よく眠れていますか? 「適切な睡眠」と睡眠障害について 適切な睡眠をとりましょう適切な睡眠をとりましょう  睡眠には疲労の回復をはじめ、心身が不調に陥るのを防ぐ役割があり ます。そして十分な休養が得られるよう、睡眠のとり方を工夫する必要 があります。  国の調査では、およそ4割の人が6時間未満の睡眠時間であり、2 割以上の人が睡眠による十分な休養がとれていない、と答えています。 睡眠不足がうつ病の発症や労働災害の発生のリスクを高めているという 調査結果もあります。誰にとっても睡眠により十分な休養を得ることは 大事な課題です。  ここでは健康づくりに役立つ質の良い睡眠を「適切な睡眠」として、 この適切な睡眠をとるための工夫や注意点を説明します。 自分自身の睡眠状況を振り返ってみましょう  必要な睡眠時間や睡眠のとり方で注意すべきことはライフステージに よって異なります。先ずはご自分の目安を知りましょう。 《子ども》・必要な睡眠は概ね小学生は9〜12時間、中高生は 8〜10時間です ・しっかり時間をかけた睡眠をとりましょう 《成 人》・個人差がありますが、6時間程度は確保しましょう ・生活習慣や睡眠環境を整え、熟眠感を高めるようにし ましょう 《高齢者》・床上時間(睡眠、覚醒も含め寝床に入っている時間) が概ね8時間を超えないようにしましょう ・日中の長時間の昼寝は避け、活動的に過ごしましょう 次のサインがあれば、睡眠の改善が勧められます 寝床に入ってもなかなか寝つけない(入眠困難) 予定より早く目が覚め、その後寝つけない(早朝覚醒) 睡眠中に何度も目が覚める(中途覚醒) 睡眠時間は十分なのに、ぐっすり眠った感じが得られない  (熟眠困難)。 休日に平日よりも2時間以上長く寝る、いわゆる「寝だめ」を   習慣的にしている。 適切な睡眠をとるための工夫   @ 生活のリズムを整えましょう  毎日同じ時刻に寝て、同じ時刻に起きることが理想ですが、寝る時間 が遅くなっても、起きる時間は毎日同じ時刻に起きましょう。  1日3度の規則正しい食事、特に朝食は摂取しましょう。 A リラックスする時間を持ち、適度に運動しましょう  好きな音楽を聴く、アロマを焚くなど、自分に合ったリラックス法を 持ちましょう。  また運動による適度な疲労感から寝つきが促され、睡眠の質が高ま ります。習慣的に運動している人の約7割以上で睡眠の質が良いとい う調査結果があります。ライフステージに合った運動を続けることが お勧めです。一方、寝る直前の運動はかえって目が覚めてしまうので 控えましょう。 B 就寝前に刺激を避けましょう 《食  事》入眠前 2時間以内の食事は避けましょう 《カフェイン》覚醒や利尿の作用があります。夕方以降にコーヒー、緑 茶、ココア、栄養ドリンクなどを飲むのは控えましょう。 《スマートフォン》光などの刺激があり、入眠前1時間は使用を控えましょう 《喫  煙》タバコに含まれるニコチンには覚醒作用があります 《アルコール》寝つきがよくなると思われがちですが、睡眠後半の眠り の質が低下し、熟睡を妨げます C 環境を整えましょう 《光》夜は寝室を暗くし、朝は日が差す環境が理想です。朝の 光を浴びることで、夜に眠気が生じやすくなります。 《音》騒音は睡眠の質を低下させます。静かな環境づくりをし ましょう。 《温度》就寝前に入浴して体温を上げ、その後体温が下がると眠 りにつきやすくなります。 こんなときは専門機関に相談しましょう  適切な睡眠をとるための工夫を実践しても、次のような様子が続く場 合があります。 睡眠不足(入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠困難)が長い 期間続いている 就寝中に呼吸停止やいびきがある 日中に耐えがたい眠気が生じる、突然眠り込んでしまう 日中に集中力が低下する、気分が落ち込む 十分な時間の睡眠をとっているのに、休まった感覚(休養感) が得られない 環境を整える工夫をしても睡眠が改善されなければ、睡眠障害の可能 性があります。この場合は、医療機関を受診することが望ましいです。  また睡眠に関係する疾患がいくつかあります。 ●レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)…寝床に入る と足に不快な感覚が現れ、じっとしていられなくなります。 ●睡眠時無呼吸症候群(SAS)…肥満などの影響で上気道が狭くな り、睡眠中に閉塞し口と鼻の呼吸が止まる疾患です。高血圧と の合併率が高いです。 ●外傷や変形性膝関節症等の痛みを伴う疾患、かゆみを伴う疾患、 喘息発作や花粉症なども睡眠を妨げます。  これらの身体関連の病気のほか、うつ病や不安障害などの心の病気で も、不眠や日中に眠くなるなどの症状が現れることがあります。高齢者 では睡眠中にしっかり目が覚めず、夜中に大声を出したり暴れたりする、 夜間せん妄が生じることがあります。  睡眠障害のおそれがある場合や、何かの疾患により適切な睡眠が妨げ られている場合は、医療機関を受診しましょう。医療機関としては、睡 眠外来がある病院・診療所のほか、精神科や心療内科が対象となります。 受診先が分からない場合や、受診したほうがよいか迷う場合は相談機関 にご連絡ください。 【参考資料】 厚生労働省 「健康づくりのための睡眠ガイド2023」 「知っているようで知らない睡眠のこと」 「平成30年国民健康・栄養調査報告」 「健康日本21」「e-ヘルスネット」 東京都保健医療局 「健康ステーション」 東京都立(総合)精神保健福祉センター  こころの健康に関する相談を受けています。家族や関係機関の方 もご相談できます。お住まいの地域ごとに相談窓口があります。 ◎東京都立中部総合精神保健福祉センター 〒156-0057 世田谷区上北沢2ー1ー7  相談電話:03-3302-7711(年末年始を除く平日9時〜17時) 担当地域:港区、新宿区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、渋谷区、  中野区、杉並区、練馬区 ◎東京都立精神保健福祉センター 〒110-0004 台東区下谷1ー1ー3 相談電話:03-3844-2212(年末年始を除く平日9時〜17時) 担当地域:千代田区、中央区、文京区、台東区、墨田区、江東区、豊島区、 北区、荒川区、板橋区、足立区、葛飾区、江戸川区、島しょ地域 ◎東京都立多摩総合精神保健福祉センター 〒206-0036 多摩市中沢2ー1ー3 相談電話:042-371-5560(年末年始を除く平日9時〜17時) 担当地域:多摩地域  区市町村の保健所・保健センター  お住まいの地域ごとに相談窓口があります。  各自治体の保健所・保健センター等にお問い合わせください。 他にも、厚生労働省のサイト「まもろうよ こころ」などで 様々な相談窓口を探すことができます。 令和7年2月発行 登録番号(6)4