者差別解消法及び都条例はどちらも、障害の有無によって分け隔てられることなく、誰もがお互いの個性と人格を尊重し、理解し合うことによって、共生社会を実現することを目指しています。 しかし、社会に存在する障害者に対する差別は、障害者差別解消法や都条例が成立したことで直ちに解消するものではなく、この法律や都条例の内容をきちんと理解し、誰もが暮らしやすい社会をつくるための行動が、皆様一人ひとりに求められています。 そのためには、障害について理解し、障害のある方と対話し、お互いに考え、障害を理由とする権利侵害が起こらないよう、一人ひとりが取り組むことが重要です。 ハンドブック作成に当たっては、各府省庁が作成した職員対応要領、各主務大臣が作成した対応指針等を参考にしました。 令和6年4月の改訂では、改正法の施行に合わせ内容を見直し、記載内容をより充実させています。 このハンドブックに記載していることは、あくまでも例示であり、記載された事例が全てではありませんが、このハンドブックを活用していただき、どうすればよいのか考え、理解し合うきっかけにしていただければ幸いです。 東京都は、皆様とともに、障害を理由とした差別のない社会の実現を目指していきます。 このハンドブック作成・改訂に当たっては、障害者団体・事業者団体等の皆様から、御意見を頂戴しました。 また、作成時にはパブリックコメントも実施し、多くの方々から御意見を頂きました。 貴重な御意見・御提案をお寄せいただき、どうも有難うございました。 御協力団体一覧 東京都障害者差別解消支援地域協議会委員・オブザーバーの皆様 障害者と家族の生活と権利を守る都民連絡会 東京都重症心身障害児(者)を守る会 東京都精神障害者団体連合会 特定非営利活動法人東京都自閉症協会 奥付 東京都障害者差別解消法ハンドブック 平成28年3月発行 平成30年10月改訂 令和6年4月改訂 編集・発行 東京都福祉局障害者施策推進部企画課・東京都心身障害者福祉センター 〒163‐8001 東京都新宿区西新宿二丁目8番1号 電話 03-5320-4559(ダイヤルイン) ファックス 03-5388-1413 印刷番号(6)141 石油系溶剤を含まないインキを使用しています。