10ページ 2 心のバリアフリーの実践に向けて かっこ1 都民の心のバリアフリーに関する認識  心のバリアフリーについての現状はどのようになっているのでしょうか。 心のバリアフリーに関する事例収集及び意識調査 平成29年3月 東京都福祉保健局 で、都民の認識とうについて見てみましょう。 とい かっこ まちなかで手助けが必要な場面をイラストで示して イラストのようなことは、よくあることだと思いますか。 イラスト @お店の前の段差で、車いすの人が困っていた。 A満員電車で車いすの人が迷惑がられていた。 B視覚障害者が交差点で困っていた。 C聴覚障害者が電車が止まった理由がわからず、ほかの人に尋ねても情報が得られず困っていた。 D食堂で、もうどうけんを連れた人が入店を断られていた。 E知的障害者が子どもにからかわれていた。 Fマタニティマークをつけた人が目の前に立った。 Gエレベーターに並んでいたら、自分の後ろにベビーカー利用者が待っていた H優先席前に荷物を持った高齢者が立っていた。 I外国の人が道を尋ねたいようだった。 11ページ 図 1 よく見かける 24.9% たまに見かける 56.5% 気づいたことはない 14.5% そのた 2.3%  無回答 1.9% よく見かける と たまに見かける で合わせて約8割。 気づいたことはない という回答も一定程度あります。 とい かっこ まちなかで手助けが必要な場面をイラストで示して イラストのようなことを見かけたとき、あなたはどのようにしますか。    図 2  積極的に本人に声をかけ、手助けする 20.5% 時間があれば、本人に声をかけ、手助けする 37.3% 周囲の人や駅員、店員などに伝える 9.0% しばらく様子を見る 18.6% 何もしない 7.5% そのた 3.2%  無回答 3.9% 積極的に本人に声をかけ、手助けする と回答した人は約2割。 一方、しばらく様子を見る や 何もしない という回答が、あわせて約4ぶんの1となっています。 とい しばらく様子を見る 何もしない と答えた人に しばらく様子を見る 又は 何もしない のはなぜですか。 図 3  どうしていいかわからないから 40.0% かかわるとかえって悪い状態になるから 10.5% 恥ずかしいから 7.7% かかわるのが面倒だから 7.7% 本人が自分で解決すべきだから 2.3% そのた 26.4% 無回答 5.5% どうしていいかわからないから が最も多く約4割でした。 その他の回答内容では、自分自身に障害がある、以前断られたことがある、他の人がしなかったら手助けする などの意見がありました。 ? 12ページ とい 心のバリアフリーとは具体的にどのようなことだと思いますか? 主な回答 かっこ 思いやりをもって手助けすること お年寄りに座席を譲ること 相手を思いやり、手助けし合えること かっこ 差別や偏見がないこと 介助が必要な人や障害のある人に対して、差別なく接すること 健常者、障害者など区別することなく、偏見をもたないこと かっこ 誰もが暮らしやすい社会をつくること 偏見や固定観念など心に潜む見えない壁をなくし、誰もが住みやすい社会を目指すこと 誰でも参加しやすい環境が整っていること 心のバリアフリーに対する印象としては、思いやりをもって手助けすること や 差別や偏見がないこと とうの回答がありました。 行動を起こすことが重要 調査結果からは、多くの人がまちの中で手助けが必要な場面に気付いてはいるものの かっこ図 1、そのうち積極的に声かけをする人は一部で、時間があれば行動するという人や、すぐには行動を起こさない人が多くいます かっこ図 2。 行動しない理由は、どうしていいかわからない という人が多い一方で、恥ずかしいからや 面倒だから なども一定程度あり、以前断られたことがある という回答もありました。どのように行動すればいいのか理解を図るとともに、その理解を行動につなげることが課題となっています かっこ図 3。 ? 13ページ かっこ2 心のバリアフリーの実践のための3つのステップ 心のバリアフリーの実践に向けて まちの中で困っている人に対して、思いやりをもって接することは大切なことですが、その際に重要なのは、障害の有無や年齢、性別、国籍とう、人々の多様性を尊重することであり、意識の中の偏見や思い込みをなくすことです。 また、困っている人がいることに気づいたり、障害に対する正しい理解が進んでも、行動で表さなければ、人には伝わりません。意識や理解を行動で示すことが、心のバリアフリーの実践です。 心のバリアフリーの実践に向けて、次の3つのステップで考えてみましょう。 その1 障害の社会モデルの視点でバリアを理解する すべての人が平等に社会参加できる環境をつくる。それは、誰とでも一緒に移動でき、店舗やサービスとうを利用し、活動に参加できることです。 そのためには、人間関係を含めた社会との関係によってバリアが作られることを理解し、様々な人々がともに暮らしていることを意識することが必要です。 障害のある人のことは考えていなかった 外国人がわからないのは仕方ない と考えていませんか。 そう考える人々の意識や施設の不備など、社会や環境からバリアが作られていることを理解することで、私たちにも、そのバリアを除去するためにできることが見えてきます。 イラスト 紙の資料を使って、口頭で視覚障害のある人と聴覚障害のある人に対して説明する人 視覚障害のある人は、説明がわからず、点字の資料はないのかしら、と思っている。 聴覚障害のある人も、説明がわからず、手話がないとわからない、と思っている。 イラスト まちなかの情報案内板の前で、日本語がわからない外国人が困っている。 英語わからないし、かかわらないでおこうと思って、通り過ぎるひと。 ? 14ページ その2 コミュニケーションをとる バリアにより支障を受けている人に対して、どのような配慮が必要か、コミュニケーションをとり、意向を確認します。 どのようにしたらいいか迷ったときは、何かお手伝いできることはありますか と話しかけたり、相手に応じてメモを見せたり、身振りを用いるなど、工夫して伝えてみましょう。 意向を確認することは、その人の意思を尊重することでもあります。 視覚や聴覚に障害のある人や外国人とうに対しては、コミュニケーション方法にも配慮が必要であり、その人に応じた方法を用意することも重要です。 また、コミュニケーションをとる際には、ヘルパーや通訳者とうの同行者ではなく、本人に対して話しかけることで、本人を尊重するよう配慮する必要があります。 イラスト 困っている様子の視覚障害のある人に対して、なにか手伝いましょうか と声をかけている人 コラム 鉄道やバスの車内で席を譲ったときに、結構です と断られることもあります。 譲られた方も、突然声をかけられて驚き、つい断ってしまったり、あるいは、譲られることが恥ずかしかったのかもしれません。 手助けが不要なこともあるかもしれませんが、それがわかったのはコミュニケーションの成果です。 人や場面が変われば、相手の意向も変わってきます。同じような機会があったら、また声をかけてみてください。 15ページ その3 適切な配慮を行う バリアの解消に向けて、自分にできる具体的な行動を行います。 その際、周囲の人の協力を得る必要がある場合や、別の誰かにつなげなくてはいけない場合があるかもしれません。 大切なのは、バリアを解消して、本人が希望する活動を可能にすることであり、そのために適切な配慮を行うことです。 本人が満足しているか、コミュニケーションを通じて確認しながら、行動することが重要です。 イラスト 荷物をたくさん持って、ベビーカーを利用している人に対して、お荷物何かおもちしましょうか とはなしかける人。 ありがとうございます。お願いします。と答えるベビーカー利用者 イラスト 電車内で高齢の人に ここの席座って下さいと席を譲っている人。 ありがとう助かります。と答える高齢の人 ユニバーサルデザイン2ゼロ2ゼロ行動計画における心のバリアフリーA 「心のバリアフリー」の考え方 ユニバーサルデザイン2ゼロ2ゼロ行動計画で取り組む「心のバリアフリー」とは、様々な心身の特性や考え方を持つすべての人々が、相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支え合うことである。そのためには、一人一人が具体的な行動を起こし継続することが必要である。各人がこの「心のバリアフリー」を体現するためのポイントは以下の3点である。 @障害のある人への社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという「障害の社会モデル」を理解すること。 A障害のある人 かっこ及びその家族 への差別 かっこ不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供 を行わないよう徹底すること。 B自分とは異なる条件を持つ多様な他者とコミュニケーションを取る力を養い、すべての人が抱える困難や痛みを想像し共感する力を培うこと。